【実施例】
【0042】
調製物および実施例
以下の調製法および実施例は、本発明をさらに説明し、本発明の化合物の典型的な合成を表す。試薬および出発材料は、当業者によって容易に入手可能であるか、または容易に合成され得る。調製法および実施例は限定ではなく例示として説明され、当業者によりさまざまな変更が行われ得ることを理解すべきである。
【0043】
LC−ES/MSは、AGILENT(登録商標)HP1100液体クロマトグラフィーシステムにおいて行われる。ELSDを有していても有していなくてもよいHPLCに接続された質量選択性検出器四重極質量分析計において、エレクトロスプレー質量分析測定(正および/または負のモードで取得)が行われる。LC−MS条件(低pH):カラム、PHENOMENEX(登録商標)GEMINI(登録商標)NX C18 2.0x50mm3.0μm、110Å、グラジエント、1.5分で、5〜95%B、次いで0.5分間、95%B、カラム温度、50℃+/−10℃、流速:1.2mL/分、1μL注入量、溶媒A:0.1%HCOOHを含む脱イオン水、溶媒B、0.1%ギ酸を含むACN、波長200−400nmおよび212−216nm。HPLCがELSDを備えている場合、設定は、45℃の蒸発器温度、40℃のネブライザ温度、および1.6SLMのガス流速である。代替のLC−MS条件(高pH)カラム、WatersxBridge(登録商標)Cl8カラム2.1×50mm、3.5μm、グラジエントl.5分で5−95%B、次いで95%B、0.50分間、カラム温度、50℃+/−10℃、流速:1.2mL/分、注入量1μL、溶媒A、10mM NH
4HCO
3,pH9、溶媒B、ACN、波長:200−400nmおよび2l2−2l6nm、ELSDのある場合、45℃の蒸発器温度、40℃のネブライザ温度および1.60SLMガス流速である。
【0044】
調製物1
(2S)−l−ベンズヒドリル−2−メチル−アゼチジン[(1R、4S)−7、7−ジメチル−2−オキソ−ノルボルナン−1−イル]メタンスルホン酸塩
【0045】
【化12】
【0046】
滴下漏斗、窒素注入口および温度計アダプタを備えた2000mlの3頸RBFを組み立てる。窒素で容器をパージし、(3R)−ブタン−1,3−ジオール(25g、277.4mmol)、DIPEA(127ml、731mmol)およびACN(556ml)を加える。−30℃に冷却する。無水トリフルオロメタンスルホン酸(101mL、601mmol)を3時間かけて滴下し、内部温度を−35〜−30℃に維持する.添加終了後、−35〜−30℃で10分間攪拌する。15分間かけてDIPEA(127mL、731mmol)を滴下し、内部温度を−35〜−30℃に維持する。添加終了後、−35〜−30℃で10分間攪拌する。15分間かけてDIPEA(127mL、731mmol)を滴下し、内部温度を−35〜−30℃に維持する。添加終了後、−35〜−30℃で10分間攪拌する。窒素下で別のフラスコ中で、アミノジフェニルメタン(48.0mL、270mmol)をACN(49.0mL、935mmol)に溶解させ、得られた溶液を滴下漏斗に移す。内温が−20〜−35℃に維持されるように、アミン溶液を40分かけて冷却したトリフレートに滴下する。添加終了後、−35〜−30℃で30分間撹拌する。反応物を水浴に移し、30分かけてゆっくりと加温する。浴を除去し、反応物を30分かけて室温まで昇温させる。容器を加熱マントルに移し、反応物を45℃まで30分間加温し、次いでRTまで冷却する。得られた混合物を1200mLの水に注ぎ、トルエンで抽出する。(400mL x3).抽出物を併せ、水、飽和NaCl水溶液で洗浄し,無水Na
2SO
4で乾燥し,ろ過しそしてロータリーエバポレーターで濃縮する。得られたものを真空下で一晩乾燥させる。残留物をDCM(400mL)中に溶解させる。フリットロート上にシリカパッドを調製し、それを1:1ヘプタン/EtOAcで平衡化する。生成物溶液をシリカパッド上に加え、1600mLの1:1ヘプタン/EtOAcで洗浄する。濾液を濃縮して赤色油を得る。油をMeOH(250mL)中に溶解し、フラスコを水浴(〜10℃)に入れる。内部温度を20℃未満に保ちながらL(−)−カンファースルホン酸(61.6g、265mmol)を一部ずつ添加する。得られた混合物を15分間攪拌し、次いでロータリーエバポレーターで濃縮して、褐色の泡状物質を得る。2時間、泡状物質を真空ポンプで乾燥する。130mLのDCM中に泡状物質を溶解させる。滴下漏斗をフラスコに取り付ける。漏斗を使用して、1100mLのEtOAcを攪拌中の溶液にゆっくりと添加する。得られた混合物を4000mLのビーカーに移し、大気に開放下一晩撹拌する。ビーカーを氷浴中で10分間冷却する。最小量の氷冷EtOAcで真空濾過洗浄することにより、フリット漏斗に沈殿を回収する。フリット上の固体を2時間乾燥させる。得られた白色固体を最小量のDCMに溶解し、2000mLのビーカーに移し、次いで、透明な溶液が曇ってくるまで、EtOAcでゆっくりと希釈する。この懸濁液を大気に開放しながら4時間攪拌する。フリット漏斗を用いて真空濾過により固体を集め、フリット上で一晩乾燥させて、標題化合物(111.8g,238.06mmol,収率86%)を白色固体として得る。
1H NMR(40MHz,d6−DMSO):10.54−10.47(m,1H),7.61(d,J=7.3Hz,5H),7.47−7.37(m,7H),5.85(d,J=10.3Hz,1H),4.68−4.61(m,1H),3.91−3.83(m,2H),3.37(s,8H),2.99(d,J=14.6Hz,1H),2.77−2.68(m,1H),2.51−2.44(m,4H),2.30−2.16(m,2H),1.91−1.81(m,2H),1.42−1.28(m,3H),1.08(s,3H),1.01(d,J=6.6Hz,3H),0.77(s,4H);>98% ee [HPLC:Chiralcel OJ(10cmx 4.6mm,5μm),5mL/min,40℃定組成10%EtOH(0.2%
iPrNH
2)/CO
2]。
【0047】
調製物2
[(1R,4S)−7、7−ジメチル−2−オキソ−ノルボルナン−l−イル]メタンスルホネート(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イウム塩
【0048】
【化13】
【0049】
2250mLのParr容器に、20重量%のPd(OH)
2/カーボン(6.62g)を加える。ボトルを窒素でパージし、250mLのMeOHを加える。得られた懸濁液に、250mLのMeOH中に溶解した(2S)−l−ベンズヒドリル−2−メチル−アゼチジン[(1R、4S)−7、7−ジメチル−2−オキソ−ノルボルナン−l−イル]メタンスルホン酸塩(111g,236mmol)をゆっくり加える。容器を密封する。窒素でパージし、続いて水素を加え、60psiに加圧する。RTで15時間、PARRシェーカー装置内で反応容器を激しく振とうする。容器を窒素でパージし、次いで、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、MeOHで洗浄する。濾液を濃縮して白色固体を得、真空下で乾燥させる。固体を780mlの1:1のMTBE/EtOAc中に懸濁させ、混合物を65℃に20時間加熱し、次いでRTに冷却し、一晩攪拌する。濾過により固体を収集する。固体を380mLのMTBEに懸濁させ、RTで24時間攪拌する。白色固体を濾過により回収して、標題化合物を得る(41.5g,136.78mmol,収率58%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO):8.68−8.55(m,1H),4.51−4.42(m,1H),3.91−3.75(m,1H),3.36(s,3H),2.91(d,J=14.6Hz,1H),2.69−2.61(m,1H),2.52−2.46(m,2H),2.28−2.22(m,1H),2.17−2.10(m,1H),1.96(t,J=4.5Hz,1H),1.89−1.79(m,1H),1.43(d,J=6.7Hz,2H),1.36−1.26(m,1H),1.05(s,2H),0.75(s,2H)。
【0050】
調製物3
メチル2−[(3R)−l−[6−クロロ−5−シアノ−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]ピロリジン−3−イル]アセテート
【0051】
【化14】
【0052】
RBFに、3−シアノ−2、6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(123mmol、29.6g)およびEtOH(230mL)を加える。混合物を0℃に冷却する。NaHCO
3(368mmol,31g)を加え、続いて、EtOH(230mL)中のメチル(R)−ピロリジン−3−アセテート塩酸塩(23g,123mmol)の溶液を加える。得られた混合物をRTまで一晩加温する。ロータリーエバポレーターで反応混合物を蒸発させて乾燥させる。水(200mL)を添加し、MTBE(2×200mL)で抽出する。抽出物を併せて蒸発乾固させる。ヘキサン/MTBEを用いたシリカゲル上のクロマトグラフィー(グラジエント:20−70%)により精製して、標題化合物(34.7g、99.89mmol、収率81%)を白色固体として得る。ES/MS(m/z):348.0,350.0M+H]
+。
【0053】
調製物4
メチル2−[(3R)−l−[5−シアノ−6−[(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]ピロリジン−3−イル]アセテート
【0054】
【化15】
【0055】
RBFに、メチル2−[(3R)−l−[6−クロロ−5−シアノ−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]ピロリジン−3−イル]アセテート(25.5g、73.3mmol)、[(1R,4S)−7、7−ジメチル−2−オキソ−ノルボルナン−l−イル]メタンスルホネート(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イウム塩(88.0mmol、26.7g)、MeOH(255mL)、およびNaHCO
3(220mmol、18.5g)を加える。65℃で16時間攪拌する。[(1R、4S)−7、7−ジメチル−2−オキソ−ノルボルナン−l−イル]メタンスルホネート(2S)−2−メチルアゼチジン−1−イウム塩(22.0mmol、,6.68g)およびNaHCO
3(147mmol、12.3g)を添加し、32時間攪拌を継続したロータリーエバポレーターで溶媒を除去する。残留物に水(300mL)を加え、MTBEで抽出する(2×200mL)。抽出液を併せ、無水MgSO
4上で乾燥させ、シリカゲルを介して濾過し、濃縮乾固させて、標題化合物(28.0g、73.2mmol、収率99%)を白色固体として得た。ES/MS(m/z):383.2[M+H]
+。
【0056】
調製物5
メチル2−[l−[6−クロロ−5−シアノ−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]アゼチジン−3−イル]アセテート
【0057】
【化16】
【0058】
3−シアノ−2、6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン(500mg,2.03mmol)のEtOH(15mL)の溶液に、NaHCO
3(0.549g,6.51mmol)およびメチル2−(アゼチジン−3−イル)アセテートトリフルオロ酢酸塩(0.494g,2.03mmol)を加える。混合物をRTで16時間攪拌する。反応混合物を飽和NaCl水溶液(30mL)で希釈する。EtOAcで抽出する(20mLx3)。抽出液を併せ飽和NaCl水溶液(30mL)で.洗浄し,無水Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し,そして濃縮する。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(グラジエント0−30%)により,石油エーテル中のEtOAcで溶出して残留物を精製して、標題化合物(470mg、1.41mmol、66%収率)を白色固体として得るES/MS(m/z)=333.9[M+H]
+。
【0059】
調製物6
メチル2−[l−[5−シアノ−6−[(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]アゼチジン−3−イル]アセテート
【0060】
【化17】
【0061】
メチル2−[l−[6−クロロ−5−シアノ−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]アゼチジン−3−イル]アセテート(200mg、0.569mmol)のEtOH(6mL)の溶液に、NaHCO
3(0.173g,2.05mmol)および[(1R、4S)−7、7−ジメチル−2−オキソ−ノルボルナン−l−イル]メタンスルホネート(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イウム塩(0.194g、0.626mmol)を加える。混合物を80℃で16時間加熱する。水(50mL)で希釈し、EtOAcで抽出する(40mLx 3)。抽出液を併せ、飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄し無水Na
2SO
4で乾燥し、ろ過、濃縮する。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(0%−l0%、石油エーテル中EtOAc)により残留物を精製して、標題化合物(176mg,0.46mmol,収率77%)を白色固体として得る。ES/MS(m/z):383.1[M+H]
+。
【0062】
実施例1
2−[(3R)−l−[5−シアノ−6−[(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]ピロリジン−3−イル]酢酸
【0063】
【化18】
【0064】
RBFに、メチル2−[(3R)−l−[5−シアノ−6−[(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]ピロリジン−3−イル]アセテート(26.5g、69.3mmol)、MeOH((265mL)および2M NaOH水溶液(416mmol,208mL)を添加する。混合物を60℃で3時間攪拌し、RTに冷却し、ロータリーエバポレーターでMeOHを除去する。濃縮HCl水溶液を用いて水相をph3−4に酸性化する。EtOAc(400mL)で抽出する。有機層を水(200mL)で洗浄し、無水MgSO
4,で乾燥し、濾過し、濃縮して乾燥させて、標題化合物を白色泡状物質として得る(22.5g,61.11mmol,収率88%)ES/MS(m/z):369.2[M+H]
+。
【0065】
実施例2
2−[l−[5−シアノ−6−[(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]アゼチジン−3−イル]酢酸
【0066】
【化19】
【0067】
THF(5.00mL)と水(1.00mL)中のメチル2−[l−[5−シアノ−6−[(2S)−2−メチルアゼチジン−l−イル]−4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]アゼチジン−3−イル]アセテート(176mg,0.478mmol)の混合物へLiOH(0.04g,0.955mmol)を加える。得られた混合物をRTで2h攪拌する。EtOAc(4mL)で希釈し水層をEtOAcで抽出する(2mLx3)。有機抽出層を併せ、飽和NaCl水溶液で洗浄し(3mLx2)、無水Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、濃縮し標題化合物を白色固体として得る(128mg、0.36mmol、収率78%)。ES/MS(m/z)354.9[M+H]+。
【0068】
活性評価
ヒトKHK−C及びヒトKHK−Aに関するKHK酵素活性評価
化合物の固有の効力は、F1Pの産生を測定する酵素アッセイを用いて測定することができる。化合物はDMSO中で調製され、10ポイントの濃度曲線で試験され、20μM〜1.0 nMの範囲で96ウェルプレートに化合物の3倍の連続希釈を作成する。アッセイ緩衝液[50mM4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−l−エタンスルホン酸(HEPES)、10mm塩化カリウム、100mm塩化マグネシウム、2mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、0.01%n−オクチルグルコシド]で酵素を調製し、RTで15分間化合物とインキュベートする。反応は、基質濃度のフルクトース(KHK−Cアッセイ用の250μM、KHK−Aアッセイ用の1.25mM)およびATP(両イソ型について150μM)を含む100μL容量で実施され、これをさらにRTで20分間インキュベートする。次いで、反応は停止バッファー、0.2%ギ酸および1μg/ml
13C
6−フルクトース−6−リン酸(
13C
6−F6P)内部標準からなる、の添加によって停止される。プレートはRapidFireMS分析まで−20℃で貯蔵される。
【0069】
F1Pの定量のためのRapidFire MS分析
3つのHPLCクォータナリポンプを有するAgilent 300 RapidFire自動抽出システム(Agilent,Santa Clara,CA))は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェース源を備えたAgilent 6495三連四重極質量分析計(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)に結合される。RapidFire Mass Specシステムは、再使用可能なRapidFire C18(type C)固相抽出(SPE)カートリッジ(G9205)を備えている。
【0070】
溶媒A、試料のローディングおよび洗浄に使用される,は酢酸を用いてpH5.0にされた6mMオクチルアミン(Acros Organics 129495000)である。溶媒B、試料の溶出に使用される,0.1%ギ酸を含むACN中の20%水である。試料は、マルチウェルプレートから直接、真空下で収集ループ上へと10μLを吸引することによって連続的に分析される。10μL の試料はC18カートリッジへ充填され、そして1.25mL/minの流速で溶媒Aを使って、5000ms間洗浄される。次いで、保持された検体を、溶媒Bを用いて、1.25mL/分の流速で5000ms間、質量分析計へ溶出させるシステムは、溶媒Aを用いて、1.25mL/分の流量で2000ms間、再平衡化される。
【0071】
三連四重極質量分析計は、ESI源を備え、分析物は、ネガティブモード[M−H]−で選択反応モニタリング(SRM)を用いてモニターされる。F1Pはm/z259.02/96.9で、及び
13C
6−フルクトース−6−リン酸塩は、m/z264.99/97でモニターされる。内部標準として
13C
6−フルクトース−6−リン酸塩を用いてF1Pの面積比値を計算する。
【0072】
実施例1と2の化合物は、主に下記のように試験された。
【0073】
【表1】
【0074】
これらの結果は、実施例1及び2の化合物がKHK−CとKHK−Aの両方の酵素活性を阻害することを示す。
【0075】
KHK細胞活性評価
細胞のKHKによるフルクトースのF1Pへの変換の阻害について細胞アッセイを用いて、効力を測定することができる。HepG2細胞を、96ウェル細胞培養プレート上、増殖培地[ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)高グルコース、10%熱不活化ウシ胎児血清(HI FBS)、1×ペニシリン/ストレプトマイシン]中に加え、37℃で、インキュベーター中で一晩付着させる。増殖培地を洗浄しGibco OptiMEM1低減血清培地、0.1%カゼイン、8.33mM D−フルクトース−
13C
6,、及び100μM〜0.0051μM までの範囲の濃度の化合物(10−点濃度曲線)からなる評価用培地と置き換える。プレートは37℃で3hインキュベートされる。その後評価用培地は、細胞ウェルから吸引される。次に、80%メタノール,2mM酢酸アンモニウム,及び50ng/mLフルクトース−6−ホスフェート−
13C
6からなる停止溶液が細胞に加えられる。プレートはRapidFire MS分析(上記)まで−20℃で貯蔵される。
【0076】
実施例1と2の化合物は、主に下記のように試験された。
【0077】
【表2】
【0078】
これらの結果は実施例1と2の化合物がフルクトースのF1Pへの代謝を阻害することを示す。
【0079】
薬物動態評価のためのタンデム質量分析を備えた液体クロマトグラフ(LC−MS/MS)。内部標準および25μL(齧歯類試料)または50μL(非齧歯類試料)の血漿を含む180μLのMeOH:ACN(1:1、v/v)を加えることによるタンパク質沈殿を用いて試料を抽出する。その後、試料をMeOH:水(1:1,v/v)で希釈し、標準曲線の範囲内の濃度とする。希釈された試料は、TurboIonSprayに接続しかつ、陽イオンモードで操作される、Sciex API4000三連四重極質量分析計(Applied Biosystems/MDS;Foster City,CA)を用いたLC−MS/MSによって分析される。分析物はThermo Betasil C18 5um 20X2.1mm Javelinカラム(齧歯類試料)またはAdvantage ECHIELON C18 4um 20mmx2.1mm IDカラム(非齧歯類試料)を使ってクロマトグラフィーにより分離される。LC条件は水/1M 重炭酸アンモニウム,(2000:10,v/v)(移動相A),及びMeOH/M重炭酸アンモニウム,(2000:10,v/v)(移動相B)である。
【0080】
マウスにおける薬物動態
実施例1の処置におけるin vivo薬物動態学的特性とOATP1A/1Bトランスポーターの関与は、FVB野生型マウスおよびOATP1A/1Bノックアウトマウス(Taconic #10707)(絶食;n=4/遺伝子型)を使用して実証される。実施例1は、ビヒクル中で単回静脈投与される(IV;1mg/kg;volume of 1mL/kg)。動物ごとに、投与後0,0.08,0.25,0.5,1,2,4,8,12,及び24hで採血される。投与後24hで肝臓、脾臓及び膵臓が摘出され,秤量され、および灌流される。実施例1の血漿及び組織濃度は上記のLC−MS/MS法により決定される。
【0081】
FVBマウスでは,実施例1は5.43時間の半減期,6.91mL/hr/kgの平均クリアランス,2.74L/kgの分布容量,67.5の平均肝臓非結合分配係数(K
puu)を有する。OATP1A/1Bノックアウトマウスでは,実施例1は9.36時間の半減期,1.34mL/hr/kgの平均クリアランス,0.986L/kgの分布容量、24.2の平均肝臓非結合分配係数(K
puu)を有する。このデータは、マウスにおける実施例1の肝臓取り込みにOATPが関与し、このトランスポーターの関与がクリアランスに影響を及ぼすことを示している。
【0082】
イヌにおける薬物動態
実施例1のin vivoの薬物動態学的特性はビーグル犬を使って示される。(給餌,n=3−4)実施例1は、ビヒクル中で単回経口投与(経口3mg/kg、容量2mL/kg)または静脈投与(静注、1mg/kg、容量1mL/kg)される。各動物から投与後0,0.03(静注群のみ),0.08(静注),0.25,0.5,1,2,4,8,12,24,32(静注),48(静注)、72(静注)hに採血される。実施例1の血漿濃度は上記LC−MS/MS法により決定される。
【0083】
経口投与について,実施例1の平均半減期はis 6.9時間であり、生物学的利用能は〜93%である。静脈投与について,実施例1の平均半減期は7.4時間であり、平均クリアランスは2.52mL/hr/kgであり低い分布容量(1.33L/kg)を伴う。このデータは、イヌにおいて実施例1が低い総クリアランス、低い分布容量と高い経口生物学的利用能を有することを示す。
【0084】
in vivoでの主要な排泄経路の特性が、胆管にカニューレを挿管(BDC)したビーグル犬(給餌、n=3)を用いて示される。実施例1は、ビヒクル中で単回静脈投与(IV、1mg/kg、容量1mL/kg)される。投与後0,0.033,0.083,0.25,0.5,1,2,4,8,12,24,32,48,72hに各動物から採血される。投与後1,2,3,4,5,6,12,18,24,32,48,72hに各動物から胆液が採取される。投与後12,24,48,72hに採尿、および24,48,72hに糞便が収集される。実施例1の血漿、胆液、尿および糞便中の濃度は上記LC−MS/MS法により決定される。
【0085】
実施例1の平均半減期は2.9時間、また平均クリアランス4.69mL/hr/kgであり、低い分布容量を伴う(0.546L/kg)。実施例1尿中濃度は無視でき、また静脈投与量の〜10%は胆液に回収される。このデータは実施例1が低い腎臓及び胆液排泄を有することを示す。全体として、胆管にカニューレが挿管されたイヌの排泄半減期は、2.9hであり、処置されていないイヌで測定された半減期、7.4hrより速く、腸肝循環を示唆している。
【0086】
カニクイザルにおける薬物動態
実施例1のin vivo薬物動態特性が、カニクイザルを用いて示される。この化合物はビヒクルを用いて単回経口投与(経口、10mg/kg、容量、5mL/kg)される。投与後0,0.25,0.5,1,2,4,8,12,24,32,48,72hで各動物から採血される。実施例1の血漿濃度は上記LC−MS/MS法により決定される。
【0087】
実施例1の平均半減期は15.3時間である。このデータは、実施例1が、サルにおいて経口による生物学的な利用が可能であり、またゆっくりと排泄されることを示す。
【0088】
ヒト肝細胞における固有クリアランス(−/+ABT)
本方法は肝細胞における基質減少によるin vitro代謝クリアランスを特定することを意図している。汎CYP450酵素阻害剤、ABTの存在および非存在下でのインキュベーションを用いてCYPを媒介した代謝の寄与を評価する。低温保存されたヒト肝細胞を37℃で解凍し、スピンダウンし、肝細胞維持培地中で、1×10
6生存細胞/mlの密度まで再構成する。予め温められた96ウェルプレートに対し、各ウェルに196μLの肝細胞懸濁液を加える。細胞は、ABT存在下及び非存在下で以下のように予備インキュベートされる。ABT予備インキュベーションのため、2μLの100mM ABT溶液が加えられる(ABTを含まない2μLの培地が対照試料に加えられる),そしてプレートは一定の振とう(〜600rpm)を受けながら37℃で30分間インキュベーションされる。続いて、試験試料の30μMストック溶液、2μLが加えられ、0,15,30,60,120,240分に20μLが抜き取られ、内部標準を含むACNに移されて反応が停止される。4000rpmで30分遠心後,上澄液の濃度がLC−MS/MSで決定される。クリアランスが経過時間に対する残存化合物の%の傾きから計算される。
【0089】
ヒト肝細胞において、実施例1のクリアランスはABTにより〜12%阻害され、これは、実施例1の肝臓クリアランスにおいてCYP酵素の関与が限定的であることを示唆する。
【0090】
OATP1B1およびOATP1B3の阻害
OATP1B1、OATP1B3、およびベクターコントロール(VC)細胞が、10%FBS、50μg/mLゲンタマイシン、および5μg/mLブラストサイジン(blasticidin)を加えたDMEM中で加湿雰囲気、37℃で5%CO
2中で培養される。この細胞が24−ウェルBioCoat Poly−D−リジンプレートに接種される。この細胞は、試験24h前に、添加物を加えたDMEM中の5mMブタン酸ナトリウムで処置される。細胞培養体は試験前に予め加温したPBSで2度洗浄される。洗浄後、全ての種類の細胞が37℃で30分間、200mL緩衝液、緩衝液に種々の濃度の試験試料を加えたもの、または適当な陽性対照を加えたものの中で培養される。予備データに基づき、OATP1B1について0.025〜12.5μMの濃度、及びOATP1B3について、0.20〜100μM(名目値)が試験される。予備インキュベーションの開始時、50μLの緩衝液が抜き取られ、LC−MS/MS.によるウェル内の試験試料の濃度が決定される。予備インキュベーション後、緩衝液が除去される。200μLの基質溶液(1.4nMの重水素化ロスバスタチンを含む400nMロスバスタチン総量)を加えて試験が開始される。インキュベーションは、阻害剤存在下または非存在下で行われる。各細胞系に使用される陽性対照阻害剤は、50μMリファマイシンSVである。37℃で1分間実験を行い、反応を停止させ、ウェル当たり1000μLの氷冷PBSを加えて洗浄する。次いで各ウェルを吸引し、氷冷PBSでさらに2回洗浄する。各ウェル内の細胞を、PBS中の400μL1%Triton X100(容積)で溶解する。プレートの各ウェルから試料を採取し、放射能をカウントし、各ウェル内のタンパク質濃度をビシンコニン酸法により決定する。IC
50値は、GraphPad Prismを用いて、データを適合させて決定される。適合の前、名目濃度は実測濃度に変換される。
【0091】
実施例1は、OATP1B1をOATP1B3よりも強力に阻害し、IC50valuesは、それぞれ0.12および5.5μMであった。
本発明は以下の態様を含みうる。
[1]以下の式:
【化20-1】
(式中、nが1または2である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[2]nが1である、上記[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[3]前記化合物が、以下:
【化20-2】
の構造の化合物である、上記[2]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[4]nが2である、上記[1]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[5]前記化合物が、以下:
【化20-3】
の構造の化合物である、上記[4]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[6]前記化合物が、以下:
【化20-4】
の構造の化合物である、上記[5]に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[7]患者の2型糖尿病を治療する方法であって、有効量の上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、前記治療が必要な患者に投与することを含む、方法。
[8]患者の心不全を治療する方法であって、有効量の上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、前記治療が必要な患者に投与することを含む、方法。
[9]患者の糖尿病性腎臓病を治療する方法であって、有効量の上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、前記治療が必要な患者に投与することを含む、方法。
[10]患者の非アルコール性脂肪肝炎を治療する方法であって、有効量の上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、前記治療が必要な患者に投与することを含む、方法。
[11]治療に使用するための上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[12]2型糖尿病の治療に使用するための上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[13]心不全の治療に使用するための上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[14]糖尿病性腎臓病の治療に使用するための上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[15]非アルコール性脂肪肝炎の治療に使用するための上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
[16]上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容できる担体、希釈剤、または賦形剤とともに含む、医薬品組成物。
[17]上記[1]〜[6]のいずれか1項の上記[に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容できる担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む、医薬品組成物の調製方法。