特許第6813748号(P6813748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6813748OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813748
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20201228BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20201228BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G09G3/3233
   G09G3/20 621A
   G09G3/20 622D
   G09G3/20 623C
   G09G3/20 623D
   G09G3/20 623U
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 641D
   G09G3/20 642P
   G09G3/20 670J
   H05B33/14 A
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-534242(P2019-534242)
(86)(22)【出願日】2017年2月15日
(65)【公表番号】特表2020-503553(P2020-503553A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】CN2017073600
(87)【国際公開番号】WO2018120367
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】201611251545.5
(32)【優先日】2016年12月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194892
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 麻美
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】王 利民
(72)【発明者】
【氏名】黄 泰鈞
(72)【発明者】
【氏名】梁 鵬飛
【審査官】 武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−9185(JP,A)
【文献】 特開2011−95750(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/129463(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105280140(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法において、
ステップS1、
サブピクセル駆動回路と、前記サブピクセル駆動回路に電気的に接続された検出処理回路とを含むOLED表示装置駆動システムを提供するステップS1であって、
前記サブピクセル駆動回路は、第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第1キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み、
前記第1薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号を受信し、ソース電極はデータ信号を受信し、ドレイン電極は第1ノードに電気的に接続されており、
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は前記第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は直流電圧信号を受信し、
前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は検出信号を受信し、ソース電極は前記第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は前記検出処理回路に電気的に接続されており、前記第1キャパシタの一端は前記第1ノードに電気的に接続されており、他端は前記第2ノードに電気的に接続されており、前記有機発光ダイオードのアノードは前記第2ノードに電気的に接続されており、カソードは接地されており、
前記第2薄膜トランジスタは駆動薄膜トランジスタであり、
前記検出処理回路は、前記第3薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続された電流積分器と、前記電流積分器に電気的に接続されたCDSサンプラと、前記CDSサンプラに電気的に接続されたアナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器に電気的に接続された中央処理装置とを含むステップS1と;
ステップS2、
前記走査信号と前記検出信号とを同時に高電位にすることで、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタとを同時にオンにし、
前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に第1データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第1ソース電極電圧及び第1電流データを取得し、前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧及び前記第1電流データを、前記中央処理装置に保存するステップS2と;
ステップS3、
前記走査信号と前記検出信号をともに高電位に維持し、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタをともにオンの状態に維持して、前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に、前記第1データ電圧とは異なる第2データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第2ソース電極電圧及び第2電流データを取得し、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データを前記中央処理装置に保存するステップS3であって、
前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間は、前記ステップS2において前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間と同じである、ステップS3と;
ステップS4、
前記中央処理装置が所定の計算式を用いて、保存された前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧、前記第1電流データ、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データから、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を算出するステップであって、
前記所定の計算式を、DataI1/DataI2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthとし、
DataI1は前記第1電流データを表し、DataI2は前記第2電流データを表し、Vg1は前記第1データ電圧を表し、Vs1は前記第1ソース電極電圧を表し、Vg2は前記第2データ電圧を表し、Vs2は前記第2ソース電極電圧を表し、Vthは前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を表す、ステップS4と
ステップS5、
前記ステップS2から前記ステップS4までのステップを複数回繰り返し、検出を複数回行なうことで、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧を取得し、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧の平均値を、最終的に前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧とし、
毎回の検出時にいずれも異なる前記第1データ電圧及び異なる前記第2データ電圧が用いられるステップS5と、
が含まれることを特徴とするOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項2】
前記ステップS2及び前記ステップS3において、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する工程として、まず、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を前記電流積分器で積分し、前記電流積分器による積分が完了した後、前記CDSサンプラが前記電流積分器の出力結果を収集し、続いて、前記アナログデジタル変換器がアナログ信号の出力結果をデジタル信号に変換することで電流データを取得し、前記電流データは前記中央処理装置に保存されることを特徴とする請求項1に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項3】
前記電流データと前記第2薄膜トランジスタを流れる電流との関係は、Ids=Data×C/ΔTであり、Idsは前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を表し、Dataは前記電流データを表し、Cは前記電流積分器の容量値を表し、ΔTは設定した前記電流積分器の積分時間を表すことを特徴とする請求項2に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項4】
前記中央処理装置はFPGA処理システムであることを特徴とする請求項1に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項5】
前記サブピクセル駆動回路において、さらに寄生キャパシタが形成されており、前記寄生キャパシタは前記有機発光ダイオードの両端に並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項6】
前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ及び前記第3薄膜トランジスタは、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、又は酸化物半導体薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項7】
検出により得られた前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧補償に用いることを特徴とする請求項1に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項8】
OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法において、
ステップS1、
サブピクセル駆動回路と、前記サブピクセル駆動回路に電気的に接続された検出処理回路とを含むOLED表示装置駆動システムを提供するステップS1であって、
前記サブピクセル駆動回路は、第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第1キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み、
前記第1薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号を受信し、ソース電極はデータ信号を受信し、ドレイン電極は第1ノードに電気的に接続されており、
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は前記第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は直流電圧信号を受信し、
前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は検出信号を受信し、ソース電極は前記第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は前記検出処理回路に電気的に接続されており、前記第1キャパシタの一端は前記第1ノードに電気的に接続されており、他端は前記第2ノードに電気的に接続されており、前記有機発光ダイオードのアノードは前記第2ノードに電気的に接続されており、カソードは接地されており、
前記第2薄膜トランジスタは駆動薄膜トランジスタであり、
前記検出処理回路は、前記第3薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続された電流積分器と、前記電流積分器に電気的に接続されたCDSサンプラと、前記CDSサンプラに電気的に接続されたアナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器に電気的に接続された中央処理装置とを含むステップS1と;
ステップS2、
前記走査信号と前記検出信号とを同時に高電位にすることで、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタとを同時にオンにし、
前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に第1データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第1ソース電極電圧及び第1電流データを取得し、前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧及び前記第1電流データを、前記中央処理装置に保存するステップS2と;
ステップS3、
前記走査信号と前記検出信号をともに高電位に維持し、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタをともにオンの状態に維持して、前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に、前記第1データ電圧とは異なる第2データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第2ソース電極電圧及び第2電流データを取得し、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データを前記中央処理装置に保存するステップS3であって、
前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間は、前記ステップS2において前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間と同じである、ステップS3と;
ステップS4、
前記中央処理装置が所定の計算式を用いて、保存された前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧、前記第1電流データ、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データから、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を算出するステップS4であって、
前記所定の計算式を、DataI1/DataI2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthとし、
DataI1は前記第1電流データを表し、DataI2は前記第2電流データを表し、Vg1は前記第1データ電圧を表し、Vs1は前記第1ソース電極電圧を表し、Vg2は前記第2データ電圧を表し、Vs2は前記第2ソース電極電圧を表し、Vthは前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を表す、ステップS4と
ステップS5、
前記ステップS2から前記ステップS4までのステップを複数回繰り返し、検出を複数回行なうことで、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧を取得し、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧の平均値を、最終的に前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧とし、
毎回の検出時にいずれも異なる前記第1データ電圧及び異なる前記第2データ電圧を用いる、ステップS5と、
を含み、
前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ及び前記第3薄膜トランジスタは、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、又は酸化物半導体薄膜トランジスタであり、
検出により得られた前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧補償に用い、
前記中央処理装置はFPGA処理システムであることを特徴とするOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項9】
前記ステップS2及び前記ステップS3において、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する工程としては、まず、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を前記電流積分器で積分し、前記電流積分器による積分が完了した後、前記CDSサンプラが前記電流積分器の出力結果を収集し、続いて、前記アナログデジタル変換器がアナログ信号の出力結果をデジタル信号に変換することで電流データを取得し、前記電流データは前記中央処理装置に保存されることを特徴とする請求項に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項10】
前記電流データと前記第2薄膜トランジスタを流れる電流との関係は、Ids=Data×C/ΔTであり、Idsは前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を表し、Dataは前記電流データを表し、Cは前記電流積分器の容量値を表し、ΔTは設定した前記電流積分器の積分時間を表すことを特徴とする請求項に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【請求項11】
前記サブピクセル駆動回路において、さらに寄生キャパシタが形成されており、前記寄生キャパシタは前記有機発光ダイオードの両端に並列接続されていることを特徴とする請求項に記載のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ技術の分野に関するものであり、特にOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Display、OLED)を用いた表示装置は、自発光、低駆動電圧、高発光効率、短応答時間、高鮮明度及び高コントラスト、180°に近い視野角、広範囲の使用温度、フレキシブル表示及び大画面フルカラー表示の実現等、様々な優れた特性を有しており、業界では最も潜在的可能性のある表示装置であると公認されている。
【0003】
OLEDディスプレイ装置は、通常、基板と、基板上に配置された陽極と、陽極上に配置された正孔注入層と、正孔注入層上に配置された正孔輸送層と、正孔輸送層上に配置された発光層と、発光層上に配置された電子輸送層と、電子輸送層上に配置された電子注入層と、電子注入層上に配置された陰極とを含む。OLEDディスプレイ装置の発光原理としては、半導体材料及び有機発光材料が電界駆動の下、キャリア注入及び再結合によって発光する。具体的には、OLEDディスプレイ装置は、通常、酸化インジウムスズ(ITO)ピクセル電極及び金属電極を、それぞれ装置の陽極及び陰極として用いる。一定の電圧駆動の下、電子及び正孔はそれぞれ陰極及び陽極から電子輸送層及び正孔輸送層に注入され、電子と正孔はそれぞれ電子輸送層及び正孔輸送層を経由して発光層に移動し、且つ、発光層中で互いに衝突して、励起子を形成することで発光分子を励起し、後者は輻射緩和を経て可視光を発する。
【0004】
OLEDディスプレイ装置は、駆動方法に従って、パッシブマトリックスOLED(Passive Matrix OLED、PMOLED)及びアクティブマトリックスOLED(Active Matrix OLED、AMOLED)の2大カテゴリーに分類することができ、即ち、直接アドレッシング及び薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)マトリックスアドレッシングの2種類に分類することができる。ここで、AMOLEDは、アレイ状に配置された画素を有しており、アクティブディスプレイのタイプに属し、発光効率が高く、一般的には高解像度の大型ディスプレイ装置に用いられる。
【0005】
AMOLEDは電流駆動装置であり、電流が有機発光ダイオードを流れる際に有機発光ダイオードは発光し、且つ、発光の輝度は有機発光ダイオード自身を流れる電流によって決定される。現存する集積回路(Integrated Circuit、IC)の多くは電圧信号のみを伝送するため、AMOLEDのピクセル駆動回路は電圧信号を電流信号に変換するというタスクを完了させる必要がある。従来のAMOLEDピクセル駆動回路は一般的に2T1Cであり、即ち、2つの薄膜トランジスタと1つのキャパシタとを備えた構造であり、電圧を電流に変換するものである。
【0006】
一般的に、AMOLEDピクセル駆動回路は、いずれも有機発光ダイオードを発光させる駆動薄膜トランジスタが設けられている。使用の過程において、有機発光ダイオードの劣化及び駆動薄膜トランジスタの閾値電圧シフトにより、OLEDディスプレイ装置の表示品質が低下する場合がある。このため、OLEDディスプレイ装置を使用する過程においては、駆動薄膜トランジスタの閾値電圧に対し補償を行なう必要があり、以ってOLEDディスプレイ装置の表示品質が保証され、且つ、閾値電圧の補償という主なタスクが達成されるとともに、閾値電圧の検出が完了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法を提供することであり、当該検出方法は、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出の精度を高め、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧補償効果を改善し、OLEDの表示品質を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法を提供し、当該検出方法は、
ステップS1、
サブピクセル駆動回路と、前記サブピクセル駆動回路に電気的に接続された検出処理回路とを含むOLED表示装置駆動システムを提供するステップS1であって、
前記サブピクセル駆動回路は、第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第1キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み、
前記第1薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号を受信し、ソース電極はデータ信号を受信し、ドレイン電極は第1ノードに電気的に接続されており、
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は前記第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は直流電圧信号を受信し、
前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は検出信号を受信し、ソース電極は前記第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は前記検出処理回路に電気的に接続されており、前記第1キャパシタの一端は前記第1ノードに電気的に接続されており、他端は前記第2ノードに電気的に接続されており、前記有機発光ダイオードのアノードは前記第2ノードに電気的に接続されており、カソードは接地されており、
前記第2薄膜トランジスタは駆動薄膜トランジスタであり、
前記検出処理回路は、前記第3薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続された電流積分器と、前記電流積分器に電気的に接続されたCDSサンプラと、前記CDSサンプラに電気的に接続されたアナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器に電気的に接続された中央処理装置とを含むステップS1と;
ステップS2、
前記走査信号と前記検出信号とを同時に高電位にすることで、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタとを同時にオンにし、
前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に第1データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第1ソース電極電圧及び第1電流データを取得し、前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧及び前記第1電流データを、前記中央処理装置に保存するステップS2と;
ステップS3、
前記走査信号と前記検出信号をともに高電位に維持し、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタをともにオンの状態に維持して、前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に、前記第1データ電圧とは異なる第2データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第2ソース電極電圧及び第2電流データを取得し、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データを前記中央処理装置に保存するステップS3であって、
前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間は、前記ステップS2において前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間と同じである、ステップS3と;
ステップS4、
前記中央処理装置が所定の計算式を用いて、保存された前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧、前記第1電流データ、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データから、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を算出するステップであって、
前記所定の計算式を、DataI1/DataI2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthとし、
DataI1は前記第1電流データを表し、DataI2は前記第2電流データを表し、Vg1は前記第1データ電圧を表し、Vs1は前記第1ソース電極電圧を表し、Vg2は前記第2データ電圧を表し、Vs2は前記第2ソース電極電圧を表し、Vthは前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を表す、ステップS4と;
ステップS5、
前記ステップS2から前記ステップS4までのステップを複数回繰り返し、検出を複数回行なうことで、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧を取得し、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧の平均値を、最終的に前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧とし、
毎回の検出時にいずれも異なる前記第1データ電圧及び異なる前記第2データ電圧が用いられるステップS5を含む。
【0009】
前記ステップS2及び前記ステップS3において、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する工程として、まず、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を前記電流積分器で積分し、前記電流積分器による積分が完了した後、前記CDSサンプラが前記電流積分器の出力結果を収集し、続いて、前記アナログデジタル変換器がアナログ信号の出力結果をデジタル信号に変換することで電流データを取得し、前記電流データは前記中央処理装置に保存される。
【0010】
前記電流データと前記第2薄膜トランジスタを流れる電流との関係は、Ids=Data×C/ΔTであり、Idsは前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を表し、Dataは前記電流データを表し、Cは前記電流積分器の容量値を表し、ΔTは設定した前記電流積分器の積分時間を表す。
【0011】
前記中央処理装置はFPGA処理システムである。
【0012】
前記サブピクセル駆動回路において、さらに寄生キャパシタが形成されており、前記寄生キャパシタは前記有機発光ダイオードの両端に並列接続されている。
【0015】
前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ及び前記第3薄膜トランジスタは、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、又は酸化物半導体薄膜トランジスタである。
【0016】
検出された前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧は、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧補償に用いられる。
【0017】
本発明はさらにOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法を提供し、当該検出方法は、
ステップS1、
サブピクセル駆動回路と、前記サブピクセル駆動回路に電気的に接続された検出処理回路とを含むOLED表示装置駆動システムを提供するステップS1であって、
前記サブピクセル駆動回路は、第1薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと、第3薄膜トランジスタと、第1キャパシタと、有機発光ダイオードとを含み、
前記第1薄膜トランジスタのゲート電極は走査信号を受信し、ソース電極はデータ信号を受信し、ドレイン電極は第1ノードに電気的に接続されており、
前記第2薄膜トランジスタのゲート電極は前記第1ノードに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は直流電圧信号を受信し、
前記第3薄膜トランジスタのゲート電極は検出信号を受信し、ソース電極は前記第2ノードに電気的に接続されており、ドレイン電極は前記検出処理回路に電気的に接続されており、前記第1キャパシタの一端は前記第1ノードに電気的に接続されており、他端は前記第2ノードに電気的に接続されており、前記有機発光ダイオードのアノードは前記第2ノードに電気的に接続されており、カソードは接地されており、
前記第2薄膜トランジスタは駆動薄膜トランジスタであり、
前記検出処理回路は、前記第3薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続された電流積分器と、前記電流積分器に電気的に接続されたCDSサンプラと、前記CDSサンプラに電気的に接続されたアナログデジタル変換器と、前記アナログデジタル変換器に電気的に接続された中央処理装置とを含むステップS1と;
ステップS2、
前記走査信号と前記検出信号とを同時に高電位にすることで、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタとを同時にオンにし、
前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に第1データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第1ソース電極電圧及び第1電流データを取得し、前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧及び前記第1電流データを、前記中央処理装置に保存するステップS2と;
ステップS3、
前記走査信号と前記検出信号をともに高電位に維持し、前記第1薄膜トランジスタと前記第3薄膜トランジスタをともにオンの状態に維持して、前記データ信号が前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に、前記第1データ電圧とは異なる第2データ電圧を書き込むことにより、前記第2薄膜トランジスタをオンにし、
前記検出処理回路が、前記第2薄膜トランジスタのソース電極電圧と、前記第2薄膜トランジスタを流れる電流とを検出することで、第2ソース電極電圧及び第2電流データを取得し、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データを前記中央処理装置に保存するステップS3であって、
前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間は、前記ステップS2において前記第2薄膜トランジスタを流れる電流を検出する際に設定した前記電流積分器の積分時間と同じである、ステップS3と;
ステップS4、
前記中央処理装置が所定の計算式を用いて、保存された前記第1データ電圧、前記第1ソース電極電圧、前記第1電流データ、前記第2データ電圧、前記第2ソース電極電圧及び前記第2電流データから、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を算出するステップS4であって、
前記所定の計算式を、DataI1/DataI2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthとし、
DataI1は前記第1電流データを表し、DataI2は前記第2電流データを表し、Vg1は前記第1データ電圧を表し、Vs1は前記第1ソース電極電圧を表し、Vg2は前記第2データ電圧を表し、Vs2は前記第2ソース電極電圧を表し、Vthは前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を表す、ステップS4と
ステップS5、
前記ステップS2から前記ステップS4までのステップを複数回繰り返し、検出を複数回行なうことで、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧を取得し、前記第2薄膜トランジスタの複数の閾値電圧の平均値を、最終的に前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧とし、
毎回の検出時にいずれも異なる前記第1データ電圧及び異なる前記第2データ電圧を用いる、ステップS5を含み、
前記第1薄膜トランジスタ、前記第2薄膜トランジスタ及び前記第3薄膜トランジスタは、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、又は酸化物半導体薄膜トランジスタであり、
検出により得られた前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧を、前記第2薄膜トランジスタの閾値電圧補償に用い、
前記中央処理装置はFPGA処理システムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明は、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法を提供するものであり、該方法においては、データ信号を配置して二つの異なるデータ電圧を供給することで、駆動薄膜トランジスタに二つの異なるゲート・ソース電極間電圧を生成させる。また、当該二つの異なるゲート・ソース電極間電圧の下で、駆動薄膜トランジスタを流れる電流を外部の検出処理回路により各々検出し、中央処理装置は二つのゲート・ソース電極間電圧、二つの電流データ及び駆動薄膜トランジスタの電流による公式から得られた計算式を用いて、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧を算出する。これにより、OLED表示器における各ピクセルに係る駆動薄膜トランジスタの閾値電圧を正確に得ることができ、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧補償効果が改善され、OLEDの表示品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特徴及び技術内容をより理解するために、以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照されたい。添付の図面は参考及び説明に供するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0020】
添付の図中、
図1】本発明のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法における、OLED表示装置駆動システムの回路図である。
図2】本発明のOLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明で用いる技術的手段及びその効果についてより詳しく説明するために、以下において、本発明の好ましい実施例と添付の図面を組み合わせて詳細な記述を行なう。
【0022】
図2を参照する。本発明は、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法を提供するものであり、以下のステップS1と、ステップS2と、ステップS3と、ステップS4とを含む。
【0023】
図1を参照すると、ステップS1では、OLED表示装置駆動システムが提供されており、OLED表示装置駆動システムは、サブピクセル駆動回路1と、当該サブピクセル駆動回路1に電気的に接続された検出処理回路2とを含む。
【0024】
前記サブピクセル駆動回路1は、第1薄膜トランジスタT1と、第2薄膜トランジスタT2と、第3薄膜トランジスタT3と、第1キャパシタC1と、有機発光ダイオードD1とを含む。
【0025】
前記第1薄膜トランジスタT1のゲート電極は走査信号Scanを受信し、ソース電極はデータ信号Dataを受信し、ドレイン電極は第1ノードPに電気的に接続されている。前記第2薄膜トランジスタT2のゲート電極は第1ノードPに電気的に接続されており、ソース電極は第2ノードQに電気的に接続されており、ドレイン電極は直流電圧信号Ovddを受信する。前記第3薄膜トランジスタT3のゲート電極は検出信号Senを受信し、ソース電極は第2ノードQに電気的に接続されており、ドレイン電極は検出処理回路2に電気的に接続されている。前記第1キャパシタC1の一端は第1ノードPに電気的に接続されており、他端は第2ノードQに電気的に接続されている。前記有機発光ダイオードD1のアノードは第2ノードQに電気的に接続されており、カソードは接地されている。
【0026】
前記第2薄膜トランジスタT2は駆動用薄膜トランジスタである。
【0027】
前記検出処理回路2は、第3薄膜トランジスタT3のドレイン電極に電気的に接続された電流積分器21と、電流積分器21に電気的に接続された相関二重サンプリング(Correlated Double Samples、CDS)用サンプラ22と、CDSサンプラ22に電気的に接続されたアナログデジタル変換器23と、アナログデジタル変換器23に電気的に接続された中央処理装置24とを含む。
【0028】
好ましくは、前記中央処理装置24は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)処理システムである。前記第1薄膜トランジスタT1、前記第2薄膜トランジスタT2及び前記第3薄膜トランジスタT3としては、低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、又は酸化物半導体薄膜トランジスタを用いることができる。
【0029】
これ以外に、前記サブピクセル駆動回路1において、さらに寄生キャパシタC2が形成されており、前記寄生キャパシタC2は有機発光ダイオードD1の両端に並列接続されている。
【0030】
ステップS2では、前記走査信号Scanと検出信号Senとが同時に高電位となり、前記第1薄膜トランジスタT1と前記第3薄膜トランジスタT3とが同時にオンとなり、データ信号Dataは第2薄膜トランジスタT2のゲート電極に第1データ電圧を書き込む。これにより、前記第2薄膜トランジスタT2がオンとなり、前記検出処理回路2が、第2薄膜トランジスタT2のソース電極電圧と、第2薄膜トランジスタT2を流れる電流とを検出することで、第1ソース電極電圧及び第1電流データが得られ、第1データ電圧、第1ソース電極電圧及び第1電流データは中央処理装置24に保存される。
【0031】
ステップS3では、前記走査信号Scanと検出信号Senはともに高電位を維持し、前記第1薄膜トランジスタT1と前記第3薄膜トランジスタT3はともにオンの状態を維持し、データ信号Dataは第2薄膜トランジスタT2のゲート電極に第1データ電圧と異なる第2データ電圧を書き込む。これにより、前記第2薄膜トランジスタT2がオンとなり、検出処理回路2が、第2薄膜トランジスタT2のソース電極電圧と、第2薄膜トランジスタT2を流れる電流とを検出することで、第2ソース電極電圧及び第2電流データが得られ、第2データ電圧、第2ソース電極電圧及び第2電流データは中央処理装置24に保存される。ここで、第2薄膜トランジスタT2を流れる電流を検出する際に設定した電流積分器21の積分時間は、ステップS2において第2薄膜トランジスタT2を流れる電流を検出する際に設定した電流積分器21の積分時間と同じである。
【0032】
具体的には、前記ステップS2及び前記ステップS3において、第2薄膜トランジスタT2を流れる電流を検出する工程は以下の通りである。まず、第2薄膜トランジスタT2を流れる電流を電流積分器21で積分し、電流積分器21による積分が完了した後、CDSサンプラ22が電流積分器21の出力結果を収集し、続いて、アナログデジタル変換器23がアナログ信号の出力結果をデジタル信号に変換することで電流データを取得し、電流データは中央処理装置24に保存される。
【0033】
さらに、前記電流データと第2薄膜トランジスタT2を流れる電流との関係は、Ids=Data×C/ΔTである。ここで、Idsは第2薄膜トランジスタT2を流れる電流を表し、Dataは電流データを表し、Cは電流積分器21の容量値を表し、ΔTは設定した電流積分器21の積分時間を表す。具体的な導出過程としては、第2薄膜トランジスタT2を流れる電流を電流積分器21で積分することで、次の式が得られる。
【0034】
【数1】
【0035】
dsは第2薄膜トランジスタT2を流れる電流であり、同一のゲート・ソース電極間電圧で第2薄膜トランジスタT2を流れる電流Idsは定値であり、電流積分器21の容量値Cは固定値であり、積分時間ΔTもまた設定された固定値であるため、Ids=Data×C/ΔTが得られる。
【0036】
なお、第2薄膜トランジスタT2のソース電極電圧の検出に関しては、従来技術における一般的な外部検出方法が用いられるが、ここではその詳細な説明を省略する。
【0037】
ステップS4では、前記中央処理装置24が所定の計算式を用い、保存された第1データ電圧、第1ソース電極電圧、第1電流データ、第2データ電圧、第2ソース電極電圧及び第2電流データを基に、前記第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧を算出する。
【0038】
前記所定の計算式は、DataI1/DataI2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthである。
【0039】
上記式において、DataI1は第1電流データを表し、DataI2は第2電流データを表し、Vg1は第1データ電圧を表し、Vs1は第1ソース電極電圧を表し、Vg2は第2データ電圧を表し、Vs2は第2ソース電極電圧を表し、Vthは第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧を表す。
【0040】
具体的に、前記所定の計算式の導出過程は以下の通りである。駆動薄膜トランジスタの電流を表す公式Ids=K(V−V−Vthにおいて、Kは定数であり、即ち、第1データ電圧による駆動の下では、第2薄膜トランジスタを流れる電流Ids1は、Ids1=K(Vg1−Vs1−Vthとなり、第2データ電圧による駆動の下では、第2薄膜トランジスタを流れる電流Ids2は、Ids2=K(Vg2−Vs2−Vthとなる。ここで、二式を互いに割ることで、Ids1/Ids2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthが得られ、また、Ids1=DataI1×C/ΔT、Ids2=DataI2×C/ΔTであるため、DataI1/DataI2=(Vg1−Vs1−Vth/(Vg2−Vs2−Vthが得られる。
【0041】
本発明はさらに、ステップS5を含むことができる。ステップS5では、ステップS2からステップS4までのステップを複数回繰り返し、検出を複数回行なうことで、第2薄膜トランジスタT2の複数の閾値電圧を得ることができ、第2薄膜トランジスタT2の複数の閾値電圧の平均値を以って、最終的に第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧とする。当該ステップS5において、ステップS2からステップS4までのステップを複数回繰り返し、検出を複数回行なうことによって平均値を得る方法は、得られる第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧の精度をさらに向上させることができ、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧補償効果を改善し、OLEDの表示品質を高める。ここで特筆すべき点としては、複数回の検出を行なう過程において、通常、毎回の検出時にいずれも異なる第1データ電圧及び異なる第2データ電圧を用いることが必要となる。
【0042】
具体的には、本発明により検出された第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧を、第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧補償に用いることができる。検出により得られた第2薄膜トランジスタT2の閾値電圧がより正確であるため、補償効果はさらに向上し、OLEDの表示品質もより好ましいものとなる。
【0043】
以上により、本発明は、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧検出方法を提供するものである。当該方法においては、データ信号を配置して二つの異なるデータ電圧を供給することで、駆動薄膜トランジスタに二つの異なるゲート・ソース電極間電圧を生成させる。また、当該二つの異なるゲート・ソース電極間電圧の下で、駆動薄膜トランジスタを流れる電流を外部の検出処理回路により各々検出し、中央処理装置は二つのゲート・ソース電極間電圧、二つの電流データ及び駆動薄膜トランジスタの電流による公式から得られた計算式を用いて、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧を算出する。これにより、OLED表示器における各ピクセルに係る駆動薄膜トランジスタの閾値電圧を正確に得ることができ、OLED駆動薄膜トランジスタの閾値電圧補償効果が改善され、OLEDの表示品質を高めることができる。
【0044】
ここで、本技術分野における通常の技術者は、本発明の技術案及び技術概念に基づいて、その他各種の改変及び変形を実施することが可能であり、これら改変及び変形はいずれも、本発明で保護すべき特許請求の範囲に属する。
図1
図2