特許第6813812号(P6813812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6813812
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】エレベータ用制動装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/08 20060101AFI20201228BHJP
   F16D 55/28 20060101ALI20201228BHJP
   F16D 65/54 20060101ALI20201228BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20201228BHJP
   F16D 121/16 20120101ALN20201228BHJP
   F16D 121/22 20120101ALN20201228BHJP
   F16D 127/02 20120101ALN20201228BHJP
   F16D 129/08 20120101ALN20201228BHJP
【FI】
   B66B11/08 G
   F16D55/28 B
   F16D65/54 S
   F16D65/18
   F16D121:16
   F16D121:22
   F16D127:02
   F16D129:08
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-179399(P2019-179399)
(22)【出願日】2019年9月30日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古井 洋治
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−92094(JP,A)
【文献】 特開2018−131297(JP,A)
【文献】 特開2010−132449(JP,A)
【文献】 特開2008−291510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00−11/08
F16D 49/00−71/04
F16D 121:16
F16D 121:22
F16D 127:02
F16D 129:08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープが巻き掛けられる綱車と一体となって回転する回転体を制動するエレベータ用制動装置であって、
前記回転体に接する制動位置と前記回転体から離れる待機位置との間を移動可能となるように、前記回転体に対して可動な本体部と、
前記本体部と前記回転体を挟持する制動位置と前記回転体から離れる待機位置との間を移動可能となるように、挟持方向で前記本体部に対して可動な可動部と、
前記本体部を挟持方向に案内する本体案内部と、
前記本体部及び前記可動部を待機位置で保持させる保持部と、を備え、
前記保持部は、前記本体案内部に取り付けられる第1磁石部と、前記本体部又は前記可動部に取り付けられる第2磁石部と、を備える、エレベータ用制動装置。
【請求項2】
前記第1磁石部は、磁力によって、前記本体案内部に取り付けられ、
前記第1磁石部及び前記本体案内部間に生じる磁力は、前記第1磁石部及び前記第2磁石部間に生じる磁力よりも、大きい、請求項1に記載のエレベータ用制動装置。
【請求項3】
前記本体部又は前記可動部は、制動位置に位置する際に、前記第1磁石部を押す押し部を備え、
前記押し部が前記第1磁石部を押す力は、前記第1磁石部及び前記本体案内部間に生じる磁力よりも、大きい、請求項2に記載のエレベータ用制動装置。
【請求項4】
かごに接続されるロープが外周に巻き掛けられる綱車と、
前記綱車と一体となって回転する回転体と、
請求項1〜3の何れか1項に記載のエレベータ用制動装置と、を備えるエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ用制動装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータ用制動装置は、本体部と、本体部に対して可動な可動部とを備えており、本体部及び可動部は、綱車と一体となって回転する回転体を制動するために、回転体を挟持する。そして、本体部及び可動部は、回転体を挟持する制動位置と回転体から離れる待機位置との間を移動するように、構成されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、制動装置は、本体部及び可動部を保持する保持部を備えており、これにより、本体部及び可動部は、回転体から離れた待機位置で保持される。なお、特許文献1に係る制動装置においては、保持部は、バネを用いることによって、本体部及び可動部を保持している。ところで、最近、異なる機構を用いた保持部が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−214954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、磁力を用いることによって本体部及び可動部を待機位置で保持させることができるエレベータ用制動装置及びエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータ用制動装置は、ロープが巻き掛けられる綱車と一体となって回転する回転体を制動するエレベータ用制動装置であって、前記回転体に接する制動位置と前記回転体から離れる待機位置との間を移動可能となるように、前記回転体に対して可動な本体部と、前記本体部と前記回転体を挟持する制動位置と前記回転体から離れる待機位置との間を移動可能となるように、挟持方向で前記本体部に対して可動な可動部と、前記本体部を挟持方向に案内する本体案内部と、前記本体部及び前記可動部を待機位置で保持させる保持部と、を備え、前記保持部は、前記本体案内部に取り付けられる第1磁石部と、前記本体部又は前記可動部に取り付けられる第2磁石部と、を備える。
【0007】
また、エレベータ用制動装置においては、前記第1磁石部は、磁力によって、前記本体案内部に取り付けられ、前記第1磁石部及び前記本体案内部間に生じる磁力は、前記第1磁石部及び前記第2磁石部間に生じる磁力よりも、大きい、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータ用制動装置においては、前記本体部又は前記可動部は、制動位置に位置する際に、前記第1磁石部を押す押し部を備え、前記押し部が前記第1磁石部を押す力は、前記第1磁石部及び前記本体案内部間に生じる磁力よりも、大きい、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータは、かごに接続されるロープが外周に巻き掛けられる綱車と、前記綱車と一体となって回転する回転体と、前記のエレベータ用制動装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係るエレベータの概要図である。
図2図2は、同実施形態に係る巻上装置の概要図である。
図3図3は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図4図4は、図3のIV−IV線要部拡大断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態への移行状態を示す図である。
図6図6は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
図7図7は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態への移行状態を示す図である。
図8図8は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図9図9は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
図10図10は、他の実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図11図11は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態への移行状態を示す図である。
図12図12は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
図13図13は、さらに他の実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図14図14は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態への移行状態を示す図である。
図15図15は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
図16図16は、さらに他の実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図17図17は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態への移行状態を示す図である。
図18図18は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
図19図19は、さらに他の実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図20図20は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
図21図21は、さらに他の実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、制動状態を示す図である。
図22図22は、同実施形態に係る制動装置の概略縦断面図であって、待機状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、エレベータ及びエレベータ用制動装置における一実施形態について、図1図9を参照しながら説明する。なお、各図(図10図22も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータ1は、ユーザが乗るためのかご11と、一端部がかご11に接続されるロープ12と、ロープ12の他端部に接続される釣合錘13とを備えている。また、エレベータ1は、ロープ12を駆動してかご11を昇降させる巻上機2を備えており、巻上機2は、ロープ12が外周に巻き掛けられる回転可能な綱車21を備えている。
【0013】
本実施形態においては、ロープ12の一端部がかご11に固定され、ロープ12の他端部が釣合錘13に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、ロープ12の両端部がそれぞれ昇降路X1の上部に固定され、ロープ12がかご11のシーブ及び釣合錘13のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、ロープ12がかご11及び釣合錘13にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0014】
また、本実施形態に係るエレベータ1は、巻上機2を機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X2が備えられておらず、エレベータ1は、巻上機2を昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0015】
図2に示すように、巻上機2は、綱車21に回転駆動を与える電動機22と、綱車21を回転可能に支持する機枠23,23と、綱車21と一体となって回転する回転体24と、綱車21を制動するために、回転体24を制動する制動装置3とを備えている。また、巻上機2は、電動機22の駆動を綱車21に伝える軸部25を備え、機枠23は、軸部25を回転可能に支持することによって、綱車21を回転可能に支持している。
【0016】
なお、特に限定されないが、本実施形態においては、回転体24は、綱車21に連結されている。即ち、回転体24は、綱車21と一体的に形成されている。なお、例えば、回転体24が綱車21と離れており、綱車21及び回転体24がそれぞれ軸部25に連結されることによって、回転体24は、綱車21と一体となって回転する、という構成でもよい。
【0017】
図3に示すように、制動装置3は、回転体24に対して可動な本体部4と、本体部4に対して可動な可動部5と、可動部5を本体部4に対して可動させる動作部6とを備えている。そして、本体部4及び可動部5は、動作部6によって、回転体24を挟持する制動位置(図3参照)と、回転体24から離れる待機位置(図6参照)との間を移動可能に構成されている。
【0018】
本体部4は、制動位置に位置する際に、回転体24を挟持する本体挟持部41を備えており、可動部5は、制動位置に位置する際に、回転体24を挟持する可動挟持部51を備えている。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、挟持部41,51は、剛性を有するベース部41a,51aと、回転体24に接するパッド部41b,51bとを備えている。
【0019】
本体部4は、可動部5を支持する支持部42と、本体挟持部41と支持部42とを接続する接続部43とを備えている。そして、回転体24は、挟持方向D1で、本体挟持部41と支持部42との間に配置されている。なお、挟持方向D1とは、本体部4及び可動部5が回転体24を挟持する方向のことである。
【0020】
また、制動装置3は、本体部4を挟持方向D1に案内する本体案内部7を備えており、本体部4は、本体案内部7に案内される被案内部44を備えている。これにより、本体案内部7が本体部4を案内することによって、本体部4は、挟持方向D1で回転体24に対して可動である。したがって、本体部4は、挟持方向D1において、回転体24に近づいたり離れたりすることができる。
【0021】
本体案内部7は、挟持方向D1に延びており、巻上機2の機枠23(図2参照)に固定されている。なお、本体案内部7及び本体部4の被案内部44の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、本体案内部7は、機枠23から挟持方向D1に延びる長尺体としており、本体4の被案内部44は、本体案内部7に挿通される挿通孔としている。
【0022】
また、本体部4は、可動部5を挟持方向D1に案内する可動案内部45を備えており、可動部5は、可動案内部45に案内される被案内部52を備えている。これにより、可動案内部45が可動部5を案内することによって、可動部5は、挟持方向D1で本体部4に対して可動である。したがって、可動部5は、挟持方向D1において、回転体24に近づいたり離れたりすることができる。
【0023】
なお、特に限定されないが、可動案内部45は、本体部4の支持部42に備えられている。また、可動部5の被案内部52及び可動案内部45の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、可動部5の被案内部52は、可動挟持部51から挟持方向D1に延びる長尺体としており、可動案内部45は、可動部5の被案内部52に挿通される挿通孔としている。
【0024】
また、動作部6の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、動作部6は、可動部5が支持部42に近づくように、可動部5に力を加える第1加力部61と、可動部5が支持部42から離れるように、可動部5に力を加える第2加力部62とを備えている。
【0025】
例えば、可動部5は、磁性を有する磁性部53を備えており、第1加力部61は、支持部42の内部に配置される電磁コイルとすることができる。また、例えば、第2加力部62は、支持部42と可動部5(具体的には、可動挟持部51)との間に配置されるバネ体とすることができる。
【0026】
そして、例えば、第1加力部61は、電気が供給された際に、可動部5に力を加え、第2加力部62は、常時、圧縮弾性変形をすることで、可動部5に力を加えている。また、第1加力部61が可動部5に加える力は、第2加力部62が可動部5に加える力よりも、大きくなっている。なお、第1加力部61及び第2加力部62の構成は、特に限定されない。
【0027】
ところで、本体案内部7は、本体部4の移動を規制する部材(例えば、ストッパー等)を備えていないため、本体部4は、本体案内部7に対して挟持方向D1で自由である。そこで、制動装置3は、本体部4及び可動部5を待機位置で保持させる保持部8を備えている。
【0028】
保持部8は、本体案内部7に取り付けられる第1磁石部81と、可動部5に取り付けられる第2磁石部82とを備えている。なお、第1磁石部81及び第2磁石部82は、互いの間で磁力が発生するように、それぞれ配置されている。
【0029】
そして、本体部4が挟持方向D1に移動したり、可動部5が挟持方向D1に移動したりすることによって、第1磁石部81に対する第2磁石部82の挟持方向D1の位置が、変化する。なお、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置が安定した位置となるように、保持部8は、第1磁石部81及び第2磁石部82間に生じる磁力によって、本体部4及び可動部5を移動させる。
【0030】
第1磁石部81と第2磁石部82とは、挟持方向D1と直交する方向、即ち、上下方向D3で対面するように、配置されている。そして、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、吸引する磁力である。したがって、第1磁石部81及び第2磁石部82にとって最も安定する位置は、挟持方向D1において、第1磁石部81の中心と第2磁石部82の中心とが一致する位置である。
【0031】
また、本体案内部7は、磁性を有しており、第1磁石部81は、磁力によって、本体案内部7に取り付けられている。これにより、第1磁石部81は、本体案内部7に対して変位可能である。したがって、本体案内部7に対する第1磁石部81の位置を変位することによって、例えば、本体部4及び可動部5の待機位置の位置を調整することができる。
【0032】
なお、第1磁石部81及び本体案内部7間に生じる磁力は、第1磁石部81及び第2磁石部82間に生じる磁力よりも、大きくなっている。したがって、第1磁石部81に対して第2磁石部82が移動することに伴って、本体案内部7に対する第1磁石部81の位置がずれることを抑制することができる。
【0033】
また、可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部54を備えている。そして、押し部54が第1磁石部81を押す力は、第1磁石部81及び本体案内部7間に生じる磁力よりも、大きくなっている。具体的には、動作部6が可動部5に加える力は、第1磁石部81及び本体案内部7間に生じる磁力よりも、大きくなっている。
【0034】
これにより、押し部54が第1磁石部81を押すため、例えば、パッド部41b,51bが摩耗し、本体部4又は可動部5の制動位置が変化することに伴って、第1磁石部81は、本体案内部7に対して変位する。したがって、本体案内部7に対する第1磁石部81の位置を変位させることができる。
【0035】
なお、第2磁石部82が可動部5に取り付けられる構成は、第2磁石部82が可動部5に不動に固定されていれば、特に限定されない。例えば、第2磁石部82は、別部材の固定具によって、可動部5に不動に固定されている、という構成でもよく、また、例えば、磁力によって、可動部5に不動に固定されている、という構成でもよい。
【0036】
また、図4に示すように、制動装置3は、第1磁石部81を挟持方向D1に案内する磁石案内部9を備えている。これにより、押し部54が第1磁石部81を押すことによって、第1磁石部81は、挟持方向D1で本体案内部7に対して可動である。なお、磁石案内部9の構成は、特に限定されないが、本実施形態においては、磁石案内部9は、本体案内部7から下方に突出し、挟持方向D1に延びている。
【0037】
本実施形態に係るエレベータ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る制動装置3の動作について、図3及び図5図7を参照しながら説明する。
【0038】
まず、第1加力部61への通電が停止されている際には、第2加力部62の力だけが可動部5に加えられるため、可動挟持部51は、支持部42から離れる。そして、第1加力部61への通電が所定時間を超えて停止されている際には、図3に示すように、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置する。このとき、挟持部41,51は、第2加力部62の力によって、回転体24を挟持している。
【0039】
そして、第1加力部61への通電が実施された際には、第1加力部61の力が、第2加力部62の力よりも大きいため、図5に示すように、可動部5が支持部42に近づくように(図5における左方向に)移動し、その後、可動挟持部51は、支持部42に接する。
【0040】
このとき、第1磁石部81及び第2磁石部82の挟持方向D1の位置がずれているため、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置は、安定した位置ではない。また、第1磁石部81と第2磁石部82とが、上下方向D3視で重なっており、近傍に配置されているため、第1磁石部81と第2磁石部82との間には、大きな磁力が生じている。
【0041】
したがって、第1磁石部81及び第2磁石部82間の吸引する磁力によって、図6に示すように、本体部4及び可動部5は、挟持方向D1(図6における右方向)に移動する。そして、第1磁石部81及び第2磁石部82の挟持方向D1の位置が一致することによって、即ち、第1磁石部81及び第2磁石部82にとって最も安定する位置で、本体部4及び可動部5は、保持される。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24から離れる待機位置で保持される。
【0042】
なお、本体部4の挟持方向D1の移動を規制する部材が設けられておらず、本体部4が、本体案内部7に対して挟持方向D1で自由である。これにより、例えば、回転体24が揺動することによって、回転体24がパッド部41b,51bに衝突し場合には、それに伴って、本体部4及び可動部5が挟持方向D1に移動する。したがって、第1磁石部81及び第2磁石部82間に生じる磁力程度の力が、回転体24に加わるだけであるため、回転体24及びパッド部41b,51bが損傷することを抑制することができる。
【0043】
その後、第1加力部61への通電が停止された際には、図7に示すように、可動挟持部51は、支持部42から離れるように(図7の右方向に)、移動する。そして、可動部5が回転体24に当たった後も、第2加力部62の力が可動部5に加えられるため、図3に示すように、支持部42は、可動挟持部51からさらに離れるように(図7の左方向に)移動する。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置する。
【0044】
ところで、可動部5が制動位置に位置する際に、押し部54は、第1磁石部81を押している。そして、図8に示すように、例えば、可動挟持部51のパッド部51bが摩耗した場合には、第1磁石部81は、パッド部51bが挟持方向D1に摩耗した厚みの距離だけ、本体案内部7に対して挟持方向D1に移動している。
【0045】
図8においては、パッド部51bが、初期(図3及び図5図7参照)の厚みの50%が摩耗された状態を示している。したがって、図8においては、第1磁石部81は、初期(図3参照)の位置に対して、パッド部51bの初期の厚みの50%の距離を、本体案内部7に対して挟持方向D1(図8においては、右方向)に移動している。
【0046】
これにより、図9に示すように、パッド部51bが摩耗した場合の、待機位置の可動挟持部51と回転体24との離間距離W1は、パッド部51bが摩耗していない初期の場合の、当該距離W1(図6参照)と同じになる。したがって、可動挟持部51のパッド部51bが摩耗することに関わらず、当該距離W1を一定にすることができる。
【0047】
なお、待機位置の可動挟持部51と回転体24との離間距離W1とは、本体部4及び可動部5が待機位置に位置した際に、可動挟持部51と回転体24とが挟持方向D1で離れる距離W1のことである。また、本体部4及び可動部5が待機位置に位置した際に、本体挟持部41と回転体24とが挟持方向D1で離れる距離W2は、待機位置の本体挟持部41と回転体24との離間距離W2という。
【0048】
以上より、本実施形態に係るエレベータ1は、かご11に接続されるロープ12が外周に巻き掛けられる綱車21と、前記綱車21と一体となって回転する回転体24と、エレベータ用制動装置3と、を備える。
【0049】
そして、本実施形態に係るエレベータ用制動装置3は、ロープ12が巻き掛けられる綱車21と一体となって回転する回転体24を制動するエレベータ用制動装置3であって、前記回転体24に接する制動位置と前記回転体24から離れる待機位置との間を移動可能となるように、前記回転体24に対して可動な本体部4と、前記本体部4と前記回転体24を挟持する制動位置と前記回転体24から離れる待機位置との間を移動可能となるように、挟持方向D1で前記本体部4に対して可動な可動部5と、前記本体部4を挟持方向D1に案内する本体案内部7と、前記本体部4及び前記可動部5を待機位置で保持させる保持部8と、を備え、前記保持部8は、前記本体案内部7に取り付けられる第1磁石部81と、前記本体部4又は前記可動部5(本実施形態においては、可動部5)に取り付けられる第2磁石部82と、を備える。
【0050】
斯かる構成によれば、第1磁石部81は、本体案内部7に取り付けられ、第2磁石部82は、本体部4又は可動部5に取り付けられる。これにより、第1磁石部81及び第2磁石部82間で磁力が発生するため、本体部4及び可動部5は、当該磁力によって待機位置で保持される。したがって、磁力を用いることによって本体部4及び可動部5を待機位置で保持させることができる。
【0051】
また、本実施形態に係るエレベータ用制動装置3においては、前記第1磁石部81は、磁力によって、前記本体案内部7に取り付けられ、前記第1磁石部81及び前記本体案内部7間に生じる磁力は、前記第1磁石部81及び前記第2磁石部82間に生じる磁力よりも、大きい、という構成である。
【0052】
斯かる構成によれば、第1磁石部81が、磁力によって本体案内部7に取り付けられているため、本体案内部7に対する第1磁石部81の位置を変位させることができる。一方で、第1磁石部81及び本体案内部7間に生じる磁力が、第1磁石部81及び第2磁石部82間に生じる磁力よりも、大きいため、第1磁石部81に対して第2磁石部82が移動することに伴って、本体案内部7に対する第1磁石部81の位置がずれることを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態に係るエレベータ用制動装置3においては、前記本体部4又は前記可動部5(本実施形態においては、可動部5)は、制動位置に位置する際に、前記第1磁石部81を押す押し部54を備え、前記押し部54が前記第1磁石部81を押す力は、前記第1磁石部81及び前記本体案内部7間に生じる磁力よりも、大きい、という構成である。
【0054】
斯かる構成によれば、本体部4又は可動部5が制動位置に位置する際に、押し部54は、第1磁石部81を押している。このとき、押し部54が第1磁石部81を押す力が、第1磁石部81及び本体案内部7間に生じる磁力よりも、大きいため、本体部4又は可動部5の制動位置が変化することに伴って、本体案内部7に対する第1磁石部81の位置を変位させることができる。
【0055】
なお、エレベータ1及びエレベータ用制動装置3は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及びエレベータ用制動装置3は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0056】
(1)上記実施形態に係る制動装置3においては、第1磁石部81は、本体案内部7に対して可動である、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、第1磁石部81は、本体案内部7に不動に固定されている、という構成である。例えば、第1磁石部81は、別部材の固定具によって、本体案内部7に不動に固定されている、という構成でもよく、また、例えば、磁力によって、本体案内部7に不動に固定されている、という構成でもよい。
【0057】
(2)また、上記実施形態に係る制動装置3においては、可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部54を備えている、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、本体部4及び可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81から離れている、即ち、押し部54を備えていない、という構成でもよい。
【0058】
(3)また、上記実施形態に係る制動装置3においては、本体案内部7は、本体部4の移動を規制する部材(例えば、ストッパー等)を備えていない、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、本体案内部7は、本体部4の移動を規制する規制部を備えている、という構成でもよい。
【0059】
斯かる構成によれば、例えば、本体部4は、制動位置に位置する際に、規制部に止められた所定の位置(同じ位置)とすることができる。なお、特に限定されないが、規制部は、本体部4が制動位置に位置する際に、例えば、本体部4の本体挟持部41(例えば、ベース部41a)を止める、という構成とすることもでき、また、例えば、支持部42を止める、という構成とすることもできる。
【0060】
(4)また、上記実施形態に係る制動装置3においては、第2磁石部82は、可動部5に取り付けられている、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、図10図12及び図16図22に示すように、第2磁石部82は、本体部4に取り付けられている、という構成でもよい。
【0061】
(5)また、上記実施形態に係る制動装置3においては、可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部54を備えている、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、図10図12及び図16図18に示すように、本体部4は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部46を備えている、という構成でもよい。
【0062】
(6)また、上記実施形態に係る制動装置3においては、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、吸引する磁力である、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、図13図18及び図21図22に示すように、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、反発する磁力である、という構成でもよい。
【0063】
(7)また、上記実施形態に係る制動装置3においては、第1磁石部81と第2磁石部82とは、上下方向D3(挟持方向D1と直交する方向)で対面するように、配置されている、という構成である。しかしながら、制動装置3は、斯かる構成に限られない。例えば、図19図22に示すように、第1磁石部81と第2磁石部82とは、挟持方向D1で対面するように、配置されている、という構成でもよい。
【0064】
(8〜12)なお、以下に、図10図22の各制動装置3の構成について、説明する。
【0065】
(8)図10図12に係る制動装置3においては、第2磁石部82は、本体部4に取り付けられている。そして、本体部4は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部46を備えている。また、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、吸引する磁力である。さらに、第1磁石部81と第2磁石部82とは、上下方向D3で対面するように、配置されている。
【0066】
斯かる構成においては、第1加力部61への通電が所定時間停止されることによって、図10に示すように、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置している。このとき、本体部4及び可動部5は、挟持部41,51で回転体24を挟持しており、また、本体部4の押し部46は、第1磁石部81を押している。
【0067】
そして、第1加力部61への通電が実施されることによって、図11に示すように、可動部5が支持部42に近づくように(図11における左方向に)移動し、その後、可動挟持部51は、支持部42に接する。このとき、第1磁石部81及び第2磁石部82の挟持方向D1の位置がずれているため、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置は、安定した位置ではない。また、第1磁石部81と第2磁石部82とが、上下方向D3視で重なっており、近傍に配置されているため、第1磁石部81と第2磁石部82との間には、大きな磁力が生じている。
【0068】
したがって、第1磁石部81及び第2磁石部82間の吸引する磁力によって、図12に示すように、本体部4及び可動部5は、挟持方向D1(図12における右方向)に移動する。そして、第1磁石部81及び第2磁石部82の挟持方向D1の位置が一致することで、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置が安定するため、本体部4及び可動部5は、保持される。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24から離れる待機位置で保持される。
【0069】
なお、本体部4が制動位置に位置する際に、押し部46が第1磁石部81を押しているため、第1磁石部81は、本体挟持部41のパッド部41bが挟持方向D1に摩耗した厚みの距離を、本体案内部7に対して挟持方向D1(図12において、左方向)に移動している。これにより、本体挟持部41のパッド部41bが摩耗することに関わらず、待機位置の本体挟持部41と回転体24との離間距離W2を一定にすることができる。
【0070】
(9)図13図15に係る制動装置3においては、第2磁石部82は、可動部5に取り付けられている。そして、可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部54を備えている。また、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、反発する磁力である。さらに、第1磁石部81と第2磁石部82とは、上下方向D3で対面するように、配置されている。
【0071】
斯かる構成においては、第1加力部61への通電が所定時間停止されることによって、図13に示すように、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置している。このとき、本体部4及び可動部5は、挟持部41,51で回転体24を挟持しており、また、可動部5の押し部54は、第1磁石部81を押している。
【0072】
そして、第1加力部61への通電が実施されることによって、図14に示すように、可動部5が支持部42に近づくように(図14における左方向に)移動し、その後、可動挟持部51は、支持部42に接する。このとき、第1磁石部81及び第2磁石部82が上下方向D3で重なっているため、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置は、安定した位置ではない。また、第1磁石部81と第2磁石部82とが、上下方向D3視で重なっており、近傍に配置されているため、第1磁石部81と第2磁石部82との間には、大きな磁力が生じている。
【0073】
したがって、第1磁石部81及び第2磁石部82間の反発する磁力によって、図15に示すように、本体部4及び可動部5は、挟持方向D1(図15における右方向)に移動する。そして、第1磁石部81及び第2磁石部82が上下方向D3で重ならない位置で、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置が安定するため、本体部4及び可動部5は、保持される。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24から離れる待機位置で保持される。
【0074】
なお、可動部5が制動位置に位置する際に、押し部54が第1磁石部81を押しているため、第1磁石部81は、可動挟持部51のパッド部51bが挟持方向D1に摩耗した厚みの距離を、本体案内部7に対して挟持方向D1(図15において、右方向)に移動している。これにより、可動挟持部51のパッド部51bが摩耗することに関わらず、待機位置の可動挟持部51と回転体24との離間距離W1を一定にすることができる。
【0075】
(10)図16図18に係る制動装置3においては、第2磁石部82は、本体部4に取り付けられている。そして、本体部4は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部46を備えている。また、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、反発する磁力である。さらに、第1磁石部81と第2磁石部82とは、上下方向D3で対面するように、配置されている。
【0076】
斯かる構成においては、第1加力部61への通電が所定時間停止されることによって、図16に示すように、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置している。このとき、本体部4及び可動部5は、挟持部41,51で回転体24を挟持しており、また、本体部4の押し部46は、第1磁石部81を押している。
【0077】
そして、第1加力部61への通電が実施されることによって、図17に示すように、可動部5が支持部42に近づくように(図17における左方向に)移動し、その後、可動挟持部51は、支持部42に接する。このとき、第1磁石部81及び第2磁石部82が上下方向D3で重なっているため、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置は、安定した位置ではない。また、第1磁石部81と第2磁石部82とが、上下方向D3視で重なっており、近傍に配置されているため、第1磁石部81と第2磁石部82との間には、大きな磁力が生じている。
【0078】
したがって、第1磁石部81及び第2磁石部82間の反発する磁力によって、図18に示すように、本体部4及び可動部5は、挟持方向D1(図18における右方向)に移動する。そして、第1磁石部81及び第2磁石部82が上下方向D3で重ならない位置で、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置が安定するため、本体部4及び可動部5は、保持される。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24から離れる待機位置で保持される。
【0079】
なお、本体部4が制動位置に位置する際に、押し部46が第1磁石部81を押しているため、第1磁石部81は、本体挟持部41のパッド部41bが挟持方向D1に摩耗した厚みの距離を、本体案内部7に対して挟持方向D1(図18において、左方向)に移動している。これにより、本体挟持部41のパッド部41bが摩耗することに関わらず、待機位置の本体挟持部41と回転体24との離間距離W2を一定にすることができる。
【0080】
(11)図19及び図20に係る制動装置3においては、第2磁石部82は、本体部4に取り付けられている。そして、可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部54を備えている。また、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、吸引する磁力である。さらに、第1磁石部81と第2磁石部82とは、挟持方向D1で対面するように、配置されている。
【0081】
斯かる構成においては、第1加力部61への通電が所定時間停止されることによって、図19に示すように、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置している。このとき、本体部4及び可動部5は、挟持部41,51で回転体24を挟持しており、また、可動部5の押し部54は、第1磁石部81を押している。
【0082】
そして、第1加力部61への通電が実施されることによって、可動部5は、支持部42に近づくように(図19及び図20における左方向に)移動し、支持部42に接する。その後、第1磁石部81及び第2磁石部82間の吸引する磁力によって、本体部4及び可動部5は、挟持方向D1(図19及び図20における右方向)に移動する。
【0083】
そして、図20に示すように、第2磁石部82が第1磁石部81に接することで、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置が安定するため、本体部4及び可動部5は、保持される。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24から離れる待機位置で保持される。
【0084】
なお、可動部5が制動位置に位置する際に、押し部54が第1磁石部81を押しているため、第1磁石部81は、可動挟持部51のパッド部51bが挟持方向D1に摩耗した厚みの距離を、本体案内部7に対して挟持方向D1(図19及び図20において、右方向)に移動している。これにより、可動挟持部51のパッド部51bが摩耗することに関わらず、待機位置の可動挟持部51と回転体24との離間距離W1を一定にすることができる。
【0085】
(12)図21及び図22に係る制動装置3においては、第2磁石部82は、本体部4に取り付けられている。そして、可動部5は、制動位置に位置する際に、第1磁石部81を押す押し部54を備えている。また、第1磁石部81と第2磁石部82との間に働く磁力は、反発する磁力である。さらに、第1磁石部81と第2磁石部82とは、挟持方向D1で対面するように、配置されている。
【0086】
斯かる構成においては、第1加力部61への通電が所定時間停止されることによって、図21に示すように、本体部4及び可動部5は、回転体24を挟持する制動位置に位置している。このとき、本体部4及び可動部5は、挟持部41,51で回転体24を挟持しており、また、可動部5の押し部54は、第1磁石部81を押している。
【0087】
そして、第1加力部61への通電が実施されることによって、可動部5は、支持部42に近づくように(図21及び図22における左方向に)移動し、支持部42に接する。その後、第1磁石部81及び第2磁石部82間の反発する磁力によって、本体部4及び可動部5は、挟持方向D1(図21及び図22における右方向)に移動する。
【0088】
そして、図22に示すように、第2磁石部82が第1磁石部81から所定距離だけ離れることで、第1磁石部81に対する第2磁石部82の位置が安定するため、本体部4及び可動部5は、保持される。これにより、本体部4及び可動部5は、回転体24から離れる待機位置で保持される。
【0089】
なお、可動部5が制動位置に位置する際に、押し部54が第1磁石部81を押しているため、第1磁石部81は、可動挟持部51のパッド部51bが挟持方向D1に摩耗した厚みの距離を、本体案内部7に対して挟持方向D1(図21及び図22において、右方向)に移動している。これにより、可動挟持部51のパッド部51bが摩耗することに関わらず、待機位置の可動挟持部51と回転体24との離間距離W1を一定にすることができる。
【符号の説明】
【0090】
1…エレベータ、2…巻上機、3…制動装置、4…本体部、5…可動部、6…動作部、7…本体案内部、8…保持部、9…磁石案内部、11…かご、12…ロープ、13…釣合錘、21…綱車、22…電動機、23…機枠、24…回転体、25…軸部、41…本体挟持部、41a…ベース部、41b…パッド部、42…支持部、43…接続部、44…被案内部、45…可動案内部、46…押し部、51…可動挟持部、51a…ベース部、51b…パッド部、52…被案内部、53…磁性部、54…押し部、61…第1加力部、62…第2加力部、81…第1磁石部、82…第2磁石部、D1…挟持方向、D3…上下方向、X1…昇降路、X2…機械室
【要約】      (修正有)
【課題】磁力を用いることによって本体部及び可動部を待機位置で保持させることができるエレベータ用制動装置を提供する。
【解決手段】エレベータ用制動装置は、本体部4及び可動部5を待機位置で保持させる保持部8を備え、保持部8は、本体案内部7に取り付けられる第1磁石部81と、本体部4又は可動部5に取り付けられる第2磁石部82と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22