特許第6813842号(P6813842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6813842イベント用マスク、検出装置、サーバー、イベントの入場許否処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6813842
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】イベント用マスク、検出装置、サーバー、イベントの入場許否処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/28 20200101AFI20201228BHJP
【FI】
   G07C9/28
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-135589(P2020-135589)
(22)【出願日】2020年8月11日
【審査請求日】2020年8月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520302785
【氏名又は名称】株式会社アールアールジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】橋満 克文
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−128976(JP,A)
【文献】 特開2005−078222(JP,A)
【文献】 特表2010−516298(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/046127(WO,A1)
【文献】 特開2010−217999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントへの入場者の入場許否を処理する方法であって、
予め前記入場者に提供されたマスクであって前記イベントへの入場許可情報を含んでおりカメラを用いた読み取り可能な情報記録部を有する当該マスクを前記イベントの会場において着用した前記入場者に対し、当該入場者の顔に向けられた携帯型の検出装置のカメラによって前記マスクの前記情報記録部の前記入場許可情報が読み取られるとともに前記検出装置の非接触型温度センサによって前記入場者の顔から前記入場者の体温が測定される第1ステップと、
前記入場許可情報と前記体温の測定結果とに基づいて前記入場者の入場許否を示す情報が前記検出装置の報知部により報知される第2ステップと、
を含み、
前記情報記録部は、前記マスクの正面に設けられる一次元コード、二次元コード、ブロックコード又は絵文字の何れかの印刷パターンであり、
前記第1ステップでは、前記検出装置に対する1つの操作に対応して前記入場許可情報の読み取りと前記体温の測定の何れも実行される、
イベントの入場許否処理方法。
【請求項2】
前記情報記録部は、前記印刷パターンを前記マスクの正面に印刷したものである、
請求項1に記載のイベントの入場許否処理方法
【請求項3】
前記情報記録部は、前記印刷パターンに対応するシールを前記マスクの正面に貼り付けたものである、
請求項1に記載のイベントの入場許否処理方法
【請求項4】
前記入場許可情報は、前記入場者の連絡先と当該入場者の名前とを含む、
請求項1〜3の何れか1項に記載のイベントの入場許否処理方法
【請求項5】
前記第1ステップで前記検出装置により読み取られた前記入場許可情報及び前記検出装置により測定された前記体温が前記検出装置からサーバーへ送られ、当該サーバーにおいて前記入場許可情報及び前記体温を含む入場者データベースが作成される第3ステップ、
を更に含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の入場許否処理方法
【請求項6】
前記印刷パターンは、前記マスクの正面中央領域の上部において、鼻に当てる部分の脇の領域に設けられる、
請求項1〜5の何れか1項に記載の入場許否処理方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種イベント会場や乗物等の所定の場所に立ち入る際に使用して便利なマスク等に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートホール、展示会会場、スーパーマーケット、会社建物等の人が集まる場所では、感染予防の対策が求められている。例えば、人との接触を避け、対人距離を確保すること、感染防止のために入場者が密にならないように整理、発熱またはその他の感冒様症状を呈している者の入場制限、入口及び施設内の手指の消毒設備の設置、従業員及び入場者のマスクの着用、発熱者を体温計などで特定し入場を制限すること、感染が発生した場合に備え、個人情報の取扱に十分注意しながら入場者等の名簿を適正に管理すること、等である。
【0003】
このような感染防止対策の先行技術として、非接触で患者の体温を測定する装置として特開2005−237861号公報に記載の自動検温装置および自動検温方法(特許文献1)、非接触で人の顔の複数の部位の体温を測定する特開2019−126657号公報に記載の検出装置及び検出プログラム(特許文献2)がある。これ等の装置は所定の効果が得られるものであるが、プログラムが複雑で装置システムが大型化しているので設置できる場所が限られ、設置にも手間と費用が掛かる。コンサート、映画、自動車展示会、演奏、美術展等の各種イベントでは、多数のイベント会場が使用されており、イベント期間も比較的に短い。このため各イベント会場に大型の自動検温装置や検出装置をイベント主催者や場所の提供者が設置することは難しい。イベントの主催者は、上述のようにイベント会場において各種のウィルス等の感染予防対策を講ずることが求められている。例えば、イベント会場では、入場券発行、入場券の確認、入場者のマスク着用確認、体温検出、入場者名簿の作成等を比較的に安価な費用で迅速に行わなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−237861号公報
【特許文献2】特開2019−126657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、比較的に簡易な構成で入場者の入場券及びマスク着用確認を可能とするマスクを提供することを目的の1つとする。
本発明の一態様は、当該マスクを使用して入場者の入場券の確認、体温検出、入場者名簿の作成等を容易にする検出装置を提供することを目的の1つとする。
また、本発明の一態様は、検出装置による検出結果のデータベースを構築可能なサーバーを提供することを目的の1つとする。
また、本発明の一態様は、上記マスクを使用してイベントの入場許否を容易に処理し得る方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様のイベントの入場許否処理方法は、(a)イベントへの入場者の入場許否を処理する方法であって、(b)予め前記入場者に提供されたマスクであって前記イベントへの入場許可情報を含んでおりカメラを用いた読み取りが可能な情報記録部を有する当該マスクを前記イベントの会場において着用した前記入場者に対し、当該入場者の顔に向けられた携帯型の検出装置のカメラによって前記マスクの前記情報記録部の前記入場許可情報が読み取られるとともに前記検出装置の非接触型温度センサによって前記入場者の顔から前記入場者の体温が測定される第1ステップと、(c)前記入場許可情報と前記体温の測定結果とに基づいて前記入場者の入場許否を示す情報が前記検出装置の報知部により報知される第2ステップと、を含み、(d)前記情報記録部は、前記マスクの正面に設けられる一次元コード、二次元コード、ブロックコード又は絵文字の何れかの印刷パターンであり、(e)前記第1ステップでは、前記検出装置に対する1つの操作に対応して前記入場許可情報の読み取りと前記体温の測定の何れも実行される、イベントの入場許否処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、マスクをイベントの入場券として使用することが可能となるので、イベント来場者はイベント会場に入場する際にマスクを必ず持参することになる。更に、マスクの情報から入場者のデータベースを作ることを容易にする。また、上記構成によれば、上記マスクを着用した入場者から体温とマスクの情報を非接触で検出してこれを可視的に表示することができるので、イベント主催者や従業員は入場整理が容易となる。また、入場者に関連する情報と入場者の体温とを関連づけてデータベース化するので、入場者データベースの形成やイベント後の連絡等が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は一実施形態のマスクと検出装置を使用した入場管理の例を説明する説明図である。
図2図2は一実施形態のマスクの例を説明する説明図である。
図3図3は一実施形態の検出器を正面側から見た例を説明する説明図である。
図4図4は一実施形態の検出器を背面側から見た例を説明する説明図である。
図5図5は一実施形態の検検出器のLCD表示器の表示例を説明する説明図である。
図6図6は検出器の構成例を説明する説明図である。
図7図7は検出器の動作例1を説明する説明図である。
図8図8は検出器の動作例2を説明する説明図である。
図9図9は入場者データベースの例を説明する説明図である。
図10図10は検出器の動作例3を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図5は、一実施形態のマスクと検出器(検出装置)を使用した入場管理(入場許否処理方法)の例を説明する説明図である。図1は一実施形態のマスクと検出装置(検出器)の概要、図2はイベント用マスクの例、図3及び図4は検出器(検出装置)の例、図5は検出器(検出装置)の表示例を示している。
【0010】
図1(A)に示すように、イベントの参加者は会場への入場の際に係員による入場チェックを受ける。イベント会場に入場する者(以下、「入場者」という。)は、イベント用のマスク10を持参し、着用するように求められている。マスク10は、イベントチケット購入の際にチケット販売の窓口においてチケット(紙券)の代わりにあるいはチケットとして予め入場者に提供される。また、ウェブなどによるネット販売の場合には郵送、宅配、コンビニ等によって予め入場者に提供される。なお、図示のマスク10に代えて、後述の情報記録部13に相当する機能を持つ印刷シールを提供し、各自所有のマスクの所定位置に貼り付けさせるようにしてしてもよい。これらのいずれかの方法により、マスク10を予め入場者に入手させることができる。
【0011】
図2に示すように、マスク10は口及び鼻の部分を覆う横長の長方形状の本体部11とこの本体部11の両側それぞれ設けられた耳当て部12を備える。そして、本体部11の正面中央領域の上部において、鼻に当てる部分の脇の領域に情報が記録された情報記録部13が設けられている。情報記録部13は、例えば、入場券情報(入場許可情報)などが記録された印刷パターン(一次元コードや二次元コード)によって形成されている。例えば、記録領域が一方向に延在する一次元コードとしてはバーコード、記録領域が二方向に延在する二次元コードとしてはQRコード(QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標)等を使用することができるが、これに限定されない。読み取り可能であれば各種のブロックコードや絵文字などであってもよい。
【0012】
情報記録部13の情報(入場許可情報)は、好ましくはチケット(紙券)に表示される情報、例えば、イベントの名称やイベントを表す番号・符号、イベントの日時、チケットに付されたチケット番号や符号、座席番号等を適宜に含む。この場合には予め当該情報をデジタルコードで情報記録部13に印刷した(一般向けの)イベント用マスクを多数用意することができる。
【0013】
また、当該イベントの入場券がウェブ等の予約販売等である場合には、予約受付の際に所定事項の書込みによってチケット購入者(入場予定者)に関する情報が判る。そして、チケットに表示される情報に加えて、更に、チケット購入者の番号、チケット購入日、チケット購入者の名前、連絡先の住所・電話番号等が入場券情報として図示しない予約サーバーに記憶される。このような予約者に関する情報を入場券情報の一部として情報記録部13に記録したマスクをチケット購入者毎に作成することができる。チケット購入者毎の(個性化された)イベント用マスクを郵送等の手段によって当該購入者に提供することができる。なお、マスクに貼着可能な印刷シールに当該情報を印刷したものをチケット購入者に提供するようにしてもよい。
【0014】
図1(A)に示すように、入場者チェックの際にマスク10に記録された情報記録部13が検出器20aによって読み取られる。検出器20aは図3に示す検出器20と同様の外観の携帯型装置であり、例えば、係員がQRコードで記録された印刷パターンに検出器20aのカメラを向けて入場券情報を読み取らせる。検出器20aは入場券情報の所定部分から入場の適正(許否)を判別し、判別結果を検出器20aの表示器に表示する。読み取り情報、判別結果は検出器20aの内蔵のメモリに記憶することができる。また、読み取り情報を外部のサーバー30に送り、サーバー30に入場の適正を判別させ、判別結果を検出器20aに返信させて検出器20aの表示器に表示するようにしてもよい。サーバー30は検出器20aと有線又は無線で接続されたパソコンやネットワーク上のサーバーであってもよい。係員は検出器20aに表示された判別結果に基づいて入場者の入場の可否を決定する。
【0015】
この結果、イベント用マスクを利用した入場券発行、入場券の確認、入場者のマスク着用確認、入場者に関連した名簿リストの作成等を比較的に安価な費用で迅速に行うことが可能となる。
【0016】
図1(B)に示す他の例では、図1(A)に示した入場の際にマスクの情報をチェックする例に対して、さらに入場者の体温測定を追加した点が異なっている。他の構成は図1(A)の例と同様である。この例では図3及び図4に示すように、検出器20は携帯型の装置であり、非接触型温度センサ23とCCDカメラ22を備えている。例えば赤外線センサや温度カメラを非接触型温度センサ23として使用することが可能である。赤外線センサは比較的に狭い領域の温度測定に好適であり、顔の一部(例えば額)の体温を測定することができる。温度カメラは画像の温度分布を計測可能である。CCDカメラ22と図示しない認識アルゴリズム(プログラム)によって画像認識部を構成し、マスク10の情報記録部13に記録された情報を読み取る。
【0017】
係員が入場チェックを行う場合、検出器20の電源スイッチ24をオンにして、CCDカメラ22を入場者の顔に向け、開始スイッチ21を操作する。それにより、CCDカメラ22から入場者の顔の画像が取り込まれ、画像認識によって読み取り画像からマスク10の情報記録部13が検出され、記録された情報が復号化される。また、それと同時に非接触型温度センサ23で入場者の所定部位の体温が測定される。検出器20は復号化された情報の所定部分から入場の適正を判別し、判別結果を検出器20のLCD表示器27に表示する。
【0018】
図5は係員による検出器20のカメラ撮影画像をLCD表示器27に表示した例を示しており、入場者の顔が表示されている。係員はCCDカメラ22の向きを調整して画面中央部に示されるマーカー27aを表示された顔の体温測定位置に重ね、また入場者とCCDカメラ22との距離を調整して顔全体が表示画面内に収まるようにする。そして、係員が開始スイッチ21を操作すると、体温測定とマスク10の情報記録部13からの情報の読み取りが行われる。読み取りが終わると判定が行われる。判定結果は、例えばLCD表示器27を報知部として用いて、そのバックライトの色によって表すことができる。例えば入場禁止の場合は「赤色」、要注意の場合は「黄色」、入場許可の場合は「緑色」とする。判定後、画面には、顔の画像に加えて、検査の日付、入場券情報の一部、測定された体温などが表示される。なお、LCD表示機27のバックライトの色表現による報知に代えて、あるいはバックライトの色表現と合わせて入場許否を示す文字や記号などの情報による報知としてもよい。
【0019】
この実施形態においても、読み取り情報、体温、判別結果は検出器20の内蔵のメモリに記憶することができる。また、係員が転送スイッチ25を操作して(あるいは自動的に)読み取り情報を外部のサーバー30に送り、サーバー30で入場の適正を判別し、判別結果を検出器20に返信して検出器20のLCD表示器27に判別結果を表示するようにしてもよい。サーバー30は検出器20と有線又は無線で接続されたパソコンやネットワーク上のサーバーであってもよい。係員は検出器20に表示された判別結果に基づいて入場者の入場の可否を決定する。係員の作業(検温および情報記録部の読み取り)は入場者一人に対してその顔へ検出器20を一回向けるだけで済むので作業が効率的である。
【0020】
この結果、イベント用マスクを利用した入場券発行、入場券の確認、入場者のマスク着用確認、入場者の体温測定、入場者に関連した名簿リストの作成等を比較的に安価な費用で迅速に行うことが可能となる。
【0021】
図6は、検出器(検出装置)20の構成例を説明する説明図である。同図に示されるように、検出器20の制御系は、既述した、計測を指令する信号を出力する開始スイッチ21、顔の画像を撮影するCCDカメラ22、皮膚表面の温度(体温)を検出する赤外線センサ(非接触型温度センサ)23、電源のオンオフを指令する信号を出力する電源スイッチ24、データの転送を指令する信号を出力する転送スイッチ25、回路の動作状態のリセットを指令する信号を出力するリセットスイッチ26、画像及び情報を表示するLCD表示器27、起動完了・注意喚起・体温測定の完了等の報知を音声や発光で行うブザー/LED28、指令信号に応じて装置の動作を制御する制御部200、赤外線センサ23の出力信号を増幅する増幅器201、検出器20の動作電源を供給する電池202、制御プログラムや画像認識プログラム、温度補償用のデータ、テストプログラム等などを不揮発で記憶するプログラム・データメモリ203、SDカード等の取り外し可能なメモリカード204、検出器20と外部のパソコンやサーバー30とデータ通信を行う無線インタフェース205、赤外線センサ23の補正を行うためのサーミスタなどからなる温度センサ206等によって構成される。
【0022】
制御部200は、例えば一般的なワンチップのマイクロコンピュータ等によって構成されており、図示しないCPU、RAM、ROM、画像メモリ、各種レジスタ、入力インタフェース、カメラインタフェース、A/D変換器、出力インタフェース、画像出力インタフェース、内部信号バス等を含んでいる。入力インタフェースには、開始スイッチ21、電源スイッチ24、転送スイッチ25、及びリセットスイッチ26の出力信号が供給される。カメラインタフェースにはCCDカメラ22の出力信号が供給される。A/D変換器には赤外線センサ23の出力を適当なレベルに調整した増幅器201の出力信号が供給され、A/D変換器はデジタル信号に変換して内部レジスタに供給する。温度センサ206は赤外線センサ23の装置温度を検出して出力信号を出力する。この出力信号はA/D変換されて赤外線センサ23の温度補償に使用される。温度補償はCPUが図示しない温度補償プログラムを実行することによって行われる。
【0023】
次に制御部200の第1の動作例について図7に示すフローチャートを参照して説明する。第1の動作例は既述した図1(A)に示した実施形態に相当するもので、マスクからの情報検出は行うが、体温検出は行わない。
【0024】
係員が電源スイッチ24をオンにすると、制御部200は動作を開始する(スタート)。制御部200は初期化などの初期動作を行い、CCDカメラ22を動作させ、撮影した画像をLCD表示器27に表示する(ステップS10)。
【0025】
制御部200はLCD表示器27に「マーカーを測定位置(タグ)に合わせて開始スイッチを押して下さい」と表示し、係員にCCDカメラ22を移動してLCD表示器27の画面のマーカー27aをマスク10の情報記録部13に合わせるように促す(ステップS20)。
【0026】
制御部200は開始スイッチ21の出力を監視し(ステップS30,No)、係員が開始スイッチ21をオンにしたことを検知すると(ステップS30,Yes)、画像を取り込み、画像認識によって情報記録部13に記録された情報を復号し、例えば入場券情報を読み取る(ステップS50)。
【0027】
制御部200は予めプログラムメモリ203に記憶されている判別用のデータと読み取った入場券情報の一部とを照合し、正規の入場券であるかどうか、マスク着用者の入場資格の有無を判定する(ステップS70)。そして、判定した結果を表示する。例えば、判定結果が「真」であればLCD表示器27のバックライトを「緑色」とする。判定結果が「偽」であればLCD表示器27のバックライトを「赤色」とする。「真」「偽」不明であれば「黄色」とする(ステップS80)。係員は判別結果が「真」であるときは対象者を入場させ、「偽」であるときは入場を断り、「真」「偽」不明である場合には予め決められた再検査・事情確認等の手順を実行する(エンド)。制御部200はこのような入場検査処理を繰り返して各入場者の入場資格を確認する。
【0028】
制御部200の第2の動作例について図8に示すフローチャートを参照して説明する。第2の動作例は既述した図1(B)に示した実施形態に相当するもので、マスクからの情報検出と体温検出を行なうものである。
【0029】
係員が電源スイッチ24をオンにすると、制御部200は動作を開始する(スタート)。制御部200は初期化などの初期動作を行い、CCDカメラ22を動作させ、撮影した画像をLCD表示器27に表示する(ステップS10)。
【0030】
制御部200はLCD表示器27に「マーカーを測定位置(額)に合わせて開始スイッチを押して下さい」と表示し、係員にCCDカメラ22を移動して表示器27の画面のマーカー27aを対象者顔画像の額に合わせ、画面内に顔全体が写るようにすることを促す(ステップS20)。このとき、CCDカメラ22の撮影範囲内にマスク10の情報記録部13が入るようにする。
【0031】
制御部200は開始スイッチ21の出力を監視し(ステップS30,No)、係員が開始スイッチ21をオンにしたことを検知すると(ステップS30,Yes)、赤外線センサ23を動作させて対象者の体温を測定し、検出した体温を読み取る(ステップS40)。また、画像を取り込み、画像認識によって情報記録部13に記録された情報を復号化し、例えば入場券情報を読み取る(ステップS50)。読み取った入場券情報と体温の値は内部メモリに記録される(ステップS60)。
【0032】
制御部200は予めプログラムメモリ203に体温判別用のデータと情報判別用のデータを記憶している。情報判別用のデータと読み取った入場券情報の一部とを照合し、正規の入場券であるかどうか、あるいはマスク着用者の入場資格の有無を判定する。また、体温判別用のデータと測定された体温とを照合し、入場の適格性を判別する(ステップS70)。そして、判定した結果をLCD表示機27に表示させる。例えば、判定結果が情報判別について「真」かつ測定体温について規定の体温以下であればLCD表示器27のバックライトを「緑色」とする。判定結果が情報判別について「偽」かつ測定体温について規定の体温以上であればLCD表示器27のバックライトを「赤色」とする。
【0033】
情報判別について「真」「偽」不明あるいは体温判定において真偽不明であれば「黄色」とする(ステップS80)。係員は判別結果が「真」であるときは対象者を入場させ、「偽」であるときは入場を断り、「真」「偽」不明である場合には予め決められた再検査・事情確認等の手順を実行する。制御部200は情報記録部13から読み取った入場券情報と検出した体温の各データをサーバー30に送る。サーバー30は送られる入場者のデータを元にデータベースを作成する(ステップS100)。制御部200はこのような入場検査処理を繰り返して各入場者の入場資格を確認する。
【0034】
図9は、サーバー30の入場者データベースの一例を説明する説明図である。サーバー30には、上述したように検出器20から入場者の情報が逐次送られてくる。また、図示しないチケット予約システムから当該システムに記録された予約申込書等に記載された購入者情報を集めて、入場者データベースに組み入れることができる。入場者データベースには、例えば、データ番号、イベントの名称やイベントを表す番号・符号、イベントの日時、チケットに付されたチケット番号や符号、イベント会場の座席番号、入場時間、退場時間、入場者名、連絡先(電話番号及び/又は住所)等のデータが含まれる。さらに、体温のデータを含めてもよい。チケット予約システム等によってチケット購入者のリストが用意され、当該リストから購入者を照合可能である場合には、入場者データベースはチケット番号等のより少ない項目によって構成されるデータベースであってもよい。このようなデータベースを持つことによって入場者の中から感染症の感染者が発生した場合、濃厚接触者の特定や感染者の移動経路を追跡する資料が得られる。
【0035】
制御部200の第3の動作例について図10に示すフローチャートを参照して説明する。この動作例では、第2の動作例において、ステップS80とステップS100の間にステップS90を設け、係員によって検出器20の転送スイッチ25が操作されたときに(ステップS90,Yes)、制御部200が読み取った入場券情報と体温のデータをサーバー30に送信するようにしている(ステップS100)。他の構成は図8に示すフローチャートと同様である。
【0036】
上述した各実施形態では、マスクの表面に入場券の情報を二次元コード等として印刷し、イベント会場入場の際にこれをハンディな検出器(検出装置)によって読み取るようにしたのでマスクを入場券として使用することができ、入場者は必ずマスクを持参することになる。また、当該マスクの記録情報を使用して入場者の入場券の確認、体温検出、入場者名簿の作成等を容易にする検温システムを構築可能である。
【0037】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されず本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施することが可能である。例えば、図7図8図10に示す動作説明では判定処理(ステップS70)を検出器20にて行っているが、読み取った入場者の入場券情報や体温のデータをサーバー30に送り、サーバー30側で判定した結果を検出器20側に戻すようにしてもよい。そうすれば検出器20での判定処理が低減される。また、当該処理に必要なプログラムやデータ保存の記憶容量を減らすことが可能となる。
【0038】
また、情報記録部13は、マスクへ直接的に印刷することに代えて、ICタグを用いてもよい。この場合、ICタグに入場券情報を記録しておき、検出器(検出装置)でICタグから電磁的に入場券情報を読み出すようにすればよい。同様に、情報記録部13として磁気テープ等の磁気媒体(磁気チップ)を用いてもよい。また、カメラを備えたスマートフォンにQRコードを読み取るアプリケーションプログラムを導入して検出器を構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 マスク
11 マスク本体
12 耳掛け部
13 情報記録部
20 検出器(検出装置)
21 開始スイッチ
22 CCDカメラ
23 赤外線センサ
24 電源スイッチ
25 転送スイッチ
26 リセットスイッチ
27 LCD表示器
28 ブザー/LED
30 サーバー
200 制御部
201 増幅器
202 電池
203 プログラム・データ格納用メモリ
204 メモリカード
205 無線インタフェース

【要約】
【課題】比較的に簡易な構成で入場者の入場券及びマスク着用確認を可能とするイベント用マスクを提供する。
【解決手段】イベント会場で使用されるマスクであって、前記マスクは当該マスクの正面の一部に機械読み取り可能な情報記録部を有し、当該情報記録部は前記イベント会場への入場に必要な入場許可情報を含む、イベント用マスクである。それにより当該マスクは入場券としての価値を持つので入場者はイベント会場にマスクを持参するようになる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10