(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浄化機能が低下した吸着剤(特許文献1における吸着材)を再生させるために、容器内(特許文献1における第1格納器内)に過熱水蒸気を供給しながら、このような吸着剤を加熱することがある。しかし、特許文献1に開示される再生装置では、過熱水蒸気の供給口から離れるにつれて容器内で温度ムラが生じてしまい、吸着剤の再生を均一に行うことができないおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、吸着剤の再生をできるだけ均一に行うことができる吸着剤再生器および吸着剤再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る吸着剤再生器は、容器と、第1管と、第2管と
、ガス供給部と、過熱水蒸気供給部と、制御部とを備える。なお、容器には、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂などの吸着剤が充填される。第1管は、容器に挿通される。この第1管を通じて、容器内に
ガス(ただし、水蒸気を除く)が供給される。第2管は、容器に挿通される。この第2管を通じて、容器内に過熱水蒸気が供給される。
ガス供給部は、第1管と連結し、第1管にガスを供給する。過熱水蒸気供給部は、第2管と連結し、第2管に過熱水蒸気を供給する。制御部は、ガス供給部と過熱水蒸気供給部とを制御する。そして、
制御部は、過熱水蒸気供給部に対して容器に過熱水蒸気を供給させている間、ガス供給部に対して容器にガスを間欠的に供給させる。
【0007】
容器内に過熱水蒸気が供給されている間、容器内のガス(特に、加熱空気)量が増えることで、吸着剤(特に、活性炭)が炭化して劣化したり一酸化炭素が発生したりするおそれがある。上述の通り、この吸着剤再生器では、
制御部は、過熱水蒸気供給部に対して容器に過熱水蒸気を供給させている間、ガス供給部に対して容器にガスを間欠的に供給させる。このため、この吸着剤再生器では、
吸着剤の劣化や一酸化炭素の発生をできるだけ抑制しつつ、ガスによって容器内で対流を起こして吸着剤の再生をできるだけ均一に行うことができる。
【0008】
本発明の第2局面に係る吸着剤再生器は第1局面に係る吸着剤再生器であって、第1管の出口は、第2管の出口より上方に位置する。
【0009】
第2管を通じて容器内に供給された過熱水蒸気は容器上部に向かって上昇する傾向にある。この吸着剤再生器では、過熱水蒸気の上昇経路の途中に第1管の出口がある(第1管の出口が第2管の出口より上方に位置する)ため、上昇する過熱水蒸気を容器内全体に拡散することができる。したがって、この吸着剤再生器では、吸着剤の再生をより均一に行うことができる。
【0010】
本発明の第3局面に係る吸着剤再生器は第1局面または第2局面に係る吸着剤再生器であって、第1管は、容器の中間部を通っている。そして、第2管は、容器の下部を通っている。
【0011】
第1管が容器の上部または下部を通っている場合、ガスの拡散距離が「上部から下部」または「下部から上部」となるため、ガスの拡散距離が長くなってしまう。一方、この吸着剤再生器では、上述の通り、第1管は容器の中間部を通っており、ガスの拡散距離が中間部から上部、下部となるため、ガスの拡散距離を短くすることができる。このため、この吸着剤再生器では、第1管が容器の上部または下部を通っている場合に比べて、容器内にガスを効率よく供給して容器内で対流を起こすことができる。したがって、この吸着剤再生器では、吸着剤の再生をより均一に行うことができる。また、上述の通り、この吸着剤再生器では、第2管は容器の下部を通っている。このため、この吸着剤再生器では、過熱水蒸気を容器の下部から供給することができ、容器下部の吸着剤を上昇する過熱水蒸気によりほぐすことができる。したがって、この吸着剤再生器では、容器下部の吸着剤が自重により固まることをできるだけ抑制することができる。
【0012】
本発明の第4局面に係る吸着剤再生器は第1局面から第3局面のいずれか1局面に係る吸着剤再生器であって、第1管および第2管は、それぞれ水平方向に延びている。第1管の側壁において周方向に並ぶように複数の第1貫通口が形成されている。第2管の側壁において周方向に並ぶように少なくとも1つの第2貫通口が形成されている。
【0013】
このため、この吸着剤再生器では、過熱水蒸気を容器内全体に拡散することができる。したがって、この吸着剤再生器では、容器の容量が大きくなっても、吸着剤の再生をできるだけ均一に行うことができる。
【0014】
本発明の
第5局面に係る吸着剤再生器は、第1局面から
第4局面のいずれか1局面に係る吸着剤再生器であって、給水管と排水管とをさらに備える。給水管は、容器の底壁に接合され、容器内に連通する。排水管は、容器に挿通され、容器の上部に位置する。
【0015】
上述の通り、この吸着剤再生器は、給水管と排水管とをさらに備える。このため、この吸着剤再生器では、流体(液体および気体を含む。)に対して浄化処理などを施すことができる(つまり、この吸着剤再生器は、水処理システム、水処理装置としても機能することになる。)。また、上述の通り、この吸着剤再生器では、給水管は容器の底壁に接合されて容器内に連通している。このため、この吸着剤再生器では、流体を容器の底壁から供給することができ、容器下部の吸着剤を流体によりほぐすことができる。したがって、この吸着剤再生器では、容器下部の吸着剤が自重により固まることをできるだけ抑制することができる。
【0016】
本発明の
第6局面に係る吸着剤再生方法は、ガス供給工程と、混合ガス供給工程とを備える。ガス供給工程では、容器と、容器に挿通されて容器内にガス
(ただし、水蒸気を除く)を供給する第1管と、容器に挿通されて容器内に過熱水蒸気を供給する第2管とを備える吸着剤再生器において、第1管を通じて容器内にガスが供給される。なお、容器には、活性炭、ゼオライト、イオン交換樹脂などの吸着剤が充填される。そして、混合ガス供給工程では、第2管を通じて容器内に過熱水蒸気が供給されると共に、第1管を通じて容器内にガスが
間欠的に供給される。
【0017】
流体(液体および気体を含む。)に対して浄化処理などを施した後の吸着剤は、水分を含んでいることがある。ここで、水分を含んでいる吸着剤の部分と水分を含んでいない吸着剤の部分とでは温度ムラが生じてしまい、吸着剤の再生を行う工程(混合ガス供給工程)において吸着剤を均一に再生することができなくなるおそれが生じる。上述の通り、この吸着剤再生方法のガス供給工程では、第1管を通じて容器内にガス
(ただし、水蒸気を除く)が供給される。このため、この吸着剤再生方法では、吸着剤の再生を行う工程の前に吸着剤をできるだけ乾燥状態に近づけることができる。
また、容器内に過熱水蒸気が供給されている間、容器内のガス(特に、加熱空気)量が増えることで、吸着剤(特に、活性炭)が炭化して劣化したり一酸化炭素が発生したりするおそれがある。上述の通り、この吸着剤再生方法の混合ガス供給工程では、第2管を通じて容器内に過熱水蒸気が供給されると共に、第1管を通じて容器内にガスが
間欠的に供給される。このため、この吸着剤再生方法では、
吸着剤の劣化や一酸化炭素の発生をできるだけ抑制しつつ、ガスによって容器内で対流を起こすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る吸着剤タンク100は、
図1および
図2に示されるように、主に、容器本体110、空気供給管120、過熱水蒸気供給管130、回収管140および脚LGから構成される。以下、これらの構成要素について詳述した後、この吸着剤タンク100を用いた流体浄化処理および吸着剤再生処理について詳述する。
【0020】
(1)容器本体
容器本体110は、活性炭等の吸着剤を充填するための部材であって、
図1および
図2に示されるように、主に、胴体部111、蓋部112、上側垂直フランジ管113、下側垂直フランジ管114および水平フランジ管115から形成される。なお、図示しないが、容器本体110の内部空間には、容器本体110の内部空間の温度や吸着剤の表面温度を測定するための温度センサーが配設されている。この温度センサーは、1箇所にだけ配設されてもよいし、2箇所以上に配設されてもよい。
【0021】
胴体部111は、
図1および
図2に示されるように、ステンレス合金等の金属で形成される有底円筒形の壁部であって、円筒壁部111Aおよび円形壁部111Bから形成される。
図1および
図2に示されるように、円筒壁部111Aの上壁部の中央部には上側垂直フランジ管113が接合され、円筒壁部111Aの下壁部の中央部には下側垂直フランジ管114が接合されている。また、
図1および
図2に示されるように、円形壁部111Bの中間部には2本の空気供給管120が貫入され、円形壁部111Bの下部には2本の過熱水蒸気供給管130が貫入されている。
【0022】
蓋部112は、
図1および
図2に示されるように、ステンレス合金等の金属で形成される円盤形状の壁部であって、円形壁部111Bの反対側を覆っている。
図2に示されるように、蓋部112の上部には2本の回収管140が貫入され、蓋部112の下部には水平フランジ管115が貫入されている。
【0023】
上側垂直フランジ管113は、上述の通り、円筒壁部111Aの上壁部の中央部に接合されている。そして、上側垂直フランジ管113の内部通路は、容器本体110の内部空間に連通している。なお、上側垂直フランジ管113は、通常封止されているが、吸着剤を供給する際などに開放され、吸着剤の供給口として使用される。
【0024】
下側垂直フランジ管114は、上述の通り、円筒壁部111Aの下壁部の中央部に接合されている。そして、下側垂直フランジ管114の内部通路は、容器本体110の内部空間に連通している。また、下側垂直フランジ管114は、開閉弁V4が配設された配管P8と連結している。配管P8は、浄化対象水などの被処理流体の供給口として使用される。なお、開閉弁V4は、通常閉状態とされているが、被処理流体を吸着剤に対して散布させる際に開放される。そして、開閉弁V4が開状態である際、配管P8を通過した被処理流体が、下側垂直フランジ管114を通じて容器本体110の内部空間に供給される。
【0025】
水平フランジ管115は、上述の通り、蓋部112の下部に接合されている。そして、水平フランジ管115の内部通路は、容器本体110の内部空間に連通している。なお、水平フランジ管115は、通常封止されているが、何らかのトラブルがあった際に開放され、吸着剤の取出し口として使用される。
【0026】
(2)空気供給管
空気供給管120は、空気を容器本体110の内部空間に供給するためのものである。上述の通り、2本の空気供給管120が、円形壁部111Bの中間部に貫入されている。空気供給管120は、
図2に示されるように、前後方向に沿いつつ蓋部112の近傍まで延びている。そして、
図2に示されるように、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部には、複数の第1供給口OP1がそれぞれ等間隔に形成されている。つまり、空気は、空気供給管120を通過する際、空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に供給されることになる。また、空気供給管120は、配管P1を介して空気加熱用ヒータH1と連結している。そして、この空気加熱用ヒータH1は、開閉弁V1が配設された配管P3を介して、空気圧縮機(または、送風機など)ACと連結している。そして、配管P3は、開閉弁V2が配設された配管P4とも連結している。このような構成により、開閉弁V1が開状態であり開閉弁V2が閉状態である際、空気圧縮機ACからの空気が空気加熱用ヒータH1で加熱され加熱空気(例えば、室温以上から約350℃以下の範囲内)となり、配管P1を介して加熱空気が空気供給管120に供給される。なお、後述する空気供給工程において吸着剤が乾燥状態に近づけられるが、高気温の条件下(例えば、夏場など)などで空気供給工程が行われる場合には、空気圧縮機ACからの空気を空気加熱用ヒータH1で加熱せずに配管P1を介し空気供給管120に供給してもよい。
【0027】
(3)過熱水蒸気供給管
過熱水蒸気供給管130は、過熱水蒸気を容器本体110の内部空間に供給するためのものである。上述の通り、2本の過熱水蒸気供給管130が、円形壁部111Bの下部に貫入されている。過熱水蒸気供給管130は、
図2に示されるように、前後方向に沿いつつ蓋部112の近傍まで延びている。そして、
図2に示されるように、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部には、複数の第2供給口OP2が等間隔に形成されている。つまり、過熱水蒸気は、過熱水蒸気供給管130を通過する際、過熱水蒸気供給管130の出口および第2供給口OP2を通じて容器本体110の内部空間に供給されることになる。また、過熱水蒸気供給管130は、配管P2を介して水蒸気加熱用ヒータH2と連結している。そして、この水蒸気加熱用ヒータH2は、配管P4および配管P5を介して、ボイラBと連結している。このような構成により、開閉弁V2が閉状態である際、ボイラBからの水蒸気が水蒸気加熱用ヒータH2で加熱され過熱水蒸気(例えば、約250℃以上約550℃以下の範囲内)となり、配管P2を介して過熱水蒸気が過熱水蒸気供給管130に供給される。
【0028】
なお、空気加熱用ヒータH1、水蒸気加熱用ヒータH2、空気圧縮機ACおよびボイラBは、制御盤Cに接続されている。制御盤Cは、これらの動作(例えば、電源のオンオフ、出力など)を制御したり、上述した温度センサーの温度を表示したりする。
【0029】
(4)回収管
回収管140は、空気や過熱水蒸気、浄化された被処理流体などを回収するためのものである。上述の通り、2本の回収管140が、蓋部112の上部に貫入されている。回収管140は、
図2に示されるように、前後方向に沿いつつ円形壁部111Bの近傍まで延びている。そして、
図2に示されるように、回収管140の側壁部の前部には、全周に亘って複数の回収口OP3が等間隔に形成されている。ここで、空気や過熱水蒸気、浄化された被処理流体は、回収口OP3を通じて回収管140内に流入した後、回収管140を通過する。そして、回収管140を通過した空気や過熱水蒸気は、配管P6を介して回収されるか排出される。回収管140を通過した被処理流体は、配管P7に配設された開閉弁V3が開状態である際に、配管P7を介して回収されるか使用される。
【0030】
(5)脚
脚LGは、容器本体110を支えるためのものである。
図1および
図2に示されるように、脚LGは、円筒壁部111Aの下部における右前部、右後部、左前部、左後部からそれぞれ下斜め方向に延びている。
【0031】
<流体浄化処理>
配管P8を通過した水等の被処理流体が、下側垂直フランジ管114を通じて容器本体110の内部空間に供給されると、その被処理流体は、容器本体110に充填された活性炭等の吸着剤に接触しながら容器本体110の内部空間に供給される。この際、吸着剤は、水等に含まれる有機溶剤や浮遊物等を捕捉し、被処理流体を浄化していく。そして、回収管140にまで被処理流体が到達したとき、被処理流体は十分に浄化された状態となる。そして、浄化された被処理流体は、回収口OP3を通じて回収管140内に流入した後、回収管140を通過する。その後、被処理流体は、開閉弁V3が開状態である際に、配管P7を介して回収されるか使用される。
【0032】
<吸着剤再生処理>
しばらくの間、上述した流体浄化処理が継続されると吸着剤の浄化機能が低下してくる。そこで、以下に示す吸着剤再生処理が行われる。吸着剤再生処理では、主に、空気供給工程および混合ガス供給工程が行われる。
【0033】
(1)空気供給工程
まず、空気圧縮機ACからの空気が、配管P3を介して空気加熱用ヒータH1に送られる。この空気供給工程では、開閉弁V1は開状態で、開閉弁V2は閉状態である。次に、送られた空気が、空気加熱用ヒータH1によって加熱されて加熱空気となる。次に、加熱空気が、配管P1を介して空気供給管120に供給され、空気供給管120を通過し、空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に供給される。なお、上述したが、高気温の条件下などでは、空気圧縮機ACからの空気を空気加熱用ヒータH1で加熱せずに配管P1を介し空気供給管120に供給してもよい。この場合も、空気は、空気供給管120を通過し、空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に供給される。上述した流体浄化処理が行われた後の吸着剤は水分を含んでいるため、この空気供給工程は、吸着剤を乾燥状態に近づけることを目的として行われる。なお、空気供給工程は、吸着剤がある程度乾燥するまで行われ、乾燥状態は、温度センサーで計測した吸着剤の表面温度(例えば、約100℃)、水分計、目視確認などによって判断される。
【0034】
(2)混合ガス供給工程
まず、ボイラBからの水蒸気が、配管P5および配管P4を介して水蒸気加熱用ヒータH2に送られる。この混合ガス供給工程では、開閉弁V2は閉状態である。次に、送られた水蒸気が、水蒸気加熱用ヒータH2によって加熱されて過熱水蒸気(約100℃以上約700℃以下の範囲内であることが好ましく、約250℃以上約550℃以下の範囲内であることがより好ましい)となる。次に、過熱水蒸気が、配管P2を介して過熱水蒸気供給管130に供給され、過熱水蒸気供給管130を通過し、過熱水蒸気供給管130の出口および第2供給口OP2を通じて容器本体110の内部空間に供給される。容器本体110の内部空間に供給された過熱水蒸気は、吸着剤に直接的に作用して吸着剤から有機溶剤等を蒸発させたり浮遊物を分解・気化させたりして吸着剤を再生させる。なお、この混合ガス供給工程では、過熱水蒸気が過熱水蒸気供給管130を通じて容器本体110の内部空間に供給されている間、加熱空気(過熱水蒸気の温度以上の温度であることが好ましい)が、空気供給管120を通過し、空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に間欠的に供給される。より詳細には、
図3に示されるように、容器本体110の内部空間に加熱空気をX分間(例えば、約1分間)供給する期間と、容器本体110の内部空間に加熱空気をY分間(例えば、約5分間)供給しない期間とが繰り返される。
【0035】
そして、最終的に、蒸発した有機溶剤、加熱空気および過熱水蒸気は、回収口OP3を通じて回収管140内に流入した後、回収管140を通過する。その後、蒸発した有機溶剤、加熱空気および過熱水蒸気は、配管P6を介して回収されるか排出される。
【0036】
<本発明の実施の形態に係る吸着剤タンクの特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、過熱水蒸気が過熱水蒸気供給管130を通じて容器本体110の内部空間に供給されている間、加熱空気が空気供給管120を通じて容器本体110の内部空間に間欠的に供給される。このため、この吸着剤タンク100では、吸着剤の劣化や一酸化炭素の発生をできるだけ抑制しつつ、容器本体110の内部空間で対流を起こして吸着剤の再生をできるだけ均一に行うことができる。
【0037】
(2)
本発明の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、2本の空気供給管120は、円形壁部111Bの中間部に貫入され、2本の過熱水蒸気供給管130は、円形壁部111Bの下部に貫入されている。つまり、この吸着剤タンク100では、空気供給管120は過熱水蒸気供給管130より上方に位置している。このため、この吸着剤タンク100では、上昇する過熱水蒸気を容器本体110の内部空間全体に拡散することができる。また、この吸着剤タンク100では、空気供給管120は容器本体110の中間部を通っているため、加熱空気の拡散距離を短くすることができ、容器本体110の内部空間に加熱空気を効率よく供給して容器本体110の内部空間で対流を起こすことができる。以上より、この吸着剤タンク100では、吸着剤の再生をより均一に行うことができる。
【0038】
また、この吸着剤タンク100では、過熱水蒸気を容器本体110の下部から供給することができ、容器本体110の下部の吸着剤を上昇する過熱水蒸気によりほぐすことができる。したがって、この吸着剤再生器では、容器本体110の下部の吸着剤が自重により固まることをできるだけ抑制することができる。
【0039】
(3)
本発明の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、空気供給管120は前後方向に沿いつつ蓋部112の近傍まで延びており、過熱水蒸気供給管130は前後方向に沿いつつ蓋部112の近傍まで延びている。また、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部には、複数の第1供給口OP1がそれぞれ等間隔に形成され、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部には、複数の第2供給口OP2が等間隔に形成されている。このため、この吸着剤タンク100では、過熱水蒸気を容器本体110の内部空間全体に拡散することができる。したがって、この吸着剤タンク100では、容器本体110の容量が大きくなっても、吸着剤の再生をできるだけ均一に行うことができる。
【0040】
(4)
本発明の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、下側垂直フランジ管114が円筒壁部111Aの下壁部の中央部に接合され、下側垂直フランジ管114の内部通路が容器本体110の内部空間に連通している。また、2本の回収管140が、蓋部112の上部に貫入され、前後方向に沿いつつ円形壁部111Bの近傍まで延びている。そして、回収管140の側壁部の前部には、複数の回収口OP3が等間隔に形成されている。このため、この吸着剤タンク100では、被処理流体を容器本体110の下部から供給して被処理流体に対して浄化処理などを施すと共に、容器本体110の下部の吸着剤を被処理流体によりほぐすことができる。したがって、この吸着剤タンク100では、容器本体110の下部の吸着剤が自重により固まることをできるだけ抑制することができる。
【0041】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、2本の空気供給管120が円形壁部111Bの中間部に貫入され、2本の過熱水蒸気供給管130が円形壁部111Bの下部に貫入され、2本の回収管140が蓋部112の上部に貫入されていた。しかし、空気供給管120、過熱水蒸気供給管130および回収管140はそれぞれ、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、空気供給管120が円形壁部111Bの中間部以外の円形壁部111Bの部分に貫入されてもよいし、過熱水蒸気供給管130が円形壁部111Bの下部以外の円形壁部111Bの部分に貫入されてもよい。
【0042】
(B)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、混合ガス供給工程において、加熱空気が、空気供給管120を通じて容器本体110の内部空間に間欠的に供給されていた。しかし、加熱空気ではなく、不活性ガス(例えば、希ガス(ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等)、窒素(N2)ガス、二酸化炭素(CO2)ガスなど)や、回収管140を通過して容器本体110の内部空間から回収された過熱水蒸気を再加熱した過熱水蒸気が、空気供給管120を通じて容器本体110の内部空間に間欠的に供給されてもよい。
【0043】
(C)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部に、複数の第1供給口OP1がそれぞれ等間隔に形成されていた。しかし、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部ではなく、例えば、空気供給管120の側壁部の左上部、左下部、右上部および右下部に、複数の第1供給口OP1がそれぞれ等間隔に形成されてもよい。また、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部以外の側壁部の部分にも、複数の第1供給口OP1が追加形成されてもよい。
【0044】
また、先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部に複数の第2供給口OP2が等間隔に形成されていた。しかし、空気供給管120に形成された複数の第1供給口OP1のように、複数の第2供給口OP2は、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部、下部、左部および右部に形成されてもよい。
【0045】
(D)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部に複数の第1供給口OP1がそれぞれ等間隔に形成され、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部に複数の第2供給口OP2が等間隔に形成されていた。しかし、
図4(a)に示されるように、空気供給管120の側壁部の上部、下部、左部および右部にスリットS1が形成されてもよい。また、
図4(b)に示されるように、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部にスリットS2が形成されてもよい。なお、さらに言えば、
図4(a)に示されるように、過熱水蒸気供給管130の側壁部の上部、下部、左部および右部にスリットS1が形成されてもよい。
【0046】
(E)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、空気供給工程において、開閉弁V1は開状態で、開閉弁V2は閉状態であった。しかし、空気供給工程において、開閉弁V2が開状態となるようにし、空気圧縮機ACからの空気が、配管P3および配管P4を介して水蒸気加熱用ヒータH2にも送られてもよい。かかる場合、この空気は、水蒸気加熱用ヒータH2によって加熱され加熱空気となり、配管P2を介して過熱水蒸気供給管130に供給され、過熱水蒸気供給管130を通じて容器本体110の内部空間に供給されることになる。また、高気温の条件下などでは、空気圧縮機ACからの空気は、水蒸気加熱用ヒータH2によって加熱されずに、配管P2を介して過熱水蒸気供給管130に供給され、過熱水蒸気供給管130を通じて容器本体110の内部空間に供給されてもよい。
【0047】
また、先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、混合ガス供給工程において、開閉弁V2は閉状態であった。しかし、混合ガス供給工程における加熱空気の供給が停止される期間(
図3参照)において、開閉弁V2が開状態となるようにし、ボイラBからの水蒸気が、配管P4および配管P3を介して空気加熱用ヒータH1にも送られてもよい。かかる場合、この水蒸気は、空気加熱用ヒータH1によって加熱され過熱水蒸気となり、配管P1を介して空気供給管120に供給され、空気供給管120を通じて容器本体110の内部空間に供給されることになる。そして、加熱空気の供給が開始される期間になると、開閉弁V2は閉状態となる。
【0048】
(F)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、空気は、空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に供給されていた。しかし、空気供給管120の出口は閉塞されてもよい。かかる場合、空気は、第1供給口OP1を通じてのみ容器本体110の内部空間に供給される。
【0049】
また、先の実施の形態に係る吸着剤タンク100では、過熱水蒸気は、過熱水蒸気供給管130の出口および第2供給口OP2を通じて容器本体110の内部空間に供給されていた。しかし、過熱水蒸気供給管130の出口は閉塞されてもよい。かかる場合、過熱水蒸気は、第2供給口OP2を通じてのみ容器本体110の内部空間に供給される。
【0050】
(G)
図5に示されるように、先の実施の形態に係る吸着剤タンク100を複数つなぎ合わせた吸着剤タンク200が採用されてもよい。吸着剤タンク200では、複数の吸着剤タンク100を囲む外壁150と、吸着剤タンク100を仕切るための仕切り板160とが追加構成されている。また、吸着剤タンク200では、水平フランジ管115が、先の実施の形態に係る下側垂直フランジ管114の役割も兼ねている。
【0051】
吸着剤タンク200のような形態では、設置場所のスペースや顧客のニーズなどに応じて、複数の吸着剤タンク100を柔軟につなぎ合わせることができる。
【0052】
(H)
先の実施の形態に係る吸着剤タンク100は、
図6に示されるように、吸着剤冷却管300を備えていてもよい。吸着剤冷却管300は、吸着剤再生処理の混合ガス供給工程が実施された後に吸着剤を冷却するためのものであって、
図6に示されるように、円形壁部111Bのうち空気供給管120が貫入されている部分と過熱水蒸気供給管130が貫入されている部分との間の部分に貫入されている。そして、吸着剤冷却管300は、
図7に示されるように、ミスト源水供給管310、冷却用液体供給管320および保護網管330から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0053】
ミスト源水供給管310は、ミスト源水を容器本体110の噴霧ノズル311に導くためのものであり、
図7に示されるように、容器本体110の内部空間かつ保護網管330の内部空間に配設されている。
図7に示されるように、ミスト源水供給管310の側壁部の上部、下部、左部および右部には、噴霧ノズル311が接続されている。噴霧ノズル311は、ミスト源水供給管310を通る液体(例えば、流体浄化処理を施された被処理流体、井戸水、工業用水、水道水など)からミストを発生させて容器本体110の内部空間に供給する。なお、このミストの大きさは、10ミクロン以上199ミクロン未満の範囲内であることが好ましく、40ミクロン以上60ミクロン以下の範囲内であることがより好ましい。また、
図7に示されるように、ミスト源水供給管310は、開閉弁V11が配設された配管P11を介してポンプPO1に連結されている。そして、このポンプPO1は、配管P12を介して液体タンクTに連結されている。このような構成により、開閉弁V11が開状態である際、液体タンクTに貯留された液体がポンプPO1によってミスト源水供給管310に供給される。なお、図示しないが、ポンプPO1は、制御盤Cに接続されている。
【0054】
冷却用液体供給管320は、液体(例えば、流体浄化処理を施された被処理流体、井戸水、工業用水、水道水など)を容器本体110の内部空間に導くためのものであり、
図7に示されるように、容器本体110の内部空間かつ保護網管330の内部空間に配設されている。
図7に示されるように、冷却用液体供給管320の側壁部の上部、下部、左部および右部には、複数の第3供給口OP4がそれぞれ等間隔に形成されている。つまり、冷却用液体供給管320を通る液体は、冷却用液体供給管320の出口および第3供給口OP4を通じて容器本体110の内部空間に導かれることになる。また、冷却用液体供給管320は、開閉弁V12が配設された配管P13を介してポンプPO2に連結されている。そして、このポンプPO2は、配管P14を介して液体タンクTに連結されている。このような構成により、開閉弁V12が開状態である際、液体タンクTに貯留された液体がポンプPO2によって冷却用液体供給管320に供給される。なお、図示しないが、ポンプPO2は、制御盤Cに接続されている。
【0055】
保護網管330は、網状の管であって、
図7に示されるように、ミスト源水供給管310と冷却用液体供給管320とを覆っている。なお、保護網管330の網目(図示せず)の大きさは、吸着剤の平均的な大きさより小さくなるように設計されている。
【0056】
以上の通り、吸着剤タンク100に吸着剤冷却管300が構成されることで、吸着剤再生処理の混合ガス供給工程が実施された後に、吸着剤を冷却するための吸着剤冷却処理を実施することができる。吸着剤冷却処理では、噴霧工程、ミスト・ガス供給工程および流体供給工程が順次実施される。以下、これらの工程について詳述する。
【0057】
(1)噴霧工程
まず、開閉弁V11を開状態とし、液体タンクTに貯留された液体をポンプPO1によってミスト源水供給管310を介して噴霧ノズル311に供給する。噴霧ノズル311に供給された液体は、噴霧ノズル311によって噴霧されて容器本体110の内部空間にミストを発生させる。そして、このミストが、吸着剤を冷却する。なお、この噴霧工程では、ミストは、容器本体110の内部空間に連続的に供給されてもよいし、容器本体110の内部空間に間欠的に供給されてもよい。
【0058】
(2)ミスト・ガス供給工程
ミスト・ガス供給工程では、噴霧工程と同様にミストが噴霧ノズル311により容器本体110の内部空間に供給されると共に、空気圧縮機ACからの空気が空気加熱用ヒータH1で加熱されずに配管P1を介し空気供給管120に供給され、この空気(つまり、室温空気)が空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に供給される。このミスト・ガス供給工程は、空気によってミストを容器本体110の内部空間全体に拡散することを目的として実施される。なお、空気圧縮機ACから供給される空気は、吸着剤加熱処理後の吸着剤よりも十分に低い温度であればよい。このため、このような空気として、室温の空気を利用することができる。
【0059】
(3)流体供給工程
流体供給工程では、開閉弁V11を閉状態(すなわち、ミストが発生しない状態)とし、開閉弁V12を開状態とし、液体タンクTに貯留された液体を、ポンプPO2によって冷却用液体供給管320に導き、冷却用液体供給管320の出口および第3供給口OP4から容器本体110の内部空間に供給する。
【0060】
なお、この流体供給工程では、上記態様に代えて、空気圧縮機ACからの空気を空気加熱用ヒータH1で加熱せずに配管P1を介して空気供給管120に導き、空気供給管120の出口および第1供給口OP1から容器本体110の内部空間に供給してもよいし、室温空気を空気供給管120の出口および第1供給口OP1から容器本体110の内部空間に供給すると共に、液体タンクTに貯留された液体を冷却用液体供給管320の出口および第3供給口OP4から容器本体110の内部空間に供給してもよい。
【0061】
最後に、変形例(H)に係る吸着剤タンク100の特徴について説明する。
【0062】
変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、ミスト源水供給管310が容器本体110の内部空間に配設されており、ミスト源水供給管310の側壁部の上部、下部、左部および右部には噴霧ノズル311が接続されている。そして、噴霧ノズル311は、ミスト源水供給管310を通る源水からミストを発生させ、このミストを容器本体110の内部空間に供給する。このため、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、ミストによって吸着剤を徐冷することができる。したがって、この吸着剤タンク100では、熱衝撃による吸着剤の劣化をできるだけ抑えることができる。
【0063】
また、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、冷却用液体供給管320が容器本体110の内部空間に配設されており、冷却用液体供給管320の側壁部の上部、下部、左部および右部には、複数の第3供給口OP4がそれぞれ等間隔に形成されている。そして、冷却用液体供給管320を通る液体が、冷却用液体供給管320の出口および第3供給口OP4を通じて容器本体110の内部空間に供給される。このため、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、流体供給工程において吸着剤の冷却速度を高めることができる。したがって、変形例(H)に係る吸着剤タンク100は、噴霧工程のみで吸着剤を冷却する場合に比べて吸着剤の冷却時間を短くすることができる。
【0064】
また、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、ミスト・ガス供給工程において、室温空気が、空気供給管120の出口および第1供給口OP1を通じて容器本体110の内部空間に供給される。このため、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、室温空気によって容器本体110の内部空間で対流を起こすことができる。つまり、ミスト・ガス供給工程においてミストを容器本体110の内部空間全体に拡散することができる。また、流体供給工程において、室温空気を空気供給管120の出口および第1供給口OP1から容器本体110の内部空間に供給すると共に、液体タンクTに貯留された液体を冷却用液体供給管320の出口および第3供給口OP4から容器本体110の内部空間に供給する場合、その液体を容器本体110の内部空間全体に拡散することができる。したがって、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、吸着剤をできるだけ均一に冷却することができる。なお、さらに言えば、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、室温空気によっても吸着剤を冷却することができる。
【0065】
また、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、保護網管330が、ミスト源水供給管310と冷却用液体供給管320とを覆っている。このため、変形例(H)に係る吸着剤タンク100では、噴霧ノズル311の出口や冷却用液体供給管320の第3供給口OP4に吸着剤が詰まることをできるだけ抑制することができる。
【0066】
なお、上記変形例(A)〜(H)は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【解決手段】本発明に係る吸着剤再生器100は、容器110と、第1管120と、第2管130とを備える。第1管は、容器に挿通され、容器内に加熱空気などのガスを供給する。第2管は、容器に挿通され、容器内に過熱水蒸気を供給する。そして、第2管を通じて容器内に過熱水蒸気が供給されている間、第1管を通じて容器内にガスが供給される。