(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、銘板を構成している前壁部及び後壁部にそれぞれ通気孔を形成し、羽根によって送風された空気がこれら通気孔を通るようになっている。前壁部及び後壁部は空気の流れ方向から見たときに互いに重複する位置関係にあるので、各壁部に形成されている通気孔を通過した空気はそのまま下流側へ流れていくことになり、銘板よりも外側へ向けては殆ど流れないと考えられる。このため、薬剤は、羽根によって送風された空気のうち、銘板よりも外側を流れる空気には混合し難く、その結果、薬剤が広範囲に行き渡り難くなる。
【0006】
また、特許文献2のものも芳香発生箱を構成している前壁部及び後壁部にそれぞれ形成された小孔を空気が通るようになっており、前壁部及び後壁部は空気の流れ方向から見たときに互いに重複する位置関係にある。従って、薬剤は、羽根によって送風された空気のうち、芳香発生箱よりも外側を流れる空気には混合し難く、その結果、薬剤が広範囲に行き渡り難くなる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、送風機によって送風される空気に薬剤を混合しやすくして薬剤を広範囲に効率良く行き渡らせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、送風機によって送風された空気の流れを積極的に曲げてから薬剤保持体へ向けて流すようにし、薬剤保持体を通過した空気を送風機の送風方向下流側へ流すようにした。
【0009】
第1の発明は、送風機によって送風された空気に薬剤を放散する送風機用薬剤放散器において、常温で揮発する上記薬剤を保持するとともに、通気性を有する薬剤保持体と、上記薬剤保持体が取り付けられる放散器本体とを備え、
上記放散器本体は上記送風機によって送風された空気の流れ方向に対して交差する方向に延びる形状とされ、上記放散器本体には、上記送風機によって送風された空気の流れを曲げてから上記薬剤保持体へ向ける空気案内壁部と、上記薬剤保持体を通過した空気を排出する排出孔とが設けられ
、上記排出孔は、上記放散器本体の中央部に設けられ、上記空気案内壁部は、上記放散器本体の縁部から上記排出孔へ向けて延びるように設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、送風機によって送風された空気の流れが放散器本体の空気案内壁部によって曲げられてから薬剤保持体に向かって流れるようになる。そして、空気が薬剤保持体を通過するときに該薬剤保持体に保持されている薬剤が空気に混合する。薬剤が混合した空気は排出孔から排出される。このとき、上流側で空気案内壁部によって空気の流れが曲げられているので、排出される空気の流れは乱れており、送風機による空気の流れ方向に対して交差する方向に向けて排出され、これにより、送風機によって送風される空気に薬剤が混合しやすくなる。
【0011】
また、送風機によって送風された空気は、放散器本体の縁部から該放散器本体の中央部に開口する排出孔へ向けて案内されることになる。このとき、放散器本体は空気の流れ方向に対して交差する方向に延びているので、空気の流れが急に曲げられることになる。これにより、薬剤が混合した空気を、送風機による空気の流れ方向に対して交差する方向に向けて排出することが可能になる。
【0012】
第
2の発明は、第
1の発明において、上記放散器本体は、上記送風機が有するファンの回転中心部を空気流れ方向下流側から覆う中央ガード板の下流側に重なるように設けられた状態で、該放散器本体の縁部が上記中央ガード板の縁部から外方へ突出するように形成されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、送風機のファンの回転中心部は風速が低い部分であり、この部分に対応するように該送風機に中央ガード板が設けられることがある。この場合に、放散器本体を、中央ガード板の下流側に重なるように設けることで、放散器本体がファンの送風に殆ど影響を与えないようにすることが可能になる。そして、放散器本体の縁部が中央ガード板の縁部から外方へ突出しているので、送風機によって送風された空気が中央ガード板の外方から空気案内壁部へ向けて確実に流れるようになる。
【0014】
第
3の発明は、第
2の発明において、上記放散器本体は、上記中央ガード板との間に、上記送風機によって送風された空気が流れる空気流路を形成するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、放散器本体が中央ガード板の下流側に重なるように設けられた状態で、放散器本体と中央ガード板との間に送風機によって送風された空気を流すための空気流路が形成される。つまり、送風機の中央ガード板を利用して空気流路の形成が可能になるので、放散器本体を中空構造にせずに済み、放散器本体の構成がシンプルになる。
【0016】
第
4の発明は、第
2の発明において、上記送風機用薬剤放散器は、上記送風機によって送風された空気が流れる空気流路を上記放散器本体との間に形成する流路形成板部を備えていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、送風機によって送風された空気が、放散器本体と流路形成板部との間の空気流路を流れて排出孔まで確実に案内される。
【0018】
第
5の発明は、第
1から
4のいずれか1つの発明において、上記放散器本体は、送風された空気の流れ方向に対して交差する所定方向に長い形状とされ、上記排出孔は、上記放散器本体の長手方向中央部に設けられ、上記放散器本体には、該放散器本体の長手方向一縁部から上記排出孔へ向けて延びる第1空気案内壁部と、該放散器本体の長手方向他縁部から上記排出孔へ向けて延びる第2空気案内壁部とが設けられていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、送風機によって送風された空気が放散器本体の長手方向一縁部から排出孔へ向けて案内され、また、放散器本体の長手方向他縁部から排出孔へ向けて案内される。これにより、空気が互いに異なる二方向から排出孔へ向かって流れて衝突するので、空気の流れがより一層乱れる。従って、送風機によって送風される空気に薬剤が混合しやすくなる。
【0020】
第
6の発明は、第
2から
4のいずれか1つの発明において、上記放散器本体の縁部が上記中央ガード板の縁部から全周に亘って外方へ突出するように形成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、送風機によって送風された空気が全周から排出孔へ向けて流れることになる。これにより、空気が互いに異なる多くの方向から排出孔へ向かって流れて衝突するので、空気の流れがより一層乱れる。従って、送風機によって送風される空気に薬剤が混合しやすくなる。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によれば、送風機によって送風された空気の流れを曲げてから薬剤保持体へ向けるようにしたので、放散器本体から排出される空気の流れを乱すことができ、送風機による空気の流れ方向に対して交差する方向に向けて排出することができる。これにより、送風機によって送風される空気に薬剤が混合しやすくなり、薬剤を広範囲に効率良く行き渡らせることができる。
【0023】
また、放散器本体が送風機によって送風された空気の流れ方向に対して交差する方向に延びる形状とされ、この放散器本体の中央部に排出孔が設けられ、空気案内壁部は、放散器本体の縁部から排出孔へ向けて延びるように設けられているので、薬剤が混合した空気を、送風機による空気の流れ方向に対して交差する方向に向けて確実に排出することができる。
【0024】
第
2の発明によれば、送風機の中央ガード板の下流側に重なるように放散器本体を設けることで、放散器本体がファンの送風に殆ど影響を与えないように配置できる。そして、放散器本体の縁部が中央板の縁部から外方へ突出しているので、送風機によって送風された空気を空気案内壁部へ向けて確実に流すことができる。
【0025】
第
3の発明によれば、送風機の中央ガード板との間に空気流路を形成することができるので、放散器本体の構成をシンプルにすることができる。
【0026】
第
4の発明によれば、空気流路を放散器本体と流路形成板部との間に形成することができるので、送風機によって送風された空気を排出孔まで確実に案内することができる。
【0027】
第
5の発明によれば、排出孔を放散器本体の長手方向中央部に設け、放散器本体の長手方向一縁部から排出孔へ向けて延びる第1空気案内壁部と、長手方向他縁部から排出孔へ向けて延びる第2空気案内壁部とを放散器本体に設けたので、空気が互いに異なる二方向から排出孔へ向かって流れて衝突する。これにより、空気の流れがより一層乱れるので、空気への薬剤の混合性を良好にすることができる。
【0028】
第
6の発明によれば、放散器本体の縁部が中央ガード板の縁部から全周に亘って外方へ突出しているので、空気が互いに異なる多くの方向から排出孔へ向かって流れて衝突する。これにより、空気の流れがより一層乱れるので、空気への薬剤の混合性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る送風機用薬剤放散器1を扇風機(送風機)100に取り付けて使用する場合を示す正面図である。送風機用薬剤放散器1が取り付けられる扇風機100は、図示しないモーターによって回転駆動されるファン101と、ファン101を空気流れ方向下流側(前側)から覆う前側ガード102と、ファン101を空気流れ方向上流側(後側)から覆う後側ガード(図示せず)とを少なくとも備えている。前側ガード102は、中央ガード板103と、中央ガード板103の縁部から放射状に延びる多数の棒材104、104、…と、棒材104の先端部同士を連結するように略円形に延びる枠部105とを備えている。中央ガード板103は、ファン101の回転中心部を空気流れ方向下流側から覆うように配置されている。ファン101の回転中心部は、構造上、外周部に比べて風速が低い部分であり、この部分に対応するように中央ガード板103が設けられていることで、中央ガード板103がファン101の送風を阻害し難くなっている。詳細は後述するが、送風機用薬剤放散器1は
図1に示すように前側ガード102に取り付けて使用される。
【0032】
尚、送風機用薬剤放散器1は、扇風機100以外の各種送風機に取り付けて使用することができる。送風機としては、例えばサーキュレータや空調装置等を挙げることができる。また、送風機用薬剤放散器1は屋内で使用するのが好ましいが、屋外で使用することも可能である。
【0033】
(送風機用薬剤放散器の構成)
送風機用薬剤放散器1は、扇風機100によって送風された空気に薬剤を放散するためのものであり、
図2〜
図5等に示すように、薬剤保持体2と、放散器本体3と、流路形成板部4とを備えている。薬剤保持体2は、常温(20℃)で揮発する薬剤を保持するとともに、通気性を有する部材で構成されている。上記薬剤としては、例えば殺虫剤、害虫忌避剤、動物忌避剤、芳香剤、除菌剤、殺菌剤等の少なくとも1種からなる薬剤、またはこれらのうち任意の複数種を混合した薬剤等を挙げることができる。殺虫剤としては、例えばメトフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、プロフルトリン等を挙げることができるが、これに限られるものではなく、各種殺虫剤を使用することができる。また、植物精油(ペニーロイヤル油、レモングラス油、ヒバ油、ペパーミント油等)やその有効成分(プレゴン、シトラール、シトロネラール、ヒノキチオール、シネオール等)も忌避効能を発現するので好適に使用することができる。
【0034】
薬剤保持体2は、例えば不織布等の布材やメッシュ材、ハニカム材、発泡材、プリーツ成形された布材、マット材、シート材等を使用することができ、好ましいのは不織布である。薬剤保持体2に薬剤を保持させる方法としては、薬剤が染み込む性質を有している場合には含浸させることができ、また、薬剤を染み込ませることなく単に付着させることによって保持させることもできる。
【0035】
放散器本体3は、例えば樹脂材等を成形してなる板状部材で構成されており、扇風機100によって送風された空気の流れ方向に対して交差する方向に延びる形状とされ、放散器本体3の中央部には、薬剤保持体2を通過した空気を排出するための排出孔31が形成されている。放散器本体3には、排出孔31を覆うように格子を設けることもできる。また、排出孔31は複数形成してもよい。
【0036】
放散器本体3は、送風された空気の流れ方向に対して交差する所定方向、即ち左右方向に長い形状とされている。放散器本体3の左縁部(長手方向一縁部)が扇風機100の中央ガード板103の左縁部から外方へ突出するように形成され、また、放散器本体3の右縁部(長手方向他縁部)が扇風機100の中央ガード板103の右縁部から外方へ突出するように形成されている。つまり、放散器本体3の左右方向の寸法は、扇風機100の中央ガード板103の左右方向の寸法よりも長く設定されており、放散器本体3の左右両側が、中央ガード板103の左右両側から空気流れ上流側に臨むように配置されることになる。
【0037】
尚、扇風機100の中央ガード板103は殆どの場合、略円形であり、その外径は例えば80mm〜120mmの範囲にあることが多い。従って、放散器本体3の左右方向の寸法は、120mmを超えるように、例えば150mm以上に設定しておくのが汎用性を高める上で好ましい。
【0038】
上記排出孔31は放散器本体3の長手方向中央部、かつ、上下方向中央部に設けられており、放散器本体3を厚み方向に貫通するように形成されている。排出孔31は左右方向に長い形状とされている。
【0039】
図5に示すように、放散器本体3には、扇風機100によって送風された空気の流れを曲げてから薬剤保持体2へ向けるための左側空気案内壁部(第1空気案内壁部)32と、右側空気案内壁部(第2空気案内壁部)33とが設けられている。左側空気案内壁部32は、放散器本体3の左縁部から排出孔31へ向けて延びている。左側空気案内壁部32の左側部分は、該左側空気案内壁部32の左縁部へ近づくほど空気流れ方向上流側に位置するように湾曲形成された湾曲部である。左側空気案内壁部32の右側部分は、排出孔31へ向けて延びる部分であり、この実施形態では略平坦に形成されているが、緩やかに湾曲した形状であってもよい。尚、「空気流れ方向」とは、扇風機100のファン101の回転によって送風された空気の流れ方向であり、扇風機100の後から前へ向かう方向である。
【0040】
また、右側空気案内壁部33は、放散器本体3の右縁部から排出孔31へ向けて延びている。右側空気案内壁部33の右側部分は、該右側空気案内壁部33の右縁部へ近づくほど空気流れ方向上流側に位置するように湾曲形成された湾曲部である。右側空気案内壁部33の左側部分は、排出孔31へ向けて延びる部分であり、この実施形態では略平坦に形成されているが、緩やかに湾曲した形状であってもよい。
【0041】
図8等に示すように、左側空気案内壁部32の左縁部には、扇風機100の前側ガード102の棒材104を径方向に挟む一対の挟持片32a、32aが空気流れ方向上流側へ突出するように形成されている。同様に、右側空気案内壁部33の右縁部にも棒材104を径方向に挟む一対の挟持片33a、33aが空気流れ方向上流側へ突出するように形成されている。挟持片32a、32aの間、及び挟持片33a、33aの間にそれぞれ棒材104を押し込むようにすることで、挟持片32a、32a及び挟持片33a、33aが棒材104を挟み、これにより、送風機用薬剤放散器1が前側ガード102に対して着脱可能に取り付けられる。尚、送風機用薬剤放散器1の取付構造は上記した挟持片32a、32a及び挟持片33a、33aによる構造に限られるものではなく、棒材104に係合する係合部等を用いた構造であってもよいし、送風機用薬剤放散器1を中央ガード板103に貼り付ける構造であってもよい。
【0042】
図4等に示すように、放散器本体3の上部及び下部には、上壁部34及び下壁部がそれぞれ形成されている。上壁部34は、左側空気案内壁部32の左縁部から右側空気案内壁部33の右縁部まで連続して延びるとともに、放散器本体3の上部から空気流れ方向上流側へ突出している。下壁部35も左側空気案内壁部32の左縁部から右側空気案内壁部33の右縁部まで連続して延びるとともに、放散器本体3の下部から空気流れ方向上流側へ突出している。上壁部34及び下壁部35は互いに略平行に延びている。上壁部34及び下壁部35により左側空気案内壁部32と右側空気案内壁部33とが連結されるので、放散器本体3の剛性が向上する。また、左側空気案内壁部32及び右側空気案内壁部33と、上壁部34及び下壁部とにより、放散器本体3は空気流れ方向上流側に開放する凹形状になる。
【0043】
図5に示すように、流路形成板部4は、扇風機100によって送風された空気が流れる左側空気流路R1と、右側空気流路R2とを、放散器本体3との間に形成するためのものである。すなわち、流路形成板部4は、放散器本体3の排出孔31から空気流れ方向上流側に離れて配置されて上下方向に延びるとともに、左右方向にも延びている。流路形成板部4の上縁部は、放散器本体3の上壁部34と一体化されている。流路形成板部4の下縁部は、放散器本体3の下壁部35と一体化されている。
【0044】
また、流路形成板部4の左右方向の寸法は、放散器本体3の左右方向の寸法よりも短く設定されている。そして、流路形成板部4の左縁部は、放散器本体3の左側空気案内壁部32の左縁部よりも右側に配置されており、流路形成板部4の左縁部と左側空気案内壁部32の左縁部との間には、扇風機100によって送風された空気が流入する隙間が形成されている。また、流路形成板部4の右縁部は、放散器本体3の右側空気案内壁部33の右縁部よりも左側に配置されており、流路形成板部4の右縁部と左側空気案内壁部32の右縁部との間にも、扇風機100によって送風された空気が流入する隙間が形成されている。
【0045】
放散器本体3と流路形成板部4との間において排出孔31よりも左側には、上記左側空気流路R1が形成される。左側空気流路R1は、放散器本体3の左縁部から右側へ延びる流路である。一方、放散器本体3と流路形成板部4との間において排出孔31よりも右側には、上記右側空気流路R2が形成される。右側空気流路R2は、放散器本体3の右縁部から左側へ延びる流路である。
【0046】
また、放散器本体3における流路形成板部4側の面には、突条部36が設けられている。突条部36は、排出孔31を囲む枠状に延びている。
【0047】
薬剤保持体2の大きさは、突条部36の外形よりも大きく設定されている。薬剤保持体2は、突条部36と、突条部36よりも外側の放散器本体3との少なくとも一方に対して全周に亘って固着されている。薬剤保持体2は、放散器本体3を構成している樹脂材に溶着するようにしてもよいし、接着剤等を用いて接着するようにしてもよい。
【0048】
また、薬剤保持体2は交換可能にすることもできる。薬剤保持体2を交換可能にする場合には、図示しないが、例えば薬剤保持体2に枠を設け、この枠を放散器本体3に対して爪嵌合等によって取り付けておく。そして、交換時には古い薬剤保持体2の枠を取り外し、その後、新しい薬剤保持体2の枠を取り付けるようにすればよい。
【0049】
(送風機用薬剤放散器の使用方法)
次に、送風機用薬剤放散器1の使用方法について説明する。送風機用薬剤放散器1は、
図1に示すように、放散器本体3が扇風機100の中央ガード板103の空気流れ方向下流側に重なるように配置された状態で前側ガード102に取り付けられる。このとき、放散器本体3を前側ガード102に押し付けるようにして、棒材104を挟持片32a、32aの間、及び挟持片33a、33aの間にそれぞれ押し込むようにする。これにより、送風機用薬剤放散器1が扇風機100に取り付けられる。
【0050】
そして、扇風機100のファン102が回転して空気が送風されると、左側空気案内壁部32が中央ガード板103よりも左側へ突出しているので、左側空気案内壁部32と流路形成板部4との間の隙間に空気が入る。左側空気案内壁部32と流路形成板部4との間の隙間に入った空気は、左側空気案内壁部32の湾曲した部分によって右側へ案内される。これにより、空気の流れが曲がって薬剤保持体2へ向く流れとなる。一方、右側空気案内壁部33が中央ガード板103よりも右側へ突出しているので、右側空気案内壁部33と流路形成板部4との間の隙間にも空気が入る。右側空気案内壁部33と流路形成板部4との間の隙間に入った空気は、右側空気案内壁部33の湾曲した部分によって左側へ案内される。これにより、空気の流れが曲がって薬剤保持体2へ向く流れとなる。
【0051】
左側空気案内壁部32によって案内された空気は左側空気流路R1を右側へ向けて流れ、また、右側空気案内壁部33によって案内された空気は右側空気流路R2を左側へ向けて流れる。これにより、左側空気案内壁部32によって案内された空気と、右側空気案内壁部33によって案内された空気とが衝突することになるので、空気の流れが乱れる。そして、空気が薬剤保持体2を通過する際に、薬剤保持体2に保持されている薬剤が空気に混合する。薬剤保持体2を通過した空気は、排出孔31から排出される。
【0052】
また、空気の流れが曲げられることにより、左側空気流路R1及び右側空気流路R2における空気の流速が低下する。これにより、薬剤保持体2を通過する単位時間当たりの空気量が減少するので、薬剤保持体2に保持されている薬剤が早期に無くなってしまうのを抑制することができる。薬剤保持体2を通過する空気量を増やしたい場合には、左側空気流路R1及び右側空気流路R2の断面積を広くしたり、左側空気案内壁部32及び右側空気案内壁部33の曲がりを緩やかにすればよい。また、左側空気流路R1及び右側空気流路R2の上流端の開口面積を調整することによっても薬剤保持体2を通過する空気量を変えることができる。
【0053】
また、送風機用薬剤放散器1は正面視でその大部分が中央ガード板103と重複していて左右両縁部のみが中央ガード板103から突出しているので、送風機用薬剤放散器1を設けたことによる扇風機100の送風量低下は僅かなものであり、使用上は何ら問題がない。
【0054】
また、この実施形態では、流路形成板部4を設けたことで、ファン102によって送風された空気が一度曲がってから薬剤保持体2を通過することになり、該空気が薬剤保持体2に直接当たらないようにすることができる。これにより、薬剤保持体2に保持されている薬剤の単位時間当たりの放散量が多すぎないようにすることができ、薬剤保持体2の寿命を延ばすことができる。
【0055】
尚、送風機用薬剤放散器1の扇風機1への取付位置は、
図1に示す位置以外にも、例えば、
図9に示す位置に取り付けるようにしてもよい。
図9に示す位置では、送風機用薬剤放散器1が中央ガード板103から外れており、中央ガード板103と送風機用薬剤放散器1とが重複しないようになっている。
【0056】
また、送風機用薬剤放散器1は、例えば放散器本体3の長手方向が上下方向となる姿勢で扇風機1に取り付けてもよいし、放散器本体3が傾斜した姿勢となるように扇風機1に取り付けてもよい。
【0057】
(実施形態1の作用効果)
この実施形態1に係る送風機用薬剤放散器1によれば、薬剤保持体2を通過した空気が排出孔31から排出される際に、上流側で空気案内壁部32、33によって空気の流れが曲げられているので乱れることになり、扇風機100による空気の主流の流れ方向に対して交差する方向に向けて排出されることになる。これにより、扇風機100によって送風される空気に薬剤が混合しやすくなるので、薬剤を広範囲に効率良く行き渡らせることができる。
【0058】
また、送風機用薬剤放散器1が薄型であるため使用時に邪魔になりにくい。
【0059】
(実施形態1の変形例)
図10に示す実施形態1の変形例では流路形成板部4が省略されている。この変形例では、放散器本体3は、扇風機100の中央ガード板103との間に、扇風機100によって送風された空気が流れる左側空気流路R1及び右側空気流路R2を形成するように構成されている。すなわち、送風機用薬剤放散器1を
図1に示すように扇風機100の中央ガード板103の下流側に重なるように取り付けると、放散器本体3と中央ガード板103との間に左側空気流路R1及び右側空気流路R2が形成される。この変形例では、放散器本体3を中空構造にすることなく、左側空気流路R1及び右側空気流路R2を形成できるので、放散器本体3の構成をシンプルにすることができる。
【0060】
また、放散器本体3は、正面視で正方形や菱形、台形、三角形、五角形等の各種多角形であってもよいし、楕円形や長円形であってもよい。これらの場合も少なくとも一部の縁部が扇風機100の中央ガード板103から外方へ突出するように形成するのが好ましい。
【0061】
(実施形態2)
図11〜
図17に基づいて本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、送風機用薬剤放散器1の形状が正面視で円形である点で実施形態1と異なっており、基本的な構造は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0062】
実施形態2の放散器本体3は円形の板状に形成されており、その外径は扇風機100の中央ガード板103の外径よりも大きく設定されている。そして、放散器本体3の縁部が中央ガード板103の縁部から全周に亘って外方へ突出するように形成されている。
図12に示すように、放散器本体3の中央部には略円形の排出孔31が形成されている。放散器本体3における流路形成板部4側の面には、突条部38が設けられている。突条部38は、排出孔31を囲むように円形に延びている。
【0063】
図15に示すように、放散器本体3の外周側には、扇風機100によって送風された空気の流れを曲げてから薬剤保持体2へ向けるための空気案内壁部37が全周に亘って形成されている。空気案内壁部37の縁部は、放散器本体3の縁部から径方向外方へ突出している。空気案内壁部37の外周部分は、該空気案内壁部37の外縁部へ近づくほど空気流れ方向上流側に位置するように湾曲形成された湾曲部である。空気案内壁部37の内周部分は、排出孔31へ向けて延びる部分であり、この実施形態では略平坦に形成されているが、緩やかに湾曲した形状であってもよい。
【0064】
図17に示すように、空気案内壁部37の外縁部には、扇風機100の前側ガード102の棒材104を径方向に挟む一対の挟持片37a、37aと挟持片38a、38aとが空気流れ方向上流側へ突出するように形成されている。
【0065】
図15に示すように、流路形成板部4は、扇風機100によって送風された空気が流れる空気流路R3を、放散器本体3との間に形成するためのものである。この流路形成板部4は、放散器本体3の排出孔31から空気流れ方向上流側に離れて配置されて上下方向に延びている。放散器本体3には、排出孔31の周りにボス39が形成されており、このボス39に流路形成板部4が固定されている。尚、図示しないが、流路形成板部4にボスを形成し、このボスを放散器本体3に固定するようにしてもよい。
【0066】
また、流路形成板部4も円形であり、この流路形成板部4の縁部と空気案内壁部37の外縁部との間には、扇風機100によって送風された空気が流入する隙間が全周に亘って形成されている。
【0067】
実施形態2に係る送風機用薬剤放散器1を使用する場合には、扇風機100よって送風された空気が放散器本体3と流路形成板部4の間へ全周から入り、排出孔31へ向けて流れることになる。これにより、空気が互いに異なる多くの方向から排出孔31へ向かって流れて衝突するので、空気の流れがより一層乱れる。従って、扇風機100によって送風される空気に薬剤が混合しやすくなる。
【0068】
また、送風機用薬剤放散器1は正面視でその大部分が中央ガード板103と重複していて周縁部のみが中央ガード板103から突出しているので、送風機用薬剤放散器1を設けたことによる扇風機100の送風量低下は僅かなものであり、使用上は何ら問題がない。
【0069】
尚、送風機用薬剤放散器1の扇風機1への取付位置は、
図11に示す位置以外にも、例えば、送風機用薬剤放散器1が中央ガード板103から外れた位置であってもよい。これにより、中央ガード板103と送風機用薬剤放散器1とが重複しないようになる。
【0070】
(実施形態2の変形例)
図18に示す実施形態2の変形例では流路形成板部4が省略されている。この変形例では、放散器本体3は、扇風機100の中央ガード板103との間に、扇風機100によって送風された空気が流れる空気流路R3を形成するように構成されている。すなわち、送風機用薬剤放散器1を
図11に示すように扇風機100の中央ガード板103の下流側に重なるように取り付けると、放散器本体3と中央ガード板103との間に空気流路R3が形成される。この変形例では、放散器本体3を中空構造にすることなく、空気流路R3を形成できるので、放散器本体3の構成をシンプルにすることができる。
【0071】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。