【実施例】
【0076】
以下に具体的な実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明はその実施形態に限定されるものではなく、それらにおける様々な変更及び改変が当業者によって、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく実行され得ることが理解される。
【0077】
試料の調製
(1)1%メラトニン顆粒
D−マンニトール19.4kg、メラトニン0.2kgを撹拌造粒混合装置に投入し、無水エタノール2.02kg、精製水2.02kg及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−L)0.202kgの混液を加えて3分間造粒した。得られた造粒品を通気乾燥機に入れ、60℃で90分乾燥し、乾燥顆粒とした。乾燥顆粒を倍散篩過機(目開き:425μm)で篩分し、整粒顆粒とした。得られた整粒顆粒10.0kgを分取し、軽質無水ケイ酸0.101kgを加えて混合後、再度、倍散篩過機(目開き:425μm)で篩分して1%メラトニン顆粒剤を得た。
【0078】
(2)0.2%メラトニン顆粒
メラトニン0.08kgを無水エタノール9.8kgに溶解した液に、精製水9.8kg及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−M)0.4kgを加えて溶解させ、メラトニン溶液とした。D−マンニトール39.12kgを流動層造粒乾燥機に入れ、これに、上記で調製したメラトニン溶液全量を噴霧した。さらに、50%エタノール1kgを噴霧し、恒量に達するまで乾燥させた。得られた粒子を30メッシュのふるいで篩分し、軽質無水ケイ酸0.4kgを加えて混合することにより、0.2%メラトニン顆粒剤を得た。
【0079】
(3)プラセボ顆粒
D−マンニトール19.6kgを撹拌造粒混合装置に投入し、無水エタノール2.02kg、精製水2.02kg及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−L)0.202kgの混液を加えて3分間造粒した。得られた造粒品を通気乾燥機に入れ、60℃で90分乾燥し、乾燥顆粒とした。乾燥顆粒を倍散篩過機(目開き:425μm)で篩分し、整粒顆粒とした。得られた整粒顆粒10.0kgを分取し、軽質無水ケイ酸0.101kgを加えて混合後、再度、倍散篩過機(目開き:425μm)で篩分してプラセボ顆粒を得た。
【0080】
比較例1
健康成人女性6名(20〜38才、平均28.7才)に対し、1%メラトニン顆粒0.5g(メラトニン5mg相当)を空腹時に経口投与した。その結果、4名の被験者において、頭痛の症状が確認された。
【0081】
実施例1−1:種々のメラトニン投与量における効果と安全性の確認
DSM−5 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)の神経発達症(知的能力障害群、コミュニケーション症群、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症、運動症群、他の神経発達症群)を有し、かつ睡眠障害を有する小児(年齢9〜15才、平均12.7才)13名を、被験者とした。それぞれの被験者に、5週にわたり、1週間ずつ、1%メラトニン顆粒とプラセボ顆粒を表1に記載の分量で組み合わせた被験物質を、1日1回、入床30〜60分前に、経口投与した。
【0082】
【表1】
【0083】
被験者ごとに記載した睡眠日誌及び睡眠計測活動量計の測定値に基づき、入眠潜時を算出した。ここで、睡眠日誌は、被験者の睡眠時の状況を記録した日誌であり、観察開始時から終了時まで毎日、被験者の就寝時及び起床時の状況(服薬時刻、入床時刻、入眠時刻、夜間起床回数、夜間起床から睡眠までの時間、覚醒時刻、離床時刻、昼寝の時間、寝る時刻になった時の入床への抵抗感、目が覚めた時の機嫌、起床後の眠気の強さ)を記録した日誌である。また、睡眠計測活動量計は、無線通信活動量計(株式会社エステラ製、形式FS−750又はFS760)を使用し、観察開始時から終了時まで、被験者の服のウエスト部分(できれば正面)に継続して装着し、被験者の活動量を測定した。
【0084】
入眠潜時の算出結果を、
図1及び
図2に示す。睡眠日誌のデータに基づいて算出された入眠潜時は、メラトニンの投与により大きく減少し、さらに、投与量の増加に伴い、減少する傾向が示された(
図1)。また、睡眠計測活動量計のデータに基づいて算出された入眠潜時も、同様に、メラトニンの投与によって大きく減少し、データのばらつきはあるものの、全体として投与量の増加に伴い減少する傾向が示された。
【0085】
また、全ての被験者において、メラトニン4mg相当までの投与量において投与継続の妨げとなるような安全性の問題は認められなかった。以上の結果により、メラトニン4mg相当までの投与により、神経発達症を伴う小児の入眠困難症状を安全かつ有効に改善し得ることが確認された。
【0086】
実施例1−2:自閉スペクトラム症を有する小児に対する効果の確認
(1)プラセボからの入眠潜時短縮量の確認
DSM−5 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)の自閉スペクトラム症を有する小児(6〜15才、平均11.2才)196名を、被験者とした。被験者を3群(A群:66名、B群:65名、C群:65名)に分け、表2に記載した分量でプラセボ顆粒と0.2%メラトニン顆粒を組み合わせた被験物質を、表2に記載した期間連続して、入床30〜60分前に、1日1回経口投与した。睡眠日誌のデータに基づいて入眠潜時を算出し、投与期間終了前7日間の平均を求めて、プラセボ投与時(2週間目)からの入眠潜時の短縮時間を評価した。
【0087】
【表2】
【0088】
A群(プラセボ投与)、B群(メラトニン1mg相当投与)及びC群(メラトニン4mg相当投与)における入眠潜時の短縮時間は、それぞれ平均−7.2分、−28.3分、−32.6分であり、メラトニンの投与によって、入眠潜時が有意に短縮されることが確認された。また、メラトニンの投与量が多い方が、入眠潜時がより短縮されることが確認された。
【0089】
一方、継続投与の妨げとなり得る副作用としては、C群(メラトニン4mg相当投与)において傾眠が1例観察されたものの、B群(メラトニン1mg相当投与)ではそのような副作用は確認されなかった。
【0090】
(2)症状に応じて増加等を行った場合の入眠困難改善効果の確認
上記(1)の試験に引き続き、症状に応じた投与量の変更を行った場合の、入眠困難改善効果の確認を行った。上記(1)の試験に参加した被験者に対し、0.2%メラトニン顆粒剤0.5g(メラトニン1mg相当)を開始用量として、被験物質を1日1回、入床30〜60分前に経口投与した。同一用量にて1週間以上継続して投与を行い、効果不十分で安全性が許容できる場合は、0.2%メラトニン顆粒剤1.0g(メラトニン2mg相当)、0.2%メラトニン顆粒剤2.0g(メラトニン4mg相当)へと順次増量することを可とした。ただし、増量の判断は、1週間以上の投与の後で行うこととした(1週間以内の増量の禁止)。また、増量後に安全性の問題を認めた場合は、元の投与量への減量を行った。試験期間は42日間とし、前半及び後半において、各被験者の入眠潜時の変化を評価した。
【0091】
その結果、試験前半及び後半における入眠潜時の短縮時間は、それぞれ平均−29.9分及び−31.9分であり、入眠困難を有意に改善できることが確認された。また、投薬に関連した副作用としては、傾眠が1例観察されたのみであった。
【0092】
以上の結果により、本発明に係る入眠困難改善用の顆粒剤により、安全かつ有効に自閉スペクトラム症を有する小児の入眠困難を改善させ得ることが確認された。
【0093】
実施例1−3:神経発達症を有する小児に対する効果の確認
DSM−5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)の神経発達症(知的能力障害群、コミュニケーション症群、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症、運動症群、他の神経発達症群)を有し、かつ睡眠障害を有する小児(年齢6〜15才、平均10.4才)99名を、被験者とした。
【0094】
まず、初めの14日間は、プラセボ顆粒0.5gを、1日1回、入床15〜75分前に、各被験者に経口投与した。その後、0.2%メラトニン顆粒剤を被験物質として用い、0.5g(メラトニン1mg相当)を開始用量とし、効果不十分で安全性が許容できる場合は1.0g(メラトニン2mg相当)、2.0g(メラトニン4mg相当)へ順次増量できるといった投与量の条件にて、1日1回、入床15〜75分前に、被験者に経口投与した。増量の判断は、1週間以上の投与の後で行うこととした(1週間以内の増量の禁止)。また、増量後に安全性の問題を認めた場合は、元の用量への減量を行った。被験物質の投与期間は、182日とした。
【0095】
被験者における睡眠日誌のデータに基づいて入眠潜時を算出し、本発明に係る入眠困難改善用の顆粒剤の効果を評価した。被験物質の投与開始後における入眠潜時の短縮時間(プラセボ投与からの入眠潜時の短縮時間)の平均を、表3に示す。全ての観察時間点において、入眠潜時が30分以上短縮しており、プラセボ投与と比較して、有意な入眠潜時の短縮が認められた。また、長期にわたり、効果が持続することが確認された。
【0096】
【表3】
【0097】
さらに、本発明に係る入眠困難改善用の顆粒剤の有効性は入眠潜時短縮効果に限ったものではなく、睡眠日誌に記録された目が覚めた時の機嫌、起床後の眠気の強さ、及び寝る時間になった時の入床への抵抗感は、投与開始以降、後観察期まで継続して有意に改善していた。
【0098】
安全性に関しては、軽度の寝言及びいびきにより、被験者の申し出によって投薬を中止した例が1例あった他は、投与継続を妨げる直接の原因となる副作用は観察されなかった。
【0099】
以上の結果により、本発明に係る入眠困難改善用の顆粒剤は、長期の継続使用下においても、安全かつ効果的に神経発達症を有する小児に対する入眠困難を改善させ得ることが確認された。
【0100】
参考例1〜2:異なる結合剤を用いた製造検討
(1)顆粒試料の製造
粘度の異なる結合剤を用い、コア粒子をマンニトールとした場合における顆粒剤製造の基礎検討を行った。結合剤として、ヒプロメロース(信越化学工業株式会社製、TC−5E、参考例1)と、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−L、参考例2)を用いた実験を、それぞれ行った。
本実験は、粘度の異なる結合剤を用いて製造された顆粒剤における微末の発生有無の確認を目的としたため、メラトニンを用いずに行った。
【0101】
ヒプロメロース(信越化学工業株式会社製、TC−5E、参考例1)又はヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−L、参考例2)を精製水4.04kgに溶解した液をそれぞれ調整し、ヒプロメロース結合液及びヒロドキシプロピルセルロース結合液とした。
D−マンニトール19.4kgをバーチカルグラニュレーターに投入し、調整したヒプロメロース結合液全量を加え、5分間造粒した。得られた造粒品を倍散篩過機(スクリーン目開き:2575μm)で整粒し、湿式顆粒とした。
得られた湿式顆粒を60℃で60分間乾燥し、コーミルを用いて粉砕後、軽質無水ケイ酸0.2kgを添加して混合して顆粒試料を得た(参考例1)。
また、結合液としてヒドロキシプロピルセルロースを用いた以外は参考例1と同様の方法を用いて顆粒試料を調製し、参考例2とした。
【0102】
(2)微末量の測定
得られた各顆粒試料約50gを秤量し、日本薬局方 粒度測定法第2法ふるい分け法(機械的振とう法)記載の方法にて200号篩(75μm)の篩にかけ、200号篩を通過する粉末の量(微末の量)を測定した。その結果、微末の量はヒプロメロースを用いて製造した顆粒(参考例1)では33.9%、ヒドロキシプロピルセルロースを用いて製造した顆粒(参考例2)では13.9%であった。この結果から、何れの結合剤を用いた場合においても、微末の発生が抑えられた顆粒剤が製造でき、特にヒドロキシプロピルセルロースを用いた場合は、より微末の発生が抑えられることが確認された。
【0103】
実施例2−1〜2−4:種々のコア粒子を用いた製造検討
(1)メラトニン含有顆粒剤の製造
エタノール2.02kgと精製水2.02kgの混液にヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−L)0.202kgを溶解し、結合液とした。
表4に記載のコア粒子19.4kgとメラトニン0.2kgをバーチカルグラニュレーターに投入し、結合液全量を加えて5分間造粒した。得られた造粒品を倍散篩過機(スクリーン目開き:2575μm)で整粒し、湿式顆粒とした。
得られた湿式顆粒を60℃で60分間乾燥し、コーミルを用いて粉砕後、軽質無水ケイ酸0.2kgを添加して混合して各顆粒剤試料を得た。
【0104】
(2)微末量の測定
得られた各顆粒剤試料約50gを秤量し、日本薬局方 粒度測定法第2法ふるい分け法(機械的振とう法)記載の方法にて200号篩(75μm)の篩にかけ、200号篩を通過する粉末の量(微末の量)を測定した。
結果を、表4に示す。全てのコア粒子について、微末の発生が抑えられていることが確認された。
【0105】
【表4】
【0106】
実施例2−5:ヒドロキシプロピルセルロースを結合剤として用いて製造した顆粒剤の流動性評価
(1)メラトニン含有顆粒剤の製造
メラトニン0.08kgを無水エタノール9.8kgに溶解した液に、精製水9.8kg及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−M)0.4kgを加えて溶解させ、メラトニン溶液とした。D−マンニトール39.12kgを流動層造粒乾燥機に入れ、これに、上記で調製したメラトニン溶液全量を噴霧液量250mL/minの条件で噴霧した。さらに、50%エタノール1kgを同様の条件で噴霧し、流動層を稼働させて造粒しながら(吸気温度:80℃)、恒量に達するまで乾燥させた(乾燥終点:排気温度50℃)。得られた粒子を30メッシュのふるいで篩分し、軽質無水ケイ酸0.4kgを加えて混合することにより、0.2%メラトニン含有顆粒剤を得た。
【0107】
(2)微末量の測定
得られた顆粒剤約50gを秤量し、日本薬局方 粒度測定法第2法ふるい分け法(機械的振とう法)記載の方法にて200号篩(75μm)の篩にかけ、200号篩を通過する粉末の量(微末の量)を測定した。その結果、微末の量は3.76%であった。この結果から、本発明に係る製造方法により、微末の発生が十分に抑えられた顆粒剤が製造できることが確認された。
【0108】
(3)Hausner比の測定
得られた顆粒剤を100g秤量し、容量250mLのメスシリンダーに入れ、日本薬局方に記載された方法に従って、粗比容(かさ密度:mL/g)と密比容(タップ密度:mL/g)を求めた。得られた粗比容と密比容の値に基づき、Hausner比を算出した。求められたHausner比は1.06であり、極めて良好な流動性を有するものと判定された。
【0109】
実施例2−6:40kgスケールで製造した場合における流動性及び溶出性評価
(1)メラトニン含有顆粒剤の製造
メラトニン0.08kgを無水エタノール9.8kgに溶解した液に、精製水9.8kg及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−M)0.4kgを加えて溶解させ、メラトニン溶液とした。D−マンニトール39.12kgを流動層造粒乾燥機に入れ、これに、上記で調製したメラトニン溶液全量を噴霧液量250mL/minの条件で噴霧した。さらに、50%エタノール1kgを同様の条件で噴霧し、流動層を稼働させて造粒しながら(吸気温度:80℃)、恒量に達するまで乾燥させた(乾燥終点:排気温度50℃)。得られた粒子を30メッシュのふるいで篩分し、軽質無水ケイ酸0.4kgを加えて混合することにより、0.2%メラトニン含有顆粒剤を得た。
製造は合計3ロット行った。
【0110】
(2)微末量の測定
得られた顆粒剤約50gを秤量し、実施例2−5と同様の要領にて微末の量を求めた。製造した各ロットにおける微末量は、5.64%、5.80%、4.68%であった。この結果から、実施例2−5と同様に、微末の発生が十分に抑えられた顆粒剤が製造できることが確認された。
【0111】
(3)Hausner比の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−5と同様の要領にて、Hausner比を測定した。製造した各ロットにおけるHausner比の値は、1.24、1.11、1.11であり、やや良好又は極めて良好な流動性を有するものと判定された。
【0112】
(4)溶出性の測定
得られた顆粒剤につき、日本薬局方 溶出試験法第2法 パドル法(試験液:水、試験液量:900mL、回転数:50rpm)を用い、メラトニンの溶出15分値を求めた。メラトニンの溶出量の測定は、下記の条件の逆相液体クロマトグラフィーを用い、メラトニン標準物質溶液における測定値との比較に基づいて行った。
【0113】
液体クロマトグラフィー試験条件
測定波長:223nm
カラム:直径3μmのオクタデシルシリル化シリカゲルを、内径4.6mm、長さ75mmのステンレス管に充填したもの。
カラム温度:25℃
移動相:pH3.0の18mmol/Lリン酸塩緩衝液/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(4:1)
流量:毎分1.5mL
【0114】
各ロットにおける溶出15分値(平均値)は、それぞれ101%、102%、103%であり、十分な即放性を有していることが確認された。
【0115】
(5)顆粒中のメラトニン含量の確認
得られた各顆粒剤3gをメタノール/水(7:3)混液に溶解して500mLとした液を試料とし、溶出性試験と同様の条件による高速液体クロマトグラフィーにて分析を行った。メラトニン標準物質における分析値との比較に基づき、顆粒剤試料中のメラトニン含量を求めた。その結果、全てのロットにおいて、メラトニン含量は0.2%であった。
【0116】
実施例2−7:120kgスケールで製造した場合における流動性及び溶出性評価
(1)メラトニン含有顆粒剤の製造
メラトニン0.24kgを無水エタノール29.4kgに溶解した液に、精製水29.4kg及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、HPC−M)1.2kgを加えて溶解させ、メラトニン溶液とした。D−マンニトール117.36kgを流動層造粒乾燥機に入れ、これに、上記で調製したメラトニン溶液全量を噴霧液量250mL/minの条件で噴霧した。さらに、同様の条件にて50%エタノール3kgを噴霧し、流動層を稼働させて造粒しながら(吸気温度:80℃)、恒量に達するまで乾燥させた(乾燥終点:排気温度50℃)。得られた粒子を30メッシュのふるいで篩分し、軽質無水ケイ酸1.2kgを加えて混合することにより、0.2%メラトニン含有顆粒剤を得た。
【0117】
(2)微末量の測定
得られた顆粒剤約50gを秤量し、実施例2−5と同様の要領にて微末の量を求めた。微末量は、1.82%であった。
【0118】
(3)Hausner比の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−5と同様の要領にて、Hausner比を測定した。Hausner比の値は、1.10であり、極めて良好な流動性を有するものと判定された。
【0119】
(4)溶出性の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−6と同様の方法にて、溶出15分値を求めた。溶出15分値(平均値)は99.8%であり、十分な即放性を有していることが確認された。
【0120】
(5)顆粒中のメラトニン含量の確認
得られた顆粒剤につき、実施例2−6と同様の方法を用いてメラトニン含量を求めた。その結果、顆粒剤中のメラトニン含量は0.2%であった。
【0121】
実施例2−8:流動層造粒乾燥機におけるメラトニン溶液の噴霧液量の違いによる影響の検討
(1)メラトニン含有顆粒剤の製造
流動層造粒乾燥機内におけるD−マンニトールへのメラトニン溶液の噴霧液量を200mL/minとした以外は、実施例2−6と同様の条件とし、0.2%メラトニン含有顆粒剤を製造した。
【0122】
(2)微末量の測定
得られた顆粒剤約50gを秤量し、実施例2−5と同様の要領にて微末の量を求めた。微末量は4.00%であった。
【0123】
(3)Hausner比の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−5と同様の要領にて、Hausner比を測定した。Hausner比の値は、1.07であり、極めて良好な流動性を有するものと判定された。
【0124】
(4)溶出性の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−6と同様の方法にて、溶出15分値を求めた。溶出15分値(平均値)は98.2%であり、十分な即放性を有していることが確認された。
以上の結果より、微末量、流動性、溶出性共に、メラトニン溶液の噴霧液量を200mL/minに減じても、ほとんど影響を受けることなく、良好な顆粒剤を製造し得ることが確認された。
【0125】
実施例2−9:流動層造粒乾燥機におけるメラトニン溶液の噴霧液量の違いによる影響の検討
(1)メラトニン含有顆粒剤の製造
流動層造粒乾燥機内におけるD−マンニトールへのメラトニン溶液の噴霧液量を300mL/minとした以外は、実施例2−6と同様の条件とし、0.2%メラトニン含有顆粒剤を製造した。
【0126】
(2)微末量の測定
得られた顆粒剤約50gを秤量し、実施例2−5と同様の要領にて微末の量を求めた。微末量は5.52%であった。
【0127】
(3)Hausner比の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−5と同様の要領にて、Hausner比を測定した。Hausner比の値は、1.15であり、良好な流動性を有するものと判定された。
【0128】
(4)溶出性の測定
得られた顆粒剤につき、実施例2−6と同様の方法にて、溶出15分値を求めた。溶出15分値(平均値)は98.1%であり、十分な即放性を有していることが確認された。
以上の結果より、微末量、流動性、溶出性共に、メラトニン溶液の噴霧液量を300mL/minに増加させても、ほとんど影響を受けることなく、良好な顆粒剤を製造し得ることが確認された。