【実施例1】
【0030】
以下に、本発明に係る鉄筋固定具の第1実施例について、
図1乃至
図6及び
図8に基づいて説明する。
【0031】
ここで、
図1は、本発明の鉄筋固定具により、縦筋と横筋とをこれらの交差部で固定している様子を示す模式図であり、
図2は、本発明の第1実施例に係る鉄筋固定具を示す模式的正面図であり、
図3は、本発明の第1実施例に係る鉄筋固定具を示す模式的背面図であり、
図4は、本発明の第1実施例に係る鉄筋固定具を示す模式的右側面図であり、
図5は、本発明の第1実施例に係る鉄筋固定具を示す模式的平面図であり、
図6は、本発明の第1実施例に係る鉄筋固定具の締結ボルトと座金付き締結ナットを示す模式図であり、
図8は、本発明の鉄筋固定具の横筋抱持領域、第一縦筋抱持領域及び第二縦筋抱持領域に共通する構成を示す説明図である。
【0032】
第1実施例に係る鉄筋固定具100は、
図1に示すように、鉄筋長手方向に沿って突起した一対の補強用リブVRRを有する縦筋VRと、鉄筋長手方向に沿って突起した一対の補強用リブHRRを有する横筋HRとの交差部分に配置するものであり、
図1乃至
図6に示すように、横筋HRを抱持するU字状の横筋抱持領域111と、この横筋抱持領域111の一端に連なって縦筋VRを抱持するU字状の第一縦筋抱持領域112と、この第一縦筋抱持領域111に連なるU字状の第一締結領域114と、横筋抱持領域111の他端に連なって縦筋VRを抱持するU字状の第二縦筋抱持領域113と、この第二縦筋抱持領域113に連なるU字状の第二締結領域115とを備えた棒鋼からなる鉄筋固定具本体110を有している。
【0033】
また、第1実施例に係る鉄筋固定具100は、
図1乃至
図6に示すように、鉄筋固定具本体110の第一締結領域114に外側から係止するU字状の係止領域121とこの係止領域の一端に連なって鉄筋固定具本体110の第二締結領域115を挿通する直線状の螺子領域122とを備えた棒鋼からなる締結ボルト120を有している。
【0034】
さらに、第1実施例に係る鉄筋固定具100は、締結ボルト120に鉄筋固定具本体110の第二締結領域115の外側から螺合する座金付き締結ナット130を有している。
【0035】
そして、鉄筋固定具本体110が、横筋抱持領域111の横筋当接部位に横筋HRの補強用リブHRRと係合する、いわゆる、水滴型の6つのリブ係合凹部111rを備えている。
【0036】
これらのリブ係合凹部111rは、
図7及び
図8に示すように、それぞれ横筋抱持領域111の長手方向に沿った急斜面111rsと、この急斜面に連続する緩斜面111rgとで形成されている。
【0037】
これらのリブ係合凹部111rは、いずれもU字状の横筋抱持領域111の最奥部111aを避けて配置されている。
【0038】
図8に示すように、横筋抱持領域111は、リブ係合凹部111rを有する大曲率部位LCとリブ係合凹部111rを有していない小曲率部位SCとを有している。
【0039】
また、
図1乃至
図3に示すように、鉄筋固定具本体110の第一縦筋抱持領域112が、鉄筋固定具本体110の第二縦筋抱持領域113に対向して配置され、第一縦筋抱持領域112の縦筋当接部位に縦筋VRの補強用リブVRRと係合する6個のリブ係合凹部112rを備えるとともに、第二縦筋抱持領域113の縦筋当接部位に縦筋VRの補強用リブVRRと係合する、いわゆる、水滴型の6個のリブ係合凹部113rを備えている。
【0040】
縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rは、
図2に示すように、第一縦筋抱持領域112と第二縦筋抱持領域113とで同一位置に設けられている。
【0041】
そして、縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rは、U字状の第一縦筋抱持領域112及び前記第二縦筋抱持領域113のそれぞれ最奥部112a、113aを避けて配置されている。
【0042】
さらにまた、第一縦筋抱持領域112及び第二縦筋抱持領域113は、
図8に示すように、縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rを有する大曲率部位LCと縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rを有していない小曲率部位SCとをそれぞれ有している。
【0043】
次に、本発明に係る鉄筋固定具100を用いて縦筋VRと横筋HRとを、これらの交差部分において固定する手順を説明する。
【0044】
まず、縦筋VRの所定位置において、横筋HRを手前側に水平に配置する。
次に、鉄筋固定具本体110のU字状の横筋抱持領域111のカーブの内側である横筋当接部位を手前側から横筋HRに当接させ、鉄筋固定具本体110全体を縦筋VRの奥側から賭け回して、U字状の第一縦筋抱持部112及び第二縦筋抱持部113のそれぞれのカーブの内側である縦筋当接部位を縦筋VRの奥側から縦筋VRに当接させる。
【0045】
さらに、第一締結領域114に締結ボルト120のU字状の係止領域121を外側から係止させ、この係止領域121の一端に連なる螺子領域122を内側から第二締結領域115に挿通させる。
そして、締結ボルト120の螺子領域122に第二締結領域115の外側から座金付き締結ナット130を軽く螺合させて仮止めする。
【0046】
仮止めした状態で、横筋HRを自転回動させると、横筋HRの補強用リブHRRが横筋抱持領域111のリブ係合凹部111rに係合して自転回動が止まり、横筋HRの位置決めが完了する。
【0047】
同様に、仮止めした状態で、縦筋VRを自転回動させると、縦筋VRの補強用リブVRRが第一縦筋抱持部112のリブ係合凹部112r及び第二縦筋抱持部113のリブ係合凹部113rに係合して自転回動が止まり、縦筋VRの位置決めが完了する。
【0048】
この状態で、螺子領域122に螺合している座金付き締結ナット130をさらに回すことにより、縦筋VRと横筋HRとをこれらの交差部分において固定することができる。
【0049】
第1実施例の鉄筋固定具100によれば、鉄筋固定具本体110が、横筋抱持領域111の横筋当接部位に横筋HRの補強用リブHRRと係合するリブ係合凹部111rを備えていることにより、横筋HRの補強用リブHRRが鉄筋固定具本体110のリブ係合凹部111rに係合するため、交差部分を固定した際に横筋HRの自転回動を防止することができる。
【0050】
また、リブ係合凹部111rが、横筋抱持領域111の長手方向に沿った急斜面111rsとこの急斜面111rsに連続する緩斜面111rgとで形成されていることにより、横筋HRを一方向に回して横筋HRの補強用リブHRRを緩斜面111rg側から急斜面111rs側へ向かうようにリブ係合凹部111rに係合させると、急斜面111rsがスットパーの役割を奏して横筋HRの補強用リブHRRが急斜面111rsに当接して着座するため、簡便な操作で横筋HRの補強用リブHRRをリブ係合凹部111rに確実に固定することができる。
【0051】
さらに、リブ係合凹部111rがU字状の横筋抱持領域111の最奥部111aを避けて配置されていることにより、横筋の一方の補強用リブHRRがリブ係合凹部111rに係合した際に、横筋HRの他方の補強用リブHRRが縦筋VRに当接せずに固定されるため、交差部分の固定後に仮に外力により横筋HRが自転回動しても、交差部分の緩みが生じない強固な固定を実現することができる。
【0052】
そして、横筋抱持領域111が、リブ係合凹部111rを有する大曲率部位LCとリブ係合凹部111rを有していない小曲率部位SCとを有していることにより、横筋HRを自転回動させて位置決めする際に、横筋HRの補強用リブHRRが横筋抱持領域111の小曲率部位SCから大曲率部位LCに達したときに自転回動の抵抗が増して止まるため、いっそう簡便な操作で横筋HRの補強用リブHRRをリブ係合凹部111rにいっそう確実に係合させて交差部分を固定することができる。
【0053】
さらにまた、鉄筋固定具本体110のU字状の第一縦筋抱持領域112が、U字状の鉄筋固定具本体110の第二縦筋抱持領域113に対向して配置され、鉄筋固定具本体110が、第一縦筋抱持領域112の縦筋当接部位にリブ係合凹部112rを備えるとともに、第二縦筋抱持領域113の縦筋当接部位にリブ係合凹部113rを備えていることにより、縦筋VRの補強用リブVRRがリブ係合凹部112r、113rに係合するため、交差部分を固定した際に縦筋VRの自転回動を防止することができる。
【0054】
加えて、縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rが、第一縦筋抱持領域112と第二縦筋抱持領域113とで同一位置に設けられていることにより、縦筋VRの補強用リブVRRが第一縦筋抱持領域112と第二縦筋抱持領域113の両方のリブ係合凹部112r、113rに係合するため、交差部分を固定した際に縦筋VRの自転回動を確実に防止することができる。
【0055】
さらに加えて、縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rが、前記第一縦筋抱持領域112及び前記第二縦筋抱持領域113の長手方向にそれぞれ沿った急斜面112rs、113rsとこれら急斜面112rs、113rsに連続する緩斜面112rg、113rgとで形成されていることにより、縦筋VRを一方向に回して縦筋VRの補強用リブVRRを緩斜面112rg、113rg側から急斜面112rs、113rs側へ向かうようにリブ係合凹部112r、113rに係合させると、急斜面112rs、113rsがスットパーの役割を奏して縦筋VRの補強用リブVRRが急斜面112rs、113rsに当接して着座するため、簡便な操作で縦筋VRの補強用リブVRRをリブ係合凹部112r、113rに確実に固定することができる。
【0056】
そして、縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rが、第一縦筋抱持領域112及び第二縦筋抱持領域113のそれぞれ最奥部112a、113aを避けて配置されていることにより、縦筋VRの一方の補強用リブVRRがリブ係合凹部112r、113rに係合した際に、縦筋VRの他方の補強用リブVRRが横筋HRに当接せずに固定されるため、交差部分の固定後に仮に外力により縦筋VRが自転回動しても、交差部分の緩みが生じない強固な固定を実現することができる。
【0057】
さらに、第一縦筋抱持領域112及び第二縦筋抱持領域113が、縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rを有する大曲率部位LCと縦筋VRの補強用リブVRRと係合するリブ係合凹部112r、113rを有していない小曲率部位SCとをそれぞれ有していることにより、縦筋VRを自転回動させて位置決めする際に、縦筋VRの補強用リブVRRが第一縦筋抱持領域112又は第二縦筋抱持領域113の小曲率部位SCから大曲率部位LCに達したときに自転回動の抵抗が増して止まるため、いっそう簡便な操作で縦筋VRの補強用リブVRRをリブ係合凹部112r、113rにいっそう確実に係合させて交差部分を固定することができる。
【実施例2】
【0058】
次に、本発明に係る鉄筋固定具の第2実施例について、
図7に基づいて説明する。
ここで、
図7は、本発明の第2実施例に係る鉄筋固定具を示す模式的正面図である。
【0059】
そこで、本発明の第2実施例である鉄筋固定具200は、上述した第1実施例の鉄筋固定具100と比較すると、水滴型のリブ係合凹部の具体的態様が異なっており、その他の形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の鉄筋固定具と同一の部分について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0060】
第2実施例においては、水滴型のリブ係合凹部212r及び213rに形成した第一縦筋抱持領域212及び第二縦筋抱持領域213の長手方向にそれぞれ沿った急斜面212rs、213rsとこの急斜面212rs、213rsにそれぞれ連続する緩斜面212rg、213rgが、
図7に示すように、第一縦筋抱持領域212と第二縦筋抱持領域213とで逆向きに設けられている以外は、第一実施例と同様に鉄筋固定具200を構成している。
【0061】
第2実施例に係る鉄筋固定具200によれば、縦筋VRの補強用リブVRRと係合する、いわゆる水滴型のリブ係合凹部212r、213rに形成した第一縦筋抱持領域212r及び第二縦筋抱持領域213rの長手方向にそれぞれ沿った急斜面212rs、213rsとこの急斜面212rs、213rsにそれぞれ連続する緩斜面212rg、213rgが、第一縦筋抱持領域212と第二縦筋抱持領域213とで逆向きに設けられていることにより、縦筋VRを自転回動させて位置決めする際に、どちら向きに自転回動させても縦筋VRの補強用リブVRRが同じ力で第一縦筋抱持領域212のリブ係合凹部212rと第二縦筋抱持領域213のリブ係合凹部213rの両方に係合するため、いっそう簡便な操作で縦筋VRの補強用リブVRRを位置決めして交差部分をいっそう確実に固定することができる。
【0062】
以上、本発明に係る鉄筋固定具100、200について第1実施例および第2実施例を用いて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0063】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。