(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力部と、複数の機器と、前記入力部の入力に基づいて前記機器のそれぞれを制御する制御システムと、を備える対象装置に設けられ、前記対象装置の作動開始から作動停止までの作動状態を記録する作動状態記録システムであって、
前記制御システムは、
複数の前記機器を制御する複数の制御装置と、
前記対象装置の作動状態が、作動履歴情報として記録される不揮発性の不揮発性記憶装置と、
時間を計測する計時部と、を備え、
複数の前記制御装置は、冗長性を有する構成となっており、
前記制御装置は、前記対象装置の作動状態の変化時において、前記対象装置の作動状態を、前記計時部から取得した時間に関連付けて、前記作動履歴情報として前記不揮発性記憶装置に記録し、
前記不揮発性記憶装置は、複数の前記制御装置のそれぞれに設けられ、前記制御装置の内部に格納される不揮発性記憶部であり、
複数の前記制御装置は、いずれかの前記制御装置が作動を停止する場合、他の前記制御装置が、作動停止した前記制御装置の作動状態を記録することを特徴とする作動状態記録システム。
前記制御装置は、前記対象装置の作動状態の定常時において、前記対象装置の作動状態を、前記不揮発性記憶装置に記録しないことを特徴とする請求項1に記載の作動状態記録システム。
前記制御装置は、前記作動履歴情報として、前記入力部の作動状態と共に、前記入力部に関連付けられる前記機器の作動状態を合わせて前記不揮発性記憶装置に記録することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作動状態記録システム。
入力部と、複数の機器と、前記入力部の入力に基づいて前記機器のそれぞれを制御する制御システムと、を備える対象装置の作動開始から作動停止までの作動状態を記録する作動状態記録方法であって、
前記制御システムは、
複数の前記機器を制御する複数の制御装置と、
前記対象装置の作動状態が、作動履歴情報として記録される不揮発性の不揮発性記憶装置と、
時間を計測する計時部と、を備え、
複数の前記制御装置は、冗長性を有する構成となっており、
前記不揮発性記憶装置は、複数の前記制御装置のそれぞれに設けられ、前記制御装置の内部に格納される不揮発性記憶部であり、
前記対象装置の作動状態が変化したか否かを検出する作動状態検出工程と、
前記作動状態検出工程において、前記対象装置の作動状態が変化したと検出した場合、前記対象装置の作動状態を取得する作動状態取得工程と、
前記対象装置の作動状態の変化時における時間を前記計時部から取得する時間取得工程と、
前記作動状態取得工程において取得した作動状態と、前記時間取得工程において取得した時間とを関連付けて、作動履歴情報として前記不揮発性記憶装置に記録する作動履歴記録工程と、を備え、
前記作動履歴記録工程では、いずれかの前記制御装置が作動を停止する場合、他の前記制御装置が、作動停止した前記制御装置の作動状態を記録することを特徴とする作動状態記録方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1の制御システム及び特許文献2のプラント等の装置では、装置の作動中において、故障時または異常時等の異常イベントが発生したときに、故障情報またはプラント運転情報等の異常イベント時における装置の作動状態に関する情報が記録されていた。
【0006】
ところで、作動状態が記録される対象装置としては、例えば、各種試験が行われる被試験装置がある。被試験装置では、例えば、異常イベントを模擬的に発生させるための所定の作業手順(以下、異常発生作業手順という)が行われている。そして、被試験装置では、異常発生作業手順が行われることで、異常イベント発生時において、被試験装置が異常イベントに対する作動を適切に行っているか否かを確認している。ここで、被試験装置は、異常発生作業手順以外の過去の作業手順によって、作動に影響を受ける場合がある。この場合、異常発生作業手順が行われると、過去の作業手順による影響によって、被試験装置が異常イベントに対する作動を適切に行わない場合がある。この場合、被試験装置が異常イベントに対する作動を適切に行わない原因を突き止める(トラブルシュートする)必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1または特許文献2では、異常イベント発生時における装置の作動状態しか記録されていないことから、過去の装置の作動状態を把握することができない。このため、被試験装置が異常イベントに対する作動を適切に行わない原因を突き止める(トラブルシュートする)ことが困難となる。
【0008】
そこで、本発明は、対象装置の作動状態を時系列に沿って適切に把握することができる作動状態記録システム及び作動状態記録方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の作動状態記録システムは、入力部と、複数の機器と、前記入力部の入力に基づいて前記機器のそれぞれを制御する制御システムと、を備える対象装置に設けられ、前記対象装置の作動開始から作動停止までの作動状態を記録する作動状態記録システムであって、前記制御システムは、複数の前記機器を制御する複数の制御装置と、前記対象装置の作動状態が、作動履歴情報として記録される不揮発性の不揮発性記憶装置と、時間を計測する計時部と、を備え、前記制御装置は、前記対象装置の作動状態の変化時において、前記対象装置の作動状態を、前記計時部から取得した時間に関連付けて、前記作動履歴情報として前記不揮発性記憶装置に記録することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の作動状態記録方法は、入力部と、複数の機器と、前記入力部の入力に基づいて前記機器のそれぞれを制御する制御システムと、を備える対象装置の作動開始から作動停止までの作動状態を記録する作動状態記録方法であって、前記対象装置の作動状態が変化したか否かを検出する作動状態検出工程と、前記作動状態検出工程において、前記対象装置の作動状態が変化したと検出した場合、前記対象装置の作動状態を取得する作動状態取得工程と、前記対象装置の作動状態の変化時における時間を取得する時間取得工程と、前記作動状態取得工程において取得した作動状態と、前記時間取得工程において取得した時間とを関連付けて、作動履歴情報として記録する作動履歴記録工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
これらの構成によれば、対象装置の作動開始から作動停止までの作動状態を、時間に関連付け、作動履歴情報として記録することができる。このため、記録した作動履歴情報を時系列に沿って並べることで、対象装置の作動状態を時系列に沿って適切に把握することができる。よって、例えば、対象装置に異常イベントが発生し、対象装置が異常イベントに対する作動を適切に行わない場合であっても、異常イベント発生時の作動履歴情報の他、異常イベント発生前の過去の作動履歴情報を取得できるため、適切にトラブルシュートすることが可能となる。なお、対象装置としては、例えば、輸送機器であり、航空機、自動車、鉄道車両、船舶を含むものであってもよい。また、対象装置としては、例えば、各種試験が行われる被試験装置である。さらに、制御システムは、作動状態記録システムを兼ねた一体ものであってもよいし、制御システムと作動状態記録システムとが別体となる構成であってもよく、特に限定されない。また、対象装置の作動状態とは、入力部の作動状態、制御システムの作動状態、及び機器の作動状態を含んでいる。
【0012】
また、前記制御装置は、前記対象装置の作動状態の定常時において、前記対象装置の作動状態を、前記不揮発性記憶装置に記録しないことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、定常時における対象装置の作動状態を、不揮発性記憶装置に記録しないため、不揮発性記憶装置へ記録される情報量を抑制することができ、不揮発性記憶装置の記憶容量を低減することができる。
【0014】
また、前記制御装置は、前記対象装置の作動状態の変化を、2値化された状態値に基づいて検出していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、対象装置の作動状態の変化に関する検出を、簡易な検出処理とすることができる。なお、2値化された状態値としては、例えば、機器のON/OFF状態、状態値がしきい値を超えたか否か、動作モードが切り替えられたか否か等がある。
【0016】
また、前記制御装置は、前記作動履歴情報として、前記入力部の作動状態と共に、前記入力部に関連付けられる前記機器の作動状態を合わせて前記不揮発性記憶装置に記録することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、入力部の作動状態、例えば、操作スイッチのON/OFF等を、作動履歴情報として記録することができ、また、入力部に関連付けられる機器の作動状態も、作動履歴情報として記録することができるため、対象装置の作動状態が把握し易いものとなる。このため、対象装置のトラブル発生時において、トラブルの原因を特定し易いものとすることができる。
【0018】
また、前記不揮発性記憶装置は、複数の前記制御装置のそれぞれに設けられ、前記制御装置の内部に格納される不揮発性記憶部であることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、いずれかの制御装置が作動を停止する場合であっても、他の制御装置により、作動停止した制御装置の作動状態を記録することが可能となる。
【0020】
また、前記計時部は、前記制御装置に設けられる演算部のクロック数をカウントするクロックカウンタと、前記機器の電源の入切毎にカウントするパワーカウンタと、時刻をカウントするタイマと、のうち少なくともいずれかを含むことが好ましい。
【0021】
この構成によれば、クロックカウンタ、パワーカウンタ及びタイマを適宜組み合わせて、計時部による時間の計測を精度の高いものとすることができる。
【0022】
また、前記対象装置は、航空機であることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、航空機の作動状態を作動履歴情報として記録することができる。このため、航空機にトラブルが発生しても、過去の作動履歴情報から、適切にトラブルシュートを行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0026】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る作動状態記録システムを備える対象装置の制御ブロックを示す説明図である。
図2は、対象装置に行われる作業手順に関する説明図である。
図3は、対象装置の作動状態の変化に関する説明図である。
図4は、作動履歴情報に関する説明図である。
図5は、実施形態1に係る作動状態記録方法に関する制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0027】
実施形態1に係る作動状態記録システム10により作動状態が記録される対象装置1について説明する。この対象装置1は、例えば、航空機等の輸送機器であり、特に、被試験装置としての被試験機に適用されている。そして、作動状態記録システム10は、対象装置1に組み込まれており、後述する制御システム7が、作動状態記録システム10として機能している。なお、実施形態1では、対象装置1として、被試験機に適用して説明するが、特に限定されない。
【0028】
対象装置1は、被試験装置であるため、
図2に示すように、各試験を行うための複数の作業手順が行われる。ここで、前作業としての第1作業手順S1と、後作業としての第2作業手順S2とを対象装置1で行う場合、第1作業手順S1と第2作業手順S2との間に、他の手順W1が行われる場合がある。第1作業手順S1及び第2作業手順S2は、予め規定された手順に従って行われるものであるが、一方で、手順W1は、予め規定された手順とはなっていない。対象装置1は、第2作業手順S2を行うことによって得られる結果が、手順W1によって影響を受ける場合がある。ここで、第2作業手順S2が、例えば、異常イベントを模擬的に発生させるための所定の作業手順である場合、対象装置1は、第2作業手順S2が行われると、異常イベントに対する作動を行う。しかしながら、対象装置1は、手順W1の影響によって、異常イベントに対する作動を適切に行わないトラブルが発生する可能性がある。
【0029】
再び、
図1を参照して、対象装置1について説明する。対象装置1は、入力部5と、複数の機器21,22a〜22zからなる機器群6と、入力部5の入力に基づいて機器群6を制御する制御システム7と、を備える。
【0030】
入力部5は、複数の入力デバイスを含み、入力デバイスに対して行われる操作に対応する入力信号を、制御システム7に出力する。入力部5は、入力デバイスとして、例えば、第1から第nまでの複数の操作スイッチ11a〜11zを含んでいる。なお、入力部5は、対象装置1の種類に応じて、適切な入力デバイスが適用される。
【0031】
機器群6は、複数の機器として、例えば、表示装置21と、第1から第nまでの複数の機器22a〜22zとを含んでいる。機器22a〜22zとしては、例えば、アクチュエータ等である。機器群6は、制御システム7から出力された出力信号に応じた動作を行うと共に、各機器の作動状態に関する情報である作動信号を制御システム7へ向けて出力している。なお、機器群6も、対象装置1の種類に応じて、適切な機器が適用される。
【0032】
制御システム7は、入力部5から入力信号が入力されると共に、機器群6から各機器の作動信号が入力される。また、制御システム7は、入力信号に基づいて機器群6を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号を出力信号として機器群6へ出力する。また、制御システム7は、対象装置1の作動状態を記録する作動状態記録システム10を兼ねた構成となっている。
【0033】
制御システム7は、複数の制御装置31,32a,32b・・・(以下、点は省略)と、計時部33と、を有している。また、複数の制御装置31,32a,32bは、冗長性を有する構成となっており、主制御装置31と、複数の副制御装置32a,32bと、を含んで構成されている。なお、制御システム7も、対象装置1の種類に応じて、適切なシステムが構築される。
【0034】
主制御装置31は、制御システム7全体を統括して制御しており、演算部41と、不揮発性記憶部42とを有している。演算部41は、CPU(Central Processing Unit)等の集積回路と、作業領域となるメモリとを含み、これらのハードウェア資源を用いて、機器群6の作動を制御する処理を実行したり、機器群6の作動状態を記録したりする。また、演算部41としてCPUが適用される場合、CPUには、クロック(処理周期)数をカウントするクロックカウンタが組み込まれており、このクロックカウンタが、計時部33の一部をなしている。不揮発性記憶部42は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置であり、不揮発性記憶部42に記憶されるデータとしては、機器群6の作動状態に関するデータである作動履歴情報が含まれている。この不揮発性記憶部42は、リングバッファとしており、常に最新の情報が記録され、古い情報から消去されるものとなっている。
【0035】
複数の副制御装置32a,32bは、機器群6の各機器に対応して設けられ、対応する機器を個別に制御可能となっている。各副制御装置32a,32bは、主制御装置31と同様に、演算部51と、不揮発性記憶部52とを有している。なお、演算部51及び不揮発性記憶部52は、演算部41及び不揮発性記憶部42と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
計時部33は、時間を計測するものであり、クロックカウンタと、パワーカウンタと、タイマと、を含んで構成されている。クロックカウンタは、上記したように、演算部41内に組み込まれ、クロック数をカウントしている。パワーカウンタは、機器の電源の入切毎にカウントアップ(インクリメント)している。タイマは、時刻をカウントしており、例えば、GPS時計等が用いられる。この計時部33は、クロックカウンタ、パワーカウンタ及びタイマから得られる情報に基づいて、時間を取得すると共に、各制御装置31,32a,32bからの要求に応じて、取得した時間を出力する。
【0037】
この制御システム7は、作動状態記録システム10として機能する場合、対象装置1の作動状態の変化時において、各制御装置31,32a,32bが、対象装置1の作動信号を取得し、計時部33から取得した時間に関連付けて、作動履歴情報として各不揮発性記憶部42,52に記録している。また、制御システム7は、作動履歴情報の記録を、対象装置1の作動が開始してから、作動が停止するまで実行している。
【0038】
ここで、
図3を参照し、対象装置1の作動状態の変化について説明する。
図3は、対象装置1の作動状態として、各機器22a〜22zの作動状態を示す作動信号を示しており、この作動信号は、各副制御装置32a,32bにおいて取得されている。
図3に示すように、作動信号は、2値化された状態値となっており、「INVALID」となる無効状態の状態値と、「VALID」となる有効状態の状態値とを含んでいる。副制御装置32a,32bは、2値化された状態値に基づいて、各機器22a〜22zの作動状態の変化を検出している。
【0039】
つまり、副制御装置32a,32bは、無効状態から有効状態に状態値が変化したときに、機器22a〜22zの状態値を取得すると共に、無効状態から有効状態に状態値が変化したときの時間を計時部33から取得する。そして、副制御装置32a,32bは、取得した時間と、取得した機器22a〜22zの状態値(作動状態)とを関連付けて、作動履歴情報Daを生成し、生成した作動履歴情報Daを不揮発性記憶部52に記録する。また、副制御装置32a,32bは、有効状態から無効状態に状態値が変化したときに、機器22a〜22zの状態値を取得すると共に、有効状態から無効状態に状態値が変化したときの時間を計時部33から取得する。そして、副制御装置32a,32bは、取得した時間と、取得した機器22a〜22zの状態値(作動状態)とを関連付けて、作動履歴情報Dbを生成し、生成した作動履歴情報Dbを不揮発性記憶部52に記録する。
【0040】
一方で、副制御装置32a,32bは、無効状態、または有効状態が継続している、作動状態の定常時において、機器22a〜22zの作動状態を記録しない。
【0041】
なお、上記の対象装置1の作動状態の変化は、一例であり、対象装置1の作動状態としては、機器22a〜22zの作動状態の他、入力部5の作動状態、制御システム7内の作動状態であってもよい。例えば、入力部5の作動状態として、2値化された状態としては、操作スイッチ11a〜11zのON/OFF操作等である。また、上記では、副制御装置32a,32bに関する制御動作を説明したが、主制御装置31でも、同様の制御動作を実行可能である。例えば、主制御装置31には、副制御装置32a,32bの作動信号が入力される。
【0042】
また、副制御装置32a,32bは、作動履歴情報Da,Dbとして、入力部5の作動状態を不揮発性記憶部52に記録する場合、入力部5に関連付けられる機器22a〜22zの作動状態を合わせて不揮発性記憶部52に記録してもよい。この場合、操作スイッチ11a〜11zと関連性の高い機器22a〜22zの作動状態も、作動履歴情報Da,Dbとして不揮発性記憶部52に記憶させることができる。
【0043】
次に、
図4を参照して、不揮発性記憶部42,52に記録される作動履歴情報について説明する。制御システム7は、入力部5を介してオペレータの操作が入力されると、各不揮発性記憶部42,52に記録された複数の作動履歴情報D1〜D3を時系列順に並べ、機器群6の表示装置21に表示する。作動履歴情報D1には、例えば、副制御装置32a,32bの作動状態(作動開始状態)に関する情報と、時間(時刻)と、入力部5の作動状態としてのスイッチ値とが含まれている。作動履歴情報D2には、例えば、副制御装置32a,32bの作動状態(作動停止状態)に関する情報と、時間(時刻)と、入力部5の作動状態としてのスイッチ値とが含まれている。作動履歴情報D3には、例えば、入力部5の操作スイッチ11a〜11zの作動状態(OFF→ON)に関する情報と、時間(時刻)と、入力部5の作動状態としてのスイッチ値とが含まれている。
図4に示す作動履歴情報D1〜D3は、対象装置1にトラブルが発生した場合、トラブルシュートするために利用される。
【0044】
次に、
図5を参照して、上記のように構成される制御システム7による作動状態記録方法に関する一連の制御動作について説明する。なお、
図5に示す制御動作は、制御システム7において繰り返し実行されている。
【0045】
図5に示すように、先ず、制御システム7は、入力される作動信号に基づいて、対象装置1の作動状態が変化したか否かを検出する(ステップS11:作動状態検出工程)。制御システム7は、対象装置1の作動状態が変化した(ステップS11:Yes)ことを検出すると、対象装置1の作動状態に関する情報を取得する(ステップS12:作動状態取得工程)。この後、制御システム7は、対象装置1の作動状態が変化ときの時間を、計時部33から取得する(ステップS13:時間取得工程)。そして、制御システム7は、作動状態取得工程S12において取得した作動状態と、時間取得工程S13において取得した時間とを関連付けて、作動履歴情報Da,Db,D1〜D3を生成し、生成した作動履歴情報Da,Db,D1〜D3を不揮発性記憶部42,52に記録し(ステップS14:作動履歴記録工程)、一連の制御動作を終了する。
【0046】
また、制御システム7は、作動状態検出工程S11において、対象装置1の作動状態が変化していない(ステップS11:No)ことを検出すると、対象装置1の作動状態を、不揮発性記憶部42,52に記録せずに(ステップS15)、一連の制御動作を終了する。
【0047】
以上のように、実施形態1によれば、対象装置1の作動開始から作動停止までの作動状態を、時間に関連付け、作動履歴情報Da,Db,D1〜D3として記録することができる。このため、記録した作動履歴情報Da,Db,D1〜D3を時系列に沿って並べることで、対象装置1の作動状態を時系列に沿って適切に把握することができる。よって、例えば、対象装置1にトラブルが発生した場合であっても、対象装置1の作動開始から作動停止までの作動履歴情報Da,Db,D1〜D3を取得できるため、適切にトラブルシュートすることが可能となる。
【0048】
また、実施形態1によれば、対象装置1の定常時における作動状態を、不揮発性記憶部42,52に記録しないため、不揮発性記憶部42,52へ記憶される情報量を抑制することができ、不揮発性記憶部42,52の記憶容量を低減することができる。
【0049】
また、実施形態1によれば、対象装置1の作動状態の変化を、2値化された状態値に基づく検出処理を行うことで、簡易な検出処理とすることができる。
【0050】
また、実施形態1によれば、入力部5の作動状態と共に、入力部5に関連付けられる機器22a〜22zの作動状態も、作動履歴情報Da,Db,D1〜D3として記録することができるため、対象装置1の作動状態が把握し易いものとなる。このため、対象装置1のトラブル発生時において、トラブルの原因を特定し易いものとすることができる。
【0051】
また、実施形態1によれば、複数の制御装置31,32a,32bのそれぞれに、不揮発性記憶部42を設けることができるため、いずれかの制御装置31,32a,32bが作動を停止する場合であっても、他の制御装置31,32a,32bにより、作動停止した制御装置31,32a,32bの作動状態を記録することが可能となる。
【0052】
また、実施形態1によれば、計時部33は、クロックカウンタ、パワーカウンタ及びタイマを含むため、これらを適宜組み合わせることにより、計時部33による時間の計測を精度の高いものとすることができる。
【0053】
また、実施形態1によれば、対象装置1として航空機を適用することにより、航空機の作動状態を作動履歴情報Da,Db,D1〜D3として記録することができる。このため、航空機にトラブルが発生しても、過去の作動履歴情報Da,Db,D1〜D3から、適切にトラブルシュートを行うことが可能となる。
【0054】
なお、実施形態1では、作動状態記録システム10を、制御システム7に組み込んだ一体の構成としたが、作動状態記録システム10を、制御システム7とは、別体の構成としてもよい。
【0055】
[実施形態2]
次に、
図6を参照して、実施形態2に係る作動状態記録システム60について説明する。なお、実施形態2では、重複した記載を避けるべく、実施形態1と異なる部分について説明し、実施形態1と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
図6は、実施形態2に係る作動状態記録システムを備える対象装置の制御ブロックを示す説明図である。
【0056】
実施形態2の作動状態記録システム60は、実施形態1と同様に制御システム7に組み込まれる一方で、実施形態1において複数の制御装置31,32a,32bに設けられた不揮発性記憶部42,52を省き、複数の制御装置31,32a,32bの外部に、不揮発性記憶部61を設けている。
【0057】
不揮発性記憶部61は、複数の制御装置31,32a,32bが接続され、複数の制御装置31,32a,32bによって、作動履歴情報Da,Db,D1〜D3が記録される。
【0058】
以上のように、実施形態2によれば、実施形態1のように複数の制御装置31,32a,32bのそれぞれに不揮発性記憶部42,52を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができる。