特許第6813964号(P6813964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813964
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】防水型筐体装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/095 20060101AFI20201228BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G08G1/095 D
   H05K5/02 L
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-121103(P2016-121103)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-130178(P2017-130178A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-8786(P2016-8786)
(32)【優先日】2016年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】千葉 知明
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−303195(JP,A)
【文献】 特開平06−140771(JP,A)
【文献】 特開2015−122025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/095
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台本体部を有し、交通信号灯を保持する柱体、又は電柱である支柱に取り付け可能な基台部と、前記基台本体部の上に固定された本体部と、該本体部の全体を上方から覆う覆体部とから成る防水型筐体装置であって、
前記基台部の側面部を前記支柱に取り付け可能とし、
前記覆体部は角筒状でかつ下部を開放し、前記下部以外は密封構造とし、
前記基台本体部の頂板の大きさは、前記本体部の底面よりも大きくなっており、前記覆体部が前記本体部の全体を覆った際に、前記基台部の側面と前記覆体部の側面とが平面状になることを特徴とする防水型筐体装置。
【請求項2】
前記本体部は収納機器部を有し、該収納機器部の下に空隙を設けたことを特徴とする請求項1に記載の防水型筐体装置。
【請求項3】
前記空隙を備えた空隙枠部は、前記収納機器部の底部に連結されている又は前記基台本体部の上に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の防水型筐体装置。
【請求項4】
前記本体部は前記収納機器部を含む枠内部と、該枠内部を取り囲むように収納する枠部とから成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の防水型筐体装置。
【請求項5】
前記枠部に沿って、前記覆体部が上下方向に移動することを特徴とする請求項4に記載の防水型筐体装置。
【請求項6】
前記収納機器部は、信号灯器を制御する信号制御機の内蔵機器であることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の防水型筐体装置。
【請求項7】
前記収納機器部は、電気回路を有する電装装置の内蔵機器であることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の防水型筐体装置。
【請求項8】
前記収納機器部は、通信装置、交通端末制御装置、充電装置及び電源装置の内蔵機器のうち、少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の防水型筐体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号灯等を保持する柱体や電柱等の支柱に取り付ける防水型筐体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、交差点の信号灯の支柱等に取り付けられる信号制御機が開示されている。この信号制御機は、交差点に配置される車両用信号灯器や歩行者用信号灯器を制御する制御ユニットを内蔵し、この制御ユニットが記憶する点灯制御プログラムに基づいて接続した各信号灯器の点灯制御を行っている。
【0003】
信号制御機は特許文献1の図2に示すように、保守等のために開口部を備える筐体に扉部が蝶番を介して取り付けられており、通常時は扉部を閉じて密閉状態となっている。保守作業時には、扉部を作業員が開放して筐体内の機器の修理、点検作業を行っている。
【0004】
扉部の内側縁部の開口部の周縁には、防水対策として合成ゴム等の防水用パッキンが取り付けられており、外部から雨水等が筐体内に浸入することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−141658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、防水用パッキンは長期に亘る使用と共に劣化し、硬質化してしまう。そして、この劣化によりひび割れ等が発生して耐水能力がなくなると、筐体及び扉部の密閉状態が保持できなくなり、筺体内に雨水等が浸入することになる。筺体内の電子機器に水が接触すると、ショート等による破損等が発生し、信号灯器の制御が不可能になるという問題が生ずる。
【0007】
また、防水用パッキンが劣化していなくとも、信号制御機は雨水等の水滴に対して不具合が生じないように防滴構造が採用されているが、水中に水没した場合を想定していないものが多い。
【0008】
また、信号制御機は特許文献1の図1に示すように、下方から電力線や信号線等の各種配線を引き込んで筐体内の電子機器に接続しているため、筐体の底面には引き込み用の孔が開いている。
【0009】
従って、洪水や津波等の災害が発生し、信号制御機自体が水没した場合には、信号制御機内の空気が筐体上方から抜け出すことによって底面の孔や筐体と扉部との隙間から水が徐々に筐体内に浸入し、電子機器が水に浸かると使用不能となる。
【0010】
このように信号制御機が故障すると、水没した電子機器又は信号制御機自体を新しいものに交換しなければならない。そのため、災害の復旧時において交換作業が完了するまで信号灯器が点灯しないという問題が生ずる。同様な問題は、支柱に取り付けられた電装装置等にも発生する。
【0011】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、外部から水が浸入し難い防水型筐体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る防水型筐体装置は、基台本体部を有し、交通信号灯を保持する柱体、又は電柱である支柱に取り付け可能な基台部と、前記基台本体部の上に固定された本体部と、該本体部の全体を上方から覆う覆体部とから成る防水型筐体装置であって、前記基台部の側面部を前記支柱に取り付け可能とし、前記覆体部は角筒状でかつ下部を開放し、前記下部以外は密封構造とし、前記基台本体部の頂板の大きさは、前記本体部の底面よりも大きくなっており、前記覆体部が前記本体部の全体を覆った際に、前記基台部の側面と前記覆体部の側面とが平面状になることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る防水型筐体装置によれば、下方のみを開口した覆体部により、本体部の全体を上方から覆うことで、雨水が浸入することはなく、また水没したとしても空気漏れが発生することがない。従って、信号制御機等の収納機器は内部に浸水することがなく、故障する虞れがないので、洪水や津波等の災害後に、支柱に取り付けた車両用信号灯器や歩行者用信号灯器が水没せず、正常に機能する状態が維持され、災害後に直ちに信号制御機は車両用信号灯器や歩行者用信号灯器の点灯制御を開始可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の防水型筐体装置の分解斜視図である。
図2】基台部に本体部を載置した状態の斜視図である。
図3】通常運用時の状態の斜視図である。
図4】覆体部を途中まで持ち上げて係止した状態の斜視図である。
図5】覆体部を更に持ち上げて係止した状態の斜視図である。
図6】実施例2の防水型筐体装置の分解斜視図である。
図7】基台部に本体部を載置した状態の斜視図である。
図8】実施例3の防水型筐体装置の分解斜視図である。
図9】側方から見た防水型筐体装置の説明図である。
図10】側方から見た防水型筐体装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は実施例1の防水型筐体装置の分解斜視図であり、図2は本体部を枠部内に収納した状態の分解斜視図であり、図3は通常運用時の状態の斜視図である。
【0017】
防水型筐体装置は、交通信号灯を保持する柱体や電柱等の支柱Pに取り付け可能な基台部1と、この基台部1内に載置し、固定する本体部2と、この本体部2の全体を上方から覆う覆体部3とから構成されている。
【0018】
基台部1は支柱Pの地上から1m程度の位置に、一対のリング状の取付金具Tを介して取り付けられている。基台部1は直方体で箱状の基台本体部1aを有し、この基台本体部1aの上部の一部は開放されている。そして、この開口部には中央に矩形窓1bを設けた頂板1cが取り付けられており、頂板1cには本体部2を固定するための複数個のボルト孔1dが設けられている。
【0019】
本体部2が頂板1cの上に載置され、頂板1cのボルト孔1dと、後述する本体部2の底面に設けたボルト孔とをボルト等により固定する。そして、固定後に各種配線は矩形窓1bを通って、底部に配線口を有する本体部2の収納機器部の接続端子と接続する。また、頂板1cを設けずに、基台部1の内周壁に凸状部を設け、この凸状部に本体部2を載置するようにして固定してもよい。
【0020】
本体部2は枠内部2aと、この枠内部2aを取り囲む枠部2bとから構成されている。枠内部2aは、背景技術に開示された信号制御機に内蔵する内蔵機器を収納した収納機器部2cと、この収納機器部2cの底部に連結する空隙枠部2dとから構成されている。この空隙枠部2dは、下方が開口すると共に内部に空隙を有しており、浸水することを前提としているため、内部に電子機器等を配置することはない。
【0021】
なお、空隙枠部2dは収納機器部2cと別体として説明したが、収納機器部2cと空隙枠部2dとを一体化したものであってもよい。また、本体部2が覆体部3に覆われた時に、覆体部3下端の底面から収納機器部2cの間に何も配置されていない空隙を備えていればよく、枠内部2aの下方に空隙枠部2dを設けなくとも支障はない。
【0022】
空隙枠部2dを設けない場合には、枠部2bの後述する縦枠にLアングル等の杭部を設け、杭部上に収納機器部2cを配置することで、本体部2の下方、すなわち収納機器部2cの下に空隙を設ければよい。
【0023】
また、本実施例では収納機器部2cとして、信号制御機に内蔵する内蔵機器を用いて説明したが、信号制御機以外にも、支柱Pに取り付け可能な無線や有線の通信機器等を含む通信装置、交通情報板や車両感知器等の交通端末を制御する交通端末制御装置、又はUPS(無停電電源装置)を含む電源装置、充電装置等の電気回路を有する電装装置の各装置の内蔵機器を収納機器部2cとして用いることができる。更には、電装装置の各装置の内蔵機器を組み合わせたものを、収納機器部2cとして枠内部2aに収納することもできる。
【0024】
収納機器部2cは、図示しない通信ユニット、配線接続部や信号制御プラグラムを書き込んだROMを搭載した基板等の電子機器を内蔵している。また、収納機器部2cの前面上方には、信号灯器への点灯ステップや点灯ステップの点灯秒数の表示、保守作業時のメッセージ等を表示する表示部及び操作部から成る操作パネル部2eとがそれぞれ配置されている。
【0025】
収納機器部2cの前面下方に設けた操作扉2fを手前方向に開放することで、内部の電子機器を確認、調整することが可能であり、更に操作扉2fの鉄板等から成る表面には、操作釦2gが磁石により吸着されている。この操作釦2gは操作扉2fの内側の電子機器と延長ケーブル2hで接続されており、信号灯器を手動で操作することができるようにされている。
【0026】
作業員が操作釦2gを操作する際には、操作扉2fを開け、内部の自動/手動切換スイッチにより手動操作に切換えた後に、延長ケーブル2hを介して引き出した操作釦2gを手動で操作する。
【0027】
操作釦2gは操作する毎に、交差点の信号灯器の点灯ステップを進めることが可能である。例えば、操作釦2gを1回押圧することで、例えば自動車用灯器の青灯器点灯が黄灯器点灯に切換わる点灯制御を行うことができる。
【0028】
枠内部2aを取り囲む枠部2bは金属製であり、鉛直方向に起立した4本の断面L字状の縦枠2iと、これらの縦枠2iの上下の両端同士を架け渡す8本の断面L字状の横枠2jとから構成されている。それぞれの縦枠2iの側面側には、構状のレール部2kが上下方向に設けられている。
【0029】
また、覆体部3を所定位置で保持するための下位ストッパ2l、上位ストッパ2mが縦枠2iの正面側に一対ずつ配置されており、これらのストッパ2l、2mは必要時に手動で突出させることができる。或いは、覆体部3がストッパ2l、2mの位置から外れていると、ばね等を利用して自動的に突出するようにしてもよい。これらのストッパ2l、2mを配置することで、不時に覆体部3が降下して指等を怪我することなく、安全に作業ができる。
【0030】
図1に示す状態から図2に示す状態に組み立てる際には、枠部2b内の空隙に枠内部2aを収納する。続いて、枠部2bの底の横枠2jに穿設されたボルト孔2nと、頂板1cのボルト孔1dとをねじ、ボルト等で固定することで、基台部1に本体部2を固定する。
【0031】
なお、頂板1cの大きさは、枠部2bの底面よりも若干大きくなっており、覆体部3が枠部2bを覆い、図3に示す状態になると、基台部1の側面と覆体部3の側面とが平面状になる。
【0032】
覆体部3は金属材又は合成樹脂材から成り、本体部2の全体を上方から覆う角筒状とされ、開放した下部以外は密封構造とされている。なお、実施例においては覆体部3は角筒体として説明しているが、多角筒、楕円筒等の適宜の筒状形状を採用してもよい。覆体部3の適宜の筒状体を採用する場合には、基台本体部1aの形状も覆体部3の開口形状に合わせて変更することになる。
【0033】
覆体部3の前面には把持部3aが設けられ、この把持部3aにより覆体部3を上方に持ち上げ可能とされている。なお、覆体部3の外部両側部に一対の把持部3aを設けるようにしてもよい。
【0034】
覆体部3の両内側部には、上下方向に凸状のレールガイド3bが2本ずつ計4本が設けられており、これらのレールガイド3bが本体部2のレール部2kに嵌合するようにされている。なお、レール部2kを覆体部3に設け、レールガイド3bを本体部2に設けるようにしても支障はない。
【0035】
或いは、本体部2の縦枠2iに上下方向に段階的に延びる延長レールを取り付け、この延長レールに摺動するレールガイドを覆体部3の内側に配置するようにしてもよい。このようにすることで、覆体部3を上方へ持ち上げると延長レールが段階的に延び、本体部2の上端に覆体部3が移動したとしても、延長レールにレールガイドが安定して嵌合しているので、ぐらつくことがない。
【0036】
また、覆体部3は基台部1又は本体部2に対して施錠可能とし、解錠しない限り、覆体部3を上方へ持ち上げることができないようにすることが好ましい。
【0037】
図4は上述のように信号灯器を手動で制御するために、解錠後に把持部3aにより覆体部3を中間位置まで持ち上げて、本体部2の操作扉2f及び操作釦2gを現わした状態の斜視図である。この状態で、覆体部3の下縁は突出した下位ストッパ2lにより係止され、覆体部3はこの位置で保持される。
【0038】
操作者は前述したように、自動/手動切換スイッチで手動操作に切換えた後に、操作釦2gにより信号灯を操作する。手動操作終了後には下位ストッパ2lを縦枠2iに収納してから、把持部3aを持って覆体部3を上方から下方へ引き下げることにより、覆体部3を図3に示す元の位置まで戻すことができる。覆体部3を元の位置まで戻した後に施錠して作業は終了する。
【0039】
また、収納機器部2cの電子機器等を保守、点検する際には、図5に示すように覆体部3の把持部3aを持って、覆体部3を上位ストッパ2mの係止位置まで持ち上げて、上位ストッパ2mにより覆体部3の下縁を係止する。これにより、操作パネル部2eを操作しながら、収納機器部2c内の電子機器の調整や点検等を行うことができる。
【0040】
そして、終了後には上位ストッパ2mを収納してから、把持部3aを持って覆体部3を上方から下方に引き下げると、覆体部3を図3に示す元の位置に戻すことができる。
【0041】
このように、覆体部3はレール部2k、及びレールガイド3bにより揺動することなく上下動させることができ、本体部2の必要個所を露出させることができる。また、覆体部3により本体部2を覆った状態では、少なくとも覆体部3の上方から雨水等が浸入する虞れは全くない。
【0042】
仮に、洪水等の災害で筐体装置が水没した場合には、覆体部3が十分な密閉構造を有しているため、覆体部3内の空気が抜け出すことはない。筐体装置が水没した場合でも、覆体部3内に空気が充填された状態になっているため、基台部1と覆体部3の当接部分や基台本体部1aの矩形窓1bから浸入する水量は僅かである。
【0043】
車両用信号灯器や歩行者用信号灯器は従来の信号制御機と同様な防水構造であり、水没すると電子機器が浸水し使用不能となり、新しいものに交換が必要となる。洪水や津波等の災害後に、直ちに車両用信号灯器や歩行者用信号灯器の点灯の開始ができるのは、車両用信号灯器や歩行者用信号灯器が水没しない設置位置までの浸水状態である。
【0044】
洪水等の災害で筐体装置が水没して、水深が深くなり、水圧が高くなった場合であって、車両用信号灯器や歩行者用信号灯器の設置位置まで浸水したときに、水圧によって基台部1と覆体部3の当接部分や基台本体部1aの矩形窓1bを通じて、空隙枠部2d内へ水が浸入する高さよりも、空隙枠部2dの高さを大きくすることで、収納機器部2c内の電子機器が水に浸かることはない。従って、収納機器部2cの故障を防止でき、災害後に直ちに車両用信号灯器や歩行者用信号灯器の点灯制御を開始することができる。
【0045】
また、解錠後に覆体部3を容易に上下に摺動可能とするために、枠部2bの上端にコイルばね、油圧シリンダ等の上方に付勢する付勢部材を設けてもよい。或いは、電動により上下動を可能とすることもできる。
【0046】
これらの付勢部材等は覆体部3の内側上面に取り付けてもよい。また、付勢手段等を設けることで、覆体部3の施錠手段を解錠した際に、徐々に覆体部3は上方に移動することになり、安全性が確保される。また、覆体部3を戻す際には、付勢手段等はクッションとして作用して、徐々に下降して施錠位置まで戻すことができる。
【実施例2】
【0047】
図6は実施例2の防水型筐体装置の分解斜視図であり、図7は枠内部2a’を枠部内に収納した状態の分解斜視図である。なお、実施例1と同一の部材は同一の符号を付している。
【0048】
実施例2の筐体装置は、実施例1の枠内部2aから空隙枠部2dを除去し、代りに基台本体部1aの上に実施例1の空隙枠部2dと同様な大きさの空隙を持つ空隙枠部1eを配置している。
【0049】
この空隙枠部1eは四角筒状であり、空隙枠部1eの外周は基台本体部1aの底部の外周よりも若干小さい段差部1fを有している。また、開口する空隙枠部1eの上端には、頂板1cが配置されている。
【0050】
なお、何も配置されていない空隙を備える空隙枠部1eは、四角筒状の箱体以外に、枠内部2a’を取り囲む枠部2b’同様の枠構造等、適宜の構造を採用することができる。
【0051】
そして、枠部2b’を、既存の信号制御機の本体部である収納機器部2cが入る大きさにすることで、新たに空隙枠部2dを備えた枠内部2aを製作することなく、既存の信号制御機をそのまま使用することが可能になる。
【0052】
図6に示す状態から図7に示す状態に組み立てる際には、枠部2b’内の空隙に収納機器部2cから成る枠内部2a’を収納する。続いて、枠部2b’の底の横枠2jに穿設されたボルト孔2nと、頂板1cのボルト孔1dとをねじ、ボルト等で固定することで、空隙枠部1eに本体部2を固定する。
【0053】
覆体部3の高さは枠部2b’と空隙枠部1eの併せた高さと等しく、覆体部3の下端が段差部1fに当接することで覆体部3が施錠可能となる。そして、施錠時には基台本体部1aの側面と覆体部3の側面とが平面状になる。
【0054】
段差部1fや基台本体部1aを介して空隙枠部1e内は水が浸入したとしても、空隙枠部1eの空隙の大きさが十分であるため、実施例1の防水型筐体装置と同様に、収納機器部2c内の電子機器が浸水することはなく故障を防止できる。
【実施例3】
【0055】
図8は実施例3の防水型筐体装置の分解斜視図であり、図9は側方から見た防水型筐体装置の説明図である。なお、実施例1と同一の部材は同一の符号を付している。
【0056】
基台部1は側方から見るとL字状をしており、直方体で箱状である基台本体部1aと、この基台本体部1aの側面部1gから上方へ延在する側板部1hとから構成されている。側板部1hの高さは、覆体部3の高さと略一致しており、側板部1hの横幅は覆体部3の頂面の短辺3cの長さと略一致している。
【0057】
また、側面部1gに設けた一対のリング状の取付金具T1と、側板部1hの上方に設けた一対のリング状の取付金具T2とによって、基台部1が支柱Pに取り付けられている。このように、上下に配置した取付金具T1、T2によって支柱Pに取り付けることにより、重量のある信号制御機等の枠内部2aであっても、安定して本体部2及び覆体部3を支柱Pに保持可能である。
【0058】
側板部1hと、基台本体部1aに固定された枠部2bとの間には、隙間があるので、この隙間に覆体部3の側面部が上下に摺動可能となっている。
【0059】
また、図10の側面図に示すように側面部1gの上部の両側面に凸状部1iを突出させ、覆体部3の把持部3aを有する正面、及び裏面の支柱P側の上方端部に、L字状の鉤状部3dを支柱P側に突出するように設けてもよい。
【0060】
覆体部3が枠部2bを覆った状態では、図10に示すように凸状部1iに鉤状部3dが引っ掛かるようになっている。このように凸状部1iに鉤状部3dが引っ掛かることで、覆体部3が側板部1hと一体化し、支柱Pや防水型筐体装置に衝撃等が加わったとしても、本体部2及び覆体部3が傾き難くなる。
【0061】
実施例3の防水型筐体装置は、実施例1と同様に、防水型筐体装置が水没したときでも、収納機器部2c内の電子機器が水に浸かることはなく、故障を防止することができる。
【0062】
そして、防水型筐体装置の水没状態から水が引き、送電が復旧することで、車両用信号灯器や歩行者用信号灯器を通常通りに運用することが可能である。同様に、収納機器部2cとして、通信装置、交通端末制御装置、電源装置及び充電装置等の電気回路を有する電装装置の内蔵機器を採用した場合でも、迅速に復旧させることが可能である。
【0063】
更に、収納機器部2cとして、無停電電源装置の内蔵機器を収納させた場合には、災害等により一時的に電力供給が遮断されても、各装置の運用を継続できる。
【0064】
また、収納機器部2cとして、電源装置の内蔵機器を収納した場合には、水が引き、送電が復旧した場合に、例えば照明器具と接続することで災害時の照明を確保することができる。周囲が水没による破損によって電源が確保できないような場所でも、防水型筐体装置を緊急電源として運用が可能である。
【0065】
また、収納機器部2cとして、充電装置の内蔵機器を収納させた場合には、送電が復旧しない状況であっても、所定時間、各装置や各機器を起動させる緊急電源として運用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 基台部
1a 基台本体部
1e、2d 空隙枠部
1f 段差部
1h 側板部
2 本体部
2a 枠内部
2b 枠部
2c 収納機器部
2f 操作扉
2g 操作釦
2i 縦枠
2j 横枠
2k レール部
3 覆体部
3a 把持部
3b レールガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10