(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印刷インキ層が、顔料及びポリウレタン樹脂を含み、前記ポリウレタン樹脂が(A)高分子ジオール化合物、(B)有機ジイソシアネート化合物、及び(C)鎖伸長剤、を含む成分を反応させて得られる、請求項1〜3のいずれかに記載の易引き裂き性積層体。
【背景技術】
【0002】
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性などの機能から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には消費者へアピールする意匠性、メッセージ性の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そして用途の包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネート加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷では、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔等の各種フィルム上の任意の位置に色インキ、白インキを順次印刷後、該インキの印刷層上にも、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等により、ヒートシールを目的としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている(例えば、特許文献1参照)。
このような積層体は、菓子、スープ、味噌汁等の食品の積層袋として利用される。これらの積層袋は、内容物を取り出すために、人間の手によって開封される。ここで、引き裂き性が悪いと開封時に過度に力を入れる必要があり、さらに意図しない方向に切れてしまい、結果的に内容物がこぼれるといった問題が生じるので、良好な引き裂き性が求められる。
特に、インキが印刷されている箇所は、インキ層と接着剤層との結合力が無字部より劣るため引き裂き性が劣る傾向がある。
【0003】
引き裂き性を向上させるための手段として、ラミネート接着剤層を硬くすることが知られている(例えば、特許文献2参照)が、インキ部とインキが印刷されていない無字部が混在する場合、接着剤層をインキ部で引き裂ける硬さにすると無字部が硬くなりすぎ、逆に無字部に合わせるとインキ部で引き裂き性が劣るという問題が生じる。
これを解決するために、インキ層に、インキ層と接着剤層の同じ官能基と反応しうる官能基を2つ以上有する硬化剤を含有させる技術であり、かつ該インキ層は分子内に官能基として水酸基2つ以上を有する化合物(a1)と、その水酸基と反応する硬化剤からなる組成物から形成された層とすることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、実施例では、インキ層に含まれるポリウレタン樹脂に対する多官能イソシアネート硬化剤の固形分含有比率がポリウレタン樹脂:多官能イソシアネート硬化剤=1:0.25と非常に低いため、引き裂き性は少し向上するが、引き裂き時に抵抗を感じる等のいまだ十分ではない問題を有している。
また、このような化合物を用いたインキ層はその発色性が十分に良好ではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の易引き裂き性積層体及びそれを用いる包装容器について、より詳しく説明する。
本発明の易引き裂き性積層体は、基材フィルムに、必要に応じてラミネート用印刷インキにより印刷した後、水酸基を有するポリオール化合物及びイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物を含有する接着剤を塗布し、さらにシーラント層を積層して得られる。
【0009】
(基材フィルム層)
本発明の易引き裂き性積層体の基材フィルムとしては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等のポリエステルフィルム、ポリアミド、ビニロンといった各種印刷用プラスチックフィルムが使用できる。
引き裂き性を考慮すると、本発明においては、中でも上記のポリアミド、ポリオレフィンやポリエステルを使用することが好ましい。
【0010】
(ラミネート用印刷インキ組成物)
ラミネート用印刷インキ組成物は、後に説明するラミネート用印刷インキ組成物を使用できる。
【0011】
(接着剤層)
本発明の接着剤層は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を含有する接着剤を基剤フィルム層に直接、及び/又はラミネート用印刷インキ組成物による印刷層を介して、塗布、押出等の公知の手段によって積層させ、これを硬化させて得られる。このような接着剤としては2液硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤であることが好ましい。
得られた接着剤層は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の反応物を含み、従来から、押出ラミネート加工、ドライラミネート加工で使用されている接着剤を使用することができる。
ポリオールとしては、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有するポリオール成分である。このようなポリオール成分としては、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ラミネート用樹脂組成物ポリオールなどが挙げられ、このようなポリオール成分を2種以上混合して用いても構わない。中でも、ガラス転移温度と貯蔵弾性率の制御が容易なポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールが好ましく、特に芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。
【0012】
また、分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート成分としては、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等を挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。なお、このようなイソシアネート成分を2種以上混合して用いても構わない。なかでも3官能以上のイソシアネート成分を採用することが好ましい。
【0013】
具体的には、押出ラミネート加工で使用されている接着剤(アンカーコート剤)、A−3210/A−3070、A−3210/A3072、A−3210/A−3075(三井化学社製)、セイカダイン2710A/セイカダイン2810C(T)、セイカダイン2730A/セイカダイン2730B、セイカダイン2710A/セイカダイン2710C(大日精化工業社製)、LX−500、LX−901、LX747A等、ドライラミネート加工で使用されている接着剤としては、ディックドライLX−401A、75A、719、703VL、500、510等(DICグラフィック社製、ディックドライは、DICグラフィックスの登録商標)、タケラック/タケネート A−909/A−5、A−977/A−92、A−606/A−50、A−515/A−50、A−626/A−50、A−525/A−52、A−666/A−65等(三井化学社製)、RU−77、771、3600、3900等(ロックペイント社製)等を使用することが挙げられる。
接着剤層を形成する前の接着剤中の前記ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比は1:3〜1:18であり、好ましくは1:5〜1:16であり、より好ましくは1:6〜1:15、更に好ましくは1:7〜1:14である。また、前記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の配合割合は、質量比として、ポリオール化合物:ポリイソシアネート化合物=2:1〜10:1とすることが好ましい。なお、接着剤層を形成して硬化した後には、上記水酸基とイソシアネート基が反応する等するために、上記の当量比は異なる範囲となる。
前記ポリオール化合物の水酸基の当量が高く、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比が1:3よりも大きくなると引き裂き性不良となる場合がある。また前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量が1:18を超えるとラミネート強度不良となる場合がある。
前記接着剤層の量は、易引き裂き性積層体1平方メートルあたり1.5グラム以上であり、好ましくは1平方メートルあたり2.0グラム以上であり、より好ましくは1平方メートルあたり3.0グラム以上である。1平方メートルあたり1.5グラムを下回ると引き裂き性不良、ラミネート強度不良となる場合がある。
【0014】
(シーラント層)
シーラント層は包装容器の最内層を形成し、対向するシーラントフィルムからなるシーラント層同士を熱によって圧着又は溶着させることにより、例えば袋状の包装容器とするために用いる。
このようなシーラントフィルムとしては、ドライラミネート加工による積層手段を採用するときに使用するプラスチックフィルムである、無延伸プラスチックフィルム(例えば、無延伸ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム等)等の従来から使用されるフィルムを使用できる。
また成形されたフィルムを積層させることによる押出ラミネート加工で使用する溶融樹脂としては、低密度ポリエチレン、LLDPE、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来から使用される樹脂を使用できる。
【0015】
<易引き裂き性積層体>
本発明の易引き裂き性積層体について説明する。
まず、上記の印刷基材に、所望により一般的なグラビア印刷方式又はフレキソ印刷方式等を用いて、本発明中のラミネート用印刷インキ組成物により任意の模様や文字等を印刷する。
得られた印刷物にシーラントと呼ばれる熱融着性ポリマーを積層するラミネート加工を行う。このラミネート加工には、主として2つの方法が利用されている。
一つ目は、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、その印刷面の表面に接着剤(アンカーコート剤ともいう)を塗布した後、熱融着性ポリマーを溶融樹脂として、これを積層させる押出ラミネート加工方法である。押出ラミネート加工方法は、印刷物の表面に、接着剤(例えば、水酸基を有するポリエステル系接着剤及びイソシアネート基を含有するイソシアネート系接着剤を含有する接着剤等)を塗布した後、既知の押出ラミネート機によって、溶融樹脂を積層させてなるものである。さらにその溶融樹脂を中間層として、他の材料を積層することによりサンドイッチ状に積層することもできる。なお、接着剤としてイミン系アンカーコート剤を使用するよりイソシアネート系アンカーコート剤を使用する方が接着力に優れる点において好ましい。
【0016】
二つ目は、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、その印刷層の表面に接着剤(例えば、水酸基を有するポリエステル系接着剤及びイソシアネート基を含有するイソシアネート系接着剤を含有する接着剤等)を塗布した後、無延伸プラスチックフィルムを積層させるドライラミネート加工である。特に、レトルト用途で使用される金属箔を予めはさんでなる複層からなるフィルムを用いてラミネートすることもできる。
これらの方法により得られた易引き裂き性積層体は、その後、最終的にシーラント面同士がヒートシーラーなどで溶封されて易引き裂き性積層袋となる。
なお、この2つの方法に共通する事項として、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、この印刷部を硬化剤による硬化を行った後に、接着剤を塗布する場合には、ラミネート用印刷インキ組成物と接着剤とは、互いに異なる官能基による硬化、つまり異なる硬化機構により硬化しても良く、同じ官能基が作用する硬化剤を使用することもできる。この結果、より適切な、ラミネート用印刷インキ組成物及び接着剤の組み合わせを選択することが可能になる。
一方、ラミネート用印刷インキ組成物により印刷を行い、この印刷部を硬化剤による硬化を行なう前に、接着剤を塗布する場合には、ラミネート用印刷インキ組成物と接着剤とは、互いに同じ官能基が作用する硬化剤を使用することもできる。
【0017】
<本発明の易引き裂き性積層体を用いる包装容器>
本発明の易引き裂き性積層体を用いる包装容器は、前記易引き裂き性積層体を使用し、そのシーラントフィルムからなるヒートシール性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、例えば、前記易引き裂き性積層体を折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール形態によりヒートシールする方法が挙げられる。
前記包装容器は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0018】
前記包装容器にその開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールすることができる。充填できる内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、医薬品、化粧品などの包装材料としても使用され得る。
【0019】
次に、ラミネート用印刷インキ組成物について説明する。
【0020】
<顔料>
本発明において使用できる顔料としては、印刷インキにおいて一般的に用いられている各種無機顔料及び/又は有機顔料等を使用できる。
無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。
有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。
本発明にて使用されても良いラミネート用印刷インキ組成物における顔料の含有量は、インキ組成物中に、5〜60質量%の範囲であることが好ましい。
ラミネート用印刷インキ組成物中の顔料の含有量が上記の範囲より少なくなると、インキ組成物としての着色力が低下し、上記の範囲より多くなると、インキ組成物の粘度が高くなり、印刷物が汚れやすくなる。
【0021】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合体が使用でき、ポリウレタン樹脂及び塩化ビニル酢酸ビニル共重合体の少なくとも一方が、下記で説明する硬化剤として使用する多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しうる反応基を有するものを使用できる。
前記ポリウレタン樹脂の多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しうる反応基としては、アミノ基及び/又は水酸基であり、前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合体のイソシアネート基と反応しうる反応基としては、水酸基であることが好ましい。
また、引裂き性の点からは、バインダー樹脂としては、(1)末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上を有し、且つ水酸基を有するポリウレタン樹脂及び/又は(2)末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上を有するポリウレタン樹脂と水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体の固形分含有比率は、ポリウレタン樹脂/塩化ビニル酢酸ビニル共重合体=9/1〜1/9の使用範囲で使用する。ポリウレタン樹脂の使用比率が9より大きいと引き裂き性が低下する傾向があり、1より小さいとレトルト適性(ボイル、レトルト適性)が低下する傾向がある。また、ラミネート適性、ボイル、レトルト適性の点からは、ポリウレタン樹脂/塩化ビニル酢酸ビニル共重合体=9/1〜4/6の使用範囲で使用することが好ましい。
また、バインダー樹脂の含有量は、印刷時のラミネート用印刷インキ組成物中に、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を合計して、固形分で5〜15質量%が好ましい。バインダー樹脂の含有量が範囲外であると、引き裂き性が低下する傾向がある。
【0022】
[ポリウレタン樹脂]
ポリウレタン樹脂としては、従来からラミネート用グラビア印刷インキ組成物に使用されているポリウレタン樹脂を使用できる。
なかでも、本発明の課題に係る性能を向上させるのに有利であるという面から、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しうる反応基を有するポリウレタン樹脂を使用するのが好ましい。多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応しうる反応基を有するポリウレタン樹脂としては、末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上及び/又は水酸基を有するポリウレタン樹脂を使用することができる。特に、(1)末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上を有し、且つ水酸基を有するポリウレタン樹脂及び/又は(2)末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上を有するポリウレタン樹脂が好ましい。
このようなポリウレタン樹脂は、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、得られたウレタンプレポリマーに対して、(1)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物、及び水酸基を有するアミン化合物とを反応させることにより、(2)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物を反応させることにより得られる。
このとき、該ウレタンプレポリマーと(1)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物、及び水酸基を有するアミン化合物とを反応させる方法、(2)両末端が第1級アミノ基及び第2級アミノ基のうちの1種以上であるポリアミン化合物を含有するアミン化合物を反応させる方法としては、(1)ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤により鎖伸長させた後に、反応停止剤により反応停止させる方法、及び(2)ウレタンプレポリマーを鎖伸長剤による鎖伸長と、反応停止剤による反応停止を同時に反応させる方法等が挙げられる。
【0023】
(有機ジイソシアネート化合物)
バインダー樹脂を得るための有機ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が、単独又は2種以上混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び芳香脂肪族ジイソシアネートがより好ましい。
【0024】
(高分子ジオール化合物)
バインダー樹脂を得るための高分子ジオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等アルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタール酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等の各種高分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して使用できる。
さらに上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を単独又は2種以上混合して併用することができる。
なお、エステル系溶剤とアルコール系溶剤との混合物系では、高分子ジオール化合物としてポリエーテルジオール化合物を利用する方が、得られるポリウレタン樹脂の溶解性が高くなる傾向があり、必要性能に合わせて幅広くインキの設計が可能となる点で好ましい。
また、上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物の使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、通常、1.2:1〜3.0:1、より好ましくは1.3:1〜2.0:1となる範囲である。上記のイソシアネートインデックスが1.2より小さくなると、柔軟なポリウレタン樹脂となる傾向があり、インキを印刷して耐ブロッキング性等が低いとき等は、他の硬質の樹脂と併用することが好ましい場合がある。
【0025】
(鎖伸長剤)
バインダー樹脂を得るために使用することができる鎖伸長剤としては、インキ用バインダーとしてのポリウレタン樹脂で利用される既知の鎖伸長剤が利用可能であり、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物が例示できる。
【0026】
(反応停止剤)
バインダー樹脂を得るために使用することができる反応停止剤としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等の両末端が1級アミノ基であるポリアミン化合物、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン等のモノアルキルアミン類、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エタノール等のモノアルコール類等を例示することができる。
両端に1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を有するポリウレタン樹脂を得るには、反応停止剤として、両末端に1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を有するポリアミンを使用する。このような両末端に1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を有するポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等で、この中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等の1級アミノ基を有するポリアミンが好ましい。
【0027】
水酸基を有するポリウレタン樹脂を得るには、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤に水酸基を有する化合物を使用する。好ましくは、鎖伸長剤と反応停止剤の両方に水酸基を有する化合物を使用することが好ましい。鎖伸長剤としては、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等が例示できる。反応停止剤としては、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の水酸基を有するアルカノールアミン類等を例示することができる。
本発明では、上記材料を用いて、公知のポリウレタン樹脂の製造方法を採用して有機ジイソシアネートを得ることができる。また、それぞれの成分の分子量や化学構造、また当量比が異なると、得られるポリウレタン樹脂の硬さも異なることから、これら成分を適宜選択し、組み合わせることによって、印刷適性やラミネート適性を調整することが可能である。
バインダー樹脂の含有量は、印刷時のラミネート用印刷インキ組成物中に、固形分で5〜15質量%が好ましい。バインダー樹脂の含有量が範囲外であると、引き裂き性が低下する傾向がある。
そして、本発明のラミネート用印刷インキ組成物におけるポリウレタン樹脂は、質量平均分子量が10000〜70000であることが好ましく、さらに20000〜40000であることがより好ましい。
【0028】
<塩化ビニル酢酸ビニル共重合体>
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体としては、従来からラミネート用印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの共重合体を使用できる。
具体的には、SOLBIN C、SOLBIN CL、SOLBIN CH、SOLBIN CN、SOLBIN C5R、SOLBIN A、SOLBIN AL、SOLBIN TA2、SOLBIN TA3、SOLBIN TAO、SOLBIN TA5R、SOLBIN M、SOLBIN ME、SOLBIN MFK(いずれも、日信化学工業社製)、VINNOL E15/48A、VINNOL E22/48A、VINNOL E14/45、VINNOL H14/36、VINNOL H40/55、VINNOL E15/45M(いずれも、WACKER社製)等が挙げられる。
なかでも、環境に配慮したインキの有機溶剤系において、本発明の課題に係る性能を向上させるのに有利であるという面から、水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体がさらに好適である。このような水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体は、例えば、酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得ることができる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、および酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の皮膜物性や溶解挙動が決定される。
即ち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂皮膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮したインキの有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 ‐CH2-CHCl-
式2 ‐CH2-CH(OCOCH3)-
式3 ‐CH2-CH(OH)-
さらに、その他のバインダー樹脂としてさらにセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂や粘着性樹脂等を補助的に添加することができる。
【0029】
<硬化剤>
硬化剤としては、多官能イソシアネート化合物が利用できる。具体的には、ビウレット、イソシアヌレート、アダクト等の3官能型の多官能イソシアネート化合物、2官能型の多官能イソシアネート化合物等が利用でき、デュラネート24A−100、22A−75、TPA−100、TSA−100、TSS−100、TAE−100、TKA−100、P301−75E、E402−808、E405−70B、AE700−100、D101、D201、A201H(旭化成社製)、マイテックY260A(三菱化学社製)、コロネート HX、コロネート HL、コロネート L(日本ポリウレタン社製)、デスモジュール N75MPA/X(バイエル社製)等が例示できる。なかでも、イソホロンジイソシアネート又はそのアダクトが好ましい。さらに3官能以上のイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
この硬化剤の使用量は、引き裂き性の点から(ポリウレタン樹脂+塩化ビニル酢酸ビニル共重合体):硬化剤の含有量の質量比率が、(ポリウレタン樹脂+塩化ビニル酢酸ビニル共重合体):硬化剤=1:0.2〜0.9の範囲となるように使用するが、(ポリウレタン樹脂+塩化ビニル酢酸ビニル共重合体):硬化剤=1:0.4〜0.9が好ましく、さらに好ましくは(ポリウレタン樹脂+塩化ビニル酢酸ビニル共重合体):硬化剤=1:0.48〜0.75である。
【0030】
<有機溶剤>
ラミネート用印刷インキ組成物に使用される有機溶剤としては、トルエン、ケトン系有機溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル系溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチルなど)、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、炭化水素系溶剤(トルエン、メチルシクロヘキサンなど)が利用できる。
なお、最近の環境問題への対応と、インキの印刷適性や乾燥性などを考慮すると、印刷時のラミネート用印刷インキ組成物の有機溶剤として、上記の中でも、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合有機溶剤を、エステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=50/50〜95/5の範囲、好ましくはエステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=60/40〜85/15の範囲となるように使用する。
さらに、インキの印刷適性の点から、印刷時のラミネート用印刷インキ組成物中に酢酸プロピルを5質量%以上、15質量%以上含有させることが好ましい。
【0031】
<添加剤>
上記ラミネート用印刷インキ組成物は、更に粘着付与剤、架橋剤、滑剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0032】
<本発明のラミネート用印刷インキ組成物の製造方法>
本発明のラミネート用印刷インキ組成物は、上述の硬化剤以外の各種材料を従来一般的に使用されている各種の分散・混練装置を使用して製造する。そして、各固形分材料の含有量や、ポリウレタン樹脂と有機溶剤との組み合わせなどを調整することにより、粘度を10〜1000mPa・sとし、その後、経時安定性の点から、印刷時に硬化剤を加え、印刷時の雰囲気温度において、印刷条件に応じて適切な粘度となるように、具体的にはザーンカップ3号の流出秒数が12〜23秒、好ましくは、高速印刷では14〜16秒程度となるまで有機溶剤を加え撹拌することにより、本発明のラミネート用印刷インキ組成物を得ることができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、
「部」は「質量部」を意味する。
【0034】
(ポリウレタン樹脂ワニスの製造)
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート44.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル521質量部、イソプロピルアルコール92質量部を加えた後、イソホロンジアミン15.6質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.31質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.68質量部、ジエチレントリアミン0.17質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニス(固形分30質量%、粘度250mPa・s/25℃)を得た。
【0035】
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ワニスの製造)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(商品名:ソルバインTA3、日信化学工業社製)20部を、メチルエチルケトン40部、酢酸エチル20部、酢酸プロピル20部からなる混合有機溶剤中に溶解させて固形分20%の塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ワニスを得た。
【0036】
(ラミネート用印刷インキ組成物の製造)
顔料(酸化チタン)35部、ポリウレタン樹脂ワニス24部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ワニス9部、混合溶剤A10部を配合した後にペイントコンデショナーを用いて混練し、さらに混合溶剤Aで希釈して、粘度を離合社製ザーンカップ#3で15秒に調整したラミネート用印刷インキ組成物Aを調製した。なお、混合溶剤Aは、酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=50/25/25(質量比)である。
【0037】
<性能評価>
ラミネート用印刷インキ組成物Aを、彫刻版(ヘリオ175線)を備えたグラビア印刷機(東谷製作所社製)にて、基材フィルム(東洋紡社製、N−1102、厚さ15μm)の処理面に印刷速度100m/分で印刷を行った。
【0038】
(接着剤の製造)
ポリオール化合物であるタケラックA−515(三井化学社製)61部、ポリイソシアネート化合物であるタケネートA−50(三井化学社製)10部、及び、溶剤である酢酸エチル61部を混合して、実施例1の接着剤を得た。この接着剤における、ポリオール化合物の水酸基とポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比は、1:3である。
同様にして、表1に従って実施例1〜11、比較例1〜3の各接着剤を得た。
【0039】
(ドライラミネート)
上記の印刷物に、表1で示される各接着剤を塗布し、ドライラミネート機にてシーラントフィルム(東洋紡社製、L−4104)を積層し、実施例1〜11、比較例1〜3の各積層体を得た。
なお、表1の各ポリオール化合物及びポリイソシアネート化合物の詳細は次の通りである。
A−615:タケラックA−615(三井化学社製)
A−515:タケラックA−515(三井化学社製)
A−969V:タケラックA−969V(三井化学社製)
A−310:タケラックA−310(三井化学社製)
LX−401A:ディックドライLX−401A(DICグラフィックス社製)
RU−77T:RU−77T(ロックペイント社製)
A−65:タケネートA−65(三井化学社製)
A−50:タケネートA−50(三井化学社製)
A−5:タケネートA−5(三井化学社製)
A−3:タケネートA−3(三井化学社製)
A−12:タケネートA−12(三井化学社製)
SP−60:SP−60(DICグラフィックス社製)
H−7:H−7(ロックペイント社製)
【0040】
(易引き裂き性評価)
ドライラミネートで得られた実施例1〜11、比較例1〜3の各積層体を40℃で3日経時した後、カッターで切れ目を入れ、手で引き裂いた際の引き裂き易さで評価した。
○:抵抗なく引き裂ける
△:抵抗はあるが引き裂ける
×:シーラント伸びが生じて引き裂けない
【0041】
(ラミネート適性評価)
実施例1〜11、比較例1〜3の各積層体を40℃で3日経時した後、15mm幅の試料片に切断し、安田精機製作所製剥離試験機を用いてT字剥離強度を測定した。評価結果には、強度の実測値(g/15mm)を記載した。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例の各積層体は、引き裂き性に優れ、かつ、良好なラミネート強度を示した。一方、比較例では、これらすべての性能に優れたものは得られなかった。よって、本発明によれば、優れた引き裂き性と良好なラミネートのバランスがとれた性質を有する積層体を得ることができた。