(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側壁部の内周面には、前記口部の外周壁に設けられている容器螺条部に螺合可能なキャップ螺条部と、前記側壁部の軸線方向に沿って延びる複数の切欠部とが設けられており、
前記放射状溝部の外端部の少なくとも一部が前記複数の切欠部の少なくとも一部に一致していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂製キャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、合成樹脂製キャップ1’の天板部21’の周縁部22’から周壁部23’に至る切り込み26’が形成されていることで、当該切り込み26’から流入した洗浄液が周壁部23’の下端と包装容器との隙間から流出するため、口部の外周面と周壁部23’の内周面との間に付着した飲料を洗浄することができる。
【0006】
ところで、このような包装容器にビール等の穀類分解物含有発泡性飲料を充填する場合、包装容器に穀類分解物含有発泡性飲料を充填した後、いわゆるジェットフォーミングと呼ばれる手法により包装容器内の穀類分解物含有発泡性飲料を意図的に極度に泡立たせ、当該泡により包装容器内に残存する酸素が除去される。
【0007】
包装容器の口部から泡が溢れ出ているときに合成樹脂製キャップにより閉栓することで、包装容器内に残存する酸素を除去することができるが、このときに、口部の外周面と周壁部23’の内周面との間のみならず、天板部21’と中栓3’との間にも穀類分解物含有発泡性飲料の泡が顕著に付着してしまうという問題がある。
【0008】
上記特許文献1に記載の合成樹脂製キャップ1’において、天板部21’の周縁部22’から周壁部23’に至る切り込み26’から流入した洗浄液によって口部の外周面と周壁部23’の内周面との間に付着した飲料の洗浄は可能であるものの、天板部21’の内面と中栓3’との間に付着した飲料を洗浄することができないという問題がある。
【0009】
上記課題に鑑みて、本発明は、容器の口部の外周面と周壁部の内周面との間のみならず、天板部の内面と中栓との間に付着した内容物をも洗浄可能な合成樹脂製キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
容器の口部に取り付けられる、天板部及び前記天板部の周縁部に連続する側壁部を有する合成樹脂製キャップであって、前記天板部における前記口部の上端部に対向する位置に当該天板部の表裏を貫通する貫通孔が形成され
、前記天板部の内面には、当該天板部の略中心から放射状に延びる放射状溝部が形成されていることを特徴とする合成樹脂製キャップを提供する(発明1)。
【0011】
上記発明(発明1)において、複数の前記貫通孔が、前記天板部の周方向に沿って等間隔をおいて形成されているのが好ましい(発明2)。
【0012】
上記発明(発明1〜2)において
、複数の
前記貫通孔のうち少なくとも一部は、前記放射状溝部と対応する位置に形成されていることが好ましく(発明
3)、前記側壁部の内周面には、前記口部の外周壁に設けられている容器螺条部に螺合可能なキャップ螺条部と、前記側壁部の軸線方向に沿って延びる複数の切欠部とが設けられており、前記放射状溝部の外端部の少なくとも一部が前記複数の切欠部の少なくとも一部に一致しているのが好ましい(発明
4)。
【0013】
上記発明(発明3〜
4)において、前
記キャップ本体の平面視において、前記貫通孔は、周方向において隣接する2つの前記切欠部の間に位置することができる(発明5)。
【0014】
上記発明(発明
5)において、
前記放射状溝部を構成する複数の溝部のうち、周方向において隣り合う溝部間の各々に周状溝部が形成されていてもよいし(発明6)、前記各周状溝部が、実質的に波形状を有していてもよいし(発明7)、前記複数の周状溝部が略同心円状に形成されていてもよい(発明8)。
【0015】
上記発明(発明1〜
8)において、前記容器は、穀類分解物含有発泡性飲料を充填する飲料用容器であることが好ましい(発明
9)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飲料用容器の口部の外周面と周壁部の内周面との間のみならず、天板部の内面と中栓との間に付着した飲料をも洗浄可能な合成樹脂製キャップを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製キャップの概略構成を示す半断面側面図であり、
図2は、本実施形態に係る合成樹脂製キャップがプラスチックボトルの口部に取り付けられた状態を示す半断面側面図であり、
図3は、本実施形態に係る合成樹脂製キャップの概略構成を示す平面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、プラスチックボトル10(
図2参照)の口部11に被せるようにして取り付けられ、当該プラスチックボトル10を閉栓するためのものである。プラスチックボトル10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂材料により構成され得る。プラスチックボトル10は、穀類分解物含有発泡性飲料を内容物とする包装容器であって、その容量は例えば100〜5000mLである。
【0020】
なお、本実施形態における「穀類分解物含有発泡性飲料」としては、穀類の分解物を含む発泡性飲料であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、麦芽、大麦の分解物を含む飲料を例示することができる。本実施形態において、「穀類」とは、穀物であれば特に限定されるものではなく、例えば、大麦、小麦、大豆、エンドウ豆等が挙げられ、好ましくは大麦が挙げられる。穀類の分解物の具体的な態様としては、麦芽、大麦、小麦、大豆、エンドウ豆、トウモロコシの分解物であり、例えば、大豆タンパク、大豆ペプチド、エンドウ豆タンパク、コーンタンパク分解物が挙げられる。
【0021】
本実施形態における「穀類分解物含有発泡性飲料」の具体例としては、好ましくは麦芽分解物含有発泡性飲料であり、より好ましくはビール系飲料である。ビール系飲料とは、通常、ビールを製造した場合(酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合)に得られるビール特有の味わい、香りを有する飲料を意味し、例えば、ビール、発泡酒、リキュール等の発酵麦芽飲料や、その他の醸造酒、若しくは完全無アルコール麦芽飲料(非アルコール麦芽飲料)等の非発酵麦芽飲料が挙げられる。また、ビール系飲料としては、麦芽飲料のみならず、麦や麦芽を使用しない非麦飲料であってもよい。かかる非麦飲料としては、エンドウ豆、大豆、トウモロコシ等を用いた、ビール風の発泡性アルコール含有飲料、完全無アルコール飲料等が挙げられる。
【0022】
図1に示すように、合成樹脂製キャップ1は、キャップ本体2と、キャップ本体2内に取り付けられ、プラスチックボトル10の口部11を被覆する中栓3とを備える、いわゆる2ピースキャップである。
【0023】
キャップ本体2は、平面視略円形の天板部21と、天板部21の周縁部22に連続して垂下する側壁部23と、側壁部23の下端に複数のブリッジ24を介して連結されてなるタンパーエビデンスバンド(TEバンド)25とを有する。
【0024】
中栓3は、平面視略円形の本体部31と、本体部31の外周縁から下方に折れ曲がる環状のサイドシール部32と、本体部31の下面から下方に向かって延びる略円筒状の中足部33とを有する。合成樹脂製キャップ1をプラスチックボトル10の口部11に取り付けたとき、サイドシール部32は、キャップ本体2の側壁部23とプラスチックボトル10の口部11との間に入り込み、中足部33は口部11の内面に密着する。これにより、プラスチックボトル10の口部11が良好にシールされる。
【0025】
合成樹脂製キャップ1(キャップ本体2及び中栓3)は、上記プラスチックボトル10と同様の樹脂材料により構成され得る。合成樹脂製キャップ1(キャップ本体2)の直径(外径)は、プラスチックボトル10の口部11の大きさに応じて適宜設定され得るものではあるが、例えば、20〜60mm程度である。
【0026】
図3に示すように、キャップ本体2の平面視において、天板部21の周縁部22の近傍には、複数の貫通孔26が、天板部21の周方向に沿って所定の間隔をあけて並列するようにして形成されている。各貫通孔26は、幅0.8mm程度、長さ3mm程度の角丸の略長方形状を有し、その長軸が天板部21の中心に向くように、天板部21の周縁部22近傍に形成されている。
【0027】
なお、
図3において、8個の貫通孔26を有する態様が例示されているが、かかる態様に限定されるものではなく、少なくとも1個の貫通孔26が形成されていればよいが、好ましくは2個以上、より好ましくは8〜16個、特に好ましくは12〜16個の貫通孔26が形成されている。また、
図3において、角丸の略長方形状の貫通孔26を有する態様が例示されているが、貫通孔26の形状はこの態様に限定されるものではなく、例えば、略楕円形状、略八角形等の多角形状等、気体や液体が通過可能な形状であればよい。
【0028】
図2に示すように、貫通孔26は、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1がプラスチックボトル10の口部11に取り付けられたときに、口部11の周壁上端部に対向する位置に形成されており、好ましくは貫通孔26の周縁部22側の端部が口部11の周壁上端部に対向するように形成されている。かかる位置に貫通孔26が形成されていることで、貫通孔26から流入した洗浄液により、天板部21と中栓3(本体部31)との間に付着した穀類分解物含有発泡性飲料を洗い流すことができる。なお、「貫通孔26の周縁部22側の端部が口部11の周壁上端部に対向する」とは、プラスチックボトル10の口部11に取り付けられた合成樹脂製キャップ1を貫通孔26の上方側から見た平面視において、貫通孔26の周縁部22側の端部近傍と口部11の周壁上端部とが重なっていることを意味する。
【0029】
図4〜8に示すように、天板部21の内面には、天板部21の略中心から周縁部22に向けて放射状に延びる放射状溝部271が形成されている。この放射状溝部271が、天板部21と中栓3との間に流入した洗浄液の流路としての役割を果たすことで、天板部21と中栓3との間に付着している穀類分解物含有発泡性飲料を効果的に洗浄することができる。
【0030】
放射状溝部271の幅W
271は、天板部21と中栓3との間に流入した洗浄液の流路としての役割を考慮して適宜設定されればよいが、例えば、0.5〜1.5mm程度に設定され得る。
【0031】
図4〜
図7に示す態様においては、天板部21の略中心から周縁部22に向かって放射状に延びる16個の放射状溝部271が形成されているが、この態様に限定されるものではなく、例えば、放射状溝部271の数は3〜16個の範囲において適宜設定され得る。好ましくは8個以上の放射状溝部271が形成されており、より好ましくは12〜16個の放射状溝部271が形成されている。なお、本実施形態において、各放射状溝部271は天板部21の略中心において連続しているが、放射状溝部271の数は、天板部21の略中心から周縁部22に向けて延びる溝の数により定義されるものとする。
【0032】
本実施形態において、複数の貫通孔26は、それぞれ、放射状溝部271に対応する位置に形成されている。これにより、貫通孔26から流入した洗浄液が、放射状溝部271を通じて天板部21と中栓3との間に行き渡り易くなるとともに、放射状溝部271を主に流れる洗浄液(天板部21と中栓3との間に付着した飲料を含む洗浄液)が貫通孔26から排出され易くなるという効果を奏する。
【0033】
本実施形態において、天板部21の内面における周縁部22近傍には、天面部21の周方向において隣接する放射状溝部271間を連続する周状溝部272が形成されている。天板部21の周縁部22近傍において中栓3との間に付着する飲料が、周状溝部272を流れる洗浄液により効果的に洗浄され得る。
【0034】
周状溝部272の形状は、円弧状であってもよいし(
図5,6参照)、波形状であってもよい(
図7参照)。後述する実施例からも明らかなように、周状溝部272が波形状であることで、天板部21の内面と中栓3との間における洗浄効果をより向上させることができる。周状溝部272が円弧状である場合、複数の周状溝部272が同心円状に形成されていてもよい(
図8参照)。
図8に示す態様においては、天板部21と中栓3との間の全面に洗浄液を行き渡らせやすくなるという効果が奏され得る。周状溝部272が波形状である場合、周方向において隣接する2つの放射状溝部271の間に少なくとも1周期の波形状の周状溝部272が形成されているのが好ましく、2周期の波形状の周状溝部272が形成されているのがより好ましい。
【0035】
図1に示すように、キャップ本体2の側壁部23の内周面にはキャップ螺条部231が形成されており、プラスチックボトル10(
図2参照)の口部11の外周面に形成されているボトル螺条部12と螺合することで、当該プラスチックボトル10を密封することができる。
【0036】
側壁部23の内周面には、所定の間隔でキャップ螺条部231を分断する複数の切欠部232が上下方向(側壁部23の軸線方向、天板部21に対する直交方向)に延在するようにして設けられている。本実施形態において、複数の放射状溝部271のうちの少なくとも一部の端部(周縁部22側の端部)の周方向位置は、複数の切欠部232のそれぞれの周方向位置に一致しているのが好ましい。これにより、複数の放射状溝部271を流路として流れる洗浄液が、切欠部232を通って排出されやすくなり、洗浄液が天板部21と中栓3との間に残存するのを防止することができる。また、側壁部23の下方から流入する洗浄液が切欠部232を通って天板部21と中栓3との間に流入し、貫通孔26から排出されやすくなるため、側壁部23と口部11との間の洗浄効果を向上させ得るという効果も奏する。貫通孔26は、切欠部232に端部が一致する放射状溝部271に重なるように形成されていてもよいし、切欠部232に端部が一致しない放射状溝部271に重なるように形成されていてもよいが、前者の方が、より洗浄効果を向上させ得る。
【0037】
キャップ本体2の側壁部23とタンパーエビデンスバンド25との境界部分には、複数のブリッジ24が周方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。キャップ本体2の側壁部23とタンパーエビデンスバンド25とを連結する複数のブリッジ24は、所定の力で引っ張られることで破断するように構成されている。タンパーエビデンスバンド25の内面には、その下端部から内側斜め上方に向かって折り返され、かつ周方向に沿って断続的な係止部28が設けられている。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1がプラスチックボトル10の口部11に取り付けられた状態で、係止部28は、プラスチックボトル10の口部11の膨出部13の直下に位置しており、開栓操作によって当該膨出部13に係止される。
【0038】
プラスチックボトル10の口部11に取り付けられた合成樹脂製キャップ1が開栓方向に回転し始めると、係止部28が口部11の膨出部13に係止され、複数のブリッジ24に引張力が作用する。合成樹脂製キャップ1がさらに回転すると、複数のブリッジ24は大きく引っ張られて破断する。これにより、天板部21及び側壁部23がタンパーエビデンスバンド25から分離され、プラスチックボトル10が開栓される。開栓後のタンパーエビデンスバンド25は、係止部28が膨出部13に引っ掛かることで、プラスチックボトル10から脱離することはない。
【0039】
本実施形態において、合成樹脂製キャップ1は、プラスチックボトル10に充填された穀類分解物含有発泡性飲料をジェットフォーミングの手法により泡立たせた状態で当該プラスチックボトル10の口部11に装着される。そのため、プラスチックボトル10の口部11に装着された合成樹脂製キャップ1の天板部21と中栓3との間、及び側壁部23と口部11との間に、穀類分解物含有発泡性飲料(泡)が付着してしまう。このようにして付着した飲料は、合成樹脂製キャップ1の上方及び側方から洗浄液を吐出することで洗浄され得る。このとき、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1の天板部21の周縁部22近傍に、貫通孔26が形成されていることで、当該洗浄液(合成樹脂製キャップ1の上方から吐出された洗浄液)が貫通孔26を介して天板部21と中栓3との間に流入する。それらの間に流入した洗浄液の一部は、それらの間に行き渡って、切欠部232を通って下方に流れる。これにより、天板部21と中栓3との間及び側壁部23と口部11との間に付着した飲料を洗浄することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1の天板部21の内面に放射状溝部271が形成されていることで、貫通孔26を通って流入した洗浄液が天板部21と中栓3との間に行き渡りやすくなる。そのため、天板部21と中栓3との間に付着した穀類分解物含有発泡性飲料(泡)は、放射状溝部271を流れる洗浄液とともに洗い流される。さらに、周状溝部272が形成されていることで、天板部21の周縁部22近傍と中栓3との間に穀類分解物含有発泡性飲料(泡)が残存するのを防止することができる。
【0041】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0042】
上記実施形態において、天板部21の内面に放射状溝部271及び周状溝部272が形成されているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、放射状溝部271及び周状溝部272のいずれも形成されていなくてもよいし、放射状溝部271のみが設けられ、周状溝部272は形成されていなくてもよい(
図4参照)。また、周方向において隣接する放射状溝部271間に形成されている周状溝部272の少なくとも一部は、周状溝部272に沿った洗浄液の流れを完全に遮断しない限りにおいて、当該放射状溝部271に連続していない態様であってもよいし、隣接する放射状溝部271の一方に連続し、他方に連続していない態様であってもよい。
【0043】
上記実施形態において、貫通孔26及び放射状溝部271が、互いに短手方向の幅を略同一に、かつ互いの短手方向の略中心を一致させるように形成されているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、
図9(A)及び(B)に示すように、貫通孔26の短手方向の幅が放射状溝部271の短手方向の幅よりも大きくてもよいし(
図9(A)参照)、さらに貫通孔26の短手方向の略中心と放射状溝部271の短手方向の略中心とがずれていてもよい(
図9(B)参照)。また、
図10に示すように、貫通孔26及び放射状溝部271の短手方向の幅が互いに略同一であるが、貫通孔26の短手方向の略中心と放射状溝部271の短手方向の略中心とがずれていてもよい
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0045】
〔実施例1〕
図1、
図3及び
図4に示す構成を有し、8個の貫通孔26及び16個の放射状溝部271が天板部21に形成されている合成樹脂製キャップ1を作製した。8個の貫通孔26は、それぞれ、切欠部232に端部が一致しない(周方向に隣接する切欠部232の間に端部が位置する)8個の放射状溝部271に重なるように形成された。なお、合成樹脂製キャップ1を構成する合成樹脂材料としてポリプロピレンを用いた。また、合成樹脂製キャップ1の直径(外径)を39.7mm、貫通孔26の長手方向の長さを2.5mm、貫通孔26の短手方向の長さを0.5mm、放射状溝部271の幅W
271を0.8mmとした。
【0046】
〔実施例2〕
周方向において隣接する放射状溝部271を連続する、2周期の波形状の周状溝部272(
図7参照)を天板部21の内面に形成した以外は、実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0047】
〔実施例3〕
周方向において隣接する放射状溝部271を連続する複数の同心円状の周状溝部272(
図8参照)を天板部21の内面に形成した以外は、実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0048】
〔実施例4〕
8個の貫通孔26を、それぞれ、切欠部232に端部が一致する8個の放射状溝部271に重なるように形成した以外は、実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0049】
〔実施例5〕
8個の貫通孔26を、それぞれ、切欠部232に端部が一致する8個の放射状溝部271に重なるように形成した以外は、実施例2と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0050】
〔実施例6〕
8個の貫通孔26を、それぞれ、切欠部232に端部が一致する8個の放射状溝部271に重なるように形成した以外は、実施例3と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0051】
〔実施例7〕
各放射状溝部271に重なるように16個の貫通孔26を天板部21に形成した以外は、実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0052】
〔実施例8〕
各放射状溝部271に重なるように16個の貫通孔26を天板部21に形成した以外は、実施例2と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0053】
〔実施例9〕
各放射状溝部271に重なるように16個の貫通孔26を天板部21に形成した以外は、実施例3と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0054】
〔実施例10〕
天板部21の内面に放射状溝部271を形成しなかった以外は、実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0055】
〔比較例1〕
貫通孔26及び放射状溝部271を形成しなかった以外は、実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップ1を作製した。
【0056】
[試験例1]洗浄度試験1
実施例1〜10及び比較例1の合成樹脂製キャップ1につき、天板部21と中栓3との間の洗浄度及び側壁部23と口部11との間の洗浄度を以下のようにして試験した。
【0057】
所定のペットボトル10にビール液を充填し、ジェットフォーミングの手法により泡立たせた状態で合成樹脂製キャップ1を装着した。そして、合成樹脂製キャップ1の上方に位置する1個の流体ノズルから天板部21に向かって30秒間洗浄液を吐出した後、側方(合成樹脂製キャップ1を中心とする180°の位置)に位置する2個の流体ノズルから側壁部23に向かって30秒間洗浄液を吐出した。
【0058】
洗浄後の合成樹脂製キャップ1について、ATP測定器(キッコーマンバイオケミファ社製,製品名:ルミテスター)を用い、ATP拭き取り試験法により天板部21と中栓3との間の相対発光量(RLU,Relative Light Unit)及び側壁部23と口部11との間の相対発光量(RLU)を測定し、当該発光量(RLU)をそれぞれのATP量として評価した。結果を表1に示す。なお、表1におけるATP量は、天板部21と中栓3との間のATP量及び側壁部23と口部11との間のATP量の合計値であって、実施例1〜10のATP量は、比較例1のATP量を100としたときの相対値で表されている。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示す結果から、天板部21に貫通孔26を形成することで洗浄効果を顕著に向上させ得ることが確認された(実施例10参照)。また、天板部21の内面に放射状溝部271及び周状溝部272を形成することで、洗浄効果を極めて顕著に向上させ得ることが確認された(実施例1〜3,7〜9参照)。さらに、切欠部232に周縁部22側端部が一致する放射状溝部271に重なるように貫通孔26を形成することで、洗浄効果をより向上させ得ることが確認された(実施例4〜6参照)。
【0061】
[試験例2]洗浄度試験2
実施例1〜3の合成樹脂製キャップ1の天板部21と中栓3との間に水性赤色インキを付着させ、当該合成樹脂性キャップ1をペットボトル10に装着した後、試験例1と同様にして洗浄した。洗浄後の合成樹脂製キャップ1内の着色の度合いを、目視により観察した。
【0062】
目視により観察した結果、天板部21の周縁部22の近傍に周状溝部272が形成されていない実施例1の合成樹脂製キャップ1においては、天板部21の周縁部22近傍に着色が確認された。一方、天板部21の周縁部22の近傍に周状溝部272が形成されている実施例2,3の合成樹脂製キャップ1においては、着色が確認されなかった。
【0063】
この結果から、天板部21の周縁部22の近傍に周状溝部272が形成されていることで、天板部21と中栓3との間に付着する飲料を効果的に洗浄可能であることが確認された。