【実施例】
【0031】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の実施例および比較例における物性値の測定方法は以下の通りである。
<MFR>
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1234に従い、230℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。
【0032】
<エチレン由来の骨格単位の含有率(mol%)>
日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−610またはFT/IR−6100を用い、長鎖メチレン基の横揺れ振動に基づく721cm
-1付近の吸収とプロピレンの骨格振動に基づく1155cm
-1付近の吸収との吸光度比(D1155cm
-1/D721cm
-1)を算出し、予め作成しておいた検量線(ASTM D3900での標準試料を使って作成)よりエチレン由来の骨格単位の含有率(重量%)を求めた。次に、得られたエチレン由来の骨格単位の含有率(重量%)を用い、下記式に従ってエチレン由来の骨格単位の含有率(mol%)を求めた。
【0033】
【数1】
【0034】
<分子量分布>
分子量分布は、東ソー株式会社HLC−8320GPCを用いて以下のようにして測定した。分離カラムとして、TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4本)を用い、カラム温度を40℃とし、移動相にはテトラヒドロフラン(和光純薬社製)を用い、展開速度を0.35ml/分とし、試料濃度を5.5g/Lとし、試料注入量を20マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製(PStQuick MP−M)のものを用いた。汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として重量平均分子量(Mw)並びに数平均分子量(Mn)を算出し、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0035】
<粘度特性>
100℃における動粘度は、JIS K2283に記載の方法により、測定、算出した。
【0036】
<不飽和結合量>
o−ジクロロベンゼン−d
4を測定溶媒とし、測定温度120℃、スペクトル幅20ppm、パルス繰り返し時間7.0秒、かつパルス幅6.15μsec(45°パルス)の測定条件下にて、1H−NMRスペクトル(400 MHz、日本電子ECX400P)を測定した。ケミカルシフト基準には、溶媒ピーク(オルトジクロロベンゼン 7.1ppm)を用い、0〜3ppmに観測されるメインピークと、4〜6ppmに観測されるビニル、ビニリデン、二置換オレフィンおよび三置換オレフィンに由来するピークの積分値の比率より、炭素原子1000個当たりの不飽和結合量(個/1000C)を算出した。
【0037】
<融点>
セイコーインスツルメント社X−DSC−7000を用い、簡易密閉できるアルミサンプルパンに約8mgのエチレン−α−オレフィン共重合体を入れてDSCセルに配置し、DSCセルを窒素雰囲気下にて室温から150℃まで10℃/分で昇温し、次いで、150℃で5分間保持した後、10℃/分で降温し、DSCセルを−100℃まで冷却した(降温過程)。次いで、100℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温し、昇温過程で得られるエンタルピー曲線が極大値を示す温度を融点(Tm)とし、融解に伴う吸熱量の総和を融解熱量(ΔH)とした。ピークが観測されないか、融解熱量(ΔH)の値が1J/g以下の場合、融点(Tm)は観測されないとみなした。融点(Tm)、および融解熱量(ΔH)の求め方はJIS K7121に基づいた。
【0038】
<曲げ試験>
ASTM D790に準拠して、試験片形状を12.7mm(幅)×3.2mm(厚さ)×127mm(長さ)とし、曲げスパン48.0mm、試験速度5.0mm/minにより、曲げ強度および曲げ弾性率(FM)(MPa)を求めた。
【0039】
<シャルピー衝撃強度>
ISO−179に準拠して、ノッチ付き多目的試験片を用いてシャルピー衝撃強度を測定した。
【0040】
<摩擦係数および比摩耗量>
摩擦係数および比摩耗量は、JIS K 7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠し、松原式摩擦摩耗試験機を使用して測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:15kg(摩擦係数)または2.5kg(比摩耗量)、測定環境温度:23℃、150℃とした。
【0041】
<限界PV値>
限界PV値は、ステップワイズ法〔JIS K7218(SUSリング/樹脂シート)〕により評価した。具体的には、摺動速度:0.2m/s、試験荷重:0.25〜25MPa(0.25MPa毎ステップ)、試験温度:23℃として、試験荷重による樹脂の摩耗による融着、変形による摩擦係数上昇、発熱温度上昇までの試験荷重と摺動速度から限界PV値を算出した。
【0042】
[エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造]
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は以下の製造例1および2に従い製造した。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の水添操作は下記方法で実施した。
【0043】
<水添操作>
内容積1Lのステンレス製オートクレーブに0.5質量%Pd/アルミナ触媒のヘキサン溶液100mLおよびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の30質量%ヘキサン溶液500mLを加え、オートクレーブを密閉した後、窒素置換を行なった。次いで、撹拌をしながら140℃まで昇温し、系内を水素置換した後、水素で1.5MPaまで昇圧して15分間水添反応を実施した。
【0044】
<メタロセン化合物の合成>
<合成例1>
[メチルフェニルメチレン(η
5−シクロペンタジエニル)(η
5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリドの合成
(i)6−メチル−6−フェニルフルベンの合成
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコにリチウムシクロペンタジエン7.3g (101.6mmol)および脱水テトラヒドロフラン100mLを加えて攪拌した。溶液をアイスバスで冷却し、アセトフェノン15.0g(111.8mmol)を滴下した。その後、室温で20時間攪拌し、得られた溶液を希塩酸水溶液でクエンチした。ヘキサン100mLを加えて可溶分を抽出し、この有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去し、得られた粘性液体を、ヘキサンを移動相として用いたカラムクロマトグラフィーで分離し、目的物である6−メチル−6−フェニルフルベンを赤色粘性液体として得た。
【0045】
(ii)メチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタンの合成
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,7−ジ−t−ブチルフルオレン2.01g(7.20mmol)および脱水t−ブチルメチルエーテル50mLを添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液 (1.65 M) 4.60mL(7.59mmol)を徐々に添加し、室温で16時間攪拌した。6−メチル−6−フェニルフルベン1.66g(9.85mmol)を添加した後、加熱還流下で1時間攪拌した。氷浴で冷却しながら水50mLを徐々に添加し、得られた二層の溶液を200mL分液漏斗に移した。ジエチルエーテル50mLを加えて数回振った後水層を除き、有機層を水50mLで3回、飽和食塩水50mLで1回洗った。無水硫酸マグネシウムで30分間乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。少量のヘキサンを加えて得た溶液に超音波を当てたところ固体が析出したので、これを採取して少量のヘキサンで洗浄した。減圧下で乾燥し、白色固体としてメチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタン2.83gを得た。
【0046】
(iii)[メチルフェニルメチレン(η
5−シクロペンタジエニル)(η
5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリドの合成
窒素雰囲気下、100mLシュレンク管にメチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタン1.50g(3.36mmol)、脱水トルエン50mLおよびTHF 570μL(7.03mmol)を順次添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.65M)4.20mL(6.93mmol)を徐々に添加し、45℃で5時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、脱水ジエチルエーテル40mLを添加して赤色溶液とした。メタノール/ドライアイス浴で冷却 しながら四塩化ジルコニウム 728mg(3.12mmol)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら16時間攪拌したところ、赤橙色スラリーが得られた。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をグローブボックス内に持ち込み、ヘキサンで洗浄した後、ジクロロメタンで抽出した。減圧下で溶媒を留去して濃縮した後、少量のヘキサンを加え、−20℃で放置したところ赤橙色固体が析出した。この固体を少量のヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、赤橙色固体として[メチルフェニルメチレン(η
5−シクロペンタジエニル)(η
5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド1.20 gを得た。
【0047】
[製造例1]重合体1の製造
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製重合器にデカン250mLを装入し、系内の温度を130℃に昇温した後、エチレンを25L/hr、プロピレンを75L/hr、水素を100L/hrの流量で連続的に重合器内に供給し、撹拌回転数600rpmで撹拌した。次にトリイソブチルアルミニウム0.2mmolを重合器に装入し、次いでMMAO1.213mmolと[メチルフェニルメチレン(η
5−シクロペンタジエニル)(η
5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド0.00402mmolをトルエン中で15分以上予備混合したものを重合器に装入することにより重合を開始した。その後、エチレン、プロピレン、水素の連続的供給を継続し、130℃で15分間重合を行った。少量のイソブチルアルコールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のモノマーをパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥し、エチレン・プロピレン共重合体(重合体1)0.77 gを得た。重合体1のエチレン由来の骨格単位の含有率は48.8mol%、Mw/Mnは1.6、100℃における動粘度は102mm
2/sであった。また、重合体1の水添操作後の不飽和結合量は0.1個/1000C未満であった。また、重合体1は、DSCによる融点(Tm)は観測されなかった。
【0048】
[製造例2]重合体2の製造
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン710mLおよびプロピレン145gを装入し、系内の温度を150℃に昇温した後、水素0.40MPa、エチレン0.27MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η
5−シクロペンタジエニル)(η
5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0001mmolおよびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.001mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、150℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/Lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥し、エチレン−プロピレン共重合体(重合体2)52.2gを得た。重合体2のエチレン由来の骨格単位の含有率は53.1mol%、Mw/Mnは1.8、100℃における動粘度は605mm
2/sであった。また、重合体2の水添操作後の不飽和結合量は0.1個/1000C未満であった。また、重合体2は、DSCによる融点(Tm)は観測されなかった。
【0049】
[製造例3]変性ポリエチレン(重合体3)の製造
<固体状チタン触媒成分の調製>
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン398.4gおよび2−エチルヘキシルアルコ−ル306gを140℃で6時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に安息香酸エチル17.6gを添加し、更に130℃にて1時間攪拌混合を行なった。
【0050】
このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、この均一溶液50mLを、0℃に保持した四塩化チタン200mL中に一定の撹拌速度で攪拌しつつ1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を2.5時間かけて80℃に昇温し、80℃になったところで混合液中に安息香酸エチル2.35gを添加し、2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mLの四塩化チタンにて再懸濁させた後、90℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、温度90℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分はデカンスラリーとして保存した。
【0051】
ICP法で分析したところ、固体状チタン触媒成分中、Ti成分が3.5質量%含まれていた。ベックマン・コールター社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置で測定した触媒粒子の平均粒径は7μm、最大粒径は18μmであった。
【0052】
<ポリエチレンの重合>
充分に窒素置換された攪拌機付24Lのオートクレーブに12Lの精製n−デカンを添加した後、トリエチルアルミニウムをアルミニウム換算で14ミリモル、上記固体状チタン触媒成分をチタン換算で0.3mmol加え、十分に撹拌しながら45℃まで昇温しつつ、4.2L/分の速度でエチレンを供給して重合を開始した。オートクレーブの内圧は6kg/cm
2・Gに保持した。重合温度は45〜46℃に維持した。エチレンを880L供給した時点でエチレンの供給を一旦停止し、内圧が3kg/cm
2・Gとなるまで温度を一定に保持した後、速やかに常圧まで脱圧した。この段階で、得られたスラリーを少量サンプリングし、デカンとヘキサンとで洗浄して白色固体サンプル(1)を得た。次いで水素を41L導入し、温度を85℃に上げつつエチレンを11.6L/分の速度で供給しながら2段目の重合を開始した。全圧を6.4kg/cm
2・G、温度は85℃に保持した。
【0053】
エチレンを3800L供給したところで、エチレンの供給を停止し、内圧が3kg/cm
2・Gになるまで温度は85℃に保持し、その後、常圧、常温まで脱圧、冷却し、重合終了とした。
【0054】
重合終了後、得られたスラリーから固体状白色固体を分離し、デカン、ヘキサンで洗浄した後、これを80℃で減圧乾燥した。得られた白色固体(ポリエチレン(PE−1))のASTM D1505に準拠して測定された密度は967kg/cm
3、極限粘度[η]は5.73dl/gであった。
【0055】
一方、白色個体サンプル(1)は、極限粘度[η]が28dl/gであった。また、エチレンの供給量より、第1段目で製造した超高分子量ポリエチレンの含有量は19.0質量%である。第2段目で生成した重合体の極限粘度は下記式より推算すると、0.5dl/gであった。
[η]all=[η]A×wtA+[η]B×wtB
[η]all:ポリマー全体(ポリエチレンPE−1)の極限粘度(dl/g)
[η]A:超高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtA:超高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
[η]B:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtB:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
【0056】
なお、極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定される値である。すなわち、サンプル(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、オレフィン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
【0057】
<変性ポリエチレン(重合体3)の製造>
上記で得たポリエチレン(PE−1)100質量部、無水マレイン酸0.8質量部、および有機過酸化物[日本油脂(株)製、商品名パーヘキシン−25B]0.07質量部、をヘキシェルミキサーで混合し、得られた混合物を270℃に設定した100mmφの二軸押出機で、混練時間1分30秒程で溶融グラフト変性することによって、変性ポリエチレン(重合体3)を得た。
[PTFE]
PTFEとして、株式会社喜多村製PTFE KTL610を使用した。
【0058】
[実施例1〜4]
ポリアミド樹脂であるPA6(東レ(株)製、アミラン、CM1007)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)である重合体1または重合体2とを、あるいはPA6と重合体1または重合体2とその他の樹脂である重合体3とを、表1に示す質量比率にて配合し、46mmφのベント式二軸スクリュー押出機を用いて200〜240℃のシリンダー温度条件で溶融混合してポリアミド樹脂組成物のペレットを製造した。こうして得られたペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記の物性値を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
[比較例1]
PA6担体を用いて射出成型試験片を作製し、上記の物性値を測定した。結果を表1に示す。
【0060】
[比較例2]
PA6と重合体3とを表1に示す質量比率にて配合し、実施例1と同様にペレットを製造した。このペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記の物性値を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
[比較例3]
PA6とPTFEとを表1に示す質量比率にて配合し、実施例1と同様にペレットを製造した。このペレットを用いて射出成型試験片を作製し、上記の物性値を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すとおり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含有する実施例1〜4のポリアミド樹脂組成物は、比較例1のポリアミド樹脂単体に比較して、機械物性を損なうことなく、摩擦係数および比摩耗量を大幅に低減することができた。実施例1と比較例2とを比較すると、実施例1のポリアミド樹脂組成物は、比較例2のポリアミド樹脂と変性ポリエチレン(重合体3)とからなるポリアミド樹脂組成物に比較して、高い流動性を維持することができた。実施例2〜4の結果が示す通り、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と変性ポリエチレンとの配合比率を変えたり、変性ポリエチレンと組み合わせるエチレン・α−オレフィン共重合体の100℃における動粘度を変えたりすることで、流動性を任意に調整することができた。
【0064】
更に、比較例3に示すポリアミド樹脂とPTFEとからなるポリアミド樹脂組成物は低摩擦係数を実現できることで知られているが、これと比較して、実施例のポリアミド樹脂組成物は摩擦係数の低減に加え、摩耗量の低減も実現できた。