特許第6814069号(P6814069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814069
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/48 20180101AFI20201228BHJP
   F21S 41/39 20180101ALI20201228BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20201228BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20201228BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20201228BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20201228BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201228BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20201228BHJP
【FI】
   F21S45/48
   F21S41/39
   F21S41/19
   F21V17/00 250
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V29/74
   F21Y115:10 500
   F21Y115:30
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-30645(P2017-30645)
(22)【出願日】2017年2月22日
(65)【公開番号】特開2018-137125(P2018-137125A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2020年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一将
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−027879(JP,A)
【文献】 特開2012−216348(JP,A)
【文献】 特開2012−064493(JP,A)
【文献】 特開2015−197574(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/046240(WO,A1)
【文献】 特開2016−219105(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/002960(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0030547(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104903147(CN,A)
【文献】 特開2016−225240(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106247244(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/48
F21S 41/19
F21S 41/39
F21V 17/00
F21V 19/00
F21V 29/74
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源が一面側に実装された基板と、
前記基板の他面側に接触した状態で、前記光源が発する熱を放熱させるヒートシンクと、
前記光源から出射された光が通過する開口部と、前記開口部を通過した光を前方に向けて反射する反射部とが設けられた筐体とを備え、
前記基板は、前記開口部に前記光源が臨むように前記筐体の一面に位置決めされた状態で配置され、
前記ヒートシンクは、前記筐体の一面との間で前記基板を挟み込みながら、その一端側に設けられた係止部が前記筐体に設けられた被係止部に係止された状態で、前記基板を貫通する貫通孔を通して、前記筐体の一面に設けられた固定部に固定されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記固定部は、前記筐体の一面から前記貫通孔を貫通した状態で突出されるボスと、前記ボスの先端に設けられたネジ穴とを有し、
前記ヒートシンクは、前記ネジ穴と対向する位置に孔部を有して、前記孔部を通して前記ネジ穴にビスを螺合により取り付けることによって、前記固定部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、前記基板と接触するベース部と、前記ベース部の前記基板と対向する面とは反対側の面から同一方向に並んで立ち上がり形成された複数のフィン部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記係止部は、前記ベース部の前記複数のフィン部が並ぶ方向の一端側に設けられ、
前記孔部は、前記ベース部の前記複数のフィン部が並ぶ方向の一部について前記フィン部の延長方向に亘って、前記基板と対向する側を凹ませると共に、それとは反対側を突出させた座面部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記筐体は、前記一面から突出された複数の位置決め凸部を有し、
前記基板は、その端面を厚み方向に切り欠く複数の位置決め凹部を有し、
前記位置決め凸部と前記位置決め凹部とを互いに係合されることによって、前記基板が前記筐体の一面に位置決めされた状態となることを特徴とする請求項3又は4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、前記ベース部の前記基板と対向する面に、前記位置決め凸部と対向する位置を前記フィン部の延長方向に亘って凹ませた逃げ凹部を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ヒートシンクは、押出成形品からなることを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記筐体は、リフレクタであることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両用灯具では、発光ダイオード(LED)の高輝度化や低コスト化が進むに従って、光源にLEDを採用したものが徐々に増えてきている。LEDは、長寿命で消費電力が少ないといったメリットがある。一方、高温になると発光効率の低下や寿命の短縮化を招くことから、ヒートシンクなどを用いて、LEDが発する熱を外部に効率良く放熱させる必要がある(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、半導体光源が取り付けられたホルダ部材をヒートシンクにネジ止めにより取り付けると共に、このヒートシンクにリフレクタをネジ止めにより取り付けた車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5630360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の車両用灯具では、ヒートシンクに対してホルダ部材とリフレクタとを別々にネジ止めにより取り付ける構造のため、部品点数が増えるだけでなく、組み立て工数も多くなる。
【0006】
また、ヒートシンクに対してリフレクタがネジ止めされる方向がヒートシンクの前面側と上面側とで異なっている。この場合、一方向からの組み立て(ネジ止め)は不可能なため、組み立て工程を簡素化することは困難である。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、部品点数を少なくし、組み立て工程を簡素化することによって、更なる低コスト化を可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、
前記光源が一面側に実装された基板と、
前記基板の他面側に接触した状態で、前記光源が発する熱を放熱させるヒートシンクと、
前記光源から出射された光が通過する開口部と、前記開口部を通過した光を前方に向けて反射する反射部とが設けられた筐体とを備え、
前記基板は、前記開口部に前記光源が臨むように前記筐体の一面に位置決めされた状態で配置され、
前記ヒートシンクは、前記筐体の一面との間で前記基板を挟み込みながら、その一端側に設けられた係止部が前記筐体に設けられた被係止部に係止された状態で、前記基板を貫通する貫通孔を通して、前記筐体の一面に設けられた固定部に固定されていることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記固定部は、前記筐体の一面から前記貫通孔を貫通した状態で突出されるボスと、前記ボスの先端に設けられたネジ穴とを有し、
前記ヒートシンクは、前記ネジ穴と対向する位置に孔部を有して、前記孔部を通して前記ネジ穴にビスを螺合により取り付けることによって、前記固定部に固定されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記ヒートシンクは、前記基板と接触するベース部と、前記ベース部の前記基板と対向する面とは反対側の面から同一方向に並んで立ち上がり形成された複数のフィン部とを有することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記係止部は、前記ベース部の前記複数のフィン部が並ぶ方向の一端側に設けられ、
前記孔部は、前記ベース部の前記複数のフィン部が並ぶ方向の一部について前記フィン部の延長方向に亘って、前記基板と対向する側を凹ませると共に、それとは反対側を突出させた座面部に設けられていることを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記筐体は、前記一面から突出された複数の位置決め凸部を有し、
前記基板は、その端面を厚み方向に切り欠く複数の位置決め凹部を有し、
前記位置決め凸部と前記位置決め凹部とを互いに係合されることによって、前記基板が前記筐体の一面に位置決めされた状態となることを特徴とする前記〔3〕又は〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記ヒートシンクは、前記ベース部の前記基板と対向する面に、前記位置決め凸部と対向する位置を前記フィン部の延長方向に亘って凹ませた逃げ凹部を有することを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記ヒートシンクは、押出成形品からなることを特徴とする前記〔3〕〜〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記筐体は、リフレクタであることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、部品点数を少なくし、組み立て工程を簡素化することによって、更なる低コスト化を可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す分解斜視図である。
図2図1に示す車両用灯具の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば図1及び図2に示す車両用灯具1について説明する。なお、図1は、車両用灯具1の構成を示す分解斜視図である。図2は、図1に示す車両用灯具1の構成を示す断面図である。また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向として、それぞれ示すものとする。
【0013】
本実施形態の車両用灯具1は、図1及び図2に示すように、例えば車両の前方(+X軸方向)に向けて光を照射する車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものである。また、本実施形態では、図1に示すように、単体又は複数の車両用灯具1が組み合わされた状態で、図示を省略する灯体の内側に収容されることによって、1つの車両用前照灯を構成している。なお、各車両用灯具1については、基本的に同じ構成を有していることから、図2に示すように、1つの車両用灯具1を例に挙げて、その構成等を説明するものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、光源2と、光源2が一面(本実施形態では下面)側に実装された基板3と、基板3の他面(本実施形態では上面)側に接触した状態で、光源2が発する熱を放熱させるヒートシンク4と、基板3及びヒートシンク4が取り付けられる筐体5とを備えている。
【0015】
光源2は、例えば白色光を発するチップLED(SMD LED)からなる。また、チップLEDには、車両照明用の高出力タイプのものが使用されている。なお、光源2の数については、1つ限らず、複数であってもよい。また、光源2が発する光の色については、上述した白色光に限らず、橙色光や赤色光など、その車両用灯具1の用途に応じて適宜変更することが可能である。さらに、光源2には、上述したチップLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの基板3に実装可能な発光素子を用いることができる。
【0016】
基板3は、少なくとも一面に光源2と電気的に接続される配線(図示せず。)が設けられた矩形状のプリント配線基板(PWB)からなる。基板3には、この基板3を貫通する円形状の貫通孔6と、その端面を厚み方向に半円形状に切り欠く複数(本実施形態では4つ)の位置決め凹部7とが設けられている。
【0017】
貫通孔6は、基板3の光源2が実装された位置から長手方向に離間した位置の略中央部に設けられている。複数の位置決め凹部7は、基板3の長手方向に沿った両端面の互いに相対する位置にそれぞれ2つ並んで設けられている。
【0018】
なお、車両用灯具1では、図示を省略するものの、光源2が実装された基板(実装基板)3とは別に、光源2を駆動する駆動回路が設けられた回路基板を用意し、これら基板3と回路基板とをハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、光源2が発する熱から駆動回路を保護することが行われている。
【0019】
ヒートシンク4は、熱電導性の高い例えばアルミニウムなどの金属製の押出成形品からなる。ヒートシンク4は、矩形状のベース部8と、ベース部8の基板3と対向する面(下面)とは反対側の面(上面)から同一方向(本実施形態ではベース部8の長手方向)に並んで立ち上がり形成された複数のフィン部9とを有している。ベース部8は、基板3と接触する部分であり、複数のフィン部9は、基板3からベース部8に伝わる熱を外部に放熱させる部分である。ヒートシンク4では、複数のフィン部9により表面積を増やすことで、放熱性を高めることが可能である。
【0020】
また、ベース部8の複数のフィン部9が並ぶ方向(長手方向)の一端側には、係止部10が設けられている。係止部10は、後述する筐体5の被係止部17に係止される部分であり、ベース部8の一端側のフィン部9よりも外側に張り出した部分からなる。
【0021】
ヒートシンク4は、上述した基板3の貫通孔6と対向する位置に円形状の孔部11を有している。孔部11は、座面部12に設けられている。座面部12は、ベース部8の複数のフィン部9が並ぶ方向(長手方向)の一部についてフィン部9の延長方向(ベース部8の短手方向)に亘って、基板3と対向する側を断面矩形状に凹ませると共に、それとは反対側を断面矩形状に突出させた部分からなる。
【0022】
ヒートシンク4は、後述する筐体5の位置決め凸部20と対向する位置に逃げ凹部13を有している。逃げ凹部13は、筐体5の一面から突出された位置決め凸部20を逃がすためのものであり、ベース部8の基板3と対向する面をフィン部9の延長方向に亘って断面矩形状に凹ませた部分からなる。
【0023】
ヒートシンク4は、ベース部8の基板3と対向する面にグリス溝14を有している。グリス溝14は、ヒートシンク4が熱伝導グリス(図示せず。)を介して基板3と接触して配置された際に、この熱伝導グリスが光源2と重なる位置の周囲から漏れ出すのを防ぐためのものである。グリス溝14は、光源2と重なる位置を挟んだ両側にフィン部9の延長方向に亘って切り欠く一対の溝部14aと、その間を僅かに(約0.1mm)凹ませた凹部14bとから構成されている。
【0024】
本実施形態のヒートシンク4は、押出成形品として、フィン部9の延長方向(ベース部8の短手方向)に沿って押出成形したものを所定の長さで切断することによって一括で製造することが可能である。これにより、ヒートシンク4の製造コストを低減することが可能である。
【0025】
筐体5は、光源2から出射された光を前方に向けて反射するリフレクタを構成するものであり、前面側が開口したボックス状の樹脂成形品からなる。筐体5は、光源2から出射された光が通過する開口部15と、開口部15を通過した光を前方に向けて反射する反射部16とを有している。
【0026】
開口部15は、筐体5の一面(上面)の後方側に設けられている。反射部16は、筐体5の前後方向(X軸方向)に沿った断面(X軸断面)において、その基端(後端)側から先端(前端)側に向かって、光源2の中心(発光点)を焦点とする放物線を描くように、筐体5の一面とは反対側(下方側)から湾曲して形成されている。反射部16では、その筐体5の内側の面に、例えばアルミニウムなどの反射膜を設けることによって、光源2から出射された光を前方に向けて反射する反射面16aとされている。なお、本実施形態では、反射部16が筐体5と一体に構成されているが、筐体5とは別体に構成された反射部(反射部材)16を筐体5に一体に取り付けた構成とすることも可能である。
【0027】
筐体5には、上述したヒートシンク4の係止部10が係止される被係止部17が設けられている。被係止部17は、筐体5の一面の前端側に位置して、ヒートシンク4の係止部10の形状に合わせて、筐体5の一部を線状に切り欠くスリットからなる。
【0028】
また、筐体5の一面には、ヒートシンク4を固定するための固定部18が設けられている。固定部18は、筐体5の一面から略円柱状に突出したボス19と、ボス19の先端に設けられたネジ穴19aとを有している。ボス19(固定部18)は、筐体5の開口部15が形成された位置よりも後方側に設けられている。
【0029】
また、筐体5の一面には、複数(本実施形態では2つ)の位置決め凸部20が突出して設けられている。複数の位置決め凸部20は、筐体5の開口部15が形成された位置よりも前方側に位置して、筐体5の幅方向(Y軸方向)に並んで設けられている。なお、位置決め凹部7は、位置決め凸部20よりも一対(2つ)多く配置されているが、これは基板3の汎用性を考慮したものである。すなわち、予め基板3の所定の位置に複数の位置決め凹部7を設けておくことで、異なる機種の間で共通の基板3を使用することが可能となっている。
【0030】
以上のような構成を有する車両用灯具1では、先ず、基板3に設けられた4つの位置決め凹部7のうち2つの位置決め凹部7に、筐体5の一面に設けられた2つの位置決め凸部20を係合させる。これにより、筐体5の開口部15に光源2が臨むように、筐体5の一面に基板3が位置決めされた状態で配置される。また、このとき筐体5の一面に設けられたボス19が基板3の貫通孔6を貫通した状態となる。
【0031】
次に、この状態から、ヒートシンク4を熱伝導グリスを介して基板3と接触した状態で配置する。具体的には、筐体5の一面とヒートシンク4との間で基板3を挟み込みながら、このヒートシンク4の一端側に設けられた係止部10を筐体5に設けられた被係止部17に差し込まれることによって、被係止部17に対して係止部10を係止する。
【0032】
次に、この状態から、ヒートシンク4の孔部11を通してボス19のネジ穴19aにビス21を螺合により取り付ける。これにより、基板3を貫通する貫通孔6を通して、筐体5の一面に設けられた固定部18にヒートシンク4を固定することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、1つのビス21で筐体5の一面に基板3及びヒートシンク4を取り付けることが可能である。また、一方向からの組み立て(ネジ止め)が可能である。したがって、本実施形態の車両用灯具1では、部品点数を少なくし、組み立て工程を簡素化することによって、更なる低コスト化を図ることが可能である。
【0034】
また、本実施形態の車両用灯具1では、基板3が筐体5の一面にネジ止めによって固定されておらず、筐体5の一面とヒートシンク4との間に基板3が挟み込まれた状態で配置されている。これにより、取り付け時に基板3に加わる応力を低く抑えることが可能である。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、固定部18として、基板3の貫通孔6を貫通するボス19を設けた構成となっているが、このような構成に限らず、例えば、ヒートシンク4に設けられた孔部から基板3の貫通孔6を通して、筐体5の一面に設けられたネジ穴にビス21を螺合により取り付ける構成とすることも可能である。すなわち、本実施形態の車両用灯具1では、上述した基板3に応力が加わることを避けるため、基板3を貫通する貫通孔6を通して、筐体5の一面に設けられた固定部18にヒートシンク4を固定する構成とすればよい。
【0036】
なお、上記実施形態では、上述した車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用した場合を例示したが、例えば、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部霧灯(フォグランプ)、昼間点灯用(デイタイム・ランニング)ランプ、リッドランプ、テールランプ(尾灯)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…車両用灯具 2…光源 3…基板 4…ヒートシンク 5…筐体 6…貫通孔 7…位置決め凹部 8…ベース部 9…フィン部 10…係止部 11…孔部 12…座面部 13…逃げ凹部 14…グリス溝 15…開口部 16…反射部 17…被係止部 18…固定部 19…ボス 19a…ネジ穴 20…位置決め凸部 21…ビス
図1
図2