特許第6814110号(P6814110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814110
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】ヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/885 20180101AFI20201228BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   B60N2/885
   A47C7/38
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-162825(P2017-162825)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-38432(P2019-38432A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中村 武
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小堀 雅達
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−120614(JP,A)
【文献】 特開2009−153591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/885
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの上端部に支持されるメインフレームと、
前記メインフレームの左右両側に配置される左右のサイドフレームと、
前記左右のサイドフレームを前記メインフレームに対して上下に延びる左右の軸線回りに回転可能に連結する左右の回転連結部と、
を備え、
前記回転連結部は、
前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの一方における上下方向一端側に形成されるボス孔と、
前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの他方における上下方向一端側に形成され、前記ボス孔に相対回転可能に嵌合されるボス部と、
前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの片方における上下方向他端側に形成されるヒンジ孔と、
前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちのもう片方における上下方向他端側に締結固定されるブラケット、及び、前記ブラケットに回転可能に支持され、前記ヒンジ孔に相対回転不能に嵌合される可動軸を有するヒンジと、
を備えているヘッドレスト。
【請求項2】
前記メインフレーム及び前記サイドフレームは、樹脂製とされており、
前記ブラケット及び前記可動軸は、金属製とされている請求項1に記載のヘッドレスト。
【請求項3】
前記メインフレーム及び前記サイドフレームは、互いに当接することで前記メインフレームに対する前記サイドフレームの回転範囲を制限する当接面を有する請求項1又は請求項2に記載のヘッドレスト。
【請求項4】
前記回転連結部は、
前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの一方における上下方向中央側に形成される中央ボス孔と、
前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの他方における上下方向中央側に形成され、前記中央ボス孔に相対回転可能に嵌合される中央ボス部と、
を備えている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のヘッドレスト。
【請求項5】
前記ヒンジは、前記ブラケットと前記可動軸との間に設けられ、前記ブラケットに対する前記可動軸の回転に抵抗力を付与するスプリングを有する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のヘッドレスト。
【請求項6】
前記ブラケットには、前記もう片方から突出した位置決め凸部が嵌合される位置決め孔と、前記もう片方に形成されたねじ孔に螺合されるねじ部材が挿通されるねじ挿通孔とが形成されている請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両の乗員の快適性を向上させるヘッドレストが記載されている。このヘッドレストでは、シートバックの上方側に配設される後枕部の前方に前枕部が取り付けられている。前枕部の左右方向中間部(メイン部)に配設されたメインフレームの左右両側には、それぞれヒンジブラケットが締結固定されている。左右のヒンジブラケットには、前枕部の左右方向両サイド部(左右のサイドサポート部)に配設された左右のサイドパイプ(サイドフレーム)が、それぞれロングボルトを介して連結されている。左右のロングボルトは、左右のヒンジブラケット及び左右のサイドフレームの上下両端部に形成された貫通孔に挿通されており、各ロングボルトの先端部には、それぞれナットが螺合している。これにより、左右のサイドフレームがメインフレームに対して左右のロングボルト回りに回転可能に連結されており、メイン部に対する左右のサイドサポート部の前方側への迫出し量を調整可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−56858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成のヘッドレストでは、メインフレームのヒンジブラケットにサイドフレームを組付ける際に、ヒンジブラケットの上下の貫通孔と、サイドフレームの上下の貫通孔とを同軸上に配置させつつ、これらの貫通孔にロングボルトを挿通させる必要がある。このため、組付け作業が煩雑である。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、メインフレームに対するサイドフレームの組付けが容易なヘッドレストを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係るヘッドレストは、シートバックの上端部に支持されるメインフレームと、前記メインフレームの左右両側に配置される左右のサイドフレームと、前記左右のサイドフレームを前記メインフレームに対して上下に延びる左右の軸線回りに回転可能に連結する左右の回転連結部と、を備え、前記回転連結部は、前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの一方における上下方向一端側に形成されるボス孔と、前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの他方における上下方向一端側に形成され、前記ボス孔に相対回転可能に嵌合されるボス部と、前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの片方における上下方向他端側に形成されるヒンジ孔と、前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちのもう片方における上下方向他端側に締結固定されるブラケット、及び、前記ブラケットに回転可能に支持され、前記ヒンジ孔に相対回転不能に嵌合される可動軸を有するヒンジと、を備えている。
【0007】
請求項1に記載のヘッドレストによれば、左右の回転連結部は、左右のサイドフレームをメインフレームに対して上下に延びる軸線回りに回転可能に連結する。各回転連結部は、メインフレーム及びサイドフレームのうちの一方における上下方向一端側に形成されるボス孔と、メインフレーム及びサイドフレームのうちの他方における上下方向一端側に形成され、上記のボス孔に相対回転可能に嵌合されるボス部と、メインフレーム及びサイドフレームのうちの片方における上下方向他端側に形成されるヒンジ孔と、メインフレーム及びサイドフレームのうちのもう片方における上下方向他端側に締結固定されるブラケット、及び、当該ブラケットに回転可能に支持され、上記のヒンジ孔に相対回転不能に嵌合される可動軸を有するヒンジと、を備えている。
【0008】
ここで、サイドフレームがメインフレームに組付けられる際には、上記のボス部が上記のボス孔に嵌合されると共に、上記の可動軸が上記のヒンジ孔に嵌合され、上記のブラケットがメインフレーム又はサイドフレームに締結固定される。これにより、サイドフレームをメインフレームに組付けることができるので、組付けが容易である。
【0009】
請求項2に記載の発明に係るヘッドレストは、請求項1に記載のヘッドレストにおいて、前記メインフレーム及び前記サイドフレームは、樹脂製とされており、前記ブラケット及び前記可動軸は、金属製とされている。
【0010】
請求項2に記載のヘッドレストでは、樹脂製のメインフレーム及びサイドフレームは、上下方向一端側では、ボス部とボス孔との嵌合により連結され、上下方向他端側では、金属製のブラケット及び可動軸を介して連結される。これにより、金属製の部品を小さくすることができるので、軽量化を図ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明に係るヘッドレストは、請求項1又は請求項2に記載のヘッドレストにおいて、前記メインフレーム及び前記サイドフレームは、互いに当接することで前記メインフレームに対する前記サイドフレームの回転範囲を制限する当接面を有する。
【0012】
請求項3に記載のヘッドレストでは、メインフレームに形成された当接面と、サイドフレームに形成された当接面とが互いに当接することで、メインフレームに対するサイドフレームの回転範囲が制限される。これにより、当該回転範囲を制限するための構成をヒンジに設ける必要がなくなるので、ヒンジの構成を簡素化することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明に係るヘッドレストは、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のヘッドレストにおいて、前記回転連結部は、前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの一方における上下方向中央側に形成される中央ボス孔と、前記メインフレーム及び前記サイドフレームのうちの他方における上下方向中央側に形成され、前記中央ボス孔に相対回転可能に嵌合される中央ボス部と、を備えている。
【0014】
請求項4に記載のヘッドレストによれば、メインフレーム及びサイドフレームは、上下方向の一端側では、ボス部とボス孔との嵌合により連結され、上下方向中央側では、中央ボス部と中央ボス孔との嵌合により連結され、上下方向他端側では、ヒンジを介して連結される。このように、中央ボス部と中央ボス孔とが追加されることにより、メインフレームとサイドフレームとの連結強度を向上させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明に係るヘッドレストは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のヘッドレストにおいて、前記ヒンジは、前記ブラケットと前記可動軸との間に設けられ、前記ブラケットに対する前記可動軸の回転に抵抗力を付与するスプリングを有する。
【0016】
請求項5に記載のヘッドレストでは、ヒンジが有するスプリングが、ブラケットに対する可動軸の回転に抵抗力を付与する。これにより、サイドフレームがメインフレームに対して不用意に回動することを簡素な構成で防止又は抑制できる。しかも、メインフレームに対するサイドフレームの組付け前に、スプリングを含んだヒンジを予めアッセンブリ化しておくことができるので、上記組付けの容易性を確保することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明に係るヘッドレストは、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のヘッドレストにおいて、前記ブラケットには、前記もう片方から突出した位置決め凸部が嵌合される位置決め孔と、前記もう片方に形成されたねじ孔に螺合されるねじ部材が挿通されるねじ挿通孔とが形成されている。
【0018】
請求項6に記載のヘッドレストによれば、メインフレーム及びサイドフレームのうち、前述したもう片方(ヒンジ孔が形成されない方)にブラケットが締結固定される。この際には、上記もう片方から突出した位置決め凸部が、ブラケットに形成された位置決め孔に嵌合される。そして、ブラケットに形成されたねじ挿通孔にねじ部材(例えばビス)が挿通され、当該ねじ部材が上記もう片方に形成されたねじ孔に螺合される。これにより、ブラケットが、一つのねじ部材によって上記もう片方に締結固定される構成であっても、ブラケットが上記もう片方に対してねじ部材回りに不用意に回転することを防止できるので、上記もう片方に対するブラケットの締結固定作業を容易なものにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係るヘッドレストでは、メインフレームに対するサイドフレームの組付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るヘッドレストを含む周辺の構成を示す斜視図である。
図2】同ヘッドレストのフレームアッシーを示す斜視図である。
図3】フレームアッシーの正面図であり、左右のサイドフレームが通常位置に位置する状態の図である。
図4】フレームアッシーの背面図であり、左右のサイドフレームが通常位置に位置する状態の図である。
図5】フレームアッシーの主要部を示す背面図であり、左右のサイドフレームが通常位置に位置する状態の図である。
図6】フレームアッシーの正面図であり、左右のサイドフレームが突出位置に位置する状態の図である。
図7】フレームアッシーの背面図であり、左右のサイドフレームが突出位置に位置する状態の図である。
図8】フレームアッシーの主要部をフレームアッシーの背面側から見た斜視図であり、左右のサイドフレームが突出位置に位置する状態の図である。
図9】フレームアッシーの主要部を背面側から見た斜視図であり、左右のサイドフレームが通常位置に位置する状態の図である。
図10】フレームアッシーのメインフレームから左側のサイドフレームが取り外された状態をフレームアッシーの背面側から見た分解斜視図である。
図11図10に示される構成の一部を図10とは異なる方向から見た分解斜視図である。
図12図11に示される構成の一部を図11とは異なる方向から見た分解斜視図である。
図13】フレームアッシーのメインフレームから左側のサイドフレームが取り外された状態をフレームアッシーの正面側から見た分解斜視図である。
図14図5のF14−F14線に沿った切断面を拡大して示す断面図である。
図15】ヒンジの斜視図である。
図16】ヒンジの側面図である。
図17】メインフレームへのサイドフレームの組付方法について説明するための背面図である。
図18】フレームアッシーの正面図であり、左側のサイドフレームが突出位置に位置し、右サイドフレームが通常位置に位置する状態の図である。
図19図18のF19−F19線に沿った切断面を拡大して示す断面図である。
図20図18のF20−F20線に沿った切断面を拡大して示す断面図である。
図21図18のF21−F21線に沿った切断面を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図21を用いて、本発明の実施形態に係るヘッドレスト10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印LHは、ヘッドレスト10の前方、上方、左方をそれぞれ示している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、ヘッドレスト10に対する方向を示すものとする。また、各図においては、図面を見易くする関係から、一部の符号を省略している場合がある。
【0022】
(構成)
本実施形態に係るヘッドレスト10は、車両用ヘッドレストとされており、図1及び図2に示されるように、車両用シート12のシートバック14の上端部に取り付けられている。このヘッドレスト10は、左右方向中央部がメイン部10Mとされ、左右方向両サイド部がそれぞれサイドサポート部10L、10Rとされている。このヘッドレスト10は、骨格部材であるフレームアッシー16と、フレームアッシー16に取り付けられたパッド18(図19図21参照)と、当該パッド18の表面を覆った表皮20(図19図21参照)とを含んで構成されている。なお、このヘッドレスト10の前後左右上下の方向は、車両用シート12のシートバック14が起立状態(非リクライニング状態)にあるときには、車両用シート12の前後左右上下の方向と一致する。
【0023】
図2図13に示されるように、フレームアッシー16は、メイン部10Mに配設されたメインフレーム22と、左右のサイドサポート部10L、10Rに配設された左右のサイドフレーム24L、24Rと、左右のサイドフレーム24L、24Rをメインフレーム22に対して上下に延びる軸線回りに回転可能に連結した左右の回転連結部26L、26Rとを備えている。なお、以下の説明では、左右のサイドフレーム24L、24Rを「サイドフレーム24」と称し、左右の回転連結部26L、26Rを「回転連結部26」と称する場合がある。
【0024】
また、このフレームアッシー16は、上記のメインフレーム22をシートバック14の上端部に支持させるための脚部フレーム28を備えている。この脚部フレーム28は、パイプフレーム30と、取付ブラケット32とを有している。
【0025】
パイプフレーム30は、例えば金属パイプが曲げ加工されて製造されたものであり、取付ブラケット32は、例えば板金がプレス成形されて製造されたものである。パイプフレーム30は、ヘッドレスト10の前後方向視で略逆U字状をなしており、ヘッドレスト10の上下方向に延びる左右の脚部30L、30Rを有している。左右の脚部30L、30Rは、シートバック14が備える図示しないシートバックフレームの上端部に連結されている。取付ブラケット32は、板厚方向がヘッドレスト10の前後方向に沿う姿勢でパイプフレーム30の上部側に配置されており、溶接等の手段によってパイプフレーム30の上部に固定されている。この取付ブラケット32の前方には、メインフレーム22が配置されている。なお、取付ブラケット32を含む脚部フレーム28の上部は、図1及び図2に示されるカバー34によって覆われている。
【0026】
メインフレーム22は、樹脂の射出成形によって製造されたものであり、全体として長尺な板状に形成されている。このメインフレーム22は、上下方向を長手方向とし且つ前後方向を板厚方向として配置されており、前後方向視で略逆台形状をなしている。図4図5図7図12に示されるように、このメインフレーム22の背面(裏面)には、複数の補強用のリブ(符号省略)が形成されている。また、メインフレーム22の背面の略中央部には、後方側へ突出した取付部36が形成されている。この取付部36は、前後方向視で略矩形状をなしており、前述した取付ブラケット32の前面に重ね合わされている。
【0027】
取付部36の上部側には、後方へ突出した左右一対の引掛爪38が形成されている。これらの引掛爪38は、取付ブラケット32の上部側に形成された左右一対の開口40内に挿入され、これらの開口40の縁部に引っ掛けられている。また、取付ブラケット32の下端部には、左右一対のビス孔(図示省略)が形成されている。これらのビス孔には、それぞれビス42(図3及び図7参照)が挿入されている。これらのビス42は、取付部36の下端部に形成された左右一対のねじ孔44に螺合している。これにより、メインフレーム22が取付ブラケット32すなわち脚部フレーム28に固定されており、脚部フレーム28を介してシートバック14の上端部に支持されている。
【0028】
図9図13に示されるように、メインフレーム22の左右両端部には、それぞれ左右方向外側へ突出した上下一対の突出部46、48が形成されている。上側の突出部46は、メインフレーム22の上端部に形成されており、下側の突出部48は、メインフレーム22の上下方向中央部付近に形成されている。図10図13に示されるように、上側の突出部46の下面には、下方側へ円柱状に突出したボス部50が形成されており、下側の突出部48の下面には、下方側へ円柱状に突出した中央ボス部52が形成されている。ボス部50は、メインフレーム22の上端側(上下方向一端側)に形成されており、中央ボス部52は、メインフレーム22の上下方向中央側に形成されている。ボス部50及び中央ボス部52は、略上下方向を軸線方向としており、互いに同軸的に配置されている。これらのボス部50及び中央ボス部52は、回転連結部26L、26Rの構成要素であり、左右のサイドフレーム24L、24Rに対応している。
【0029】
また、図9図12に示されるように、メインフレーム22の左右両端部の下部(上下方向他端側)には、それぞれ後方側へ突出した左右一対のヒンジ固定部54が形成されている。これらのヒンジ固定部54の下面には、下方側へ円柱状に突出した位置決め凸部56と、ねじ孔58とが形成されている。ねじ孔58は、位置決め凸部56の後方側に配置されている。これらの位置決め凸部56及びねじ孔58は、略上下方向を軸線方向としており、後述するヒンジ72に対応している。
【0030】
左右のサイドフレーム24L、24Rは、樹脂の射出成形によって製造されたものであり、全体として長尺な板状に形成されている。これらのサイドフレーム24L、24Rは、略上下方向を長手方向としてメインフレーム22の左右両側に配置されている。図4図5図8図12に示されるように、サイドフレーム24L、24Rの背面(裏面)には、複数の補強用のリブ(符号省略)が形成されている。また、図9図13に示されるように、サイドフレーム24L、24Rの上下方向中間部には、メインフレーム22側へ突出した上下一対の突出部60、62が形成されている。図11に示されるように、上側の突出部60の上面には、上方側が開口した円形のボス孔64が形成されており、下側の突出部62の上面には、上方側が開口した円形の中央ボス孔66が形成されている。ボス孔64は、サイドフレーム24L、24Rの上端側(上下方向一端側)に形成されており、中央ボス孔66は、サイドフレーム24L、24Rの上下方向中央側に形成されている。これらのボス孔64及び中央ボス孔66は、略上下方向を軸線方向としており、互いに同軸的に配置されている。これらのボス部50及び中央ボス部52は、回転連結部26L、26Rの構成要素であり、前述したボス部50及び中央ボス部52に相対回転可能に嵌合される構成になっている。
【0031】
また、図10図12図13に示されるように、下側の突出部62の下面には、下方側が開口したヒンジ孔68が形成されている。このヒンジ孔68は、略上下方向を軸線方向としており、上記のボス孔64及び中央ボス孔66と同軸的に配置されている。このヒンジ孔68の下端開口部68A(図14参照)は、ヒンジ孔68の軸線方向視で断面円形状に形成されている。また、このヒンジ孔68は、下端開口部68Aよりも奥側(上側)の回止部68B(図14参照)が、ヒンジ孔68の軸線方向視で断面略矩形状(断面略ダブルDカット形状)に形成されている。また、このヒンジ孔68は、前述した中央ボス孔66と繋がっており、中央ボス孔66とヒンジ孔68との間が段付き状に形成されている。
【0032】
また、図10図12図14に示されるように、下側の突出部62には、上下一対のビス孔70が形成されている。これらのビス孔70は、ヒンジ孔68の径方向を軸線方向としており、サイドフレーム24L、24Rの背面(後面)で開口すると共に、上記のヒンジ孔68に連通されている。これらのビス孔70及びヒンジ孔68は、図2図5図7図11図13図16等に示されるヒンジ72に対応している。
【0033】
ヒンジ72は、回転連結部26の構成要素であり、ヘッドレスト10の左右両側にそれぞれ設けられている。図15及び図16に示されるように、ヒンジ72は、可動軸74と、ブラケット76と、摩擦板78と、スプリングプレート(皿バネ)80と、平座金82とを備えている。なお、図15及び図16以外の図では、ヒンジ72を概略的に記載している。可動軸74は、金属によって長尺棒状に形成されている。この可動軸74の長手方向一端部(軸線方向一端部)には、可動軸74の軸線方向視で断面略矩形状(断面略ダブルDカット形状)をなす軸部74Aと、当該軸部74Aよりも大径な円柱状の円柱状嵌合部74Cとが形成されている。軸部74Aは、円柱状嵌合部74Cよりも可動軸74の軸線方向一端側に配置されており、軸部74Aと円柱状嵌合部74Cとの間には、円柱状嵌合部74Cよりも大径なフランジ部74Bが形成されている。
【0034】
また、この可動軸74では、円柱状嵌合部74Cよりも軸線方向他端側が、平板状嵌合部74Dとされている。この平板状嵌合部74Dは、可動軸74の軸線方向を長手とする長尺な略平板状をなしており、可動軸74の軸線方向視で断面略矩形状(断面略ダブルDカット形状)に形成されている。この平板状嵌合部74Dには、当該平板状嵌合部74Dの板厚方向に嵌合した一対のねじ孔84が、可動軸74の軸線方向に並んで形成されている。
【0035】
一方、ブラケット76は、板金がプレス成形されて製造されたものである。このブラケット76は、長尺板状のブラケット本体76Aと、ブラケット本体76Aの幅方向一端部からブラケット本体76Aの板厚方向一側へ延びるフランジ部76Bとによって構成されており、断面L字状をなしている。ブラケット本体76Aの長手方向一端部には、位置決め孔86と、ねじ挿通孔88とが形成されている。
【0036】
また、ブラケット本体76Aの長手方向他端部には、円形の軸受孔90(図16参照)が形成されており、当該軸受孔90には、可動軸74の軸部74Aが回転自在に挿通されている。また、可動軸74のフランジ部74Bとブラケット本体76Aとの間には、摩擦板78が挟まれている。摩擦板78は、例えば金属によって円板状に形成されている。この摩擦板78の中央部には、断面略矩形状(断面略ダブルDカット形状)の貫通孔92が形成されており、当該貫通孔92に軸部74Aが嵌合している。これにより、摩擦板78は、可動軸74に対する相対回転を規制されている。
【0037】
さらに、ブラケット本体76Aを介して摩擦板78とは反対側には、スプリングプレート80が設けられている。また、スプリングプレート80を介してブラケット本体76Aとは反対側には、平座金82が設けられている。スプリングプレート80及び平座金82の内側には、可動軸74の軸部74Aが挿通されており、軸部74Aの先端部が加締められて(潰されて)いる。これにより、平座金82及びスプリングプレート80が軸部74Aからの脱落を防止されると共に、可動軸74がブラケット76からの脱落を防止されている。この可動軸74は、ブラケット76に対して自らの軸線回りに回転自在に取り付けられている。
【0038】
また、上記のスプリングプレート80は、平座金82とブラケット本体76Aとの間で圧縮されており、当該スプリングプレート80の付勢力によって、摩擦板78がブラケット本体76Aとフランジ部74Bとの間で圧縮されている。この摩擦板78は、可動軸74がブラケット76に対して回転した際に、ブラケット本体76Aと摺接(摺動)する。これにより、ブラケット76に対する可動軸74の回転に所定の抵抗力(摩擦抵抗)が付与される構成になっている。なお、摩擦板78が省略され、フランジ部74Bがブラケット76と直接摺動される構成にしてもよい。
【0039】
上記構成のヒンジ72では、可動軸74の平板状嵌合部74Dが、サイドフレーム24のヒンジ孔68における回止部68Bに嵌合され、可動軸74の円柱状嵌合部74Cが、ヒンジ孔68における下端開口部68Aに嵌合される構成になっている。この可動軸74は、平板状嵌合部74Dが回止部68Bに嵌合されることで、サイドフレーム24に対して相対回転不能とされる。そして、サイドフレーム24の上下のビス孔70に挿入された一対のビス94(図9及び図10参照)が、可動軸74の一対のねじ孔84に螺合される。これにより、可動軸74がサイドフレーム24L、24Rに固定される構成になっている。なお、上記一対のビス94及び一対のねじ孔84が省略された構成、すなわち可動軸74がヒンジ孔68に嵌合(軽圧入)されるだけでサイドフレーム24に保持される構成にしてもよい。
【0040】
上記のようにヒンジ72の可動軸74が固定されたサイドフレーム24は、図17に示されるようにしてメインフレーム22に組付けられる。すなわち、サイドフレーム24のボス孔64及び中央ボス孔66が、メインフレーム22のボス部50及び中央ボス部52の下側に配置された状態で、サイドフレーム24がメインフレーム22に対して上側へ変位(スライド)される(図17の矢印S参照)。これにより、ボス部50及び中央ボス部52が、ボス孔64及び中央ボス孔66に嵌合される。またこの際には、メインフレーム22のヒンジ固定部54に形成された位置決め凸部56が、ヒンジ72のブラケット76に形成された位置決め孔86に嵌合される。そして、ブラケット76のねじ挿通孔88にビス(ねじ部材)96が挿通され、当該ビス96がヒンジ固定部54のねじ孔58に螺合される。これにより、ブラケット76がメインフレーム22の下部(上下方向他端側)に固定され、メインフレーム22に対するサイドフレーム24の組付けが完了する。
【0041】
上記構成のフレームアッシー16には、前述したようにパッド18及び表皮20が組み付けられる構成になっている。パッド18は、例えばウレタンフォーム等の発泡体によって構成されており、メインフレーム22の前面に重ね合わされるパッド中央部18Mと、左右のサイドフレーム24L、24Rの前面に重ね合わされる左右のパッドサイド部18L、18Rとに分割されている。表皮20は、例えば布材、皮革又は合成皮革等からなる複数の表皮片が袋状に縫製されて形成されている。この表皮20は、パッド18に対して前方側から被せられており、後方側が開口している。この表皮20の開口縁部には、例えば樹脂によって断面J字状に形成された複数のフック部材(図示省略)が取り付けられており、これらのフック部材がメインフレーム22及びサイドフレーム24L、24Rの外周縁部に引っ掛けられている。
【0042】
上記構成のヘッドレスト10では、左側の回転連結部26が有するボス部50、ボス孔64、中央ボス部52、中央ボス孔66、ヒンジ孔68及び可動軸74が、同一の軸線AL(図3参照)上に同軸的に配置され、右側の回転連結部26が有するボス部50、ボス孔64、中央ボス部52、中央ボス孔66、ヒンジ孔68及び可動軸74が、同一の軸線AR(図3参照)上に同軸的に配置される構成になっている。これにより、左右のサイドフレーム24L、24Rは、メインフレーム22に対して上記軸線AL、AR回りに回転可能とされており、メインフレーム22に対して図2図5等に示される通常位置と、図6図8等に示される突出位置との間で回転される構成になっている。
【0043】
サイドフレーム24が突出位置に位置する状態では、サイドフレーム24の上下の突出部60、62に形成された当接面25A、25B、25C(図12参照)が、メインフレーム22における突出部60、62との対向箇所に形成された当接面23A、23B、23C(図12参照)に当接する。これにより、サイドフレーム24がメインフレーム22に対して突出位置よりも前方側へ回転することが規制される構成になっている。また、サイドフレーム24が通常位置に位置する状態では、サイドフレーム24の上下両端部に形成された当接面25D、25E(図12及び図13参照)が、メインフレーム22の上下両端部に形成された当接面23D、23E(図13参照)に当接する。これにより、サイドフレーム24がメインフレーム22に対して通常位置よりも後方側へ回転することが規制される構成になっている。つまり、メインフレーム22及びサイドフレーム24は、互いに当接することでメインフレーム22に対するサイドフレーム24の回転範囲を制限する当接面25A、25B、25C及び当接面23A、23B、23Cと、当接面25D、25E及び当接面23D、23Eとを有している。
【0044】
そして、このヘッドレスト10では、上記のような左右のサイドフレーム24L、24Rの回転によって、ヘッドレスト10のメイン部10Mに対する左右のサイドサポート部10L、10Rの前方側への迫出し量を調整可能とされている。具体的には、左右のサイドフレーム24L、24Rが配設された左右のサイドサポート部10L、10Rに対して、予め設定された値以上の前後方向への外力が加えられると、左右のサイドフレーム24L、24Rがメインフレーム22に対して左右の軸線AL、AR回りに回転される。これにより、着座者の頭部形状などに合わせてサイドサポート部10L、10Rの位置を調整できるようになっている。なお、図18図21では、左側のサイドフレーム24Lが突出位置に位置し、右側のサイドフレーム26Rが通常位置に位置する状態が図示されている。図19図21において、H1はAF05ダミーの頭部であり、H2はAM50ダミーの頭部であり、H3はAM95ダミーの頭部である。
【0045】
また、上記の外力が解除された状態では、左右のサイドフレーム24L、24Rは、摩擦板78とブラケット本体76Aとの間に生じる摩擦力によってその位置に保持されるようになっている。なお、左右のサイドフレーム24L、24Rとメインフレーム22との間にラチェット機構を配設し、当該ラチェット機構によって左右のサイドフレーム24L、24Rの不用意な回転を規制する構成にしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、左右のサイドフレーム24L、24Rの回転中心となる左右の軸線AL、AR(図3参照)は、ヘッドレスト10の上下方向に対して下方側へ向かうほどヘッドレスト10の左右方向中央側へ向かうように傾斜している。このため、左右のサイドサポート部10L、10Rが左右の軸線AL、AR回りに前方側へ回転されると、左右のサイドサポート部10L、10Rの下部側が上部側に比してヘッドレスト10の左右方向中央側に変位するように構成されている。これらの軸線AL、ARは、着座者の後頭部と頸部との左右方向の幅寸法の違いに対応して傾斜している。
【0047】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0048】
上記構成のヘッドレスト10では、フレームアッシー16の左右の回転連結部26L、26Rは、左右のサイドフレーム24L、24Rをメインフレーム22に対して上下に延びる軸線AL、AR回りに回転可能に連結する。各回転連結部26は、サイドフレーム24の上端側に形成されたボス孔64と、メインフレーム22の上端側に形成されたボス部50と、サイドフレーム24の下端側に形成されたヒンジ孔68と、メインフレーム22の下端側に締結固定されたブラケット76及び該ブラケット76に回転可能に支持された可動軸74を有するヒンジ72と、を備えている。
【0049】
ここで、サイドフレーム24がメインフレーム22に組付けられる際には、ボス部50がボス孔64に嵌合されると共に、可動軸74がヒンジ孔68に嵌合され、ブラケット76がメインフレーム22に締結固定される。これにより、サイドフレーム24をメインフレーム22に組付けることができるので、組付けが容易である。
【0050】
また、本実施形態では、上記の組付けの際に組付けなければならない部品の点数が少ないため、これによっても組付けが容易になる。つまり、背景技術の欄で説明したヘッドレストでは、サイドフレームをロングボルトによってヒンジブラケット(メインフレーム)に組付ける際、ロングボルトの頭部とサイドフレームとの間にワッシャ及びプラスチックブッシュを組付け、サイドフレームとナットとの間にワッシャ及び皿バネを組付ける必要がある。このように、組付けなければならない部品の点数が多いことからも、組付作業が煩雑になるが、本実施形態ではこれを回避することができる。
【0051】
また、本実施形態では、樹脂製のメインフレーム22及びサイドフレーム24は、上端側では、ボス部50とボス孔64との嵌合により連結され、下端側では、金属製のブラケット76及び可動軸74を介して連結される。これにより、金属製の部品を小さくすることができるので、軽量化を図ることができる。つまり、背景技術の欄で説明したヘッドレストでは、ヒンジブラケット及びサイドフレームの上下の貫通孔にロングボルトを貫通させる構成であるため、ロングボルトが長尺になり、ロングボルトの重量が増加する。この点、本実施形態では、金属製の可動軸74を、メインフレーム及びサイドフレームの下端側から上端側まで延在させる必要がなく、可動軸74を短尺にすることができるため、ヒンジ72を小型化することができる。その結果、ヘッドレスト10の軽量化が可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態では、サイドフレーム24の上下の突出部60、62に形成された当接面25A、25B、25Cが、メインフレーム22における突出部60、62との対向箇所に形成された当接面23A、23B、23Cに当接することで、サイドフレーム24がメインフレーム22に対して突出位置よりも前方側へ回転することが規制される。また、サイドフレーム24の上下両端部に形成された当接面25D、25Eが、メインフレーム22の上下両端部に形成された当接面23D、23Eに当接することで、サイドフレーム24がメインフレーム22に対して通常位置よりも後方側へ回転することが規制される。このように、メインフレーム22に形成された上記各当接面と、サイドフレーム24に形成された上記各当接面とが互いに当接することで、メインフレーム22に対するサイドフレーム24L、24Rの回転範囲が制限される。このため、サイドフレーム24の回転範囲を制限するための構造をヒンジ72に設ける必要がないので、ヒンジ72の構造を簡素化することができる。
【0053】
また、本実施形態では、回転連結部26は、サイドフレーム24L、24Rの上下方向中央側に形成された中央ボス孔66と、メインフレーム22の上下方向中央側に形成され、中央ボス孔66に相対回転可能に嵌合される中央ボス部52と、を備えている。このように、中央ボス部52及び中央ボス孔66が追加されることにより、メインフレーム22とサイドフレーム24L、24Rとの連結強度を向上させることができる。しかも、中央ボス部52及び中央ボス孔66の数や有無を、サイドフレーム24の上下寸法等に応じて変更することもできるため、設計が容易になる。さらに、サイドフレーム24の上下寸法が変わっても、ヒンジ72のサイズを変更する必要がなく、ヒンジ72を部品共用することができるので、低コスト化に寄与する。
【0054】
さらに、本実施形態では、ヒンジ72が有するスプリングプレート80が、ブラケット76に対する可動軸74の回転に抵抗力を付与する。これにより、サイドフレーム24がメインフレーム22に対して不用意に回動することを簡素な構成で防止又は抑制できる。しかも、メインフレーム22に対するサイドフレーム24の組付け前に、スプリングプレート80を含んだヒンジ72を予めアッセンブリ化しておくことができるので、上記組付けの容易性を確保することができる。
【0055】
また、本実施形態では、可動軸74の軸部74Aの先端部が加締められることにより、平座金82及びスプリングプレート80(皿バネ)が軸部74Aに保持されており、スプリングプレート80の圧縮量を上記の加締めによって一定に設定することができる。これにより、上記の抵抗力、すなわちサイドサポート部10L、10Rの迫出し位置を調整する際の操作力を安定させることができる。しかも、本実施形態では、可動軸74がサイドフレーム24のヒンジ孔68に相対回転不能に嵌合(圧入)されるので、当該相対回転によって上記の操作力が不安定になることを防止できる。なお、背景技術の欄で説明したヘッドレストでは、皿バネをロングボルト及びナットで圧縮しているため、ナットの緩み又は締込みにより上記の操作力が安定しなくなる。
【0056】
また、本実施形態では、メインフレーム22にブラケット76が締結固定されるが、この際には、メインフレーム22から突出した位置決め凸部56が、ブラケット76に形成された位置決め孔86に嵌合される。そして、ブラケット76に形成されたねじ挿通孔88にビス96が挿通され、当該ビス96がメインフレーム22に形成されたねじ孔58に螺合される。これにより、ブラケット76が、一つのビス96によってメインフレーム22に締結固定される構成であっても、ブラケット76がメインフレーム22に対してビス96回りに不用意に回転することを防止できるので、メインフレーム22に対するブラケット76の締結固定作業を容易なものにすることができる。
【0057】
さらに、本実施形態に係るヒンジ72は、サイドフレーム24の回転支持部としての機能と、サイドフレーム24とメインフレーム22とを連結する連結部材としての機能を兼ね備えているので、構成が簡素になる。また、ヒンジ72のブラケット76が可動軸74の軸線方向に延びるフランジ部76Bを備えているので、軸線方向の荷重に対するブラケット76の強度を簡素な構成で確保することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、ボス部50及び中央ボス部52がメインフレーム22に形成され、ボス孔64及び中央ボス孔66がサイドフレーム24に形成された構成にしたが、これに限るものではない。すなわち、ボス孔64及び中央ボス孔66がメインフレーム22に形成され、ボス部50及び中央ボス部52がサイドフレーム24に形成された構成にしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、中央ボス部52及び中央ボス孔66を備えた構成にしたが、これに限らず、中央ボス部52及び中央ボス孔66が省略された構成にしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、ヒンジ72のブラケット76がメインフレーム22に締結固定され、サイドフレーム24にヒンジ孔68が形成された構成にしたが、これに限るものではない。すなわち、ヒンジ72のブラケット76がサイドフレーム24に締結固定され、メインフレーム22にヒンジ孔68が形成された構成にしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、へッドレスト10が車両用ヘッドレストとされた場合について説明したが、これに限らず、本発明に係るヘッドレストは、車両以外の乗物用シートのヘッドレストとして適用することができる。
【0062】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
10 ヘッドレスト
14 シートバック
22 メインフレーム
23A、23B、23C、23D、23E 当接面
24L、24R サイドフレーム
25A、25B、25C、25D、25E 当接面
26L、26R 回転連結部
50 ボス部
52 中央ボス部
56 位置決め凸部
58 ねじ孔
64 ボス孔
66 中央ボス孔
68 ヒンジ孔
72 ヒンジ
74 可動軸
76 ブラケット
80 スプリングプレート(スプリング)
86 位置決め孔
88 ねじ挿通孔
96 ビス(ねじ部材)
AL、AR 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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