【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、対向する前端面および後端面を持つ可燃性炭素質熱源と、可燃性炭素質熱源の後端面の下流にあるエアロゾル形成基体と、可燃性炭素質熱源の前端面の少なくとも一部分の上に提供される点火可能な組成物と、ユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して引き出されうる空気の1つ以上の気流経路と、を備える喫煙物品が提供され、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面を摩擦表面の上に打ち付けることによって点火する能力を有し、また点火可能な組成物は、使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物に直接接触しないように1つ以上の気流経路から分離される。
【0010】
本明細書に使用される場合、「炭素質の」という用語は、炭素を含む可燃性炭素質熱源、粒子状の構成要素、および粒子状の材料を記述するために使用される。
【0011】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に応じて放出することができる基体を記述するために使用される。本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0012】
エアロゾル形成基体は、揮発性化合物を加熱に応じて放出できる材料を含むプラグまたはセグメントの形態であってもよく、それはラッパーによって取り囲まれてエアロゾルを形成することができる。エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、ラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体は、エアロゾル形成基体であると見なされる。
【0013】
本明細書に使用される場合、「遠位」、「上流」および「前方」、ならびに「近位」、「下流」および「後方」という用語は、喫煙物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を記述するために使用される。本発明による喫煙物品は、使用において、ユーザーへの送達のために喫煙物品を出るエアロゾルが通る近位端を含む。喫煙物品の近位端はまた、口側の端と呼ばれることもある。使用において、ユーザーは喫煙物品によって生成されるエアロゾルを吸入するために、喫煙物品の近位端において吸い込む。
【0014】
可燃性炭素質熱源は喫煙物品の遠位端に位置するか、またはそれに近接する。喫煙物品の口側の端は、喫煙物品の遠位端の下流にある。また、喫煙物品の近位端は喫煙物品の下流端と呼ばれてもよく、また、喫煙物品の遠位端は喫煙物品の上流端と呼ばれてもよい。本発明による喫煙物品の構成要素または構成要素の部分は、喫煙物品の近位端と喫煙物品の遠位端との間のそれらの相対的位置に基づいて互いの上流または下流にあると記述されてもよい。
【0015】
可燃性炭素質熱源の前端面は、可燃性炭素質熱源の上流端にある。可燃性炭素質熱源の上流端は、喫煙物品の近位端から最も遠い可燃性炭素質熱源の末端である。可燃性炭素質熱源の後端面は、可燃性炭素質熱源の下流端にある。可燃性炭素質熱源の下流端は、喫煙物品の近位端に最も近い可燃性炭素質熱源の末端である。
【0016】
本明細書に使用される場合、「長軸方向」および「軸方向」という用語は、可燃性炭素質熱源の対向する前端面と後端面との間の方向、および喫煙物品の近位端と対向する遠位端との間の方向を記述するために使用される。
【0017】
本明細書に使用される場合、「長さ」という用語は、可燃性炭素質熱源または喫煙物品の長軸方向の最大寸法を記述するために使用される。すなわち、可燃性炭素質熱源の対向する前端面と後端面との間の方向、または喫煙物品の近位端と対向する遠位端との間の方向での最大寸法である。
【0018】
本明細書に使用される場合、「半径方向」および「横断方向」という用語は、長軸方向に対して垂直な方向を記述するために使用される。すなわち、可燃性炭素質熱源の対向する前端面と後端面との間の方向、および喫煙物品の近位端と対向する遠位端との間の方向に垂直な方向である。
【0019】
本明細書に使用される場合、「直径」という用語は、可燃性炭素質熱源または喫煙物品の横断方向での最大寸法を意味する。
【0020】
点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の少なくとも前端面の一部分の上に提供され、この部分は、可燃性炭素質熱源の前端面を摩擦表面の上に打ち付けることによって点火する能力を有する。
【0021】
使用において、可燃性炭素質熱源の前端面を摩擦表面の上に打ち付けることによって発生した摩擦熱は、点火組成物に点火し、その結果、可燃性炭素質熱源に点火する。かかる点火組成物の包含は、これによって、マッチ、ライター、または他の外部熱源を使用せずに、信頼性があり、また一貫した様式で、ユーザーによって簡単かつ急速に、本発明による喫煙物品の可燃性炭素質熱源に点火することを有利に可能にする。
【0022】
本発明で使用するための適切な点火可能な組成物は、摩擦マッチで使用するために当業界で周知である。
【0023】
一定の実施形態では、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面を任意の摩擦表面の上に打ち付けることによって点火する能力を有してもよい。かかる実施形態による喫煙物品は、本明細書で「どこで擦ってもつく」可燃性炭素質熱源を備えていると言及される。
【0024】
本発明の「どこで擦ってもつく」実施形態で使用するために適切な点火可能な組成物は、当業界で「どこで擦ってもつく」マッチで使用するために周知である。例えば、点火可能な組成物は、リンまたは三硫化四リン(P
4S
3)、1つ以上の酸化剤(塩化カリウムなど)、および任意選択的に硫黄を含んでもよい。点火可能な化合物は、1つ以上の接着剤材料(粉末ガラスまたはシリカなど)、1つ以上の充填剤、1つ以上の結合剤(デンプンなど)、1つ以上の中和剤(酸化亜鉛など)、1つ以上の着色剤、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。
【0025】
その他の実施形態では、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面を特異的に適合させた協働する打ち付け表面の上に打ち付けることによって点火する能力を有してもよい。
【0026】
かかる実施形態による喫煙物品は、本明細書で「安全式」可燃性炭素質熱源を備えていると言及される。
【0027】
本発明の「安全式」の実施形態で使用するために適切な点火可能な組成物および打ち付け表面は、当業界で「安全式」マッチで使用するために周知である。
【0028】
例えば、点火可能な組成物は、硫黄、1つ以上の酸化剤(塩化カリウムなど)、および任意選択的に硫化アンチモン(III)(Sb
2S
3)を含んでもよく、また協働する打ち付け表面は赤リンを含んでもよい。
【0029】
点火可能な化合物は、1つ以上の接着剤材料(粉末ガラスまたはシリカなど)、1つ以上の充填剤、1つ以上の結合剤(デンプンなど)、1つ以上の中和剤(酸化亜鉛(ZnO)または炭酸カルシウム(CaCO
3)など)、1つ以上の着色剤、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。協働する打ち付け表面は、1つ以上の接着剤材料(粉末ガラスまたはシリカなど)、1つ以上の充填剤、1つ以上の結合剤(デンプンなど)、1つ以上の中和剤(カーボンブラックなど)、1つ以上の着色剤、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。
【0030】
本発明によると、本発明による複数の喫煙物品および協働する打ち付け表面を備える喫煙物品の容器も提供され、複数の喫煙物品の各々の可燃性炭素質熱源の前端面の少なくとも一部分の上に提供される点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面を協働する打ち付け表面の上に打ち付けることによって点火する能力を有する。
【0031】
協働する打ち付け表面は、任意の適切な形状およびサイズであってもよく、また任意の適切な容器の部分に提供されてもよい。例えば、容器は、ヒンジリッドパックであってもよく、また協働する打ち付け表面はパックの側面のうちの1つの外部表面の上に提供されてもよい。別の方法としてまたは追加的に、協働する打ち付け表面はパックの内部表面の上に、またはパックの中に提供される分離された要素の表面の上に提供されてもよい。
【0032】
本発明による喫煙物品はユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して引き出されうる空気の1つ以上の気流経路を備える。
【0033】
本明細書に使用される場合、「気流経路」という用語は、ユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して引き出されうる空気の経路を記述するために使用される。
【0034】
使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物に直接接触しないように、点火可能な組成物は1つ以上の気流経路から分離される。
【0035】
本明細書に使用される場合、「直接接触する」という表現は、1つ以上の気流経路を通過する空気と点火可能な組成物がその上に提供される可燃性熱源の一部分との間の接触を記述するために使用される。
【0036】
1つ以上の気流経路からの点火可能な組成物の分離は、点火可能な組成物の点火の間に形成された燃焼および分解生成物および他の材料が、1つ以上の気流経路に沿って喫煙物品を通して引き出される空気に入ることを有利にも実質的に阻止または抑制する。
【0037】
好ましい実施形態では、点火可能な組成物は可燃性炭素質熱源と直接接触する。かかる好ましい実施形態では、点火可能な組成物と可燃性炭素質熱源との間に中間材料がない。これは、点火可能な組成物による可燃性炭素質熱源の点火を有利に容易にする。
【0038】
好ましい実施形態では、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の一部分の上のみに提供される。かかる好ましい実施形態では、少なくとも可燃性炭素質熱源の一部分は、空気由来の酸素に露出される場合がある。これは、可燃性炭素質熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にする場合がある。
【0039】
一定の実施形態では、点火可能な組成物は少なくとも実質的に可燃性炭素質熱源の前端面全体上に提供されてもよい。例えば、点火可能な組成物の被覆または層は、可燃性炭素質熱源の前端面全体の上に提供されてもよい。
【0040】
本明細書に使用される用語「被覆」は、可燃性炭素質熱源をカバーするおよび付着する材料の層を記述するために使用される。
【0041】
他の実施形態では、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面の一部分の上にのみ提供されてもよい。これは空気由来の酸素に曝露される可燃性炭素質熱源の前端面の表面積を増加させる場合があり、これは可燃性炭素質熱源の燃焼の持続を有利に容易にする場合がある。
【0042】
一部の実施形態では、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面の中央部分の上にのみ提供される場合がある。これは、可燃性炭素質熱源の前端面が摩擦表面の上に打ち付けられる配向に関係なく、可燃性炭素質熱源の信頼性がありまた一貫した点火を有利に容易にする場合がある。例えば、点火可能な組成物の被覆または層は、可燃性炭素質熱源の前端面の中央部分の上にのみ提供される場合がある。
【0043】
点火可能な組成物の溶液または懸濁液を可燃性炭素質熱源の前端面に塗布することによって、点火可能な組成物の被覆が少なくとも可燃性炭素質熱源の前端面の一部分の上に提供されてもよい。例えば、点火可能な組成物の被覆は、可燃性炭素質熱源の前端面を点火可能な組成物の溶液または懸濁液の中に浸漬することによって、または点火可能な組成物の溶液または懸濁液の可燃性炭素質熱源の前端面の上への刷毛塗りまたはスプレー被覆によって、可燃性炭素質熱源の前端面の上に提供されてもよい。
【0044】
あるいは、点火可能な組成物層は、少なくとも可燃性炭素質熱源の前端面の一部分の上にプレス加工によって提供されてもよい。例えば、可燃性炭素質熱源は、洗濯機用および食器洗浄機用のタブレットなどの複数構成要素、多層製品の製造で周知である、既存のロータリープレス技術を使用して、その前端面の上に提供される点火可能な組成物を用いて形成されてもよい。
【0045】
本発明によると、可燃性炭素質熱源の前端面の少なくとも一部分の上に提供された点火可能な組成物を備える可燃性炭素質熱源がプレスによって生成される、本発明による喫煙物品が提供される。
【0046】
点火可能な組成物が可燃性炭素質熱源の前端面の一部分のみの上に提供される場合、点火可能な組成物の形状は任意の適切な形状およびサイズであってもよい。例えば、点火可能な組成物は球または円盤の形状であってもよい。
【0047】
可燃性炭素質熱源の前端面の上に提供される点火可能な組成物の量および場所は、可燃性炭素質熱源の前端面が摩擦表面の上に打ち付けられた時、可燃性炭素質熱源の信頼性がありまた一貫した点火を達成するように選択される必要がある。
【0048】
好ましい実施形態では、点火可能な組成物は、可燃性炭素質熱源の前端面の上にのみ提供される。かかる好ましい実施形態では、可燃性炭素質熱源の前端面以外の可燃性炭素質熱源の任意の部分の上には、点火可能な組成物は提供されない。これは空気由来の酸素に曝露される可燃性炭素質熱源の表面積を増加させる場合があり、これは可燃性炭素質熱源の燃焼の持続を有利に容易にする場合がある。
【0049】
ただし、当然のことながら、その他の実施形態では、可燃性炭素質熱源の前端面の少なくとも一部分の上に提供されることに加えて、点火可能な組成物は可燃性炭素質熱源の前端面以外の可燃性炭素質熱源の一部分の上にも提供されてもよい。これは、可燃性炭素質熱源の点火を有利に容易にする場合がある、可燃性炭素質熱源の上に提供される点火可能な組成物の量を増加させてもよい。例えば、点火可能な組成物は、少なくとも可燃性炭素質熱源の前端面の一部分および隣接する可燃性炭素質熱源の側面部分の上に提供されてもよい。
【0050】
本発明による喫煙物品は、可燃性炭素質熱源の前端面を少なくとも部分的にカバーするように構成されたキャップをさらに備えてもよく、キャップは、喫煙物品の使用の前に可燃性炭素質熱源の前端面を露出するように取り外し可能である。
【0051】
本明細書に使用される場合、「キャップ」という用語は、前端面を含む、喫煙物品の遠位端を実質的に囲む保護カバーを意味する。喫煙物品の点火の前に取り外されるキャップを提供することは、可燃性炭素質熱源の前端面の少なくとも一部分の上に提供される点火可能な組成物を有利に保護する。本発明の「どこで擦ってもつく」実施形態ではこれは特に好ましい。
【0052】
例えば、本発明による喫煙物品は、喫煙物品の遠位端に虚弱線において取り付けられた取り外し可能キャップを含んでもよく、WO−A1−2014/086998号に記述されるように、キャップはラッパーによって囲まれる材料の円柱状プラグを備える。
【0053】
本発明による喫煙物品は、不燃性の、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の実質的に不通気性のバリアをさらに備えてもよい。
【0054】
本明細書に使用される場合、「不燃性の」という用語は、その燃焼および点火の間、可燃性炭素質熱源によって達した温度にて実質的に不燃性であるバリアを記述するために使用される。
【0055】
バリアは可燃性炭素質熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に隣接してもよい。あるいは、バリアは可燃性炭素質熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0056】
本明細書に使用される場合、「隣接する」という用語は、別の構成要素、または構成要素の部分に直に接触する構成要素、または構成要素の部分を記述するために使用される。
【0057】
バリアは可燃性炭素質熱源の後端面およびエアロゾル形成基体の一方または両方に付着されても、またはその他の方法で貼り付けられてもよい。
【0058】
一定の好ましい実施形態では、バリアは、不燃性の、可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供される実質的に不通気性のバリア被覆を含む。このような実施形態では、バリアは少なくとも実質的に可燃性炭素質熱源の後端面全体の上に提供されるバリア被覆を含むことが好ましい。バリアは、可燃性炭素質熱源の後端面全体の上に提供されるバリア被覆を含むことがより好ましい。
【0059】
バリアは、エアロゾル形成基体が可燃性炭素質熱源の点火および燃焼の間に曝露される温度を有利に制限し、そのようにして喫煙物品の使用中にエアロゾル形成基体の熱分解または燃焼を回避または低減するのに役立つ。これは、以下にさらに記述するように、可燃性炭素質熱源が可燃性炭素質熱源の点火を補助するための1つ以上の添加剤を含む場合に特に有利である。
【0060】
また、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、喫煙物品の保存中の可燃性炭素質熱源への本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基体の構成要素の移動を、有利に実質的に阻止または抑制する場合がある。
【0061】
別の方法としてまたは追加的に、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、喫煙物品の使用中の可燃性炭素質熱源への本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基体の構成要素の移動を有利に実質的に阻止または抑制する場合がある。
【0062】
可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、エアロゾル形成基体が少なくとも1つのエアロゾル形成剤を含む場合に、特に有利である場合がある。このような実施形態では、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含めることは、喫煙物品の保存および使用中のエアロゾル形成基体から可燃性炭素質熱源への少なくとも1つのエアロゾル形成体の移動を有利に阻止または抑制する場合がある。従って、喫煙物品の使用中の少なくとも1つのエアロゾル形成剤の分解が有利に実質的に回避されるか減少されうる。
【0063】
喫煙物品の所望の特徴および性能に応じて、バリアは熱伝導率が低くてもよく、または熱伝導率が高くてもよい。一定の実施形態では、バリアは、改良非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定される時に、23℃および50%の相対湿度にて、バルク熱伝導率が約0.1W毎メートルケルビン(W/(m・K))〜約200W毎メートルケルビン(W/(m・K))である材料から形成されてもよい。
【0064】
バリアの厚さは優れた喫煙性能を達成するように適切に調整してもよい。一定の実施形態では、バリアの厚さは約10マイクロメートル〜約500マイクロメートルであってもよい。
【0065】
バリアは、点火および燃焼の間に可燃性炭素質熱源によって達した温度にて実質的に熱的に安定で不燃性である、1つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当業界で周知であり、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、ガラス、ミネラル、セラミック材料、樹脂、金属、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれに限定されない。
【0066】
バリアを形成してもよい好ましい材料は、粘土およびガラスを含む。バリアを形成してもよいより好ましい材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミナ(Al
2O
3)、樹脂およびミネラル接着剤を含む。
【0067】
一定の好ましい実施形態では、バリアは可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供されるベントナイトとカオリナイトとの50/50の混合物を含む粘土被覆を備える。その他の好ましい実施形態では、バリアは可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供されるガラス被覆を備え、焼結ガラス被覆を備えることがより好ましい。
【0068】
一定の特に好ましい実施形態では、バリアは可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供されるアルミニウム被覆を備える。
【0069】
バリアは厚さが少なくとも約10マイクロメートルであることが好ましい。
【0070】
空気に対する粘土のわずかな浸透性のため、バリアが可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供される粘土被覆を備える実施形態では、粘土被覆は、厚さが少なくとも約50マイクロメートルであることがより好ましく、また厚さが約50マイクロメートル〜約350マイクロメートルの間であることが最も好ましい。
【0071】
バリアがアルミニウムなどの空気に対してより不浸透性である1つ以上の材料から形成される実施形態では、バリアはより薄くてもよく、一般に厚さが約100マイクロメートルよりも薄いことが好ましく、また厚さが約20マイクロメートルであることがより好ましい。
【0072】
バリアが可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供されるガラス被覆を備える実施形態では、ガラス被覆は厚さが約200マイクロメートルより薄いことが好ましい。
【0073】
バリアの厚さを、顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)または当業界で周知の任意のその他の適切な測定方法を使用して測定してもよい。
【0074】
バリアが可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供されるバリア被覆を備える場合、バリア被覆は、スプレー被覆、蒸着、浸漬、材料移動(例えば、刷毛塗りまたは接着)、静電沈着、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるがこれに限定されない、当業界で周知の任意の適切な方法によって可燃性炭素質熱源の後端面をカバーし、かつ接着するように塗布されてもよい。
【0075】
例えば、可燃性炭素質熱源の後端面のおよそのサイズおよび形状にバリアを予め成形し、そして少なくとも実質的に可燃性炭素質熱源の後端面全体をカバーおよび接着するようにそれを可燃性炭素質熱源の後端面に適用することによって、バリア被覆を行ってもよい。あるいは、バリア被覆を可燃性炭素質熱源の後端面に塗布した後で、これを切断またはその他の方法で機械加工してもよい。好ましい一つの実施形態では、アルミ箔を可燃性炭素質熱源に接着またはプレスすることによって可燃性炭素質熱源の後端面に適用し、そしてこれを切断またはその他の方法で機械加工し、そのようにしてアルミ箔が可燃性炭素質熱源の少なくとも実質的に後端面全体をカバーし、かつ少なくとも実質的に後端面全体に接着し、可燃性炭素質熱源の後端面全体をカバーし、かつ後端面全体に付着することが好ましい。
【0076】
別の好ましい実施形態では、バリア被覆は、1つ以上の適切な被覆材料の溶液または懸濁液を可燃性炭素質熱源の後端面に塗布することによって形成される。例えば、1つ以上の適切な被覆材料の溶液もしくは懸濁液中に可燃性炭素質熱源の後端面を浸漬することによって、あるいは可燃性炭素質熱源の後端面上へ溶液もしくは懸濁液を刷毛塗りまたはスプレー被覆すること、または1つ以上の適切な被覆材料の粉末もしくは粉末混合物を静電気的に沈着させることによって、バリア被覆を可燃性炭素質熱源の後端面に塗布してもよい。可燃性炭素質熱源の後端面上へ1つ以上の適切な被覆材料の粉末もしくは粉末混合物を静電気的に沈着させることによってバリア被覆を可燃性炭素質熱源の後端面に塗布する場合、静電気的沈着の前に可燃性炭素質熱源の後端面を水ガラスで前処理することが好ましい。一定の好ましい実施形態では、バリア被覆はスプレー被覆によって塗布される。
【0077】
バリア被覆は、可燃性炭素質熱源の後端面への1つ以上の適切な被覆材料の溶液または懸濁液の単一の塗布を介して形成されてもよい。あるいは、バリア被覆は、可燃性炭素質熱源の後端面への1つ以上の適切な被覆材料の溶液または懸濁液の複数の塗布を介して形成されてもよい。例えば、バリア被覆は、可燃性炭素質熱源の後端面への1つ以上の適切な被覆材料の溶液または懸濁液の1、2、3、4、5、6、7、または8回の連続する塗布を介して形成されてもよい。一定の好ましい実施形態では、バリア被覆は、可燃性炭素質熱源の後端面への1つ以上の適切な被覆材料の溶液または懸濁液の1〜10回の塗布を介して形成される。
【0078】
1つ以上の被覆材料の溶液または懸濁液のその後端面への塗布後、バリア被覆を形成するために可燃性炭素質熱源を乾燥してもよい。バリア被覆が、その後端面への1つ以上の適切な被覆材料の溶液または懸濁液の複数の塗布を介して形成される場合、溶液または懸濁液の連続的な塗布の間に可燃性炭素質熱源を乾燥する必要がある場合がある。
【0079】
可燃性炭素質熱源の後端面への1つ以上の被覆材料の溶液または懸濁液の塗布後、乾燥する代わりに、またはこれに加えて、バリア被覆を形成するために可燃性炭素質熱源上の被覆材料を焼結してもよい。バリア被覆を焼結することは、バリア被覆がガラスまたはセラミック被覆である場合、特に好ましい。一定の好ましい実施形態では、バリア被覆を約500℃〜約900℃の温度にて焼結し、約700℃にて焼結することがより好ましい。
【0080】
本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性炭素質熱源を含んでもよい。本明細書に使用される場合、「非ブラインド」という用語は、可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる少なくとも1つの気流チャネルを含む可燃性炭素質熱源を記述するために使用される。
【0081】
本明細書に使用される場合、「気流チャネル」という用語は、ユーザーによる吸入のために引き出される場合がある空気が通る可燃性炭素質熱源の長さに沿って延びる流路を記述するために使用される。
【0082】
本発明によると、可燃性炭素質熱源が可燃性炭素質熱源の前端面から後端面へと延びる1つ以上の気流チャネルを備える、本発明による喫煙物品が提供される。
【0083】
本発明による喫煙物品が、可燃性炭素質熱源の前端面から後端面へと延びる少なくとも1つの気流チャネルを含む非ブラインド可燃性炭素質熱源を備える場合、少なくとも1つの気流流路は、ユーザーによる吸入のために喫煙物品を通して引き出されうる空気の1つ以上の気流経路の一部を形成する。
【0084】
非ブラインド可燃性炭素質熱源を備える本発明による喫煙物品では、エアロゾル形成基体の加熱は、伝導および強制対流によって生じる。
【0085】
1つ以上の気流チャネルは1つ以上の包囲された気流チャネルを含んでもよい。
【0086】
本明細書に使用される場合、「包囲された」という用語は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の内部を通って延び、非ブラインド可燃性炭素質熱源によって囲まれる気流チャネルを記述するために使用される。
【0087】
別の方法としてまたは追加的に、1つ以上の気流チャネルは1つ以上の包囲されていない気流チャネルを含んでもよい。例えば、1つ以上の気流チャネルは、1つ以上の溝、または非ブラインド可燃性炭素質熱源の外部に沿って延びるその他の包囲されていない気流チャネルを含んでもよい。
【0088】
1つ以上の気流チャネルは、1つ以上の包囲された気流チャネル、1つ以上の包囲されていない気流チャネル、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0089】
一定の実施形態では、本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる1つ、2つまたは3つの気流チャネルを含む。
【0090】
一定の好ましい実施形態では、本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる単一の気流チャネルを備える。
【0091】
一定の特に好ましい実施形態では、本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる単一の実質的に中央のまたは軸方向の気流チャネルを備える。
【0092】
このような実施形態では、単一の気流チャネルの直径は約1.5mm〜約3mmであることが好ましい。
【0093】
当然のことながら、ユーザーによる吸入のために引き出されうる空気が通る1つ以上の気流チャネルに加えて、本発明による喫煙物品は、空気がユーザーによる吸入のために引き出されない1つ以上の閉じた、または遮断された通路を含む非ブラインド可燃性炭素質熱源を備えてもよい。
【0094】
例えば、本発明による喫煙物品は、可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる1つ以上の気流チャネル、および可燃性炭素質熱源の長さに沿って途中までのみ非ブラインド可燃性炭素質熱源の前端面から延びる1つ以上の閉じた通路を備える非ブラインド可燃性炭素質熱源を含んでもよい。
【0095】
1つ以上の閉じた空気通路の包含は、空気由来の酸素に曝露される非ブラインド可燃性炭素質熱源の表面積を増加させ、非ブラインド可燃性炭素質熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にする場合がある。
【0096】
本発明による喫煙物品が、非ブラインド可燃性炭素質熱源と、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリアとを含む場合、バリアは、1つ以上の気流チャネルを通って喫煙物品に入る空気が喫煙物品を通って下流に引き出されるのを可能にするはずである。
【0097】
可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリアの代わりにまたはこれに加えて、非ブラインド可燃性炭素質熱源を含む本発明による喫煙物品は、非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを備えてもよい。
【0098】
本発明によると、可燃性炭素質熱源が可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる1つ以上の気流チャネルを備え、喫煙物品が可燃性熱源と1つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアをさらに備える、本発明による喫煙物品が提供される。
【0099】
バリアは、点火可能な組成物および非ブラインド可燃性炭素質熱源の点火および燃焼の間に形成される燃焼および分解生成物が、吸い出された空気が1つ以上の気流チャネルを通って通過するにつれて、1つ以上の気流チャネルを通って本発明に従った喫煙物品の中へと吸い出される空気に入ることを有利にも実質的に阻止または抑制しうる。これは、非ブラインド可燃性熱源が、非ブラインド可燃性炭素質熱源の点火または燃焼を補助するために1つ以上の添加剤を含む場合に、特に有利である。
【0100】
また、非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアを含むことは、ユーザーがたばこを吸う間、非ブラインド可燃性炭素質熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に阻止または抑制しうる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に阻止または抑制しうる。
【0101】
非ブラインド可燃性炭素質熱源の燃焼の活性化を阻止または抑制し、かつそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を阻止または抑制することによって、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解は有利に回避されうる。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0102】
非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルとの間のバリアは、非ブラインド可燃性炭素質熱源に接着またはその他の方法で付着されうる。
【0103】
一定の好ましい実施形態では、バリアは1つ以上の気流チャネルの内側表面の上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆を備える。このような実施形態では、バリアは1つ以上の気流チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体の上に提供されるバリア被覆を備えることが好ましい。バリアは1つ以上の気流チャネルの内側表面全体の上に提供されるバリア被覆を備えることがより好ましい。
【0104】
その他の実施形態では、バリア被覆は1つ以上の気流チャネルへのライナーの挿入によって提供されてもよい。例えば、1つ以上の気流チャネルが非ブラインド可燃性炭素質熱源の内部を通って延びる1つ以上の包囲された気流チャネルを備える場合、不燃性の実質的に不通気性の中空管が1つ以上の気流チャネルのそれぞれの中に挿入されてもよい。
【0105】
喫煙物品の所望の特徴および性能に応じて、バリアは熱伝導率が低くてもよく、または熱伝導率が高くてもよい。バリアは熱伝導率が低いことが好ましい。
【0106】
バリアの厚さは優れた喫煙性能を達成するように適切に調整してもよい。一定の実施形態では、バリアの厚さは約30マイクロメートル〜約200マイクロメートルであってもよい。一定の好ましい実施形態では、バリアの厚さは約30マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。
【0107】
バリアは、実質的に熱的に安定であり、点火および燃焼の間に非ブラインド可燃性炭素質熱源によって達成される温度で不燃性である1つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当業界で周知であり、例えば粘土、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニアおよびセリアなど)、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、およびその他のセラミック材料またはこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0108】
バリアを形成しうる好ましい材料は粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄およびこれらの組み合わせを含む。必要に応じて、二酸化炭素への一酸化炭素の酸化を促進する原料成分などの触媒原料成分は、バリアに組み込まれてもよい。適切な触媒原料成分は、例えば、白金、パラジウム、遷移金属およびこれらの酸化物を含むが限定されない。
【0109】
バリアが1つ以上の気流チャネルの内側表面の上に提供されるバリア被覆を備える場合、バリア被覆はUS−A−5,040,551号に記述された方法などの任意の適切な方法によって、1つ以上の気流チャネルの内側表面に塗布されてもよい。例えば、1つ以上の気流チャネルの内側表面は、バリア被覆の溶液または懸濁液で吹き付けられ、濡らされ、または塗装されてもよい。一定の好ましい実施形態では、バリア被覆は、可燃性炭素質熱源が押し出されるように、WO−A2−2009/074870号によって記述されるプロセスによって、1つ以上の気流チャネルの内側表面に塗布される。
【0110】
本発明による喫煙物品が非ブラインド可燃性炭素質熱源を備える場合、使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物と直接接触しないように、点火可能な組成物は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の後端面の上および非ブラインド可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる少なくとも1つの気流チャネルの内側表面には提供されない場合がある。
【0111】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品が非ブラインド可燃性炭素質熱源と、
(i)不燃性の、非ブラインド可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の実質的に不通気性のバリアと、
(ii)非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアと、を備える場合、
(i)非ブラインド可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリア、および(ii)非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物と直接接触しないように、点火可能な組成物を1つ以上の気流経路から分離する場合がある。
【0112】
例えば、一定の実施形態では、本発明による喫煙物品が非ブラインド可燃性炭素質熱源と、
(i)非ブラインド可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリアと、を備える場合、
点火可能な組成物は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びる少なくとも1つの気流チャネルの内側表面の上には提供されない場合があり、また
(i)非ブラインド可燃性炭素質熱源とエアロゾル形成基体との間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、点火可能な組成物を1つ以上の気流経路から分離する場合があり、
その結果、使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物に直接接触しない。
【0113】
その他の実施形態では、本発明による喫煙物品が、非ブラインド可燃性炭素質熱源と、
(ii)非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルとの間に不燃性の実質的に不通気性のバリアと、を備える場合、
点火可能な組成物は、非ブラインド可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供されない場合があり、また
(ii)非ブラインド可燃性炭素質熱源と1つ以上の気流チャネルとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、点火可能な組成物を1つ以上の気流経路から分離する場合があり、
その結果、使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物に直接接触しない。
【0114】
本発明による喫煙物品は、ブラインド可燃性炭素質熱源を含むことが好ましい。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性炭素質熱源の前端面から後端面まで延びるいかなる気流チャネルも含まない可燃性炭素質熱源を記述するために使用される。本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性炭素質熱源の前端面から可燃性炭素質熱源の後端面まで延びる1つ以上の気流チャネルを含む可燃性炭素質熱源を記述するためにも使用され、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、空気が可燃性炭素質熱源の長さに沿って1つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを阻止する。
【0115】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品は、空気を1つ以上の気流経路の中へと引き出すための可燃性熱源の後端面の下流にある1つ以上の空気吸込み口を備える。非ブラインド可燃性熱源を備える本発明による喫煙物品は、1つ以上の気流経路の中へと空気を引き出すための可燃性熱源の後端面の下流の1つ以上の空気吸込み口も備えてもよい。
【0116】
一定の好ましい実施形態では、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する1つ以上の空気吸込み口を備えるブラインド可燃性熱源を備える。
【0117】
使用において、ユーザーによる吸入のためにブラインド可燃性炭素質熱源を含む本発明による喫煙物品の1つ以上の気流経路に沿って引き出された空気は、ブラインド可燃性炭素質熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない。ブラインド可燃性炭素質熱源を通るあらゆる気流チャネルの欠如は、ユーザーがたばこを吸う間のブラインド可燃性炭素質熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に阻止または抑制する。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に阻止または抑制する。
【0118】
ブラインド可燃性炭素質熱源の燃焼の活性化を阻止または抑制すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を阻止または抑制することによって、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解が有利に回避されうる。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0119】
また、ブラインド可燃性炭素質熱源の包含は、ブラインド可燃性炭素質熱源の点火および燃焼の間に形成される燃焼および分解生成物並びにその他の材料が、その使用中、本発明による喫煙物品を通して引き出される空気に入ることも有利に実質的に阻止または抑制しうる。これは、ブラインド可燃性炭素質熱源が、ブラインド可燃性炭素質熱源の点火または燃焼を補助するために1つ以上の添加剤を含む場合、特に有利である。
【0120】
ブラインド可燃性炭素質熱源を含む本発明による喫煙物品において、ブラインド可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、伝導によって主に生じ、強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小にされる、または減少される。これは、本発明による喫煙物品の主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立つ。
【0121】
ブラインド可燃性炭素質熱源を備える本発明による喫煙物品では、可燃性炭素質熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を最適化することは、特に重要である。以下にさらに記述されるように、強制対流によるエアロゾル形成基体の何らかの加熱があってもわずかである場合、本発明によるブラインド熱源を含む喫煙物品では、可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分およびエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分の周りに1つ以上の熱伝導性要素を含むことが特に好ましい。
【0122】
当然のことながら、本発明による喫煙物品は、ユーザーによる吸入のために空気がこれを通して引き出され得ない1つ以上の閉じた、または遮断された通路を含むブラインド可燃性炭素質熱源を備えてもよい。
【0123】
例えば、本発明による喫煙物品は、ブラインド可燃性炭素質熱源の長さに沿って途中までのみブラインド可燃性炭素質熱源の上流端にある前端面から延びる1つ以上の閉じた通路を含むブラインド可燃性炭素質熱源を備えてもよい。
【0124】
1つ以上の閉じた空気通路の包含は、空気由来の酸素に曝露されるブラインド可燃性炭素質熱源の表面積を増加させ、ブラインド可燃性炭素質熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にしうる。
【0125】
本発明による喫煙物品がブラインド可燃性炭素質熱源を備える場合、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物に直接接触しないように、可燃性炭素質熱源の後端面の上に点火可能な組成物が提供されない場合がある。
【0126】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品がブラインド可燃性炭素質熱源、および不燃性の可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の実質的に不通気性のバリアを備える場合、不燃性の可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の実質的に不通気性のバリアは、使用において、1つ以上の気流経路に沿って引き出される空気が点火可能な組成物と直接接触しないように、点火可能な組成物を1つ以上の気流経路から分離する場合がある。
【0127】
可燃性炭素質熱源の炭素含有量は、可燃性炭素質熱源の乾燥重量の少なくとも約35パーセントであることが好ましく、少なくとも約40パーセントであることがより好ましく、少なくとも約45パーセントであることが最も好ましい。
【0128】
一部の実施形態では、可燃性炭素質熱源は可燃性炭素ベース熱源であってもよい。本明細書に使用される場合、「炭素ベース」という用語は、主に炭素から成る可燃性炭素質熱源であって、炭素含有量が少なくとも約50パーセントである可燃性炭素質熱源を記述するために使用される。例えば、可燃性炭素質熱源は、炭素含有量が可燃性炭素質熱源の乾燥質量で、少なくとも約60パーセント、または少なくとも約70パーセント、もしくは少なくとも約80パーセントであってもよい。
【0129】
可燃性炭素質熱源は、1つ以上の適切な炭素含有材料から形成されてもよい。
【0130】
1つ以上の結合剤を、1つ以上の炭素含有材料と組み合わせてもよい。このような実施形態では、可燃性炭素質熱源は、1つ以上の有機結合剤、1つ以上の無機結合剤、または1つ以上の有機結合剤と1つ以上の無機結合剤との組み合わせを含みうる。
【0131】
適切な有機結合剤は、ゴム(例えば、グアーガムなど)、修飾されたセルロースおよびセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、小麦粉、デンプン、糖、植物性油脂およびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0132】
適切な無機結合剤は、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、アルミノケイ酸塩誘導体(例えば、セメント、アルカリ賦活アルミノケイ酸塩など)、アルカリケイ酸塩(例えば、ナトリウムケイ酸塩およびカリウムケイ酸塩など)、石灰石誘導体(例えば、石灰および消石灰など)、アルカリ土類化合物および誘導体(例えば、マグネシアセメント、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびリン酸二カルシウムなど)、アルミニウム化合物および誘導体(例えば、硫酸アルミニウムなど)、およびその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0133】
1つ以上の結合剤の代わりに、またはそれに加えて、可燃性炭素質熱源は、可燃性炭素質熱源の特性を改善するために1つ以上の添加剤を含みうる。適切な添加剤は、可燃性炭素質熱源の強化を促進する添加剤(例えば、焼結助剤)、可燃性炭素質熱源の点火を促進する添加剤(例えば、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、過酸化物、過マンガン酸塩、ジルコニウムおよびこれらの組み合わせなどの酸化剤)、可燃性炭素質熱源の燃焼を促進する添加剤(例えば、クエン酸カリウムなどのカリウムおよびカリウム塩)および可燃性炭素質熱源の燃焼によって生成される1つ以上の気体の分解を促進する添加剤(例えば、CuO、Fe
2O
3およびAl
2O
3などの触媒)を含むが限定されない。
【0134】
可燃性炭素質熱源は、少なくとも1つの点火補助剤を含むことが好ましい。一定の好ましい実施形態では、可燃性炭素質熱源は、WO−A1−2012/164077号に記述されているように、少なくとも1つの点火補助剤を含む。
【0135】
本明細書に使用される場合、「点火補助剤」という用語は、エネルギーおよび酸素の一方または両方の材料による放出速度が周囲酸素の有限拡散でない、可燃性炭素質熱源の点火中にエネルギーおよび酸素の一方または両方を放出する材料を意味するために使用される。言い換えれば、可燃性炭素質熱源の点火中の材料によるエネルギーおよび酸素の一方または両方の放出速度は大抵、周囲酸素が材料に到達することができる速度に非依存的である。本明細書に使用される場合、「点火補助剤」という用語は、可燃性炭素質熱源の点火中にエネルギーを放出する元素金属を意味するためにも使用され、元素金属の点火温度は、約500℃より低く、元素金属の燃焼の熱は少なくとも約5kJ/gである。
【0136】
本明細書に使用される場合、「点火補助剤」という用語は、カルボン酸のアルカリ金属塩(クエン酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ金属塩およびコハク酸アルカリ金属塩など)、ハロゲン化アルカリ金属塩(アルカリ金属塩化物塩など)、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属リン酸塩のアルカリ金属塩を含まず、これらは炭素燃焼を修飾すると考えられる。このようなアルカリ金属燃焼塩は、可燃性炭素質熱源の総重量に対して大量に存在するときにさえ、可燃性炭素質熱源の点火中に十分なエネルギーを放出せず、可燃性炭素質熱源を含む喫煙物品の吸い始めの間に容認可能なエアロゾルを産生する。
【0137】
適切な点火補助剤の例には、可燃性炭素質熱源の点火に際して酸素と発熱性の反応をするエネルギー物質(例えば、アルミニウム、鉄、マグネシウムおよびジルコニウムなど);可燃性炭素質熱源の点火に際して互いに反応してエネルギーを放出する、テルミット、または還元剤(例えば、金属など)および酸化剤(例えば、金属酸化物)を含むテルミット複合体;可燃性炭素質熱源の点火に際して発熱性の反応をする材料(例えば、金属間および二金属材料、金属炭化物および金属水素化物);ならびに可燃性炭素質熱源の点火に際して、分解されて酸素を放出する酸化剤を含むが限定されない。
【0138】
適切な酸化剤の例は、硝酸塩、例えば硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウムおよび硝酸鉄など;亜硝酸塩;その他の有機および無機ニトロ化合物;塩素酸塩、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウムなど;過塩素酸塩、例えば過塩素酸ナトリウムなど;亜塩素酸塩;臭素酸塩、例えば臭素酸ナトリウムおよび臭素酸カリウムなど;過臭素酸塩;亜臭素酸;ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウムなど;鉄酸塩、例えば鉄酸バリウムなど;亜鉄酸塩;マンガン酸塩、例えばマンガン酸カリウムなど;過マンガン酸塩、例えば、過マンガン酸カリウムなど;有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイルおよび過酸化アセトンなど;無機過酸化物、例えば過酸化水素、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛および過酸化リチウムなど;超酸化物、例えば超酸化カリウムおよび超酸化ナトリウムなど;ヨウ素酸塩;過ヨウ素酸塩;亜ヨウ素酸塩;硫酸塩;亜硫酸塩;その他のスルホキシド;リン酸塩;ホスフィン酸塩;亜リン酸塩;および亜ホスフィン酸塩を含むが限定されない。
【0139】
可燃性炭素質熱源は、1つ以上の結合剤および含まれる場合はその他の任意の添加剤と1つ以上の炭素含有材料を混合し、所望の形に混合物を形成することによって形成されることが好ましい。1つ以上の炭素含有材料、1つ以上の結合剤および任意選択のその他の添加剤を含む混合物は、例えばスリップキャスティング、押出、射出成形、および型圧縮、またはプレスなどの任意の適切な周知のセラミック形成方法を使用して、所望の形に予め成形されうる。
【0140】
可燃性炭素質熱源は、プレス加工または押出工程により形成されることが好ましい。可燃性炭素質熱源は、プレス加工により形成されることが最も好ましい。
【0141】
1つ以上の炭素含有材料、1つ以上の結合剤およびその他の任意選択の添加剤の混合物は、円柱状のロッドに成形されることが好ましい。しかし、当然のことながら1つ以上の炭素含有材料、1つ以上の結合剤およびその他の任意選択の添加剤の混合物をその他の所望の形に成形してもよい。
【0142】
形成後、円柱状のロッドまたはその他の所望の形状を乾燥させてその含水量を低減させることが好ましい。
【0143】
可燃性炭素質熱源は、単一の層を備えうる。別の方法として、可燃性炭素質熱源は、複数の層から成る多層可燃性炭素質熱源としてもよい。
【0144】
可燃性炭素質熱源の見掛け密度は、約0.8g/cm
3〜約1.1g/cm
3であることが好ましい。
【0145】
可燃性炭素質熱源の質量は、約300mg〜約500mgであることが好ましく、約400mg〜約450mgであることがより好ましい。
【0146】
可燃性炭素質熱源の長さは、約7mm〜約17mmであることが好ましく、約7mm〜約15mmであることがより好ましく、約7mm〜約13mmであることが最も好ましい。
【0147】
可燃性炭素質熱源の直径は、約5mm〜約9mmであることが好ましく、約7mm〜約8mmであることがより好ましい。
【0148】
可燃性炭素質熱源の直径は実質的に一様であることが好ましい。ところが、可燃性炭素質熱源は、別の方法として、可燃性炭素質熱源の前端面と後端面のうちの一方の直径がその前端面と後端面のうちのもう一方の直径より大きくなるような先細りであってもよい。例えば、本発明による可燃性炭素質熱源は、可燃性炭素質熱源の後端面の直径が、可燃性炭素質熱源の前端面の直径より大きくなるような先細りであってもよい。
【0149】
可燃性炭素質熱源は実質的に円筒形であることが好ましい。可燃性炭素質熱源は、実質的に円形断面または実質的に楕円形断面の円柱状可燃性炭素質熱源であってもよい。
【0150】
特に好ましい実施形態では、可燃性炭素質熱源は実質的に円形断面の実質的に円筒形の可燃性炭素質熱源である。
【0151】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体および加熱に反応して揮発性化合物を放出することができる材料を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、湿潤剤、風味剤、結合剤およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、その他の添加剤および成分を含んでもよい。
【0152】
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含むことがより好ましい。
【0153】
少なくとも一つのエアロゾル形成体は、使用において、密度の高い安定したエアロゾルの形成を促進し、喫煙物品の使用温度で熱分解に対して実質的に抵抗のある任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、例えば、多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノ、ジまたはトリアセタートなど)、およびモノ、ジまたはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本発明による喫煙物品における使用のための好ましいエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、および最も好ましいグリセリンなどの多価アルコールまたはこれらの混合物である。
【0154】
加熱に反応して揮発性化合物を放射することができる材料は、植物由来材料の装填でもよい。加熱に反応して揮発性化合物を放射することができる材料は、均質化した植物由来材料の装填でもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、植物に由来する1つ以上の材料を含んでもよく、たばこ、茶(例えば緑茶)、ハッカ、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、ビジョザクラ、およびタラゴンを含むが限定されない。
【0155】
加熱に反応して揮発性化合物を放射することができる材料は、たばこ由来材料の装填であることが好ましく、均質化したたばこ由来材料の装填であることが最も好ましい。
【0156】
エアロゾル形成基体は、紙またはその他のラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態としうる。前述のように、エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体はエアロゾル形成基体であると見なされる。
【0157】
エアロゾル形成基体の長さは約5mm〜約20mmであることが好ましい。一定の実施形態では、エアロゾル形成基体の長さは、約6mm〜約15mm、または約7mm〜約12mmであってもよい。
【0158】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備える。特に好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0159】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の周辺の周りに1つ以上の第一の空気吸込み口を含みうる。
【0160】
このような実施形態では、使用において、冷気は、第一の空気吸込み口を通って喫煙物品のエアロゾル形成基体の中へと引き出される。第一の空気吸込み口を通って喫煙物品のエアロゾル形成基体の中へと引き出された空気は、エアロゾル形成基体から喫煙物品を通って下流に通過し、その近位端を通って喫煙物品を出る。
【0161】
こうした実施形態では、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の周辺の周りで1つ以上の第一の空気吸込み口を通って引き出された冷気は、エアロゾル形成基体の温度を有利に低下させる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを有利にも実質的に阻止または抑制する。
【0162】
本明細書に使用される場合「冷気」という用語は、ユーザーがたばこを吸う際に可燃性炭素質熱源によって有意に加熱されない周囲空気を記述するために使用される。
【0163】
エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを阻止または抑制することによって、エアロゾル形成基体の周辺に1つ以上の第一の空気吸込み口を含むことは、激しくたばこを吸う状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を回避または低減するのに有利に役立つ。加えて、エアロゾル形成基体の周辺に1つ以上の第一の空気吸込み口を含むことは、本発明に従った喫煙物品の主流エアロゾルの組成物におけるユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立つ。
【0164】
第一の空気吸込み口の数、形状、サイズおよび位置は、優れた喫煙性能を達成するように適切に調整されてもよい。
【0165】
一定の好ましい実施形態では、1つ以上の第一の空気吸込み口は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する。
【0166】
一定の実施形態では、エアロゾル形成基体は、可燃性炭素質熱源の後端面、または可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆に隣接しうる。
【0167】
その他の実施形態では、エアロゾル形成基体は、可燃性炭素質熱源の後端面、または可燃性炭素質熱源の後端面の上に提供される不燃性の実質的に不通気性のバリア被覆と間隙を介してもよい。すなわち、エアロゾル形成基体と可燃性炭素質熱源の後端面との間にスペースまたはギャップがあってもよい。
【0168】
このような実施形態では、エアロゾル形成基体の周辺の周りの1つ以上の第一の空気吸込み口の代わりにまたはこれに加えて、本発明による喫煙物品は、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間に1つ以上の第二の空気吸込み口をさらに備えてもよい。使用において、冷気は、第二の空気吸込み口を通って可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間のスペースの中へと引き出される。第二の空気吸込み口を通って可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間のスペースへと引き出された空気は、エアロゾル形成基体を通ってマウスピースへと下流に通過し、その近位端を通って喫煙物品を出る。
【0169】
使用者がたばこを吸う間、可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の第二の吸込み口を通って引き出される冷気は、本発明に従った喫煙物品のエアロゾル形成基体の温度を有利に低下させる。これは、たばこを吸う間、本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを有利に実質的に阻止または抑制する。
【0170】
エアロゾル形成基体の周辺の周りの1つ以上の第一の空気吸込み口、および可燃性炭素質熱源の後端面とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の第二の吸込み口の一方または両方の代わりにまたはこれに加えて、本発明による喫煙物品はエアロゾル形成基体の下流に1つ以上の第三の空気吸込み口をさらに備えてもよい。
【0171】
本発明による喫煙物品は、少なくとも可燃性炭素質熱源の後方部分および少なくともエアロゾル形成基体の前方部分の周りに1つ以上の熱伝導性要素をさらに含むことが好ましい。
【0172】
本発明によると、可燃性炭素質熱源の後方部分および少なくともエアロゾル形成基体の前方部分の周りに熱伝導性要素をさらに含む本発明による喫煙物品が提供される。
【0173】
本発明による喫煙物品は、少なくとも可燃性炭素質熱源の後方部分とエアロゾル形成基体の少なくとも前方部分との両方の周りにあり、それと直に接触して熱伝導性要素を備えてもよい。このような実施形態では、熱伝導性要素は、本発明による喫煙物品の可燃性炭素質熱源とエアロゾル形成基体との間に熱リンクを提供し、また容認可能なエアロゾルを提供するために可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への適切な熱伝達を容易にするのに有利に役立つ。
【0174】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品は、熱伝導性要素と可燃性炭素質熱源およびエアロゾル形成基体のうちの一方または両方との間に直接接触がないように、可燃性炭素質熱源およびエアロゾル形成基体のうちの一方または両方から間隙を介した熱伝導性要素を備えてもよい。
【0175】
1つ以上の熱伝導性要素は、不燃性であることが好ましい。一定の実施形態では、1つ以上の熱伝導性要素は酸素制限性であってもよい。言い換えれば、1つ以上の熱伝導性要素は、熱伝導性要素を通る酸素の通過を抑制または抵抗しうる。
【0176】
本発明による喫煙物品における使用のための適切な熱伝導性要素は、金属箔ラッパー、例えばアルミ箔ラッパー、鋼鉄ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーなど、および金属合金箔ラッパーを含むが、これらに限定されない。
【0177】
本発明による喫煙物品は、その近位端に位置するマウスピースを備えることが好ましい。
【0178】
マウスピースは低濾過効率のマウスピースであることが好ましく、非常に低い濾過効率のマウスピースであることがより好ましい。マウスピースは単一のセグメントであっても、または構成要素マウスピースであってもよい。あるいは、マウスピースはマルチセグメントマウスピースであっても、または複数構成要素マウスピースであってもよい。
【0179】
マウスピースは、適切な周知の濾過材料を含む1つ以上のセグメントを含むフィルターを含んでもよい。適切な濾過材料は当業界で周知であり、酢酸セルロースおよび紙を含むが、これらに限定されない。別の方法としてまたは追加的に、マウスピースは吸収剤、吸着剤、風味剤、およびその他のエアロゾル変性剤および添加剤またはその組み合わせを含む1つ以上のセグメントを含みうる。
【0180】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間に移動要素またはスペーサー要素をさらに含むことが好ましい。
【0181】
移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0182】
移動要素の包含は、可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含は、喫煙物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択により所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することも有利に可能にする。
【0183】
移動要素の長さは、約7mm〜約50mm、例えば約10mm〜約45mm、または約15mm〜約30mmであってもよい。移動要素の長さは、喫煙物品の所望の全長および喫煙物品内のその他の成分の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0184】
移動要素は少なくとも1つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用において、喫煙物品の中へと引き出される空気は、それがエアロゾル形成基体からマウスピースまで喫煙物品を通って下流に通過する時に、少なくとも1つの端の開いた管状中空体を通って通過する。
【0185】
移動要素は、可燃性炭素質熱源からエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成されたエアロゾルの温度で実質的に熱的に安定している1つ以上の適切な材料から形成される少なくとも1つの端の開いた管状中空体を含んでもよい。適切な材料は当業界で周知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0186】
別の方法としてまたは追加的に、本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体とマウスピースとの間にエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延びる流路を含んでもよい。
【0187】
エアロゾル冷却要素は、金属箔、重合体材料および実質的に非多孔性の紙またはボール紙から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。一定の実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。
【0188】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater−Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含んでもよい。
【0189】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に1つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、本発明による喫煙物品のマウスピース、移動要素、およびエアロゾル冷却要素のうちの1つ以上は、1つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。
【0190】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル修飾剤」という用語は、使用において、喫煙物品のエアロゾル形成基体によって生成されるエアロゾルの1つ以上の特徴または特性を修飾する任意の薬剤を記述するために使用される。
【0191】
本発明によると、エアロゾル形成基体の下流に1つ以上のエアロゾル修飾剤をさらに含む本発明による喫煙物品が提供される。
【0192】
適切なエアロゾル修飾剤は、風味剤、および化学感覚剤を含むが限定されない。
【0193】
本明細書に使用される場合、「化学感覚剤」という用語は、使用において、味覚受容体または嗅覚受容体細胞による知覚以外、またはそれに追加した手段によってユーザーの口、または嗅空洞において知覚される任意の薬剤を記述するために使用される。化学感覚剤の知覚は、三叉神経、舌咽神経、迷走神経またはこれらのいくつかの組み合わせのいずれかを経て、典型的には「三叉神経応答」を経る。典型的には、化学感覚剤は、辛い、香辛料のきいた、冷却するまたは和らげる感覚として知覚される。
【0194】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体の下流に、風味剤および化学感覚剤である1つ以上のエアロゾル修飾剤を含んでもよい。例えば、本発明による喫煙物品のマウスピース、移動要素およびエアロゾル冷却要素の1つ以上は、冷却する化学感覚効果を提供するメントールまたは別の風味剤を含んでもよい。
【0195】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体および可燃性炭素質熱源の少なくとも後方部分を囲む外側ラッパーを含むことが好ましい。外側ラッパーは、喫煙物品が組み立てられる時に喫煙物品の可燃性炭素質熱源およびエアロゾル形成基体を握持するべきである。
【0196】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基体を囲む外側ラッパー、少なくとも可燃性炭素質熱源の後方部分、およびエアロゾル形成基体の下流にある喫煙物品の任意の他の構成要素を含むことがより好ましい。
【0197】
本発明による喫煙物品は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成される外側ラッパーを含んでもよい。適切な材料は当業界で周知であり、紙巻たばこ用紙を含むが、これに限定されない。
【0198】
本発明による喫煙物品は周知の方法および機械を使用して組み立てられてもよい。
【0199】
誤解を避けるために、本発明の1つの態様に関する上述の特徴は、本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、本発明による喫煙物品に関連して上述された特徴は、適切な場合、本発明による喫煙物品の容器にも関連する場合があり、またその逆も言える。
【0200】
すべての学術的および技術的な用語は本明細書で使用される場合、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を持つ。本明細書で提供した定義は、本明細書で頻繁に使用される一定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0201】
「好ましい」および「好ましくは」という用語は、ある一定の状況下である一定の利益をもたらす場合がある本発明の実施形態を意味する。特に好ましいのは、好ましい特徴の組み合わせを含む、喫煙物品、可燃性炭素質熱源組立品、および本発明による可燃性炭素質熱源組立品を製造する方法である。しかしながら、当然のことながら、同一またはその他の状況下で、他の実施形態もまた好ましい場合がある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを暗に意味するものではなく、特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図しない。
【0202】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに記述される。