(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エマルションの総重量をベースとして2重量%〜30重量%の油相を含み、該油相が魚油、魚油抽出物、オリーブ油、ダイズ油及びMCTからなる群より選択される1以上の油を含む、請求項1に記載のエマルション。
水中油型エマルション中に含まれる油滴が、該エマルションの減菌時に直接測定した場合に130nm〜350nmの平均直径を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエマルション。
脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある個体における必須脂肪酸及び/又はDHA及びEPAの欠乏の治療又は予防に使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエマルション。
脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある個体における栄養失調の治療又は予防に使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエマルション又は投与単位。
脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある個体における栄養失調、並びに必須脂肪酸及び/又はEPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエマルション又は投与単位。
【発明を実施するための形態】
【0023】
オキアミ油
オキアミ油は、ナンキョクオキアミ、Euphausia superba種から調製される抽出物である。オキアミ油はFDAによるGRAS(generally recognized as safe、一般に安全と認められる)ステータスを取得しており、例えばOlympic Seafood(Bioriginal Europe/Asia B.V.)及びAker BioMarine Antarctic ASから市販されている。オキアミ油の乳化特性は、主にそのリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトールを含む)含量に依存する。
【0024】
オキアミ油は通常は最大で50重量%のリン脂質を含む。
【0025】
オキアミ油が最大で50重量%のリン脂質を含む場合、本開示によると、オキアミ油はエマルションの総重量をベースとして0.5重量%〜2.2重量%、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%の濃度で使用される。より好ましくは、オキアミ油はエマルションの総重量をベースとして1.0重量%〜2.0重量%の濃度で使用される。
【0026】
しかしながら、オキアミ油は50重量%を超えるリン脂質濃度を可能にする抽出法によっても得ることもできる(例えば、国際公開第2010/136900号を参照)。
【0027】
オキアミ油が50重量%超のリン脂質を含む場合、本開示によると、オキアミ油はエマルションの総重量をベースとして0.5重量%〜2.2重量%、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%の濃度で使用される。より好ましくは、オキアミ油はエマルションの総重量をベースとして0.5重量%〜1.8重量%の濃度で使用される。
【0028】
水中油型エマルション
本開示のエマルションは水中油型エマルションであり、すなわち連続相が水性であり、油滴を含む。エマルションは連続水相と、エマルションの総重量をベースとして好ましくは2重量%〜30重量%の油相とを含む。より好ましくは、エマルションはエマルションの総重量をベースとして5重量%〜30重量%、さらにより好ましくはエマルションの総重量をベースとして5重量%〜25重量%、最も好ましくはエマルションの総重量をベースとして10重量%〜20重量%の油相を含む。例えば、エマルションはエマルションの総重量をベースとして10重量%又は20重量%の油相を含む。
【0029】
水相は非経口投与に好適な純度の水、すなわち注射用水を含む。
【0030】
油相
油相は様々な異なる脂質、例えば、油、例えば、ダイズ油、オリーブ油、魚油、魚油抽出物、サフラワー油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ヤシ油、パーム核油、菜種油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)及びそれらの混合物を含み得る。
【0031】
油相がダイズ油、オリーブ油、魚油、魚油抽出物及びMCTからなる群より選択される1以上の油を含むことが好ましい。
【0032】
「魚油」という用語は精製魚油、並びにヨーロッパ薬局方6.0によると、トリグリセリドとして表される少なくとも9重量%のオメガ−3−脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA)及び少なくとも13重量%のオメガ−3脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)を含む精製された「オメガ3脂肪酸に富んだ魚油」を指す。
【0033】
「魚油抽出物」という用語は、EPA及びDHAが高度に濃縮された混合物を指し、例えば、超臨界流体抽出及びその後の、例えば、クロマトグラフィー法による精製によって、例えば、魚油から得られる。代替的には、魚油は米国特許第6750048号に記載されるもののような抽出法を用いて抽出することができる。付加的な抽出法及び/又は精製法は、国際公開第2001/076715号及び国際公開第2001/076385号に記載されている。これらの魚油抽出物中に含有されるEPA及びDHAの総量は、抽出物1グラム当たり少なくとも500ミリグラムである。
【0034】
魚油抽出物はエステル化形態、例えば、トリグリセリド又はエチルエステルの形態のEPA及びDHAを含む。
【0035】
「中鎖脂肪酸トリグリセリド」という用語は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸を含む、炭素原子6〜12の長さの脂肪酸のトリグリセリドを指す。
【0036】
酸化防止剤
エマルションは少なくとも1つの薬学的に許容可能な酸化防止剤を含み得る。
【0037】
本開示のエマルションに有用な酸化防止剤は、酸化防止活性を有する任意の薬学的に許容可能な化合物であり得る。例えば、酸化防止剤はメタスルファイトナトリウム(sodium metasulfite)、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオグリセロール、チオソルビトール、チオグリコール酸、システイン塩酸塩、n−アセチル−システイン、クエン酸、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、可溶型のビタミンE、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、ヒスチジン、酵素、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、セレングルタチオンペルオキシダーゼ、リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ、コエンザイムQ10、トコトリエノール、カロテノイド、キノン、ビオフラボノイド、ポリフェノール、ビリルビン、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、尿酸、金属結合タンパク質、アスコルビン酸パルミテート、ローズマリー、ローズマリー抽出物から得られる又は得ることができる酸化防止剤、並びにそれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0038】
少なくとも1つの酸化防止剤は、特にα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、アスコルビン酸及びそれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される。
【0039】
存在する場合、酸化防止活性を有する作用物質の総量は、エマルションの総重量をベースとして、好ましくは0.01重量%〜0.05重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.04重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.03重量%、さらにより好ましくは0.015重量%〜0.025重量%の範囲である。
【0040】
等張化剤
エマルションは少なくとも1つの薬学的に許容可能な等張化剤を含み得る。
【0041】
等張化剤は等張性をもたらすために使用される。好適な等張化剤は塩化ナトリウム、マンニトール、ラクトース、デキストロース、ソルビトール及びグリセロールからなる群より選択することができる。
【0042】
好ましくは、等張化剤はグリセロールである。
【0043】
好ましくは、等張化剤の総量はエマルションの総重量をベースとして0.1重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜5重量%、より好ましくは1重量%〜4重量%、より好ましくは1重量%〜3重量%、より好ましくは1.5重量%〜2.8重量%、さらにより好ましくは2.0重量%〜2.8重量%の範囲である。
【0044】
等張化剤がグリセロールである場合、最も好ましい量はエマルションの総重量をベースとして2.0重量%〜2.5重量%である。
【0045】
好ましくは、エマルションは、USP<785>に従って蒸気圧浸透圧計モデル5520(Vapro(商標))を用いて測定される重量オスモル濃度を305mOsmol/kg〜420mOsmol/kgの範囲で有する。
【0046】
pH調整
エマルションのpHは、HCl及びNaOH等の従来既知の酸又は塩基の溶液を添加、又は、リン酸緩衝液等の緩衝液を使用することにより調整され得る。
【0047】
エマルションの最終pHは好ましくは6〜9、より好ましくは7.5〜8.5の範囲である。
【0048】
本開示によるエマルションのpHはNaOH溶液を用いて調整することが好ましい。
【0049】
補助界面活性剤
本開示によるエマルションは薬学的に許容可能な補助界面活性剤をさらに含み得る。
【0050】
補助界面活性剤は両親媒性分子、すなわち親水基及び親油基の両方を含有する分子である。通常は、補助界面活性剤は実質的に乳化剤とともに界面層に蓄積する。親水性親油性バランス(HLB)数は、界面活性剤又は補助界面活性剤中に存在する親水基及び親油基のそれぞれの比率の尺度として用いられる。通常は、非常に低いHLB値を有する(したがって、油に対して比較的高い親和性を有する)補助界面活性剤が、系の全HLBを修正するためにHLBの高い界面活性剤とともに使用される。乳化剤とは異なり、補助界面活性剤はミセルのような自己会合構造を自然に形成することが不可能であり得る。非イオン性乳化剤、アルコール、アミン及び酸を含む幾つかの種類の分子が、所与の系において補助界面活性剤として機能し得る。補助界面活性剤は通常は乳化剤よりも少ない量で使用される。補助界面活性剤は系の全HLB値を修正するだけでなく、界面張力をさらに低減し、界面の流動性を増大する効果を有する。補助界面活性剤は、乳化剤鎖の末端間を分断することによって界面膜の曲率を調整し、乳化剤末端間の油の浸透を高めることができる。
【0051】
好ましくは、補助界面活性剤は遊離不飽和脂肪酸又はその塩、好ましくはオメガ−9脂肪酸又はその塩、より好ましくは一価不飽和オメガ−9脂肪酸又はその塩、より好ましくはオレイン酸又はオレイン酸ナトリウムである。
【0052】
補助界面活性剤の総量は、エマルションの総重量をベースとして好ましくは0.01重量%〜1重量%の範囲、より好ましくは0.02重量%〜0.5重量%の範囲、より好ましくは0.02重量%〜0.20重量%の範囲である。
【0053】
補助溶剤
エマルションは薬学的に許容可能な補助溶剤をさらに含み得る。
【0054】
補助溶剤という用語は、エマルションの安定性を増大することができる分子を指す。補助溶剤は水の誘電率を低減することによって環境をより疎水性にすることに加えて、水相中の分子状に分散した乳化剤及び/又は補助界面活性剤の量を増大する。遊離界面活性剤は、水相内に疎水性領域のポケットを作り出すことによって疎水性分子を可溶化することに利用できる。
【0055】
補助溶剤はエタノール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択することができる。
【0056】
好ましくは、補助溶剤はポリアルキレングリコール又はアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、より好ましくはポリエチレングリコール(PEG)である。
【0057】
PEGは好ましくは100Da〜20000Daの範囲、より好ましくは200Da〜1000Daの範囲、より好ましくは300Da〜600Daの範囲、最も好ましくはおよそ400Daの平均分子量を有する。
【0058】
好ましくは、補助溶剤はPEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1000、PEG 1450、PEG 4000、PEG 6000、PEG 8000及びPEG 20000からなる群より選択される。最も好ましくは、補助溶剤はPEG 400である。
【0059】
好ましくは、補助溶剤の総量はエマルションの総重量をベースとして0.1重量%〜2.0重量%、より好ましくは0.25重量%〜1.75重量%、より好ましくは0.50重量%〜1.50重量%、より好ましくは0.70重量%〜1.40重量%、より好ましくは0.80重量%〜1.30重量%、さらにより好ましくは0.90重量%〜1.20重量%の範囲である。
【0060】
液滴サイズ
本開示のエマルションは水中油型エマルションであるため、連続相は水性であり、油滴を含む。これらの油滴は、少なくとも1つの乳化剤及び任意にさらなる添加剤によって水相内で安定化する。油滴のサイズはエマルションの定性的及び定量的組成、並びにその調製によって異なる。
【0061】
本明細書におけるエマルションの油滴は、USP<729>に従って、LS 13 320レーザー回析粒子サイズ分析機(ベックマン・コールター)を用いて減菌時に直接測定した場合に、130nm〜350nmの平均直径を有することが好ましい。
【0062】
エマルションの調製
本開示は非経口投与用のエマルションを調製する方法及び該方法によって得られる又は得ることができるエマルションにも関し、該エマルションはエマルションの総重量をベースとして0.5重量%〜2.2重量%のオキアミ油を含み、該方法は、
a)オキアミ油、及び、任意に1以上の脂質、及び/又は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な酸化防止剤、及び/又は薬学的に許容可能な補助界面活性剤を含む油相を準備することと、
b)注射用水、及び、任意の薬学的に許容可能な等張化剤、及び/又は、pH調整剤、及び/又は薬学的に許容可能な補助界面活性剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助溶剤を含む水相を準備することと、
c)工程a)において準備した油相と、工程b)において準備した水相とを混合することによってプレエマルションを形成することと、
d)工程c)において得られたプレエマルションを高圧均質化することによってエマルションを形成することと、
e)工程d)において得られたエマルションを滅菌することと、
を含む。
【0063】
エマルションの任意のさらなる構成成分のいずれかを工程a)、b)、c)若しくはd)、又は1つ若しくは複数の付加的な工程のいずれかにおいて添加してもよいことを理解されたい。
【0064】
工程a)
工程a)はオキアミ油と、魚油、魚油抽出物、オリーブ油、ダイズ油及びMCTからなる群より選択される1以上の油、並びに任意の少なくとも1つの酸化防止剤及び/又は補助界面活性剤とを混合することによって行うことが好ましい。本工程は好ましくは50℃〜65℃の温度で行われ、本工程中に温度を変化させても、又は均一かつ透明な相が得られるまで最大30分間にわたって本質的に一定に保ってもよい。
【0065】
工程a)においてさらなる添加剤を添加してもよいことを理解されたい。
【0066】
工程b)
工程b)は注射用水を準備し、任意の等張化剤及び/又は補助界面活性剤を添加することで行うことが好ましい。
【0067】
次いで、水相を好ましくは1分間〜1時間、より好ましくは5分間〜30分間、より好ましくは5分間〜15分間の時間にわたって55℃〜80℃の温度に加熱する。
【0068】
好ましくは、工程b)は好ましくはNaOH溶液を添加することによってpHを7〜10の値、好ましくは8〜9のpHに調整することをさらに含む。
【0069】
工程b)においてさらなる添加剤を添加してもよいことを理解されたい。
【0070】
工程c)
本方法は工程a)において準備した油相と、工程b)において準備した水相とを混合することにより、プレエマルションを形成することをさらに含む。混合は当業者に既知の任意の方法によって行うことができる。好ましくは、混合は高剪断ミキサーを用いて行う。
【0071】
50℃〜80℃の範囲の温度で油相を水相に添加するか、又は水相を油相に添加することが好ましい。
【0072】
好ましくは、0.20bar〜0.80bar、より好ましくは0.2bar〜0.4barの範囲の窒素圧下等の圧力で油相を水相に添加するか、又は水相を油相に添加する。本工程において、圧力は変化させても又は本質的に一定に保ってもよい。
【0073】
好ましい実施形態によると、混合物を1分間〜1時間、好ましくは10分間〜30分間の範囲の時間にわたって撹拌する。本工程において、温度は変化させても又は本質的に一定に保ってもよい。
【0074】
さらなる構成成分をプレエマルションの形成後に添加してもよいことを理解されたい。好ましい実施形態によると、プレエマルションのpHを、必要に応じて特に水酸化ナトリウムを添加することによって8〜10の範囲のpHに調整する。
【0075】
工程d)
本方法は工程c)において得られたプレエマルションの均質化をさらに含む。この均質化は当業者に既知の任意の適切な方法によって行うことができる。
【0076】
好ましくは、混合物を40℃〜70℃、好ましくは40℃〜60℃、より好ましくは50℃〜60℃の範囲の温度で均質化する。
【0077】
好ましくは、プレエマルションを400bar〜600bar、より好ましくは450bar〜550barの範囲の圧力で均質化する。本工程において、圧力は変化させても又は本質的に一定に保ってもよい。
【0078】
均質化は高圧ホモジナイザー又はマイクロフルイダイザーを用いて行うことが好ましい。
【0079】
工程e)
本方法は、非経口投与へのその適合性を確実にするための工程d)において得られたエマルションの減菌をさらに含む。
【0080】
減菌は当業者に既知の任意の適切な方法によって行うことができる。特に、減菌は好ましくは119℃〜122℃の範囲の温度、より好ましくはおよそ121℃の温度で、好ましくは1分間〜30分間、好ましくは10分間〜15分間の範囲の時間にわたってオートクレーブすることによって行う。
【0081】
エマルションのパッケージング
本開示によるエマルションは好適な容器内に含まれていてもよい。
【0082】
容器は本開示によるエマルションの成分に対して、好ましくは減菌時であっても実質的に不活性の任意の適切な材料で作製することができる。容器は任意の適切な形態、例えば、ボトル、バッグ又はシリンジの形態を有し得る。材料は、例えば、ガラス又はプラスチックを含み得る。プラスチック材料は1以上のポリマー、及び、任意のさらなる添加剤を含み得る。
【0083】
1つの実施形態では、容器はガラスボトル、好ましくは透明なガラスボトルである。
【0084】
別の実施形態では、容器はプラスチックバッグ、好ましくは透明なプラスチックバッグである。
【0085】
1つの実施形態では、プラスチック材料は3つの層を含む。内層とも称される第1の層は本開示によるエマルションと直接接触する。中間層とも称される第2の層及び外層とも称される第3の層はエマルションと直接接触しない。
【0086】
好ましくは、中間層は内層及び外層よりも厚く、必要な安定性がもたらされる。
【0087】
好ましくは、内層、中間層及び外層は全て熱可塑性エラストマー(TPE)を含み、好ましくは、TPE含量は中間層において最も高く、必要とされる柔軟性が保証される。
【0088】
内層は好ましくはTPEに加えてポリオレフィンコポリマーを含む。好ましくは、ポリオレフィンコポリマーはポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーを含む。
【0089】
好ましくは、TPEはスチレンブロックコポリマー、より好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)である。
【0090】
内層は好ましくは70重量%〜90重量%のポリオレフィンコポリマーと、10重量%〜30重量%のTPEとを含む。
【0091】
好ましくは、内層は10μm〜90μm、より好ましくは10μm〜70μm、さらにより好ましくは10μm〜50μm、最も好ましくは20μm〜40μmの厚さを有する。
【0092】
中間層はTPEに加えてポリオレフィンコポリマーを含むことが好ましい。好ましくは、ポリオレフィンコポリマーはポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーを含む。
【0093】
好ましくは、TPEはスチレンブロックコポリマー、より好ましくは2つのスチレンブロックコポリマー、最も好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)とスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)とを含む。
【0094】
中間層は好ましくは40重量%〜70重量%、より好ましくは50重量%〜60重量%のポリオレフィンコポリマーと、30重量%〜60重量%、より好ましくは40重量%〜50重量%のTPEとを含む。
【0095】
好ましくは、中間層は30μm〜200μm、より好ましくは50μm〜190μm、さらにより好ましくは70μm〜180μm、最も好ましくは100μm〜150μmの厚みを有する。
【0096】
外層は、TPEに加えて、好ましくはポリオレフィンを含む。好ましくはポリオレフィンはポリプロピレンを含む。
【0097】
好ましくは、TPEはスチレンブロックコポリマー、好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)である。
【0098】
外層は好ましくは70重量%〜95重量%、より好ましくは80重量%〜90重量%のポリオレフィンと、5重量%〜30重量%、より好ましくは10重量%〜20重量%のTPEとを含む。
【0099】
好ましくは、外層は5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜50μm、さらにより好ましくは15μm〜45μm、最も好ましくは20μm〜40μmの厚みを有する。
【0100】
容器は任意にオーバーパウチ内にさらに含まれていてもよい。オーバーパウチは異なる材料から構成される幾つかの層を含み得る。オーバーパウチは透明及び/又は酸素非透過性であることが好ましい。
【0102】
第1の態様では、本開示は水中油型エマルションであって、該エマルションの総重量をベースとして0.5重量%〜2.2重量%、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%のオキアミ油を含み、卵黄レシチンを含まない、エマルションに関する。
【0103】
第2の態様では、本開示はエマルションの総重量をベースとして2%〜30%の油相を含む、態様1によるエマルションに関する。
【0104】
第3の態様では、本開示は油相がダイズ油、オリーブ油、魚油、魚油抽出物、サフラワー油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ヤシ油、パーム核油、菜種油及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)からなる群より選択される1以上の油を含む、態様1又は2によるエマルションに関する。
【0105】
第4の態様では、本開示は油相がダイズ油を含む、上述の態様のいずれかによるエマルションに関する。
【0106】
第5の態様では、本開示は油相が魚油を含む、上述の態様のいずれかによるエマルションに関する。
【0107】
第6の態様では、本開示は油相が魚油抽出物を含む、上述の態様のいずれかによるエマルションに関する。
【0108】
第7の態様では、本開示は油相が魚油、MCT、ダイズ油及びオリーブ油を含む、上述の態様のいずれかによるエマルションに関する。
【0109】
本開示によるエマルションは少なくとも1つの薬学的に許容可能な酸化防止剤、例えばα−トコフェロール又はα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール及びδ−トコフェロールの混合物をさらに含み得る。
【0110】
好ましくは、本開示によるエマルションは薬学的に許容可能な等張化剤、好ましくはグリセロールを含む。
【0111】
好ましくは、本開示によるエマルションはpH調整剤、好ましくはNaOHを含む。
【0112】
本開示によるエマルションは補助界面活性剤、好ましくはオレイン酸又はオレイン酸ナトリウムをさらに含み得る。
【0113】
本開示によるエマルションは補助溶剤、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)をさらに含み得る。
【0114】
本開示によるエマルションの油滴は、好ましくは減菌時に直接測定した場合に150nm〜350nmの平均直径を有する。
【0115】
第8の態様では、本開示は50ml〜500ml、例えば、50ml、100ml、250ml又は500mlのエマルションを含む投与単位である、態様1〜7のいずれかによるエマルションに関する。
【0116】
第9の態様では、本開示は、本開示よるエマルションを製造する方法であって、
a)オキアミ油、及び、任意の上述の態様のいずれかによる群から選択される1以上の油、及び/又は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な酸化防止剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助界面活性剤を含む油相を準備することと、
b)注射用水、及び、任意に薬学的に許容可能な等張化剤、及び/又は、pH調整剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助界面活性剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助溶剤を含む水相を準備することと、
c)工程a)において準備した油相と、工程b)において準備した水相とを混合することによってプレエマルションを形成することと、
d)工程c)において得られたプレエマルションを高圧均質化することによってエマルションを形成することと、
e)工程d)において得られたエマルションを滅菌することと、
を含み、任意に該エマルションを減菌前又は減菌後のいずれかに好適な容器に充填する、方法に関する。
【0117】
第10の態様では、本開示は医学的状態の治療又は予防に使用される、態様1〜8のいずれかによる又は態様9の方法によって得られるエマルション又は投与単位に関する。
【0118】
第11の態様では、本開示は必須脂肪酸及び/又はEPA及びDHAの欠乏、及び/又は、栄養失調の治療又は予防に使用される、態様1〜8のいずれかによる又は態様9の方法によって得られるエマルション又は投与単位に関する。
【0119】
第12の態様では、本開示は脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌の治療又は予防に使用される態様1〜8のいずれかによる又は態様9の方法によって得られるエマルション又は投与単位に関する。
【0120】
第13の態様では、本開示は脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある個体における必須脂肪酸及び/又はEPA及びDHAの欠乏、及び/又は、栄養失調の治療又は予防に使用される、態様1〜8のいずれかによる又は態様9の方法によって得られるエマルション又は投与単位に関する。
【0121】
第14の態様では、本開示は個体に栄養を供給する、及び/又は、個体に必須脂肪酸及び/又はEPA及びDHAを補給するための態様1〜8のいずれかによる又は態様9の方法によって得られるエマルション又は投与単位の使用に関する。
【0122】
第15の態様では、本開示は個体に栄養を供給する、及び/又は、個体に必須脂肪酸及び/又はEPA及びDHAを補給するための態様1〜8のいずれかによる又は態様9の方法によって得られるエマルション又は投与単位の使用であって、該個体が脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある、使用に関する。
【0123】
第16の態様では、本開示は態様1〜7のいずれかによるエマルション又は態様8による投与単位を含む容器であって、容器材料がガラス又はプラスチックであり、好ましくは該容器がガラスボトル又はプラスチックバッグである、容器に関する。
【0124】
第17の態様では、本開示はプラスチック材料が3つの層を含む、態様16による容器に関する。
【0125】
好ましくは、内層はポリオレフィンコポリマーと熱可塑性エラストマーとを含む。
【0126】
好ましくは、内層は70重量%〜90重量%のポリオレフィンコポリマーと、10重量%〜30重量%の熱可塑性エラストマーとを含む。
【0127】
好ましくは、熱可塑性エラストマーはスチレンブロックコポリマー、好ましくはスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)を含む。
【0128】
好ましくは、ポリオレフィンコポリマーはポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーである。
【0129】
好ましくは、内層は10μm〜90μm、より好ましくは10μm〜70μm、さらにより好ましくは10μm〜50μm、最も好ましくは20μm〜40μmの厚みを有する。
【0130】
実施形態
1)非経口投与用の水中油型エマルションであって、該エマルションの総重量をベースとして0.5重量%〜2.2重量%、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%のオキアミ油を含み、卵黄レシチンを含まない、エマルション。
2)0.5重量%〜2.0重量%、好ましくは0.5重量%〜1.8重量%のオキアミ油を含み、該オキアミ油が50重量%超えるリン脂質を含む、実施形態1によるエマルション。
3)0.5重量%〜2.0重量%、好ましくは1.0重量%〜2.0重量%のオキアミ油を含み、該オキアミ油が最大で50重量%のリン脂質を含む、実施形態1によるエマルション。
4)エマルションの総重量をベースとして2重量%〜30重量%の油相を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
5)油相がダイズ油、オリーブ油、魚油、魚油抽出物、サフラワー油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ヤシ油、パーム核油、菜種油及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)からなる群より選択される1以上の油を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
6)油相が魚油を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
7)油相が魚油抽出物を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
8)油相がオリーブ油を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
9)油相がダイズ油を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
10)油相がMCTを含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
11)油相が魚油、ダイズ油、オリーブ油及び中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
12)薬学的に許容可能な等張化剤、好ましくはグリセロールをさらに含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
13)pH調整剤、好ましくはNaOHをさらに含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
14)少なくとも1つの薬学的に許容可能な酸化防止剤、好ましくはαトコフェロール、βトコフェロール、γトコフェロール及びδトコフェロールからなる群より選択される1以上の酸化防止剤をさらに含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
15)薬学的に許容可能な補助界面活性剤、好ましくはオレイン酸又はオレイン酸ナトリウムをさらに含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
16)薬学的に許容可能な補助溶剤、好ましくはPEGをさらに含む、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
17)水中油型エマルション中に含まれる油滴が130nm〜350nmの平均直径を有する、上記の実施形態のいずれかによるエマルション。
18)50ml〜500mlの実施形態1〜17のいずれかによるエマルションを含む投与単位。
19)50ml、100ml、250ml又は500mlの実施形態1〜17のいずれかによるエマルションを含む、実施形態18による投与単位。
20)必須脂肪酸の欠乏の治療又は予防に使用される、上記の実施形態のいずれかによるエマルション又は投与単位。
21)EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
22)必須脂肪酸、EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
23)栄養失調の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
24)栄養失調、並びに、EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
25)栄養失調、並びに、必須脂肪酸、EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
26)薬剤として使用される、特に脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
27)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者における必須脂肪酸の欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
28)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者におけるEPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
29)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者における必須脂肪酸、EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
30)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者における栄養失調の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
31)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者における栄養失調及び必須脂肪酸の欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
32)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者における栄養失調、並びに、EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
33)脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある患者における栄養失調、並びに、必須脂肪酸、EPA及びDHAの欠乏の治療又は予防に使用される、実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位。
34)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を治療又は予防する方法。
35)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む必須脂肪酸の欠乏を治療又は予防する方法。
36)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含むEPA及びDHAの欠乏を治療又は予防する方法。
37)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む必須脂肪酸、EPA及びDHAの欠乏を治療又は予防する方法。
38)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む栄養失調を治療又は予防する方法。
39)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む栄養失調及び必須脂肪酸の欠乏を治療又は予防する方法。
40)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む栄養失調、並びに、EPA及びDHAの欠乏を治療又は予防する方法。
41)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の非経口投与を含む栄養失調、並びに、必須脂肪酸、EPA及びDHAの欠乏を治療又は予防する方法。
42)エマルション又は投与単位を脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある個体に投与する、実施形態32〜39のいずれかによる方法。
43)個体に非経口栄養を施すための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
44)個体に必須脂肪酸を補給するための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
45)個体にEPA及びDHAを補給するための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
46)個体に必須脂肪酸、DHA及びEPAを補給するための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
47)個体に非経口栄養を施し、該個体にEPA及びDHAを補給するための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
48)個体に非経口栄養を施し、該個体に必須脂肪酸を補給するための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
49)個体に非経口栄養を施し、該個体に必須脂肪酸、EPA及びDHAを補給するための実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位の使用。
50)個体が脳卒中、敗血症、アルツハイマー病又は癌を患う又はそのリスクがある、実施形態43〜49のいずれかによる使用。
51)実施形態1〜17のいずれかによるエマルションを製造する方法であって、
a)オキアミ油、及び、任意の実施形態5〜11のいずれかによる群から選択される1以上の油、及び/又は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な酸化防止剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助界面活性剤を含む油相を準備することと、
b)注射用水、及び、任意の薬学的に許容可能な等張化剤及び/又はpH調整剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助界面活性剤、及び/又は、薬学的に許容可能な補助溶剤を含む水相を準備することと、
c)工程a)において準備した油相と、工程b)において準備した水相とを混合することによってプレエマルションを形成することと、
d)工程c)において得られたプレエマルションを高圧均質化することによってエマルションを形成することと、
e)工程d)において得られたエマルションを滅菌することと、
を含む、方法。
52)工程a)を、油相の構成成分を50℃〜65℃の温度で混合することによって行う、実施形態49による方法。
53)工程b)を、水相の構成成分を55℃〜80℃の温度で混合することによって行う、実施形態47又は48による方法。
54)実施形態1〜19のいずれかによるエマルション又は投与単位を含む容器であって、容器材料がガラス又はプラスチックを含む、容器。
55)ボトル、バッグ又はシリンジ、好ましくはガラスボトル又はプラスチックバッグである、実施形態54による容器。
56)プラスチック材料が3つの層を含み、好ましくは中間層が内層及び外層よりも厚く、及び/又は、全ての層が熱可塑性エラストマーを含み、及び/又は、熱可塑性エラストマーの含量が中間層において最も高い、実施形態54又は55による容器。
57)エマルションと直接接触する内層がポリオレフィンコポリマーと熱可塑性エラストマーとを含む、実施形態55による容器。
58)内層が70重量%〜90重量%のポリオレフィンコポリマーと10重量%〜30重量%の熱可塑性エラストマーとを含む、実施形態55〜57のいずれかによる容器。
59)熱可塑性エラストマーがスチレンブロックコポリマーを含む、実施形態57又は58による容器。
60)熱可塑性エラストマーがスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンを含む、実施形態57〜59のいずれかによる容器。
61)ポリオレフィンコポリマーがポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーである、実施形態57〜60のいずれかによる容器。
62)内層が10μm〜90μm、好ましくは10μm〜70μm、より好ましくは10μm〜50μm、最も好ましくは20μm〜40μmの厚さを有する、実施形態56〜61のいずれかによる容器。
63)エマルションと直接接触しない中間層が、ポリオレフィンコポリマーと少なくとも1つの熱可塑性エラストマーとを含む、実施形態56〜62のいずれかによる容器。
64)中間層が40重量%〜70重量%、好ましくは50重量%〜60重量%のポリオレフィンコポリマーと、30重量%〜60重量%、好ましくは40重量%〜50重量%の少なくとも1つの熱可塑性エラストマーとを含む、実施形態56〜63のいずれかによる容器。
65)ポリオレフィンコポリマーがポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーを含む、実施形態63又は64による容器。
66)少なくとも1つの熱可塑性エラストマーが少なくとも1つのスチレンブロックコポリマー、好ましくは2つのスチレンブロックコポリマーを含む、実施形態63〜65のいずれかによる容器。
67)少なくとも1つの熱可塑性エラストマーが、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンとスチレン−イソプレン−スチレンとを含む、実施形態63〜66のいずれかによる容器。
68)中間層が30μm〜200μm、好ましくは50μm〜190μm、より好ましくは70μm〜180μm、最も好ましくは100μm〜150μmの厚みを有する、実施形態56〜67のいずれかによる容器。
69)エマルションと直接接触しない外層が、ポリオレフィンコポリマーと熱可塑性エラストマーとを含む、実施形態56〜68のいずれかによる容器。
70)外層が70重量%〜95重量%、好ましくは80重量%〜90重量%のポリオレフィンコポリマーと、5重量%〜30重量%、好ましくは10重量%〜20重量%の熱可塑性エラストマーとを含む、実施形態56〜69のいずれかによる容器。
71)ポリオレフィンがポリプロピレンを含み、熱可塑性エラストマーがスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンを含む、実施形態69又は70による容器。
72)第3の層が5μm〜50μm、好ましくは10μm〜50μm、より好ましくは15μm〜45μm、最も好ましくは20μm〜40μmの厚みを有する、実施形態56〜71のいずれかによる容器。
73)容器がオーバーパウチ、好ましくは透明及び/又は酸素非透過性のオーバーパウチ内に含まれる、実施形態54〜72のいずれかによる容器。
【実施例】
【0131】
最適なオキアミ油濃度を決定するために以下の実験を行った。
【0132】
実施例1a及び1b
エマルションを表に挙げる成分から調製した。
【0133】
油相を魚油抽出物(Solutex S.L.から入手)、オキアミ油(Olympic Seafood(Bioriginal Europe/Asia B.V.)から入手)、トコフェロール及びオレイン酸を混合することによって調製した。混合物を55℃に加熱した。
【0134】
水相を水、グリセロール及びPEGを混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱し、pHを8.6〜9.0に調整した。
【0135】
プレエマルションを、高剪断ミキサー(Ultra Turrax T50)を用いた連続撹拌下で油相を水相に添加することによって形成した。
【0136】
エマルションを、プレエマルションを500bar及び50℃〜60℃の温度で6回、Niro Soavi社のTwinPanda 600ホモジナイザーに通すことによって形成した。
【0137】
最後に、エマルションを121℃で15分間オートクレーブした。
【0138】
【表1】
【0139】
実施例1aによるエマルションの油滴は、減菌時に直接測定した場合に156nmの平均直径を有していた。実施例1bによるエマルションの油滴は、USP<729>に従ってLS 13 320レーザー回析粒子サイズ分析機(ベックマン・コールター)を用いて減菌時に直接測定した場合に167nmの平均直径を有していた。
【0140】
両方のエマルションの安定性データを表2に示す。
【0141】
表2に提示される結果から、両方のエマルションが40℃での貯蔵時に少なくとも12週間安定していることが示される。
【0142】
このため、1.2%及び1.8%のオキアミ油がどちらも非経口投与用の安定したエマルションを得るのに好適であると結論付けることができる。
【0143】
【表2】
【0144】
実施例2a、2b及び2c
エマルションを表3に挙げる成分から調製した。
【0145】
油相をダイズ油、MCT、オリーブ油、魚油、オキアミ油(Olympic Seafood(Bioriginal Europe/Asia B.V.)から入手)及びα−トコフェロールを混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱した。
【0146】
水相を水、グリセロール及びオレイン酸ナトリウムを混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱し、pHを8.6〜9.0に調整した。
【0147】
プレエマルションを、高剪断ミキサー(Ultra Turrax T50)を用いた連続撹拌下で油相を水相に添加することによって形成した。
【0148】
エマルションを、プレエマルションを500bar及び50℃〜60℃の温度で6回、Niro Soavi社のTwinPanda 600ホモジナイザーに通すことによって形成した。
【0149】
最後に、エマルションを121℃で15分間オートクレーブした。
【0150】
【表3】
【0151】
USP<729>に従ってLS 13 320レーザー回析粒子サイズ分析機(ベックマン・コールター)を用いて減菌時に直接測定した場合に、実施例2aによるエマルションの油滴は340nmの平均直径を有し、実施例2bによるエマルションの油滴は223nmの平均直径を有し、実施例2cによるエマルションの油滴は205nmの平均直径を有していた。
【0152】
3つ全てのエマルションの安定性データを表4に示す。
【0153】
表4に提示される結果から、実施例2a及び2cによるエマルションが25℃及び40℃での貯蔵時に、それぞれ少なくとも4週間又は12週間安定していたことは明らかである。
【0154】
しかしながら、2.4%のオキアミ油を含有するエマルションは1週間の貯蔵後に既にPFAT
5値が過剰となることから、非経口投与に好適ではないようである。
【0155】
このため、最適なオキアミ油濃度は脂質濃度にかかわらず2.4%未満であると結論付けることができる。
【0156】
【表4】
【0157】
実施例3
エマルションを表5に挙げる成分から調製した。
【0158】
油相を精製魚油及びオキアミ油(Olympic Seafood(Bioriginal Europe/Asia B.V.)から入手)を混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱した。
【0159】
水相を水、グリセロール及びオレイン酸ナトリウムを混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱し、pHを8.6〜9.0に調整した。
【0160】
プレエマルションを、高剪断ミキサー(Ultra Turrax T50)を用いた連続撹拌下で油相を水相に添加することによって形成した。
【0161】
エマルションを、プレエマルションを500bar及び50℃〜60℃の温度で6回、Niro Soavi社のTwinPanda 600ホモジナイザーに通すことによって形成した。
【0162】
最後に、エマルションを121℃で15分間オートクレーブした。
【0163】
【表5】
【0164】
エマルションの油滴は、USP<729>に従ってLS 13 320レーザー回析粒子サイズ分析機(ベックマン・コールター)を用いて減菌時に直接測定した場合に164nmの平均直径を有していた。
【0165】
エマルションの安定性データを表6に示す。
【0166】
【表6】
【0167】
表6に提示される結果から、実施例3によるエマルションは25℃で12週間の貯蔵後にPFAT
5値が過剰となることから、非経口投与に好適でないようであることが示される。
【0168】
このため、最適なオキアミ油濃度は2.4%未満であると結論付けることができる。
【0169】
実施例4a及び4b
エマルションを表7に挙げる成分から調製した。
【0170】
【表7】
【0171】
油相を、ダイズ油又は魚油のいずれかとオキアミ油(Olympic Seafood(Bioriginal Europe/Asia B.V.)から入手)とを混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱した。
【0172】
水相を水及びグリセロールを混合することによって調製した。混合物を60℃に加熱し、pHを7.5〜9.0に調整した。
【0173】
プレエマルションを、高剪断ミキサー(Ultra Turrax T50)を用いた連続撹拌下で油相を水相に添加することによって形成した。
【0174】
エマルションを、プレエマルションを500bar及び50℃〜60℃の温度で6回、Niro Soavi社のTwinPanda 600ホモジナイザーに通すことによって形成した。
【0175】
最後に、エマルションを121℃で15分間オートクレーブした。
【0176】
USP<729>に従ってLS 13 320レーザー回析粒子サイズ分析機(ベックマン・コールター)を用いて減菌時に直接測定した場合に、実施例4aによるエマルションの油滴は193nmの平均直径を有し、実施例4bによるエマルションの油滴は161nmの平均直径を有していた。
【0177】
3つ全てのエマルションの安定性データを表8に示す。
【0178】
【表8】
【0179】
表8に提示される結果から、実施例4a及び4bによるエマルションが25℃での貯蔵時に少なくとも4週間安定していたことは明らかである。
【0180】
このため、1.8%濃度のオキアミ油が、補助界面活性剤及び補助溶剤の非存在下であっても非経口投与用の安定したエマルションを得るのに好適であると結論付けることができる。