(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体装置は、前記交流入力電圧が入力開始される起動時に、前記直流入力電圧を前記電界効果トランジスタを経由して前記半導体装置に電力を供給する起動回路を有する
請求項4、請求項5、または請求項9に記載のスイッチング電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来のスイッチング電源装置では、印加される入力電圧が正常な状態に回復した後のスイッチング動作の再開が非常に遅くなってしまう。
【0008】
図18は、特許文献1に開示されるような従来のスイッチング電源装置における、入力過電圧保護機能を備えたスイッチング電源装置の一構成を示す回路図である。また
図19は、特許文献1に開示されるような従来の入力過電圧保護機能を備えたスイッチング電源装置において、入力過電圧時の動作を示すタイミングチャートである。
【0009】
交流電源1から入力過電圧が印加されると、平滑コンデンサ3の入力直流電圧VINDCも上昇する。そして、入力直流電圧VINDCがあらかじめ設定された入力過電圧検出電圧Vth_OVを超えると入力過電圧が検出され、スイッチング動作が停止する。その後印加される入力電圧が正常な状態に回復した後に、平滑コンデンサ3の電圧VINDCがVth_OVに低下するまでに非常に長い時間が必要となる。これは平滑コンデンサ3に蓄積されている電荷が、スイッチング動作を停止しているスイッチング電源装置の微小な消費電流のみで放電されるためである。このため入力過電圧検出の解除が非常に遅くなり、この結果スイッチング動作の再開が非常に遅くなってしまう。
【0010】
本開示は、上記の課題を解決し、入力過電圧検出によるスイッチング動作停止後において、入力電圧が正常な状態に回復した後にスイッチング動作の再開を早くするための入力過電圧保護機能を備えたスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置は、交流入力電圧が入力される第1の整流回路と、前記第1の整流回路から出力される直流入力電圧を平滑する入力平滑回路と、前記直流入力電圧を電力変換して出力電圧を出力する電力変換回路と、前記直流入力電圧が第1の基準電圧値より高い電圧の時に活性化される入力過電圧検出信号を生成する入力過電圧検出回路と、前記入力平滑回路に蓄積されている蓄積電荷を放電する放電回路とを有し、前記電力変換回路は、前記直流入力電圧が入力されるエネルギー変換回路と、前記エネルギー変換回路に接続され、前記直流入力電圧をスイッチングするスイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチングを制御するスイッチング制御回路と、を含み、前記入力過電圧検出信号の活性化をトリガとして、前記スイッチング素子のスイッチングが停止され、かつ前記蓄積電荷の放電が開始され、その後前記入力過電圧検出信号が非活性化された時に放電を停止し前記スイッチング素子のスイッチングが再開されることを特徴とする。
【0012】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、入力過電圧保護によるスイッチング動作停止後に、印加される入力電圧が正常な状態に回復した後において、スイッチング動作を素早く再開することができる。
【0013】
また、更に、前記第1の整流回路と前記入力平滑回路の間に第2の整流回路と、前記第1の整流回路と前記第2の整流回路の接続点の電圧である脈流電圧が入力され、該脈流電圧の波高値が第2の基準電圧値より低い電圧の時に活性化される入力過電圧解除判定信号を生成する入力過電圧解除検出回路とを有し、前記入力過電圧検出信号が活性化され、かつ該入力過電圧解除判定信号が活性化された時に前記蓄積電荷の放電が開始されることを特徴としてもよい。
【0014】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、入力過電圧が印加されている期間の放電をなくすことができ、不要な消費電流や発熱を抑えることが可能となる。
【0015】
また、前記スイッチング素子、前記スイッチング制御回路、前記入力過電圧検出回路と前記放電回路が半導体装置として構成され、前記放電回路は前記スイッチング素子を含み、前記蓄積電荷は該スイッチング素子を経由して放電されることを特徴としてもよい。
【0016】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、半導体装置内に内蔵している通常のスイッチング動作を行うスイッチング素子を、蓄積電荷の放電にも利用することで、放電専用の高耐圧素子を削減することができる。
【0017】
また、前記スイッチング素子、前記スイッチング制御回路、前記入力過電圧検出回路と前記放電回路が半導体装置として構成され、前記放電回路は電界効果トランジスタを含み、前記蓄積電荷は飽和領域で動作する該電界効果トランジスタを経由して放電されることを特徴としてもよい。
【0018】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、蓄積電荷の放電を電界効果トランジスタの飽和領域で行うことで、放電電流を容易に制限することができる。
【0019】
また、前記半導体装置は、前記スイッチング素子に接続されたドレイン端子を有し、前記電界効果トランジスタは該ドレイン端子に接続されていることを特徴としてもよい。
【0020】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、通常のスイッチング動作を行う半導体装置の高耐圧のドレイン端子を経由して、蓄積電荷の放電を行うことにより、放電専用の高耐圧端子を削減することができる。
【0021】
また、前記半導体装置は、前記スイッチング素子に接続されたドレイン端子を有し、前記入力過電圧検出回路は該ドレイン端子に接続されていることを特徴としてもよい。
【0022】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、電圧検出と蓄積電荷の放電をドレイン端子から行うことで、端子数を減らすことができる。
【0023】
また、前記半導体装置は、前記直流入力電圧を検知する入力検出端子を有し、前記入力過電圧検出回路は該入力検出端子に接続されていることを特徴としてもよい。
【0024】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、入力検出端子を設けることで外付けの抵抗により検出電圧を容易に調整でき、また外付けの抵抗を用いることで半導体装置内部に低耐圧の素子を使用でき回路面積を削減することができる。
【0025】
また、前記スイッチング制御回路、前記入力過電圧検出回路と前記放電回路の一部が半導体装置として構成され、前記放電回路は前記スイッチング素子を含み、前記蓄積電荷は該スイッチング素子を経由して放電されることを特徴としてもよい。
【0026】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、スイッチング素子と、入力過電圧検出回路やスイッチング制御回路などを異なるパッケージで別の素子として構成するスイッチング電源装置においても、通常のスイッチング動作を行うスイッチング素子を蓄積電荷の放電にも利用することができ、放電専用の高耐圧素子を削減することができる。
【0027】
また、前記スイッチング制御回路、前記入力過電圧検出回路と前記放電回路が半導体装置として構成され、前記放電回路は電界効果トランジスタを含み、前記蓄積電荷は飽和領域で動作する該電界効果トランジスタを経由して放電されることを特徴としてもよい。
【0028】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、蓄積電荷の放電を電界効果トランジスタの飽和領域で行うことで、放電電流を容易に制限することができる。
【0029】
また、前記半導体装置は、前記スイッチング制御回路に電力を供給する高耐圧入力端子を有し、前記入力過電圧検出回路は該高耐圧入力端子に接続されていることを特徴としてもよい。
【0030】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、起動動作などに使用する高耐圧入力端子を利用して入力電圧の検出も行うことにより、入力電圧検出専用の高耐圧端子を削減することができる。
【0031】
また、前記半導体装置は、前記直流入力電圧を検知する入力検出端子を有し、前記入力過電圧検出回路は該入力検出端子に接続されていることを特徴としてもよい。
【0032】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、入力検出端子を設けることで外付けの抵抗により検出電圧を容易に調整でき、また外付けの抵抗を用いることで半導体装置内部に低耐圧の素子を使用でき回路面積を削減することができる。
【0033】
また、前記半導体装置は、前記スイッチング制御回路に電力を供給する補助電源端子を有し、前記補助電源端子に補助電源用容量が接続され、前記蓄積電荷の放電は該補助電源用容量に電荷を移動させることで成されることを特徴としてもよい。
【0034】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、入力平滑回路の蓄積電荷を補助電源用容量に移動させることで放電を行うことができ、放電専用の素子などを削減することができる。
【0035】
また、前記半導体装置は、前記交流入力電圧が入力開始される起動時に、前記直流入力電圧を前記電界効果トランジスタを経由して前記半導体装置に電力を供給する起動回路を有することを特徴としてもよい。
【0036】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、起動回路の電界効果トランジスタと蓄積電荷の放電を行う電界効果トランジスタを同一の素子で兼用して使用することで、放電専用の電界効果トランジスタを削減することができる。
【0037】
また、少なくとも前記スイッチング制御回路と前記放電回路の一部が半導体基板上に集積回路として形成されたスイッチング制御用の半導体装置であってもよい。
【0038】
本開示に係る半導体装置によれば、スイッチング電源装置の部品点数を大幅に削減することができ、小型化および軽量化さらには低コスト化を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように本開示によれば、入力過電圧検出によるスイッチング動作停止後において、入力電圧が正常な状態に回復した後のスイッチング動作の再開を早くするための入力過電圧保護機能を備えたスイッチング電源装置が実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本開示のスイッチング電源装置および半導体装置について図面を参照しながら説明する。但し、詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0042】
なお、添付図面および以下の説明は当業者が本開示を十分に理解するためのものであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0043】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係るスイッチング電源装置および半導体装置について、
図1〜
図5を参照しながら具体的に説明する。
【0044】
図1は、本実施の形態に係るスイッチング制御用半導体装置を備えたスイッチング電源装置の一構成を示す回路図である。
【0045】
図1において、交流電源1には交流電圧を整流するためのブリッジダイオード2が接続され、ブリッジダイオード2には、平滑コンデンサ3、入力電圧検出用の抵抗11および12、並びにエネルギー変換用のトランス4の一次巻線4aが接続されている。
【0046】
トランス4は一次巻線4a、二次巻線4b、および補助巻線4cを有し、一次巻線4aと二次巻線4bの極性は逆になっている。このスイッチング電源装置はフライバック型である。
【0047】
一次巻線4aには、ブリッジダイオード2、平滑コンデンサ3、抵抗11、VIN端子およびスイッチング素子9が接続されている。一次巻線4aに流れる電流は、スイッチング素子9のスイッチング動作によって制御している。
【0048】
二次巻線4bには整流ダイオード5と平滑コンデンサ6が接続されており、スイッチング動作によって二次巻線4bに発生するフライバック電圧が、整流平滑されて出力電圧Voutが生成される。
【0049】
スイッチング素子9には、パワーMOSFETなどの半導体素子が使用される。またスイッチング素子9はドレイン端子、ソース端子およびゲート端子を有し、ドレイン端子がトランス4の一次巻線4aに接続される。スイッチング素子9は半導体装置100のOUT端子からゲート端子(制御電極)に印加される電圧信号によりスイッチング動作が制御される。
【0050】
半導体装置100は、同一の半導体基板上に集積化された半導体装置であり、外部入出力端子として、VIN端子、VCC端子、FB端子、LS端子、OUT端子、IS端子、およびGND端子の7つの端子を有している。また、例えば、平滑コンデンサ102、過電圧検出回路110、駆動制御回路120、スイッチング制御回路140、電流検出回路150、起動回路160、フィードバック制御回路170、レギュレータ180、および放電回路190などから構成される。
【0051】
VIN端子は、平滑コンデンサ3とトランス4の一次巻線4aの接続点と、半導体装置100に内蔵された起動回路160を接続する高耐圧入力端子であり、ブリッジダイオード2と平滑コンデンサ3により整流平滑された入力直流電圧VINDCから、半導体装置100の起動時に電力供給するための端子である。
【0052】
VCC端子は、補助巻線4cに接続された整流ダイオード14と平滑コンデンサ15とで構成される整流平滑回路の出力と、半導体装置100に内蔵された起動回路160およびレギュレータ180を接続する補助電源端子であり、スイッチング素子9のスイッチング動作により補助巻線4cに発生するフライバック電圧が整流平滑された電圧を補助電源電圧VCCとして半導体装置100に電力供給するための端子である。
【0053】
FB端子は、出力状態検出回路7から出力されるフィードバック信号(例えば、フォトカプラによる電流など)を半導体装置100のフィードバック制御回路170に入力するための端子である。
【0054】
LS端子は、入力電圧検出用の抵抗11および12と、過電圧検出回路110を接続する入力検出端子であり、平滑コンデンサ3の両端に印加されている入力直流電圧VINDCの上昇を検出するための端子である。なお、LS端子は入力電圧の低下を検出する低入力検出機能を兼用してもよい。
【0055】
OUT端子は、半導体装置100に内蔵された駆動制御回路120から出力される駆動信号を、スイッチング素子9のゲート端子に入力するためのゲート信号出力端子である。
【0056】
IS端子は、スイッチング素子9および電流検出回路150と、抵抗13を接続する端子であり、スイッチング素子9を流れる電流を検出するための電流検出端子である。
【0057】
GND端子は、半導体装置100の電位基準であるGNDを平滑コンデンサ3の低電位側の端子に接続する接地端子である。
【0058】
過電圧検出回路110は、入力直流電圧VINDCを検出するため、入力電圧検出用の抵抗11および12と入力過電圧検出回路を構成し、抵抗11および12で抵抗分割された電圧が入力される。過電圧検出回路110は、入力された電圧を、あらかじめ設定された基準電圧と比較し、比較結果を示す入力過電圧検出信号VIN_OVをスイッチング制御回路140と放電回路190に出力する。
【0059】
図2は、本実施の形態に係る過電圧検出回路110の一構成を示す回路図である。過電圧検出回路110は、比較器111と基準電圧源112から構成され、LS端子電圧が基準電圧源112で設定されたしきい値電圧Vth_OVよりも高い場合、入力過電圧検出信号VIN_OVはハイレベルとなり活性化される。その後、LS端子電圧がVth_OVよりも低くなると、入力過電圧検出信号VIN_OVはローレベルとなり非活性化される。
【0060】
なお、誤検出防止や動作安定化のために、基準電圧源112はヒステリシス特性を有していてもよい。
【0061】
駆動制御回路120は、スイッチング制御回路140から出力される信号が入力され、この信号に基づいてスイッチング素子9を駆動するための駆動信号を出力する。
【0062】
図3は、本実施の形態に係る駆動制御回路120の一構成を示す回路図である。駆動制御回路120は、P型MOSFET121、N型MOSFET122、インバータ123、124、抵抗125および補助電源電圧VCCから構成され、スイッチング制御回路140から矩形信号が入力される。例えばスイッチング制御回路140からハイレベル信号が入力されると、P型MOSFET121にはインバータ123によりローレベルに反転された信号が入力されるためにP型MOSFET121は導通し、N型MOSFET122にはインバータ124によりローレベルに反転された信号が入力されるためにN型MOSFET122は非導通になる。これにより、VCC電圧のハイレベル信号がOUT端子に出力される。
【0063】
またスイッチング制御回路140からローレベル信号が入力されると、P型MOSFET121が非導通になり、N型MOSFET122が導通するため、GNDに接地されたローレベル信号がOUT端子に出力される。駆動制御回路120はこれらの出力信号を出力することで、スイッチング素子9のスイッチング動作を制御する。なお、抵抗125は不定状態防止のためのプルダウン抵抗であり、その抵抗値は電圧降下が無視できるほど十分に大きく設定する。
【0064】
スイッチング制御回路140は、スイッチング素子9のスイッチング動作を制御するための回路であり、過電圧検出回路110、電流検出回路150、フィードバック制御回路170から入力される信号などからスイッチング動作や、ターンオンタイミングやターンオフタイミングを決定する。なお、スイッチング制御回路140には、周期的なターンオンタイミングを発生させる発振器などのターンオン信号生成回路などが含まれる。
【0065】
電流検出回路150は、スイッチング素子9を流れる電流を検出するため、IS端子に接続された抵抗13に現れる電圧信号が入力され、入力された電圧信号をあらかじめ設定された基準電圧と比較し、比較結果に基づくスイッチング素子9のターンオフ信号をスイッチング制御回路140に出力する。なお、比較するための基準電圧は、スイッチング制御方式によってはフィードバック制御回路170からの出力信号に応じて変化してもよい。
【0066】
起動回路160は、放電回路190を含み、VIN端子、VCC端子およびレギュレータ180に接続されている。スイッチング電源装置の起動時には、入力直流電圧VINDCがVIN端子に印加されると、VIN端子から起動回路160とVCC端子を介して平滑コンデンサ15に、さらに起動回路160とレギュレータ180を介して平滑コンデンサ102に起動電流が流れる。平滑コンデンサ15および102が充電され、半導体装置100のVCC端子電圧および回路内部電圧VDD電圧が上昇し、半導体装置100のVCC端子電圧および回路内部電圧VDD電圧がそれぞれ起動電圧に達すると、起動回路160は起動電流をカットする。また、起動回路160は、スイッチング素子9のスイッチング動作可否を判断するためVCC端子電圧をモニターしており、図には示していないが、スイッチング制御回路140などに起動・停止信号を出力している。
【0067】
放電回路190は、平滑コンデンサ3の蓄積電荷を強制放電するため、起動回路160の一部として構成され、過電圧検出回路110と接続されて入力過電圧検出信号VIN_OVが入力される。放電回路190は、入力過電圧を検出している期間に平滑コンデンサ3の蓄積電荷の放電を行う。
【0068】
図4は、本実施の形態に係る起動回路160と放電回路190の一構成例を示す回路図である。起動回路160は、N型MOSFET162、ヒステリシス付比較器163、基準電圧源164および放電回路190から構成される。放電回路190は接合型電界効果トランジスタ(JFET)161、N型MOSFET191および抵抗192から構成される。また、
図4に示すように各素子が接続されている。なお、接合型電界効果トランジスタ(JFET)161は起動回路160と放電回路190の2つの回路で兼用された構成となっており、それぞれ半導体装置100の起動動作時と蓄積電荷の放電動作時に使用される。
【0069】
入力過電圧検出信号VIN_OVがN型MOSFET191に入力されると、N型MOSFET191は導通状態となり平滑コンデンサ3の蓄積電荷を、VIN端子、JFET161、N型MOSFET191および抵抗192の経路で強制放電する。なお、放電電流は抵抗192によって制限される。
【0070】
フィードバック制御回路170は、出力状態検出回路7から出力されるフィードバック信号がFB端子を介して入力され、出力電圧Voutを一定に安定させるようスイッチング素子9を流れる電流またはスイッチング周波数を設定し、制御信号をスイッチング制御回路140へ出力する。
【0071】
レギュレータ180は、VCC端子電圧を電圧変換することで半導体装置100の回路内部電圧VDDを生成し、回路内部電圧VDDを半導体装置100に電力供給する。
【0072】
以上までに説明した、エネルギー変換を行うトランス4、スイッチング動作を行うスイッチング素子9およびスイッチング素子の動作を制御する半導体装置100により、入力電力が所望の出力電力に電力変換される。
【0073】
また、出力状態検出回路7は、検出抵抗、ツェナーダイオード、シャントレギュレータなどで構成され、出力電圧Voutの電圧レベルを検出し、その出力電圧Voutが所定の電圧に安定するように、フォトカプラ8を介してフィードバック信号を半導体装置100に出力する。なお、出力電圧Voutの検出には、トランス4の補助巻線4cに発生するフライバック電圧を利用してもよく、整流ダイオード14および平滑コンデンサ15による整流平滑後のVCC電圧を利用してもよい。
【0074】
以上のように構成された
図1に示すスイッチング電源装置およびスイッチング制御用半導体装置の動作を説明する。
【0075】
商用電源などの交流電源1から交流電源電圧VINACが入力されると、ブリッジダイオード2と平滑コンデンサ3とにより交流電源電圧VINACが整流平滑されることで入力直流電圧VINDCが生成される。この入力直流電圧VINDCは、VIN端子から半導体装置100内の起動回路160に供給され、VCC端子に接続されているコンデンサ15に起動電流が流れる。VCC端子電圧が上昇し、VCC端子電圧が起動回路160で設定された起動電圧に達すると、スイッチング素子9のスイッチング制御が開始される。
【0076】
一旦、スイッチング素子9がターンオンすると、スイッチング素子9および抵抗13に電流が流れ、電流の大きさに応じた電圧信号が電流検出回路150に入力される。この電圧信号があらかじめ設定された基準電圧以上に上昇すると、スイッチング素子9はターンオフする。
【0077】
スイッチング素子9がターンオフすると、スイッチング素子9のオン時間中にトランス4の一次側に電流が流れることによって蓄えられたエネルギーが二次側に伝達される。
【0078】
以上のようなスイッチング動作が繰り返されて、出力電圧Voutが上昇していくが、出力電圧Voutが出力状態検出回路7で設定された所定の電圧以上になると、出力状態検出回路7およびフォトカプラ8は、フィードバック信号として半導体装置100のFB端子から電流を流出するよう制御する。この流出電流の大きさで、フィードバック制御回路170は、スイッチング素子9を流れる電流またはスイッチング周波数を調整する。
【0079】
具体的には、フィードバック制御回路170は、スイッチング電源装置に接続される負荷への電流供給が小さい軽負荷時には、スイッチング素子9を流れる電流またはスイッチング周波数を低く設定し、重負荷時には、スイッチング素子9を流れる電流またはスイッチング周波数を高く設定する。このように、半導体装置100は、スイッチング電源装置に接続される負荷に供給される電力に応じて、スイッチング素子9を流れる電流または周波数を変化させながら、出力電圧Voutを所定の電圧に安定させるように制御を行う。
【0080】
次に
図5に示すタイミングチャートを用いて、交流電源1から入力過電圧が入力された場合の本実施の形態1におけるスイッチング電源の動作を説明する。
【0081】
交流電源1から何らかの異常などにより想定電圧範囲を超える入力過電圧が印加されると、平滑コンデンサ3の端子間電圧である入力直流電圧VINDCが上昇する。このため、この入力直流電圧VINDCを抵抗分割により降圧した電圧であるLS端子電圧も同様に上昇し、このLS端子電圧が過電圧検出回路110に入力される。基準電圧源112と比較器111で構成された過電圧検出回路110は、LS端子電圧が基準電圧源112で設定されたしきい値電圧Vth_OVよりも高くなると、比較器111の出力である入力過電圧検出信号VIN_OVをハイレベルに反転して活性化し、この入力過電圧検出信号VIN_OVをスイッチング制御回路140と放電回路190のN型MOSFET191に出力する。スイッチング制御回路140は、この入力過電圧検出信号VIN_OVが入力されるとスイッチング素子9のスイッチング動作を停止させるように駆動制御回路120にローレベル信号を出力する。これらの結果、駆動制御回路120がスイッチング素子9のスイッチング動作を停止させることで入力過電圧保護が動作する。
【0082】
入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化すると、スイッチング動作を停止させると同時に放電回路190のN型MOSFET191が導通状態となり、平滑コンデンサ3の蓄積電荷の強制放電が開始される。
【0083】
その後交流電源1から印加される入力過電圧が正常な状態に回復すると、入力直流電圧VINDCは放電回路190の強制放電によって素早く低下する。同時に過電圧検出回路110に入力されるLS端子電圧も低下してしきい値電圧Vth_OVに到達する。LS端子電圧がしきい値電圧Vth_OVを下回ると、過電圧検出回路110は入力過電圧検出信号VIN_OVをローレベルに反転して非活性化し、この入力過電圧検出信号VIN_OVをスイッチング制御回路140と放電回路190のN型MOSFET191へ出力する。このためスイッチング制御回路140はフィードバック制御回路170と電流検出回路150に基づいた信号を駆動制御回路120に出力し、スイッチング動作を再開する。また放電回路190ではN型MOSFET191が非導通状態となり、平滑コンデンサ3の強制放電が停止する。
【0084】
以上より、本実施の形態1のスイッチング電源装置は、入力過電圧保護動作後において、印加される入力過電圧が正常な状態に回復すると、入力直流電圧VINDCを素早く低下させることができるため、過電圧検出状態を素早く解除することができ、スイッチング動作の再開を早くすることができる。これにより
図18に示したような従来のスイッチング電源装置のスイッチング動作再開が非常に遅いという課題を解決できる。
【0085】
なお、放電回路190の放電電流量は、固定値に制限してもよいし、変化させてもよい。例えば、放電回路190の放電電流量を半導体装置100の温度上昇に反比例して変化させてもよく、その場合は放電電流による半導体装置100の過度な発熱、及び発熱による破壊などを防ぐことが可能となる。また、放電回路190の放電電流量をLS端子に入力される電圧に比例して変化させてもよく、その場合は入力過電圧の値が大きいほど放電電流を大きくすることで、より早く入力直流電圧VINDCを低下させ、これによりスイッチング素子9のスイッチング動作再開を早くすることが可能となる。
【0086】
また、放電電流は、制御回路の外付けのコンデンサ、例えば平滑コンデンサ15に充電させることで放電させてもよい。この構成としては、放電回路190のN型MOSFET191および抵抗192は削除し、入力過電圧検出信号VIN_OVがハイレベルに活性化した場合にN型MOSFET162を強制的に導通状態にする構成を用いる。入力過電圧時では、入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化しN型MOSFET162は導通状態になるが、平滑コンデンサ3の入力直流電圧VINDCよりも、平滑コンデンサ15の電圧の方が低電圧であるために、平滑コンデンサ3の蓄積電荷は平滑コンデンサ15へ移動する。これらにより放電専用の素子であるN型MOSFET191および抵抗192を用いずに、平滑コンデンサ3の蓄積電荷を放電することが可能となる。
【0087】
また、フライバック型のスイッチング電源装置の構成について説明したが、降圧チョッパ型などトポロジーが異なる構成でもよい。
【0088】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2に係るスイッチング電源装置および半導体装置について、
図6〜
図8を参照しながら説明する。
【0089】
実施の形態1では、入力直流電圧VINDCの上昇を検出するため、半導体装置100に入力検出端子としてLS端子を設け、また平滑コンデンサ3の放電を接合型電界効果トランジスタ(JFET)161を介して放電専用素子であるN型MOSFET191と抵抗192で行っていたが、本実施の形態2では入力検出端子と放電専用素子を設けないスイッチング電源装置について説明する。なお実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0090】
図6は、本実施の形態2のスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。実施の形態1のスイッチング電源装置を示す
図1と比較して、半導体装置200の過電圧検出回路210がVIN端子に接続され、また入力過電圧検出信号VIN_OVがスイッチング制御回路140と駆動制御回路220に入力され、さらに放電回路190が削除されている点が異なる。なお、放電回路190の削除は、放電専用素子であるN型MOSFET191と抵抗192が削除されたことを示しており、半導体装置200の起動動作にも使用するJFET161は削除せず、起動回路260内に配置されたままである。
【0091】
また
図7は、本実施の形態2の過電圧検出回路210の一構成例を示す回路図である。実施の形態1の過電圧検出回路110を示す
図2と比較して、LS端子電圧の代わりにVIN端子電圧が入力されており、入力電圧検出用の抵抗211および212が比較器111に接続される。
【0092】
また
図8は、本実施の形態2の駆動制御回路220の一構成例を示す回路図である。実施の形態1の駆動制御回路120を示す
図3と比較して、VIN_OVの入力、OR回路221、N型MOSFET222、ツェナーダイオード223および回路内部電圧VDDが追加され、
図8のように接続されている。駆動制御回路220において、入力電圧が正常な状態の場合は、P型MOSFET121およびN型MOSFET122にはスイッチング制御回路140の信号の反転したレベルの信号が入力され、P型MOSFET121およびN型MOSFET122が相補的に動作することで、矩形電圧信号がOUT端子に出力される。これらにより、駆動制御回路220はスイッチング素子9のスイッチング動作を制御する。
【0093】
以上のように構成された本実施の形態2に係るスイッチング電源装置および半導体装置の動作について、実施の形態1と異なる入力過電圧検出と放電方法を中心に説明する。
【0094】
交流電源1から入力過電圧が印加されると、平滑コンデンサ3の端子間電圧である入力直流電圧VINDCが上昇し、この電圧がVIN端子電圧として過電圧検出回路210に入力される。入力されたVIN端子電圧は、抵抗211および212の抵抗分割により降圧され、降圧したVIN端子電圧が比較器111に入力される。降圧したVIN端子電圧が基準電圧源112と抵抗211および212で設定されたしきい値電圧Vth_OVよりも高くなると、比較器111の出力である入力過電圧検出信号VIN_OVがハイレベルに反転して活性化し、スイッチング制御回路140と駆動制御回路220に出力される。スイッチング制御回路140は入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化されるとローレベル信号を出力する。また駆動制御回路220では、入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化されると、スイッチング制御回路140からローレベル信号が入力されるため、P型MOSFET121およびN型MOSFET122は非導通状態となり、またN型MOSFET222は導通状態となる。OUT端子の電圧は、補助電源電圧VCCを出力していた場合では抵抗125により低下して、またはローレベル信号を出力していた場合ではN型MOSFET222が導通状態となるために上昇し、いずれの場合も最終的におよそ回路内部電圧VDDからツェナーダイオード223のツェナー電圧が差し引かれた電圧となり、OUT端子から出力される。これらにより入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化している期間では、スイッチング素子9はOUT端子から電圧信号が入力されて導通状態になり、平滑コンデンサの蓄積電荷がトランス4の一次巻線4a、スイッチング素子9および抵抗13の経路で強制放電される。スイッチング素子9が通常のスイッチング動作時の駆動電圧VCCよりも低い電圧で動作するため、スイッチング素子9に流れる放電電流は通常のスイッチング動作時よりも小さい電流に制限することができる。
【0095】
その後交流電源1から印加される入力過電圧が正常な状態に回復すると、入力直流電圧VINDCが低下し、VIN端子電圧が基準電圧源112と抵抗211および212で設定されたしきい値電圧Vth_OVを下回ると、過電圧検出回路210は入力過電圧検出信号VIN_OVをローレベルに反転して非活性化し、この入力過電圧検出信号VIN_OVをスイッチング制御回路140と駆動制御回路220へ出力する。これにより駆動制御回路220はN型MOSFET222を非導通状態とし、平滑コンデンサ3の強制放電を停止する。またスイッチング制御回路140はフィードバック制御回路170と電流検出回路150に基づいた信号を駆動制御回路220に出力し、通常のスイッチング動作を再開する。
【0096】
以上より、本実施の形態2に係るスイッチング電源装置は、入力過電圧の検出をVIN端子で行うことで入力検出端子を削減することができ、さらに通常のスイッチング動作で使用するスイッチング素子9を蓄積電荷の放電にも兼用して使用することで放電専用素子を削減することができる。このように、スイッチング電源装置を合理化することができる。
【0097】
なお、駆動制御回路220の入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化している期間のOUT端子への出力電圧信号は、固定値に制限してもよいし、変化させてもよい。例えば出力電圧信号をVIN端子に入力される電圧に比例して変化させてもよく、その場合は入力過電圧の値が大きいほど放電電流を大きくすることが可能となり、この結果より早く入力直流電圧VINDCを低下させることができる。これらによりスイッチング素子9のスイッチング動作再開を早くすることが可能となる。
【0098】
なお、放電はVIN端子を介してJFET161を使用して行ってもよく、この場合実施の形態1の
図3に記載の駆動制御回路120を用い、さらに放電回路190を追加することで、VIN端子、JFET161、N型MOSFET191、抵抗192の経路で放電を行うことができる。この結果、入力過電圧の検出をVIN端子で行うことで入力検出端子を削減することができ、スイッチング電源装置を合理化することができる。
【0099】
また、フライバック型のスイッチング電源装置の構成について説明したが、降圧チョッパ型などトポロジーが異なる構成でもよい。
【0100】
(実施の形態3)
次に、本実施の形態3に係るスイッチング電源装置および半導体装置について、
図9を参照しながら説明する。
【0101】
実施の形態1では、半導体装置100とスイッチング素子9が異なるパッケージで別の素子として構成されるスイッチング電源装置であったが、本実施の形態3ではこれらが同一のパッケージに1つの素子として形成された構成のスイッチング電源装置について説明する。なお実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0102】
図9は、本実施の形態3のスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。実施の形態1のスイッチング電源装置を示す
図1と比較して、スイッチング素子309が半導体装置300に内蔵され、VIN端子の代わりにDRAIN端子を設け、DRAIN端子がトランス4の一次巻線4a、スイッチング素子309のドレイン端子および起動回路160に接続されている点が異なる。ただし、半導体装置300において、スイッチング素子を除く部分と、スイッチング素子309は異なる半導体基板上に形成され、同一のパッケージに1つの半導体装置として構成している。
【0103】
以上のように構成された本実施の形態3に係るスイッチング電源装置および半導体装置の動作について、実施の形態1と異なるDRAIN端子周辺の動作を中心に説明する。
【0104】
まず通常時の動作について説明する。入力直流電圧VINDCはトランス4の一次巻線4aを介してDRAIN端子に入力される。このDRAIN端子から起動回路160を通して補助電源電圧VCCに電源供給されることで半導体装置300が起動し、スイッチング素子309のスイッチング制御が開始される。
【0105】
次に入力過電圧を検出した場合は、入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化され、駆動制御回路120によりスイッチング素子309はスイッチング動作を停止する。さらに同時に入力過電圧検出信号VIN_OVが放電回路190のN型MOSFET191にも入力されることでN型MOSFET191は導通状態となり、平滑コンデンサ3の蓄積電荷がトランス4の一次巻線4a、DRAIN端子、JFET161、N型MOSFET191および抵抗192の経路で強制放電される。
【0106】
次に入力電圧が低下し、入力過電圧検出信号VIN_OVが非活性化した場合では、スイッチング制御回路140はフィードバック制御回路170と電流検出回路150に基づいた信号を駆動制御回路120に出力し、通常のスイッチング動作を再開する。また放電回路190は、N型MOSFET191が非導通状態となり平滑コンデンサ3の強制放電を停止する。
【0107】
以上より、本実施の形態3に係るスイッチング電源装置は、スイッチング素子309が半導体装置300と同一のパッケージに内蔵された構造であっても、放電にDRAIN端子を経由してJFET161を用いることで放電専用の高耐圧端子を削減することができ、スイッチング電源装置を合理化することができる。
【0108】
なお、放電をDRAIN端子を経由してスイッチング素子309と抵抗13を用いて行ってもよく、その場合は、放電回路190を削減することができる。
【0109】
また、フライバック型のスイッチング電源装置の構成について説明したが、降圧チョッパ型などトポロジーが異なる構成でもよい。
【0110】
(実施の形態3の変形例)
実施の形態3のスイッチング電源装置の変形例について、
図10を参照しながら説明する。実施の形態3の変形例に係るスイッチング電源装置は、実施の形態3のスイッチング電源装置とほぼ同じであるが、実施の形態3と比較して、半導体装置300の内部の構成が異なる。
【0111】
実施の形態3では、スイッチング素子309は、半導体装置300のスイッチング素子309を除く部分とは異なる半導体基板に形成され、同一のパッケージに半導体装置300として構成された半導体装置であったが、
図10に示す本変形例のスイッチング電源装置は、これらが同一の半導体基板に形成され、同一のパッケージで構成されている。また半導体装置300のスイッチング素子309を除く部分のGNDはスイッチング素子309のソース端子に接続されている。また電流検出回路150は、スイッチング素子309のオン電圧を検出するために、抵抗13は削除している。
【0112】
半導体装置300内の各回路は同一のパッケージで構成されているため、蓄積電荷の放電も実施の形態3と同様にDRAIN端子を経由してJFET161を用いて行うことができる。
【0113】
以上より、本変形例は半導体装置300の構成が異なる場合でも、実施の形態3と同様に放電専用の高耐圧端子を削減することができ、スイッチング電源装置を合理化することができる。
【0114】
(実施の形態4)
次に、本実施の形態4に係るスイッチング電源装置および半導体装置について、
図11〜
図13を参照しながら説明する。
【0115】
実施の形態3では、入力直流電圧VINDCを検出するために、半導体装置300に入力検出端子としてLS端子を設けたスイッチング電源装置であったが、本実施の形態4では入力検出端子を設けないスイッチング電源装置について説明する。なお実施の形態3と重複する説明は省略する。
【0116】
図11は、本実施の形態4のスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。実施の形態3のスイッチング電源装置を示す
図9と比較して、半導体装置400の過電圧検出回路410がDRAIN端子に接続された点のみ異なる。また
図12は、本実施の形態4の過電圧検出回路410の一構成例を示す回路図である。実施の形態3の過電圧検出回路110を示す
図2と比較して、LS端子電圧の代わりにDRAIN端子電圧が入力されており、入力電圧検出用の抵抗411、412および基準電圧源414がヒステリシス付比較器413に接続される。過電圧検出回路410は、DRAIN端子電圧が基準電圧源414と抵抗411および412で設定された第1のしきい値電圧Vth_OV1よりも高くなると、ヒステリシス付比較器413の出力である入力過電圧検出信号VIN_OVをハイレベルに反転して活性化し、この入力過電圧検出信号VIN_OVをスイッチング制御回路140と放電回路のN型MOSFET191に出力する。その後DRAIN端子電圧が低下し、DRAIN端子電圧が第1のしきい値電圧Vth_OV1よりもヒステリシス付比較器413のヒステリシスの値分だけ低い第2のしきい値電圧Vth_OV2を下回ると、過電圧検出回路410は、入力過電圧検出信号VIN_OVをローレベルに反転して非活性化する。なお、ヒステリシスはトランス4の一次巻線4aに発生する過渡的なスパイク電圧を含む電圧を考慮して設定する。
【0117】
以上のように構成された本実施の形態4に係るスイッチング電源装置および半導体装置の動作について、実施の形態3と異なる入力過電圧検出の動作を中心に説明する。
【0118】
まず通常時のDRAIN端子電圧の挙動について説明する。スイッチング素子309がスイッチング動作をしている期間では、DRAIN端子電圧の最大値はスイッチング素子309のターンオフ直後に発生し、その電圧はトランス4の一次巻線4aに発生する過渡的なスパイク電圧を含む電圧と、入力直流電圧VINDCの和で表される。またスイッチング素子309がスイッチング動作を停止している期間では、DRAIN端子電圧は、トランス4の一次巻線4aには電圧が発生しないため、入力直流電圧VINDCとなる。よって入力直流電圧VINDCが同じ場合においても、スイッチング素子309がスイッチング動作をしている場合の方が、スイッチング動作を停止している場合よりDRAIN端子電圧は高くなる。
【0119】
次に、
図13に示すタイミングチャートを用いて、交流電源1から入力過電圧が印加された場合の本実施の形態4におけるスイッチング電源の動作を説明する。なおドレイン端子電圧の波形についての当業者の理解を容易にするために、
図13の横軸である時間レンジは、
図5で示す時間レンジよりも拡大している。
【0120】
交流電源1から入力過電圧が印加されると、入力直流電圧VINDCが上昇し、これに応じてDRAIN端子電圧も上昇する。過電圧検出回路410に入力されるDRAIN端子電圧は、抵抗411および412の抵抗分割により降圧され、降圧されたDRAIN端子電圧がヒステリシス付比較器413に入力される。DRAIN端子電圧が基準電圧源414と抵抗411および412で設定された第1のしきい値電圧Vth_OV1よりも高くなると、入力過電圧検出信号VIN_OVがハイレベルに反転して活性化され、これによりスイッチング素子309はスイッチング動作を停止し、同時に放電回路190のN型MOSFET191が導通状態となり、平滑コンデンサ3の蓄積電荷の強制放電が開始される。入力過電圧検出によりスイッチング動作が停止すると、DRAIN端子電圧は入力直流電圧VINDCと等しくなる。その後交流電源1から印加される入力過電圧が正常な状態に回復すると、入力直流電圧VINDCが低下し、入力直流電圧VINDCが第2のしきい値電圧Vth_OV2を下回ると入力過電圧検出信号VIN_OVがローレベルに反転して非活性化する。
【0121】
以上より、本実施の形態4に係るスイッチング電源装置は、入力電圧検出と強制放電を既存のDRAIN端子のみで行うことで、入力検出専用端子と放電専用端子の両方を削除でき、スイッチング電源装置を合理化することができる。
【0122】
なお、放電をスイッチング素子309と抵抗13を用いて行ってもよく、その場合は、放電回路190を削減することができる。
【0123】
また、フライバック型のスイッチング電源装置の構成について説明したが、降圧チョッパ型などトポロジーが異なる構成でもよい。
【0124】
(実施の形態5)
次に、本実施の形態5に係るスイッチング電源装置および半導体装置について、
図14〜
図17を参照しながら説明する。
【0125】
実施の形態3では、入力過電圧を検出すると同時に平滑コンデンサ3の放電を開始していたが、本実施の形態5では交流の入力過電圧が解除されたことを検出して放電を開始するスイッチング電源装置について説明する。なお実施の形態3と重複する説明は省略する。
【0126】
図14は、本実施の形態5のスイッチング電源装置の一構成例を示す回路図である。実施の形態3のスイッチング電源装置を示す
図9と比較して、抵抗501、502、整流ダイオード503、過電圧解除検出回路530およびLS2端子が追加され、さらに放電回路590が異なる。抵抗501はブリッジダイオード2の出力部に接続されており、抵抗501および502には交流電源1の交流電圧をブリッジダイオード2により全波整流した脈流電圧が印加され、抵抗501および502より降圧された脈流電圧が半導体装置500のLS2端子に入力される。また抵抗11および12には、平滑コンデンサ3により平滑された入力直流電圧VINDCが印加され、抵抗11および12により降圧された直流電圧が半導体装置500のLS端子に入力される。
【0127】
図15は、本実施の形態5の過電圧解除検出回路530の一構成例を示す回路図である。過電圧解除検出回路530は、比較器511、基準電圧源512および過電圧解除検出遅延回路520で構成されている。過電圧解除検出遅延回路520は、インバータ513、518、519、定電流源516、P型MOSFET514、N型MOSFET515およびコンデンサ517から構成される。
図16は、本実施の形態5の放電回路590の一構成例を示す回路図である。実施の形態1の放電回路190を示す
図4と比較して、インバータ593とAND回路594が追加され、入力過電圧検出信号VIN_OVおよびVIN_OV2が入力され、
図16に示すように接続されている。この構成では、入力過電圧検出信号VIN_OVのみがハイレベルのときにN型MOSFET191が導通状態となる。
【0128】
以上のように構成された本実施の形態5に係るスイッチング電源装置および半導体装置の動作について、実施の形態3と異なる放電開始のタイミングを中心に説明する。
【0129】
交流電源1の交流電源電圧VINACの波高値を検出するため、半導体装置500のLS2端子には全波整流の脈流電圧が入力され、この脈流電圧が基準電圧源512と抵抗501および502で設定されたしきい値電圧Vth_OV2よりも高い期間では入力過電圧検出信号VIN_OV2が活性化され、この入力過電圧検出信号VIN_OV2が過電圧解除検出回路530からスイッチング制御回路140と放電回路590に出力される。LS2端子には全波整流の脈流電圧が入力されるが、脈流電圧の波高値がVIN_OV2より高い期間ではまだ入力される交流電源電圧VINACが過電圧状態であるためにVIN_OV2を活性化状態で維持する必要がある。そこで交流電源電圧VINACの過電圧状態を判定するために、過電圧解除検出遅延時間Td(LS)を用いる。比較器511の出力信号は、入力過電圧状態であっても交流電源1の半周期(例えば50Hzの交流電源であれば10ms)以内で非活性化してしまう。ここで定電流源516の定電流とコンデンサ517で設定される過電圧解除検出遅延時間Td(LS)が交流電源1の半周期以上に設定されていれば、入力過電圧検出信号VIN_OV2は活性状態で維持される。
【0130】
一方、入力過電圧状態から回復して交流電源電圧VINACが低下すると、比較器511の出力信号のハイレベルの期間が過電圧解除検出遅延時間Td(LS)よりも長くなり、入力過電圧検出信号VIN_OV2はローレベルに反転し非活性化され、これにより交流電源電圧VINACの過電圧状態が解除されたことを判定できる。この入力過電圧検出信号VIN_OV2は、過電圧解除検出回路530から放電回路590に出力される。よって、過電圧解除検出遅延回路520を設けることで誤検出なく交流電源1の交流電源電圧VINACが正常な電圧状態に回復し過電圧状態が解除したことを検出でき、検知結果を放電回路590に出力することができる。
【0131】
また、過電圧検出回路110は、抵抗11、12およびLS端子を介して入力直流電圧VINDCを検出する。入力直流電圧VINDCがしきい値電圧Vth_OVよりも高い期間は入力過電圧検出信号VIN_OVが活性化され、この入力過電圧検出信号VIN_OVがスイッチング制御回路140と放電回路590に出力される。また入力直流電圧VINDCが低下し、入力直流電圧VINDCがしきい値電圧Vth_OVよりも低くなると入力過電圧検出信号VIN_OVが非活性化され、この入力過電圧検出信号VIN_OVがスイッチング制御回路140と放電回路590に出力される。
【0132】
次に、
図17に示すタイミングチャートを用いて、交流電源1から入力過電圧が入力された場合の本実施の形態5におけるスイッチング電源の動作を説明する。
【0133】
交流電源1から入力過電圧が印加されると、交流電源電圧VINACと平滑コンデンサ3の端子間電圧である入力直流電圧VINDCが同時に上昇する。このため、LS端子電圧とLS2端子電圧も上昇し、それぞれ過電圧検出回路110と過電圧解除検出回路530に入力される。過電圧検出回路110は、LS端子電圧がしきい値電圧Vth_OVよりも高くなると、入力過電圧検出信号VIN_OVをハイレベルに反転して活性化し、この入力過電圧検出信号VIN_OVをスイッチング制御回路140と放電回路590のAND回路594に出力する。過電圧解除検出回路530は、LS2端子電圧がしきい値電圧Vth_OV2よりも高くなると、入力過電圧検出信号VIN_OV2をハイレベルに反転して活性化し、この入力過電圧検出信号VIN_OV2をスイッチング制御回路140とAND回路594に出力する。スイッチング制御回路140は、この入力過電圧検出信号VIN_OVまたはVIN_OV2のいずれかが入力されている期間はスイッチング素子309のスイッチング動作を停止させるように駆動制御回路120にローレベル信号を出力する。これらの結果、駆動制御回路120がスイッチング素子309のスイッチング動作を停止させることで入力過電圧保護が動作する。
【0134】
その後交流電源1から印加される入力過電圧が正常な状態に回復すると、LS2端子電圧は直ちに低下する。このため過電圧解除検出回路530は入力過電圧検出信号VIN_OV2をローレベルに反転し非活性化する。これにより交流電源電圧VINACの過電圧状態が解除されたことが検出され、放電回路590は入力過電圧検出信号VIN_OVのみがハイレベルに活性化されているためにN型MOSFET191を導通状態にして平滑コンデンサ3の強制放電を開始する。この放電の結果LS端子電圧が低下し、LS端子電圧がしきい値電圧Vth_OVを下回ると過電圧検出回路110は入力過電圧検出信号VIN_OVをローレベルに反転し非活性化する。このため放電回路590は、N型MOSFET191が非導通状態となり平滑コンデンサ3の強制放電を停止する。またスイッチング制御回路140は、過電圧検出信号VIN_OVおよびVIN_OV2が非活性であることを検出すると、フィードバック制御回路170と電流検出回路150に基づいた信号を駆動制御回路120に出力し、スイッチング動作を再開する。
【0135】
以上より、本実施の形態5に係るスイッチング電源装置は、交流電源電圧VINACが正常な状態に回復し、かつ平滑コンデンサ3の端子間電圧が過電圧状態の期間のみ強制放電を行うことができ、交流電源電圧VINACが過電圧状態の期間の放電による不要な消費電流や発熱を抑えることができる。
【0136】
なお、波高値の検出として、ピークホールド方式により直接波高値を検出してもよい。
【0137】
また、放電にDRAIN端子を経由してJFET161を用いる構成について説明したが、DRAIN端子を経由してスイッチング素子309と抵抗13を用いて放電を行ってもよく、またはLS端子から放電を行ってもよく、またはLS端子をトランス4の一次巻線4aとDRAIN端子間に接続して放電を行ってもよい。
【0138】
また、LS端子を抵抗11および12を介して平滑コンデンサ3の陽極側に接続した構成について説明したが、LS端子をトランス4の一次巻線4aとDRAIN端子間に接続して電圧検出を行ってもよい。
【0139】
また、スイッチング素子309が半導体装置500と異なる半導体基板に形成された構成について説明したが、これらが同一の半導体基板に形成された構成でもよく、またスイッチング素子309と半導体装置500は別の素子として異なるパッケージで構成されてもよい。
【0140】
また、フライバック型のスイッチング電源装置の構成について説明したが、降圧チョッパ型などトポロジーが異なる構成でもよい。
【0141】
以上、一つまたは複数の態様に係るスイッチング電源装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。