特許第6814239号(P6814239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814239
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】通気層
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20201228BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20201228BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20201228BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20201228BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20201228BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20201228BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20201228BHJP
   A61F 9/04 20060101ALI20201228BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20201228BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20201228BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20201228BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20201228BHJP
   A61F 13/14 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   A61K33/00
   C01B3/04 R
   A62B18/02 C
   A61K8/19
   A61P17/00
   A61Q19/00
   A61K9/70 401
   A61K9/70
   A61F9/04 300
   A61F13/15 140
   A61F13/00 301Z
   A41D13/11 Z
   A41C3/00 Z
   A61F13/14 A
   A61F13/14 G
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-39635(P2019-39635)
(22)【出願日】2019年3月5日
(65)【公開番号】特開2020-143005(P2020-143005A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】520409408
【氏名又は名称】詠達生醫材料股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ツァ ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】王▲ティン▼▲ファ▼
(72)【発明者】
【氏名】ツァ フランク
(72)【発明者】
【氏名】ツァ ナンシー
(72)【発明者】
【氏名】ツァ エミリー
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−084233(JP,A)
【文献】 特開2017−209209(JP,A)
【文献】 特開2018−099645(JP,A)
【文献】 特開2018−130712(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/037818(WO,A1)
【文献】 特開2014−019635(JP,A)
【文献】 特開2016−137010(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/137242(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3218013(JP,U)
【文献】 特開2018−104395(JP,A)
【文献】 Luminescence,2007年,Vol.22,p.575-580
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00
A41D 13/11
A41C 3/00
A61F 9/04
A61F 13/00
A61F 13/14
A61F 13/15
A61K 8/19
A61K 9/70
A61P 17/00
A61Q 19/00
A62B 18/02
C01B 3/04
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄層であって、外側は通気せず、内側は通気し、内側の表面に複数の小さい孔があり、単層または多層である薄層と、
前記薄層の中に含まれ、漏れることなく空気中の水分または液体の水を吸収して水素を生成する水素生成組成物と、
を含み、
前記水素は、前記複数の小さい孔を通過して、皮膚および人体内部に排出されて供給され、
前記水素生成組成物は、金属過酸化物または金属水酸化物、および、アルミニウム粉末を含み、
前記水素生成組成物の重量割合は、金属過酸化物または金属水酸化物:アルミニウム粉末=1:100−100:1、好ましくは1:10−10:1であり、
前記水素生成組成物は、pHが4−9の間になるように固体酸が添加され、
前記固体酸は、固体クエン酸、固体乳酸、固体シュウ酸、固体塩酸、固体フィチン酸および固体ケイ酸からなる群より選択される、
通気層。
【請求項2】
前記薄層の内側の材質は、シリカゲル、不織布、またはプラスチック通気膜である、
請求項1に記載の通気層。
【請求項3】
前記薄層の外側の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンプラスチック薄膜、またはアルミニウム膜である、
請求項1に記載の通気層。
【請求項4】
前記水素生成組成物は、粉末状、またはペレット状である、
請求項1に記載の通気層。
【請求項5】
前記金属過酸化物は、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、および過酸化カリウムからなる群より選択される、
請求項1に記載の通気層。
【請求項6】
前記金属水酸化物は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムからなる群より選択される、
請求項1に記載の通気層。
【請求項7】
前記水素生成組成物は、さらに、高吸水性ポリマー、または触媒を含む、
請求項1に記載の通気層。
【請求項8】
前記薄層は、さらに、酸素及び活性酸素生成単位を含む、
請求項1に記載の通気層。
【請求項9】
前記通気層は、生活衛生材料中に使用でき、
前記生活衛生材料は、アイマスク、口マスク、顔マスク、パック、ブラジャー、ニプレス、胸部パッド、ナプキン、紙おむつ、サニタリーパッド、創傷被覆材、絆創膏、ガーゼ、および痔疾用パッドを含む、
請求項1に記載の通気層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素生成組成物を含む通気層を提供する。本発明は、水素が刺激性を有さないこと、優れた拡散力を有すること、および反応が有害な副産物を生成しないことなどの利点から、皮膚や人体内部に水素を供給することで、保健、疾患改善の用途を達成する、生活保健領域に属する。
【背景技術】
【0002】
水素(H)は無色無味のガスであり、1975年の研究報道によると、水素は、酸化防止ガスとしてガンを治療することができる。2007年に日本の学者が水素で有毒なラジカルを中和し、脳虚血を治療して損傷を灌流した。その後の大量の研究では、水素は多くの病気や損傷に治療効果があると確認されている。水素は、生物酸化防止物質として、選択的にラジカルを中和でき、酸化防止、炎症防止およびアポトーシス抑制などの効果があり、体内に生理作用を持つ活性酸素に影響することはない。例えば、スーパーオキシドアニオン和過酸化水素などは、水素が安全に人体に使用できることを説明する。水素のもう一つの利点は、強い拡散力を持つこと、細胞膜と各生物バリアが水素の拡散浸透に影響せず、身体のどの部位にも届くことから、卒中、糖尿病、動脈硬化症、パーキンソン病などのよくある急性と慢性の疾患に治療作用があると考えられる。
【0003】
水素の使用としては、水素を吸入すること、水素水を飲むこと、または水素塩水を注射することなどの方法がある。水素を吸入することは、卒中、心筋梗塞などの神経、心血管疾患に改善作用がある。水素水を飲むことは、糖尿病と代謝病に治療効果があると報道されている。一方、動物モデルでは、水素水を飲むことは、アレルギー性疾患を改善できると証明されている。例えば、アトピー性湿疹、および、網膜症の眼球に直接注射することで眼底疾患を治療できる。日本の鹿児島大学とインドネシアのSam Ratulangi大学が協力して、高濃度の水素水を採用し、抗がん剤5−フルオロウラシルと合わせて使用し、細胞学と動物モデルの2パータンを利用した結果、水素が腫瘍のアポトーシスを促進するだけでなく、明らかに5−フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増やすことができ、腫瘍を患う動物の寿命を延ばすことが証明されている。
【0004】
現在のよくある水素供給方法は、水素水や高圧水素タンクを含む。水素水は、水素を水の中で融合させる。最初の水素製造機は、体積が大きく、電力も必要であり、さらに製作した水素水は保存しづらく、高純度な水素を補充する場合には、通常高圧水素タンクを使用した。体積、重量がもたらした携帯の不便さの問題以外に、高圧気体タンクが潜在的な安全リスクを持つため、使用上に懸念があった。水素製造機と高圧水素タンクが携帯しづらいため、広めるのが容易ではなく、水素の実際の応用に制限がかかった。故に、いつでもどこでも、使用しやすい水素をどのように供給するのかが本発明の解決する課題である。
【0005】
市場には、皮膚に触れる様々な生活衛生材料(口マスク、顔マスク、パックなど)がある。皮膚に直接接触するため、よく履き心地と便利さが宣伝される。しかし、近年、当業者も他の合併および達成できる効果について、改良と突破を求めている。例えば、内部材料の反応によって、人体に酸素などの有益なガスを供給することである。しかし、ガスの供給は、材料間の内部化学作用によるものであるため、保健効果を向上させるためには、常にさらに多くの材料を含み、また、同時にさらに多くの種類の材料の組み合わせを含むことが必要であり、材料漏れまたは不安全な副産物のリスクが発生する。
【0006】
したがって、生活衛生材料中に水素を供給できる通気層を提供することが、本発明が解決しようとする重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の課題を解決するために、本願の発明人は、薄層及び水素生成組成物を含む、水素を供給する通気層を提供する。当該薄層の外側は通気せず、内側は通気し、内側の表面には複数の小さい孔がある。当該薄層は、単層または多層である。そして、水素生成組成物は、当該薄層中に含まれ、漏れることなく空気中の水分または液体の水を吸収して水素を生成する。当該水素は、当該複数の小さい孔を通過して皮膚および人体内部に排出される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の目的を達成するために、当該薄層の内側の材質は、シリカゲル、不織布、またはプラスチック通気膜であってもよい。
【0009】
本願発明の目的を達成するために、当該薄層の外側の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンプラスチック薄膜、アルミニウム膜、または複合膜であってもよい。
【0010】
本願発明の目的を達成するために、当該水素生成組成物は、粉末状、またはペレット状であってもよい。
【0011】
本願発明の目的を達成するために、当該水素生成組成物は、金属過酸化物、金属水酸化物または金属水素化物、および、アルミニウム粉末またはケイ素粉末を含む。
【0012】
本願発明の目的を達成するために、当該水素生成組成物の重量割合は、金属過酸化物または金属水酸化物:アルミニウム粉末=1:100−100:1、好ましくは1:10−10:1であってもよい。
【0013】
本願発明の目的を達成するために、当該金属過酸化物は、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、および過酸化カリウムからなる群より選択される。当該金属水酸化物は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムからなる群より選択される。当該金属水素化物は、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、および水素化ケイ素からなる群より選択される。
【0014】
本願発明の目的を達成するために、当該水素生成組成物に固体酸が添加される。当該固体酸は、固体クエン酸、固体乳酸、固体シュウ酸、固体塩酸、固体フィチン酸および固体ケイ酸からなる群より選択される。
【0015】
本願発明の目的を達成するために、当該水素生成組成物は、さらに、高吸水性ポリマー、活性劑または触媒を含むことができる。
【0016】
本願発明の目的を達成するために、当該薄層は、さらに、酸素および活性酸素生成単位を含むことができる。
【0017】
本願発明の目的を達成するために、当該通気層は、生活衛生材料中に使用できる。当該生活衛生材料は、アイマスク、口マスク、顔マスク、パック、ブラジャー、ニプレス、胸部パッド、ナプキン、紙おむつ、サニタリーパッド、創傷被覆材、絆創膏、ガーゼ、痔疾用パッドを含む。
【0018】
本発明は、水素生成組成物を含む通気層に関し、短時間で、大量の水素を生成して、人体の皮膚、鼻孔、口腔、目、または他の触れる人体部位に供給できる。本発明の有利な効果は以下の通りである。
(1) 安全かつ、便利に使用できる。
タンクパイプラインやプラグインは必要ない。携帯しやすく、組成物は無害で、体に触れた状態で使用できる。
(2) 有害な副産物を生成しない
(3) 皮膚に近いため、吸収されやすい。
(4) 水素の幅広い身体保健用途を提供する。
−優れた拡散力を有し、届く部位に制限がない。
−無毒で、人体に優しい安全な還元剤である。
−優れた酸化防止、抗炎症効果を有する。
−常在菌を改善する。
【0019】
通気層の最も好ましい保健効果を得るために、本発明は、さらに、必要かつ最適な水素生成組成物の割合と投薬量を示し、通気層が生活衛生材料中に用いられること、及び本発明の応用を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】水素を供給する通気層の模式図である。
図2】当該通気層の分解図である。
図3】当該通気層の断面図である。
図4】アイマスクに応用する当該通気層の模式図である。
図5A】口マスクに応用する当該通気層の模式図である。
図5B】口マスクに応用する当該通気層の模式図である。
図6】パックに応用する当該通気層の模式図である。
図7】創傷被覆材に応用する当該通気層の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施例に示すように、本発明を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。以下、具体的に、本願の水素を供給する通気層が含む特徴、応用と利点を説明するが、本発明の技術精神を逸脱しない同等な実施または変更であれば、いずれも本願の特許請求の範囲の中に含まれる。
【0022】
図1図3に示すように、本発明は、水素生成組成物が含まれる薄層11、及び、薄層11を含む通気層1を提供する。当該薄層11の外側は通気せず、内側は通気し、内側の表面には複数の小さい孔がある。当該薄層は、単層または多層であってもよい。そして、水素生成組成物12は、当該薄層11中に含まれ、漏れることなく空気中の水分または液体の水を吸収して水素を生成する。図2に示されるように、当該水素は当該複数の小さい孔111を通過し、皮膚、鼻孔、口腔、目、その他の触れている人体部位を経由して、人体内部に吸収される。
【0023】
本発明は、外側が通気せず、内側が通気する当該薄層11で水素生成組成物12を覆う。当該水素生成組成物12が漏れないようにするため、当該薄層の内側の小さい孔111の孔径は当該水素生成組成物12の直径より小さい。当該薄層11の外側は通気しない材質で形成され、内側は皮膚に優しい材質で形成されている。
【0024】
保存に際しては、空気中の水分が先に当該水素生成組成物12と反応しないようにするため、密閉材料で包装する。使用時には密閉包装を剥がし、必要な位置に適用する。当該通気層1を使用することで、外側の通気しない材質によって、汗水、湿気等の水分をカットすることができ、水分が漏れない。したがって、充分に、当該水素生成組成物12を反応させて、皮膚に対し水素を供給できる。
【0025】
当該水素生成組成物12を覆うために使用する当該薄層11の内側の材質は、シリカゲル、不織布、またはプラスチック通気膜であってもよい。当該薄層11の外側の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレンプラスチック薄膜、アルミニウム膜または複合膜であってもよい。
【0026】
当該水素生成組成物12は、粉末状、ペレット状であってもよい。そして、当該水素生成組成物12は、金属過酸化物、金属水酸化物または金属水素化物、および、アルミニウム粉またはケイ素粉末を含む。
【0027】
中でも、当該金属過酸化物は、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化ナトリウム、および過酸化カリウムからなる群より選択される。当該金属水酸化物は、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムからなる群より選択される。
【0028】
当該水素生成組成物は、さらに、水分で金属水酸化物を生成できる化合物を含んでもよい。そのような化合物は、例えば、水素化マグネシウム、水素化カルシウム、および水素化ケイ素である。
【0029】
当該水素生成組成物は、選択的に固体酸を添加し、前記水素生成組成物と中和作用を起こして、pH値を4−9の間にすることで、皮膚を刺激するのを避け、水素の吸収効果を向上させることができる。当該固体酸は、固体クエン酸、固体乳酸、固体シュウ酸、固体塩酸、固体フィチン酸および固体ケイ酸からなる群より選択される。
【0030】
以下の反応式は、水素生成組成物が水素を供給するメカニズムを表す。
過酸化物であれば、最初は水と反応することで、水酸化物を生成し、酸素を排出する。反応式は以下の通りである。
【0031】
2XO+2HO→2X(OH)+O(Xはカルシウム、マグネシウムである) または、
2Y+2HO→4Y(OH)+O(Yはナトリウム、カリウムである)
【0032】
水酸化物はアルミニウム粉末と反応でき、水素を生成する。以下の反応式を参照のこと。
2Al+2HO+X(OH)=X(AlO+3H
2Al+2HO+2Y(OH)=2YAlO+3H
【0033】
金属水素化物は、水分と反応することで、水素および金属水酸化物を生成する。金属水酸化物は再び水と反応し、水素を生成し続ける。
【0034】
前記の反応で、より早く大量の水素を生成しようとすると、反応物として活性の大きいアルカリ金属(IA族)(即ち、ナトリウム或カリウム)の過酸化物または水酸化物を選択できる。
【0035】
上に例示される水素生成組成物の組み合わせの応用で、当該業界において通常の技術を持つ者もケイ素と水酸化物及び水とを反応させることで、水素が生成するという応用を連想できる。これは本願の組み合わせの同等な実施、本願の水素生成組成物の特許請求の範囲内に含まれるべきであり、その反応式は以下である。
【0036】
Si+4HO=HSiO+2H
SiO+2NaOH=NaSiO+3H
【0037】
好ましい投薬量の割合をはっきりさせるため、各反応物がそれぞれ0.01−100gの範囲のときの水素生成効率を測定する。前記水素生成組成物は、重量割合で、金属過酸化物または金属水酸化物:アルミニウム粉=1:100−100:1のとき、反応して水素を生成する。前記重量割合が1:10−10:1のとき、最も好ましい水素生成効率が達成される。
【0038】
当該通気膜は、生活衛生材料に応用され、体に触れた状態で使用できる。当該生活衛生材料は、アイマスク(図4)、口マスク(図5A図5B)、顔マスク、パック(図6)、ブラジャー、ニプレス、胸部パッド、ナプキン、紙おむつ、サニタリーパッド、創傷被覆材(図7)、絆創膏、ガーゼ、痔疾用パッドを含むが、それらに限らない。
【0039】
以下、あらゆる関係する疾患、症状(中には、神経疾患、最近放射線治療をした者、便秘、紫外線損傷、目の渋み、目のつらさ、外傷を含む。)を持つ試験者を集め、当該通気膜の口マスク、アイマスク、パック、または創傷被覆材などを含む生活衛生材料を配り、使用してもらった。三ヶ月間持続的に使用、週に三回、一回に二時間使用した後にアンケートに答えてもらい、当該通気層の水素生成組成物を様々な生活衛生材料に応用した時の各疾患、症状の改善効果およびその使用上の履き心地について調べた(1−10を評価基準として、大きいほど効果が高い。)。同時に、市販のガス発生材料を含まない一般的な製品(以下、市販と略称する)、および、アルミニウム粉末を含まない(水素が発生しない)製品と比べた。各評価統計の平均結果を以下に示す。当該通気膜中の水素生成組成物は、上記の好ましい割合(金属過酸化物または金属水酸化物:アルミニウム粉=100:80−120)であり、対応する生活衛生材料によって、含有量を調整した。
【0040】
実施例一、口マスク
【0041】
試験の組及び結果を表1に示す。過酸化物は過酸化カルシウムであり、水酸化物は水酸化カルシウムであり、いずれも10gである。アルミニウム粉末は1gであり、クエン酸は適量である。皮膚の水分または追加した水によって、水素を生成した。
【0042】
結果では、本願の水素生成組成物は、神経疾患、放射性療法の副作用、便秘などの疾患/症状を改善できることが示された。これらの効果は、市販の口マスクでも、酸素だけを生成する(アルミニウム粉末を含まない)組でも、達成できない。また、本願の各組み合わせの履き心地は、いずれの市販の口マスクよりいい。そして、同時に過酸化物、水酸化物、固体酸を有する場合は、より最も好ましい疾患の改善効果及び履き心地を達成できた。
【0043】
表1−口マスクにおける通気層の各疾患、症状についての改善効果及び履き心地
【0044】
【表1】
【0045】
実施例二、アイマスク
【0046】
試験の組及び結果を表2に示す。過酸化物は過酸化ナトリウムであり、水酸化物は水酸化ナトリウムであり、いずれも1gである。アルミニウム粉末は10gであり、シュウ酸は適量である。追加した水によって、水素を生成した。
【0047】
結果では、本願の水素生成組成物は、目の渋み、目の疾患を改善できることが示された。市販のアイマスク、または、アルミニウム粉末を含まない(水素を生成できない)組と比べ、いずれもよりよい効果を有している。また、本願の各組み合わせの履き心地は、いずれの市販のアイマスクよりいい。そして、同時に過酸化物、水酸化物、固体酸を有する場合は、より最も好ましい効果及び履き心地を達成できた。
【0048】
表2−アイマスクにおける通気層の各疾患、症状についての改善効果および履き心地
【0049】
【表2】
【0050】
実施例三、パック
【0051】
試験の組及び結果を表3に示す。過酸化物は過酸化マグネシウムであり、水酸化物は水酸化マグネシウムであり、いずれも12.5gである。アルミニウム粉末は6.25gであり、固体酸である乳酸は適量である。追加した水によって、水素を生成した。
【0052】
結果では、市販のパック、または、アルミニウム粉末を含まない(水素を生成できない)組と比べ、本願の水素生成組成物は、紫外線損傷、放射性療法副作用、神経疾患等を改善できる効果を有することが示された。また、本願の各組合の履き心地は、いずれも市販パックよりいい。そして、同時に過酸化物、水酸化物、固体酸を有する場合は、より最も好ましい疾患の改善効果及び履き心地を達成できた。
【0053】
表3−パックにおける通気層の各疾患、症状についての改善効果および履き心地
【0054】
【表3】
【0055】
実施例四、創傷被覆材
【0056】
試験の組及び結果を表4に示す。過酸化物は過酸化カリウムであり、水酸化物は水酸化カリウムであり、いずれも2.5gである。アルミニウム粉末は2.5gであり、固体酸であるフィチン酸は適量である。創傷被覆材は水分を吸収することによって、水素を生成した。より水分を保持し、逆方向に傷口に排出しないようにできた。当該通気層のガスだけを流通する設計によって、水素を供給すると同時に傷口が二次感染を避けるという改良効果を得た。
【0057】
結果では、市販創傷被覆材、または、アルミニウム粉末を含まない(水素を生成できない)組と比べ、本願の水素生成組成物は、紫外線損傷、放射性療法副作用、創傷治癒等を改善できる効果を有することが示された。また、本願の各組み合わせの履き心地はいずれも市販被覆材よりいい。そして、同時に過酸化物、水酸化物、固体酸を有する場合は、より最も好ましい効果及び履き心地を達成できた。
【0058】
表4−創傷被覆材における通気層の各疾患、症状についての改善効果および履き心地
【0059】
【表4】
【0060】
また、ナプキンなどの特に液体が漏れない需要を持つものを使用する場合では、同時に高分子吸水材(即ち、高吸水性ポリマー)を添加できる。これにより、液体を吸収し、水素を供給すると同時に、液体が逆流し、皮膚の感染、炎症を引き起こすのを避けるというダブル効果を達成する。
【0061】
総合すると、本発明の通気層は、いかなる水素生成組成物の組み合わせでも、生活衛生材料中に応用すると、いずれも神経疾患、放射性療法副作用、便秘、紫外線損傷、目の渋み、目のつらさ、創傷治癒を改善できる。水素の酸化防止効果および常在菌の効果を改善することによって、一気に従来の生活衛生材料制限の機能の範疇を突破できる。酸素だけを生成する(アルミニウム粉末を含まない)組に対して、本願の水素生成組成物の適用は、より優れた、幅広い身体保健効果を達成でき、有利な効果をもたらす。そして、副産物が酸素を生成できることに起因して、市販(ガスを発生する組成物を含まない)のものより、履き心地がよく、蒸し暑い感じがなく、使用上の履き心地が向上する。同時に過酸化物、水酸化物、固体酸を添加する場合では、より最も好ましい疾患、症状の改善及び履き心地の効果を達成できる。
【0062】
総合すると、本願は短時間で、大量の水素を生成し、人体皮膚、鼻孔、口腔、目、または他の触れる人体部位に供給できる。一般的な水素を発生する方法及び器具に対して、タンクパイプライン、製造機またはプラグインが必要ないという利点があり、携帯しやすく、組成物は無害で、皮膚の近くで使用でき、水素の生成が簡単で、有害な副産物が発生しないなどの優れた効果がある。
【0063】
なお、水素は、その構造が簡単であることを応用するため、優れた拡散力があり、届く部位に制限がない。水素は、無毒で、人体に優しい安全な還元剤であり、優れた酸化防止効果があり、常在菌を改善するなどの利点から、従来の周知の生活衛生材料の保健用途上に対し、より幅広い、効果向上の利益が得られる。
【0064】
本発明に例示される通気層は、水素の酸化防止及び常在菌効果を改善することによって、対応する疾患に応用でき、本願の実施例によって、本願の通気層を合理的に改善でき、前記2つのいずれかの原因に由来する他の疾患(例えば、ガン、化学療法副作用、代謝疾患、免疫疾患、アレルギー、糖尿病、体重のコントロール、結腸炎など)に応用できる。
【0065】
水素生成効果を向上させるため、当該水素生成組成物は必要に応じて、さらに高吸水性ポリマー、活性剤または触媒を含んでもよい。なお、当該水素生成組成物に、さらに酸素および活性酸素を発生できる生成単位を添加し、割合の調整を行い、異なる需要に対して必要な効果を達成できる。
【0066】
以上、本発明の具体的な実施例について詳しく説明したが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。本発明の技術精神を逸脱しない同等な実施または変更であれば、いずれも本願の特許請求の範囲の中に含まれる。
【0067】
上記の複数の効果は、実に十分に新規性および進歩性を有する特許要件であるため、法により出願する。貴局より本件発明の特許出願案を許可していただき、これをもって発明を励行致します。
【符号の説明】
【0068】
1 通気層
11 薄層
111 小さい孔
12 水素生成組成物
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7