特許第6814307号(P6814307)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6814307光伝送素子、受光ユニット、光アクチュエータユニット、LIDARシステム、作業装置および車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814307
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】光伝送素子、受光ユニット、光アクチュエータユニット、LIDARシステム、作業装置および車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20201228BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20201228BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G01S7/481 A
   G02B5/04 F
   H01L27/144 K
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-554767(P2019-554767)
(86)(22)【出願日】2018年3月27日
(65)【公表番号】特表2020-515867(P2020-515867A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】EP2018057787
(87)【国際公開番号】WO2018184918
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】102017205844.7
(32)【優先日】2017年4月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ホレチェク,アンネマリエ
(72)【発明者】
【氏名】カミル,ムスタファ
【審査官】 東 治企
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0228914(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/145433(WO,A1)
【文献】 特開2007−095792(JP,A)
【文献】 特開2003−243639(JP,A)
【文献】 特開2004−012918(JP,A)
【文献】 特表2009−514709(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/020514(WO,A1)
【文献】 特開2001−237405(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03045936(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0090595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00−5/136
H01L 27/14−27/148
G01S 7/48−7/51
G01S 17/00−17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送のための、および伝送される光の角度適合のための光学ユニット(50)用光伝送素子(100)において、
光伝送素子は、層(110)のタイプに配置されて、一連(20)の複数の光素子(10)を有し、
前記光伝送素子において、前記層(110)は、相互に反対側に向けられた第1側面(101)および第2側面(102)を形成し、
それぞれの光素子(10)は、それぞれ幾何学的にほぼ同一底面(11b、12b)から先細りに伸長する一対の部分素子(11、12)を有し、部分素子は、それらの底面(11b、12b)により相互に向かい合わされ、およびそれらの先細り部分に沿って異なる長さを有して伸長し、
前記光素子(10)は、より長い長さを有する部分素子(11、12)は前記第1側面(101)に、およびより短い長さを有する部分素子(12、11)は前記第2側面(102)に向けられているように配向されており
前記光素子(10)および前記部分素子(11、12)は、その面が、反射層またはコーティングを介して反射するように形成された被覆(11a、12a)を有する
光学ユニット(50)用光伝送素子(100)。
【請求項2】
前記一連(20)の光素子(10)を有する層(110)は、前記光素子(10)の単層のタイプに形成され、
前記層(110)は、面またはレベル内に、平面に形成されている、
請求項1に記載の光伝送素子(100)。
【請求項3】
前記光素子(10)および前記部分素子(11、12)は、それ自身、幾何学的におよび/または材料的に相互に一致して形成され、
前記光素子(10)は、二重円錐および/または二重角錐のタイプに形成され、
前記部分素子(11、12)はそれぞれ、垂直の円錐または円錐台として、および/または、垂直の角錐または角錐台として形成され、
前記光素子(10)は一体にまたは材料一体に形成されている、
請求項1または2に記載の光伝送素子(100)。
【請求項4】
前記光素子(10)および前記部分素子(11、12)は、少なくとも局部的にまたは全体的に相互に同一に、局部的にまたは全体的に前記第1側面(101)および/または前記第2側面(102)に垂直に、それらの本体軸に対して相互に平行に向けられて配向されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の光伝送素子(100)。
【請求項5】
前記層(110)内の前記光素子(10)は、垂直な格子のタイプに配置され、
前記層(110)内の前記光素子(10)は、垂直な格子並びにそれに対して二重の格子のタイプに、稠密充填のタイプに配置され、
前記光素子(10)は二次元に配置されている、
請求項1〜のいずれか一項に記載の光伝送素子(100)。
【請求項6】
入光領域が、前記光伝送素子(100)の前記第1側面(101)から形成され、
出光領域が、前記光伝送素子(100)の前記第2側面(102)から形成された、
請求項1〜のいずれか一項に記載の光伝送素子(100)を有する、受光ユニット(61)。
【請求項7】
入光領域が、前記光伝送素子(100)の前記第2側面(102)から形成され、
出光領域が、前記光伝送素子(100)の前記第1側面(101)から形成された、請求項1ないしのいずれかに記載の光伝送素子(100)を有する、
光アクチュエータユニット(62)。
【請求項8】
送光ユニットおよび/または受光ユニットが、請求項に記載の光アクチュエータユニットのタイプの、または請求項に記載の受光ユニットのタイプの前記光伝送素子(100)を有する、視界内に光を送り出すための送光ユニットおよび視界から光を受け取るための受光ユニットを含むLIDARシステム。
【請求項9】
請求項に記載のLIDARシステムを有して形成された、1つないしは複数の作業装置および/または車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニット用光伝送素子、受光ユニットまたは光アクチュエータユニット、LIDARシステム並びに作業装置および特に車両に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術的適用の場合、受光ユニットにおいてまたはエミッタにおいてもまた、受け取られまたは放出されるスペクトルを制限するために、光路内に直列に波長フィルタが挿入される。この場合、このような波長フィルタは、しばしば、スペクトル内のウインドウの位置および幅に関して、放射線の実際の入射角に依存した伝送ウインドウを有することが既知である。逆考察において、これは、好ましくない状況の下で、すなわち、入射スロットに関して大きな入射角の場合、フィルタ特性が目標値から離れることがあることを意味する。他の光学的適用においてもまた、入射スロットに関して大きな入射角は、光学全体装置を希望しない特性に導く。他方で、大きな入射角は、発光効率の高い尺度に関して好ましい。両方の状況を調和させることは、大きな技術的挑戦を示し、およびこの挑戦に対応するためには、従来、それは比較的複雑な光学システムを必要とした。
【発明の概要】
【0003】
請求項1の特徴を有する、本発明による光伝送素子は、光路内に、簡単な手段を有する光学装置が、および特に損失なしに、伝送光または電磁放射線の角度適合が、一般的に達成可能であるという利点を有する。これは、本発明により、請求項1の特徴を用いて、詳細には、光学ユニットに対して、または光学ユニットに、および特に受光ユニットに対して、または伝送のための光放出ユニットあるいは光アクチュエータユニットに対して、およびこの場合、伝送される電磁放射線および特に光および/または赤外放射線の角度適合に対して、光伝送素子が提供されることにより達成される。光伝送素子は、層のタイプに形成されかつ配置され、および一連の複数の光素子を有する。層は、第1側面または上部側面および第2側面または下部側面を有し、すなわち、相互に反対側に向けられかつ特に第1半空間ないしは第2半空間に向けられたこれらを形成する。それぞれの光素子は、それぞれ幾何学的にほぼ同一のまたは一致する底面からそれらの先細り部分に沿って伸長する部分素子を有し、部分素子は、それらの底面により相互に向かい合わされかつ特に相互に隣接し、およびそれらの先細り部分に沿って異なる長さを有して伸長する。この場合、光素子は、より長い長さを有する部分素子は第1側面または上部側面に、およびより短い長さを有する部分素子は第2側面または下部側面に向けられているように配向されている。本発明により設けられた手段により、入射スロットに関して特定の角度を超えた全ての入射光線に対して、隣接光素子における多重反射により、入射光線に関して、伝送光線の角度適合が達成される。
【0004】
これは、第1側面から特にフラットに入射する光線に対して、伝送は、基礎となる光学面に、より垂直に達成されることを意味する。このケースは、受光装置等に対して重要である。逆に、これは、第2側面から入射する光線は、場合により、入射角に関して、基礎となる光学面の垂線に対してより大きい角度で伝送可能であることを意味する。この状況は、放射線の光線扇状分配またはより強い分配が望まれるエミッタ装置に対して重要である。
【0005】
本発明の態様は、言い換えると、円錐状または先細り状に伸長し、それらの円錐状または先細り状領域が相互に離れてかつ相互に平行に配向されている、格子状に配置された複数の光素子を有する、蛾の眼の構造が形成されることにおいて見られる。
【0006】
引用形式請求項は、本発明の好ましい変更態様を示す。
一連の光素子を有する層の構成形態に対して、適用に応じてそれぞれ、有利に選択可能な種々の可能性が提供される。
【0007】
本発明による光伝送素子の好ましい実施形態において、一連の光素子を有する層は、一連の光素子の単層または単床のタイプに形成されている。これは、具体的に、光素子は、複数床をなして相互に重なって位置しないことを意味する。
【0008】
しかしながら、代替態様として、複数層もまた考えられる。
光伝送素子の形状および特に光素子の層の形状は、幾何学的に、それぞれの適用の要求に適合されてもよい。
【0009】
しかしながら、層が面またはレベル内に、特に平面に形成されているとき、特に簡単な関係が発生する。
光素子それ自身および特にそれぞれの部分素子は、種々の幾何学的形状を有してもよく、種々の方法で相互に組み合わされてもよい。
【0010】
すなわち、光素子および特に部分素子は、それぞれ幾何学的におよび/または材料的に相互に一致して形成されていてもよい。
本発明による光伝送素子の他の追加または代替実施形態において、光素子は二重円錐および/または二重角錐のタイプに形成されていてもよい。
【0011】
部分素子がそれぞれ、特に垂直の円錐または円錐台として、および/または特に垂直の角錐または角錐台として形成されているとき、これが特に達成可能である。
材料に関してもまた、種々の実施形態が提供される。
【0012】
光素子が一体にまたは材料一体に形成されているとき、特に簡単な関係が発生する。
多くの材料は本質的に高い反射能力を有するが、個々の光素子の光特性は、対応材料構成によりさらに改善可能である。材料として、例えば、PC、PMMA、Zeonexまたは伝送性プラスチック材料が一般に提供される。
【0013】
すなわち、本発明による光伝送素子の他の有利な変更態様において、光素子および特に部分素子は、その面が、特に反射層またはコーティングを介して反射するように形成された被覆を有するように設計されている。
【0014】
本発明による光伝送素子の光学的に特に有利な光特性は、光素子および特に部分素子が、少なくとも局部的にまたは全体的に相互に同一に、特に局部的にまたは全体的に第1側面および/または第2側面に垂直に、および/または特にそれらの本体軸に対して相互に平行に向けられて配向されているときに発生する。
【0015】
その代わりにまたはそれに追加して、層の内部の複数の光素子の上位の装置が、それに対応して、光伝送素子の光特性を有利に構成するように形成されていてもよい。
すなわち、層内の光素子は、特に垂直な格子のタイプに配置されているかまたは配置されることが考えられる。
【0016】
その代わりに、層内の光素子が、特に垂直な格子のタイプに、さらにそれに対して二重の格子のタイプに、例えば稠密充填のタイプに配置されているかまたは配置されるような配置が考えられる。
【0017】
上記のように、この場合、大量の配置、例えば多層配置もまた考えられる。
しかしながら、光素子が二次元に配置されているとき、特に簡単な構造が得られる。単床または単層としての配置は、上記のとおりである。
【0018】
本発明は、さらに、本発明による光伝送ユニットを有する、1つないしは複数の受光ユニット、特にフィルタおよび/またはセンサに関する。
この場合、受光ユニットの入光領域は、基礎となる光伝送素子の第1側面から形成されていてもまたは形成されてもよい。
【0019】
それに追加してまたはその代わりに、受光ユニットの出光領域は、光伝送素子の第2側面から形成されているかまたは形成されてもよい。
さらに、本発明の対象は、本発明による光伝送素子を有する、1つないしは複数の光アクチュエータユニットおよび特に電磁放射線用エミッタでもある。
【0020】
ここで、入光領域は、基礎となる光伝送素子の第2側面から形成されているかまたは形成されてもよいことは有利である。それに追加してまたはその代わりに、出光領域は、基礎となる光伝送素子の第1側面から形成されているかまたは形成されてもよい。
【0021】
さらに、本発明の他の態様により、視界内に光を送り出すための送光ユニットおよび視界から光を受け取るための受光ユニットを有して形成されているLIDARシステムもまた提供され、この場合、送光ユニットおよび/または受光ユニットは、特に光アクチュエータのタイプの、ないしは受光ユニットのタイプの、本発明による1つないしは複数の光伝送素子を有する。
【0022】
最後に、本発明の対象は、本発明によるLIDARシステムを有して形成されている作業装置でもある。
作業装置は特に車両であってもよい。
【0023】
添付図面を参照して、本発明の実施形態が詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明による光伝送素子の第1実施形態の略側面図である。
図2図2は、光学装置と関連した、図1からの本発明による光伝送素子の実施形態の略側面図である。
図3図3は、それぞれの適用における、本発明による光伝送素子の他の実施形態の略側面図を示す。
図4図4は、それぞれの適用における、本発明による光伝送素子の他の実施形態の略側面図を示す。
図5図5は、それぞれの適用における、本発明による光伝送素子の他の実施形態の略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図1ないし5を参照して、本発明の実施例および技術的背景が詳細に説明される。同一および類似の、並びに同一または類似に作用する素子および部品は同一の符号で示される。図示の素子および部品の詳細説明は、それらが現われるたびごとに反復されない。
【0026】
示された特徴およびその他の特性は、本発明の本質から逸脱することなく、任意の形で相互に分離されおよび任意に相互に組み合わせられてもよい。
図1は、本発明による光伝送素子100の第1実施形態の略側面図である。
【0027】
図1に示したような本発明により構成された光伝送素子100は複数の光素子10の配置20からなり、光素子は、二重角錐または二重円錐のタイプに形成され、したがって、底面11bおよび被覆11aを有する第1部分素子11および底面12bおよび被覆12aを有する第2部分素子12からなり、これらは、一致する底面11bおよび12bを有し、かつそれらの底面11b、12bは相互に向かい合わされかつ特に相互に結合されている。
【0028】
光素子10は、1つの面内に位置し、ほぼ1つの層110を形成し、および全体空間を第1または上部半空間あるいは第1または上部側1と第2または下部半空間あるいは第2または下部側2に分割する。この場合、層110の第1または上部側面101は第1半空間または第1側1に向けられ、他方で、第2または下部側面102は空間の第2半空間または第2側2に向けられている。
【0029】
第1部分素子11の底面11bは幅または直径11−1を有する。第2部分素子12の底面12bは幅または直径12−1を有する。
第1部分素子11および第2部分素子12はそれぞれの底面11b、12bから出発して先細りしかつ先が尖っている。その先細り部分の方向に第1部分素子11は長さ11−2を有する。その先細り部分の方向に第2部分素子12は長さ12−2を有する。先細り部分は、それぞれの底面11b、12bの幅11−1、12−1または直径の、先細り部分の方向の長さ11−2、12−2に対する比により表わされてもよい。その代わりに、それぞれの底面11b、12bとは反対側の尖端における、詳細には、第1または上部側面101および/または第2または下部側面102に対する垂線103に関する開口角11−3ないしは12−3が与えられてもよい。
【0030】
図1に示された光伝送素子100の実施形態において、光素子10は支持体30内に埋め込まれている。この埋込30により、光素子は、それらの位置および向きにおいて相互に機械的に安定化される。支持体30内への埋込は、全体として必ずしも強制されない。支持体材料30内への埋込は、一部分のみで、すなわち空間を充填するのではなく、例えば光素子10の間の最も薄い材料層としてまたは細い糸として行われてもよい。例えば、第2光部分素子12の下部領域内の固定が例えばその尖端において可能であるとき、支持体30内への埋込は完全に行われなくてもよい。
【0031】
図1による実施形態において、それぞれの光素子10の第1および第2部分素子11および12は、光伝送素子100の層110の第1および第2側面101および102への局部垂線103と一致する、相互に心出しされた図の軸線を有する。しかしながら、この配置は必ずしも強制されない。適用に応じてそれぞれ、局部的観点においてもまた、相互に、および垂線103に関して、図の軸線の他の配向が選択されてもよい。
【0032】
図2は、光学装置60の部分としての本発明によるユニット50に関連した、図1からの本発明による光伝送素子100の実施形態の略側面図である。
図2による実施形態において、図1からの光伝送素子100の配置は、光学的に光学ユニット50に前置接続されて装着されている。光学ユニット50は、層110の下部側面102に続くフィルタ層51からなっている。これに、センサ層52が接続されてもよい。このような配置において、第1半空間1から入射した光は光伝送素子100を通過して伝送され、この場合、以下に詳細に説明されるように、局部垂線103に対するそれぞれの光線の入射角が低減されるように適合される。入射角の適合により、光学的に後置接続されたフィルタ層51および/またはセンサ層52の受入領域がより良好に利用可能である。逆考察において、フィルタ層51の伝送ウインドウないしはセンサ層52の検出ウインドウのより少ないまたは全く消滅した変位が得られる。
【0033】
さらに、フィルタ層51およびセンサ層52は、場合により光伝送素子100の個々の光素子10に対する代替または追加支持体40として機能する。
光アクチュエータユニットを形成するために、センサ層52がエミッタ層54により置き換えられてもよく、この場合、エミッタ層54は、光伝送素子100を通過した後にその放射角度範囲が拡大された光を送出する。
【0034】
図3ないし5は、光学ユニット50および対応光学装置60のそれぞれの適用における、本発明による光伝送素子100の他の実施形態の略側面図を示す。
図3に示されている本発明による光伝送素子100の実施形態は、同様に、受光ユニット61として、すなわちセンサ層52の使用において、または光アクチュエータユニット62として、すなわち光学ユニット50の構成におけるエミッタ層54の使用において形成されていてもよい光学装置60に関連した適用を表わす。
【0035】
詳細には、光素子10および層110に対する垂線103の配向に関する、実際の入射角に依存した外部入射光70の個々の外部からの入射光線71、72および73、すなわち光素子10の配置20とは異なる外部からの入射光線71、72および73が示されている。
【0036】
比較的フラットに入射した第1光線71は、直接隣接する光素子10と、多重反射の形で相互作用し、この場合、第1光線は、その結果、垂線103に関して、光学ユニット50および特にフィルタ層51へのより小さい入射角を有する伝送光線として現われる。
【0037】
第2外部入射光線72は、垂線103に関して、光素子10の上部部分素子11の開口角に対応する入射角で入射する。ここに示された場合において、光線72は、いずれの光素子10とも衝当せず、かつ相互作用することなく、直接光学ユニット50のフィルタ層51に到達する。
【0038】
外部からの入射光線73は、垂線103に平行にかつ直接隣接する2つの光素子10の間を直接通過し、したがって、相互作用することなくフィルタ層51上に現われる。
エミッタ層54を有する光学ユニット50の操作において、すなわち光学装置60の、光アクチュエータユニット62としての、例えばエミッタとしての構成の場合、内部放射から発生した光線81が模倣され、はじめに光素子10の第2部分素子12に衝当し、次に、直接隣接する2つの光素子10の間で多重反射をした後、外部伝送光線81´として第1半空間1内に逆に到達する。
【0039】
図4による配置は、二重円錐形状とは異なる光素子10の構成を示す。外部光源91、92、93から発生した外部からの入射光線71、72および73は、最終的に伝送光線71´、72´ないしは73´として光学ユニット50に衝当するように、垂線103に関する入射角に応じてそれぞれ、光素子10の第1および第2部分素子11、12との相互作用の異なる形状を形成する。
【0040】
図5による実施形態において、光素子10の第2部分素子12は、凹状に形成された被覆12aを有する。このようにして、外部入射光線71および72から伝送光線71´、72´への、または内部放射後の入射光線81、82から外部放射光線81´、82´への改善された角度適合が達成可能である。
【0041】
図2は、光学装置60の部分としての本発明によるユニット50に関連した、図1からの本発明による光伝送素子100の実施形態の略側面図である。
本発明のこのおよび他の特徴および特性が、以下の記載によりさらに説明される。
【0042】
本発明は、特に、拡大された角度受取領域における入射光線の衝当角を最小化するための光学構造にも関する。
例えば、ブラックシリコン検出器における、または反射防止コーティングにおける、表面の光吸収を向上させるための蛾の眼の構造はそれ自身既知であり、かつ特により大きな角度における伝送ウインドウの拡大および移動により、より大きな受取角に対しては比較的コスト的に不利な光波長フィルタとして、および小さい受取角に対してはコスト的に有利な光波長フィルタとして使用される。
【0043】
本発明の目標設定は、大きな角度受取領域において、簡単な手段による入射光線の衝当角の最小化を提供することである。
本発明の利点として、
大きな入射角においても、構造により低減された入射角を介して、できるだけ小さい、伝送ウインドウの好ましくない拡大および移動により、コスト的に有利な光波長フィルタの使用が得られ、
機能原理が適用される好ましい場合の確率に関して、きわめて稀な、好ましくない場合による、構造への好ましくない入射角および入射位置においても、きわめて僅かな動力損失が得られ、
より大きなマクロ構造としての、または微小化ミクロ構造としての実現可能性が得られ、この場合、さらなる微小化は、得られた配置の尺度により、約3倍以上の波長の回折効果によってのみ制限され、および
画像形成角度比の保持により、センサ上における部分画像の合成の可能性が得られる。
【0044】
吸収構造として自然界の蛾の眼が目標とされかつ多くの技術的適用に対して種々の形状および大きさで使用された、従来技術からの素子構造は、追加の下部素子半部分だけ拡張され、これにより、各素子に対する光学的活性層の表面に特に垂直に、二重円錐または二重角錐の構造が、しかもそれぞれ光学的活性層の表面に対して垂直な円錐軸または角錐軸を有して得られる。
【0045】
上部のみならず下部の素子半部分11、12は、全体構造に対して、反射面として、または反射面を用いて構成されてもよい。理想的な場合、二次元表面を、好ましくは反射しながら覆う多くの個別素子10からなる三次元構造が得られる。
【0046】
上部の傾斜した素子半部分11は、この場合、さらに、最大光強度を受け取るように働き、この場合、多重反射により、入射光線の角度は垂線に対する大きな角度からさらに大きくなる。
【0047】
第2または下部素子半部分12は、垂線103に対して上部素子半部分11より強くかつ逆に回転された傾斜により、反射チェーンの終端において角度を低減するように働く。
光フィルタ51およびセンサ52は、画像形成法に対して、下部素子半部分12の端部に直接装着され、これにより、大きな角度範囲から入射した光線は、転向されないでフィルタ51に衝当した光線から、重なり合うことなく分離される。
【0048】
センサ部分画像の分離処理は、例えばLIDARシステムにおけるような光学センサ装置の使用のために、全体画像のディジタル合成を可能にする。
以下に記載の最適化パラメータは、最大角度範囲を介して、外部光源への逆反射が発生せず、検出器側への内部への転向が行われるように設計されることが好ましい。
【0049】
それぞれの適用に依存して、以下のパラメータ、すなわち、
直接隣接する構造素子10の水平方向間隔13、14
垂直方向長さ11−2、12−2、および上部素子半部分11の下部素子半部分12に対する長さ比
上部素子半部分11の傾斜角11−3
下部素子半部分12の傾斜角12−3
下部素子半部分12の構成が最適化可能である。
【0050】
個別素子10は、フィルタ51および/またはセンサ52上に装着されかつこれにより固定されても、またはその代わりに、素子を水平に結合しかつきわめて高い伝送性を有する他の平面30により、例えば透明な埋込材料30により共に保持されてもよい。
【0051】
図3は、光伝送素子100として理解される、本発明による光学的効果層110の一実施形態の例において、異なる入射角を有する、上部半空間1からの3つの入射光線71、72、73により、二次元の機能原理を略図で説明する。
【0052】
図4は、本発明による光伝送素子100として理解される、本発明による光学的効果層110の他の実施形態の例において、異なる入射角を有する、上部半空間1からの3つの入射光線71、72、73により、三次元の機能原理を略図で説明する。
【0053】
図5は、第2または下部部分素子12における厳密に平坦な空間境界面または被覆面12aとは異なり、その代わりに、連続的に変化する境界面角を有する凹状の境界面または被覆面12aが使用される、本発明による光伝送素子100として理解される、本発明による光学的効果層110の他の実施形態を略図で説明する。
【0054】
光素子10の大きさは、肉眼で見えるミリメートルまたはセンチメートルの範囲内であっても、詳細には、例えばライダ・カバーウインドウの手前の周囲付属品における、ナノメートルまたはマイクロメートルの範囲内の顕微鏡的構造を有してもよい。検出器付近内の本来のフィルタの手前の小さなオーバレイが考えられる。可能な製造法として、例えば射出成形、MEMSおよびナノ製造が対象となる。
【符号の説明】
【0055】
1 第1側、上部側、第1半空間
2 第2側、下部側、第2半空間
10 光素子、構造素子、個別素子
11 第1部分素子、上部部分素子、上部素子半部分
11a 被覆
11b 底面
11−1 幅、直径
11−2 長さ
11−3 開口角、傾斜角
12 第2部分素子、下部部分素子、下部素子半部分
12a 被覆、被覆面
12b 底面
12−1 幅、直径
12−2 長さ
12−3 開口角、傾斜角
13、14 間隔
20 一連、配置
30 支持体、埋込、支持体材料、埋込材料、平面
40 支持体
50 光学ユニット
51 フィルタ層、光フィルタ
52 センサ層、センサ
54 エミッタ層
60 光学装置
61 受光ユニット
62 光アクチュエータユニット
70 外部入射光
71、72、73 外部入射光線
71´、72´、73´ 伝送光線
81、82 内部放射後の入射光線
81´、82´ 外部伝送光線、外部放射光線
91、92、93 外部光源
100 光伝送素子
101 第1側面、上部側面
102 第2側面、下部側面
103 垂線
110 層、光学的効果層
図1
図2
図3
図4
図5