特許第6814314号(P6814314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6814314
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】冷却要素
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20201228BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20201228BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20201228BHJP
   A24D 1/04 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   A24F40/40
   A24D3/17
   A24D3/04
   A24D1/04
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-23306(P2020-23306)
(22)【出願日】2020年2月14日
【審査請求日】2020年3月19日
(31)【優先権主張番号】1914962.4
(32)【優先日】2019年10月16日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512123916
【氏名又は名称】エッセントラ フィルター プロダクツ ディベロップメント カンパニー プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】アンドーン メースリデー
(72)【発明者】
【氏名】ハリスマル ナタネガラ
(72)【発明者】
【氏名】スディルマン ウィディアルト
(72)【発明者】
【氏名】アリエフ ラーマン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ポール モリス
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第03494809(EP,A1)
【文献】 特表2015−508676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える冷却要素であって、
前記長手方向延在コアは、可塑剤を含むセルロースアセテートを熱成形して形成したものである、冷却要素。
【請求項2】
各ボアが0.8mm〜2.5mmの直径を有する、請求項1に記載の冷却要素。
【請求項3】
各ボアが1.5mm〜2.5mmの直径を有する、請求項1または2に記載の冷却要素。
【請求項4】
2〜12個のボアを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項5】
2,3,4,5または6個のボアを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項6】
各ボアがコアの全長にわたって延在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項7】
前記冷却要素の長さが、5〜50mm、例えば10〜30mm、例えば8〜24mm、例えば15〜20mm、例えば18mmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項8】
前記冷却要素の外周が、12mm〜30mm、例えば15mm〜28mm、より好ましくは17mm〜25mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項9】
各ボアが略円形断面を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項10】
ボアが略円形断面を有し、および/または、ボアが、例えば半円形(D字形)断面、例えば四角形断面、例えば三角形断面、例えば中空星形断面、例えば三葉形断面、例えば五角形断面、例えば歯形断面、例えばロゴまたは他のパターンの形状の断面などの異なる形状の断面を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項11】
実質的に三角形配列で配置されている、3個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える冷却要素であって、
前記長手方向延在コアは、可塑剤を含むセルロースアセテートを熱成形して形成されたものである、冷却要素。
【請求項12】
複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える、加熱式たばこの冷却要素であって、
前記長手方向延在コアは、可塑剤を含むセルロースアセテートを熱成形して形成されたものである、加熱式たばこの冷却要素。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の冷却要素と、任意に1つまたは複数の別個のさらなるセグメントと、を備える、(例えば加熱式たばこの)喫煙用品。
【請求項14】
複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える冷却要素であって、前記長手方向延在コアは、可塑剤を含むセルロースアセテートを熱成形して形成されたものである、冷却要素を備える、加熱式たばこ。
【請求項15】
各ボアが0.8mm〜2.5mmの直径を有する、請求項14に記載の加熱式たばこ。
【請求項16】
2〜6個のボアを含む、請求項14または15に記載の加熱式たばこ。
【請求項17】
実質的に三角形配列で配置されている3個の長手方向延在ボアを備える、請求項14〜16のいずれか一項に記載の加熱式たばこ。
【請求項18】
各ボアが前記冷却要素の長さにわたって延びる、請求項14〜16のいずれか一項に記載の加熱式たばこ。
【請求項19】
1つまたは複数の別個のさらなるセグメントをさらに備える、請求項14〜18のいずれか一項に記載の加熱式たばこ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式たばこ(a tobacco heated productまたはa heat-not-burn (HNB) product)などの喫煙用品で使用する冷却要素を提供する。
【背景技術】
【0002】
加熱式たばこは周知である。加熱式たばこの着想は、たばこを燃焼させることなく特定の温度(例えば、350℃)に加熱することである。加熱によりニコチンを含む蒸気が送られるが、燃焼させずに加熱すると、消費者に有害な燃焼生成物の生成を防ぐことができると信じられている。
【0003】
加熱式たばこ(Tobacco heating products / HNB products)は、改良たばこのプラグと、たばこのような外観を提供するために紙製のプラグラップで包まれた別のマウスピース要素と、を含むことができる。そのようなたばこの1つでは、再構成されたたばこプラグ、ラップされた中空アセテートチューブ、PLA(ポリ(乳酸))のラッププラグおよび従来のラップアセテートセグメントが白紙で包まれている。このたばこは、該たばこが消費者によって「喫煙」され得るように、たばこを加熱する加熱要素に挿入することができる。これらのたばこにおける「フィルタ」の機能はたばこフィルタとは大きく異なり、主な機能は、たばこの外観と感触を提供し、消費者が許容できる温度まで煙を冷やすことである。上述のたばこにおいて、重要な冷却機能を実行するのはPLAセクションであるため、PLAセクションは冷却要素とみなすことができる。
【0004】
PLAセグメントは、可用性、製造能力、ろ過特性(特にフェノール関連)、感覚、硬さ、生分解性および外観の点で欠点がある。以前の冷却要素は、許容可能なレベルまたは予測可能なレベルまで煙を冷却する能力の観点からも欠点を有し得る。その結果、冷却要素にPLAを使用する場合に見られる欠点なしに、加熱式たばこ内の蒸気を満足に冷却できる冷却要素が必要である。また、必要な温度低下をもたらすために、一貫したおよび/または予測可能な冷却効果を有する冷却要素を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、第1の態様において、各ボアが0.8mm以上の直径(すなわち、0.8mmに等しいか、あるいは0.8mmを超える直径)を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在(例えば、円筒形)コアを備える、冷却要素(例えば、加熱式たばこ(a tobacco heated productおよび/またはHNB product)の冷却要素)を提供する。
【0006】
本出願人らは、複数のボアをHNBマウスピースの他のコンポーネント(例えば、他の別個のセグメント)とともに備える冷却要素は、適切なレベルで蒸気を冷却できることを知見した。本出願人らは、ボアのサイズ、形状および配置を様々にすることによってHNBたばこ内の気流をより良く制御することができ、したがって冷却効果を調整して必要な温度低下を提供できることを知見した。
【0007】
好ましくは、各ボアは、0.8mm〜2.5mmの直径を有する。好ましくは、各ボアは、1.5mm〜2.5mmの直径を有する。本出願人らは、これらの直径を有するボアが最適な冷却特性を提供できることを知見した。冷却要素が異なる直径の複数のボアを備え得ることが理解されよう。冷却要素は、2〜12個のボアを含むことができる。好ましくは、冷却要素は、2〜6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、2,3,4,5または6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、4〜6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、3,4または5個のボアを含む。本出願人らは、3,4または5個のボアを含む冷却要素が蒸気を最適に冷却し得ることを知見した。
【0008】
本明細書での使用において、「ボア」という用語は、コアに囲まれた(しかしながらコアの一方端または両端で開口し得る)、コアを長手方向に延びるトンネルまたはチャネルをいう。各ボアの断面は、任意の形状とすることができる(すなわち、ボアは円形でなくてもよい)。
【0009】
円形ボアについて、「直径」という用語はその通常の意味を有する。非円形ボアについては、「直径」という用語は、ボアの最も広い点で、ボアの一方側から他方側までボアの中心を通過する線の長さを意味するものとする。好ましくは、上記の(または各)ボアの軸方向断面は均一である。
【0010】
本発明によれば、一態様において、各ボアが0.8mm以上の直径(すなわち、0.8mmに等しいか、あるいは0.8mmを超える直径)を有する、3個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在(例えば、円筒形)コアを備える、冷却要素(例えば、加熱式たばこの冷却要素)を提供する。好ましくは、各ボアは、0.8mm〜2.5mmの直径を有する。好ましくは、各ボアは、1.5mm〜2.5mmの直径を有する。
【0011】
本発明によれば、一態様において、各ボアが0.8mm以上の直径(すなわち、0.8mmに等しいか、あるいは0.8mmを超える直径)を有する、4個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在(例えば、円筒形)コアを備える、冷却要素(例えば、加熱式たばこの冷却要素)を提供する。好ましくは、各ボアは、0.8mm〜2.5mmの直径を有する。好ましくは、各ボアは、1.5mm〜2.5mmの直径を有する。
【0012】
本発明によれば、一態様において、各ボアが0.8mm以上の直径(すなわち、0.8mmに等しいか、あるいは0.8mmを超える直径)を有する、5個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在(例えば、円筒形)コアを備える、冷却要素(例えば、加熱式たばこの冷却要素)を提供する。好ましくは、各ボアは、0.8mm〜2.5mmの直径を有する。好ましくは、各ボアは、1.5mm〜2.5mmの直径を有する。
【0013】
冷却要素は、例えば、綿またはポリエチレンもしくはポリプロピレン等のプラスチックからなる天然若しくは合成のフィラメントトウ、またはセルロースアセテートのフィラメントトウから作ることができる。フィルタ材料は、熱可塑性ポリマーまたは紡糸可能なポリマーとすることができ、例えば、ポロプロピレン、ポリエチレンテレフタレートまたはポリラクチドとすることができる。
【0014】
好ましくは、冷却要素は、セルロースアセテートから作られる。好ましくは、冷却要素は、セルロースアセテートから熱成形される。セルロースアセテートは、可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)、ポリエチレングリコール(PEG)もしくは他の可塑剤、または可塑剤の混合物)をさらに含んでいてもよい。可塑剤(例えば、トリアセチン)は、存在する場合、セルロースアセテート材料の総重量の15%〜21.5%、好ましくは15%〜19%の量でセルロースアセテート材料に適用することができる。本出願人らは、セルロースアセテートの冷却要素は、マウスピースの他のコンポーネント(例えば、他の別個のセグメント)とともに、消費者に満足できる外観および感覚(例えば、口当たりを含む)を提供する一方で、適切に冷却できることを知見した。これは、セルロースアセテートセグメントでは効果的な冷却を行えない、という従来の知恵を考えると驚くべきことである。本出願人らは、熱成形したセルロースアセテート等の従来のたばこフィルタ材料を使用して本発明の冷却要素を製造することにより、冷却要素が従来の冷却要素と比較して改善された感覚特性(味および感触など)を提供でき、また、製造コストを削減できることを知見した。
【0015】
好ましくは、冷却要素の長さは、5〜50mm、例えば10〜30mm、例えば8〜24mm、例えば15〜20mm、例えば18mmである。
【0016】
好ましくは、冷却要素の外周は、12〜30mm、例えば15〜28mmであり、より好ましくは17〜25mm、例えば18〜25mm、例えば20〜24mm、例えば22〜24mm、例えば23mm、例えば22mmである。
【0017】
好ましくは、(例えば、セルロースアセテート材料の)長手方向延在コアの軸断面は均一である。
【0018】
好ましくは、各ボアは、略円形断面を有する。あるいは、各ボアの断面は、異なる形状(円形、半円形(D字形)、四角形、三角形、中空星形、三葉形、五角形もしくは歯(cog)形の断面、またはロゴもしくは他のパターンの形状の断面)であってもよい。本発明による冷却要素は、異なる形状の断面を有する複数のボアを含んでいてもよく、例えば、冷却要素は、円形断面のボアと四角形断面のボアとを含む。これは、図3に見ることができる。
【0019】
好ましくは、冷却要素は、略円形断面を有する。これは、冷却要素が略円筒形であることを意味する。しかしながら、本発明の冷却要素は、任意の形状とすることができる。例えば、冷却要素は、楕円形断面または正方形断面または長方形断面を有していてもよい。
【0020】
好ましくは、各ボアは、コアの全長にわたって長手方向に延びる。
【0021】
冷却要素は、長手方向延在コアの周りに巻き付けられた外包装をさらに備えることができる。外包装は、紙(例えばプラグラップ)とすることができ、好ましくは坪量が20〜160gsmの紙(例えばプラグラップ)、例えば坪量が24〜150gsmの紙(例えばプラグラップ)、例えば坪量が70〜150gsmの紙(例えばプラグラップ)、例えば坪量が70〜140gsmの紙(例えばプラグラップ)とすることができる。
【0022】
本発明によれば、冷却要素(例えば、加熱式たばこの冷却要素)の製造方法が提供される。当該方法は、可塑剤が既に適用された(例えば、セルロースアセテート)材料を成形手段(例えば、固定ダイ)に通しながら(例えば、成形手段を通して引っ張りながら)当該材料を熱処理し、それによって、各ボアが0.8mm以上の直径(すなわち、0.8mmに等しいか、あるいは0.8mmを超える直径)を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを形成するステップを含む。好ましくは、成形手段は、少なくとも1つの突出インナーロッド(マンドレル)を含み、該突出インナーロッドは、各々が長手方向延在ボアの断面と等しい断面プロファイルを有する複数のピンを備える。
【0023】
冷却要素(例えば、加熱式たばこの冷却要素)は、製造する冷却要素の所望の外径とほぼ等しい外径を有する固定ダイを通して、場合によっては可塑剤(例えば、トリアセチン)が既に適用された、セルロースアセテートの連続束を引っ張ることにより製造することができる。可塑剤(例えば、トリアセチン)は、セルロースアセテート材料の総重量の15%〜21.5%、好ましくは15%〜19%の量で該セルロースアセテート材料に適用することができる。固定ダイは、固定ダイを通って延びる多数の突出インナーロッド(例えば、マンドレル)を含む。マンドレルのサイズ(例えば、直径)は、0.8mm〜4.2mmとすることができる。マンドレルは、(ボアに必要なサイズ(直径)に応じて)0.8〜4.2mmの直径を有する多数のピンで構成される円形断面を有することになる。ダイを通してセルロースアセテートを引っ張ると、それはマンドレルの周り(したがってピンの周り)を通過するため、冷却要素は、マンドレルで使用されるピンの数およびサイズと同等の断面プロファイルを有する複数のボアを有するように形成される。セルロースアセテートをダイに入れたまま、それに加熱蒸気(当技術分野で知られているように、これは過熱流である)を適用することができる。加熱蒸気は、ダイ内のダクトを介して適用してもよい。加熱蒸気は、セルロースアセテートに適用された可塑剤を硬化させ、冷却要素がダイを出た後に形状を維持できるようにする。好ましくは、本方法は、各ボアが0.8mm以上の直径(すなわち、0.8mmに等しいか、あるいは0.8mmを超える直径)を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを形成した後に、セルロースアセテートを冷却空気にさらすステップを含む。好ましくは、冷却空気は、20℃〜26℃の温度であり、より好ましくは、冷却空気は、22℃〜25℃であり、例えば22℃〜24.5℃である。好ましくは、本方法は、冷却空気の滞留時間を延長する(例えば、冷却要素が通過する4つ以上のエアボックスを提供する)ステップを含む。冷却空気の滞留時間は、0.12〜0.14秒、例えば、0.13秒とすることができる。
【0024】
本発明では、2〜12個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える、加熱式たばこの冷却要素を提供する。
【0025】
本発明では、各ボアが0.8mm以上の直径を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える、加熱式たばこの冷却要素を提供する。
【0026】
本発明では、本明細書で説明し、以下に特許請求する冷却要素を備える喫煙用品(例えば、加熱式たばこ(a tobacco heating product,HNB product))を提供する。喫煙用品(例えば、加熱式たばこ)が、1つまたは複数の別個のさらなるセグメントを備え得ることが理解されよう。別個のさらなるセグメントは、たばこ煙フィルタ材料の(例えば、円筒形の)プラグであってもよい。好ましくは、別個のさらなるセグメントは、セルロースアセテートトウから作られる。
【0027】
冷却要素は、任意のマルチセグメントフィルタで使用することができ、消耗品であってもよいことが理解されよう。フィルタ構造は、2、3または4個以上の別個のセグメントになり得る。フィルタは、たばこロッド(あらゆる形態のたばこ(再構成たばこを含む)から作ることができる)に取り付けることができる。フィルタは、カプセル、カーボン、CPS、チューブ、アセテート、紙、メントール等を含む別のセグメントを含んでいてもよい。
【0028】
本発明では、各ボアが0.8mm以上の直径を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備えた冷却要素を備える、加熱式たばこを提供する。
【0029】
本発明では、2〜12個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備えた冷却要素を備える、加熱式たばこを提供する。
【0030】
好ましくは、本発明による加熱式たばこは、1つ以上の別個のさらなるセグメントをさらに備える。別個のさらなるセグメントは、たばこ煙フィルタ材料の(例えば、円筒形の)プラグであってもよい。好ましくは、別個のさらなるセグメントは、セルロースアセテートトウからできている。
【0031】
本出願人らは、複数のボアをHNBマウスピースの他のコンポーネント(例えば、他の別個のセグメント)とともに備える冷却要素は、加熱式たばこにおける蒸気を適切なレベルに冷却できることを知見した。出願人らは、ボアのサイズ、形状および配置を様々にすることによって加熱式たばこにおける気流をより良く制御することができ、したがって冷却効果を調整して必要な温度低下を提供できることを知見した。
【0032】
好ましくは、冷却要素の各ボアは、0.8mm〜2.5mmの直径を有する。好ましくは、各ボアは、1.5mm〜2.5mmの直径を有する。出願人らは、これらの直径を有するボアは、最適な冷却特性を提供できることを知見した。冷却要素が異なる直径の複数のボアを備え得ることが理解されよう。冷却要素は、2〜12個のボアを含むことができる。好ましくは、冷却要素は、2〜6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、2,3,4,5または6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、4〜6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、3,4または5個のボアを含む。出願人らは、3,4または5個のボアを含む冷却要素が、加熱式たばこにおいて蒸気を最適に冷却できることを知見した。
【0033】
好ましくは、冷却要素は、セルロースアセテートから作られる。好ましくは、冷却要素は、セルロースアセテートから熱成形される。セルロースアセテートは、可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)、ポリエチレングリコール(PEG)もしくは他の可塑剤、または可塑剤の混合物)をさらに含んでいてもよい。可塑剤(例えば、トリアセチン)は、存在する場合、セルロースアセテート材料の総重量の15%〜21.5%、好ましくは15%〜19%の量でセルロースアセテート材料に適用することができる。本出願人らは、セルロースアセテートの冷却要素は、マウスピースの他のコンポーネントとともに、消費者に満足できる外観および感覚(例えば、口当たりを含む)を提供する一方で、過熱たばこにおける蒸気を適切に冷却できることを知見した。これは、セルロースアセテートセグメントでは効果的な冷却を行えない、という従来の知恵を考えると驚くべきことである。
【0034】
好ましくは、冷却要素の長さは、5〜50mm、例えば10〜30mm、例えば8〜24mm、例えば15〜20mm、例えば18mmである。
【0035】
好ましくは、冷却要素の外周は、12〜30mm、例えば15〜28mmであり、より好ましくは17〜25mm、例えば18〜25mm、例えば20〜24mm、例えば22〜24mm、例えば23mm、例えば22mmである。
【0036】
冷却要素の各ボアの断面は、任意の形状とすることができる。好ましくは、各ボアは、略円形断面を有する。あるいは、各ボアの断面は、異なる形状(円形、半円形(D字形)、四角形、三角形、中空星形、三葉形、五角形もしくは歯(cog)形の断面、またはロゴもしくは他のパターンの形状の断面)であってもよい。本発明による冷却要素は、異なる形状の断面を有する複数のボアを含んでいてもよく、例えば、冷却要素は、円形断面のボアと四角形断面のボアとを含む。これは、図3に見ることができる。
【0037】
好ましくは、冷却要素は、略円形断面を有する。これは、冷却要素が略円筒形であることを意味する。しかしながら、本発明の冷却要素は、任意の形状とすることができる。例えば、冷却要素は、楕円形断面または正方形断面または長方形断面を有していてもよい。
【0038】
好ましくは、冷却要素の各ボアは、コアの全長にわたって長手方向に延びる。
【0039】
本発明によれば、さらなる態様において、各ボアが0.8mm以上の直径を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える冷却要素の、加熱式たばこにおける、使用を提供する。
【0040】
本発明によれば、さらなる様態において、2〜12個の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える冷却要素の、加熱式たばこにおける、使用を提供する。
【0041】
好ましくは、本発明による加熱式たばこは、1つまたは複数の別個のさらなるセグメントをさらに備える。別個のさらなるセグメントは、たばこ喫煙フィルタ材料の(例えば、円筒形の)プラグであってもよい。好ましくは、別個のさらなるセグメントは、セルロースアセテートトウから作られる。
【0042】
本出願人らは、複数のボアをHNBマウスピースの他のコンポーネント(例えば、他の別個のセグメント)とともに備える冷却要素は、加熱式たばこにおける蒸気を適切なレベルに冷却することができることを知見した。本出願は、ボアのサイズ、形状および配置を様々にすることによって加熱式たばこ内の気流をより良く制御することができ、したがって冷却効果を調整して必要な温度低下を提供できることを知見した。
【0043】
好ましくは、冷却要素の各ボアは、0.8mm〜2.5mmの直径を有する。好ましくは、各ボアは、1.5mm〜2.5mmの直径を有する。本出願人らは、これらの直径を有するボアが最適な冷却特性を提供できることを知見した。冷却要素が異なる直径の複数のボアを備え得ることが理解されよう。冷却要素は、2〜12個のボアを含むことができる。好ましくは、冷却要素は、2〜6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、2,3,4,5または6個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、3,4または5個のボアを含む。好ましくは、冷却要素は、4〜6個のボアを含む。本出願人らは、3,4または5個のボアを含む冷却要素が、加熱式たばこにおいて蒸気を最適に冷却できることを知見した。
【0044】
好ましくは、冷却要素はセルロースアセテートから作られる。好ましくは、冷却要素は、セルロースアセテートから熱成形される。セルロースアセテートは、可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)、ポリエチレングリコール(PEG)もしくは他の可塑剤、または可塑剤の混合物)をさらに含んでいてもよい。可塑剤(例えば、トリアセチン)は、存在する場合、セルロースアセテート材料の総重量の15%〜21.5%、好ましくは15%〜19%の量でセルロースアセテート材料に適用することができる。本出願人らは、セルロースアセテートの冷却要素は、マウスピースの他のコンポーネントとともに、消費者に満足できる外観および感覚(例えば、口当たりを含む)を提供する一方で、加熱式たばこにおける蒸気を適切に冷却できることを知見した。これは、セルロースアセテートセグメントでは効果的な冷却を行えない、という従来の知恵を考えると驚くべきことである。
【0045】
好ましくは、冷却要素の長さは、5〜50mm、例えば10〜30mm、例えば8〜24mm、例えば15〜20mm、例えば18mmである。
【0046】
好ましくは、冷却要素の外周は、12〜30mm、例えば15〜28mmであり、より好ましくは17〜25mm、例えば18〜25mm、例えば20〜24mm、例えば22〜24mm、例えば23mm、例えば22mmである。
【0047】
冷却要素の各ボアの断面は、任意の形状とすることができる。好ましくは、各ボアは、略円形断面を有する。あるいは、各ボアの断面は、異なる形状(円形、半円形(D字形)、四角形、三角形、中空星形、三葉形、五角形もしくは歯(cog)形の断面、またはロゴもしくは他のパターンの形状の断面)であってもよい。本発明による冷却要素は、異なる形状の断面を有する複数のボアを含んでいてもよく、例えば、冷却要素は、円形断面のボアと四角形断面のボアとを含む。これは、図3に見ることができる。
【0048】
好ましくは、冷却要素は、略円形断面を有する。これは、冷却要素が略円筒形であることを意味する。しかしながら、本発明の冷却要素は、任意の形状とすることができる。例えば、冷却要素は、楕円形断面または正方形断面または長方形断面を有していてもよい。
【0049】
好ましくは、冷却要素の各ボアは、コアの全長にわたって長手方向に延びる。
【0050】
ここで、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態による冷却要素を含む、本発明によるHNBたばこの概略図である。
図2図1に示す本発明の冷却要素の概略図である。
図3】ボアの断面が様々な異なる形状である、本発明の様々な実施形態による多数の冷却要素の断面プロファイルを示す図である。
図4】HNBたばこに冷却要素Bが含まれる場合と比較して、HNBたばこに冷却要素Aが含まれる場合に、吸入時におけるHNBたばこの口端の温度がどのように変化するのかを示すグラフである。
図5】HNBたばこに冷却要素Cが含まれる場合と比較して、HNBたばこに冷却要素Aが含まれる場合に、吸入時におけるHNBたばこの口端の温度がどのように変化するのかを示すグラフである。
図6】HNBたばこに冷却要素Dが含まれる場合と比較して、HNBたばこに冷却要素Aが含まれる場合に、吸入時におけるHNBたばこの口端の温度がどのように変化するのかを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、円筒形のHNBたばこ100の概略図を示す。HNBたばこ100は、4つのセグメント:再構成たばこの円筒形プラグ102;セルロースアセテートトウの円筒形プラグ104;本発明の一実施形態による円筒形の冷却要素106;およびセルロースアセテートトウの円筒形プラグの形態のマウスピースセグメント108を備える。再構成たばこのプラグ102は、長さ8mm、外周22mmであり、HNBたばこ100の一端を形成する。これは、HNBデバイスに挿入される端である。再構成たばこのそのようなプラグは、当技術分野で周知である。このプラグは、当技術分野で周知のように、使用中に加熱デバイスにより加熱されて蒸気を生成する。再構成たばこのプラグ102は、一端が、同じく外周22mmで長さ18mmのセルロースアセテートトウの円筒形プラグ104に当接する。再構成たばこのプラグ102と反対側のセルロースアセテートトウのプラグ104の端は、本発明の一実施形態による円筒形の冷却要素106に当接する。
【0053】
図2は、長さ18mm、外周22mmである、熱成形されたセルロースアセテート材料からなる長手方向延在コア110を備える、冷却要素106を示す。長手方向延在コア110は、3つの長手方向延在ボア112を含む。ボアはすべて円形断面を有する。各長手方向延在ボア112は、約2mmの直径を有する。長手方向延在ボア112は、円筒形プラグ104に当接する端からマウスピースセグメント108に当接する端まで、長手方向延在コア110の全長にわたって延びている。図1および2から見てとれるように、長手方向延在ボア112は、長手方向延在コア110内に実質的に三角形配列で配置されている。冷却要素106は、均一な軸断面を有する。冷却要素106の製造は以下で説明する。
【0054】
マウスピースセグメント108は、長さ7mm、外周22mmであり、セルロースアセテートトウの円筒形プラグを備える。セグメント108は、セルロースアセテートトウ104の円筒形プラグとは反対側の、冷却要素106の端に当接して、冷却要素106がマウスピースセグメント108とプラグ104との間に配置されている。
【0055】
再構成たばこの円筒形プラグ102、セルロースアセテートトウの円筒形プラグ104、円筒形の冷却要素106およびセルロースアセテートトウの円筒形プラグの形態のマウスピースセグメント108は、(当技術分野で周知の)従来のプラグラップ紙でできたプラグラップ(不図示)でさらに巻かれている。これは、従来のたばこの外観と同様の外観を提供する。
【0056】
使用中、HNBたばこ100の再構成たばこの円筒形プラグ102は、HNBデバイスに挿入される。HNBデバイスは、HNBデバイスの従来の方法で再構成たばこを加熱する。これにより高温蒸気が生成され、該蒸気は、最初にセルロースアセテートトウ104のプラグを通り、次に冷却要素106を通り、最後にマウスピースセグメント108を通って喫煙者の口に引き込まれる。この高温蒸気を冷却要素106の3つのボアを通して引き込むことにより、蒸気がユーザにとって許容可能な温度まで冷却されると考えられている。出願人らは、三角形配列にある3つのボアを使用すると、特に効果的なレベルで冷却できることを知見した。さらに、そのような冷却効果は、通常、セルロースアセテート材料からは予期できないものである。
【0057】
熱成形されたセルロースアセテート冷却要素106は、本発明による方法で製造される。トリアセチン可塑剤を含むセルロースアセテートのフィラメントトウの連続束(フィラメントトウおよびトリアセチン可塑剤の総重量による可塑剤の存在割合は約18%)を、固定ダイを通して引っ張る。固定ダイを通して引っ張る間にセルロースアセテート材料を熱処理して、熱成形されたセルロースアセテート材料からなる長手方向延在コアを形成する。固定ダイは、固定ダイを通って延びるインナーロッド(マンドレル)を含む。マンドレルは、直径2mmの円形断面を有する3つのピンで構成されている。セルロースアセテート材料がダイを通して引っ張られると、該材料はマンドレルのピンの周りを通過するので、ダイを出るときに、熱成形されたセルロースアセテート材料のコア110を通って長手方向に延びる、直径2mmの3つのボア112を有する冷却要素106が形成される。セルロースアセテートがダイ内のダクトを介してダイ内にある間に、セルロースアセテートに過熱蒸気を適用する。過熱蒸気がトリアセチン可塑剤を硬化させ、冷却要素106がダイを出た後にその形状を維持できるようにする。形成後、セルロースアセテート冷却要素106を、長時間(13秒)にわたって温度22〜25℃の冷却空気にさらす。
【0058】
ピンの形状およびサイズを調整することにより、ボアの形状およびサイズを調整できることが理解されよう。図3は、本製造方法によって製造することができるボアの可能な形状の例を示す。
【実施例】
【0059】
<実験>
本発明の方法により、本発明の冷却要素Aを作製した。冷却要素Aは、熱成形されたセルロースアセテート材料からなる長手方向延在コアを備える。該コアは、長さ18mm、外周22mmである。長手方向延在コアは、4つの長手方向延在ボアを含み、それらすべてが円形断面を有する。各長手方向延在ボアは、1.5mm〜1.6mmの直径を有する。長手方向延在ボアは、長手方向延在コアの全長にわたって延びている。
【0060】
冷却要素Aは、3つの従来の管状冷却要素(1つのボアを含み、異なる材料でできている)に対して試験した。冷却要素は、3つの異なる従来のHNBたばこ(例えば、ヒートスティック)で試験した。各HNBたばこには、従来の冷却要素B,CまたはDのうちの1つが含まれている。冷却要素Bはペーパーチューブであり、冷却要素Cはアセテートチューブであり、冷却要素Dは中空PLAロープであった。
【0061】
各HNBたばこを加熱デバイスに挿入した。HNBたばこの口端を、HNBたばこを喫煙するように構成された喫煙機に挿入した。IRカメラを使用して、それが喫煙されている間における、HNBたばこの口端での温度を分析した。喫煙機は、HNBたばこを30秒ごとに吸うように構成され、1回の吸入の長さは2秒であった。HNBたばこの口端における温度は、吸入ごとに測定した。この実験は、標準の室温および湿度で行った。各HNBたばこについてこの実験を繰り返した。つぎに、従来の冷却要素(B,CおよびD)をHNBたばこから取り除き、本発明による冷却要素Aに取り換えた。3つのHNBたばこ(ここでは、冷却要素Aを含む)の各々についてこの実験を繰り返した。
【0062】
図4,5および6は、冷却要素B,CおよびDとの比較で、冷却要素Aを含むHNBたばこの吸入ごとの口端の温度を示す。これらの図は、本発明の冷却要素Aが、例えば、製造コストを安価にする、味や感触などのより良い感覚特性を提供する、といった多数の追加の利点を提供しながら、従来の冷却要素と同等またはそれ以上の冷却効果を提供できることを示している。特に、図6は、冷却要素Aを有するHNBたばこの口端の温度は、各吸入について、PLA冷却要素Dを有するものの口端の温度よりも大幅に低いことを示している。これは、本発明の熱成形されたセルロースアセテート冷却要素が、PLA要素の多くの欠点なしに、従来のPLA要素に対して改善された冷却効果を提供できることを示している。
【要約】      (修正有)
【課題】加熱式たばこのプラグにおいて、必要な温度低下をもたらすために、一貫したおよび/または予測可能な冷却効果を有する冷却要素を提供する。
【解決手段】加熱式たばこ100は、4つのセグメント、再構成たばこの円筒形プラグ102、セルロースアセテートトウの円筒形プラグ104、円筒形の冷却要素106、およびセルロースアセテートトウの円筒形プラグの形態のマウスピースセグメント108を備える。冷却要素106は、熱成形されたセルロースアセテート材料からなる長手方向延在コア110を備える。長手方向延在コア110は、3つの長手方向延在ボア112を含む。ボアはすべて円形断面を有する。各長手方向延在ボア112は、約2mmの直径を有する。冷却要素106は、各ボアが0.8mm以上の直径を有する、複数の長手方向延在ボアを含む長手方向延在コアを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6