(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記連結部材と前記第1の接合面との間に、前記ホルダ部と前記外側電極との電気的な接続を妨げない位置に、第2のシール部材を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング機用洗剤濃度センサ。
前記第1のシール部材、前記第2のシール部材、及び、前記第3のシール部材は、それぞれ、ニトリルゴムから形成される、ことを特徴とする請求項3に記載のドライクリーニング機用洗剤濃度センサ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る、ドライクリーニング機用洗剤濃度センサについて、図面を参照して詳細に説明する。このドライクリーニング機用洗剤濃度センサは、ドライクリーニング業務に用いられるクリーニング液におけるドライソープ(洗剤)の濃度を測定するセンサである。より具体的に説明すると、ドライクリーニング液は、ドライクリーニング溶剤とドライソープとの混合液である。ドライクリーニング溶剤は、例えば石油系の溶剤で、いわゆる絶縁体である。一方、ドライソープは、例えば親油基と親水基とを含む界面活性剤であり、いわゆる導体である。絶縁体であるドライクリーニング溶剤に、導体であるドライソープを混合することで、クリーニング液に電流が流れるようになり、ドライソープのドライクリーニング溶剤に対する濃度が高くなるほど、電流が流れる量が大きくなる。つまり、本実施の形態のドライクリーニング機用洗剤濃度センサは、体積抵抗率の逆数である導電率を計測することで、クリーニング液に含まれるドライソープの濃度を計測する。
【0010】
(構成)
図1に示すように、本実施の形態に係る、ドライクリーニング機用洗剤濃度センサ1(以下、単に濃度センサ1とも称する)は、電極部2と、ホルダ部3と、ケーブル4と、コードブッシング5と、を備える。この濃度センサ1は、例えば、ドライクリーニング機のクリーニング液が貯留されるタンク(図示せず)内に配置される。以下、この濃度センサ1の各部について更に詳細に説明する。
【0011】
(電極部の構成)
図2の断面図に示すように、電極部2は、外側電極21と、内側電極22と、サーミスタ23と、連結部材24と、を備える。電極部2は、外側電極21と内側電極22との間に所定の電圧を印加することで、クリーニング液に含まれるドライソープの濃度に応じた電流値を計測するためのものである。
【0012】
外側電極21は、内部が中空の略円筒形状に形成され、例えば、SUS304等のステンレスから形成される。この外側電極21は、筒状部211と、フランジ212とを備える。
【0013】
筒状部211は、例えば、濃度センサ1の長手方向に延伸する円筒形状を有し、その外周面に筒状部211の内部空間SP1に連通する複数の孔213が形成され(
図1参照)、さらに一端OPが開口されて内部空間SP1に連通する開口端である。複数の孔213及び開口端OPを介して、クリーニング液が筒状部211の内部空間SP1に流入する。
【0014】
フランジ212は、筒状部211と同軸な円盤状に形成され、筒状部211の他端側、つまり、開口端である一端OPの反対側に当該筒状部211と一体に形成される。フランジ212は、筒状部211よりも大きな外径を有する。また、フランジ212は、長手方向の長さが、筒状部211よりも短い。フランジ212の外周面と、筒状部211の外周面との接合面214は、例えば、断面視で、フランジ212から筒状部211に向かって縮経するテーパ面である。フランジ212の内周面には、周方向に渡って雌ネジ215が形成される。長手方向における雌ネジ215の深さは、例えば、長手方向におけるフランジ212の接合面214を除いた厚さと略等しい。また、フランジ212のホルダ部3側の端面は、略平坦に形成される。
【0015】
内側電極22は、例えば、SUS304等のステンレスから形成される。この内側電極22は、
図2及び
図3の断面図に示すように、外側電極21の直径よりも小さい直径を有する円筒形状を有し、外側電極21と同軸に、外側電極21の内部空間SP1に配置される。内側電極22は、後述する連結部材24に保持されて外側電極21に対して金属接触なしで配置される。内側電極22は、長手方向において内部が所定の深さだけ中空に形成されて内部空間SP2が設けられる。内部空間SP2の内周面には、周方向に渡り、長手方向において所定の長さだけ雌ネジ221が形成される。内側電極22の連結部材24側の端面には、円形のキャビティ222が形成される。
【0016】
内側電極22は、また、第1のシール部材223を備える。なお、図示による理解の容易化を図るため、第1のシール部材223を、
図3においては
陰影で強調して示す。第1のシール部材223は、キャビティ222にはめ込まれ、内部空間SP2を、内部空間SP1に流入したクリーニング液から液密にシールする。内部空間SP2にクリーニング液が流入すると、ドライソープの濃度の計測精度が低下するためである。第1のシール部材223は、例えば、キャビティ222と略同形状のOリングである。このOリングは、例えば、ニトリルゴムから形成される。第1のシール部材223が、内側電極22を連結部材24に対して締め付けた際に一定の力で潰れて好適にシールするよう、また内側電極22を連結部材24に対して締め付け過ぎて潰れすぎないよう、キャビティ222の深さや径を適宜設計するとよい。一の具体例として、内側電極22の外径が20mmの場合、キャビティ222は、2mmの深さを有し、また、18.8mmの径を有する。第1のシール部材223は、キャビティ222にはめ込まれた状態で、少なくとも部分的にキャビティ222の外部に露出する。
【0017】
ここで、本発明者は、Oリングの材料について様々なテストを行った。市販されているOリングの材料は、エチレンプロピレンゴムであるが、これは、石油系の溶剤であるドライクリーニング溶剤によって溶解または膨張し、内部空間SP2を好適にシーリングできないことが判明した。そこで、耐油性のクロロプレンゴムをテストした。しかしながら、ドライクリーニング業務で主に用いられる石油系の溶剤の場合、衣類から溶出したタンパク質等の汚れが分解、酸化され、大量の遊離脂肪酸が使用した溶剤に混在するようになる。これによってドライクリーニング溶剤の酸価値(脂肪酸量)が上昇することが知られている。本発明者によるテストでは、使用によって酸価値が上昇したドライクリーニング溶剤が、耐油性とされるクロロプレンゴムを溶解し、破損することが判明した。
【0018】
本発明者は、Oリングの材料について、更に鋭意検討を行った。一般的に耐性の高いといわれるシリコーンゴムまたはフッ素ゴム(いわゆるバイトン)もテストしたが、シリコーンゴムは石油系のドライクリーニング溶剤で膨張し、シーリングには好適でなく、バイトンには次の理由から第1のシール部材223としては好適でないとの知見を得た。
【0019】
詳細に説明すると、バイトンは、石油系のドライクリーニング溶剤で劣化を生じないが、比較的硬度が高く、弾性が比較的低いため、良好なシール性を得るためには、弾性が比較的低い第1のシール部材233が好適につぶれるよう、第1のシール部材223を装着するキャビティ222の切削加工に高い精度が求められ、濃度センサ1全体のコストが増加してしまう。また、内側電極22と後述する連結部材24との組み立て時、弾性が低いことから内側電極22を連結部材24に対して締めすぎると割れる場合があり、割れが生じないように締めた場合には締め付けが不十分で良好なシール性が得られないので、組み立て工程が煩雑になる。そこで、耐久性、組み立て工程の容易さの両立を鑑みて、本発明者は、現状ではOリングの材料はニトリルゴムが好適、という知見を得て、採用するに至った。
【0020】
図3に戻る。内側電極22の内部のうち、内部空間SP2を除いた長手方向における上記開口OP側の部分は、中実であり、長手方向に沿って、サーミスタ孔224と端子取り付け孔225とが形成される。サーミスタ孔224と端子取り付け孔225とは、径方向に互いに離間して形成され、非連通である。また、サーミスタ孔224と端子取り付け孔225とは、内側電極22の中心軸から径方向にオフセットされた異なる位置に設けられる。サーミスタ孔224には、後述するサーミスタ23が挿入される。サーミスタ孔224は、非貫通孔である。貫通孔の場合、上記の開口OP側の端から、クリーニング液が当該貫通孔を介して内部空間SP2に流入してしまう可能性があるためである。
【0021】
サーミスタ孔224は、可能な限り、挿入されるサーミスタ23に対するクリアランスが小さいことが好ましい。熱導電性を損なわず、ドライソープの濃度の測定精度の向上に寄与できるからである。例えば、サーミスタ23の外径が4ミリの場合、サーミスタ孔224の直径は、4.2ミリとすると好適である。また、サーミスタ孔224の長さ方向の深さは、サーミスタ23の長さと略一致する。
【0022】
端子取り付け孔225は、例えば、ボルトを螺合する非貫通孔であり、ボルトを介して図示しない外部の濃度計装置から延伸する一の配線22Wを内側電極22に接続する。内側電極22の内部空間SP2は、サーミスタ23や配線22Wの配線作業等を容易にするために確保される空間である。
【0023】
サーミスタ23は、温度、つまり、内側電極22が接触するクリーニング液の温度を計測しながら、温度上昇による濃度センサ1の誤差を校正してドライソープの濃度の測定精度の向上を図るために設けられる。具体的には、濃度センサ1は、体積抵抗値の逆数である導電率をドライソープの濃度に換算するものであるが、温度によりドライソープの体積が変化すると、導電率も変化し、温度が上昇することで濃度に変化がないにもかかわらず導電率が上昇(換言すると、体積抵抗値が低下)し、これがドライソープの濃度の測定精度の誤差を生じさせるので、この誤差を取り除くためにサーミスタ23が採用される。
【0024】
サーミスタ23は、配線が設けられていない一端側からサーミスタ孔224に挿入される。サーミスタ23の他端から延伸する一対のサーミスタ配線23Wは、外部の図示しない濃度計測装置に接続される。
【0025】
連結部材24は、電極部2をホルダ部3に対して連結し、外側電極21と、内側電極22とを互いに非接触で同軸に保持、つまり、電気的に分離しつつ同軸に保持する。連結部材24は、例えば、ジュラコン等の絶縁材料から形成されることが好ましい。外側電極21と内側電極22との電気的な分離を考慮して、ガラス系の材料の材料を採用した場合は、濃度センサ1の使用時において破損のおそれがあるので望ましくない。また、塩ビ等の他のプラスチック系材料を採用した場合には、外側電極21と内側電極22との保持の観点から強度が不十分だったり、一度使用したクリーニング溶剤では溶解する場合があるので望ましくない。連結部材24は、
図4(a)の断面図に示すように、基部241と、先端部242とを備える。
【0026】
基部241は、円筒形状を有し、外側電極21の内周と略等しい外径を有する。基部241のホルダ部3側の端の外周面には、周方向に渡って雄ネジ243が形成される。雄ネジ243が、外側電極21の雌ネジ215と螺合することで(
図2参照)、外側電極21が連結部材24によって同軸に保持される。例えば、雄ネジ243の長手方向における長さを、雌ネジ215の長さと略等しくすると、外側電極21の連結部材24に対する締め付けすぎ(オーバートルク)を防止するうえで一助となり、好適である。
【0027】
図4(b)に示すように、基部241のホルダ部3側の端面、つまり、後述するホルダ部3との接合面S1は、略平坦であり、この接合面S1には非貫通の複数のネジ孔245が形成される。複数のネジ孔245は、所定の深さで、例えば、基部241の中心に対して周方向に所定のピッチ、例えば、90度のピッチで設けられ、合計で4つのネジ孔245が形成される。これらのネジ孔245は、後述するホルダ部3側のキャビティ314と非干渉の位置に設けられ、電極部2をホルダ部3に固定するために設けられる。この固定については、後述して詳細に説明する。
【0028】
図4(a)に戻る。先端部242は、基部241と一体に形成される。より詳細には、基部241のホルダ部3側の接合面S1と反対側の端面247は、略平坦であり、この略平坦な端面247から、内側電極22の内部空間SP2に向かって突出するよう、先端部242が基部242と同軸かつ一体に形成される。当該平坦な端面には、第1のシール部材223に対応するキャビティは設けられていない。先端部242は、円筒形状を有し、基部241の外径よりも小さく、かつ、内側電極22の内径と略等しい外径を有する。
【0029】
また、先端部242の外周面には、周方向に渡り、雄ネジ246が形成される。この雄ネジ246は、内側電極22の雌ネジ221と螺合される。雄ネジ246と雌ネジ221とが螺合することで、内側電極22が連結部材24に対して保持され、ひいては、外側電極21に対して非接触、つまり、電気的に分離して同軸に保持される。同時に、第1のシール部材223が端面247によって押圧されてつぶされ、内側電極22と連結部材241との間が液密にシールされる。これにより、外側電極21の内周面と、内側電極22の外周面と、連結部材24の端面247とによって、クリーニング液が流入する内部空間SP1が形成され、内側電極22の内部空間SP2が、第1のシール部材223によって内部空間SP1に流入したクリーニング液から液密にシールされる。例えば、雄ネジ246の長手方向における長さを、キャビティ222の深さを含む雌ネジ221の長さと略等しくすると、内側電極22の連結部材24に対する締め付けすぎを防止でき、ひいては、オーバートルクによる第1のシール部材223がつぶれすぎてしまうことを防止でき、好適である。
【0030】
さらに、連結部材24には、貫通孔244が形成される。この貫通孔244は、連結部材24の中心、つまり、基部241の中心軸と、それと同軸な先端部242の中心軸とを通り、基部241のホルダ部3との接合面S1と、先端部242の内部空間SP2側の端面とを連通する。また、貫通孔244は、内側電極22の内部空間SP2と連通し、サーミスタ23のサーミスタ配線23W並びに内側電極22に接続された配線22Wが通される。
【0031】
(ホルダ部の構成)
次に、ホルダ部3の構成について説明する。ホルダ部3は、電極部2、つまり、連結部材24によって同軸にかつ電気的に分離して保持された外側電極21及び内側電極22を、連結部材24を介して同軸に保持する。ホルダ部3は、例えばSUS304等のステンレスから形成され、
図5の断面図に示すように、ホルダ部本体31と、蓋体32とを備える。
【0032】
ホルダ部本体31は、有底の中空円筒形状を有し、その外径が、外側電極21のフランジ212の外径と略等しい。ホルダ部本体31の外周には、複数の略矩形の凹部311が設けられる(
図1参照)。この凹部311は、例えば切削加工によって形成される。濃度センサ1の組み立ての際に、凹部311を介して例えばレンチでホルダ部本体31を保持することで、外側電極21や内側電極22の締め付け作業が容易となる。また、組み立てにホルダ部本体31が電極部2に対して回転してしま
い、サーミスタ配線23W等がよじれてしまうことを防止できる。ホルダ部本体31は、電極部2側の接合面S2と、蓋体32側の接合面S3とを有す
る。
【0033】
接合面S2は、円筒形状の底面であり、略平坦な面である。接合面S2は、後述するキャビティ314及び第2のシール部材315を除いて、上記の接合面S1と面一に当接する。
図6(a)に示すように、接合面S2には、その中心に貫通孔312が形成される。この貫通孔312は、連結部材24の貫通孔244と連通し、サーミスタ23のサーミスタ配線23W並びに内側電極22に接続された配線22Wが通される。また、貫通孔312を中心として、連結部材24の複数のネジ孔245のそれぞれに対応する位置にネジ用貫通孔313が形成される。このネジ用貫通孔313に図示しないネジを挿通し、連結部材24のネジ孔245に対してネジを締め付けることで、連結部材24、ひいては電極部2がホルダ部3に固定される。
【0034】
ここで、ホルダ部3と電極部2との固定に関してさらに詳細に説明する。例えば、電極部2側の連結部材24の接合面S1の中心に、雄ネジを構成する突起を設け、ホルダ部3側のホルダ部本体31の接合面S2の中心に、当該雄ネジと螺合する雌ネジが形成されたネジ孔が設けられた場合を考える。この場合、ホルダ部3と電極部2とを固定するには、ホルダ部3に対して電極部2を締め込む必要があるが、締め込みの際に、電極部2を回転することで、サーミスタ23のサーミスタ配線23W等によじれが生じる場合がある。この配線のよじれによって、配線不良が生じる場合があり、これによってサーミスタ23の動作不良につながるおそれがある。サーミスタ23が動作不良を起こすことで、濃度センサ1の計測精度が低下する。一方、本実施の形態の構成による固定手法であれば、ホルダ部3に電極部2を締め込む必要がない。そのため、電極部2を回転することによる配線22W、23Wのよじれが生じず、配線不良が生じにくいので、配線不良によるサーミスタ23の動作不良を防止でき、ひいては、濃度センサ1の計測精度の向上に寄与することができる。
【0035】
図6(a)に戻る。接合面S2には、貫通孔312を中心として、半径方向外側に周方向に環状のキャビティ314が形成される。このキャビティ314は、半径方向において貫通孔312及び複数のネジ用貫通孔313に対して非干渉の位置に設けられる。また、キャビティ314は、ホルダ部3と外側電極21との金属接触、つまり電気的な接続を、後述する第2のシール部材315が妨げないような位置、幅で形成される。例えば、本実施の形態においては、キャビティ314は、半径方向において、貫通孔312と複数のネジ用貫通孔313の外側に設けられる。ホルダ部本体31は、キャビティ314と略同形の第2のシール部材315を備え、この第2のシール部材315がキャビティ314にはめ込まれる。なお、図示による理解の容易化を図るため、第2のシール部材315を、
陰影で強調して示す。第2のシール部材315は、例えば、第1のシール部材223と同様のOリングであり、キャビティ314にはめ込まれた状態で、少なくとも部分的にキャビティ314の外部に露出する。換言すると、キャビティ314は、第2のシール部材315が少なくとも部分的に露出する深さを有する。ホルダ部3と電極部2とを固定する際に、第2のシール部材315が接合面S1によって押圧されてつぶされて、接合面S1と接合面S2との間を良好にシールするようにするためである。そのため、接合面S1側、つまり、連結部材24側には、第2のシール部材315を受けるキャビティを設けていない。
【0036】
より詳細に説明すると、例えば、接合面S2のキャビティ314に加えて、接合面S1にも第2のシール部材315を受けるキャビティを形成した場合、良好なシール性を得るためには、第2のシール部材315、つまりニトリルゴムから形成されるOリングについてより高度な製作精度(例えば、Oリングの線径についての精度)が必要となり、コスト増加につながる。また、接合面S1にもキャビティを形成した場合には、当該Oリングのつぶれが不十分となって良好なシール効果が得られない場合が生じ得る。そこで、接合面S1に設けられたネジ孔245に対して図示しないネジを締め付けることで、所定の力でOリング、つまり、第2のシール部材315が好適につぶされるように、本実施の形態では接合面S2側のみにキャビティ314を形成している。このような構成の一の具体例として、例えば、連結部材24の接合面S1が、雄ネジ243を除いた径が22mmの場合、キャビティ314は22〜22.3mmの外径を有し、17.7mmから18mの内径を有し、2mm〜4.6mmの幅を有し、1.4mmから4.6mmの深さを有する。これは、上記の内側電極22と連結部材24との接合面においても同様であり、このような理由から、連結部材24の端面247には、第1のシール部材223を受けるキャビティが設けられていない。
【0037】
図6(b)を参照する。接合面S3側から見て、ホルダ部本体31は、円筒形状の周面によって画定される内部空間SP3を有する。内部空間SP3は、有底の略円筒形状に形成され、その底部が接合面S2の一部である。当該底部に、上記のネジ孔313や貫通孔312が設けられる。内部空間SP3は、貫通孔312と同軸に設けられ、貫通孔312を介して連結部材24の内部空間SP2と連通する。内部空間SP3も、配線スペースとして用いられる。内部空間SP3は、サーミスタ23のサーミスタ配線23W等の配線作業を容易としつつ、複数のネジ用貫通孔313へのネジの挿通作業を容易とする適宜の寸法を有する。
【0038】
内部空間SP3を包囲するホルダ部本体31の周面の蓋体32側の端面が、蓋体32との接合面S3を形成する。図示による理解の容易化を図るため、接合面S3を、
陰影で強調して示す。接合面S3は、略平坦に形成される。接合面S3には、周方向に所定のピッチ、例えば、90度のピッチで合計で4つの所定の深さの非貫通のネジ孔316が設けられる。これらのネジ孔316は、後述する蓋体32のキャビティ323と非干渉の位置に設けられる。
【0039】
図5、
図7(a)及び
図7(b)を参照する。蓋体32は、ホルダ部本体31の内部空間SP3に封をする。この蓋体32は、ホルダ部本体31の外径と略等しい外径を有するディスク状に形成され、ホルダ部本体31側の面が、接合面S3と当接する接合面S4を形成する。蓋体32は、ネジ孔321と、複数のネジ用貫通孔322と、キャビティ323と、第3のシール部材324とを備える。接合面S4は、略平坦に形成され、上記の接合面S3と、キャビティ323と第3のシール部材324とを除いて、面一に当接する。
【0040】
より詳細には、ネジ孔321は、蓋体32の略中心に設けられ、蓋体32の厚さ方向に沿って当該蓋体32を貫通する。ネジ孔321の内周面には、周方向に雌ネジ325が形成され(
図5参照)、後述するコードブッシング5が固定される。複数のネジ用貫通孔322は、ネジ孔321を中心として、ホルダ部本体31の複数のネジ孔316のそれぞれに対応する位置に設けられる。この複数のネジ用貫通孔322のそれぞれに、図示しないネジを挿通し、複数のネジ孔316に対して締め付けることで、蓋体32がホルダ部本体31に固定される。蓋体32とホルダ部本体31とを互いに回転させて締め付けて螺合によって固定する構成ではなく、このような構成による固定手法を採用したことで、上記のように、サーミスタ23のサーミスタ配線23W等の配線のよじれを防止し、ひいては、濃度センサ1の計測精度の向上を図る。
【0041】
また、キャビティ323は、接合面S4に設けられる。キャビティ323は、ネジ孔321を中心として周方向に環状に形成され、半径方向においてネジ孔321及び複数のネジ用貫通孔322に対して非干渉の位置に設けられる。例えば、本実施の形態においては、キャビティ323は、半径方向において、ネジ孔321と複数のネジ用貫通孔322との間に設けられるとともに、接合面S3と当接する位置に設けられる。キャビティ323は、第3のシール部材324が、ホルダ部本体31と蓋体32との電気的な接続を妨げないような位置、幅で形成される。第3のシール部材324は、例えば、キャビティ323と略同形のOリングであり、第1及び第2のシール部材223、315と同じ材料から形成され、キャビティ323にはめ込まれる。図示による理解の容易化を図るため、
図7(a)において、キャビティ323にはめ込まれた状態の第3のシール部材324を、
陰影で強調して示す。第3のシール部材324は、キャビティ323にはめ込まれた状態で、少なくとも部分的にキャビティ323の外部に露出する。換言すると、キャビティ323は、第3のシール部材324が少なくとも部分的に露出する深さを有する。ホルダ部本体31と蓋体32とを固定する際に、第3のシール部材324が接合面S3によって所定の力で押圧されてつぶされ、接合面S3と接合面S4との間を良好にシールするようにするためである。そのため、接合面S3側、つまり、ホルダ部本体31側には、第3のシール部材324を受けるキャビティを設けていない。接合面S1側等に第1のシール部材223等を受けるキャビティを設けないことと同様の理由である。このような構成の一の具体例として、例えば、キャビティ323は、27〜27.3mmの外径を有し、22.7〜23mmの内径を有し、2〜2.3mmの幅を有し、0.8〜1.4mmの深さを有する。
【0042】
(ケーブルの構成)
次に、ケーブル4について説明する。
ケーブル4は、外部の洗剤濃度計測装置(図示せず)に接続される。ケーブル4は、いわゆる4芯のシールド付きケーブルであり、
図8に示すように、芯線41と、芯線41を被覆する絶縁スリーブ42と、絶縁スリーブ42を被覆するメッシュ状のシールド43と、芯線41、絶縁スリーブ42及びシールド43を被覆するケーブルチューブ44とを備える。芯線41は、4芯の被覆配線を含み、4芯のうち2芯がサーミスタ配線23Wであり、4芯のうち1芯が内側電極22に接続される配線22Wであり、残りの1芯が外側電極21に接続される配線21Wである。なお、図示は省略しているが、配線21Wは、例えば、一端に丸形端子が設けられ、当該丸形端子の開口にネジ用貫通孔313に挿通されてネジ孔245に固定されるネジを通し、当該ネジを締めることで外側電極21に電気的に接続される。配線21Wの他端は、図示しない外部の洗剤濃度計測装置に接続される。シールド43は、図示しない外部の濃度計測装置のアースに接続される。シールド43と、芯線41とは、ケーブル4内において、絶縁スリーブ42及び各配線の被覆によって電気的に絶縁される。濃度センサ1がクリーニング液内に配置された状態で、内側電極22に接続される配線22Wと外側電極21に接続される外側配線21Wとの間を通電することで、外側電極21と内側電極22との間で電位差が生じ、クリーニング液内のドライソープの濃度に応じた電流が生じる。外部の濃度計測装置でこの電流の値を測定することで、ドライソープの濃度に応じて導電率が変化するクリーニング液の導電率が測定でき、ひいては、ドライソープの濃度の計測が可能となる。
【0043】
ケーブルチューブ44は、例えば、フッ素系の材料から形成される。シリコンや塩ビ等の材料では、クリーニング液に浸した際に溶解するおそれがあるからである。一例として、ポリビニルから形成されるスリーブに、フッ素系の材料から形成されるチューブを被覆することで、曲げに関する柔軟性が良好で、鋭利な物に対して耐性を有するケーブルチューブ44を得ることができ、好適である。
【0044】
(コードブッシングの構成)
次に、コードブッシング5について説明する。
図9に示すように、コードブッシング5は、いわゆるケーブルグランドと呼ばれるものであり、本体51と、ケーブル抑え部52と、パッキン53と、キャップナット54と、第4のシール部材55とを備える。
【0045】
本体51は、ニッケルメッキが施された真鍮から形成される。耐腐食性等が得られるためである。本体51は中空の円筒形状を有し、その外周に雄ネジ511が形成されるとともに、長さ方向の所定位置においてナット512が一体に形成される。雄ネジ511は、その長手方向においてナット512を基準として、一端がネジ孔321に螺合によって固定され、他端にキャップナット54が螺合によって固定される。
【0046】
ケーブル抑え部52は、コードブッシング5内でケーブル4がよじれたり位置ズレを生じたりしないようにする。ケーブル抑え部52は、例えば、本体51の中空の内周面にフィットする外径を有するスリーブ521であり、その内周にケーブル4が通される。ケーブル抑え部52のキャップナット54側の端は、例えば、当該ケーブル抑え部52よりも拡径されたフランジ522として形成され、その周方向に、長手方向に延伸する複数のスリットが形成される。つまり、ケーブル抑え部52は、スリーブ521が本体51に挿入され、フランジ522が本体51から露出する。
【0047】
パッキン53は、例えば、ニトリルゴムから形成され、ケーブル抑え部52の
フランジ522の内周と略等しい外径を有し、また当該ケーブル抑え部52の拡径されていない部分の内径よりも大きい外径を有する中空円筒形状に形成される。パッキン53は、
フランジ522の内周に配置され、ケーブル4が通される。
【0048】
キャップナット54は、例えば、ニッケルメッキが施された真鍮から形成される。中心に貫通孔541が形成されてケーブル4が通され、また、その内周に雌ネジが形成され、本体51の、ケーブル抑え部52が取り付けられた側に螺合される。キャップナット54を本体51に対して締め付けることで、
フランジ522が縮径し、ひいては、パッキン53が所定の力でつぶされる。これにより、ケーブル4とキャップナット54の貫通孔541との間が液密にシールされ、クリーニング液が内部に流れ込むことを防止する。
【0049】
第4のシール部材55は、例えば、ニトリルゴムから形成されるOリングであり、本体51が蓋体32のネジ孔321に挿入されて螺合によって所定の力で締め付けられることで、本体51とネジ孔321との間、ひいては、コードブッシング5とホルダ部3との間を液密にシールする。
【0050】
(作用・効果)
以上説明したとおり、本発明の一の実施の形態によれば、両端が開口された金属製の中空形状の外側電極21と、外側電極21内に同軸に配置される金属製の半中空形状の内側電極22と、絶縁材料から形成され、外側電極21内に同軸に非接触で配置されて一の外周(例えば、243)で外側電極21を保持し、他の外周(例えば、246)で内側電極22を保持する連結部材24であって、その長手方向に貫通孔244が形成される連結部材24と、内側電極22の中実部分(例えば、224)に挿入されるサーミスタ23と、底部を有する金属製の中空形状のホルダ部3であって、底部が外側電極21の端面及び連結部材24の端面に面一に当接する第1の接合面(S2)を形成し、中空部分(SP3)が第1の接合面に形成された貫通孔312を介して連結部材24の貫通孔244と連通するホルダ部3と、ホルダ部3の開口端の面と面一に当接する第2の接合面(S4)を有し、ホルダ部3の中空部分(SP3)と連通する貫通孔(321)が第2の接合面に形成された金属製の蓋体32と、一端が前記蓋体32の貫通孔、ホルダ部3の中空部分、連結部材24の貫通孔を介して内側電極22に接続され、他端が外部の装置に接続される内側電極配線22Wと、一端が蓋体32の貫通孔、ホルダ部3の中空部分、連結部材24の貫通孔を介してサーミスタ23に接続され、他端が外部の装置に接続される
サーミスタ配線23Wと、一端が前記外側電極に接続され、他端が前記外部の装置に接続される外側電極配線と、を備えるケーブル4と、を備え、外側電極21の内周面と、内側電極22の外周面と、連結部材の前記内側電極側の端面247とによって、内部空間SP1が形成され、内部空間SP1には、外側電極21の連結部材と反対の側の開口OPを介してドライクリーニング溶剤とドライソープとの混合液であるドライクリーニング液が流入し、内側電極22の内周と、連結部材24の他の外周との間に、内側電極22の中実部分を除いた内部空間SP2をドライクリーニング液から液密にシールする第1のシール部材223を備えるドライクリーニング機用洗剤濃度センサが提供される。
【0051】
第1のシール部材223を設けることで、内側電極22の内部空間SP2にドライクリーニング液が内部空間SP1から流入することを防止でき、内部空間SP2にある配線22W等の被覆がドライクリーニング液によって浸食されることを防止することができる。ひいては、配線22W等の不具合による計測精度の低下を防止できる。また、内部電極22を介してドライクリーニング液の温度を計測するサーミスタを設けたことで、計測精度に関して温度補正を行うことができ、計測精度の向上を図ることができる。
【0052】
また、本発明の一の実施の形態によれば、さらに、連結部材24と第1の接合面(S1)との間に、ホルダ部3と外側電極21との電気的な接続を妨げない位置に、第2のシール部材315を備える。これにより、連結部材24の接合面S1と、ホルダ部3の接合面S2との間から、ドライクリーニング液が貫通孔244等に流入することを防止できる。
【0053】
さらに、本発明の一の実施の形態によれば、さらに、ホルダ部3と第2の接合面(S4)との間に、ホルダ部3と蓋体32との電気的な接続を妨げない位置に、第3のシール部材324を備える。これにより、ホルダ部3の接合面S3と、蓋体32の接合面S4との間から、ドライクリーニング液が内部空間SP3等に流入することを防止できる。
【0054】
また、本発明の一の実施の形態によれば、第1のシール部材223、第2のシール部材315、及び、第3のシール部材324は、それぞれ、ニトリルゴムから形成される。ニトリルゴムは石油系のドライクリーニング溶剤に対して耐性を有するので好適である。
【0055】
さらに、本発明の一の実施の形態によれば、さらに、フッ素系の材料から形成され、ケーブル4を被覆するケーブルチューブ44と、ケーブルチューブ44と蓋体32の貫通孔(321)との間を液密にシールする第4のシール部材55と、を備える。フッ素系の材料から形成されるケーブルチューブで配線22W等を含むケーブル4を被覆することで、配線22W等をドライクリーニング溶液による浸食から保護できるので好適である。また、ケーブルチューブ44と蓋体32との間から、ドライクリーニング溶液が内部空間SP3等の流入することを防止できるので、より好適である。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上記の実施の形態は一例として
提示したものであり、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない限り、様々な応用、変更、置換を上記の実施の形態に行うことが可能な点、当業者にとって明らかである。本発明は特許請求の範囲及びその均等の範囲内における様々な応用、変更、置換を包含するものである。
【0057】
例えば、上記の実施の形態では、キャビティ314について説明すると、キャビティ314は、ホルダ部本体31の接合面S2に形成されたが、連結部材21の接合面S1にキャビティ314を好適に形成し、接合面S2にキャビティを設けない構成を採用してもよい。これは、他のキャビティについても同様であり、例えば、キャビティ323は接合面S4ではなく接合面S3のみに形成されてもよい。要するに、互いに当接する接合面のうちのいずれかのみに対応するシール部材をはめ込むキャビティを設けることで、上記のような効果を達成することができる。