(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814373
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】流体供給クッションの前方壁としての穿孔された弾性フィルムの使用
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20210107BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
B65D83/00 F
A61L2/18
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-243828(P2015-243828)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-117536(P2016-117536A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】14198623.2
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520460247
【氏名又は名称】サーフェイススキンズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヘンナー・ゾルマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ブリュッゲマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・マーク・ニール
【審査官】
西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/167746(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0134126(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0111000(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0206054(US,A1)
【文献】
特開2011−088442(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101258025(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A61L 2/00−2/28
A61F 13/15−13/512
B32B 1/00−43/00
F16K 15/00−15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有孔弾性フィルム(3)の流体供給クッションの前方壁としての使用であり、ここで、該流体供給クッションは、プラスチックからなる流体気密性の後方壁(2)、及び該前方壁と該後方壁(2)との間の流体受容コア(5)を有し、その際、該有孔弾性フィルム(3)は、ホットシーリング継ぎ目(4)によって該後方壁(2)と接合される、該使用であって、前記弾性フィルム(3)は、一つの弾性層(9)及び一つのカバー層(8)を有する少なくとも二層の共押し出しフィルムであり、該流体供給クッションの表面として設けられるカバー層(8)がポリオレフィンからなり、その際、そのカバー層(8)の厚さが15μm未満であり、そしてその際、該弾性層(9)の該カバー層(8)に対する厚さ比が10以上:1であり、
前記弾性フィルム(3)が、切開部(7)によって穿孔され、その際、該切開部(7)が弁機能をもたらし、そして前記弾性フィルム(3)の変形されていない状態で閉じており、該前方壁は使用者が触れる接触面である
ことを特徴とする、上記の使用。
【請求項2】
前記カバー層(8)が印刷されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記穿孔された弾性フィルム(3)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる後方壁(2)と接合されることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一つに記載の使用。
【請求項4】
前記穿孔された弾性フィルム(3)が、後方壁(2)としての深絞りされたシェルと接合されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の使用。
【請求項5】
前記弾性層(9)が、20重量%〜70重量%のスチレン−ブロックコポリマー(SBC)及び15重量%〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル(EVA)を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の使用。
【請求項6】
前記エチレン−酢酸ビニル中の酢酸ビニルの含有量が、10重量%〜30重量%であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カバー層(8)が、水及びスチレンを含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の使用。
【請求項8】
前記弾性層(9)が、80μm〜300μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックからなる流体気密性の後方壁、ホットシーリング継ぎ目によってその後方壁と接合されている有孔弾性フィルム、及び該前方壁と後方壁との間の流体受容コアを有する、流体供給クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、消毒液の形態にあるか、又は消毒ジェルの形態にある流体を含有する、流体供給クッションに関し、その際、該液又はジェルは、前方壁を介して、より長い時間にわたって放出させることができる。
【0003】
バクテリア、病原菌等の移動を防ぐために、そのような流体供給クッションを、回転式ドア、ドアオープナー、又はスイッチのようなその他のデバイスに配置することができ、その際、流体供給クッションとも呼ばれるパッドとしては、使用者が触れる接触面から形成される。
【0004】
該流体供給クッションによって、そのような接触面は、多くの使用者に触れられた場合であっても、病原菌、バクテリア、又は病原体の影響を全く受けないままであることができる。さらに、使用者が接触面上に触れた、特に指のような肢体部分を、ある範囲において消毒剤で湿らせることができ、それにより、この肢体部分をある範囲において清浄化することができる、という利点がもたらされる。
【0005】
それ故、消毒流体を有するそのような流体供給クッションの使用は、病原体が移動する危険性の高い場所においてまさに有利である。例えば、小売店、レストラン及びオフィスビルのような多くの人々が行き交う全ての領域の他にも、この流体供給クッションの使用は、例えば、病院又はクルーズ船の領域においてさえも、病原体の伝播を防ぐのに有利である。
【0006】
その流体供給クッションの良好な性能特性を達成するために、様々な規準が考慮されている。まず、より長い期間にわたって使用することができるよう、その流体供給クッションは十分な量の流体を受容できなければならない。そのとき、流体が無制御で排出又は揮発したりするのを回避すべきであり、そして、その流体供給クッションが使用される場合にだけ放出されるべきである。この目的のために、本発明の範囲において、弾性の有孔フィルムが設けられ、その際、その穿孔は、好ましくは切開部によって形成され、該切開部は、ある程度の弁機能を可能にする。その弾性フィルムが変形していない状態では、穿孔の個々の孔は単に小さいか、又は好ましくは弾性回復力によって閉じている。しかしながら、流体供給クッションの前方壁としてのその弾性フィルムが使用者の加圧によって使用時に変形した場合、孔が局所的に開放され、それからそれにより、流体が放出される。
【0007】
その流体供給クッションの受容量には限界があり、そして、長い期間にわたる汚染を排除できないため、その流体供給クッションは新しいものと簡単に交換できるべきであり、その際、そのようなディスポーザブル製品は安価かつ簡単に製造できるものでなければならない。
【0008】
さらに、前方壁は、流体供給クッションの目に見える表面である接触面として形成される。多くの場合、使用者は、これをまさに流体供給クッションの接触面としてのみ認識するはずである。それ故に、その前方壁は通常印刷されており、その際、その印刷されたプリントは、耐久性があるだけでなく高品質でなければならず、そして、販売促進目的に利用することができる。
【0009】
冒頭で説明した特徴を備えた流体供給クッションは、国際公開第2013/167746 A2号明細書(特許文献1)及び米国特許出願公開第2011/0111000 A1号明細書(特許文献2)から知られている。同様に消毒材料を供給するクッションは、さらに、米国特許第4 832 942号明細書(特許文献3)、米国特許第7 037 569 B2号明細書(特許文献4)、米国特許第7 722 589 B2号明細書(特許文献5)及び欧州特許出願公開第2 098 664 A1号明細書(特許文献6)に記載されている。
【0010】
公知の実施の形態の場合、前方壁の印刷適正は改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2013/167746 A2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0111000 A1号明細書
【特許文献3】米国特許第4 832 942号明細書
【特許文献4】米国特許第7 037 569 B2号明細書
【特許文献5】米国特許第7 722 589 B2号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第2 098 664 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この背景に基づいて、本発明は、改善された弾性の有孔フィルムの使用を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の対象及び上記課題の解決法は、請求項1に記載の使用である。
【0014】
本発明によれば、請求項1の上位概念から出発して、一つの弾性層、及びポリオレフィンからなる、流体供給クッションの表面を提供するカバー層としての一つの非弾性層を有する少なくとも二層の共押し出しフィルムの弾性フィルムであり、その際、該カバー層の厚さが15μm未満であり、そしてその際、該弾性層の該カバー層に対する厚さの比が少なくとも10:1である弾性フィルムが提供される。
【0015】
ポリオレフィンからなるカバー層は簡単に印刷することができ、そのために、好ましくは、そのカバー層にコロナ放電を施す。しかしながら、共押し出しにより、有孔の弾性フィルムに弾性特性を提供する弾性層に実質的に影響が及ばない程、そのカバー層を薄くすることができる。特に、流体供給クッションの接触面であり、そしてそれ故に表面を形成する一方の面上にのみ、そのカバー層は設けられる。それに対して、対向する、後方壁と接合される面は、弾性の材料から形成され、好ましくは、まさに二層の構成の共押し出しフィルムの弾性層である。
【0016】
その弾性層のカバー層に対する厚さの比は、少なくとも10:1である。この顕著な非対称性により、弾性フィルムは良好な弾性特性及び十分な可動性を有することが達成され、その際、その薄いカバー層は、実質的にこの特性を失うことはなく、むしろ良好な印刷特性が確実に得られる。
【0017】
薄い、非弾性層がある程度の剛性を生じる場合であってさえ、穿孔によって形成された孔又は切り口は、その共押し出しフィルムの非対称性によって、少なくとも、コアの方向に内側に向かう面において閉じることができる。その印刷されるカバー層においてわずかに剛性にすることは、弾性フィルムを加工することに関して有利でさえある。なぜなら、その弾性フィルム自体は、その加工時及び、特に、印刷時にほとんど伸縮しないからである。この文脈において、本発明は、弾性層が、前方壁全体が良好な弾性の伸縮性を有するのではなく、むしろ、穿孔によって形成された孔の局所的な閉塞させることを意図する、という知見にある。
【0018】
その弾性フィルムは、好ましくは、初期の長さから伸ばして、少なくとも50%伸張可能であり、その際、次いで伸縮を引き起こす力が消滅した場合、永久歪みは、その初期の長さと比較して、典型的には20%未満、好ましくは10%未満である。
【0019】
ポリオレフィンから形成され、そして、好ましくは、コロナ放電で処理されたカバー層は、本発明の範囲において、通常、印刷されるか、又は印刷可能である。そのカバー層の材料としては、特に、ポリエチレン及びポリプロピレンが考慮され、ここで、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)の混合物が特に好ましい。例えば、該カバー層におけるポリエチレンの割合は、40〜70重量%であり、そしてポリプロピレンの割合は30〜60重量%であることができ、その際、更なる成分としては、好ましくは10重量%未満の割合のタルカム、加工助剤又は別の添加剤を提供することができる。
【0020】
上記のカバー層に好ましいポリオレフィンは、低密度の線状のポリオレフィン(LLDPE)及びポリプロピレンコポリマーである。
【0021】
本発明の特に好ましい一実施形態によれば、カバー層は、低分子量の成分のための吸収剤、例えば水及びスチレンも含有する。
【0022】
弾性フィルムは共押し出しによって形成されるため、カバー層は非常に薄くすることができ、その場合、材料の組成に応じて、その共押し出し時に、さらなる感圧接着性の中間層などは不要である。好ましくは、カバー層の厚さは10μm未満であり、そして、少なくとも2μm、好ましくは4μmである。
【0023】
弾性層は、好ましくは20〜70重量%のスチレン−ブロックコポリマー(SBC)及び15〜50重量%のエチレン−酢酸ビニル(EVA)を含有する。スチレン−ブロックコポリマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−エテンブテン−スチレンコポリマー(SEBS)、スチレン−エテンプロペン−スチレンコポリマー(SEPS)及びスチレン−イソプレン−スチレンコポリマー(SIS)が考慮され、ここで、SBSが好ましい。
【0024】
本発明の好ましいこの実施形態により、後方壁がポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される場合、該後方壁に対する良好な封止性を得るために、エチレン酢酸ビニル(EVA)が特に目的に適っている。その上、この目的のためには、そのエチレン−酢酸ビニルにおける酢酸ビニル含有量は10%超であり、そして好ましくは15%超である。そのエチレン−酢酸ビニル中の酢酸ビニル含有量は、例えば、10%〜30%、好ましくは15%〜25%であることができる。
【0025】
通常、後方壁はシェル形状を有しており、その際、その後方壁は、特に、深絞り成形のシェルから形成することができ、その際、PETの他に、例えば、ポリスチレン(PS)及びポリスチレンコポリマーも材料として考慮される。弾性フィルムから形成された前方壁は、次いで、好ましくは、そのシェルの角度を有するリムでシールされ、そしてそのシェルから形成された凹み部を、その内部に配置されたコアで覆う。そのような実施形態の範囲において、弾性フィルムは本質的に平坦であるか、又は若干ドーム状であることができ、そのため、その後、これは、負荷のない状態で広範囲にわたり力を用いずに配置され、それにより、その穿孔の弾性特性に基づいて、ある種の弁機能でもって、その縁部を閉じることができる。原則的に、該穿孔は、前方壁の部分的な領域にのみ設けることも可能であり、その際、例えば、下方の縁部又は周辺部は該穿孔から離間させることができる。
【0026】
好ましくは、弾性フィルムは切開部によって穿孔されており、その際、該切開部は弁機能を有しており、そして、その弾性フィルムの変形されていない状態では、少なくとも幅において、あるいは好ましくは完全に閉じている。
【0027】
流体供給クッションの具体的な実施形態に関して、本発明の範囲において様々な可能性が与えられる。後方壁は、上述したように、剛性の、深絞り成形のシェルとして仕上げることができ、その際、次いで、該後方壁は、直接又は別の支持体を介して、ドア、スイッチ等の接触面上に配置することができる。しかしながら、曲げられた表面、例えば、把持棒などの上に流体供給クッションを適用できるよう、該後方壁が可撓性である場合の実施形態も考慮できる。
【0028】
弾性層の厚さは、典型的に、80μm〜300μm、好ましくは100μm〜200μmであり、これは、ほんのわずかな厚さのカバー層により、弾性フィルムの全体の厚さにほぼ相当する。
【0029】
すでに上記で説明したように、流体供給クッションの流体は、好ましくは消毒液又は消毒ジェルである。
【0030】
その流体を保持できるように、コアは、合目的的に、適切な支持体材料を有し、その際、それは、例えば、テキスタイル、不織布、綿又は発泡材であることができる。一方で、この材料は、流体のための中空空間及び自由空間を有さなくてはならない。しかしながら他方で、流体をある程度の量保持できるように一定の吸収特性を有することが有利であり、それにより、その弾性の有孔フィルムの上を加圧しただけで流体が供給される。それに加えて、支持体材料は、好ましくはある範囲で加圧弾性でもある。
【0031】
最後に、本発明の対象は、流体供給クッションを備えた消毒液デバイスでもあり、その後方壁は深絞り成形のシェルから形成され、その際、流体としては、消毒液又は消毒ジェルが企図される。流体供給クッションは、交換可能に支持体に保持される。そのような支持体は、深絞り成形のシェルから形成することができ、これは、次いで、接触面上に恒久的に固定される一方で、流体供給クッション自体は簡単に交換できる。支持体は、例えば、ポリエチレンテレフタレートからの深絞り成形のシェルであることができる。
【0032】
流体供給クッションの支持体及び後方壁のいずれも、深絞り成形のシェルとして形成される場合、該後方壁は、一種のスナップ方式の接合により、着脱できるよう簡単な方法で支持体中に保持することができる。
【0033】
本発明を、単に実施形態として示す図面に基づいて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、流体供給クッション及び支持体を有する消毒デバイスを示す。
【
図3】
図3は、
図2に示された流体供給クッションの前方壁を通る断面図である。
【
図4】
図4は、
図1による流体供給クッション及び支持体を備えた、
図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、流体供給クッション並びに該流体を供給クッションのための支持体1を示している。該支持体1は、ドア等の接触面上に設けることができ、その際、該流体供給クッションは、固定結合部によって該支持体1において交換可能に保持される。
【0036】
該流体供給クッションの細部は、
図2の断面図に明らかに示されている。流体供給クッションは流体気密な後方壁2を有し、該後方壁は、シェルの形態を有しており、そして、PETフィルムから深絞りされたものである。その流体供給クッションの対向する前方側には、有孔弾性フィルム3が配置されており、これは、周囲を囲むホットシール継ぎ目4によって、該後方壁2と接合されている。前方壁としての該弾性フィルム3と該後方壁2との間には、流体受容コア5が配置されており、その際、その流体受容コアは、テキスタイル、不織布、綿、及び発泡プラスチックの群から選択される支持材料6を有し、そしてその際、該コア5中には、消毒液又は消毒ジェルの形態の流体が受容される。該支持材料6は、好ましくは、圧力弾性でもあるため、常に、
図2に示す力が解放された流体供給クッションの形態が与えられることになる。
【0037】
図1によれば、穿孔は、弾性フィルム3中の多数の切開部7によって形成される。それにより、切開部7は、その弾性フィルム3の弾性特性に基づく弁機能を有することが可能となり、その際、該切開部7は、その弾性フィルム3の変形されていない状態において少なくとも幅において閉じるため、流体は流体供給コア5中に保持される。
【0038】
使用者が触れることによって弾性フィルム3が変形するので、その弾性フィルム3自体は、個々の切開部において孔が開放され、そして流体が供給されるように変形する。
【0039】
図1においては、その弾性フィルム3の露出表面に印字Aが提供されていることが更に示されている。一方では、その流体供給クッションは、価値の高い外観を有するべきであり、そして他方では、流体供給クッションが、消毒液デバイスの接触面として使用される部分であることも使用者に示さなければならない。
【0040】
図3に示すように、弾性フィルム3は、本発明によれば、少なくとも二層の共押し出しフィルムから形成されており、これは、一つの非弾性の、流体供給クッションの表面を形成する、ポリオレフィンの薄いカバー層8、及び一つの弾性層9を有する。その弾性層9は、流体受容コア5の方向において配置されており、その際、対向して存在する薄いカバー層は、本発明によれば、10μm未満の厚さを有する。その弾性層9の、カバー層8に対する厚さの比は少なくとも10:1である。
【0041】
その具体的に示す実施形態において、外側の層は4μmの厚さを有し、そして、55重量%のLLDPE、40重量%のPPコポリマー及び残部のタルカム、加工助剤及び吸収剤を含有する。該吸収剤は、弾性層9を出ることのできる低分子量の成分を受容できるように特に適合される。
【0042】
カバー層は、その印刷適正を改善するために、コロナ放電で処理される。
【0043】
コア層は、全体として、196μmの厚さを有するため、その具体的な実施形態では、厚さの比は49:1である。
【0044】
弾性層は、40重量%までのSBS及び18%の酢酸ビニル含有量を有する35重量%のEVAからなる。さらに、その弾性層は、加工助剤、着色顔料、滑剤、ブロック防止剤及び安定剤を含有する。
【0045】
その結果、顕著に非対称的な二層の共押し出しフィルムが得られる。
【0046】
図3に示す実施形態において、この二層の共押し出しフィルム自体は、三層用に調整された押し出し装置で製造される。その目的のために、弾性層9は、同じ材料の組成を有する二つの部分層から形成され、その際、その層構造中の中間の部分層は192μmの厚さを有し、そして、他方の部分層は4μmの厚さを有する。しかしながら、共押し出しフィルムの場合の層の移行部は、通常、もはや認識できない。というのも、共押し出しの場合の部分層は、互いに融合しているからである。その層の移行部は、
図3においては鎖線によって示唆されている。
【0047】
図4は、支持体1上に配置された流体供給クッションを示しており、そして、例えば、固定接合部によって保持することができ、それにより、該流体供給クッションは簡単に交換することができる。その支持体1は、例えば、接着テープ10によってドア等の接触面上に固定することができる。