(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パワーステアリングユニットとオイルタンクとがオイル供給路とオイル回収路とによって連結され、前記オイル供給路は、前記オイルタンクのオイルをポンプによって前記パワーステアリングユニットへ供給し、前記オイル回収路は、前記パワーステアリングユニットへ供給されたオイルを前記オイルタンクへ回収する車両のオイルタンク構造であって、
オイルを収容する第1収容領域と、前記第1収容領域を前記オイル供給路に連通させるオイル流出口とを有する第1タンク部と、
オイルを収容する第2収容領域と、前記第2収容領域を前記オイル回収路に連通させるオイル流入口とを有する第2タンク部と、
前記第1収容領域の上部と前記第2収容領域の上部とを連通し、前記第2収容領域に回収されたオイルの前記第1収容領域への流出を許容する連通部と、を備え、
前記連通部は、前記第2収容領域から前記第1収容領域へ流出したオイルが前記第1タンク部の内側面に沿って渦状に流れるように、前記第2収容領域から前記第1収容領域の外周部へ向かって開口し、
前記第1タンク部の前記オイル流出口は、前記第1タンク部の底面部よりも上方、且つ前記連通部よりも下方に配置される
ことを特徴とする車両のオイルタンク構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オイルタンクは、ポンプの圧力確保等の観点から、戻り口(オイル流入口)側にフィルタを設け、オイルタンクの出口(オイル流出口)側を開放する場合がある。この場合、オイルの流出口が開放されているので、オイルに含まれるゴミ等の不要物が流出口からポンプ側へ流出してしまう可能性がある。ゴミ等の不要物が流出口からポンプ側へ流出してしまうと、不要物がポンプに詰まってポンプが故障してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、オイルタンクのオイル流出口からのゴミ等の不要物の流出を抑制することが可能なオイルタンク構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、パワーステアリングユニットとオイルタンクとがオイル供給路とオイル回収路とによって連結され、前記オイル供給路は、前記オイルタンクのオイルをポンプによって前記パワーステアリングユニットへ供給し、前記オイル回収路は、前記パワーステアリングユニットへ供給されたオイルを前記オイルタンクへ回収する車両のオイルタンク構造であって、第1タンク部と第2タンク部と連通部とを備える。第1タンク部は、オイルを収容する第1収容領域と、第1収容領域をオイル供給路に連通させるオイル流出口とを有する。第2タンク部は、オイルを収容する第2収容領域と、第2収容領域をオイル回収路に連通させるオイル流入口とを有する。連通部は、第1収容領域の上部と第2収容領域の上部とを連通し、第2収容領域に回収されたオイルの第1収容領域への流出を許容する。連通部は、第2収容領域から第1収容領域へ流出したオイルが第1タンク部の内側面に沿って渦状に流れるように、第2収容領域から第1収容領域の外周部へ向かって開口する。第1タンク部のオイル流出口は、第1タンク部の底面部よりも上方、且つ連通部よりも下方に配置される。
【0007】
上記構成では、連通部が、第1収容領域の上部と第2収容領域の上部とを連通し、第2収容領域に回収されたオイルの第1収容領域への流出を許容するので、オイル回収路から回収されたオイルは、第2タンク部の第2収容領域に収容され、その後、連通部を介して第1タンク部の第1収容領域の上部へ流出する。連通部は、第2収容領域から第1収容領域へ流出したオイルが第1タンク部の内側面に沿って渦状に流れるように、第2収容領域から第1収容領域の外周部へ向かって開口するので、第2タンク部から第1タンク部へ流出したオイルは、第1タンク部の内側面に沿って第1収容領域の外周部を渦状に流れ、第1タンク部の底面部よりも上方に配置されたオイル流出口からポンプによってパワーステアリングユニットへ供給される。
【0008】
このように、オイル回収路から回収されたオイルが、先ず第2タンク部の第2収容領域に収容されるので、例えば、オイルに含まれるゴミ等の不要物(以下、単に不要物という)のうち比較的大きな不要物を第2タンク部の底部に集積させたり、或いは、第2タンク部側にフィルタを設けることによって第2タンク部側で不要物を捕集したりして、オイル流出口を有する第1タンク部ではなく、第2タンク部側でオイルから不要物を取り除くことができる。
【0009】
また、第2タンク部の第2収容領域から第1タンク部の第1収容領域へ流出したオイルが、第1タンク部の内側面に沿って渦状に流れるので、第2タンク部側で取り除くことができなかった不要物を第1タンク部の内側面に沿って渦状に流下させて、不要物を第1タンク部の底面部の中央部に集積させることができる。
【0010】
また、第1タンク部のオイル流出口が第1タンク部の底面部よりも上方に配置されるので、第1タンク部の底面部に集積した不要物は、オイル流出口から流出し難い。このため、オイルタンクのオイル流出口からの不要物の流出を抑制することができる。
【0011】
また、上記第1タンク部は、連通部から連続して第1タンク部の内側面に沿って延びるガイド部を有してもよく、ガイド部は、第2収容領域から第1収容領域へ移動したオイルが第1タンク部の内側面に沿って第1収容領域の外周部を渦状に流れるように、オイルを案内してもよい。
【0012】
上記構成では、ガイド部は、第2収容領域から第1収容領域へ移動したオイルが第1タンク部の内側面に沿って第1収容領域の外周部を渦状に流れるように、オイルを案内するので、第1タンク部の第1収容領域で渦状の流れを確実に発生させることができる。
【0013】
また、上記第1タンク部のオイル流出口は、第1収容領域の外周部を流れるオイルの流通方向の上流から下流に向かって開口してもよい。
【0014】
上記構成では、第1タンク部のオイル流出口は、第1収容領域の外周部を流れるオイルの流通方向の上流から下流に向かって開口する。すなわち、オイル流出口からオイル供給路へ流出するオイルは、第1収容領域のオイルの流れに逆らってオイル流出口に吸い込まれる。このため、第1収容領域の外周部を流れるオイルに含まれる不要物を吸い込み難いので、オイルタンクのオイル流出口からの不要物の流出を抑制することができる。
【0015】
また、上記第1タンク部は、第1収容領域を上方から塞ぐ上板部のうち第1収容領域の外周部の上方に配置されて第1収容領域と外部とを連通するオイル補充口と、オイル補充口の下方に配置されて第1タンク部の内側面に沿って延びる補充オイルガイド部を有してもよく、補充オイルガイド部は、オイル補充口から補充されたオイルが第1タンク部の内側面に沿って第1収容領域の外周部を渦状に流れるように、オイルを案内してもよい。
【0016】
上記構成では、第1タンク部は、オイル補充口の下方に配置されて第1タンク部の内側面に沿って延びる補充オイルガイド部を有する。補充オイルガイド部は、オイル補充口から補充されたオイルが第1タンク部の内側面に沿って第1収容領域の外周部を渦状に流れるように、オイルを案内する。このため、オイルを補充する際にオイル補充口を介して外部から第1タンク部の第1収容領域に不要物が浸入しても、第1収容領域に浸入した不要物がオイルと共に補充オイルガイド部に案内されて第1タンク部の第1収容領域の外周部を渦状に流れるので、不要物を第1タンク部の底面部の中央部に集積することができる。
【0017】
また、上記第1タンク部は、底面部に磁石を有してもよい。
【0018】
上記構成では、第1タンク部は、底面部に磁石を有するので、第1タンク部の底面部の中央部に集積した不要物のうち磁石につく不要物(例えば、鉄製の不要物)を確実に捕集することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、オイルタンクのオイル流出口からのゴミ等の不要物の流出を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、
図1及び
図2の矢印は、オイルの流通方向を示す。また、
図2において、UPは車両の上方を示す。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係るオイルタンク10は、パワーステアリングシステム2を備える車両1に搭載される。パワーステアリングシステム2は、コントロールバルブ等を含むパワーステアリングユニット9を有する。パワーステアリングユニット9は、オイルタンク10から供給される油圧によって車輪3の操舵をアシストする。
【0023】
オイルタンク10とパワーステアリングユニット9とは、フィードホース5とリターンホース7とによって連結される。フィードホース5は、オイルタンク10からパワーステアリングユニット9へオイルを供給するためのオイル供給路4を内部に区画する。リターンホース7は、パワーステアリングユニット9に供給されたオイルをパワーステアリングユニット9からオイルタンク10へオイルを回収するためのオイル回収路6を内部に区画する。すなわち、オイルタンク10とパワーステアリングユニット9とは、2つの異なる流路4,6で連結される。オイル供給路4には、オイルタンク10からパワーステアリングユニット9へオイルを圧送するオイルポンプ(ポンプ)8が設けられる。
【0024】
図2及び
図3に示すように、オイルタンク10は、パワーステアリングユニット9(
図1参照)に供給するオイルを収容可能なタンクであって、オイルを収容する収容領域を後述する複数の内壁22,23,24で2つの収容領域11,12に仕切った2層式のタンクである。オイルタンク10の外壁25は、断面円弧状(本実施形態では、中心角が180度の半円弧状)の外壁25aと、外壁25aと対向する断面コ字状の外壁25bとによって構成される。オイルタンク10は、2つの収容領域11,12のうちの一方の第1収容領域11を有する第1タンク部13と、他方の第2収容領域12を有する第2タンク部14と、第1収容領域11及び第2収容領域12の上端部同士を連通する連通部15とを備える。第1タンク部13には、フィードホース5が接続され、第2タンク部14には、リターンホース7が接続される。
【0025】
第1タンク部13は、所定の高さ位置16よりも上方で上下方向に円筒状に延びる円筒部13aと、上記所定の高さ位置16よりも下方の縮径部13bとを有する。円筒部13aは、オイルタンク10の断面半円弧状の外壁25aと、第1収容領域11と第2収容領域12とを仕切る断面円弧状(本実施形態では、中心角が90度の円弧状)の内壁22と、第2タンク部14との間に空間27を区画する断面円弧状(本実施形態では、中心角が90度の円弧状)の内壁23とによって構成される。縮径部13bは、円筒部13aの下端から連続して下方へ、徐々に縮径するテーパ状に形成され、下端の略中央部に下端開口18を有する。円筒部13aの上端は、第2タンク部14と共通の上板部17によって塞がれる。縮径部13bの下端開口18には、下端開口18を塞ぐ蓋体(底面部)19が下方から取り付けられる。すなわち、第1タンク部13の第1収容領域11は、円筒部13a及び縮径部13bによって側方が区画され、オイルタンク10の上板部17によって上方が区画され、蓋体19によって下方が区画される。蓋体19の上面21には、磁石20が固定される。第1タンク部13には、後述するように、オイル流出口41から連続するオイル流出管39と、スロープ40とが設けられる。
【0026】
第2タンク部14は、上下方向に延びる筒状部28を有する。筒状部28の上端は、第1タンク部13と共通の上板部17によって塞がれ、筒状部28の下端は、底板部29によって塞がれる。すなわち、第2タンク部14の第2収容領域12は、筒状部28によって側方が区画され、オイルタンク10の上板部17によって上方が区画され、底板部29によって下方が区画される。上記所定の高さ位置16よりも上方の筒状部28は、オイルタンク10の断面コ字状の外壁25bと、第1収容領域11と第2収容領域12とを仕切る断面円弧状の内壁22と、内壁23との間に空間27を区画する内壁24とによって構成される。内壁24は、内壁22と内壁23との境界部で第1収容領域11に対して外接するように、前記境界部から外壁25bに直交する方向へ延び、外壁25bに連続する。底板部29には、上下方向に延びて、内部にオイル回収路6を区画する略円筒状のオイル流入管30が底板部29と一体的に設けられる。オイル流入管30の上端開口であるオイル流入口31は、底板部29よりも上方に配置され、オイル流入管30の下端開口32は、底板部29よりも下方に配置される。底板部29よりも下方のオイル流入管30には、リターンホース7が取り付けられる。第2収容領域12で底板部29よりも上方に突出するオイル流入管30には、オイル流入管30の外径よりも僅かに大きな内径を有する略円筒状のフィルタ33が、フィルタ33の内側にオイル流入管30を挿入した状態で取り付けられる。フィルタ33は、上下方向に延びて、その上端開口38が上板部17の近傍に配置される。上板部17のうちフィルタ33の上方には、フィルタ33を出し入れ可能な大きさの開口部34が形成され、開口部34には、開口部34を開閉可能な蓋体35が取り付けられる。蓋体35の下面にはコイルスプリング36が固定され、コイルスプリング36の下端に弁体37が固定される。弁体37は、フィルタ33の上端開口38をコイルスプリング36の付勢力によって塞ぐとともに、フィルタ33を下方へ押圧してフィルタ33を支持する。コイルスプリング36の付勢力は、フィルタ33の内部のオイルが増えて弁体37に到達した際に、オイルが弁体37を押し上げてフィルタ33の上端開口38から流出可能な強さに設定される。
【0027】
連通部15は、内壁24の上端部に形成される第2タンク開口44から、内壁23の上端部で内壁23を貫通する第1タンク開口45まで延び、第1収容領域11と第2収容領域12とを連通して、第2収容領域12に回収されたオイルの第1収容領域11への流出を許容する。第2タンク開口44は、内壁24の上端を上板部17の下面から下方へ離間した位置に配置することによって形成される開口であって、上方が上板部17の下面に区画され、下方が内壁24の上端縁に区画され、幅方向の一方(
図3における上方)が外壁25bの内面に区画され、幅方向の他方(
図3における下方)が内壁23の他端部に区画される。第1タンク開口45は、内壁23の上端部の幅方向の一方側の端部に配置される開口であって、上方が上板部17の下面に区画され、下方が内壁23の上端縁に区画され、幅方向の一方が外壁25bの内面に区画され、幅方向の他方が内壁23に区画される。第2タンク開口44の下端縁44aと、第1タンク開口45の下端縁45aとの間には、上面視略三角状の連通下板部53が延びており、連通下板部53は、内壁24と内壁23との間の空間27を上方から塞ぐ。連通部15は、上方が上板部17に区画され、下方が連通下板部53に区画され、幅方向の一方が外壁25bに区画され、幅方向の他方が第2タンク開口44の他側の縁と第1タンク開口45の他側の縁との間で延びる内壁23に区画される。このように、連通部15は、幅方向の一側の壁部(実施形態では、外壁25b)が第2タンク部14側から第1収容領域11に外接する方向(接線方向)に沿って延びることによって、第2収容領域12から第1収容領域11へ流出したオイルが第1タンク部13の内周面(内側面)47に沿って渦状に流れるように、第2収容領域12から第1収容領域11の外周部46へ向かって開口する。
【0028】
第1タンク部13には、連通部15から連続して第1タンク部13の内周面47に沿って第1収容領域11の外周部46を渦状に下方へ傾斜して延びるスロープ40が設けられる。スロープ40は、所定の長さ(本実施形態では、約1/4周)に形成されるスロープ下板部(ガイド部、補充オイルガイド部)48とスロープ側板部49とを有する。スロープ下板部48は、第1タンク開口45の下端縁45aの連通部15の連通下板部53の端部から連続して、第1タンク部13の内周面47から径方向内側へ突出した状態で、内周面47に沿って第1収容領域11の外周部46を渦状に下方へ傾斜して延びる。スロープ側板部49は、スロープ下板部48の径方向の内端部から起立する。
【0029】
第1タンク部13の円筒部13aの内壁23のうち、第1タンク開口45よりも下方には、第1収容領域11からのオイルの流出を許容するオイル流出口41が形成される。連通部15の連通下板部53の下方の空間27(第1タンク部13と第2タンク部14との間の空間27)には、オイル流出口41から連続して延びて、内部にオイル供給路4を区画するオイル流出管39が設けられる。オイル流出管39は、オイル流出口41から連続して外壁25bに沿って(上記接線方向に沿って)延びる横管39aと、横管39aから曲折して下方へ延びる縦管39bとを有する。すなわち、オイル流出口41は、第1タンク部13の底面部(本実施形態では、蓋体19)よりも上方、且つ連通部15よりも下方に配置され、第1収容領域11の外周部46を渦状に流れるオイルの流通方向(本実施形態では、上面視において反時計回り)の上流から下流に向かって開口する。縦管39bの下端部には、フィードホース5が取り付けられる。
【0030】
第1タンク部13の上方の上板部17のうち第1収容領域11の外周部46の上方の外縁部(第1タンク部13の上方の上板部17の径方向の外側の縁部)には、オイルを補充可能なオイル補充口50が形成される。オイル補充口50は、上板部17の上記外縁部のうち、スロープ40のスロープ下板部48の上方に配置されて、第1収容領域11とオイルタンク10の外部52とを連通する。すなわち、スロープ40のスロープ下板部48は、オイル補充口50から補充されたオイルが第1タンク部13の内周面47に沿って第1収容領域11の外周部46を渦状に流れるようにオイルを案内する補充オイルガイド部として機能する。オイル補充口50には、開閉可能に蓋体51が取り付けられる。
【0031】
上記のように構成されたオイルタンク10では、連通部15が、第1収容領域11及び第2収容領域12の上端部同士を連通し、第2収容領域12に回収されたオイルの第1収容領域11への流出を許容するので、オイル回収路6から回収されたオイルは、第2タンク部14の第2収容領域12に収容され、その後、連通部15を介して第1タンク部13の第1収容領域11の上端部へ流出する。連通部15は、第2収容領域12から第1収容領域11へ流出したオイルが第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流れるように、第2収容領域12から第1収容領域11の外周部46へ向かって接線方向に沿って開口するので、第2タンク部14から第1タンク部13へ流出したオイルは、第1タンク部13の内周面47に沿って第1収容領域11の外周部46を渦状に流れ、第1タンク部13の下端開口18を塞ぐ蓋体19よりも上方に配置されたオイル流出口41からオイルポンプ8によってパワーステアリングユニット9へ供給される。
【0032】
このように、オイル回収路6から回収されたオイルが、先ず第2タンク部14の第2収容領域12に収容されるので、オイルに含まれるゴミ等の不要物(以下、単に不要物という)のうち比較的大きな不要物を、フィルタ33によって捕集したり、或いは、第2タンク部14の底板部29に集積させたりすることができる。このため、オイル流出口41を有する第1タンク部13側へオイルが流出する前の第2タンク部14側でオイルから不要物を取り除くことができるので、オイルタンク10のオイル流出口41からの不要物の流出を抑制することができる。
【0033】
また、連通部15が、第2収容領域12から第1収容領域11へ流出したオイルが第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流れるように、第2収容領域12から第1収容領域11の外周部46へ向かって開口し、スロープ40のスロープ下板部48が、連通部15の連通下板部53から連続して第1タンク部13の内周面47に沿って下方に傾斜して渦状に延びる。このため、第2タンク部14の第2収容領域12から第1タンク部13の第1収容領域11へ流出したオイルが、スロープ下板部48に案内されて第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流れるので、上述したフィルタ33等によって第2タンク部14側の取り除くことができなかった不要物を、第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流下させて、不要物を第1タンク部13の底面部(蓋体19の上方)に集積させることができる。
【0034】
また、第1タンク部13は、下方へ向かって徐々に縮径する縮径部13bを有するので、第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流下させた不要物を、第1タンク部13の底面部(蓋体19の上方)に確実に集積させることができる。
【0035】
また、第1タンク部13の蓋体19に磁石20が固定されるので、第1タンク部13の蓋体19の上方に集積した不要物のうち磁石につく不要物(例えば、鉄製の不要物)を確実に捕集することができる。
【0036】
また、第1タンク部13のオイル流出口41が第1タンク部13の蓋体19よりも上方に配置されるので、第1タンク部13の蓋体19の上方に集積した不要物が、オイル流出口41から流出し難い。このため、オイルタンク10のオイル流出口41からの不要物の流出を抑制することができる。
【0037】
また、第1タンク部13のオイル流出口41は、第1収容領域11の外周部46を流れるオイルの流通方向(本実施形態では、上面視において反時計回り)の上流から下流に向かって開口する。すなわち、オイル流出口41からオイル供給路4へ流出するオイルは、第1収容領域11のオイルの流れに逆らってオイル流出口41に吸い込まれる。このため、第1収容領域11の外周部46を流れるオイルに含まれる不要物を吸い込み難いので、オイルタンク10のオイル流出口41からの不要物の流出を抑制することができる。
【0038】
また、オイル補充口50は、スロープ40のスロープ下板部48の上方に配置されるので、オイル補充口50から補充されたオイルは、第1タンク部13の内周面47に沿って第1収容領域11の外周部46を渦状に流れるように、スロープ40のスロープ下板部48に案内される。このため、オイルを補充する際にオイル補充口50を介して外部52から第1タンク部13の第1収容領域11に不要物が浸入しても、第1収容領域11に浸入した不要物がオイルと共にスロープ40のスロープ下板部48に案内されて第1タンク部13の第1収容領域11の外周部46を渦状に流れるので、オイルを補充する際に第1収容領域11に浸入した不要物を第1タンク部13の蓋体19の上方に集積することができる。
【0039】
従って、本実施形態によれば、オイルタンク10のオイル流出口41からのゴミ等の不要物の流出を抑制することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、オイルタンク10を、オイルを収容する内部の収容領域を2つの収容領域11,12に仕切った2層式のタンクとしたが、これに限定されるものではなく、収容領域11,12を含む3層式以上のタンクであってもよい。
【0041】
また、本実施形態では、円筒部13aと縮径部13bとを有する第1タンク部13としたが、これに限定されるものではなく、円筒状の第1タンク部であってもよいし、或いは断面多角形状の第1タンク部であってもよい。
【0042】
また、第1タンク部13の下端の略中央部に下端開口18を設けなくてもよく、例えば、第1タンク部13は、平板状の底板部を有してもよい。
【0043】
また、第1タンク部13の底面部(本実施形態では蓋体19)に磁石20を設けなくてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、第1タンク部13のスロープ40を、スロープ下板部48とスロープ側板部49とによって構成したが、スロープ下板部48のみを有するスロープ40であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、オイル流出口41を、オイルの流通方向の上流から下流に向かって開口するように設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、オイル流出口41を第1収容領域11の内部で下方へ向かって開口させてもよい。
【0046】
また、第2タンク部14の形状は、上記に限定されるものではない。また、第2タンク部14にフィルタ33を設けなくてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、第1タンク部13及び第2タンク部14の上方を共通の上板部17によって塞いだが、これに限定されるものではない。
【0048】
また、本実施形態では、内壁24の上端部の第2タンク開口44から内壁23の上端部の第1タンク開口45まで延びる連通部15を設けたが、連通部15はこれに限定されるものではない。例えば、
図4に示すように、第1収容領域11と第2収容領域12とが1枚の内壁55によって仕切られる部分に連通口(連通部)56を設けてもよい。連通口56の幅方向の一方(
図4における上方)は、第1収容領域11に外接する外壁25bの内面に区画され、連通口56は、第2収容領域12から第1収容領域11へ流出したオイルが第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流れるように、第2収容領域12から第1収容領域11の外周部46へ向かって開口する。この場合であっても、第2タンク部14の第2収容領域12から第1タンク部13の第1収容領域11へ流出するオイルが、連通口56の外壁25bに案内されて第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流れるので、第2タンク部14側の取り除くことができなかった不要物を、第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流下させて、不要物を第1タンク部13の底面部に集積させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、第2収容領域12から第1収容領域11へ流出したオイルを第1タンク部13の内周面47に沿って渦状に流れるように案内するスロープ下板部(ガイド部)48を含むスロープ40を、第1タンク部13に設けたが、
図4に示すように、スロープ40を設けなくてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、スロープ40のスロープ下板部(補充オイルガイド部)48の上方にオイル補充口50を配置したが、これに限定されるものではなく、
図4に示すように、第1タンク部13の上方の上板部の外縁部(第1収容領域11の外周部46の上方)の所望の位置にオイル補充口57を設け、該オイル補充口57の下方に案内板(補充オイルガイド部)58を設けてもよい。案内板58は、オイル補充口57から補充されたオイルが第1タンク部13の内周面47に沿って第1収容領域11の外周部46を渦状に流れるように、オイル補充口57の下方から第1タンク部13の内周面47に沿って周方向の一側(
図4では反時計回りの方向)の下方へ傾斜して延びる。或いは、オイル補充口の下方に補充オイルガイド部を設けることなく、オイル補充口を第1タンク部13または第2タンク部14の所望の位置に設けてもよい。
【0051】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。