特許第6814458号(P6814458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6814458当接解除装置を備えた工作機械の衝突検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814458
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】当接解除装置を備えた工作機械の衝突検出装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/19 20060101AFI20210107BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20210107BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G05B19/19 K
   G05B19/18 X
   B23Q11/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-94034(P2016-94034)
(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2017-204038(P2017-204038A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000212566
【氏名又は名称】中村留精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】覚本 雅彦
【審査官】 樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−165240(JP,A)
【文献】 特開2015−179435(JP,A)
【文献】 特許第3529010(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/19
B23Q 11/00
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動ユニットを駆動する送りモータの運転負荷が設定器に設定された衝突検出用の設定負荷に達したときに衝突検出信号を出力して送りモータを緊急停止させる緊急停止装置と、送りモータが緊急停止した後に当該送りモータを戻り量設定器に設定された戻り量だけ逆回転させる当接解除装置とを備え、前記当接解除装置が、前記移動ユニットの衝突位置を基準として前記戻り量設定器に設定された戻り量だけ前記送りモータを逆回転させる工作機械の衝突検出装置において、
前記移動ユニットの移動時における所定期間の前記運転負荷を逐次更新して記憶する定常負荷記憶器と、記憶され定常負荷と前記設定負荷との間の負荷である中間負荷を逐次演算して記憶する中間負荷演算器と、衝突位置演算器と、前記運転負荷と中間負荷とを比較して運転負荷が中間負荷に達したときに中間負荷信号を出力する補助比較器とを備え、前記衝突位置演算器は、前記設定負荷及び設定負荷を検出したときの移動ユニットの位置と、衝突検出信号が出力された直前の中間負荷及び当該中間負荷を検出したときの前記移動ユニットの位置と、衝突検出信号が出力されたときの定常負荷記憶器の記憶値とから衝突位置を演算する、工作機械の衝突検出装置。
【請求項2】
複数の戻り量を設定可能な前記戻り量設定器と戻り量選択器とを備え、戻り量選択器は、送りモータに低速移動指令が与えられているときに小さい戻り量を選択し、送りモータに高速移動指令が与えられているときには大きい戻り量を選択し、前記当接解除装置は、選択された戻り量だけ前記送りモータを逆回転させることを特徴とする、請求項1記載の工作機械の衝突検出装置。
【請求項3】
戻り量設定器が定数設定器とこの定数設定器に設定された設定値とNC装置から送りモータに与えられている速度指令の指令値に基いて戻り量を演算する戻り量設定器を備え、当該戻り量設定器は、前記速度指令の値が高いほど大きい戻り量を演算する、請求項1記載の工作機械の衝突検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械の移動主軸台や刃物台あるいはローダやアンローダのアームやハンドその他の移動ユニットが他の部材と衝突して機械が緊急停止した後に、当該移動ユニットや他の部材に残る衝突後応力を解放する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械の主軸台や刃物台またはローダやアンローダのアームやハンドなどの移動ユニットは、NC装置で制御される送りモータによって駆動されている。NC装置は、これらの移動ユニットの位置と速度とを制御しており、必要に応じて送りモータのトルクを制限して過大な負荷が加わらないようにしている。
【0003】
一方、制御技術の発達により、多軸制御が一般的に行われるようになってきており、また工作機械とローダ・アンローダ等の搬送装置とを統合的に制御することにより、長時間の無人加工を行うことも一般的になってきている。
【0004】
このように工場の自動化が進展すると、制御誤りやワークの供給誤りなどのために、移動ユニットがワークや他のユニットに衝突するという事故が発生しやすくなる。そこでこのような事故が起こったとき、ワークや機械の損傷を最小限に抑えるために、移動ユニットに作用する過負荷を検出して、移動ユニットを緊急停止させることが行われている。
【0005】
例えば図6に示す旋盤の刃物台4aは、X軸送りモータ5x及びZ軸送りモータ5zの回転によりX軸及びZ軸方向に移動して当該刃物台に装着された工具6で主軸チャック7に把持された素材ワークwを加工する。刃物台4aは、NC装置からのX軸モータ5x及びZ軸モータ5zへの速度指令eに従って、加工中は低速で移動し、1ブロックの加工が終わって次の位置に移動するときは高速で移動する。
【0006】
また、図7に示すワークローダは、アーム8の先端のワークハンド4bで把持した素材ワークwを旋盤の主軸チャック7に装填するとき、図に想像線で示す待機位置から主軸チャック7の直近まで高速移動uし、その後のZ軸方向の低速移動vで素材ワークwを主軸チャック7に挿入する。
【0007】
刃物台4aやワークハンド4bの移動時に、加工プログラムミスや素材ワークの取り違えによって、刃物台4aや工具6が主軸チャック7やワークwに衝突することがある。この衝突による機械やワークの損傷を避けるために、衝突を検出して送りモータ5を緊急停止させる衝突検出装置が設けられる。
【0008】
図6のZ軸方向の緊急停止装置について説明すると、Z軸送りモータ5の電源回路に電流計18を設け、衝突により生ずる過負荷によって駆動電流が設定器35に設定された値を超えたときに、比較器31から緊急停止信号aを出力して、送りモータ5を緊急停止させる。
【0009】
過負荷の検出を電気的に行う衝突検出装置は、設定値の変更が容易であることや、機械が緊急停止した後の定常状態への回復が容易であること、緊急停止したときに送りモータ5を若干逆転させることにより、機械やワークの損傷を軽減することもできる。
【0010】
本願の出願人は、特許文献1において、移動ユニットが、ワークや他のユニットに衝突した際のワークや機械の損傷、特にこれらの移動ユニットの高速移動時に衝突が起きたときの損傷を可及的に軽減することを課題として、負荷設定器35に衝突検出用の設定負荷を複数設定して、NC装置から移動ユニットに低速移動指令が出力されているときは、高い方の設定負荷を自動設定し、高速移動指令が出力されたときは、低い方の設定負荷を自動的に設定させることを提案している。この場合、低い方の設定負荷を指令された移動速度eに応じて段階的または連続的に変化させることも提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3529010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
衝突が検出されてから移動ユニットが停止するまでには、きわめて短時間であるけれども時間遅れが生ずる。この時間遅れのために、衝突した両者には衝突時の負荷より大きな残留負荷が残ることとなり、その残留負荷は、移動ユニットの速度が速ければ速いほど大きくなる。特に、衝突が無人連続運転中に起こると、衝突した両者に大きな残留負荷が作用し続けることにより機械が損傷するおそれがある。そこで前述したように、衝突後に送りモータを若干逆転させて、衝突により生じた応力を解放するようにしている。
【0013】
従来、この衝突応力の解放は、移動ユニットが停止した位置から設定された戻り量だけ送りモータを逆転させることによって行われている。衝突した部材の剛性や衝突速度によって衝突負荷を解放するのに必要な戻り量は一定ではないが、充分に大きな戻り量を設定しておけば、どのような条件で衝突しても衝突負荷を解放することができる。
【0014】
しかし、例えば刃物台が剛性の低いワークローダのアームに衝突した場合と、加工中のワークに衝突した場合とを考えると、衝突負荷を解放する戻り量に大きな差があると思われ、衝突後の移動ユニットの惰走量によっては、引き戻し後も衝突箇所が接触したままになって衝突後のダメージが大きくなる場合があると考えられる。
【0015】
また、近時の工作機械は、精度の高い加工と共に微細な加工が要求されるようになってきている。微細な加工を行う工作機械では、衝突検出後の送りモータの戻り量を大きくする、すなわち、移動ユニットを大きく引き戻すと、その戻り移動中に移動ユニットが反対側の部材に衝突する危険が生ずる。この新たな問題を避けるためには、衝突によって移動ユニットが停止した後の移動ユニットの引き戻し量を必要最小限にするのが望ましい。
【0016】
この発明は、衝突により生じた残留応力を解放するために行われる移動ユニットの戻り移動時に新たな問題が発生するのを防止するためになされたもので、残留応力を解放するための送りモータの戻り量をより適切に設定できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、NC工作機械の運転中に刃物台4aやローダのワークハンド4bなどの移動ユニット4に作用する異常負荷を検出して機械を緊急停止させる衝突検出装置において、衝突によって生じた応力が残留して機械にダメージ(損傷ないしストレス)を与えることを避けるために行われる衝突検出後の移動ユニット4の引き戻し処理を衝突検出位置基準ないし衝突位置基準で行うことにより、上記課題を解決したものである。
【0018】
すなわちこの発明の衝突検出装置は、移動ユニット4(4a、4b)を駆動する送りモータ5の運転負荷bが負荷設定器35に設定された衝突検出用の設定負荷cに達したときに衝突検出信号dを出力して送りモータ5を緊急停止させる緊急停止装置34と、送りモータ5が緊急停止した後に当該送りモータを戻り量設定器22(22a、22b、22c)に設定された戻り量だけ逆回転させる当接解除装置2とを備えた工作機械の衝突検出装置において、当接解除装置2が、移動ユニット4の衝突位置ないし衝突位置とみなした衝突検出位置を基準として戻り量設定器22に設定された戻り量だけ送りモータ5を逆回転させることを特徴とするものである。
【0019】
衝突が起こってから負荷設定器35に設定された設定負荷cが検出されるまでに電気信号の処理に必要な検出系の時間遅れが生ずる。一方、設定負荷cが検出されてから移動ユニット4が停止するまでには、主として移動ユニット(駆動系を含む。)の慣性に起因する時間遅れが生ずる。検出系の時間遅れは慣性による時間遅れに比べてはるかに小さいから、移動ユニットの速度に関りなく衝突検出位置を衝突位置とみなしても大きな誤差は生じない。
【0020】
一方、移動ユニット4や衝突された部材の剛性(主として支持剛性)が低い場合には、撓みに起因して実際の衝突位置と衝突検出位置との間に誤差が生ずる。このような場合には、移動ユニット4の速度に応じた戻り量を設定する制御や、衝突後の負荷の立ち上がり曲線から実際の衝突位置を推定する制御がより好ましい。
【0021】
衝突時の移動ユニット4の移動速度の影響を考慮する場合は、戻り量設定器22bに複数の戻り量を設定して移動ユニット4の移動速度範囲に応じた戻り量を自動選択する制御や、移動速度を変数として戻り量を演算する戻り量設定器22cを設けて、移動速度に応じた戻り量を自動設定する制御とすることもできる。
【発明の効果】
【0022】
この発明により、戻り量を小さく設定しても衝突した部材相互を離隔させた状態にまで戻すことができ、衝突した部材相互が当接したままになって長い間衝突によって生じた部材内部の応力が解放されないで機械にダメージを与えるのを最小限に抑えることができる。
【0023】
また、小さな戻り量で衝突した部材相互の当接を確実に解除できるので、戻り移動時に移動ユニット4が反対側の部材に衝突する事態を回避することができる。
【0024】
従ってこの発明により、運転中、特に長時間の無人運転中に生じた機械部材相互の衝突による機械のダメージを可及的に抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施例のブロック図
図2】第2実施例のブロック図
図3】第3実施例のブロック図
図4】第4実施例のブロック図
図5】第4実施例の衝突位置の演算方法を示す説明図
図6】刃物台の動作を示す説明図
図7】ローダの動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、特許文献1で提案した衝突検出装置にこの発明を実施した場合を例にして、この発明の実施形態を説明する。図において、3は特許文献1で提案した従来構造の衝突検出装置本体、2(2a、2b、2c、2d)は当該衝突検出装置本体3に付加された当接解除装置、1は移動ユニット4(刃物台4aやワークハンド4b)の動作を制御しているNC装置である。
【0027】
移動ユニット4を駆動する送りモータ5の電源回路には負荷検出用の電流計18が設けられており、電流計18の出力値に基いて、負荷検出器32が送りモータ5の出力トルクを検出し、慣性負荷補正器33により移動ユニット4(4a、4b)の慣性負荷を補正した負荷が検出されている。衝突検出用の過負荷を設定する設定器として、高レベル設定器35aと低レベル設定器35bとが設けられている。高レベル設定器35aには高い値が設定されており、低レベル設定器35bには低い値が設定されている。
【0028】
レベル選択器37は、NC装置1から送りモータ5に低速移動指令が出力されているときは、高レベル設定器35aに設定された負荷を選択して比較器31に与える。またNC装置1から高速移動指令が与えられているときは、低レベル設定器35bの設定負荷を選択して、比較器31に与える。
【0029】
比較器31は、検出された運転負荷(以下、「検出負荷」と言う。)bとレベル選択器37が選択した設定負荷cとを比較して、検出負荷bが設定負荷に達したとき、衝突検出信号dを緊急停止装置34に与え、これを受けた緊急停止装置34が送りモータ5を緊急停止させる。
【0030】
なお、特許文献1に示されているように、低レベル設定器35bにレベルの異なる3種以上の設定値を設定し、送りモータ5の速度が速くなるほどレベル選択器37が低いレベルの設定値を選択して衝突検出用の設定負荷とする制御や、低レベル設定器35bにNC装置1から速度指令eの指令値と設定された定数とに基づいて、移動ユニットの速度が速くなるほど低い値を演算するレベル演算器を登録して、移動ユニットの速度が速くなるほど低いレベルの設定負荷を演算して衝突検出用の設定負荷とする制御も可能である。
【0031】
図1に想像線で囲んで示す第1実施例の当接解除装置2aは、検出位置記憶器21と、戻り量設定器22aと、戻り位置演算器23とを備えている。検出位置記憶器21は、比較器31から衝突検出信号dを受けたとき、そのときの移動ユニット4の位置ないし送りモータ5の位相を記憶する。戻り量設定器22aには、衝突検出信号dが出力されたときの移動ユニットの位置(衝突検出位置)を基準とする移動ユニット4の引き戻し量ないし送りモータ5の逆転量が設定される。戻り位置演算器23は、検出位置記憶器21が記憶した衝突検出位置から戻り量設定器22aに設定された戻り量だけ移動ユニット4を戻した位置(戻り位置)を演算して戻り位置信号fをNC装置1に送る。NC装置1は、送りモータ5の停止信号を受けた後、移動ユニットを戻り位置に移動して衝突により生じた負荷を解放する。
【0032】
衝突が刃物台とワークとの当接のように、高剛性の部材同士の衝突であれば、衝突したあと直ちに検出負荷bが設定負荷cに達するから、衝突検出位置を衝突位置とみなして戻り位置を演算しても、戻り量が不足して衝突した部材同士が当接したままの状態で停止したり、戻り量が過大になって戻り動作時に反対側の部材に衝突するようなおそれはない。
【0033】
しかし、刃物台に装置したドリルとワークとの衝突や、ローダのアーム先端に把持されたワークと主軸チャックとの衝突のような、剛性の低い部材の衝突の場合には、ドリルやアームの撓みによって衝突時の負荷の立ち上がりが緩やかになるので、衝突を検出した位置と実際に衝突が起こった位置とに無視できない差が生ずることがある。
【0034】
このような場合には、衝突検出位置を衝突位置とみなして戻り位置を演算すると、戻した後でも衝突した部材同士が当接したままになるおそれがある。このようなおそれがある場合には、負荷設定器35に移動ユニットの速度範囲に応じた負荷を複数設定する第2実施形態や、衝突位置をより正確に演算する第3実施形態を採用することができる。
【0035】
図2は、衝突前の移動ユニットの移動速度範囲ごとに複数の戻り量を設定する場合の当接解除装置の例である。この第2実施例では、複数の戻り量を設定可能な戻り量設定器22bと、戻り量選択器24とが設けられる。戻り量設定器22bには、NC装置1から移動ユニットの送りモータ5に与えられている移動指令の所定の速度範囲毎の戻り量を設定する。戻り量選択器24は、NC装置1から速度指令eを受けて、その速度指令の速度範囲に対応する設定量を選択して戻り位置演算器23に与える。これにより、戻り位置演算器23は、衝突時の移動ユニットの速度範囲に対応する戻り位置を演算できる。
【0036】
図2の第2実施例は、移動ユニットの速度に応じて段階的に戻り量を変更する制御であるが、図3に示すように、戻り量を移動ユニットの関数として連続的に変化させる制御も可能である。図3の第3実施例では、戻り量設定器22cに定数とNC装置1から送りモータ5に与えられている速度指令eを変数とする演算式を登録して、当該定数と速度指令eとによって戻り量を演算するようにしたものである。
【0037】
図4に示す第4実施例は、衝突によって送りモータ5の負荷が図5に示すように直線的に立ち上がって設定負荷cに達するとみなして、その立ち上がり直線sと、衝突前の送りモータ5の定常負荷tとの交点pを衝突位置とするものである。
【0038】
第4実施例の当接解除装置2dは、第1実施例で説明した検出位置記憶器21、戻り量設定器22a及び戻り位置演算器23に加えて、定常負荷記憶器25と、中間負荷演算器26と、補助比較器27と、中間位置記憶器28と、衝突位置演算器29とを備えている。
【0039】
定常負荷記憶器25は、慣性負荷補正器33から出力される検出負荷bを常時入力して、予め設定した範囲での直近の定常負荷の平均値を演算して逐次更新しながら記憶する。中間負荷演算器26は、負荷設定器35に設定された負荷と定常負荷記憶器25が演算した直近負荷との中間の負荷を定常負荷記憶器25の演算値が逐次更新されるごとに演算して記憶する。補助比較器27は、慣性負荷補正器から出力される検出負荷bがその時の中間負荷演算器の演算値と一致したときに、中間負荷検出信号gを出力し、中間位置記憶器28は、そのときの移動ユニットの位置(図5のoの位置)を記憶する。
【0040】
その後、過負荷が検出されて衝突検出位置mが検出されたときは、衝突位置演算器29が衝突検出位置と中間位置とに基づいて衝突位置n(図5)を演算して戻り位置演算器23に与える。戻り位置演算器23は、移動ユニット4を衝突位置nから戻り量設定器22aに設定された戻り量だけ戻した位置を演算して戻り位置信号fをNC装置1に与え、NC装置は、送りモータ5の停止信号を受けた後、当該戻り位置に移動ユニットを移動する。
【0041】
以上の説明から理解されるように、この発明によれば、衝突が検出された後の移動ユニットが停止するまでの惰走の誤差ないしばらつきが消去されて、必要最小限の戻り量を設定することができるから、戻り量が十分でないために、衝突した両部材に内部応力が作用した状態で機械が長時間停止することによって生ずる部材の劣化や、衝突により生じた応力を解放するための戻り量が過大であったために、移動ユニットが反対側の部材に衝突して機械が損傷するなどのトラブルを可及的に防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
2 当接解除装置
4 移動ユニット
4a 刃物台
4b ワークハンド
5 送りモータ
22(22a、22b、22c) 戻り量設定器
34 緊急停止装置
35 負荷設定器
b 運転負荷
c 設定負荷
d 衝突検出信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7