特許第6814489号(P6814489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6814489コンクリートブロック成型方法及びコンクリートブロック成型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6814489
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】コンクリートブロック成型方法及びコンクリートブロック成型装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 3/02 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   B28B3/02 C
   B28B3/02 M
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-150617(P2019-150617)
(22)【出願日】2019年8月20日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142687
【氏名又は名称】株式会社桂機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】星野 吉伸
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−124918(JP,A)
【文献】 特開昭58−090905(JP,A)
【文献】 特開2000−127124(JP,A)
【文献】 特表2005−515090(JP,A)
【文献】 特表2006−518293(JP,A)
【文献】 特開2009−113500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 3/00 − 3/26
B28B 13/00 − 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に配置された型枠に材料を供給し、当該型枠を振動させ、当該型枠内の材料を押圧してコンクリートブロックを成型し、成型されたコンクリートブロックを型枠から抜き出すコンクリートブロック成型方法において、
弾性体と当該弾性体に支持された振動テーブルと当該振動テーブルを振動させるテーブル振動手段と当該振動テーブルに支持された打付け具を備えた振動付加手段の当該テーブル振動手段で前記振動テーブルを振動させることによって、当該振動テーブルに支持された打付け具を前記パレットに打付け、当該打付け具のパレットへの打付けによって、前記型枠に材料が充填された状態で当該パレットに振動を加える、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型方法。
【請求項2】
パレット上に配置された型枠に材料を供給し、当該型枠を振動させ、当該型枠内の材料を押圧してコンクリートブロックを成型し、成型されたコンクリートブロックを型枠から抜き出すコンクリートブロック成型方法において、
型枠振動手段で型枠を振動させることによって当該型枠の振動を前記パレットを介して弾性体に伝達し、当該弾性体からの反発力によって打付け具を前記パレットに打付けることによって、前記型枠に材料が充填された状態で当該パレットに振動を加える、
ことを特徴とするコンクリートブロック成形方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコンクリートブロック成型方法において、
型枠とパレットを同時又は略同時に振動させる、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンクリートブロック成型方法において、
型枠とパレットに異なる種類の振動を加える、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型方法。
【請求項5】
パレットと、パレット上に配置される型枠と、当該型枠を振動させる型枠振動手段と、型枠内に供給された材料をプレスするプレス手段を備えたコンクリートブロックの成型装置において、
前記パレットを支えるパレット支持手段と、
前記パレットに振動を加える振動付加手段を備え、
前記振動付加手段は、弾性体と、当該弾性体に支持された振動テーブルと、振動テーブルを振動させるテーブル振動手段と、当該振動テーブルに支持された打付け具を備え、
前記テーブル振動手段によって振動テーブルが振動すると、当該振動テーブルに支持された打付け具がパレットに打付けられて当該パレットに振動が加わる、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型装置。
【請求項6】
パレットと、パレット上に配置される型枠と、当該型枠を振動させる型枠振動手段と、型枠内に供給された材料をプレスするプレス手段を備えたコンクリートブロックの成型装置において、
前記パレットを支えるパレット支持手段と、
前記パレットに振動を加える振動付加手段を備え、
前記振動付加手段は、弾性体と当該弾性体に支持された打付け具を備え、
前記型枠振動手段によって型枠が振動すると、当該型枠の振動が前記弾性体に加わり、当該弾性体に加わった振動の反発力によって打付け具がパレットに打付けられて当該パレットに振動が加わる、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6記載のコンクリートブロック成型装置において、
振動付加手段は、型枠と同時又は略同時にパレットを振動させることができる、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のコンクリートブロック成型装置において、
振動付加手段は、型枠に加わる振動とは異なる種類の振動をパレットに加えることができる、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型装置。
【請求項9】
請求項から請求項8のいずれか1項に記載のコンクリートブロック成型装置において、
振動付加手段は、パレットに加える振動の大きさを変更することができ、
前記パレットに加える振動の大きさを変えることによって、パレットに加わる振動の強さを変えることができる、
ことを特徴とするコンクリートブロック成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロックの成型方法及び成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートブロックの成型方法として、型枠を上下振動させて成型する型枠振動方式と、型枠の底面から衝撃的な振動を与えて成型するテーブル振動方式が知られている(特許文献1)。一般に、建物や塀などに使用される空洞ブロックの成型には型枠振動方式が採用され、舗装材などに使用される平板やインターロッキングブロックなどの成型にはテーブル振動方式が採用される。
【0003】
前記型枠振動方式では、型枠全体が上下方向に振動することで、型枠壁面からのせん断力が骨材に伝達されやすく、型枠の壁面から離れた部分も上から下まで略均等な充填密度となるメリットがある。
【0004】
一方、前記テーブル振動方式では、型枠の底面側から振動を加えるので、型枠の下側に宛がうパレット面側の詰まりが良好であり、薄物且つ大判サイズのブロックも均一に充填することができ、曲げ強度の高い品質が得られるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−080774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記型枠振動方式では、全体的にはコンクリートの略均一な詰まりを実現できるが、詳細に見ると、コンクリートブロックの下部(パレット側)はその上部(プレス面側)に比べてコンクリートの詰まりが粗くなる傾向にある。
【0007】
このため、例えば、化粧ブロックのようにフェイスシェル表面に縦ライン等を形成する場合、縦ラインの下部に欠損等が生じることがある。特に、ラインが細いものではこのような欠損等が目立ちやすく、景観材としての役割をも有する化粧ブロックにおいては、このような欠損等によって商品価値が大きく損なわれる。
【0008】
また、外観上は欠損等がない場合でも、コンクリートの詰まりが悪いために二次加工を施した際にその部分が大きく剥離したり、欠けたりすることがある。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、型枠の振動のみでは実現しきれなかったパレット側の密な充填を実現することができ、欠損等の発生を抑制することができるコンクリートブロックの成型方法及び成型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[コンクリートブロック成型方法]
本発明のコンクリートブロック成型方法は、パレット上に配置された型枠に材料を供給し、当該型枠を振動させ、型枠内の材料を押圧してコンクリートブロックを成型し、成型されたコンクリートブロックを型枠から抜き出す方法であって、弾性体と弾性体に支持された振動テーブルと振動テーブルを振動させるテーブル振動手段と振動テーブルに支持された打付け具を備えた振動付加手段の当該テーブル振動手段で振動テーブルを振動させることによって、振動テーブルに支持された打付け具をパレットに打付け、当該打付け具のパレットへの打付けによって、型枠に材料が充填された状態でパレットに振動を加える方法である。本発明のコンクリートブロック成型方法は、型枠振動手段で型枠を振動させることによって型枠の振動をパレットを介して弾性体に伝達し、弾性体からの反発力によって打付け具をパレットに打付けることによって、型枠に材料が充填された状態でパレットに振動を加えるようにすることもできる。
【0011】
[コンクリートブロック成型装置]
本発明のコンクリートブロック成型装置は、パレットと当該パレット上に配置される型枠と、当該型枠を振動させる型枠振動手段と、型枠内の材料を押圧するプレス手段を備えた装置であって、パレットを支えるパレット支持手段と、パレットに振動を加える振動付加手段を備え、振動付加手段は、弾性体と弾性体に支持された振動テーブルと振動テーブルを振動させるテーブル振動手段と振動テーブルに支持された打付け具を備え、テーブル振動手段によって振動テーブルが振動すると、振動テーブルに支持された打付け具がパレットに打付けられてパレットに振動が加わるようにしたものである。本発明のコンクリートブロック成型装置は、前記パレットを支えるパレット支持手段と、パレットに振動を加える振動付加手段を備え、振動付加手段は、弾性体と当該弾性体に支持された打付け具を備え、型枠振動手段によって型枠が振動すると、型枠の振動が弾性体に加わり、弾性体に加わった振動の反発力によって打付け具がパレットに打付けられてパレットに振動が加わるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
[コンクリートブロック成型方法]
本発明のコンクリートブロック成型方法は、型枠に材料が充填された状態でパレットに振動を加えるため、型枠の振動だけでは実現しきれなかったパレット側の密な充填を実現することができ、欠損等の発生を抑制することができる。
【0013】
[コンクリートブロック成型装置]
本発明のコンクリートブロック成型装置は、型枠を振動させる型枠振動手段に加え、パレットに振動を加える振動付加手段を備えているため、型枠の振動だけでは実現しきれなかったパレット側の密な充填を実現することができ、欠損等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明のコンクリートブロック成型装置の一例を示す正面図、(b)は防振体と打付け具の位置関係を示す平面図。
図2】(a)は型枠を上下振動させた際にコンクリート材料に伝わる波形(横波)の説明図、(b)は振動テーブルを上下振動させた際にコンクリート材料に伝わる波形(縦波)の説明図。
図3】(a)は本発明のコンクリートブロック成型装置の他例を示す正面図、(b)は(a)の丸囲い部分の拡大図、(c)は防振体と打付け具の位置関係を示す平面図。
図4】(a)は空気ばねを加圧して打付け具をパレットに密着させた状態の説明図、(b)は空気ばねの加圧を解除して打付け具をパレットから離した状態の説明図。
図5】(a)は空気ばねを加圧して打付け具をパレットに密着させた場合の型枠の振動波形とパレットの振動波形を示すもの、(b)は空気ばねを加圧せずに打付け具をパレットから離した場合の型枠の振動波形とパレットの振動波形を示すもの。
図6】コンクリートブロックの成型手順の説明図であって、(a)は型枠に材料を供給した状態を示すもの、(b)は型枠及び振動テーブルを振動させた状態を示すもの。
図7】コンクリートブロックの成型手順の説明図であって、(a)は型枠に供給された材料を押圧手段で締め固めている状態を示すもの、(b)は成型されたコンクリートブロックをパレット上に抜き出した状態を示すもの。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(コンクリートブロック成型方法の実施形態)
本発明のコンクリートブロック成型方法(以下、単に「成型方法」という)の一例を説明する。本発明の成型方法は、各種コンクリートブロックの成型、より具体的には、即時脱型コンクリートブロックの成型に特に好適に用いることのできる成型方法である。
【0016】
この実施形態の成型方法は、パレット上に配置された型枠に材料を供給する工程と、型枠を振動させる工程と、パレットを振動させる工程と、型枠内の材料を押圧して締め固める工程と、締め固められて所定形状に成型されたコンクリートブロックを脱型する工程を備えている。
【0017】
前記パレット上に配置された型枠に材料を供給する工程では、パレットを型枠の底面側に密着させた状態で型枠の所定箇所に材料を供給する。材料の供給は既存の方法で行うことができる。
【0018】
前記型枠を振動させる工程では、型枠に連結された型枠振動手段によって型枠を上下に振動させる。型枠振動手段には既存の装置を用いることができる。型枠への振動は、材料が固まる前であればいつでも付加することができ、例えば、型枠への材料の供給前から開始することも、材料の供給完了後から開始することもできる。また、型枠への振動は、材料の締固めが完了する前に終了することも、材料の締固めが完了するまで続けることもできる。
【0019】
前記パレットを振動させる工程では、型枠に材料が充填された状態でパレットの底面を打付け具で打付ける(叩く)ことでパレットに上下振動を加えることができる。ここで加える振動は、パレットに衝撃を与えるための振動(いわゆる衝撃振動)である。
【0020】
パレットは、型枠と同時又は略同時に振動させることができる。ここでいう同時又は略同時とは、型枠とパレットの双方が振動している時間帯があるという程度の意味であり、振動開始のタイミングが異なる場合や振動終了のタイミングが異なる場合、総振動時間が異なる場合も含まれる。なお、パレットと型枠は別々に振動させることもできる。
【0021】
パレットには、型枠に加わる振動とは異なる種類の振動を加えることができる。ここでいう異なる種類の振動とは、材料が波の進行方向と平行に振動する縦波と、材料が波の進行方向と垂直に振動する横波のことを意味する。
【0022】
また、パレットは、型枠を振動させる型枠振動手段とは異なる振動手段によって振動させることも、型枠を振動させる型枠振動手段によって、言い換えれば、型枠に加わる振動を利用して振動させることもできる。
【0023】
(コンクリートブロック成型装置の実施形態1)
次に、本発明のコンクリートブロック成型装置(以下、単に「成型装置」という)の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1(a)(b)に示す成型装置は、昇降手段10と、パレット支持手段20と、振動付加手段30と、パレット40と、型枠50と、型枠振動手段60と、プレス手段70を備えている。
【0024】
前記昇降手段10は、パレット支持手段20及びパレット支持手段20で支持されたパレット40を昇降させるものである。この実施形態では、昇降手段10として既存の油圧シリンダを用いている。昇降手段10には、油圧シリンダ以外のものを用いることもできる。
【0025】
前記パレット支持手段20は、パレット40を底面側から支持するものである。この実施形態のパレット支持手段20は、昇降手段10に連結された支持体21と、支持体21上に設けられた複数の防振体22と、防振体22上に設けられたガーダーテーブル23を備えている。支持体21、防振体22及びガーダーテーブル23は、昇降手段10の昇降動作に伴って昇降するようにしてある。
【0026】
この実施形態の支持体21は、内部に振動付加手段30の構成部材を収容可能な収容部を備えた中空の箱型部材である。支持体21は箱型以外の構成とすることもできる。図1(b)に示すように、この実施形態の支持体21の上面には、後述する打付け具34の打付け部34bが突出する支持体開口部21aが複数(打付け部34bと同数以上)設けられている。
【0027】
前記防振体22は、上面に設置されるガーダーテーブル23の振動を防止するものである。この実施形態では、防振体22として防振ゴムを用いている。防振ゴムは、支持体21の上に間隔をあけて複数個(この実施形態では六個)設けられている。防振ゴムの数や配置位置に制限はないが、ガーダーテーブル23を安定した状態で支持できるような数をバランスよく配置するのが好ましい。防振体22には防振ゴム以外のものを用いることもできる。
【0028】
前記ガーダーテーブル23は、パレット40を支持するものである。この実施形態のガーダーテーブル23はパレット40と平面的に同等の大きさ(面積が同程度)の平板材である。図1(b)に示すように、ガーダーテーブル23には後述する打付け部34bが通過可能なテーブル開口部23aが複数個(打付け部34bと同数以上)設けられている。
【0029】
前記振動付加手段30は、パレット支持手段20で支持されたパレット40に振動を加えるものである。この実施形態では、振動付加手段30でパレット40を上下振動させることによって、材料に縦波(図2(b)参照)が付加されるようにしてある。
【0030】
この実施形態の振動付加手段30は、複数の弾性体31と、それら弾性体31上に設けられた振動テーブル32と、振動テーブル32を振動させるテーブル振動手段33と、振動テーブル32上に設けられた打付け具34を備えている。
【0031】
前記弾性体31は、振動テーブル32を支持するものであり、振動テーブル32及び打付け具34をパレット40の底面側に向けて押し上げるものである。この実施形態では、弾性体31として空気ばねを用いている。空気ばねは前後左右に間隔をあけて複数個設けられている。空気ばねの圧力は図示しない圧力調整装置で調整できるようにしてある。
【0032】
この実施形態では、空気ばねを加圧したとき(空気ばねをONにしたとき)に打付け具34の打付け部34bがパレット40に密着するようにしてある(図4(a)参照)。反対に、空気ばねの加圧を解除したとき(空気ばねをOFFにしたとき)に打付け部34bのパレット40への密着が解消されるようにしてある(図4(b)参照)。
【0033】
この実施形態の空気ばねは一例であり、弾性体31には、各種ゴムやスプリングなど、空気ばね以外のものを用いることもできる。
【0034】
前記振動テーブル32は打付け具34を支持するものである。この実施形態の振動テーブル32は、電動機や動力伝達手段(駆動ベルトやプーリー等)を備えたテーブル振動手段33によって振動が加えられるようにしてある。具体的には、電動機が動作すると、その動力が動力伝達手段を介して振動テーブル32に伝わり、振動テーブル32が振動するようにしてある。この実施形態では、テーブル振動手段33によって振幅や周波数を変えることができる。
【0035】
前記打付け具34は、パレット40の底面側を叩いてパレット40に振動を加えるもの(いわゆるノッキンググリッド)である。この実施形態の打付け具34は、ベース部34aとベース部34aの上面側に突設された打付け部34bを備えている。図1(b)に示すように、打付け部34bは間隔をあけて複数個設けられている。打付け部34bの数や設置位置に制限はないが、パレット40を均等に打付けるのに必要な数をバランスよく配置するのが好ましい。打付け具34は振動テーブル32の上面に設けられている。
【0036】
前記パレット40は、型枠50の底面に宛がって型枠50に供給される材料が漏れないようにするとともに、成型後のコンクリートブロックXを載置(支持)するものである。この実施形態のパレット40は、少なくとも型枠50の材料供給部分の底面側の開口を閉塞できる大きさの平板状部材である。パレット40には既存の又は新規のものを用いることができる。
【0037】
前記型枠50は、コンクリートブロックXを成形するための枠部材である。型枠50には既存の又は新規のものを用いることができる。この実施形態の型枠50は、材料充填部を二つ備えており、一度に二つのコンクリートブロックXを成形できるようにしてある。ここで示した型枠50の構成は一例であり、型枠50の構成はこれ以外とすることもできる。
【0038】
前記型枠振動手段60は、型枠50を振動させるものである。この実施形態では、型枠振動手段60で型枠を上下振動させることによって、材料に横波(図2(a)参照)が付加されるようにしてある。この実施形態の型枠振動手段60は、電動機や動力伝達手段(駆動ベルトやプーリー等)を備えている。電動機が動作すると、その動力が動力伝達手段を介して型枠50に伝わり、型枠50が上下に振動するようにしてある。この実施形態では、型枠振動手段60によって振幅や周波数を変えることができる。
【0039】
前記プレス手段70は、型枠50内の材料充填部分に供給された材料を押圧して締め固めるものである。プレス手段70には既存の又は新規のものを用いることができる。この実施形態のプレス手段70は、プレスシリンダ71とプレス具72を備えている。この実施形態では、プレスシリンダ71として油圧シリンダを用いている。
【0040】
プレス具72は、基部72aと基部72aから下向きに突設された押し棒72bを備えている。プレスシリンダ71のロッドはプレス具72の基部72aの上面側に固定され、プレスシリンダ71のロッドの伸縮によって、プレス具72の押し棒72bが型枠50内に押し込まれるようにしてある。
【0041】
この実施形態の成型装置は、型枠50のみを振動させる型枠振動モード、振動テーブル32(パレット40)のみを振動させるテーブル振動モード、型枠50と振動テーブル32(パレット40)の双方を振動させる双方振動モードの三つのモードで使用できるようにしてある。
【0042】
この実施形態では、型枠振動手段60で型枠50が上下に振動することによって、図2(a)に示すような横波が生じ、振動テーブル32が上下に振動することによって、図2(b)に示すような縦波が生じるようにしてある。
【0043】
(コンクリートブロック成型装置の実施形態2)
本発明の成型装置の他例を、図面を参照して説明する。一例として図3(a)〜(c)に示す成型装置は、昇降手段10と、パレット支持手段20と、振動付加手段30と、パレット40と、型枠50と、型枠振動手段60と、プレス手段70を備えている。
【0044】
この実施形態の成型装置の基本的な構成は実施形態1と同様である。異なるのは、パレット支持手段20の支持体21の構成と、振動付加手段30の構成である。以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同様の部分については適宜その説明を省略する。
【0045】
この実施形態の支持体21は平板状であり、実施形態1のような収容部は設けられていない。実施形態1と同様、この実施形態の支持体21の上面に防振体22が設けられ、その防振体22の上面にガーダーテーブル23が設けられている。
【0046】
この実施形態の振動付加手段30は、弾性体31と打付け具34を備えている。実施形態1と同様、この実施形態でも、弾性体31として空気ばねを、打付け具34として実施形態1と同様のノッキンググリッドを用いている。
【0047】
この実施形態では、図4(a)のように空気ばねをONにすることによって、空気ばねに支えられた打付け具34の打付け部34bがパレット40に密着し、図4(b)のように空気ばねをOFFにすることによって、空気ばねに支えられた打付け具34の打付け部34bがパレット40から離れるようにしてある。
【0048】
前者の場合、型枠振動手段60によって型枠50が振動すると、その振動がパレット40を介して打付け具34及び空気ばねへと伝わり、その空気ばねからの反発力によって打付け具34が上下に振動し、パレット40の底面に振動が加えられる。このときのパレット40の振動波形は、図5(a)の下側に示すような波形であり、図5(a)の上側に示す型枠50の振動波形とは形状が異なる。
【0049】
一方、後者の場合、型枠振動手段60によって型枠50が振動しても、その振動は打付け具34及び空気ばねへは伝わらず、打付け具34によってパレット40の底面に振動が加えられることはない。このときのパレット40の振動波形は、図5(b)の下側に示すような波形であり、図5(b)の上側に示す型枠50の振動波形と形状が同様である。
【0050】
この実施形態の成型装置では、型枠50のみを振動させる型枠振動モード又は型枠50とパレット40の双方を振動させる双方振動モードで使用することができる。
【0051】
(使用例)
次に、本発明の成型装置の使用例について説明する。ここでは、実施形態2の成型装置を一例とする。
(1)昇降手段10を上昇させ、パレット40を型枠50の底面に密着させる(図6(a))。このとき、空気ばねは加圧した状態にしておき、打付け部34bがパレット40の底面に密着するようにしておく。
(2)図示しない材料供給手段から型枠50内に材料を供給する(図6(a))。
(3)型枠振動手段60によって材料が供給された型枠50を振動させる(図6(b))。このとき、型枠50に加わった振動がパレット40を介して打付け具34及び空気ばねへと伝わり、その空気ばねからの反発力によって打付け具34が上下に振動し、パレット40の底面に振動が加えられる。
(4)プレス手段70によって型枠50内の材料を所定位置(コンクリートブロックXが所定高さとなる位置)までプレスし、材料を押し固める(図7(a))。
(5)材料の押し固めによって材料が所定形状に成型されたのち、成型されたコンクリートブロックXをプレス手段70で押し下げながら昇降手段10を降下させ、型枠50から抜き出す(図7(b))。このとき、型枠50は型枠サポートSによって支持される。
【0052】
前記工程において、型枠50とパレット40は、材料が固まる前の任意のタイミングで振動させることができる。具体的には、材料の供給開始前からプレスが完了するまでの任意のタイミングで、任意の時間振動させることができる。
【0053】
以上の工程で成型されたコンクリートブロックXは、型枠50の振動によって上下方向の全体的な充填が確保されるだけでなく、パレット40の振動が加わるため、従来粗くなりがちであったパレット40側(コンクリートブロックXの下側)にも材料が密に充填されたものとなる。
【0054】
これにより、例えば、化粧ブロックのようにフェイスシェル表面に縦ライン等を形成する場合でも、縦ラインの下部に欠損等ができにくく、ラインが細いもの等であっても欠損等が目立つことがない。このため、景観材としての役割をも有する化粧ブロックとして用いる場合であっても、欠損等によって商品価値が大きく損なわれることがない。
【0055】
また、コンクリートブロックXの内部にも欠損等が生じにくいため、当該コンクリートブロックXに二次加工を施しても剥離や損壊が生じにくい。
【0056】
なお、前記使用例において、型枠50のみを振動させる型枠振動モードで使用する場合、打付け具34が振動しないようにする(打付け具34の振動を規制する)必要がある。具体的には、空気ばねをOFFにして、打付け部34bとパレット40の間に隙間を設けることで、打付け具34の振動を規制することができる。
【0057】
(その他の使用例)
前記実施形態1の成型装置を用いる場合、前記(1)〜(5)の工程に加えて、テーブル振動手段33によって振動テーブル32を振動させ、打付け具34でパレット40の底面に振動を加える工程が追加される。
【0058】
なお、前記実施形態1の成型装置を用いる場合、型枠50のみを振動させる型枠振動モードで使用するためには、打付け具34が振動しないようにする(打付け具34の振動を規制する)必要がある。具体的には、テーブル振動手段33を動作させない、あるいは、空気ばねの加圧を解除して、打付け部34bとパレット40の間に隙間を設けることで、打付け具34の振動を規制することができる。
【0059】
また、前記実施形態1の成型装置を用いる場合、振動テーブル32のみを振動させるテーブル振動モードで使用するためには、型枠50が振動しないようにする(型枠50の振動を規制する)必要がある。具体的には、型枠振動手段60を動作させないことで、型枠50の振動を規制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の成型方法及び成型装置は、各種コンクリートブロックの成型方法及び成型装置、特に、即時脱型コンクリートの成型方法及び成型装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 昇降手段
20 パレット支持手段
21 支持体
21a 支持体開口部
22 防振体
23 ガーダーテーブル
23a テーブル開口部
30 振動付加手段
31 弾性体
32 振動テーブル
33 テーブル振動手段
34 打付け具
34a ベース部
34b 打付け部
40 パレット
50 型枠
60 型枠振動手段
70 プレス手段
71 プレスシリンダ
72 プレス具
72a 基部
72b 押し棒
S 型枠サポート
X コンクリートブロック
【要約】
【課題】 型枠の振動のみでは実現しきれなかったパレット側の密な充填を実現することができ、欠損等の発生を抑制することができるコンクリートブロックの成型方法及び成型装置を提供する。
【解決手段】 本発明のコンクリートブロックの成型方法は、パレット上に配置された型枠に材料を供給し、型枠を振動させ、型枠内の材料を押圧してコンクリートブロックを成型し、成型されたコンクリートブロックを型枠から抜き出す方法であって、型枠に材料が充填された状態で前記パレットを振動させる方法である。本発明のコンクリートブロック成型装置は、パレット40とパレット40上に配置される型枠50と、型枠50を振動させる型枠振動手段60と、型枠50内の材料を押圧するプレス手段70を備えた装置であって、パレット40に振動を加える振動付加手段30を備えたものである。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7