【課題を解決するための手段】
【0014】
上述したタイプの方法から開始して、この目的は、内部ボア内で、400〜1000Pa(4〜10mbar)の範囲で設定される吹込圧が生成され、中空円筒体および管状ストランドに対して、以下:
C
a>180mm、
C
r=C
a/C
iとしてC
r>3、
T
r=T
a/T
iとしてT
r<1.6、および
C
i/T
i<2.5
が適用可能であるという本発明によって達成される。
【0015】
最初に、以下においていくつかの用語について説明し、その後、本発明による方法の対策の効果について詳細に説明する。
【0016】
「吹込圧」は、中空円筒体の外側の主流となっている圧力と比較して中空円筒体の内部ボアにおいて主流となっている過圧を示す。内部ボアの外側で主流となっている圧力は、最も単純な場合は大気圧である。吹込圧は、窒素等の圧力ガスを中空円筒体の内部ボア内に導入することによって生成および維持される。吹込圧レベルは、引き取られた管状ストランドの壁厚さに影響を与える。
【0017】
「延伸球状部」は、伸長プロセスにおいて、中空円筒体と、加熱ゾーンにおいて軟化した中空円筒体ガラス塊からの引き取られた管状ストランドとの間に形成される遷移領域である。延伸球状部内で、中空円筒体の内部ボアは完全につぶれず、それにより、延伸球状部は、中空円筒体と管状ストランドとの内部ボアの間の連続したチャネルをさらに備える。
【0018】
「出発円筒体」は、伸長プロセスが施される石英ガラスの中空円筒体を示す。「内面」は、延伸球状部を含む、中空円筒体および引き取られた管の内壁の自由面であり、内壁は内部ボアを画定する。
【0019】
伸長プロセスにおいて、出発円筒体の内部ボアは、本明細書では「成形プロセス」とも呼ぶ、著しい形状の変化が施される。内部ボアは、より狭く且つより長くなる。これは、内面のサイズに対して異なる影響を与える。内部ボアの狭窄により内面が低減することになり、伸長により内面が増大することになる。本発明による方法では、最終的に新たな内壁面が常に形成される。延伸比に加えて、中空円筒体および管状ストランドの名目内面の比として表される内面の新たな形成の度合が、成形プロセス強度/程度のさらなる尺度である。
【0020】
引き取られた管状ストランドの内壁の品質は、成形プロセスの強度によって決まることが分かった。強力な成形プロセスは、より優れ且つより平滑な内面をもたらす傾向がある。一方で、工具なしの伸長プロセスにおける高い成形度合いでは、引き取られた管状ストランドにおいて寸法安定性および回転対称性が低下する危険がある。特にガラス塊が高温であることと組み合わさって、管状ストランドは長手方向軸に沿って曲がる傾向があることが分かった。
【0021】
したがって、約30〜40mmの範囲のサブストレート管の典型的な外径から開始して、半径方向寸法が、可能な限り伸長プロセスにおいて両境界条件を満たす、すなわち、引き取られた管状ストランドの内面の高い寸法安定性および高品質が同時に得られるようなものである、出発円筒体を提供するように試みられてきた。吹込圧はここでは重要な役割を果たすことが分かった。吹込圧をさらに適合させることにより、請求項1において概説した技術的教示がもたらされた。
【0022】
高い成形度合いを達成するために、出発円筒体として、外径C
aが少なくとも180mmである厚壁の中空円筒体を使用する。外径(C
a)/内径(C
i)の直径比C
rが3を超える(C
r>3)という点で、中空円筒体の壁厚さが大きいことが明らかである。
【0023】
成形プロセスにおいて厚壁の出発円筒体から、比較的薄壁の管状ストランド、したがって薄壁のサブストレート管が得られる。外径(T
a)/内径(T
i)の直径比T
rが1.6未満である(T
r<1.6)という点で、管状ストランドの壁厚さが小さいことが明らかである。
【0024】
この成形プロセスでは、大きい伸長比が必要であり、引き取られた管状ストランドにおける平滑な内面を伴う、新たな表面がもたらされる。
【0025】
内面に対する新たな形成は、主に、出発円筒体のその長手方向軸の方向における伸張による。しかしながら、中空円筒体の内部ボアのつぶれに対するあり得る限りの著しい半径方向変形(その変形により、たわみ、歪みおよび表面欠陥が容易にもたらされる可能性がある)を回避するために、中空円筒体および管状ストランドの内部ボアの直径が、2.5倍以下だけ互いに異なる(C
i/T
i<2.5)ことが意図される。この対策により、引き取られた管状ストランドの寸法安定性および回転対称性が確保される。
【0026】
吹込圧は、400〜1000Pa(4〜10mbar)に設定される。これは、比較的高圧である。これにより、延伸球状部の領域において出発円筒体の迅速な成形がもたらされ、それにより、新たに生成された内面が高い成形温度および圧力ガスにさらされているプロセス時間が短縮する。それにより、ガラスへの不純物の導入が最小限になり、それによって、吹込圧を生成するために特別に処理された高価なガスの使用を省略することができる。これは、特に厚壁の中空円筒体の成形(成形自体が長期にわたる)において、表面品質にプラスの顕著な効果を与える。
【0027】
厚壁の出発円筒体を用いる本発明の伸長プロセスにより、C
rおよびT
r、内径比C
i/T
iおよび吹込圧に関して前記境界条件に留意することにより、寸法安定性および表面品質が高いサブストレート管の費用効率の高い製造が可能になる。
【0028】
出発円筒体が厚壁であり、中空円筒体と環状間隙との間の内径の差が大きいほど、成形プロセスが強力であり、延伸球状部における高温の石英ガラスの滞留時間が長くなり、したがって、軟化した石英ガラスに不純物が導入される危険が増大する。
【0029】
したがって、好ましい手順において、吹込圧が600〜800Pa(6〜8mbar)の範囲で設定され、且つ中空円筒体に対して、以下:
C
a<300mm、および
C
i/T
i<2
が適用可能であることが意図される。
【0030】
サブストレート管は、概して、壁厚さが比較的小さいことと少なくとも20mmである大きい内径とによって特徴付けられる。本発明による方法は、サブストレート管の製造に特に適合され、管状ストランドに対して、以下:
28<T
a<50、および
T
r<1.3
が適用可能である。
【0031】
高い成形速度を達成するために、外径/内径の直径比が中空円筒体から製造されるサブストレート管と比較して大きい、厚壁の中空円筒体が用いられる。すなわち、これに関して、中空円筒体および管状ストランドに対して、以下:
3.5<C
r<4.5、および
C
r>T
r+2.4
が適用可能である場合に有用であることが分かった。
【0032】
機械的処理(特に、ドリル加工、ホーニング加工および研削)により、石英ガラスブランクを処理して、正確に円形断面であり寸法偏差が小さい直線状円筒体にすることができる。したがって、定義され且つ再現可能な初期状態での伸長プロセスを確保するために、中空円筒体の円筒体外面に対して、通常、機械的処理によってそれらの最終的な寸法が与えられる。機械的処理によってもたらされる表面亀裂および構造物は、研削、ホーニング加工および研磨工程によって連続的に低減させることができ、通常、それに最終的なエッチング処理が続く。処理の効果は、達成可能な表面品質を明らかにし、それは、処理された円筒体外面の表面粗さによって特徴付けられることが多い。
【0033】
本発明による方法において成形度合いが高いことにより、中空円筒体の内壁を平滑化する処理効果が比較的小さい場合にも、引き取られた管状ストランドに対し、十分に平滑な内面がもたらされることが分かった。したがって、特に好ましい手順では、中空円筒体が、粗さ値R
Z>1μmによって定義される表面粗さを有する内壁を備えた内部ボアを有することが意図される。
【0034】
DIN EN ISO4287による粗さパラメータR
zは、「平均粗さ深度」と呼ばれる。R
zは、個々の測定区画内の最高輪郭頂部の高さと最深輪郭谷部の深さとから得られる和である。R
zは、通常、5つの個々の測定区画の結果を平均することによって得られる。したがって、研削およびホーニング加工を用いる表面処理により、1μm以上の「平均粗さ深度」R
zが達成可能である。ここでは、研磨工程は省略する。この機械的処理に続く任意選択的なエッチング処理により、通常、R
zがさらに増大することになる。したがって、R
z>1という条件は、機械的処理のみによって達成されたか、機械的処理およびエッチング処理によって達成されたかに関わらず、伸長プロセス前の中空円筒体の内面の状態を指す。
【0035】
本発明による方法は、中空円筒体の内壁の比較的低い表面品質を許容し、それにより、内壁の機械的処理がそれほど複雑でないため、比較的低コストで製造することができる中空円筒体を使用し得る。
【0036】
中空円筒体の外面の品質に関する要件は、さらに幾分か低い。中空円筒体には、好ましくは、粗さ値R
Z>4μmによって定義される表面粗さを有する外壁が設けられる。同様に、伸長プロセス前の外面の状態に対するR
z>4μmという規定は、外壁に対してこの状態が、機械的処理のみによって与えられたか、または機械的処理およびエッチング処理によって与えられたかという問題とは無関係である。
【0037】
本発明による方法では、管状ストランドの内壁の品質は、上で説明した吹込圧と、成形プロセスの度合いおよび成形速度を定義する形状パラメータとによって主に決まる。特に、成形速度に関して、加熱ゾーンの形状およびサイズはある一定の役割を果たす。これに関して、内壁によって境界が定められる円形内部空間を備える加熱ゾーンが使用され、円形内部空間が加熱空間容積V
Heizを画定し、加熱空間容積V
Heiz内で、中空円筒体、延伸球状部および管状ストランドが円筒体空間容積V
cを占有し、V
Heiz>2.5×V
cである場合に有利であることが分かった。
【0038】
加熱空間容積V
Heizは、最大温度に関連する加熱要素の内部空間によって画定される。複数の重ねられた加熱要素を有する加熱装置では、最高温度の加熱要素は、加熱空間容積V
Heizを画定する要素である。円筒体空間容積V
cは、内部ボアの容積を考慮せずに、加熱空間容積内に配置される中空円筒体、延伸球状部および場合によっては管状ストランドの空間容積部分の和として得られる。それにより、円筒体空間容積V
cは、加熱ゾーン内の中空円筒体/延伸球状部/管状ストランドの塊の周囲の外包を画定する容積に対応する。円筒体空間容積が加熱空間容積の2.5分の1以下であるため、これにより、延伸球状部に対する加熱要素における温度分布が比較的拡散して投影される。高い成形度合いであっても、管状ストランドの高い寸法安定性の準拠が容易になることが分かった。
【0039】
これに関して、加熱ゾーンの内壁と中空円筒体との間に、平均間隙幅が15mm〜25mmの範囲である環状間隙が残る場合に有利であることも分かった。
【0040】
加熱ゾーンの内壁と中空円筒体との間の間隙が狭いほど、中空円筒体上に投影される加熱要素の温度分布が正確になる。15mm未満の間隙幅では、比較的小さい延伸球状部容積である比較的小さい延伸球状部が得られる。しかしながら、本発明による方法において容積が比較的大きく変化するため、特に加熱ゾーンの長さLが150〜200mmであるとき、15mm〜25mmの範囲である前記間隙幅の結果として得られるように、より大きい延伸球状部容積が望ましい。
【0041】
成形度合いおよび成形速度は、スループットにおいても出発円筒体および管状ストランドの形状データに関連して明らかになる。高いスループット量は、高い成形度合いによって達成される。これに関して、管状ストランドの外径T
aが28mm〜35mm以下の範囲の値に設定されるとき、スループット量が15〜25kg/hの範囲の値を示す手順が好ましい。
【0042】
別法として、35〜50mmの範囲の管状ストランドの外径T
aでは、スループット量は、好ましくは20〜30kg/hの範囲の値に設定される。
【0043】
本発明による方法では、成形度合いは、中空円筒体から管への内面の増大によって大幅に決まる。ここで、伸長比は重要な役割を果たす。管状ストランドは、好ましくは、150未満、特に好ましくは50〜130の範囲の伸長比で引き取られる。
【0044】
ここで、実施形態および図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。