(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6814525
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20210107BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
G02B7/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-112100(P2020-112100)
(22)【出願日】2020年6月29日
【審査請求日】2020年8月19日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/094027
(32)【優先日】2019年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】韋伝冬
【審査官】
藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】
中国実用新案第207249220(CN,U)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0196094(US,A1)
【文献】
特開2015−179238(JP,A)
【文献】
特開2000−180700(JP,A)
【文献】
特開2007−232764(JP,A)
【文献】
特開2010−230751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/02 −17/17
H04N 5/222 − 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を有する鏡筒と、前記収容空間内に収容されたレンズ群とを備え、前記鏡筒は、光通過孔が開設された第1筒壁及び前記第1筒壁の外側から折り曲げられて延びる第2筒壁を含むレンズモジュールであって、前記第2筒壁の像側に近い端に固定される環状の支持部材をさらに備え、前記支持部材、前記第2筒壁及び前記第1筒壁は共に前記収容空間を取り囲んで形成し、前記第2筒壁は光軸に近い内側面を含み、前記支持部材は光軸に近い内面を含み、前記支持部材の内面と光軸との間の最小距離は前記第2筒壁の内側面と光軸との間の最大距離よりも大きく、前記支持部材に前記支持部材を貫通する貫通孔がさらに設けられ、前記第2筒壁の前記貫通孔に対応する箇所にボスが設けられ、前記ボスは前記貫通孔に嵌合固定されることを特徴するレンズモジュール。
【請求項2】
前記支持部材は、光軸から離れて前記内面に対向する外面を含み、前記貫通孔は前記内面及び前記外面を貫通するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記第2筒壁は、光軸から離れる外側面をさらに含み、前記ボスは、前記外側面から、光軸から離れる方向に向かって延びて前記貫通孔に嵌合することを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記第2筒壁は、物体側に近い第1部分と、前記第1部分の像側に近い端から光軸に近接する方向へ折り曲げられて延びる第2部分とを含み、前記ボスは、前記第2部分から、光軸から離れる方向に向かって延びることを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記支持部材は、物体側に近く且つ前記第2筒壁に当接する第1支持部と、前記第1支持部から、光軸から離れる方向へ折り曲げられて延びる第2支持部とを含み、前記第2支持部の光軸に垂直な方向における厚さは前記第1支持部の光軸に垂直な方向における厚さよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記貫通孔は前記第1支持部を貫通するように設けられ、前記第2部分は前記ボスを介して前記第1支持部に固定接続されることを特徴とする請求項5に記載のレンズモジュール。
【請求項7】
前記貫通孔は複数が設けられ、複数の前記貫通孔は前記第2筒壁を等間隔で取り囲んで設置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項8】
前記支持部材と前記第2筒壁は一体の構造に射出成形されることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項9】
前記支持部材は金属又はプラスチックから製造されることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項10】
前記レンズ群を前記収容空間内に固定保持する押えリングをさらに備え、前記押えリングは前記第2筒壁の内側面に当接することを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像の技術分野に関し、特にレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術の絶え間ない発展に伴い、電子機器は絶え間なくスマート化へ発展しつつある。何時でも写真を撮ることができるというユーザのニーズに応えるように、デジタルカメラの以外、タブレットPC、携帯電話等の携帯型の電子機器にも撮影機能を有するレンズモジュールが配置されており、そして、自動車等の交通手段にも撮影機能を有するレンズモジュールが配置されている。
【0003】
従来技術のレンズモジュールは、鏡筒と、鏡筒内に収容されたレンズ群とを含む。前記鏡筒が前記レンズ群を十分に支持且つ固定できるようにするために、一般的に、前記鏡筒の側壁は一定の厚さに達してこそ前記レンズ群を支持且つ固定する機能を果たすことができる。側壁が厚すぎる鏡筒について、
図1に示されるように、鏡筒の内壁の光に対する反射作用により、結像の過程において、各角度から前記レンズ群に当てられた光は前記鏡筒内に迷光による干渉が発生し易く、特に前記鏡筒の側壁の像側に近い端は外部の光が鏡筒に入射した後に非常に反射し易い部位であるため、実際の撮影画像に明らかな迷光が発生し易く、レンズモジュールの結像品質を低下させてしまう。
【0004】
従って、改良されたレンズモジュールを提供して上記の問題を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のレンズモジュールにおける鏡筒の内壁の光に対する反射作用によってレンズに迷光を発生させ易いため、レンズモジュールの結像品質を低下させてしまうという技術的課題に鑑みて、本発明には、迷光の発生を効果的に防止し且つ優れた確実性を有するレンズモジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
レンズモジュールは、収容空間を有する鏡筒と、前記収容空間内に収容されたレンズ群とを備え、前記鏡筒は、光通過孔が開設された第1筒壁及び前記第1筒壁の外側から折り曲げられて延びる第2筒壁を含み、前記レンズモジュールは、前記第2筒壁の像側に近い端に固定される環状の支持部材をさらに備え、前記支持部材、前記第2筒壁及び前記第1筒壁は共に前記収容空間を取り囲んで形成し、前記第2筒壁は光軸に近い内側面を含み、前記支持部材は光軸に近い内面を含み、前記支持部材の内面と光軸との間の最小距離は前記第2筒壁の内側面と光軸との間の最大距離よりも大きく、前記支持部材に前記支持部材を貫通する貫通孔がさらに設けられ、前記第2筒壁の前記貫通孔に対応する箇所にボスが設けられ、前記ボスは前記貫通孔に嵌合固定される。
【0007】
好ましくは、前記支持部材は、光軸から離れて前記内面に対向する外面を含み、前記貫通孔は前記内面及び前記外面を貫通するように設けられる。
【0008】
好ましくは、前記第2筒壁は、光軸から離れる外側面をさらに含み、前記ボスは、前記外側面から、光軸から離れる方向に向かって延びて前記貫通孔に嵌合する。
【0009】
好ましくは、前記第2筒壁は、物体側に近い第1部分と、前記第1部分の像側に近い端から光軸に近接する方向へ折り曲げられて延びる第2部分とを含み、前記ボスは、前記第2部分から、光軸から離れる方向に向かって延びる。
【0010】
好ましくは、前記支持部材は、物体側に近く且つ前記第2筒壁に当接する第1支持部と、第1支持部から、光軸から離れる方向へ折り曲げられて延びる第2支持部とを含み、前記第2支持部の光軸に垂直な方向における厚さは前記第1支持部の光軸に垂直な方向における厚さよりも小さい。
【0011】
好ましくは、前記貫通孔は前記第1支持部を貫通するように設けられ、前記第2部分は前記ボスを介して前記第1支持部に固定接続される。
【0012】
好ましくは、前記貫通孔は複数が設けられ、複数の前記貫通孔は前記第2筒壁を等間隔で取り囲んで設置される。
【0013】
好ましくは、前記支持部材と前記第2筒壁は一体の構造に射出成形される。
【0014】
好ましくは、前記支持部材は金属又はプラスチックから製造される。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比べて、本発明に係るレンズモジュールにおいて、鏡筒の像側に近い端に環状の支持部材が設けられ、前記支持部材の内面と光軸との間の最小距離が第2筒壁の内側面と光軸との間の最大距離よりも大きいことによって、外部の光の前記支持部材への入射を効果的に低減させ、レンズ群の内部の迷光の発生により結像品質に影響を与えてしまうことを効果的に低減させ、結像品質を効果的に向上させる。なお、第2筒壁の第2部分にボス構造が設けられ、支持部材の第1支持部に第1支持部を貫通する貫通孔が設けられ、第2筒壁がボスを介して支持部材に嵌合固定され、且つ一体の構造に射出成形されることにより、鏡筒のレンズ群に対する良好な支持を確保し、確実性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術考案をより明確に説明するために、以下、実施例の記載に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に記載された図面は本発明の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、発明的努力をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもでき、そのうち、
【
図1】
図1は、従来技術におけるレンズモジュールの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に提供されたレンズモジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すレンズモジュールの一部の分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術考案を明確且つ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者であれば、発明的努力をせずに得られた他の全ての実施例はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0018】
図2〜
図4を組み合わせて参照すると、本発明には、レンズモジュール100が提供され、当該レンズモジュールは、鏡筒10と、前記鏡筒10内に収容されたレンズ群30と、前記レンズ群30を前記鏡筒10内に固定保持する押えリング50と、前記鏡筒10の像側に近い端に固定される環状の支持部材70とを備える。
【0019】
前記鏡筒10は、光通過孔110が開設された第1筒壁11及び前記第1筒壁11から折り曲げられて延びる第2筒壁12を含む。前記支持部材70は前記第2筒壁12の像側に近い端に固定され、前記支持部材70、前記第2筒壁12及び前記第1筒壁11は共に収容空間を取り囲んで形成し、前記収容空間は前記レンズ群30を収容することに用いられる。前記レンズ群30は前記第1筒壁11と前記押えリング50との間に挟着されている。
【0020】
前記第2筒壁12は、光軸00’に近い内側面121と、前記内側面121から離れて対向する外側面122とを含み、前記支持部材70は、光軸00’に近い内面71と、前記内面71から離れて対向する外面72とを含む。前記支持部材70の内面71と光軸00’との間の最小距離は前記第2筒壁12の内側面121と光軸00’との間の最大距離よりも大きい。前記鏡筒10の像側に近い端は外部の光が鏡筒10に入射した後に非常に反射し易い部位であるため、本願では、前記支持部材70の内面71と光軸00’との間の最小距離を前記第2筒壁12の内側面121と光軸00’との間の最大距離よりも大きくし、即ち前記支持部材70の厚さを薄くすることにより、迷光が鏡筒に入射して前記支持部材70に反射することによって結像品質に影響を与えてしますことを効果的に低減させ、レンズ群の内部の迷光の発生を低減させ、結像品質を効果的に向上させる。
【0021】
前記支持部材70と前記第2筒壁12との接続の安定性を確保するために、本実施形態では、前記支持部材70に貫通する貫通孔701が設けられ、前記貫通孔701は前記内面71及び前記外面72を貫通するように設けられ、前記第2筒壁12の前記貫通孔701に対応する箇所にボス120が設けられ、前記ボス120は前記貫通孔701に嵌合固定される。
【0022】
具体的に、前記第2筒壁12は、物体側に近い第1部分12aと、前記第1部分12aの像側に近い端から光軸00’に近接する方向へ折り曲げられて延びる第2部分12bとを含み、前記ボス120は、前記第2部分12bの外側面122から、光軸00’から離れる方向に向かって延びる。
【0023】
前記支持部材70は、物体側に近く且つ前記第2筒壁12に当接する第1支持部70aと、第1支持部70aから、光軸00’から離れる方向へ折り曲げられて延びる第2支持部70bとを含み、前記第2支持部70bの光軸00’に垂直な方向における厚さは前記第1支持部70aの光軸00’に垂直な方向における厚さよりも小さい。前記貫通孔701は前記第1支持部70aを貫通するように設けられ、前記第2部分12bは前記ボス120を介して前記第1支持部70aに固定接続される。
【0024】
好ましくは、前記貫通孔701は複数が設けられ、複数の前記貫通孔701は前記第2筒壁12を等間隔で取り囲んで設置され、これにより、前記第2筒壁12はその全周にわたって前記支持部材70に固定され、前記支持部材70と前記第2筒壁12との接続の安定性を向上させる。
【0025】
前記支持部材70は金属又はプラスチック材料から製造され、十分な支持強度に達することができる。
【0026】
前記押えリング50は前記第2筒壁12の内側面121に当接する。好ましくは、前記押えリング50は接着剤により前記第2筒壁12に固定される。
【0027】
従来技術と比べて、本発明に係るレンズモジュールにおいて、鏡筒の像側に近い端に環状の支持部材が設けられ、前記支持部材の内面と光軸との間の最小距離が第2筒壁の内側面と光軸との間の最大距離よりも大きいことによって、外部の光の前記支持部材への入射を効果的に低減させ、レンズ群の内部の迷光の発生により結像品質に影響を与えてしまうことを効果的に低減させ、結像品質を効果的に向上させる。なお、第2筒壁の第2部分にボス構造が設けられ、支持部材の第1支持部に第1支持部を貫通する貫通孔が設けられ、第2筒壁がボスを介して支持部材に嵌合固定され、且つ一体の構造に射出成形されることにより、鏡筒のレンズ群に対する良好な支持を確保し、確実性が優れている。
【0028】
以上は本発明の実施形態に過ぎない。当業者であれば、本発明の創造的構想から逸脱しない限り、改良を行うことができるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
【要約】
【課題】本発明には、レンズモジュールが提供される。
【解決手段】レンズモジュールは、収容空間を有する鏡筒と、収容空間内に収容されたレンズ群とを備え、鏡筒は光通過孔が開設された第1筒壁及び第1筒壁の外側から折り曲げられて延びる第2筒壁を含み、レンズモジュールは第2筒壁の像側に近い端に固定される環状の支持部材をさらに備え、支持部材、第2筒壁及び第1筒壁はと共に収容空間を取り囲んで形成し、第2筒壁は光軸に近い内側面を含み、支持部材は光軸に近い内面を含み、支持部材の内面と光軸との間の最小距離は第2筒壁の内側面と光軸との間の最大距離よりも大きく、支持部材に支持部材を貫通する貫通孔がさらに設けられ、第2筒壁の貫通孔に対応する箇所にボスが設けられ、ボスは貫通孔に嵌合固定される。従来技術と比べて、本発明のレンズモジュールは結像品質が良好である。
【選択図】
図2