特許第6814601号(P6814601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814601
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】温風暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   F24H3/04 305A
   F24H3/04 305J
   F24H3/04 305D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-213650(P2016-213650)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2018-71917(P2018-71917A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家田 陵平
(72)【発明者】
【氏名】溝内 勇人
【審査官】 西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−034010(JP,A)
【文献】 特開平07−318166(JP,A)
【文献】 特開2003−042570(JP,A)
【文献】 特開2004−177075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/04
F24B 1/00
F24C 3/00
F24C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風暖房機であって、
バーナを収容する燃焼部と、
送風ファンと、
前記温風暖房機に空気を取り入れる空気取入口と、
前記温風暖房機から空気を吹き出す吹出口と、
前記空気取入口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由することなく、前記送風ファンに導く第1の送風路と、
前記空気取入口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由して、前記送風ファンに導く第2の送風路と、
前記送風ファンから吹き出される前記空気を前記吹出口に導く第3の送風路と、
前記第3の送風路に配置される第1の電気ヒータと、
前記第3の送風路において、前記第1の電気ヒータとは異なる位置に配置されている第2の電気ヒータと、
前記第1及び第2の電気ヒータの動作を制御する制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、前記第1及び第2の電気ヒータのいずれか一方のみを動作させる第1の暖房運転と、前記第1及び第2の電気ヒータの両方を動作させる第2の暖房運転と、を含む暖房運転を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、前記第1の暖房運転において、前記第1及び第2の電気ヒータのうち、前記吹出口からの距離が長い方の前記電気ヒータを動作させる、温風暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バーナを収容する燃焼部と、送風ファンと、温風暖房機に空気を取り入れる空気取入口と、温風暖房機から空気を吹き出す吹出口と、空気取入口から取り入れた空気を、燃焼部を経由することなく、送風ファンに導く第1の送風路と、空気取入口から取り入れた空気を、燃焼部を経由して、送風ファンに導く第2の送風路と、送風ファンから吹き出される空気を吹出口に導く第3の送風路と、第1の送風路に配置される電気ヒータと、を備える温風暖房機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−266083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の温風暖房機において、バーナには、燃料ガスが供給される。そして、バーナは、空気取入口から第2の送風路に取り込まれる空気を利用して、燃料ガスを燃焼させる。バーナによる燃料ガスの燃焼を安定させるためには、バーナに供給される空気と燃料ガスの比率を適正に維持する必要がある。このため、バーナへの燃料ガスの供給量が一定に維持されている場合、第2の送風路に取り込まれる空気量は変動しないことが好ましい。しかしながら、特許文献1の温風暖房機では、送風ファンの回転数を一定に維持している状態で、電気ヒータの動作状態を切り替えると、第2の送風路に取り込まれる空気量が変化してしまう。送風ファンの回転数を一定に維持している場合、第1の送風路に取り込まれる空気量と第2の送風路に取り込まれる空気量の合計の空気量は変化しない。しかしながら、例えば、電気ヒータを停止状態から駆動状態に切り替えると、第1の送風路内の空気が電気ヒータにより暖められて膨張する。この場合、空気取入口から第1の送風路に取り込まれる空気量が減少し、第2の送風路に取り込まれる空気量が増加する。この結果、バーナに供給される空気量が過剰になり、バーナによる燃料ガスの燃焼が不安定になる。このため、バーナを動作させている状態で、電気ヒータの動作状態を切り替えても、バーナに供給される空気量が変動しない技術が望まれる。
【0005】
本明細書では、バーナと電気ヒータを備える温風暖房機において、バーナに供給される空気量が電気ヒータの動作状態によって変動しない技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する温風暖房機は、バーナを収容する燃焼部と、送風ファンと、前記温風暖房機に空気を取り入れる空気取入口と、前記温風暖房機から空気を吹き出す吹出口と、前記空気取入口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由することなく、前記送風ファンに導く第1の送風路と、前記空気取入口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由して、前記送風ファンに導く第2の送風路と、前記送風ファンから吹き出される前記空気を前記吹出口に導く第3の送風路と、前記第3の送風路に配置される第1の電気ヒータと、前記第3の送風路において、前記第1の電気ヒータとは異なる位置に配置されている第2の電気ヒータと、前記第1及び第2の電気ヒータの動作を制御する制御装置と、を備えており、前記制御装置は、前記第1及び第2の電気ヒータのいずれか一方のみを動作させる第1の暖房運転と、前記第1及び第2の電気ヒータの両方を動作させる第2の暖房運転と、を含む暖房運転を実行可能に構成されており、前記制御装置は、前記第1の暖房運転において、前記第1及び第2の電気ヒータのうち、前記吹出口からの距離が長い方の前記電気ヒータを動作させる
【0007】
上記の構成によると、第1の電気ヒータは、第3の送風路に配置されている。このため、例えば、送風ファンの回転数を一定に維持し、バーナによる燃料ガスの燃焼を実行している状態で、第1の電気ヒータを停止状態から駆動状態に切り替えても、第1の送風路内の空気は暖められることはない。従って、空気取入口から第1の送風路に取り込まれる空気量、及び、第2の送風路に取り込まれる空気量は変化しない。第1の電気ヒータを、駆動状態から停止状態に切替える場合も同様である。この結果、第1の電気ヒータの動作状態を切り替えた場合に、バーナによる燃料ガスの燃焼が不安定になることを防止することができる。また、第1及び第2の電気ヒータのいずれか一方のみを動作させる場合、吹出口から吹き出される空気の温度分布がばらつきやすくなる。温度分布のばらつきが大きい温風がユーザに当たると、ユーザに不快感を与え得る。このような事態を回避するためには、温度分布のばらつきを抑制する必要がある。送風ファンから吹き出される空気は、吹出口に向かって徐々に広がっていく。従って、吹出口からの距離が長い方の電気ヒータを動作させることで、吹出口から吹き出される空気の温度分布のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】温風暖房機2の斜視図である。
図2図1のII−II線に沿った断面図である。
図3図2の破線III部の拡大図である。
図4】第1の運転モードのフローチャートを示す。
図5】第1及び第2の電気ヒータのうちの一方のみが動作している場合の吹出口の温度分布を示す図である。
図6】第2の運転モードのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下では、図1図3を参照しながら、実施例の温風暖房機2について説明する。
【0017】
図1に示すように、温風暖房機2は、天板12と、前板14と、後板16と、左右の側板18と、底板20と、で構成される本体ケース10を備えている。後板16と左右の側板18は、一体的に成形されている。前板14の下部に、温風暖房機2によって暖められた空気を吹き出す吹出口14aが設けられている。天板12には、操作パネル12aが設けられている。ユーザは、操作パネル12aを操作することによって、温風暖房機2の運転モード、設定温度などを設定することができる。また、本体ケース10内には、温風暖房機2の動作を制御する制御装置100が収容されている。
【0018】
図2に示すように、後板16の上部には、室内の空気を取り入れる取入口16aが設けられている。なお、以下では、図2において、左側の方向を前方と呼び、右側の方向を後方と呼ぶ。取入口16aの後方側には、本体ケース10内への埃などの侵入を防止するフィルタユニット22が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
本体ケース10内には、燃焼部30と、送風ファン24と、第1の電気ヒータ26と、第2の電気ヒータ28と、が設けられている。以下では、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28を総称して、「電気ヒータ」と呼ぶ。燃焼部30は、取入口16aの前方側に設けられている。燃焼部30には、バーナ32が設けられている。バーナ32は、燃料供給路(図示省略)に接続されており、燃料供給路から燃料ガスが供給されるように構成されている。送風ファン24は、燃焼部30の下方に設けられている。電気ヒータは、送風ファン24と吹出口14aの間に設けられている。バーナ32、送風ファン24、及び、電気ヒータの動作は、制御装置100によって制御される。
【0020】
次いで、本体ケース10内に形成されている複数の空気通路40、42、44、46、48、50、52、及び、本体ケース10内を流れる空気の流れについて説明する。空気通路40、42、44、46、48は、燃焼部30に形成されている空気通路である。送風ファン24を動作させると、室内の空気が取入口16aを介して第1の空気通路40、第2の空気通路42、及び、第3の空気通路44に取り込まれる。矢印Cに示すように、第3の空気通路44に取り込まれた空気はバーナ32に導かれる。この場合に、バーナ32を点火すると、燃焼用一次空気吸込口(図示省略)から吸込まれる空気と矢印Cに示すように導かれた空気によって、燃料ガスが燃焼される。この燃焼によって生じた燃焼ガスは、矢印Eに示すように排出される。そして、矢印Bに示す第2の空気通路42に取り込まれた空気と、矢印Eに示す燃焼ガスが、第4の空気通路46で混合される。さらに、矢印Aに示す第1の空気通路40に取り込まれた空気と第4の空気通路46で混合された空気が、第5の空気通路48で混合される。第6の空気通路50は、第3の空気通路44の下方に形成されており、燃焼部30を介することなく、送風ファン24に連通している。第5の空気通路48で混合された空気は、矢印Dに示す第6の空気通路50に取り込まれた空気と混合され、送風ファン24を介して、第7の空気通路52に導入される。第7の空気通路52は、送風ファン24と吹出口14aを連通する空気通路である。矢印Gに示すように、第7の空気通路52に導入される空気は、電気ヒータによって暖められて、吹出口14aから吹き出される。なお、矢印Gは、第7の空気通路52の中心経路であり、通過する空気量が一番多い経路である。以下では、矢印Gを中心経路Gと呼ぶ。
【0021】
次いで、図3を参照して、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の配置について説明する。第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28は、略U字状の形状をしており、各電気ヒータの直線部分は、図3の紙面奥側から紙面手前側に延びている。第1の電気ヒータ26は、中心経路Gの下方に設けられている。第1の電気ヒータ26は、水平面に対して傾斜している。これにより、第7の空気通路52内の空気は、第1の電気ヒータ26によって暖められる。第2の電気ヒータ28は、中心経路Gの上方に設けられている。第2の電気ヒータ28は、水平面に対して傾斜している。これにより、第7の空気通路52内の空気は、第2の電気ヒータ28によって暖められる。第1の電気ヒータ26の中央部26aから中心経路Gまでの距離L1は、第2の電気ヒータ28の中央部28aから中心経路Gまでの距離L2よりも短い。また、第1の電気ヒータ26の中央部26aから吹出口14aまでの距離L3は、第2の電気ヒータ28の中央部28aから吹出口14aまでの距離L4よりも長い。
【0022】
(暖房運転)
次いで、制御装置100によって実行される暖房運転について説明する。制御装置100は、バーナ32及び第1の電気ヒータ26を用いる第1の運転モードと、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28を用いる第2の運転モードを実行可能である。ユーザは、操作パネル12aを操作することで、第1の運転モード又は第2の運転モードのいずれの運転モードで温風暖房機2を動作させるのかを選択することができる。
【0023】
(第1の運転モード)
図4図5を参照して、第1の運転モードについて説明する。制御装置100は、ユーザによって設定温度Tsが設定されるとともに、第1の運転モードによる暖房運転を実行するための操作が操作パネル12aに実行されると、図4の処理を実行する。暖房運転を開始する際に、制御装置100は、送風ファン24を駆動させる。これにより、室内の空気が取入口16aから本体ケース10に取り込まれる。
【0024】
ステップS2において、制御装置100は、バーナ32及び第1の電気ヒータ26を駆動状態(ON)に切替える。具体的には、制御装置100は、バーナ32に燃料ガスを供給するとともに、バーナ32を点火する。これにより、バーナ32及び第1の電気ヒータ26によって暖められた温風が、吹出口14aから吹き出される。
【0025】
ステップS4において、制御装置100は、設定温度Tsと室温Trの温度差Tdが第1の所定温度T1(例えば、3℃)未満になることを監視する。温度差Tdは、設定温度Tsから室温Trを減算した温度である。室温Trは、温風暖房機2が備える温度センサ(図示省略)によって検出される。温度差Tdが第1の所定温度T1未満になると(ステップS4でYES)、処理は、ステップS6に進む。
【0026】
ステップS6において、制御装置100は、バーナ32を停止させることなく、第1の電気ヒータ26を停止状態(OFF)に切り替える。第1の電気ヒータ26を停止状態に切替えることで、吹出口14aから吹き出される温風の温度は低下する。
【0027】
ステップS8において、制御装置100は、温度差Tdが第1の所定温度T1以上になることを監視する。第1の電気ヒータ26の動作を停止させたことで、室温Trが徐々に低下していく。温度差Tdが第1の所定温度T1以上になると(ステップS8でYES)、処理は、ステップS2に戻る。制御装置100は、ユーザによって暖房運転を停止する操作が操作パネル12aに実行されるまで、図4の処理を継続する。
【0028】
上述のステップS4において、制御装置100は、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28のうち、第1の電気ヒータ26のみを駆動させている。第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の一方のみを駆動させる場合、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の両方を駆動させる場合と比較して、吹出口14aにおける空気の温度分布が偏り易くなる。図5は、吹出口14a(図1の領域IV)における空気の温度分布を示しており、図5(a)は第1の電気ヒータ26のみを動作させた場合の温度分布であり、図5(b)は第2の電気ヒータ28を動作させた場合の温度分布である。図5(a)、(b)において、濃度が濃い領域は高温領域(例えば、50℃以上)を示し、濃度が薄い領域は中間温度領域(例えば、30〜50℃)を示し、白塗の領域は低温度領域(例えば、30℃以下)を示している。図5(b)に示すように、第2の電気ヒータ28のみを駆動させる場合、吹出口14aの上部に高温度領域が形成され、吹出口14aの下部に低温度領域が形成される。このような温度分布の温風が、ユーザに当たると、ユーザに不快感を与え得る。一方、図5(a)に示すように、第1の電気ヒータ26のみを駆動させる場合、吹出口14aの中央領域に高温度領域が形成され、中央領域から徐々に温度が低くなっていく。これは、第1の電気ヒータ26の中央部26aから中心経路Gまでの距離L1が短いために、中心経路G付近を流れる空気が第1の電気ヒータ26によって暖められやすいためである。このような温度分布の温風がユーザに当たっても、ユーザに不快感を与えない。従って、本実施例において、制御装置100は、第7の空気通路52の中心経路Gとの距離が短い方の第1の電気ヒータ26を動作させることで、吹出口14aにおける空気の温度分布の偏りを抑制し、ユーザに不快感を与えることを防止している。
【0029】
(第2の運転モード)
次いで、図6を参照して、第2の運転モードで実行される処理について説明する。制御装置100は、ユーザによって設定温度Tsが設定されるとともに、第2の運転モードによる暖房運転を実行するための操作が操作パネル12aに実行されると、図6の処理を実行する。制御装置100は、暖房運転の実行が指示されると、送風ファン24を駆動させる。これにより、室内の空気が取入口16aから本体ケース10に取り込まれる。
【0030】
ステップS12において、制御装置100は、設定温度Tsと室温Trの温度差Tdが第1の所定温度T1(例えば、3℃)以上であるのか否かを判断する。温度差Tdが第1の所定温度T1以上の場合(ステップS12でYES)、処理は、ステップS14に進む。ステップS14において、制御装置100は、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28を、駆動状態(ON)に切り替える。一方、温度差Tdが第1の所定温度T1未満である場合(ステップS12でNO)、処理は、ステップS16に進む。
【0031】
ステップS16において、制御装置100は、温度差Tdが第2の所定温度T2(例えば、0℃)以上であるのか否かを判断する。第2の所定温度T2は、第1の所定温度T1よりも低い温度である。温度差Tdが第2の所定温度T2以上であると判断される場合(ステップS16でYES)、処理は、ステップS18に進む。ステップS18において、制御装置100は、第1の電気ヒータ26を駆動状態(ON)に切り替え、第2の電気ヒータ28を停止状態(OFF)に切り替える。第1の運転モードの場合と同様に、制御装置100は、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28のうちの一方のみを動作させる場合において、第1の電気ヒータ26を動作させる。従って、吹出口14aから吹き出される温度分布が偏ることを抑制することができる。
【0032】
一方、温度差Tdが第2の所定温度T2未満である場合(ステップS16でNO)、処理は、ステップS20に進む。ステップS20において、制御装置100は、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の動作を停止状態(OFF)に切り替える。従って、ステップS16でNOと判断される場合、制御装置100は、暖房運転を一時停止する。制御装置100は、ユーザによって暖房運転を停止する操作が操作パネル12aに実行されるまで、図6の処理を継続する。
【0033】
上述のように、第1の電気ヒータ26は、送風ファン24と吹出口14aを連通する第7の空気通路52に設けられている。このため、送風ファン24の回転数が一定に維持されている場合、第1の電気ヒータ26の動作状態が変化しても、取入口16aから第3の空気通路44に取り込まれる空気量は変化しない。従って、第1の電気ヒータ26の動作状態を切り替えても、バーナ32に供給される空気量は変更しない。この結果、バーナ32を動作させている状態で、第1の電気ヒータ26の動作状態を切り替えた場合に、バーナ32による燃料ガスの燃焼が不安定になることを防止することができる。
【0034】
また、図4のステップS2、及び、図6のS18において、制御装置100は、第1の電気ヒータ26のみを動作させている。上述のように、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28のうちの一方のみを動作させる場合、吹出口14aにおける空気の温度分布が偏り易くなる(図5)。第7の空気通路52の中心経路Gからの距離が短い第1の電気ヒータ26のみを動作させる(図5(a))ことで、第2の電気ヒータ28のみを動作させる場合(図5(b))よりも、吹出口14aにおける温度分布の偏りを抑制することができる。この結果、ユーザに不快感を与えることを抑制することができる。
【0035】
(対応関係)
第6の空気通路50、第7の空気通路52が、それぞれ、「第1の送風路」、「第3の送風路」の一例である。空気通路40、42、44、46、48が「第2の送風路」の一例である。
【0036】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0037】
(変形例1)上記の実施例では、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28のうちの一方のみを動作させる場合、第7の空気通路52の中心経路Gからの距離が短い方の電気ヒータを動作させている。これに代えて、通過する空気量が多い方の電気ヒータを動作させてもよい。第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の一方のみを駆動させる場合、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の両方を駆動させる場合と比較して、吹出口14aにおける空気の温度分布がばらつきやすくなる。温度分布のばらつきが大きい温風がユーザに当たると、ユーザに不快感を与え得る。電気ヒータによって暖められる空気量が多い方の電気ヒータを動作させる方が、温度分布のばらつきを小さくすることができる。各電気ヒータを通過する空気量は、流量センサなどを用いた実験から特定してもよいし、シミュレーションを用いて特定してもよい。そして、特定した空気量のうち、通過する空気量が多い方の電気ヒータを、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28のうちの一方のみを動作させる場合に動作させる電気ヒータとして選択する。このような構成によると、吹出口14aにおける空気の温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0038】
(変形例2)また、別の変形例では、吹出口14aからの距離が長い方の電気ヒータを動作させるようにしてもよい。送風ファン24から吹出口14aに向かう空気は徐々に広がっていく。このため、吹出口14aからの距離が長い場合、電気ヒータを通過する空気は、送風ファン24に向かって広がる前の空気である。従って、吹出口14aからの距離が長い方の電気ヒータを選択することで、吹出口14aにおける空気の温度分布のばらつきを抑制することができる。例えば、上記の実施例においては、第1の電気ヒータ26を選択することで、吹出口14aにおける空気の温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0039】
(変形例3)第1の運転モードにおいて、制御装置100は、バーナ32を駆動させている状態で、第1の電気ヒータ26及び第2の電気ヒータ28の両方を駆動させてもよい。
【0040】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0041】
2 :温風暖房機
10 :本体ケース
12 :天板
12a :操作パネル
14 :前板
14a :吹出口
16 :後板
16a :取入口
18 :側板
20 :底板
22 :フィルタユニット
24 :送風ファン
26 :第1の電気ヒータ
26a :第1の電気ヒータの中央部
28 :第2の電気ヒータ
28a :第2の電気ヒータの中央部
30 :燃焼部
32 :バーナ
40 :第1の空気通路
42 :第2の空気通路
44 :第3の空気通路
46 :第4の空気通路
48 :第5の空気通路
50 :第6の空気通路
52 :第7の空気通路
100 :制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6