(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による二剤混合容器の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能とするために縮尺を適宜変更している。
本実施形態にかかる二剤混合容器1は、
図1に示すように、第1剤C1が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の円筒状の口部2Aに装着された円筒状の装着筒体3と、装着筒体3に装着され、第1剤C1とは異なる第2剤C2が収容されると共にその内部と外部とを連通させる連通孔4Aが形成された有頂円筒状の第2剤収容体4と、第2剤収容体4に取り付けられた有底円筒状の底蓋5と、連通孔4Aを開放可能に閉塞する有頂円筒状の閉塞体6と、を備える。
【0012】
第1剤C1は、液体に限らず、固体であってもよい。また、第2剤C2は、後述する滴下孔34Aを通過可能な流動性を有していれば、液体であっても、固体(粉体)であってもよい。なお、第2剤C2は、加温や振動など外部環境の変化により、前記流動性を発揮する物質としてもよい。
ここで、第1剤C1及び第2剤C2を混合した混合物としては、例えば、化粧料、消臭剤、芳香剤、農業用薬剤もしくは接着剤などの薬剤、または、食品(調味料)などが挙げられる。また、第1剤C1及び第2剤C2を混合した混合物としては、希釈液としての第1剤C1中に濃縮剤としての第2剤を添加して、有効成分を適切な濃度に希釈したものや、第1剤C1及び第2剤C2を混合することによって気体を発生させるなどの新たな性質を示すもの、第1剤C1に例えば芳香成分や調味料などの第2剤C2を単に添加したもの、などが挙げられる。
【0013】
これら容器本体2、装着筒体3、第2剤収容体4、底蓋5及び閉塞体6は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、
図1において容器軸Oに沿って容器本体2から閉塞体6に向かう方向を上方、その逆方向を下方とする。また、容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りで周回する方向を周方向とする。
【0014】
装着筒体3は、容器本体2の口部2Aに装着される円筒状の装着筒部11と、装着筒部11よりも径方向内側に配設された円筒状の挿入筒部12と、装着筒部11の上端と挿入筒部12の上下方向の中間部とを接続する平面視で円環状の環状接続部13と、容器本体2の口部2A内に嵌合された円筒状の第1シール筒部14と、を有する。これら装着筒部11、挿入筒部12、環状接続部13及び第1シール筒部14は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0015】
挿入筒部12と第2剤収容体4との間には、容器本体2内と外部とを連通可能な空気流路Rが設けられている。また、装着筒部11の内周面には、容器本体2の口部2Aに螺着される雌ネジ部が形成されている。
挿入筒部12の上端部の外周面には、第2剤収容体4が螺着される雄ネジ部が形成されている。また、挿入筒部12の内径は、上下方向の全長にわたってほぼ一定となっている。
【0016】
第2剤収容体4は、中央に円状の連通孔4Aが形成された平面視で円環状の頂壁部21と、頂壁部21の外周縁から下方に延在する円筒状の取付筒部22と、取付筒部22よりも径方向内側において頂壁部21から下方に延在する円筒状の区画筒部23と、連通孔4Aの開口縁から上方に向けて延在する円筒状の立上筒部24と、を有する。これら頂壁部21、取付筒部22、区画筒部23及び立上筒部24は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0017】
頂壁部21の下面には、挿入筒部12の上端が当接または近接している。
取付筒部22の内周面には、挿入筒部12に螺着される雌ネジ部が形成されている。また、取付筒部22の下端は、環状接続部13の上面に近接している。ここで、取付筒部22の雌ネジ部と挿入筒部12の雄ネジ部との間には、流路が形成されている。そのため、取付筒部22を挿入筒部12から取り外さなくても、二剤混合容器1の外部と後述する空気流路Rとの間の流路は確保可能である。
【0018】
区画筒部23は、挿入筒部12よりも下方まで延在している。また、区画筒部23の外径は、上端部から下端部に向かうにしたがって段階的に縮径しており、区画筒部23の上下方向の中間部の外径は、区画筒部23の上端部よりも小径とされ、区画筒部23の下端部よりも大径とされている。区画筒部23の中間部の外周面は、挿入筒部12の内周面から径方向内側に離間しており、区画筒部23の外周面と挿入筒部12の内周面との間には、空気流路Rが設けられている。また、区画筒部23の上端部は、挿入筒部12の内側に嵌合されている。そのため、空気流路Rを通した容器本体2内と二剤混合容器1の外部との流通は、遮断されている。したがって、二剤混合容器1を傾けたり反転させたりしても、第1剤C1が空気流路Rを通して二剤混合容器1の外部に漏洩しない。さらに、区画筒部23の下端部の外周面には、上下方向に間隔をあけて径方向外側に突出する第1及び第2係止突部23A、23Bが全周にわたって形成されている。
立上筒部24の外周面には、雄ネジ部が形成されている。
【0019】
底蓋5は、第2剤収容体4の区画筒部23の下端開口を閉塞しており、装着筒体3に対して上方移動が規制されている。底蓋5は、平面視で円状の底板部31と、底板部31の外周縁に連設された二重円筒状の第1及び第2周筒部(二重筒部、筒部)32、33と、を有する。これら底板部31と第1及び第2周筒部32、33とは、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0020】
第1及び第2周筒部32、33の下端同士は、平面視で円環状の環状連結部(連結部)34によって連結されている。環状連結部34には、環状連結部34を上下方向に貫通する滴下孔34Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。ここで、滴下孔34Aの大きさは、第2剤C2の粘性などの物性や第2剤C2の所望する滴下速度などに応じて適宜設定される。同様に、滴下孔34Aの数は、1つであってもよく、第2剤C2の粘性などの物性や第2剤C2の所望する滴下速度などに応じて任意の数とすることが可能である。ここで、環状連結部34の上面には、区画筒部23の下端が当接または近接している。
【0021】
第1周筒部32は、底板部31の外周縁から下方に向けて延在しており、第2周筒部33は、環状連結部34の外周縁から上方に向けて延在している。第1及び第2周筒部32、33間には、区画筒部23の下端部が上方移動可能に挟み込まれている。これにより、滴下孔34Aが閉塞され、第2剤C2は、第2剤収容体4及び底蓋5によって液密に保持されている。
【0022】
第2周筒部33は、底板部31よりも上方まで延在しており、第2周筒部33の上端は、挿入筒部12の下端に近接しており、挿入筒部12の下端に当接可能とされている。これにより、底蓋5の装着筒体3に対する上方移動は、挿入筒部12に当接することによって規制されている。なお、第2周筒部33の上端は、当初から挿入筒部12の下端に当接していてもよい。
【0023】
また、第2周筒部33の上端部には、下方に向けて窪む連通凹部33Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、第2周筒部33の上端が挿入筒部12の下端に当接しても、容器本体2内から空気流路Rへの流路が確保されている。なお、連通凹部33Aは、1つのみ形成されていてもよく、第2周筒部33が挿入筒部12の下端に当接しても容器本体2から空気流路Rへの流路が確保されれば、挿入筒部12にこのような凹部を形成しても、連通凹部を形成しなくてもよく、他の構成を用いて流路を確保してもよい。
【0024】
さらに、第2周筒部33の上端部の内周面には、径方向内側に向けて突出し、第1及び第2係止突部23A、23Bと係止可能な被係止突部33Bが形成されている。被係止突部33Bには、第1及び第2係止突部23A、23Bのうち下方に位置する第1係止突部23Aが下方から係止している。これにより、底蓋5が意図せず第2剤収容体4から離脱することを抑制している。
【0025】
閉塞体6は、第2剤収容体4の立上筒部24に螺着される有頂円筒状のキャップであり、平面視で円状の天板部41と、天板部41の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の側壁部42と、側壁部42よりも径方向内側に配設され、立上筒部24内に嵌合された円筒状の第2シール筒部43と、を備える。
【0026】
側壁部42の内周面には、立上筒部24に形成された雄ネジ部と螺着する雌ネジ部が形成されている。ここで、側壁部42の雌ネジ部と立上筒部24の雄ネジ部との間には、流路が形成されている。そのため、閉塞体6を立上筒部24から取り外さなくても、二剤混合容器1の外部と連通孔4Aを通した第2剤収容体4の内部との間の流路を確保することができる。ただし、第2シール筒部43が立上筒部24内に嵌合されているので、上記流路を通した二剤混合容器1の外部と第2剤収容体4内との流通は、遮断されている。そのため、二剤混合容器1を傾けたり反転させたりしても、第2剤C2は、二剤混合容器1の外部に漏洩しない。
【0027】
これら容器本体2、装着筒体3、第2剤収容体4、底蓋5及び閉塞体6は、例えば透明または半透明な合成樹脂材料など、内側が視認可能に形成されている。なお、これら容器本体2、装着筒体3、第2剤収容体4、底蓋5及び閉塞体6は、同じ材料で形成されている必要はなく、少なくとも1つが異なる材料で形成されてもよい。また、これら容器本体2、装着筒体3、第2剤収容体4、底蓋5及び閉塞体6すべてが内側が視認可能に形成されている必要はない。
【0028】
次に、以上のような構成の二剤混合容器1の使用方法を説明する。
まず、
図2に示すように、閉塞体6を第2剤収容体4に対して容器軸O回りに回転させる。これにより、第2シール筒部43の下端が立上筒部24の上端よりも上方に位置し、連通孔4Aが開放され、二剤混合容器1の外部の空気は、矢印A1、A2に示すように、連通孔4Aを通して第2剤収容体4内に流入可能となる。なお、閉塞体6を第2剤収容体4から完全に取り外すことによって連通孔4Aを開放してもよい。
【0029】
続いて、第2剤収容体4を装着筒体3に対して容器軸O回りに回転させる。第2剤収容体4を回転させるにしたがって、第2剤収容体4は、装着筒体3及び底蓋5に対して上方移動する。
第2剤収容体4が装着筒体3の挿入筒部12に対して上方移動すると、区画筒部23の上端部は、挿入筒部12の上端よりも上方へ移動し、空気流路Rを開放する。これにより、容器本体2内の空気は、矢印A3、A4に示すように、空気流路Rを通して二剤混合容器1の外部に排出可能となる。
また、第2剤収容体4が底蓋5に対して上方移動すると、区画筒部23の下端部は、第1周筒部32の上端よりも上方へ移動し、滴下孔34Aを開放する。これにより、第2剤収容体4内の第2剤C2は、滴下孔34Aを通して容器本体2内に滴下され、容器本体2内の第1剤C1と混合される。
ここで、挿入筒部12に対して取付筒部22が空転するので、挿入筒部12に対する取付筒部22の上昇限度が設定されている。なお、挿入筒部12に対する取付筒部22の上昇限度を設定するために、挿入筒部12及び取付筒部22の一方または双方に挿入筒部12に対する取付筒部22の上方移動を規制するための位置決め手段を設けるなど、他の構成を用いてもよい。また、このような位置決め手段を設けなくてもよい。
【0030】
ここで、容器本体2、装着筒体3、第2剤収容体4及び底蓋5が内側を視認可能な材料で形成されているため、第2剤C2が滴下孔34Aを通して容器本体2内に滴下される様子を二剤混合容器1の外側から視認できる。
さらに、第2係止突部23Bは、被係止突部33Bに対して下方から係止している。これにより、底蓋5が意図せず第2剤収容体4から離脱されることを抑制する。
なお、閉塞体6の第2剤収容体4に対する周方向の緩み方向と第2剤収容体4の装着筒体3に対する周方向の緩み方向とは、同方向であっても逆方向であってもよい。また、容器本体2の口部2Aに対する装着筒体3の周方向の緩み方向と第2剤収容体4の装着筒体3に対する周方向の緩み方向とは、同方向であっても、逆方向であってもよいが、第2剤収容体4を装着筒体3に対して緩み方向に回転させているときに装着筒体3が口部2Aから取り外されることを抑制するためにも、逆方向であることが好ましい。
【0031】
図3に示すように、第2剤収容体4内の第2剤C2を滴下させて第1剤C1との混合が終了した後、容器本体2に対して装着筒体3を容器軸O回りで回転させ、装着筒体3を第2剤収容体4と共に容器本体2から取り外す。そして、
図4に示すように、容器本体2の口部2Aに付替キャップ50を装着する。
【0032】
付替キャップ50は、天壁部51に吐出孔52Aが形成された有頂筒状の吐出筒52と、吐出筒52にヒンジ53を介して連結されると共に、吐出孔52Aを閉塞する栓筒部54が設けられたヒンジ蓋55と、を備える。なお、付替キャップ50としては、このような構造に限らず、他の構造であってもよい。また、付替キャップ50に替えて、例えば容器本体2の口部2Aに上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプなどを容器本体2の口部2Aに装着してもよい。
【0033】
容器本体2の口部2Aに付替キャップ50を装着した後、第1剤C1及び第2剤C2の混合物を吐出孔52Aから吐出させる。
以上のようにして、二剤混合容器1を使用する。
【0034】
以上、本実施形態にかかる二剤混合容器1によれば、閉塞体6を第2剤収容体4に対して上方に移動させ、また、第2剤収容体4を挿入筒部12に沿って装着筒体3に対して上方に移動させることにより、第2剤収容体4内の第2剤C2は、滴下孔34Aを通って容器本体2内に滴下され、容器本体2内の第1剤C1と混合される。したがって、第2剤C2を容器本体2内に少量ずつ円滑に滴下させることが可能となる。
また、第1及び第2周筒部32、33が区画筒部23の下端部を径方向に挟み込んでいるので、第1及び第2周筒部32、33の下端同士を連結する環状連結部34に形成されている滴下孔34Aをより確実に閉塞できる。
【0035】
次に、本発明による二剤混合容器の第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図面において上記図面と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0036】
本実施形態にかかる二剤混合容器60は、
図5に示すように、第2剤収容体61及び閉塞体62を外側から覆う有頂円筒状のオーバーキャップ63を備える。このオーバーキャップ63は、容器軸Oと同軸に配設されている。
第2剤収容体61の取付筒部64の外周面には、例えば
図5及び
図6に示すように、径方向外側に向けて突出する複数の第1回転規制突部64Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。
閉塞体62の側壁部65の外周面には、径方向外側に向けて突出する複数の第2回転規制突部65Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。なお、閉塞体62の立上筒部24に対する周方向の緩み方向と第2剤収容体61の取付筒部64に対する周方向の緩み方向とは、同じ方向とされている。
【0037】
オーバーキャップ63は、平面視で円状の円板部66と、円板部66の外周縁から下方に延在する円筒状の外筒部67と、外筒部67よりも径方向内側において円板部66から下方に延在する円筒状の内筒部68と、を備える。これら円板部66、外筒部67及び内筒部68は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0038】
外筒部67の内周面には、
図5及び
図6に示すように、径方向内側に向けて突出する複数の第3回転規制突部67Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。第3回転規制突部67Aは、取付筒部64の外周面に形成された第1回転規制突部64Aと周方向で係止可能となっている。
内筒部68の内周面には、径方向内側に向けて突出する複数の第4回転規制突部68Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。第4回転規制突部68Aは、側壁部65の外周面に形成された第2回転規制突部65Aと周方向で係止可能となっている。
【0039】
ここで、第3回転規制突部67Aが第1回転規制突部64Aに係止するために必要な容器軸O回りの回転角度は、第4回転規制突部68Aが第2回転規制突部65Aに係止するために必要な容器軸O回りの回転角度よりも大きくされている。すなわち、オーバーキャップ63を容器軸O回りに回転させると、第2回転規制突部65Aと第4回転規制突部68Aとが係止した後に、第1回転規制突部64Aと第3回転規制突部67Aとが係止するようになっている。
【0040】
次に、以上のような構成の二剤混合容器60の使用方法を説明する。
まず、
図7に示すように、オーバーキャップ63を第2剤収容体61に対して、周方向の緩み方向に回転させる。オーバーキャップ63を回転させると、まず、内筒部68に形成された第4回転規制突部68Aは、側壁部65に形成された第2回転規制突部65Aに周方向で係止し、オーバーキャップ63は、閉塞体62と共に緩み方向に回転する。これにより、閉塞体62が第2剤収容体61に対して上方移動し、連通孔4Aが開放される。
【0041】
そして、オーバーキャップ63を回転させ続けると、外筒部67に形成された第3回転規制突部67Aは、取付筒部64に形成された第1回転規制突部64Aに周方向で係止し、オーバーキャップ63は、第2剤収容体61と共に緩み方向に回転する。これにより、第2剤収容体61の区画筒部23は、底蓋5に対して上方移動し、滴下孔34A及び空気流路Rが開放される。
その後、上述した実施形態と同様に、第1剤C1及び第2剤C2を混合した後に付替キャップ50を装着し、混合物を二剤混合容器60から吐出する。
【0042】
以上、本実施形態にかかる二剤混合容器60によっても、上述した実施形態と同様の作用、効果を奏するが、オーバーキャップ63を第2剤収容体61に対して周方向の緩み方向に回転させるだけで、連通孔4A、滴下孔34A及び空気流路Rを開放させることができるので、二剤混合容器60の操作が容易になる。ここで、閉塞体62を第2剤収容体61に対して緩み方向に回転させるために必要なオーバーキャップ63の容器軸O回りの回転角度が第2剤収容体61を装着筒体3に対して緩み方向に回転させるために必要なオーバーキャップ63の容器軸O回りの回転角度よりも小さいので、滴下孔34Aを開放させる前に連通孔4Aをより確実に開放させることができる。
【0043】
なお、第1から第4回転規制突部64A、65A、67A、68Aそれぞれは、複数形成されているが、少なくとも1つ形成されていればよい。また、二剤混合容器60は、他の構成によって、オーバーキャップ63を回転させたときに、まず連通孔4Aを開放し、その後、滴下孔34Aを開放するようにされてもよい。
【0044】
次に、本発明による二剤混合容器の第3実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図面において上記図面と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0045】
本実施形態にかかる二剤混合容器70は、
図8に示すように、有頂円筒状の第2剤収容体71と、第2剤収容体71の下端開口を閉塞する有底円筒状の底蓋72と、第2剤収容体71の連通孔71Aを閉塞する平面視で円状の閉塞体73と、を備える。これら第2剤収容体71、底蓋72及び閉塞体73は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0046】
第2剤収容体71は、中央部に円状の連通孔71Aが形成された平面視で円状の頂壁部74を備える。
底蓋72は、平面視で円状の上板部75と、上板部75の外周縁から上下方向に延在する円筒状の回転防止筒部76と、回転防止筒部76の下端に連設された平面視で円環状の底板部77と、底板部77の外周縁に連設された二重円筒状の第1及び第2周筒部78、79と、を備える。これら上板部75と回転防止筒部76と底板部77と第1及び第2周筒部78、79とは、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0047】
上板部75には、上方に向けて延在する円筒状の被係合筒部80が設けられている。被係合筒部80の上端部の外周面には、径方向外側に向けて突出する被係合突部80Aが設けられている。
回転防止筒部76の上端部の内周面には、径方向内側に向けて突出する第1回転防止突部76Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら第1回転防止突部76Aの下端は、上板部75の上面に繋がっている。
第2周筒部79の上端部は、径方向外側に向けて段状に拡径されており、この段部分の上面には、上方に向けて突出する第2回転防止突部79Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0048】
閉塞体73は、薄肉部81を介して頂壁部74の開口縁に接続されている。閉塞体73には、下方に向けて延在する円筒状の係合筒部82が形成されている。係合筒部82の外周面には、径方向外側に向けて突出する第3回転防止突部82Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。これら第3回転防止突部82Aは、第1回転防止突部76Aに周方向で係止している。
ここで、第1及び第3回転防止突部76A、82Aは、ラチェット機構を構成している。すなわち、第1及び第3回転防止突部76A、82Aは、第2剤収容体71を装着筒体83に螺着する際に薄肉部81が破断しないように、第2剤収容体71を装着筒体83に対して周方向の締め込み方向に回転させたときには、第1回転防止突部76Aが第3回転防止突部82Aを乗り越え可能であり、第2剤収容体71を装着筒体83に対して周方向の緩み方向に回転させたときには、第1回転防止突部76Aが第3回転防止突部82Aに係止して乗り越えず、底蓋72が第2剤収容体71と共に装着筒体83に対する緩み方向に回転しようとするように構成されている。
また、係合筒部82の下端部の内周面には、径方向内側に向けて突出する係合突部82Bが全周にわたって形成されている。係合突部82Bは、被係合突部80Aに下方から係止可能となっている。これにより、閉塞体73が底蓋72から意図せず離脱することが防止される。
【0049】
装着筒体83の挿入筒部84の下端には、下方に向けて突出する第4回転防止突部84Aが周方向に等間隔をあけて複数形成されている。これら第4回転防止突部84Aは、第2周筒部79に形成された第2回転防止突部79Aに周方向で係止しており、装着筒体83に対して底蓋72が周方向に共回りするように構成されている。また、第4回転防止突部84Aの下端は、第2周筒部79の上記段部分の上面に当接または近接している。なお、装着筒体83に形成された第4回転防止突部84Aと底蓋72に形成された第2回転防止突部79Aとの間には、流路が形成されている。そのため、空気流路Rと容器本体2内との間の流路は確保されている。
【0050】
次に、以上のような構成の二剤混合容器70の使用方法を説明する。
まず、
図9に示すように、第2剤収容体71を装着筒体83に対して容器軸O回りに回転させる。ここで、装着筒体83の第4回転防止突部84Aが第2周筒部79に形成された第2回転防止突部79Aに周方向で係止しているので、第2剤収容体71を回転させても、底蓋72は、第2剤収容体71と共には容器軸O回りに回転しない。また、回転防止筒部76に形成された第1回転防止突部76Aが係合筒部82に形成された第3回転防止突部82Aと周方向で係止しているので、第2剤収容体71を回転させても、閉塞体73は、第2剤収容体71と共には容器軸O回りに回転しない。そのため、第2剤収容体71を回転させるにしたがって、閉塞体73と第2剤収容体71の頂壁部74とを接続している薄肉部81に捻れ力が加わり、薄肉部81は、破断される。これにより、連通孔71Aが開放され、二剤混合容器70外部の空気は、連通孔71Aを通して第2剤収容体71内に流入可能となる。
【0051】
そして、第2剤収容体71をさらに回転させるにしたがって、第2剤収容体71は、装着筒体83及び底蓋72に対して上方移動し、滴下孔34A及び空気流路Rが開放される。
その後、上述した実施形態と同様に、第1剤C1及び第2剤C2を混合した後に付替キャップ50を装着し、混合物を二剤混合容器70から吐出する。
【0052】
以上、本実施形態にかかる二剤混合容器70によっても、上述した実施形態と同様の作用、効果を奏するが、第2剤収容体71と閉塞体73とを一体的に形成しているので、二剤混合容器70の部品点数を削減できる。
【0053】
次に、本発明による二剤混合容器の第4実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態は、その基本的構成が上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態に別の要素を付加したものである。したがって、以下の図面において上記図面と同一構成要素に同一符号を付し、この説明を省略する。
【0054】
本実施形態にかかる二剤混合容器90では、
図10に示すように、底蓋91と装着筒体92とが一体的に形成されている。
装着筒体92の挿入筒部93の下端部は、底蓋91の第2周筒部94の上端部に繋がっている。また、挿入筒部93の下端部には、挿入筒部93を径方向に貫通する貫通孔93Aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら貫通孔93Aは、底蓋91及び装着筒体92を一体的に成形する際に使用する金型による、いわゆる「喰切り」によって形成されている。なお、貫通孔93Aは、「喰切り」以外の他の態様によって形成されてもよい。また、貫通孔93Aは、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0055】
次に、以上のような構成の二剤混合容器90の使用方法を説明する。
まず、
図11に示すように、第2剤収容体71を装着筒体92に対して容器軸O回りに回転させる。第2剤収容体71を回転させると、装着筒体92及び底蓋91が一体的に形成されているので、上述した第3実施形態と同様に、まず、薄肉部81が破断されて閉塞体73が頂壁部74から分離される。これにより、連通孔71Aが開放され、二剤混合容器70の外部の空気は、連通孔71Aを通して二剤混合容器70内に流入可能となる。そして、第2剤収容体71をさらに回転させるにしたがって、第2剤収容体71は、装着筒体92及び底蓋91に対して上方移動し、滴下孔34A及び空気流路Rが開放される。
その後、上述した実施形態と同様に、第1剤C1及び第2剤C2を混合し、混合物を二剤混合容器90から吐出する。
【0056】
以上、本実施形態にかかる二剤混合容器90によっても、上述した実施形態と同様の作用、効果を奏するが、底蓋91と装着筒体92とが一体的に形成されているので、さらに部品点数を削減することができる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、底板は、二重筒部を形成する第1及び第2周筒部を有しており、これら第1及び第2周筒部の下端同士を連結する環状連結部に滴下孔を形成されているが、二重筒部を有する構造以外の他の構造を有してもよい。
滴下孔は、第2剤収容体の区画筒部によって直接閉塞されているが、第2剤収容体によって直接閉塞されている必要はなく、第2剤収容体の上方移動時に第2剤収容体内と滴下孔との間が連通すれば、他の構成であってもよい。
二剤混合容器は、連通孔を開放した後に滴下孔が開放されるように構成されているが、滴下孔を開放した後に連通孔が開放される構成や、滴下孔と連通孔とが同時に開放される構成など、他の構成であってもよい。
第1剤及び第2剤を混合した後に容器本体の口部に付替キャップを装着し、付替キャップから混合物を吐出させているが、例えば単に装着筒体を第2剤収容体などと共に取り外して混合物を吐出させるなど、付替キャップを装着せずに混合物を吐出させてもよい。