(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気錠により施解錠される扉の外側の壁面に設置される本体部を有し、該本体部は、カード媒体に記録された情報を読み取るカード読取部を正面に有するカードリーダーであって、
前記本体部は、前記カード読取部を有する前部ケース体を有し、該前部ケース体は、厚み方向において、前記本体部の内面側の非透光層部と、前記本体部の外面側の透光層部とを有し、
前記本体部の内部にはライトガイドが配置され、
前記前部ケース体は、少なくとも前記ライトガイドと対向する領域が前記透光層部のみからなる透過部であり、
前記前部ケース体の表面には、前記ライトガイドと対向する領域が透光性を有する表面透過部を有する表示シートが取付けられていることを特徴とするカードリーダー。
前記表示シートは、テンキー表示の有無が異なる複数種類から1つが選択されて前記前部ケース体に取付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカードリーダー。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル等において、カードリーダー及び電気錠を用いた入退室管理システムが設置されている。入退室管理システムは、例えば、複数の会議室がフロアに並設されている場合に、各会議室の入退室管理を行うために設置される。この場合、会議室の入口毎にカードリーダーが設置され、カードリーダーは、建物の階毎に設置されるローカル制御盤に接続される。また、カードリーダーは、会議室の扉に設けられる電気錠に接続される。ローカル制御盤は、伝送路を介して警備室などに設置されたセンター装置や総務部等の管理部門に設置されたクライアント装置に接続される。
【0003】
会議室に出入りするユーザーは、利用者識別情報を登録した例えば非接触ICカードを携帯しており、カードリーダーに非接触ICカードをかざすことで、利用者識別情報を読取ってローカル制御盤に送り、ローカル制御盤で事前登録している利用者識別情報との照合一致が得られた場合に電気錠を解錠し、扉を開いて出入りできるようにしている。
【0004】
カードリーダーには、扉の施錠、解錠状態や、非接触ICカードの読み取り状況などを表すため、LED等が発光する表示部を有している。本願出願人は、特許文献1に示すように、カード読取部の周囲を囲むように表示部を配置したカードリーダーを開発した。カード読取部の周囲を囲むように表示部が配置されていることで、視認性に優れたカードリーダーとすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のカードリーダーは、内カバーと外枠カバーの間には、アンテナコイルを有する回路基板と、表示部の形状を有するライトガイドと、静電容量スイッチシートと、透明パネルとを納めている。カードリーダーの正面には、テンキーやスイッチシンボルなどが表示された透明パネルが露出する。
【0007】
カードリーダーは、警戒モードと警戒解除モードを切り替えるためのスイッチを静電容量スイッチとして有し、また、必要に応じてテンキースイッチの機能を静電容量スイッチに持たせることもある。カードリーダーの設置時にはテンキースイッチの機能が不要であっても、設置後にその機能を必要とする場合もある。この場合、カードリーダーを取り替えることも考えられるが、静電容量スイッチシートを有するカードリーダーは、設定の書き換えによりテンキースイッチの機能を追加することができる。
【0008】
カードリーダーの正面に露出する透明パネルについて、テンキースイッチの機能を追加した場合には、その表示を有する透明パネルに交換する必要がある。特許文献1のカードリーダーの構造では、透明パネルを交換するには外枠カバーを内カバーから取り外す必要があり、作業に手間を要する。
【0009】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、カードリーダーのスイッチ機能を変更しても、容易にその変更作業を行うことのできるカードリーダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係るカードリーダーは、電気錠により施解錠される扉の外側の壁面に設置される本体部を有し、該本体部は、カード媒体に記録された情報を読み取るカード読取部を正面に有するカードリーダーであって、
前記本体部は、前記カード読取部を有する前部ケース体を有し、該前部ケース体は、厚み方向において、前記本体部の内面側の非透光層部と、前記本体部の外面側の透光層部とを有し、
前記本体部の内部にはライトガイドが配置され、
前記前部ケース体は、少なくとも前記ライトガイドと対向する領域が前記透光層部のみからなる透過部であり、
前記前部ケース体の表面には、前記ライトガイドと対向する領域が透光性を有する表面透過部を有する表示シートが取付けられていることを特徴として構成されている。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、前部ケース体が非透光層部と透光層部の二層構造であり、ライトガイドと対向する領域は透光層部のみの透過部となっているので、ライトガイドによる発光表示を妨げずに、前部ケース体の前面側にライトガイドと対向する領域に透過部を有する表示シートを設けることができる。このため、静電容量スイッチシートによるスイッチの機能を変更した場合などに、前部ケース体の外面側から表示シートを交換することができ、本体部を分解する必要がない。
【0012】
また、請求項2の発明に係るカードリーダーは、前記ライトガイドは、前記カード読取部を囲むように前記本体部の外周に沿って配置され、前記透過部は、前記ライトガイドと対向する領域及び当該領域より内周側の領域に渡って設けられることを特徴として構成されている。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前部ケース体のライトガイドと対向する領域の内側の領域も透過部となっているため、組立作業者が表示シートを取付ける際に、本体部内に静電容量スイッチシートなど所定の部品が設けられているか、及び部品の種類を目視で確認できる。このため、表示シートと本体部内部の部品とが対応しているか否かを一見で確認でき、組立上の誤りを防止することができる。また、ライトガイドの側方は非透過層部で形成されることになるため、外側に光が反射することなく、LEDからの光をライトガイドに集光することが可能となる。
【0014】
また、請求項3の発明に係るカードリーダーは、前記本体部は、背面側の後部ケース体を有し、該後部ケース体と前記前部ケース体とが一体化されていることを特徴として構成されている。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、後部ケース体は壁面に埋設されるので、露出する前部ケース体のみ、表面を二層構造とすることで、意匠性の向上を図ることができる。
【0016】
さらに、請求項4の発明に係るカードリーダーは、前記表示シートは、テンキー表示の有無が異なる複数種類から1つが選択されて前記前部ケース体に取付けられていることを特徴として構成されている。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、表示シートの交換によりスイッチ機能の変更を容易に行うことができる。
【0018】
さらにまた、請求項5の発明に係るカードリーダーは、前記表示シートは、前記前部ケース体の表面に対し接着固定されていることを特徴として構成されている。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、表示シートを前部ケース体に対し容易に脱着することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るカードリーダーによれば、カードリーダーのスイッチ機能を変更しても、容易にその変更作業を行うことができる。また、前部ケース体が非透光層部と透光層部の二層構造であることにより、正面側に露出する前部ケース体を立体的に見せることができ、意匠性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。
図1には本実施形態のカードリーダー1の正面側から見た斜視図を、
図2にはカードリーダー1の正面図を、
図3にはカードリーダー1の分解斜視図を、それぞれ示している。本実施形態のカードリーダー1は、ケース状の本体部10を有している。本体部10は、ユーザーが携帯するカード媒体の情報を読み取るカード読取部20を正面に有している。
【0023】
本体部10は、正面側の前部ケース体11と、背面側の後部ケース体12とが一体化され、前部ケース体11の正面に表示シート54が設けられて形成されている。後部ケース体12は建物の壁面に対して取付けられる。前部ケース体11は、カード媒体をかざす部分であるカード読取部20と、その周囲を囲むように設けられる透光性を有する正面表示部22とを、正面に有している。カードリーダー1が建物の壁面に取付けられると、本体部10のうち前部ケース体11が露出し、後部ケース体12は壁面内に埋設される。
【0024】
カード読取部20の周囲には、上下にそれぞれ略コ字状の正面表示部22が設けられている。表示シート54は、正面表示部22の形状の透光性を有する領域を有し、本体部10の内部には、その領域に対向するように配置されるライトガイド52と、ライトガイド52に対して投光するLEDとが設けられる。正面表示部22は、電気錠の施錠状態や、カード媒体の読み取り状態などを、色や点灯・点滅状態によって表示する。
【0025】
前部ケース体11の上部両側には、側部表示部21が設けられている。側部表示部21は、それぞれに対応したLEDを有しており、発光による表示をカードリーダー1の正面方向や側面方向から視認することができる。側部表示部21のLEDは、3原色のLEDを有しており、その組み合わせによっていかなる色も発生することができる。側部表示部21は、警戒モード、警戒解除モードといったカードリーダー1の状態表示や警報などを、色や点灯・点滅状態によって表示する。
【0026】
図3に示すように、後部ケース体12は、基板等を納められるように前面側に開口した箱状部12aと、箱状部12aの開口から外方に広がるように形成された取付面部12bとを有している。前部ケース体11は、カード読取部20を有する前面部11aと、その縁部から四周に渡って背面側に伸びる側面部11bとを有している。前面部11aには、表示シート54を納める凹部11cが形成されている。
【0027】
前部ケース体11の背面側には、回路基板50とライトガイド52及び静電容量スイッチシート53が固定される。回路基板50は、RF基板50aとCPU基板50bとが、スペーサーにより2段の積層状態となっている。RF基板50aには、アンテナコイル50cが配置され、アンテナコイル50cと基板に実装した読取回路によりカード媒体の情報を読み取ることができる。RF基板50aには、本体部10の側部表示部21からの表示を行うための発光体であるLEDと、ライトガイド52に投光するLEDとが配置される。また、CPU基板50bには、タンパスイッチを構成するホールICが配置される。
【0028】
ライトガイド52は、上下に分離していてそれぞれが略コ字状の形状を有している。ライトガイド52は、前部ケース体11の正面表示部22に対応した形状を有し、正面表示部22と対向するように配置される。ライトガイド52には、RF基板50a上に配置されるLEDからの光が入射され、その光を全体に拡散させつつ、正面側に出射させる。このため、LEDからの光は、正面表示部22の全体から満遍なく照射される。正面表示部22は、電気錠の施錠状態や、カード媒体の読み取り状態などを、色や点灯・点滅状態によって表示する。
【0029】
静電容量スイッチシート53には、破線で示す静電容量スイッチが配置されている。静電容量スイッチは、警戒設定スイッチ53aと、警戒解除スイッチ53bと、テンキースイッチ53cのいずれかである。これらの静電容量スイッチは、相対する前部ケース体11のカード読取部20の部位に指先を触れることで、直接接触しなくても静電容量が変化し、これを電気的に検出してスイッチ信号とする。
【0030】
前部ケース体11の凹部11cには、薄いシート状の表示シート54が接着固定される。表示シート54には、静電容量スイッチシート53の警戒設定スイッチ53aと対応する位置に警戒設定スイッチシンボル54aが、静電容量スイッチシート53の警戒解除スイッチ53bと対応する位置に警戒解除スイッチシンボル54bが、それぞれ表示されている。表示シート54の中央部には、カード読取シンボル54cが表示されている。また、表示シート54は、前部ケース体11に取付けられることで正面表示部22となる表面透過部54dを有している。表面透過部54dは、ライトガイド52と対向するように形成されている。
【0031】
前部ケース体11と後部ケース体12は、後部ケース体12に対して下方から挿通されている固定ネジ13によって固定される。その固定構造について以下説明する。
【0032】
図4には、前部ケース体11の背面図を示している。この図に示すように、前部ケース体11の背面側には、上辺に引っ掛け部32が形成されている。引っ掛け部32は、後部ケース体12の上辺に対して引っ掛けることのできる突起状に形成されている。前部ケース体11の両側辺中央部には、それぞれ内側に向かって突出する係合爪部33が形成されている。係合爪部33は、後部ケース体12に対して係合することができる。
【0033】
前部ケース体11の下部には、固定ネジ13を挿通、固着することのできる底面凹部34が形成されている。底面凹部34は、前部ケース体11の下面から凹状であり、固定ネジ13の頭部13aを収容して外部に露出しないようにすることができる。底面凹部34の底部は、固定ネジ13の頭部13aが固着される固定面34aであり、固定面34aには、後部ケース体12の取付けられた状態の固定ネジ13を挿通させるためのネジ挿通部34bがさらに形成されている。
【0034】
図5には後部ケース体12の正面図を、
図6には後部ケース体12の背面図を、それぞれ示している。
図5に示すように、後部ケース体12の下部には、固定ネジ13を保持するネジ保持部43が形成されている。ネジ保持部43は、固定ネジ13のネジ部分を螺合できるように内面にネジ山が形成されている。ネジ保持部43の上部は空間が形成されており、固定ネジ13の先端部はこの空間内に配置される。固定ネジ13の先端部は、挿通後に圧潰されて、ネジ保持部43よりも大径状の大径部13bとなっている。このため、固定ネジ13は後部ケース体12から脱落しない。
【0035】
図6に示すように、後部ケース体12の背面側には、前部ケース体11の引っ掛け部32を引っ掛けることのできる引っ掛け凹部41が上辺に形成されている。また、後部ケース体12の両側辺には、前部ケース体11の係合爪部33を係合させることのできる係合凹部42が形成されている。
【0036】
図7には、前部ケース体11と後部ケース体12とを一体化した状態の縦断面図を示している。この図に示すように、前部ケース体11の引っ掛け部32は、後部ケース体12の引っ掛け凹部41に対して上方から引っ掛けられて係合している。また、固定ネジ13は、頭部13aが前部ケース体11の固定面34aに圧接し、前部ケース体11と後部ケース体12とを固定している。
【0037】
前部ケース体11の引っ掛け部32は、厚みを有する断面形状を有している。前部ケース体11と後部ケース体12とを一体化する際には、引っ掛け部32に大きな力がかかるが、引っ掛け部32が厚みを有していることにより、破損しないようにすることができる。
【0038】
また、引っ掛け部32は、根元側は同じ厚みを有する断面長方形状で、先端側は次第に厚みが小さくなる断面台形状となっている。このため、引っ掛け部32は、先端部に傾斜面32aを有している。後部ケース体12の引っ掛け凹部41は、引っ掛け部32の傾斜面32aが当接する面が傾斜状の固定面41aとなっている。引っ掛け部32の傾斜面32aと引っ掛け凹部41の固定面41aは、同じ角度である。
【0039】
図8には、前部ケース体11と後部ケース体12とを一体化した状態の横断面図を示している。この図に示すように、前部ケース体11の係合爪部33は、後部ケース体12の係合凹部42に対して外方から係合されている。
【0040】
壁面に取付けられた後部ケース体12に対して前部ケース体11を取付ける際には、まず、前部ケース体11を、下側を手前に引いた傾斜状態にして、前部ケース体11の引っ掛け部32を後部ケース体12の引っ掛け凹部41に対して、前方斜め上方から引っ掛ける。その上で、前部ケース体11を回転させて両者を係合させる。前述のように、引っ掛け部32の傾斜面32aと引っ掛け凹部41の固定面41aが同じ角度であるので、前部ケース体11を後部ケース体12に回転係合させる際に、所定の角度で停止し、取付が容易となっている。前部ケース体11の回転係合と同時に、前部ケース体11の両側の係合爪部33を後部ケース体12の係合凹部42に対してそれぞれ係合させる。このとき、後部ケース体12に設けられている固定ネジ13は、前部ケース体11の底面凹部34に形成されたネジ挿通部34bに挿通される。これにより、前部ケース体11は後部ケース体12に対して仮止めされた状態となり、前部ケース体11が落下しないようにすることができる。その上で、固定ネジ13を締めることにより、前部ケース体11と後部ケース体12とを強固に固定することができる。
【0041】
前部ケース体11を後部ケース体12から取り外すために、固定ネジ13を緩めた場合に、固定ネジ13の先端部は圧潰されて大径部13bとなっているので、固定ネジ13が後部ケース体12から落下しないようにすることができる。
【0042】
このように、前部ケース体11が引っ掛け部32と係合爪部33を有し、これらによって、後部ケース体12に対するネジ止めの前に仮止めができるので、前部ケース体11を後部ケース体12に対して固定する際に、位置ずれや落下を防止することができる。特に、回路基板50や静電容量スイッチシート53などは、前部ケース体11に取付けられているので、前部ケース体11側の重量が大きいことから、前部ケース体11を後部ケース体12に仮止めできることにより、両者を一体化する作業の容易性を向上させることができる。
【0043】
また、前部ケース体11の係合爪部33と後部ケース体12の係合凹部42との係止状態は、前部ケース体11が後部ケース体12に対して若干動くことができるように緩くなっている。これにより、前部ケース体11を後部ケース体12から取り外す場合に、前部ケース体11の底部等に工具を差し込むことができ、前部ケース体11の取り外し作業を容易にすることができる。
【0044】
前部ケース体11の二層構造について説明する。
図9には、
図4のA−A断面のうち、中心線より左側の断面図を示している。この図に示すように、前部ケース体11は、側部から正面縁部にかけて内面側に設けられる非透光層部30と、側部及び正面の全体の外面を構成する透光層部31とを有している。非透光層部30は、有色の樹脂材であって光を透過させない。一方、透光層部31は、透明な樹脂材であって光を透過させる。前部ケース体11は、二色成形によって形成される。
【0045】
前部ケース体11は、ライトガイド52と対向する領域及びそれよりも内周側の領域は、透光層部31のみで形成されており、この部分はライトガイド52からの光を透過させる透過部37となっている。前部ケース体11のうち、透過部37以外の部分は、非透光層部30があるためにライトガイド52からの光を透過させない。
【0046】
このように、前部ケース体11が非透光層部30と透光層部31の二層構造であり、ライトガイド52と対向する領域は透光層部31のみの透過部37となっていることにより、前部ケース体11の前面側に表示シート54を設けることができる。表示シート54は、前述のように、ライトガイド52と対向する領域が、光を透過させる表面透過部54dとなっており、ライトガイド52の形状に合わせて光を正面側に透過させることができる。
【0047】
また、前部ケース体11のライトガイド52と対向する領域の内側の領域も透過部37となっているため、組立作業者が表示シート54を取付ける際に、本体部10内に静電容量スイッチシート53が設けられているか、及び静電容量スイッチシート53の種類を目視で確認できる。このため、表示シート54と本体部10内部の静電容量スイッチシート53とが対応しているか否かを一見で確認でき、組立上の誤りを防止することができる。また、ライトガイド52の側方は非透過層部30で形成されることになるため、外側に光が反射することなく、LEDからの光をライトガイド52に集光することが可能となる。
【0048】
前部ケース体11の前面側に表示シート54を設けられるようにしたことで、静電容量スイッチシート53によるスイッチの機能を変更した場合などに、前部ケース体11の外面側から表示シート54を交換することができ、本体部10を分解する必要がない。また、前部ケース体11が非透光層部30と透光層部31の二層構造であることにより、正面側に露出する前部ケース体11を立体的に見せることができ、意匠性を向上させることができる。
【0049】
図3に示すように、後部ケース体12には、箱状部12aの内側に、型式や製造番号等が記載された内側銘板部45が設けられている。また、後部ケース体12には、外面に型式や製造番号等が記載された外側銘板部46が設けられている。カードリーダー1の製造時や輸送時、また、建物の壁面に取付けられるまでは、外側銘板部46により型式や製造番号等が確認される。カードリーダー1が壁面に取付けられると、後部ケース体12は壁面内に埋設されてしまうため、外側銘板部46を視認できない。この場合には、内側銘板部45により、型式や製造番号等が確認される。このように、後部ケース体12に内側銘板部45と外側銘板部46を設けたことにより、カードリーダー1の設置前後のいずれにおいても、型式や製造番号など必要な情報を確認することができる。
【0050】
後部ケース体12の箱状部12aの底部には、CPU基板50bに設けられるホールICに対応して、マグネット56が設けられている。ホールICとマグネット56により、タンパスイッチが構成される。正常な状態では、ホールICがマグネット56の磁界を検出し、タンパスイッチがオフの状態となっている。不審者等により前部ケース体11がこじ開けられて、ホールICとマグネット56との距離が大きくなると、ホールICでマグネット56の磁界が検出されなくなり、これに伴ってタンパスイッチがオンの状態となる。タンパスイッチがオンとなった場合には、カードリーダー1は所定の警報を発する。
【0051】
カードリーダー1の設置時においては、前述のように、壁面に埋設固定された後部ケース体12に対して、前部ケース体11が仮止めされた上で、固定ネジ13によりネジ止め固定される。このとき、前部ケース体11が後部ケース体12に対して所定の位置に正しく固定され、前部ケース体11側のホールICと、後部ケース体12側のマグネット56との距離が正常な範囲となると、側部表示部21が所定の表示を行う。これにより、前部ケース体11が後部ケース体12に対して正しく固定されたことを視覚的に確認することができる。
【0052】
図10には、カードリーダー1を含む入退室管理システムの構成図を示している。この図に示すように、入退室管理システムは、センター装置40に複数のローカル制御盤41が接続され、ローカル制御盤41には、複数のカードリーダー1が接続される。各カードリーダー1には、電気錠42が接続されている。また、センター装置40には、防災システムを構成する防災受信盤45も接続されている。
【0053】
カードリーダー1は、カード媒体の情報を読み取って、予め登録されている情報と照合し、認証が成立したら、認証成立の信号をローカル制御盤41に送信する。ローカル制御盤41は、認証成立の信号を受信したら、入退室の情報をセンター装置40に送信すると共に、電気錠42の解錠制御を行う。
【0054】
センター装置40は、防災受信盤45から火災発生の警報情報を受信したら、ローカル制御盤41を通じてカードリーダー1の発光制御を行う。火災発生時には、側部表示部21が、火災発生時における所定の発光、例えば赤色での点滅をする。火災発生時における所定の発光は、通常時における側部表示部21の発光とは異なるものとされる。
【0055】
カードリーダー1は、カード媒体により電気錠42の施解錠が可能な警戒解除モードと、電気錠42を施錠した状態のまま、解錠できないようにした警戒モードとを切り替えることができる。警戒モードは、例えば人の出入りのない夜間や休日などに設定される。警戒解除モードにおいてカードリーダー1は、正面表示部22を常時発光させている。一方、警戒モードでは、カードリーダー1は正面表示部22を消灯させる。これにより電力消費を抑えることができる。
【0056】
静電容量スイッチシート53によるスイッチ機能は、必要に応じて変更することができる。
図11には、別の形態の表示シート55の正面図を示している。
図3に示された表示シート54は、警戒設定スイッチシンボル54aと警戒解除スイッチシンボル54b及びカード読取シンボル54cが表示され、静電容量スイッチシート53は、警戒設定スイッチ53aと警戒解除スイッチ53bが機能するように構成されている。これに加えて、静電容量スイッチシート53のテンキースイッチ53cが機能するように構成することができる。テンキースイッチ53cは、暗証番号の入力等に用いることができる。この場合、
図11に示す表示シート55が用いられる。
【0057】
表示シート55には、警戒設定スイッチシンボル54aと警戒解除スイッチシンボル54b及びテンキーシンボル55cが表示され、その周囲部には、表面透過部55dが形成されている。カードリーダー1の設置時においてテンキースイッチ53cを使用する設定となっている場合には、最初からテンキーシンボル55cを有する表示シート55が、本体部10のカード読取部20に取付けられている。また、カードリーダー1の設置後にテンキースイッチ53cの機能を追加する場合には、カードリーダー1の設定が変更されると共に、テンキーシンボルを有しない表示シート54からテンキーシンボル55cを有する表示シート55に取り替えられる。前述のように、表示シート54は前部ケース体11の外面側から交換することができるので、取替作業を容易にすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうる。