特許第6814675号(P6814675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6814675-路上低圧分岐箱 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814675
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】路上低圧分岐箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/08 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   H02G3/08
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-59679(P2017-59679)
(22)【出願日】2017年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-164345(P2018-164345A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 仁
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−007835(JP,U)
【文献】 特開2010−068693(JP,A)
【文献】 特開2010−200071(JP,A)
【文献】 実開平07−020026(JP,U)
【文献】 特開2002−186135(JP,A)
【文献】 特開2009−055753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/08− 3/20
H02G 9/00− 9/12
H02G 15/08−15/196
H02B 1/40− 1/44
H05K 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有する方形箱体に成形された本体を有し、前記本体に、前記開口を開閉する扉体が備えられているとともに、前記本体内に、配電用ケーブルを介して送電されてくる電力を分岐させて出力するための複数の出力端子部が設けられた路上低圧分岐箱であって、
前記本体の側面に、少なくとも1つの前記出力端子部から電源を取り出すための臨時用開口が開設されているとともに、前記側面で前記臨時用開口の近傍となる位置に、機器取付板が設置されており、
さらに、前記本体の側面に、前記臨時用開口及び前記機器取付板を被覆可能な閉塞カバーが着脱可能に固定されており、
電源として使用する場合には、前記閉塞カバーを取り外すことを特徴とする路上低圧分岐箱。
【請求項2】
前記臨時用開口、前記機器取付板、及び前記機器取付板に搭載された機器を被覆可能であるとともに、前記出力端子部側から延びる電力ケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔が設けられた分岐カバーを備えており、
電源として使用する場合には、前記閉塞カバーに代えて前記分岐カバーを前記本体の側面に固定することを特徴とする請求項1に記載の路上低圧分岐箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば無電柱化された区域等の路上に設置され、地中に埋設された配電ケーブルを介して送電されてくる電力を分岐させるための路上低圧分岐箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば無電柱化された区域等の路上には、地中に埋設された配電ケーブルを介して送電されてくる電力を分岐させるための路上低圧分岐箱が設置されている(たとえば特許文献1)。そのような路上低圧分岐箱は、一般的に方形箱状に成形されており、その前面には、開口部と、当該開口部を開閉する扉体とが設けられている。しかしながら、安全保守の観点から、その扉体は通常施錠されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−200071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば災害が発生した緊急時や祭り開催時等、臨時に電源が必要になるという状況もある。しかしながら、上述したように路上低圧分岐箱の扉体は施錠されているため、扉体を開くことは困難である。また、路上低圧分岐箱を電源として使用するにあたり、回路遮断器等の各種機器が必要になるが、それらの機器を取り付けるスペースもない。したがって、上記状況であっても路上低圧分岐箱を電源として使用することは難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、臨時に電源が必要となった場合に、比較的容易に電源として使用することができる路上低圧分岐箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、前面に開口を有する方形箱体に成形された本体を有し、前記本体に、前記開口を開閉する扉体が備えられているとともに、前記本体内に、配電用ケーブルを介して送電されてくる電力を分岐させて出力するための複数の出力端子部が設けられた路上低圧分岐箱であって、前記本体の側面に、少なくとも1つの前記出力端子部から電源を取り出すための臨時用開口が開設されているとともに、前記側面で前記臨時用開口の近傍となる位置に、機器取付板が設置されており、さらに、前記本体の側面に、前記臨時用開口及び前記機器取付板を被覆可能な閉塞カバーが着脱可能に固定されており、電源として使用する場合には、前記閉塞カバーを取り外すことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記臨時用開口、前記機器取付板、及び前記機器取付板に搭載された機器を被覆可能であるとともに、前記出力端子部側から延びる電力ケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔が設けられた分岐カバーを備えており、電源として使用する場合には、前記閉塞カバーに代えて前記分岐カバーを前記本体の側面に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体の側面に、少なくとも1つの出力端子部から電源を取り出すための臨時用開口を開設するとともに、その側面で臨時用開口の近傍となる位置に、機器取付板を設置した。また、本体の側面に、臨時用開口及び機器取付板を被覆可能な閉塞カバーを着脱可能に固定した。そして、臨時の場合には、閉塞カバーを取り外すことにより、電源として使用することができるようにした。したがって、従来よりも容易に電源として使用することができる路上低圧分岐箱を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、臨時用開口、機器取付板、及び機器取付板に搭載された機器を被覆可能であるとともに、出力端子部側から延びる電力ケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔が設けられた分岐カバーを備えた。そして、電源として使用する場合には、閉塞カバーに代えて分岐カバーを本体の側面に固定するようにした。したがって、電源として使用する場合にも臨時用開口や機器を被覆することができ、防水性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】臨時の電源として使用しない場合の路上低圧分岐箱を示した説明図である。
図2】臨時の電源として使用する場合の路上低圧分岐箱を示した説明図である。
図3】閉塞カバーを示した説明図である。
図4】分岐カバーを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる路上低圧分岐箱について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、臨時の電源として使用しない場合の路上低圧分岐箱1を示した説明図であり、図2は、臨時の電源として使用する場合の路上低圧分岐箱1を示した説明図である。図3は、閉塞カバー11を示した説明図であり、図4は、分岐カバー21を示した説明図である。
【0011】
路上低圧分岐箱1は、前面に開放された方形箱状の本体2と、本体2の前面を開閉するための扉体3とを有するものであって、後述する本体2の右側面以外は、従来周知のものと同じである。すなわち、本体2の内部には複数の出力端子部(図示せず)が設けられており、地中に埋設されている配電ケーブルを介して送電されてくる電力を、各住戸毎に分岐させて供給可能としている。
【0012】
ここで、本発明の要部となる路上低圧分岐箱1の臨時分岐部について説明する。
本体2の右側面には、臨時用開口4が開設されており、臨時用開口4を介して本体2内部の出力端子部から電源を取り出し可能になっている。また、本体2の右側面で臨時用開口4の上側となる位置には、右側へ突出した後に上側へ折り曲げられたL字状の被係止部材5が固着されている。さらに、本体2の右側面で臨時用開口4の下側となる位置には、電力量計や回路遮断器等を搭載するための機器取付板6が設置されている。加えて、本体2の右側面で機器取付板6の更に下側となる位置には、後述する閉塞カバー11や分岐カバー21をネジ止めするためのネジ孔7、7が穿設されている。
【0013】
そして、路上低圧分岐箱1を臨時の電源として使用しない場合、上記臨時用開口4及び機器取付板6は閉塞カバー11により覆われている。閉塞カバー11は、上面、下面、前面、背面、及び右側面を有し、左側面のみ開口とされた方形箱状のカバー体であって、本体2の右側面に取り付けた際、臨時用開口4及び機器取付板6を被覆可能な大きさとされている。また、閉塞カバー11の上面の左端縁には、下方へ折り曲げられ、被係止部材5に係止可能とされた係止部12が設けられている。さらに、閉塞カバー11の下面の左端縁には、下方へ折り曲げられた舌片13が設けられ、当該舌片13に、本体2の右側面へネジ止めするためのネジ孔14、14が穿設されている。このように構成された閉塞カバー11は、係止部12を被係止部材5に係止させた上でネジ止めすることにより、臨時用開口4及び機器取付板6を覆った状態で本体2の右側面に取り付けられる。
【0014】
一方、路上低圧分岐箱1を臨時の電源として使用する場合には、上記閉塞カバー11に代えて分岐カバー21を取り付ける。分岐カバー21は、上面、下面、前面、及び背面を有し、左右の両側面が開口とされたカバー本体と、分岐カバー21の右側面を構成し、カバー本体の右側の開口を開閉する扉25とからなる。また、分岐カバー21は、閉塞カバー11よりも左右幅が広くなっており、本体2の右側面に取り付けた際、臨時用開口4と機器取付板6とに加え、機器取付板6に搭載される電力量計や回路遮断器等をも被覆可能とされている。さらに、分岐カバー21の上面の左端縁には、下方へ折り曲げられ、被係止部材5に係止可能とされた係止部22が設けられている。さらにまた、分岐カバー21の下面の左端縁には、下方へ折り曲げられた舌片23が設けられ、当該舌片23に、本体2の右側面へネジ止めするためのネジ孔24、24が穿設されている。加えて、分岐カバー21の下面には、電力を引き出すべく出力端子部側から延びる電力ケーブル(出力端子部から機器取付板6に搭載された機器を介して延びるケーブルであって、図示せず)が挿通可能なケーブル挿通孔26、26が開設されている。そして、このように構成された分岐カバー21は、閉塞カバー11同様、係止部22を被係止部材5に係止させた上でネジ止めすることにより、臨時用開口4や機器取付板6等を覆った状態で本体2の右側面に取り付けられる。
【0015】
以上のような構成を有する路上低圧分岐箱1によれば、本体2の側面に、少なくとも1つの出力端子部から電源を取り出すための臨時用開口4を開設するとともに、臨時用開口4の下側に機器取付板6を設置した。また、本体2の側面に、臨時用開口4及び機器取付板6を被覆する閉塞カバー11を着脱可能に固定した。そして、臨時の場合には、閉塞カバー11を取り外すことにより、本体2内の出力端子部への電力ケーブル等の接続が可能となり、路上低圧分岐箱1を電源として使用することができるようにした。したがって、従来よりも容易に電源として使用することができる路上低圧分岐箱1を提供することができる。
【0016】
また、臨時用開口4、機器取付板6、及び機器取付板6に設置された電力計や回路遮断器をも被覆可能であるとともに、出力端子部側から延びる電力ケーブルを挿通可能なケーブル挿通孔26、26が設けられた分岐カバー21を設けた。そして、路上低圧分岐箱1を電源として使用する場合には、閉塞カバー11に代えて分岐カバーを本体2の側面に固定するようにした。したがって、電源として使用する場合にも臨時用開口4や電力量計等を被覆することができ、防水性の向上等を図ることができる。
【0017】
さらに、本体2の側面に、被係止部材5を固着するとともにネジ孔7、7を設ける一方、閉塞カバー11や分岐カバー21に、被係止部材5に係止可能な係止部12、22と、本体2の側面へネジ止めするためのネジ孔14、24とを設けた。したがって、閉塞カバー11や分岐カバー21の本体2への固定作業を非常に容易に行うことができる。
【0018】
なお、本発明に係る路上低圧分岐箱は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、本体の構成は勿論、閉塞カバーや分岐カバーの構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0019】
たとえば、上記実施形態では、本体の側面に被係止部材を、カバー側に係止部を夫々設けるとしているが、ネジ止めのみによって本体の側面にカバーを着脱可能に固定するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、分岐カバーに扉を設けているが、閉塞カバー同様に扉を設けないカバーとして構成してもよいし、各カバーに窓を設け、カバー内を視認可能に構成することも可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・路上低圧分岐箱、2・・本体、3・・扉体、4・・臨時用開口、5・・被係止部材、6・・機器取付板、7、14、24・・ネジ孔、11・・閉塞カバー、12・・係止部、21・・分岐カバー、22・・係止部、25・・扉、26・・ケーブル挿通孔。
図1
図2
図3
図4