特許第6814711号(P6814711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三洋化成工業株式会社の特許一覧

特許6814711電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814711
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/035 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   H01G9/035
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-158506(P2017-158506)
(22)【出願日】2017年8月21日
(65)【公開番号】特開2018-32856(P2018-32856A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2020年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-161990(P2016-161990)
(32)【優先日】2016年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】芝 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】田邊 史行
(72)【発明者】
【氏名】向井 孝夫
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0010394(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0010395(KR,A)
【文献】 特開昭62−272512(JP,A)
【文献】 特開平2−46714(JP,A)
【文献】 特開2012−89660(JP,A)
【文献】 特開2000−315628(JP,A)
【文献】 特開2017−34180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質と溶剤(D)とを含有する電解コンデンサ用電解液であって、前記電解質が、酸と、塩基(C)とからなり、前記酸が一般式(1)で表されるジカルボン酸(A)と一般式(2)で表されるジカルボン酸(B)とを含有し、前記ジカルボン酸(A)と前記ジカルボン酸(B)との重量比[(A)/(B)]が41/59〜90/10である電解コンデンサ用電解液。
【化1】
[式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基又は炭素数2〜14のアルケニル基であり;Rは、炭素数2〜14のアルケニル基であり;Rの炭素数とRの炭素数との合計は4〜15である。]
【化2】
[式(2)中、Rは、炭素数4〜9の直鎖のアルキレン基である。]
【請求項2】
請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサ用電解液及びそれを用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
従来より、アルミニウム電解コンデンサに代表される電解コンデンサは、誘電体が設けられている陽極と、集電用の陰極と、陽極及び陰極間に配置された電解液を保持したセパレーターとが密封ケース内に収納された構造を有しており、巻回型及び積層型の形状のものが広く知られている。
電解コンデンサには、エチレングリコール等の極性溶剤に、アルケニルコハク酸又はその塩が溶解した電解液等が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−315628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アルケニルコハク酸又はその塩を電解質として用いた電解液は、火花電圧が優れるが、低温で電解質が固化し易く、低温でコンデンサとして駆動できないという問題がある。
本発明は、火花電圧は高く維持したままで、特に低温特性に優れる電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、電解質と溶剤(D)とを含有する電解コンデンサ用電解液であって、前記電解質が、酸と、塩基(C)とからなり、前記酸が一般式(1)で表されるジカルボン酸(A)と一般式(2)で表されるジカルボン酸(B)を含有し、前記ジカルボン酸(A)と前記ジカルボン酸(B)との重量比[(A)/(B)]が41/59〜90/10である電解コンデンサ用電解液;前記電解コンデンサ用電解液を用いた電解コンデンサである。
【化1】
[式(1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基又は炭素数2〜14のアルケニル基であり;Rは、炭素数2〜14のアルケニル基であり;Rの炭素数とRの炭素数との合計は4〜15である。]
【化2】
[式(2)中、Rは、炭素数4〜9の直鎖のアルキレン基である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の電解コンデンサは、低温(例えば−40℃)での電解質の固化を抑制し、寒冷地でも使用できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、電解質及び溶剤(D)を含有する電解コンデンサ用電解液であって、前記の電解質が、酸と、塩基(C)とからなる。
そして、前記酸は上記の一般式(1)で表されるジカルボン酸(A)と、上記の一般式(2)で表されるジカルボン酸(B)を含有する。
更に、前記のジカルボン酸(A)と前記のジカルボン酸(B)の重量比[(A)/(B)]は、41/59〜90/10である。
以下に各成分ジカルボン酸(A)、ジカルボン酸(B)、塩基(C)及び溶剤(D)を順次説明する。
【0008】
本発明における電解質を構成するジカルボン酸(A)は、上記の一般式(1)で表される。
【0009】
上記の一般式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜13のアルキル基又は炭素数2〜14のアルケニル基である。
炭素数1〜13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基及びn−トリデシル基等が挙げられる。
炭素数2〜14のアルケニル基としては、1−エテニル基、1−プロペニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−ウンデセニル基1−ドデセニル基及び1−テトラデセニル基等が挙げられる。
としては、低温での電解質の固化を抑制する観点から水素原子又は1〜9のアルキル基が好ましい。
【0010】
上記の一般式(1)において、Rは炭素数2〜14のアルケニル基である。
炭素数2〜14のアルケニル基としては、Rの説明で例示した物と同様のものが挙げられる。
としては、炭素数7〜11のアルケニル基が好ましい。
炭素数が7以上であると火花電圧が十分であり、炭素数が11以下であると低温での固化抑制効果が向上する。
【0011】
の炭素数とRの炭素数との合計は4〜15であり、好ましくは7〜12であり、更に好ましくは7〜11である。合計が3以下では火花電圧が十分でなく、16以上では低温で固化しやすい。
【0012】
前記のジカルボン酸(A)は、分子内に少なくとも1個の炭素−炭素不飽和結合を有することで、溶剤(D)との親和性が向上し、ジカルボン酸(A)を構成成分とする電解質の低温での固化を抑制することができる。
【0013】
火花電圧を向上させる観点及び低温での電解質の固化を抑制する観点から、ジカルボン酸(A)として好ましいものとしては、ドデセニルコハク酸[2−(ドデセ−2−エン−1−イル)コハク酸及び2−(ドデセ−3−エン−2−イル)コハク酸等]、オクテニルコハク酸[2−(オクテ−2−エン−1−イル)コハク酸]、ウンデセニルコハク酸、ヘキセニルコハク酸及びテトラデセニルコハク酸等があげられる。
ジカルボン酸(A)は、1種を単独で使用でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記のジカルボン酸(A)は、無水マレイン酸と、炭素数4〜15のアルケン[1−オクテン、1−ドデセン及び2−ドデセン等]とを50〜250℃で反応させ、その後水を加え、無水カルボン酸を加水分解する方法等で製造することができる。
【0015】
本発明の電解質を構成するジカルボン酸(B)は、上記の一般式(2)で表される。
上記一般式(2)において、Rは、炭素数4〜9の直鎖のアルキレン基である。
の炭素数が3以下だと火花電圧が十分でなく、10以上だと低温で固化しやすい。
また、Rが直鎖ではなく分岐のアルキレン基であると火花電圧が十分でない。
炭素数4〜9の直鎖のアルキレン基としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基及びn−ノニル基等が挙げられる。
【0016】
ジカルボン酸(B)の具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸等があげられる。
中でも火花電圧が高く、低温で固化しないという2つの観点から、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が好ましい。
ジカルボン酸(B)は、1種を単独で使用でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明における電解質を構成する塩基(C)は、アンモニア、2級アミン(ジメチルアミン、エチルメチルアミン及びジエチルアミン等)及び3級アミン(トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン及びトリエチルアミン等)等が挙げられる。
これらのうち、火花電圧が高いという観点から、アンモニア及び2級アミンが好ましく、更に好ましいのはジエチルアミンである。
【0018】
本発明における溶剤(D)は、電解コンデンサ用電解液に使用される溶剤であれば特に限定されない。
溶剤(D)の具体例としては、水、アルコール溶剤[メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコール(数平均分子量:600以下)等]、アミド溶剤(N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド等)、ラクトン溶剤(α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びδ−バレロラクトン等)、ニトリル溶剤(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルニトリル及びベンゾニトリル等)、スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド及びジエチルスルホキシド)及びスルホン溶剤(スルホラン及びエチルメチルスルホン等)等が挙げられる。
溶剤(D)としては、ドライアップ抑制の観点からアルコール溶剤及びラクトン溶剤が好ましく、更に好ましいのはエチレングリコール及びγ−ブチロラクトンであり、特に好ましいのはエチレングリコールである。
これらの溶剤(D)は、1種を単独で使用でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明の電解液には必要により、電解液に用いられる種々のその他添加剤を添加することができる。
駆動中にわずかに発生する水素ガスを吸収させる目的で、例えば、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール及びp−ニトロフェノール等)等が添加される。
また、耐電圧を高める目的で、ホウ酸、ポバール及びポリエーテルポリオール(数平均分子量が600より大きいポリエチレングリコール等)等が添加される。
【0020】
本発明の電解コンデンサ用電解液において、電解コンデンサ用電解液の重量に対する電解質[ジカルボン酸(A)、ジカルボン酸(B)及び塩基(C)の合計重量]の重量割合は、火花電圧を向上させる観点から0.5〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは10〜20重量%である。
電解コンデンサ用電解液の重量に対する前記の溶剤(D)の重量割合は、火花電圧を向上させる観点から、50〜99.5重量%であることが好ましく、更に好ましくは80〜90重量%である。
電解コンデンサ用電解液の重量に対する前記のその他添加剤の重量割合は、比電導度と電解液への溶解度の観点から、5重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2重量%である。
【0021】
前述の通り、本発明において、前記のジカルボン酸(A)と前記のジカルボン酸(B)の重量比[(A)/(B)]は、41/59〜90/10であり、低温での固化抑制の観点から好ましくは、50/50〜85/15であり、更に好ましくは70/30〜85/15である。
【0022】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、例えば、前記の酸[ジカルボン酸(A)及びジカルボン酸(B)]及び溶剤(D)並びに必要に応じてその他添加剤を、20〜150℃の温度範囲で、公知の機械的混合方法(例えばメカニカルスターラーやマグネティックスターラーを用いる方法)を用いることによって均一混合し、更に塩基(C)を滴下することで、製造することができる。
【0023】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、アルミニウム電解コンデンサ用に最適である。
アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形の電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサが挙げられる。
【0024】
本発明の電解コンデンサ用電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで密閉して本発明の電解コンデンサを構成することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0026】
製造例1 [ドデセニルコハク酸(A−1)の製造]
無水マレイン酸280部と1−ドデセン720部を混合し、50℃で3時間反応させた後、さらに、210℃で7時間反応させることでドデセニル無水コハク酸を得た。得られたドデセニル無水コハク酸に水を加え加水分解した後、酢酸エチルと水で溶媒抽出し、ドデセニルコハク酸[2−(ドデセ−2−エン−1−イル)コハク酸](A−1)を得た。(A−1)のRは、水素原子、Rは、炭素数11のアルケニル基であり、RとRの炭素数の合計は11である。
【0027】
製造例2 [オクテニルコハク酸(A−2)の製造]
製造例1の1−ドデセン720部を1−オクテン850部にした以外は同様にして、オクテニルコハク酸[2−(オクテ−2−エン−1−イル)コハク酸](A−2)を得た。(A−2)のRは、水素原子、Rは、炭素数7のアルケニル基であり、RとRの炭素数の合計は7である。
【0028】
製造例3 [ドデセニルコハク酸(A−3の製造)]
製造例1の1−ドデセンを2−ドデセンにした以外は同様にして、ドデセニルコハク酸[2−(ドデセ−3−エン−2−イル)コハク酸](A−3)を得た。(A−3)のRは、メチル基、Rは、炭素数10のアルケニル基であり、RとRの炭素数の合計は11である。
【0029】
比較製造例1 [オクタデセニルコハク酸(A’−1)の製造]
製造例1の1−ドデセン720部を1−オクタデセン600部にした以外は同様にして、オクタデセニルコハク酸[2−(オクタデセ−2−エン−1−イル)コハク酸](A’−1)を得た。(A’−1)のRとRの炭素数の合計は17であり、本発明におけるジカルボン酸(A)には該当しない。
【0030】
比較製造例2 [ドデシルコハク酸(A’−2)の製造]
製造例1で得たドデセニルコハク酸(A−1)を水添し、酢酸エチルと水で溶媒抽出し精製することで、ドデシルコハク酸(A’−2)を得た。(A’−2)はアルケニル基がなく、本発明におけるジカルボン酸(A)には該当しない。
【0031】
実施例1
ドデセニルコハク酸(A−1)とセバシン酸(B−1)とエチレングリコール(D−1)とを表1に記載した配合部数(重量部)で混合し、ジエチルアミン(C−1)を表1に記載した配合部数(重量部)滴下して、実施例1の電解コンデンサ用電解液を得た。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2〜6及び比較例1〜6
実施例1において、ドデセニルコハク酸(A−1)を表1に記載したジカルボン酸(A)に、セバシン酸(B−1)を表1に記載したジカルボン酸(B)に、ジエチルアミン(C−1)表1に記載した塩基(C)に、エチレングリコール(D−1)を表1に記載した溶剤(D)に、各配合量を表1に記載した部数(重量部)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜6の電解コンデンサ用電解液及び比較例1〜6の比較用電解コンデンサ用電解液を得た。
【0034】
実施例1〜6で得た本発明の電解コンデンサ用電解液及び比較例1〜6で得た比較用電解コンデンサ用電解液を用い、以下に示す方法で、低温(−40℃)の状態を目視で観察し、火花電圧を測定した結果を表1に記載した。
【0035】
[−40℃での電解液の状態]
電解液を透明のガラス瓶に入れ、−40℃の恒温槽で24時間放置し、−40℃の状態でガラス瓶を傾けて目視で観察し、下記の判定基準で評価した。
○:透明であり、析出物なく、傾けるとゆっくりだが流動性がある
△:析出物のため一部不透明、又は傾けても流動しない
×:全体が固化
【0036】
[火花電圧の測定(25℃及び−40℃)]
陽極に10cmの高圧用化成エッチングアルミニウム箔を用い、陰極に10cmのプレーンなアルミニウム箔を用い、25℃又は−40℃にて定電流(2mA)を負荷したときに、電圧の降下(ショート)がみられたときの電圧値を読み取って火花電圧とした。
なお、直流安定化電源として高砂製作所製のGP650−05Rを用いて測定した。
火花電圧は、この測定条件においては500V以上が好ましい。
【0037】
本発明の実施例1〜6の電解液は−40℃でも析出物もなく流動性があり、十分な火花電圧を有する。
一方、比較例1〜6の比較用電解コンデンサ用電解液は、−40℃で全体が固化した。
また、比較例6の電解液は火花電圧が極端に低い。
ジカルボン酸(A)とジカルボン酸(B)の重量比[(A)/(B)]が本発明の範囲外の比較例1及び2の比較用電解コンデンサ用電解液は、上記の通り低温特性が不良である。
また、比較製造例1又は2のジカルボン酸を用いた比較例3及び4の比較用電解コンデンサ用電解液も、上記の通り低温特性が不良である。
また、Rの炭素数が10である1,10−デカンジカルボン酸を用いた比較例5の比較用電解コンデンサ用電解液と、Rが分岐のアルキレン基である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いた比較例6の比較用電解コンデンサ用電解液も低温特性が不良である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、低温でも固化しないため寒冷地でも駆動できる電解コンデンサである。このため、屋外での用途(車載用途等)の用途として有用である。