特許第6814716号(P6814716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814716
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】実験動物用保定装置
(51)【国際特許分類】
   A61D 3/00 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   A61D3/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-198657(P2017-198657)
(22)【出願日】2017年10月12日
(65)【公開番号】特開2019-71974(P2019-71974A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2020年8月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391033137
【氏名又は名称】日本クレア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519314951
【氏名又は名称】村上 誠
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 常雄
(72)【発明者】
【氏名】前島 勝行
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第203749633(CN,U)
【文献】 特開平08−047502(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203861381(CN,U)
【文献】 特開2013−094629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通部及び間隙部を有する本体部と、
前記貫通部内部を前記本体部の長軸方向と平行に移動させ、実験動物の頭部を収納するための頭部収納部と、
前記頭部収納部を操作し且つ前記本体部に固定するためのツマミ部と、
スリットを備えた障壁部と、
を備える実験動物用保定装置であって、
前記障壁部が、前記本体部から取り外し可能であるか、又は前記本体部に開閉式として取り付けられていること
記障壁部が前記本体部に装着された状態において、前記スリットが、基台側に位置する本体部辺縁部側を始点として設けられていること、及び、
前記障壁部が、ストッパーをさらに備えること
を特徴とする、前記保定装置。
【請求項2】
前記障壁部が、前記本体部から取り外し可能な抜き差し式シャッターである、請求項1に記載の保定装置。
【請求項3】
基台を更に備える、請求項1又は2に記載の保定装置。
【請求項4】
前記基台の底に滑り止め機構を備える、請求項に記載の保定装置。
【請求項5】
マウス又はラット用である、請求項1〜のいずれか一項に記載の保定装置。
【請求項6】
実験動物の一方通行式処置に用いるための、請求項1〜のいずれか一項に記載の保定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の保定装置を用いる、マウス又はラットの一方通行式処置方法であって、
マウス又はラットを頭部から前記保定装置内に収容すること、
マウス又はラットの尾部に処置を施すこと、及び
マウス又はラットを頭部から前記保定装置より取り出すこと
を含む、マウス又はラットの一方通行式処置方法。
【請求項8】
前記処置が、尾静脈又は動脈からの採血、薬剤投与、血圧測定、又はマーキングである、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウス及びラットなどの実験動物を保定するための保定装置に関する。また、本発明は、マウス又はラットの一方通行式処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトに対する薬剤投与の影響又は効果等を知る上で有用な情報を得るため、マウス及びラットなどの実験動物を用いた動物実験が実施されている。動物実験においては、薬剤投与及び採血等の操作が尾に対してなされることが多い。実験動物の尾に対して操作又は処置をするためには、実験動物を保定する必要がある。
【0003】
一般的な実験動物用保定装置は、テールスリットを有する円筒状の本体部、本体部の長軸方向と平行に移動させ、実験動物の頭部を収納するための頭部収納部、及び頭部収納部を操作し且つ本体部に固定するためのツマミ部からなるものである(特許文献1〜3)。
【0004】
これら従来のタイプの実験動物用保定装置では、実験動物を保定装置に収納する際に、尾部をつかみ、実験動物を後ろ向き、すなわち実験動物の視界とは逆方向に引っ張ることを必要とする。換言すると、実験動物を頭部からではなく後方部を最初に本体部に収納するように取り扱わなければならない。
【0005】
実験動物を後ろ向きで取り扱うと、実験動物に過度なストレスがかかり、動物愛護の観点から好ましくない。また、このストレスにより体内の成分が変化し、実験結果に影響することも考えられる。さらに、実験動物が後ろ足を用いて本体部に収納されることを拒むことにより実験操作を円滑に進めることができない。特に、保定器内に収容する際、経験が浅い者であると動物をスムーズに収容することが困難であり、過度のストレスを与えることも懸念される。したがって、実験動物にストレスをかけず、実験動物の収納及び取り出しをスムーズに行うことができる保定装置が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開H8−47502号公報
【特許文献2】特開2005−111108号公報
【特許文献3】特開2013−94629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するもので、実験動物にストレスをかけずに保定装置への収納及び保定装置からの取り出しをスムーズに行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、実験動物にストレスをかけず、実験動物の収納及び取り出しをスムーズに行うことが可能な保定装置について鋭意研究を重ねた結果、貫通部及び間隙部を有する本体部と、貫通部内部を本体部の長軸方向と平行に移動させ、実験動物の頭部を収納するための頭部収納部と、頭部収納部を操作し且つ本体部に固定するためのツマミ部と、スリットを備えた障壁部と、を備える実験動物用保定装置であって、障壁部が、本体部から取り外し可能であるか、又は前記本体部に開閉式として取り付けられており、そして、障壁部が本体部に装着された状態において、スリットが、基台側に位置する本体部辺縁部側を始点として設けられている実験動物用保定装置により、前期課題を解決可能であることを見出した。
本発明はこうした知見に基づくものである。
【0009】
したがって、本発明は
(1)貫通部及び間隙部を有する本体部と、前記貫通部内部を前記本体部の長軸方向と平行に移動させ、実験動物の頭部を収納するための頭部収納部と、前記頭部収納部を操作し且つ前記本体部に固定するためのツマミ部と、スリットを備えた障壁部と、を備える実験動物用保定装置であって、前記障壁部が、前記本体部から取り外し可能であるか、又は前記本体部に開閉式として取り付けられていること、及び前記障壁部が前記本体部に装着された状態において、前記スリットが、基台側に位置する本体部辺縁部側を始点として設けられていることを特徴とする、前記保定装置、
(2)前記障壁部が、前記本体部から取り外し可能な抜き差し式シャッターである、(1)に記載の保定装置、
(3)前記障壁部が、ストッパーをさらに備える、(1)又は(2)に記載の保定装置、
(4)基台を更に備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の保定装置、
(5)前記基台の底に滑り止め機構を備える、(4)に記載の保定装置、
(6)マウス又はラット用である、(1)〜(5)のいずれかに記載の保定装置、
(7)実験動物の一方通行式処置に用いるための、(1)〜(6)のいずれかに記載の保定装置、
(8)マウス又はラットを頭部から保定装置内に収容すること、マウス又はラットの尾部に処置を施すこと、及びマウス又はラットを頭部から前記保定装置より取り出すことを含む、マウス又はラットの一方通行式処置方法、及び
(9)前記処置が、尾静脈又は動脈からの採血、薬剤投与、血圧測定、又はマーキングである、(8)に記載の方法
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の保定装置では、実験動物を保定装置に収納する際及び実験動物を保定装置から取り出す際のいずれの操作においても実験動物を後ろ向きに取り扱うことなく、採血及び薬剤投与などの実験動物の尾に対する操作を行うことが可能である。したがって、実験動物に過度なストレスを与えずに実験動物の尾に対する操作を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実験動物用保定装置の一態様の斜視図である。
図2】本発明の実験動物用保定装置の一態様の平面図である。
図3】本発明の実験動物用保定装置の一態様の左側面図である。
図4】本発明の実験動物用保定装置において使用される障壁部の一態様の正面図及び右側面図である。
図5】本発明の実験動物用保定装置内における頭部収納部の状態を示す図である。
図6】本発明の実験動物用保定装置において使用される本体部の一態様の斜視図である。
図7】本発明の実験動物用保定装置において使用される本体部の一態様の正面図である。
図8】本発明の実験動物用保定装置の別の態様の斜視図である。
図9】本発明の実験動物用保定装置の別の態様の平面図である。
図10】本発明の実験動物用保定装置の別の態様の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実験動物用保定装置について図面を用いて説明するが、当該図面は好ましい態様を例示するものであって、本発明の技術的思想の範囲を限定するものではない。
【0013】
図1〜3は、本発明の実験動物用保定装置の一態様を示す図である。図1〜3は、マウス用の保定装置を示している。実験動物用保定装置1は、貫通部22及び間隙部21を有する本体部2と、貫通部22内部を本体部2の長軸方向と平行に移動させ、実験動物の頭部を収納するための頭部収納部6と、頭部収納部6を操作し且つ本体部2に固定するためのツマミ部4と、スリットを備えた障壁部5とを備える。図1に示す実験動物用保定装置1は、障壁部5として抜き差し式シャッターを備える。この抜き差し式シャッターは、上下又は左右に移動させることで、本体部から容易に取り外すことができる。また、障壁部5が本体部に装着された状態において、スリットが、基台3側に位置する本体部2の辺縁部側を始点として設けられている。
【0014】
本体部2の形状は、内部に実験動物を収納できる形状であれば特に限定されず、任意の形状のものを使用することができるが、収容する際、実験動物の体に与える影響を極力軽減させるため、隙間の発生を防止するため、及び/又は頭部収納部6の挿入しやすくスムーズな操作を可能とするため、円筒状であることが好ましい。本体部2の材質は特に限定されないが、内部の実験動物を確認できるため、アクリル樹脂などの透明の材質を使用することが好ましい。
【0015】
本体部2は、内部に実験動物を収納するための貫通部22を有する(図6参照)。本発明の実験動物用保定装置1では、実験動物をこの貫通部22の一方の端部から収納し、そして他方の端部から取り出すことができる。
【0016】
本体部2は、ツマミ部4及び頭部収納部6をスライド移動させるための間隙部21を備える。間隙部21の幅は、ツマミ部4及び頭部収納部6をスライド移動させることができれば特に限定されない。本体部2は、障壁部5を挿入するための受入部23を備えることができる(図6参照)。
【0017】
本発明の実験動物用保定装置1は、実験動物の頭部を収納するための頭部収納部6を備える。頭部収納部6は、本体部2の貫通部22内を本体部2の長軸方向と平行に移動させ、頭部収納部6が実験動物の頭部に到達した地点で本体部2に固定することにより、実験動物の頭部を収納する。また、頭部収納部6は、本体部2の間隙部21の端部までスライドさせることにより、実験動物用保定装置1から容易に取り外し可能である。頭部収納部6の材質は実験動物の頭部を収納することができれば特に限定されないが、本体部2と同じ材質を使用することが好ましい。また、金属製の網又はバスケット等を使用してもよい。
【0018】
頭部収納部6は、実験動物が呼吸をするための呼吸孔61を有することが好ましい。呼吸孔の形状、大きさ、及び個数は実験動物が呼吸をすることができれば特に限定されない。
【0019】
本発明の実験動物用保定装置1は、頭部収納部6を操作し且つ本体部2に固定するためのツマミ部4を備える。頭部収納部6とツマミ部4とは図3に示すようにボルト部41で連結されている。したがって、ツマミ部4をスライド移動させることによって、本体部2の貫通部22内において頭部収納部6も共にスライド移動させることができる。
【0020】
実験動物の頭部を頭部収納部6に収納した後、ツマミ部4及び頭部収納部6を本体部2に固定する。固定後、実験動物の尾に対する操作又は処置を行う。尾に対する操作又は処置とは、例えば、注射の挿入、具体的には、尾静脈又は動脈からの採血、及び薬剤投与などが挙げられる。血圧測定及び個体識別(マーキング)などを行うこともできる。
【0021】
ツマミ部4の形状及び材質は、頭部収納部6を操作し且つ本体部2に固定することができれば特に限定されないが、好ましくは図1に示すようなネジ式を用いる。図1に示すようなネジ式頭部収納部6では、所定位置まで頭部収納部6をスライドさせた後、ネジを回転させて頭部収納部6を本体部2に固定する。
【0022】
本発明の実験動物用保定装置1は、本体部2から取り外し可能な障壁部5を備えることができる。図1では、障壁部5として、抜き差し式シャッターが図示されている。図4に示すように、障壁部5は、実験動物の尾部を通すためのスリット52を備える。また、図4に示すように、障壁部5は、ストッパー51を備えることができる。
【0023】
従来の実験動物用保定装置では、実験動物を保定装置に収納する際に、本体部に設置されているテールスリットに尾部を挿入するために、尾部を引っ張ることにより実験動物を後ろ向きに移動させていた。本発明の実験動物用保定装置は、障壁部を本体部から取り外し可能とするか、又は前記本体部に開閉式として取り付けており、さらに、スリットは、本体部に装着された状態において基台側に位置する本体部辺縁部側(図7における点線部分で囲まれた本体部の部分)を始点として設けられている。本発明の構成を採用することにより、実験動物を後ろ向きに移動させることなく、一方の本体部端部から実験動物の頭部を最初に収納しそして他方の本体部端部から実験動物の頭部を最初に取り出すという「一方通行」の移動が可能となった。この「一方通行」の移動は、換言すれば、実験動物を頭部から本体部に収容し、本体部内より頭部から取り出すタイプの方式である。実験動物は前方に進む習性を有しており、「一方通行」の移動を採用することで、実験動物の習性に逆らわない、スムーズな収納及び取り出しを行うことができる。
【0024】
障壁部が本体部から取り外し可能である場合、障壁部の形状は、本体部から容易に取り外すことができ、実験動物の尾部を通すためのスリットを有し、且つ実験動物を保定することができれば特に限定されない。例えば、図1に示すような、本体部に設けた受入部に抜き差しするシャッター式障壁部が挙げられる。また、本体部の一端の全体を覆い、そして本体部の外面に固定するような外嵌合式障壁部が挙げられる。また、貫通部内部に嵌め込むことにより固定するような内嵌合式障壁部が挙げられる。
【0025】
障壁部として抜き差し式シャッターを採用する利点としては、以下が挙げられる。
1.実験動物を収納した際に、実験動物が暴れた場合に又はツマミ部を強く押し過ぎた場合においても開くことがなく、実験動物が脱走することを防止することができる。
2.本体部に受入部を設けるのみでよく、加工が容易である。
【0026】
本発明の実験動物用保定装置に含まれる障壁部は、本体部に取り付けられた開閉式のものであってもよい (図示せず)。この場合、障壁部の形状は、実験動物の尾部を通すためのスリットを有し、且つ実験動物を保定することができれば特に限定されない。例えば、中央から左右に開くような観音開き式、本体部端部の一か所に蝶番を用いて取り付けられた蝶番方式等が挙げられる。障壁部を本体部に固定するための手段は、クリップ等の当業者に公知の手段を用いることができる。
【0027】
障壁部の材質は、特に限定されず、ステンレス又はアルミ等の金属、及びプラスチック等の樹脂などの公知の材料を使用することができる。
【0028】
スリットは、実験動物の尾部を通すために障壁部に設けられる。スリットは、障壁部が本体部に装着された状態において、基台側に位置する本体部辺縁部側を始点として設けられている。スリットの形状は、実験動物の尾部を通すことができ、且つ実験動物を保定することができれば特に限定されないが、略楕円状又は略長方形状が好ましい。スリットは、基台側に位置する本体部辺縁部側を始点として、逆側の辺縁部まで伸ばすこともできるが、強度及び加工しやすさの観点から伸ばさないことが好ましい。また、途中からスリットの幅が狭く又は広くなってもよい。スリットは、1つのみでもよく、2つ以上設けてもよい。
【0029】
本発明の実験動物用保定装置1は、基台3を有することができる。本発明の実験動物用保定装置1は、基台3により自立することができる。基台3の形状は、本発明の実験動物用保定装置1を自立させることができる形状であれば特に限定されず、任意の形状のものを使用することができるが、安定性の観点からプレート状が好ましい。基台3の材質は特に限定されないが、本体部2と同じ材質を使用することが好ましい。
【0030】
本体部2は、基台3に固定されることができる。本体部2を基台3に対して固定するための手段としては、溶接、ろう付け、ネジ止め、接着、圧入等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
基台3は、好ましくは滑り止め機構を有する。滑り止め機構を有することにより、実験机等からの落下による破損を防止することができる。滑り止め機構は、本発明の実験動物用保定装置が滑ることを防止することができれば特に限定されないが、滑り止めマット等を基台3の底部に設置することが好ましい。
【0032】
図4は、本発明の実験動物用保定装置に含まれる障壁部の一態様である抜き差し式シャッターを示している。抜き差し式シャッターは、ストッパーを備えることができる。ストッパーは、障壁部を本体部に対して固定し、実験動物が暴れることにより、障壁部が振動すること又は本体部から脱離することを防止する。ストッパーの種類は、障壁部を本体部に対して固定できるものであれば限定されるものではなく、突起又はクリップなどを例示することができる。図4に示されるストッパーは突起部の形式であり、この突起部が本体部の間隙部に嵌合することにより、障壁部を本体部に対して固定する。
【0033】
図5は、本発明の実験動物用保定装置内の頭部収納部を示している。頭部収納部の形状は、実験動物の頭部を収納することができれば特に限定されないが、略円筒状又は略半球状であることが好ましい。頭部収納部は、実験動物の頭部を収納するための凹部を備えることができる。
【0034】
図6及び図7は、それぞれ、本発明の実験動物用保定装置において使用される本体部の一態様の斜視図及び正面図を示す。図7において破線に囲まれている部分は、基台側に位置する本体部辺縁部側であり、障壁部のスリットは、この基台側に位置する本体部辺縁部側を始点とする。障壁部のスリットは、好ましくは、貫通部中心221を中心として、間隙部から90度〜270度回転した位置に相当する本体部辺縁部側を、より好ましくは、間隙部から135度〜225度回転した位置に相当する本体部辺縁部側を、さらに好ましくは、間隙部から150度〜210度回転した位置に相当する本体部辺縁部側を始点とする。最も好ましくは、障壁部のスリットは、間隙部から略180度対向する本体部辺縁部側を始点とする。
【0035】
図8〜10は、ラット用保定装置を示す。各部の詳細は、マウス用保定装置と同様である。
【0036】
本明細書において実験動物とは、動物実験に用いられる、長尾を有する小型の動物、例えば、マウス及びラットを意味する。実験動物を動物実験用ではなく愛玩用として飼育しており治療を施す場合にも、本発明の保定装置を用いることができる。
【0037】
本発明の実験動物用保定装置の寸法は、本体部の長手軸方向の長さとして、5〜30cmが好ましく、8〜25cmがさらに好ましい。本発明の実験動物用保定装置がラット用である場合、その寸法は、本体部の長手軸方向の長さとして、5〜15cmが好ましく、8〜12cmがさらに好ましい。本発明の実験動物用保定装置がラット用である場合、その寸法は、本体部の長手軸方向の長さとして、10〜30cmが好ましく、15〜25cmがさらに好ましい。
【0038】
(操作方法)
本発明の実験動物用保定装置は、以下の手順で使用することができる。以下の手順は尾静脈からの採血手順の例示だが、尾静脈以外からの採血及び麻酔等の薬剤の投与等においても本発明の実験動物用保定装置が使用可能であることは言うまでもない。
(1)本体部2にツマミ部4及び頭部収納部6を取り付ける
(2)実験動物を頭部より本体部2の貫通部22内に収納する
(3)障壁部5をセットし、実験動物が脱走しないようにする
(4)ツマミ部4及び頭部収納部6をスライドさせ、実験動物を保定する
(5)スリット52から出ている尾部の尾静脈から採血する
(6)採血が終了したら、本体部2からツマミ部4及び頭部収納部6を外す
(7)実験動物を頭部より収納した側と反対側の本体部2の端部から出す
【符号の説明】
【0039】
1 実験動物用保定装置
2 本体部
3 基台
4 ツマミ部
5 障壁部
6 頭部収納部
21 間隙部
22 貫通部
23 受入部
41 ボルト部
51 ストッパー
52 スリット
61 呼吸孔
221 貫通部中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10