特許第6814720号(P6814720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6814720-転圧車両の転圧ドラム 図000002
  • 特許6814720-転圧車両の転圧ドラム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814720
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】転圧車両の転圧ドラム
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/26 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   E01C19/26
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-222758(P2017-222758)
(22)【出願日】2017年11月20日
(65)【公開番号】特開2019-94633(P2019-94633A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】菅嶋 進弥
(72)【発明者】
【氏名】竹内 裕樹
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−036405(JP,U)
【文献】 特開2004−232224(JP,A)
【文献】 実開昭60−027106(JP,U)
【文献】 特開平09−019768(JP,A)
【文献】 特開2008−138443(JP,A)
【文献】 特開2013−234421(JP,A)
【文献】 特開2013−014984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0054471(US,A1)
【文献】 実開昭52−52307(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C1/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外二重に配設された内輪及び外輪の両側がそれぞれ内周側壁および外周側壁により閉塞されて、前記内輪と前記外輪との間に溶接構造により気密保持された内部室が画成されると共に、前記内輪の内周側に機構室が画成されたドラム本体と、
前記機構室を気密保持し、且つ前記ドラム本体を車体側から支持して回転駆動可能なように、前記機構室に組み付けられた支持・駆動機構と
を備えた転圧車両の転圧ドラムにおいて、
前記内輪には、前記内部室と前記機構室とを連通させるガス抜き孔が貫設されるとともに、前記内周側壁には、前記機構室と外部とを連通するように前記ドラム本体の回転軸線を中心としてフランジ孔が貫設され、
前記フランジ孔には、前記支持・駆動機構が嵌合されることを特徴とする転圧車両の転圧ドラム。
【請求項2】
前記支持・駆動機構は、
前記機構室の一側に組み付けられ、該一側を閉塞して前記車体側から支持する軸受部材と、
前記機構室の他側に組み付けられ、該他側を閉塞して前記車体側から支持して回転駆動する油圧モータとから構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両の転圧ドラム。
【請求項3】
前記転圧車両は、マカダムローラであり、
前記転圧ドラムは、前記マカダムローラの後部転圧ドラムである
ことを特徴とする請求項1に記載の転圧車両の転圧ドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転圧車両の転圧ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばマカダムローラは、走行輪を兼ねた前2輪、後1輪の転圧ドラムを備えており、各転圧ドラムを回転駆動して走行しながら路面の締固め作業を実施している。例えば特許文献1に記載のマカダムローラの転圧ドラムは、内外二重に配設された内輪及び外輪の左右両側をそれぞれ側壁により閉塞し、内輪の内周側に画成された機構室には油圧モータを組み付け、この油圧モータを介して車体側から転圧ローラを支持しながら回転駆動するようになっている。
【0003】
内輪と外輪との間には左右側壁の閉塞により内部室が画成され、この内部室は内部への水等の侵入に起因する腐食防止のために溶接構造により気密保持されている。特許文献1の技術では、路面に対する転圧力を増加させるために内部室を利用しており、その内部に水を注入して車両の自重を増加させることが可能となっている。このため、転圧ドラムの一方の側壁には内部に水を注入可能な注水孔が貫設され、通常時はプラグが装着されて封止されている。
【0004】
ところで、溶接構造の転圧ドラムを製作する際にはガス抜き対策が必要になる。具体的に述べると、内輪及び外輪の左右端縁に対して側壁が連続的に溶接されることにより、最終的に密閉された内部室が画成されるのであるが、このときアークによる溶融箇所ではガスが生じ、内部室内では溶接熱により空気が膨張する。これらの溶接ガス及び空気は未だ溶接されていない隙間を経て溶接中に常に外部に吹き出し、溶融金属に悪影響を与えてブローホールや溶接欠陥の要因になり得る。特許文献1の技術では、側壁のプラグを取り外して溶接を実施することにより、溶接ガスや空気を注水孔から外部に逃がして上記不具合を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−138443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の転圧ドラムのような注水機能は全ての転圧車両に要望されるものではなく、そのような転圧車両では、コスト低減のために注水孔及びプラグが廃止される。しかしながら、溶接時のガス抜き対策は必要なため、注水孔に代えて転圧ローラの側壁にガス抜き孔を貫設し、溶接作業の完了後にガス抜き孔に鉄片を溶接して封止している。
【0007】
結果として、注水孔及びプラグの廃止により得られたコスト低減の大半は、ガス抜き孔の加工及び鉄片の溶接を実施することで相殺されるため、コスト的なメリットがほとんど得られない。また、転圧ローラの側壁にパッチを当てたような鉄片が露出するため、転圧車両の美観低下の要因になるという問題も生じた。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、溶接構造の転圧ドラムを製作する際のガス抜き対策を講じた上で、製造コストを低減できると共に良好な車両の美観を保つことができる転圧車両の転圧ドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、内外二重に配設された内輪及び外輪の両側がそれぞれ内周側壁および外周側壁により閉塞されて、前記内輪と前記外輪との間に溶接構造により気密保持された内部室が画成されると共に、前記内輪の内周側に機構室が画成されたドラム本体と、前記機構室を気密保持し、且つ前記ドラム本体を車体側から支持して回転駆動可能なように、前記機構室に組み付けられた支持・駆動機構とを備えた転圧車両の転圧ドラムにおいて、前記内輪には、前記内部室と前記機構室とを連通させるガス抜き孔が貫設されるとともに、前記内周側壁には、前記機構室と外部とを連通するように前記ドラム本体の回転軸線を中心としてフランジ孔が貫設され、前記フランジ孔には、前記支持・駆動機構が嵌合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の転圧車両の転圧ドラムによれば、溶接構造の転圧ドラムを製作する際のガス抜き対策を講じた上で、製造コストを低減できると共に良好な車両の美観を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のマカダムローラを示す側面図である。
図2】後部転圧ドラムを示す図1のII-II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をマカダムローラの後部転圧ドラムに具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のマカダムローラを示す側面図である。以下の説明では、車両を基準として前後方向及び左右方向を表現する。
【0013】
マカダムローラ1(以下、車両と称することもある)の車体は、左右一対の前部転圧ドラム2を備えた前部車体4と1つの後部転圧ドラム3(転圧ドラム)を備えた後部車体5とにより構成されている。これらの車体4,5はアーティキュレート機構6を介して連結されており、前部車体4に設けられた図示しない操舵シリンダの駆動により、アーティキュレート機構6を中心として前部及び後部車体4,5が水平方向に屈曲することで車両1が旋回するようになっている。
【0014】
前部転圧ドラム2は前部車体4の左右に配設されて回転可能に支持されると共に、それぞれ図示しない油圧モータにより回転駆動されるようになっている。また、後部車体5からは左右一対の支持アーム5aが後方に延設され、それらの支持アーム5aの間に後部転圧ドラム3が配設されている。後部転圧ドラム3は左右の支持アーム5aから支持されると共に油圧モータ23で回転駆動されるが、その詳細については後述する。
【0015】
前部車体4上にはステアリング10を備えた操作台11が設置され、操作台11の後側にはステアリング10に対応して運転席12が設置されている。なお、締固め作業中にオペレータが左右の転圧際を容易に視認可能なように、図示はしないが、ステアリング10及び運転席12は左右一対設けられている。マカダムローラ1に搭乗して何れかの運転席12に着座したオペレータは、ステアリング10及び操作台11の前後進レバー13や足下の図示しないブレーキペダルなどを操作し、その操作に応じて車両1の走行や操舵などが行われる。
【0016】
後部車体5上には水を貯留した貯水タンク15が設置され、図示はしないが前部及び後部転圧ドラム2,3の近接位置には散水ノズルが配設され、各散水ノズルは配管及び散水ポンプを介して貯水タンク15に接続されている。締め固め作業時には前部及び後部転圧ドラム2,3への舗装材の付着防止を目的として、貯水タンク15内の水が散水ポンプにより各散水ノズルに供給されて前部及び後部転圧ドラム2,3へと散水される。
【0017】
図2は後部転圧ドラム3を示す図1のII-II線断面図であり、以下、同図に基づき後部転圧ドラム3の構成を説明する。
後部転圧ドラム3は、鋼板材料による溶接構造からなるドラム本体21、及びその内部(後述する機構室30内)に組み付けられる軸受部材22(支持・駆動機構)や油圧モータ23(支持・駆動機構)等から構成されている。
【0018】
ドラム本体21の内輪24及び外輪25は径違いの円筒状をなし、後部転圧ドラム3の回転軸線Lを中心として内外二重に配設されている。内輪24及び外輪25の左右両側には平板環状をなす外周側壁26(側壁)がそれぞれ配設され、これらの外周側壁26により内輪24と外輪25との間が閉塞されて環状の内部室27が画成されている。
各外周側壁26の内周縁はそれぞれ内輪24の外周面に当接して連続的に溶接され、外周縁はそれぞれ外輪25の内周面に当接して連続的に溶接されている。結果として各溶接箇所には全周に亘る溶接ビード28が形成され、このような溶接構造により内部室27は外部から気密保持されている。
【0019】
内輪24の内部には円盤状をなす左右一対の内周側壁29が配設され、これらの内周側壁29により内輪24の内周側に機構室30が画成されている。各内周側壁29の外周縁はそれぞれ内輪24の内周面に当接して連続的に溶接され、結果として各溶接箇所には全周に亘る溶接ビード31が形成されている。この点は、内部室27の溶接構造と同様である。
【0020】
機構室30には軸受部材22及び油圧モータ23が組み付けられ、これらの部材22,23によりドラム本体21が後部車体5側から支持されると共に、油圧モータ23により回転駆動されるようになっている。
【0021】
詳しく述べると、軸受部材22及び油圧モータ23の組付のために、左右の内周側壁29にはそれぞれ回転軸線Lを中心としてフランジ孔29aが貫設されると共に、その周囲に複数の雌ネジ部29bが形成されている。左側の内周側壁29(機構室の一側)のフランジ孔29aには軸受部材22がインローにより嵌合し、右側の内周側壁29(機構室の他側)のフランジ孔29aには油圧モータ23がインローにより嵌合し、それぞれ雌ネジ部29bに螺合したボルト32により内周側壁29に締結されている。
【0022】
インロー箇所の接合面、具体的には、各フランジ孔29aの内周面及びその周辺の外側面は芯出しのために予め機械加工されているため、各フランジ孔29aは軸受部材22及び油圧モータ23により完全に閉塞されている。なお、油圧モータ23の設置スペースを確保するために、右側の内周側壁29は内輪24の若干奥まった位置に配置されている。
【0023】
そして、軸受部材22は後部車体5の左側の支持アーム5aに連結され、油圧モータ23は後部車体5の右側の支持アーム5aに連結されており、これにより、上記のようなドラム本体21の支持及び油圧モータ23による駆動がなされる。
【0024】
ところで、以上のような溶接構造のドラム本体21を製作する際には、ガス抜き対策が必要である。このため[発明が解決しようとする課題]で述べたように、従来からドラム本体の側壁にガス抜き孔を貫設し、溶接作業の完了後にガス抜き孔に鉄片を溶接して封止しているが、コスト的に不利な上に転圧車両の美観を低下させる要因にもなる。
【0025】
このような不具合を鑑みて本発明者は、軸受部材22及び油圧モータ23の組付前(ドラム本体21の溶接時も含む)と組付後とで、機構室30の外部に対する連通状態が変化する点に着目した。
即ち、軸受部材22及び油圧モータ23の組付前の機構室30は、各内周側壁29のフランジ孔29aを介して外部と連通している。これに対して組付後には、各フランジ孔29aが軸受部材22及び油圧モータ23により完全に閉塞され、且つ上記のように各内周側壁29の外周縁も内輪24の内周面に対し全周を溶接されているため、機構室30が外部から気密保持される。
【0026】
そして、軸受部材22及び油圧モータ23の組付は、溶接作業によりドラム本体21を完成させた後に実施される。このため、仮に内部室27と機構室30とが連通している場合には、組付前の内部室27は機構室30を介して外部と連通してガス抜き機能が奏され、組付後の内部室27は機構室30とは連通し続けるものの、外部に対しては遮断されて気密保持されることになる。
【0027】
このような知見の下に本実施形態では、内部室27と機構室30とを区画している内輪24にガス抜き孔33を貫設している。本実施形態では、内輪24の車幅方向の中央の1箇所に内径12mmのガス抜き孔33を形成しており、このガス抜き孔33を介して内部室27と機構室30とが互いに連通されている。
ガス抜き孔33を小径且つ1つとしているのは、溶接時に発生するガスの排出のためには大きな開口面積は不要であり、また不必要に大きな開口面積はドラム本体21の剛性低下の要因になる点を配慮した結果である。但し、これに限るものではなく、その径や数を任意に変更してもよい。
【0028】
次に、以上のように構成された後部転圧ドラム3の製作手順を説明する。
まず、ドラム本体21を構成する各パーツを製作する。具体的には、内輪24及び外輪25を径違いの円筒状に成形し、外周側壁26を平板環状に成形し、内周側壁29をフランジ孔29aを有する円盤状に成形する。この時点で、既に内輪24にはガス抜き孔33が貫設されている。
【0029】
次いで、これらのパーツを互いに溶接して溶接構造のドラム本体21を完成させる。各パーツの溶接順序は限定されないが、溶接作業の何れかの時点で内部室27が画成される。
例えば、内輪24と外周側壁26とを先に溶接した場合には、外周側壁26の外周側に外輪25を配置して、外周側壁26の外周縁と外輪25の内周面とを溶接する時点で内部室27が画成される。逆に外輪25と外周側壁26とを先に溶接した場合には、外周側壁26の内周側に内輪24を配置して、外周側壁26の内周縁と内輪24の外周面とを溶接する時点で内部室27が画成される。
【0030】
何れの場合も、溶接ビード28により完全に気密保持されてはいないものの、内部室27が既に画成されている。このため、仮に特許文献1の注水孔或いは従来技術のガス抜き孔33が無いとすると、内部室27の内外の連通箇所は溶接予定の僅かな隙間だけとなり、この隙間を経て溶接ガスや膨張した空気が外部に吹き出して溶融金属に悪影響を与えてしまう。
【0031】
しかし本実施形態では、これらの溶接ガスや空気が内部室27内から内輪24のガス抜き孔33を経て機構室30に逃がされ、さらにフランジ孔29aを経て外部に逃がされるため、溶接予定の隙間を経て吹き出す溶接ガスや空気が激減する。よって、これらの溶接ガスや空気による溶融金属への悪影響が抑制され、ブローホールや溶接欠陥の発生を未然に防止することができる。
【0032】
このようにして溶接作業が完了してドラム本体21が完成すると、各内周側壁29のインロー箇所の接合面(フランジ孔29aの内周面及びその周辺)を機械加工すると共に雌ネジ部29bを形成し、その後に軸受部材22及び油圧モータ23を組み付ける。組付後の各フランジ孔29aは軸受部材22及び油圧モータ23により完全に閉塞され、且つ各内周側壁29の外周縁も内輪24の内周面に対し全周を溶接されているため、機構室30は外部から気密保持される。
【0033】
内部室27を主体として表現すれば、組付前の内部室27はガス抜き孔33、機構室30及びフランジ孔29aを介して外部と連通することにより、上記のような外部へのガス抜き機能を奏するが、組付後の内部室27はガス抜き孔33を介して機構室30とは連通し続けるものの、フランジ孔29aの閉塞により外部に対しては遮断されて気密保持される。従って、マカダムローラ1の稼働中に内部室27や機構室30の内部に水等が侵入する事態が未然に防止される。
【0034】
そして以上の説明から判るように、特許文献1の注水孔はプラグの装着による封止を要し、従来技術のガス抜き孔33は鉄片の溶接による封止を要するのに対し、本実施形態のガス抜き孔33は封止を必要としない。開口状態のままであっても、軸受部材22及び油圧モータ23を組み付けた時点で間接的に封止されるためである。従って、プラグを製作する手間或いは鉄片の溶接作業を省略でき、内輪24にガス抜き孔33を貫設するだけの極めて簡単な作業により実施可能なことから、その製造コストを大幅に低減することができる。
【0035】
また、特許文献1のプラグや従来技術の鉄片が転圧ローラの側壁に露出したままであるのに対し、本実施形態のガス抜き孔33は、軸受部材22及び油圧モータ23の組付後に自ずと外部から隠蔽される。このため、後部転圧ドラム3の外周側壁26は、見栄えの悪いプラグや鉄片のない平坦状をなし、良好なマカダムローラ1の美観を保つことができる。
【0036】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態ではマカダムローラ1の後部転圧ドラム3に具体化したが、これに限定されるものではなく、例えば、振動ローラやコンバインドローラの転圧ドラムに適用してもよい。
また転圧車両の中には、転圧ドラムの内部に加振用の起振装置を内蔵した車両も存在するが、このような起振装置を内蔵した転圧ドラムに対しても本発明は適用可能である。
また上記実施形態では、後部車体5から左右両側を支持された後部転圧ドラム3に適用したが、片持ち支持された転圧ドラムに適用してもよい。例えばマカダムローラ1の左側の前部転圧ドラム2は、図2の軸受部材22を省略して油圧モータ23(支持・駆動機構)を介して片持ち支持された構成を採っている。しかし、このような構成であっても左側の内周隔壁29にフランジ孔29a等が形成されておらず、油圧モータ23の組付後に機構室30が気密保持されるものであれば、内輪24にガス抜き孔33を形成することにより上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0037】
1 マカダムローラ(転圧車両)
3 後部転圧ドラム(転圧ドラム)
21 ドラム本体
22 軸受部材(支持・駆動機構)
23 油圧モータ(支持・駆動機構)
24 内輪
25 外輪
26 外周側
7 内部室
29 内周側壁(機構室の一側、機構室の他側)
29a フランジ孔
30 機構室
33 ガス抜き孔
図1
図2