特許第6814746号(P6814746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6814746医療用アブレーションデバイスおよび使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814746
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】医療用アブレーションデバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-556584(P2017-556584)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-514302(P2018-514302A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】US2016025509
(87)【国際公開番号】WO2016175980
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年3月20日
(31)【優先権主張番号】62/154,595
(32)【優先日】2015年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517346635
【氏名又は名称】シーラス テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トルッカイ, チャバ
(72)【発明者】
【氏名】オルツィ−ティムコ, ベネデック
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−519439(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0303611(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0296847(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0178670(US,A1)
【文献】 米国特許第5662647(US,A)
【文献】 特表2001−510067(JP,A)
【文献】 米国特許第6032673(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科手術用デバイスであって、
伸長シャフトであって、前記伸長シャフトは、軸を有し、かつ、前記伸長シャフトの遠位部分において窓を有する、伸長シャフトと、
前記窓の両側間の弧内で往復して回転振動するように構成されたワイヤ状の電極であって、前記ワイヤ状の電極は、各回転弧の終了時、剪断運動において前記窓の両側を越えて掃引するように構成されている、ワイヤ状の電極と、
前記窓内に受容された組織を切断するために前記ワイヤ状の電極を回転振動させるように前記ワイヤ状の電極に動作可能に接続されたモータと
を備える、電気外科手術用デバイス。
【請求項2】
前記遠位部分は、セラミック材料を含む、請求項1に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項3】
前記弧は、60〜210に及ぶ、請求項1または請求項2に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項4】
前記弧は、90〜180に及ぶ、請求項3に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項5】
前記電極は、1サイクル/秒〜50サイクル/秒のレートにおける往復サイクルで回転振動される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、電極振動レートの調節を可能にするように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項7】
前記デバイスは、1つの方向では第1のレートで、別の方向では第2のレートで、回転振動するように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項8】
前記電極に動作可能に結合されるように構成されたRF源と、前記伸長シャフト内の内部通路と連通するように構成された負圧源と、前記RF源および前記負圧源を制御するように構成されたコントローラとをさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項9】
前記コントローラは、(1)前記RF源および前記負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したモータ動作パラメータと、(2)前記モータ動作パラメータおよび前記負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したRFパラメータと、(3)前記モータ動作パラメータおよび前記RF源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答した負圧パラメータとのうちの少なくとも1つを調節するようにさらに構成されており、前記コントローラは、前記窓に対して選択された位置において回転を停止するように構成されており、前記コントローラは、前記電極が停止位置にあるとき、凝固RFエネルギーを組織に送達するように構成されている、請求項8に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項10】
前記ワイヤ状の電極を前記モータに動作可能に結合する回転可能な駆動シャフトをさらに備え、前記シャフトは、回転抵抗を吸収する衝撃吸収機構を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項11】
前記伸長シャフトは、引張ワイヤによって関節運動されるように構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項12】
前記ワイヤ状の電極は、前記窓に対して軸方向に移動されるように構成されている、請求項1に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項13】
前記ワイヤ状の電極は、フック形状を有する、請求項1に記載の電気外科手術用デバイス。
【請求項14】
前記伸長シャフトは、チャネルを有し、前記チャネルは、流体を前記シャフトの遠位部分に送達するために流体に除去可能に接続されるように構成されている、請求項1に記載の電気外科手術用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2015年4月29日に出願された仮出願第62/154,595号(代理人管理番号48428−704.101)からの優先権を主張するものであり、該仮出願の全開示は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
(1.発明の分野)
本発明は、エネルギーを組織に印加するための医療器具およびシステムに関し、より具体的には、内視鏡下手技において組織を切断および抽出するために適合される電気外科手術用デバイスに関する。
【0003】
高周波(RF)エネルギー、レーザエネルギー、および同等物を利用する、種々のタイプの医療器具が、熱エネルギーを組織に送達し、例えば、組織をアブレーションし、組織を切断するために開発されている。関節鏡下および他の内視鏡下電気外科手術用ツールは、多くの場合、異なる構成の治療電極を備え、ツールは、随意に、特定の低侵襲性手技を行うために、潅注および/または吸引ツールと組み合わせられてもよい。多くの場合、電極の性質は、特定のツールの使用を限定し、ツールは、異なるタスクを行うために、手技の間、交換されなければならない。
【0004】
これらの理由から、ツールが、異なるタスクを行うために、手技の間に再構成されることを可能にする、電気外科手術用ツールのための新しくかつ異なる設計を提供することが望ましいであろう。これらの目的のうちの少なくともいくつかは、以下に説明される本発明によって満たされるであろう。
【背景技術】
【0005】
(2.背景技術)
本願の開示は、出願第13/857,068号のものに類似する。関連特許および刊行物は、米国第5,622,647号、米国第5,672,174号、および米国第7,824,398号を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許5,622,647号明細書
【特許文献2】米国特許第5,672,174号明細書
【特許文献3】米国特許第7,824,398号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面では、電気外科手術用デバイスは、軸とともに、軸に沿ってシャフトの遠位端内の開口部まで延在する内部チャネルを有する、伸長シャフト、典型的には、管状シャフトを備える。チャネルは、負圧源に結合されるように構成され、フック形状の遠位部分を伴う電極は、シャフトに結合され、電極の遠位先端が開口部の周縁に配置される第1の位置と、遠位先端が開口部を越えて遠位に延在する第2の位置との間で移動可能である。電極の遠位部分が第1の位置にある状態では、ツールは、軟骨等の組織の表面アブレーションのために特に有用である。電極の遠位部分が第2の位置にある状態では、ツールは、組織構造を切断するために特に有用である。一用途では、フック形状の電極は、緊密な皮膜構造、例えば、膝蓋骨の外側または側方側面上の側方膝蓋支帯を解離するための関節鏡下手技である、側方解離術において使用されることができる。そのような手技は、膝蓋骨が外側(側方)側面にわたって引動され、膝が屈曲および直線化するにつれて、大腿骨の溝内で適切に移動することが不可能であることに関連する疼痛に起因して行われる。
【0008】
本発明の第2の側面では、電気外科手術用デバイスは、軸に沿って延在し、作業端内の周縁を伴う開口部まで延在する内部チャネルを伴う、典型的には管状である、伸長シャフトを備える。チャネルは、負圧源に結合されるように適合される。伝導性部分を有し、近位端および遠位端を伴う、移動可能電極は、伝導性部分の遠位端が、電極が近位後退位置にあるとき、開口部の周縁に近接して位置し、電極の遠位端が、電極が遠位延在位置にあるとき、周縁を越えて遠位に延在するように、シャフトに結合される。電極の伝導性部分が第1の位置にある状態では、ツールは、組織の表面アブレーションおよび焼灼のために特に有用である。電極の伝導性部分が第2の位置にある状態では、ツールは、組織構造を捕捉および切断するために特に有用である。
【0009】
通常、両側面において、電気外科手術用デバイスの電極は、第1の位置と第2の位置との間で軸方向に平行移動するように搭載される。別の変形例では、電極は、第1の位置と第2の位置との間で軸を中心として回転するように搭載される。別の変形例では、電気外科手術用デバイスの電極は、第1の位置と第2の位置との間で、軸方向に平行移動するようにおよび/または軸を中心として回転するように搭載される。
【0010】
具体的実施形態では、電気外科手術用デバイスはさらに、それを通る流体流動を制御するために、内部チャネル内に弁を備えてもよい。電気外科手術用シャフトの外部は、第2の電極を備えてもよい。電気外科手術用デバイスはさらに、電極に結合される回転子を備えてもよく、回転子は、軸方向に平行移動されるにつれて、電極を回転させる。電気外科手術用デバイスの開口部は、シャフトの軸に対して角度付けられた平面を画定してもよく、電極のフック形状の部分は、電極が第1の位置にあるとき、フック部分の背面が平面の上方に外向きに延在するように転向されてもよい。電気外科手術用デバイスはなおもさらに、温度センサおよび/またはインピーダンス感知電極をシャフトの遠位端の近傍に備えてもよい。センサの代替として、またはそれに加えて、電気外科手術用デバイスはさらに、治療部位における膨張流体の過熱を阻止または防止するために、温度応答電流制限要素を電極と直列に備えてもよい。
【0011】
第1の具体的実施形態では、電気外科手術用デバイスの伸長シャフトは、軸に沿って延在し、窓をその遠位部分内に有する、セラミックまたは他の管状本体を備える。電極は、窓の両側間の弧内で往復して回転する、すなわち、シャフトの軸を中心として回転振動するように構成される、ワイヤ状電極を備える。モータは、ワイヤ状電極に動作可能に接続され、ワイヤ状電極を回転または回転振動させ、窓内に受容された組織を切断する。振動弧は、典型的には、10°〜210°の範囲内、多くの場合、20°〜180°の範囲内であろう。振動サイクルは、1〜100CPS(Hz)の範囲内、典型的には、5〜50CPSであってもよい。振動レートは、典型的には、調節可能であって、本発明の装置は、そのような調節をもたらすための機構を含んでもよく、および/またはモータ速度は、制御可能であってもよい。特定の実施形態では、本デバイスは、第1の回転方向では第1の電極回転レート、第2の反対回転方向では第2の電極回転レートを提供する、機構を含む。
【0012】
付加的実施形態では、電気外科手術用デバイスは、高周波(RF)源に接続され、ワイヤ状電極をRF源に結合するように構成されるであろう。加えて、シャフトの内部通路は、負圧源と連通するように接続され、切り取られた組織を通路から除去することに役立ってもよい。
【0013】
ある実施形態では、電気外科手術用デバイスのワイヤ状電極は、各振動弧の終了時、窓の両側に当接するように構成されてもよい。代替として、電極は、各振動サイクルの終了時、剪断運動において窓の両側を越えて移動するように構成されてもよい。電気外科手術用デバイスはさらに、ワイヤ状電極をモータに動作可能に結合する回転可能駆動シャフトを備えてもよく、該シャフトは、衝撃吸収機構を含み、回転抵抗を吸収する。
【0014】
他の具体的実施形態では、伸長シャフトは、1つの引張ワイヤによって作動され、使用の間、切断端の操向を可能にするように構成される、関節運動式シャフトを備えてもよい。随意に、ワイヤ状電極は、窓に対して軸方向に移動されるように構成されてもよい(振動運動に加え)。加えて、ワイヤ状電極は、典型的には、フック形状を有し、伸長シャフトは、通常、流体に除去可能に接続され、流体をシャフトの遠位部分に送達するように構成されるチャネルを有するであろう。
【0015】
第2の具体的実施形態では、電気外科手術用デバイスは、縦軸端部および窓をその中に伴うセラミック本体から成る遠位作業端を伴う、伸長シャフトを備える。ワイヤ状電極は、窓に近接して搭載され、窓の両側間の弧内で往復して回転振動し、窓によって受容された組織を切断するように構成される。モータが、ワイヤ状電極を振動させ、負圧源が、窓と連通するシャフト内の通路に結合される。特定の実施形態では、窓は、伸長シャフトの縦軸に対して垂直または鋭角(45°を上回る、随意に、60oを上回る)に対面または配向されるであろう。随意に、伸長シャフトの遠位作業端は、関節運動式(操向可能)作業端を提供するように構成されてもよい。
【0016】
第2の実施形態の具体的側面では、シャフトの関節運動式作業端は、少なくとも1つの引張ワイヤによって作動されるスロット付き管を備えてもよい。高周波(RF)電流源が、電極に動作可能に結合されてもよく、伸長シャフトは、典型的には、流体源に接続され、流体を作業端内の開放ポートを通して送達するように構成されるチャネルを有するであろう。
【0017】
本発明によるシステムは、フィードバック信号に基づいて、モータ動作パラメータ、RF源、負圧源、および流体源のうちの少なくとも1つを制御するように適合されるコントローラを含んでもよい。フィードバック信号は、モータ、RF源、負圧源、および流体源のうちの少なくとも1つからの動作パラメータの感知に応答して、コントローラによって提供されてもよい。多くの実施形態では、コントローラは、(1)RF源および負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したモータ動作パラメータと、(2)モータ動作パラメータおよび負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したRFパラメータと、(3)モータ動作パラメータおよびRF源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答した負圧パラメータとのうちの少なくとも1つを調節するように構成されるであろう。電極は、第1の位置と第2の位置との間で軸方向に平行移動するように構成されてもよく、電極は、通常、フック形状を有する。
【0018】
第3の具体的実施形態では、組織を切除するための方法は、典型的には、管状または他のセラミック本体を備え、窓およびモータ駆動式電極を有する、作業端を伴う伸長シャフトを提供するステップを含む。電極は、窓の両側間の弧内で往復して振動される。作業端は、組織に対して係合され、組織のある体積を窓を通して通過させ、RF源が、RF電流を電極に送達し、窓を通して受容された組織を切断する。切除された組織は、伸長シャフト内の通路の中に通過する。
【0019】
本発明の方法の特定の側面では、伸長シャフト内の内部通路と連通する負圧源が、切断された組織を伸長シャフト内の内部通路を通して作業端から抽出するように作動されてもよい。組織は、随意に、流体源から作業端に伸長シャフト内の流動チャネルを通して組織に送達され得る、液体中に浸漬されてもよい。代替として、組織は、組織を切除する間、ガス環境内に存在するように維持されてもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
電気外科手術用デバイスであって、
軸およびその遠位部分内の窓を有する、伸長シャフトと、
前記窓の両側間の弧内で往復して回転振動するように構成される、ワイヤ状電極と、
前記ワイヤ状電極に動作可能に接続され、前記ワイヤ状電極を回転振動させ、前記窓内に受容された組織を切断する、モータと、
を備える、電気外科手術用デバイス。
(項目2)
前記遠位部分は、セラミック材料から成る、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目3)
前記弧は、60〜210に及ぶ、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目4)
前記弧は、90〜180に及ぶ、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目5)
前記電極は、1サイクル/秒〜50サイクル/秒のレートにおける往復サイクルで回転振動される、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目6)
前記デバイスは、電極振動レートの調節を可能にするように構成される、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目7)
前記デバイスは、一方向では第1のレートで、別の方向では第2のレートで、回転振動するように構成される、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目8)
前記電極に動作可能に結合されるRF源をさらに備える、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目9)
前記伸長シャフト内の内部通路と連通する負圧源をさらに備える、項目8に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目10)
モータ動作パラメータ、前記RF源、および前記負圧源を制御するように適合されるコントローラをさらに備える、項目9に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目11)
前記コントローラは、(1)前記RF源および前記負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したモータ動作パラメータと、(2)前記モータ動作パラメータおよび前記負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したRFパラメータと、(3)前記モータ動作パラメータおよび前記RF源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答した負圧パラメータとのうちの少なくとも1つを調節するように構成される、項目10に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目12)
前記コントローラは、前記窓に対して選択された位置において回転を停止するように構成される、項目10に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目13)
前記コントローラは、前記電極が停止位置にあるとき、凝固RFエネルギーを組織に送達するように構成される、項目12に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目14)
前記電極は、各回転弧の終了時、前記窓の両側に当接する、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目15)
前記電極は、各振動の終了時、剪断運動において前記窓の両側を越えて移動するように構成される、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目16)
前記ワイヤ状電極を前記モータに動作可能に結合する回転可能駆動シャフトをさらに備え、前記シャフトは、衝撃吸収機構を含み、回転抵抗を吸収する、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目17)
前記伸長シャフトは、引張ワイヤによって関節運動されるように構成される、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目18)
前記ワイヤ状電極は、前記窓に対して軸方向に移動されるように構成される、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目19)
前記ワイヤ状電極は、フック形状を有する、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目20)
前記伸長シャフトは、流体に除去可能に接続され、流体を前記シャフトの遠位部分に送達するように構成される、チャネルを有する、項目1に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目21)
電気外科手術用デバイスであって、
縦軸および窓をその中に伴うセラミック本体から成る遠位作業端を有する、伸長シャフトと、
モータによって駆動され、前記窓の両側間の弧内で往復して回転振動し、前記窓によって受容された組織を切断するように構成される、ワイヤ状電極と、
前記窓と連通する前記シャフト内の通路に結合される、負圧源と、
を備える、電気外科手術用デバイス。
(項目22)
前記窓は、前記縦軸に対して垂直または鋭角に面する、項目21に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目23)
前記電極に動作可能に結合される高周波(RF)電流源(RF源)をさらに備える、項目21に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目24)
前記伸長シャフトは、流体源に接続され、流体を前記作業端内の開放ポートを通して送達するように構成される、チャネルを有する、項目21に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目25)
フィードバック信号に基づいて、モータ動作パラメータ、前記RF源、前記負圧源、および前記流体源のうちの少なくとも1つを制御するように適合されるコントローラをさらに備える、項目24に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目26)
前記フィードバック信号は、前記モータ、前記RF源、前記負圧源、および前記流体源のうちの少なくとも1つからの動作パラメータを感知する前記コントローラによって提供される、項目24に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目27)
前記コントローラは、(1)前記RF源および前記負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したモータ動作パラメータと、(2)前記モータ動作パラメータおよび前記負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答したRFパラメータと、(3)前記モータ動作パラメータおよび前記RF源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答した負圧パラメータとのうちの少なくとも1つを調節するように構成される、項目24に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目28)
前記電極は、前記第1の位置と第2の位置との間で軸方向に平行移動するように構成される、項目20に記載の電気外科手術用デバイス。
(項目29)
組織を切除する方法であって、
窓を有する作業端および前記窓の両側間の弧内で往復して振動するように適合されるモータ駆動式電極を伴う、伸長シャフトを提供するステップと、
前記作業端を前記組織に対して位置付け、前記組織を前記窓と界面接触させるステップと、
前記モータおよびRF源を作動させ、前記窓と界面接触する組織を前記振動する電極を用いて切断するステップであって、前記切断された組織は、前記伸長シャフト内の内部に進入する、ステップと、
を含む、方法。
(項目30)
前記伸長シャフト内の内部通路と連通する負圧源を作動させ、切断された組織を前記伸長シャフト内の内部通路を通して前記作業端から抽出するステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記組織を液体中に浸漬させるステップをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目32)
流体を流体源から前記作業端に前記伸長シャフト内の流動チャネルを通して前記組織に送達するステップをさらに含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記組織は、前記組織を切除する間、ガス環境内に存在する、項目29に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1Aは、軸に沿って作業端まで延在し、再構成可能電極を伴う、伸長シャフトを含む、本発明に対応する電気外科手術用プローブの側面図である。
図1B図1Bおよび1Cは、図1の再構成可能電極の種々の実施形態を図示する。
図1C図1Bおよび1Cは、図1の再構成可能電極の種々の実施形態を図示する。
図2A図2Aは、移動可能電極を第1の位置に伴う、図1の作業端の斜視図である。
図2B図2Bは、移動可能電極を第2の位置に伴う、図1の作業端の斜視図である。
図2C図2Cは、移動可能電極を第3の位置に伴う、図1の作業端の斜視図である。
図3図3は、図1の作業端の構成要素の分解図である。
図4図4は、図1のものに類似する電気外科手術用デバイスの作業端の斜視図であって、関節内の膨張流体の温度を測定するための温度センサと、医師への高温アラートとして照明するようにLEDに信号伝達することができるコントローラとを伴う。
図5図5は、図1のものに類似する電気外科手術用デバイスの作業端の斜視図であって、流体の温度を判定するために関節内の膨張流体中のインピーダンスを測定するように構成される、第2の電極配列を伴う。
図6A図6Aは、図1のものに類似するアブレーションデバイスの作業端の裁断斜視図であって、膨張流体温度を感知し、戻り電極からRF源への電気経路を非アクティブ化することができる、PTCR(正抵抗温度係数)材料を戻り電極アセンブリ内に伴う。
図6B図6Bは、図6Aの作業端の別の裁断図であって、作業端アセンブリを担持する、内側スリーブを示す。
図7図7は、図1のものに類似する電気外科手術用デバイスの別の変形例の斜視図であって、モータによって駆動され、弧内を往復して回転する、回転可能電極を伴う。
図8図8は、図7のデバイスの裁断図であって、モータと、駆動機構とを示す。
図9図9は、図7のデバイスの作業端の斜視図である。
図10図10は、シャフトアセンブリから噛合解除された図7のデバイスの電極の斜視図である。
図11図11は、図7のデバイスの電極および遠位セラミック本体の斜視図である。
図12A図12Aは、図9の線12−12に沿って得られた図9のデバイスの作業端の断面図であって、電極は、弧内におけるその移動の終了時、セラミック本体の縁に当接する。
図12B図12Bは、図12Aのものに類似する作業端の断面図であって、電極は、弧内におけるその移動の終了時、剪断運動においてセラミック本体の縁を越えて移動する。
図13図13は、図1および7のものに類似する電気外科手術用デバイスの作業端の斜視図であって、関節運動式シャフト部分を伴う。
図14図14は、図9のものに類似する作業端の別の変形例の斜視図であって、流体を電極および作業端に送達するための流体源を伴う。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで図面およびその上にマークされた参照番号を参照すると、図1Aおよび2A−2Cは、ハンドル部分104と、縦軸108を中心として延在する伸長シャフト105とを含む、電気外科手術用プローブ100の一実施形態を図示する。図1は、プローブの概略図であって、シャフト105は、約3.0mm〜6.0mmの直径と、関節鏡手術または別の内視鏡下手技のための任意の好適な長さとを有する、以下にさらに説明されるアセンブリから成る。作業端110は、移動可能な第1の極性またはアクティブ電極120と、RF源125およびコントローラ130に動作可能に結合される第2の極性または戻り電極122とを含む、電極配列を担持する。図1Aから分かるように、シャフト105は、手術室内の壁吸引源またはコントローラ130内のポンプシステムであり得る、負圧源135と連通する流体抽出チャネル132を有する。図2Aでは、流体チャネル132は、電極120に近接する作業端110内の開口部140まで遠位に延在することが分かる。
【0022】
図1Aおよび2A−2Cにおける一実施形態では、第1の極性電極120は、シャフト105内の通路144(またはチャネル132)を通してハンドル104内のアクチュエータ機構146まで延在する、伸長中間部分142を有する。電極120は、絶縁されていない電気伝導性部分で終端し、伝導性部分は、以下により詳細に説明されるように、典型的にはフック形状である。図1Aでは、アクチュエータ146は、位置Aから位置B、そこから位置Cに摺動し、それによって、電極120を図2Aの非延在位置から図2Bの延在位置、次いで、図2Cの延在および回転位置まで移動するように適合されることが分かる。当技術分野において公知の任意の好適なアクチュエータ機構が、電極120を軸方向および回転移動させるために使用されることができ、図1に示される一変形例では、渦巻溝152をその中に伴うバレル148が、アクチュエータ機構146の線形運動を回転運動に変換することができる。別の実施形態では、アクチュエータ146は、電極120の近位端149に固定され、軸方向および回転の両方において移動し、電極120を図2A−2Cに示される種々の位置間で移動させるように適合されることができる。移動可能アクチュエータ146は、ハンドル104の一部に係合し、電極120を図2A−2Cの選択された位置のうちの1つに解放可能に維持する、戻り止めとともに構成されることができる。
【0023】
再び図1Aを参照すると、ハンドル104内の第2のアクチュエータ160が、流体抽出チャネル132内の流出を変調させるように適合される。図1Aは、ハンドル104内の抽出チャネル部分132’が、負圧源135まで延在する流出管類164が結合される、ハンドル104上の迅速接続部162まで延在することを示す。アクチュエータ160は、任意のタイプの好適な弁165を動作させ、膝または肩等の治療部位からの流出量を制御することができる。そのような関節鏡下手技では、流体流入は、内視鏡内の流体チャネルを通して、または治療部位にアクセスする別の独立カニューレを通してであり得る、独立流入経路を通して提供される。
【0024】
依然として図1Aを参照すると、電気ケーブル166が、RF源125およびコントローラ130からハンドル104まで延在し、ハンドル内の導線は、第1および第2の電極に結合される。本システムは、電極配列へのRFエネルギーのオン−オフ作動のためにコントローラ130に動作可能に接続される、フットスイッチ168を含むことができる。別の変形例では、RFエネルギーの作動のためのスイッチは、プローブハンドル104内に位置付けられることができる。RF源およびコントローラは、当技術分野において公知のように、種々の電力設定を提供することができ、組織を切断するために、電極120を中心としてプラズマを生成するための当技術分野において公知の任意の高周波を使用することができる。
【0025】
図1Bおよび1Cを参照すると、中間部分142から遠位に延在する電極の伝導性部分を含む、アクティブ電極120は、典型的には、フック形状であって、図1Bに示されるように、正方形もしくは台形形状を有してもよい、または図1Cに示されるように、湾曲もしくは弧状形状を有してもよい。フック部分は、典型的には、3mm〜10mmの範囲内の長さLと、2mm〜6mmの範囲内の深度Xとを有するであろう。フック形状のアクティブ電極はまた、電極が近位に後退され、電極の遠位先端190が、開口部140を囲繞する周縁または周界192に係合もしくは近接して位置するとき、開口部140によって画定された平面にわたって暴露されたままである、背面または背部領域121を含むであろう。遠位先端190は、図1Bおよび1Cにおける実線ならびに破線に示されるように、電極の中心線123で、その上方で、または下方で終端してもよい。
【0026】
図3のプローブの一部の分解図は、作業端110の構成要素および組立を図示する。図3に示される一変形例では、シャフト105は、ハンドル104に結合され、構造強度をシャフト105に提供し、さらに、戻り電極122として、またはそれに接続するように機能するための電気導体としての役割を果たす、伸長金属スリーブ170(例えば、ステンレス鋼)を含む。スリーブ170の近位端は、ハンドル104に固定され、ハンドル内の電気コネクタ(図示せず)は、スリーブ170をケーブル166およびRF源125の極(図1参照)に結合する。
【0027】
図3では、スリーブ170の遠位端174は、ジルコニア、アルミナ、または別の類似セラミック、例えば、イットリア安定化ジルコニア、マグネシア安定化ジルコニア、セリア安定化ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ、または窒化ケイ素から成る群から選択された材料から形成され得る、非伝導性セラミック本体175と結合する。一変形例では、セラミック本体175の縮径近位端177は、スリーブ170内のボア180と噛合することができる。図3はさらに、支持構造としてセラミック本体175にわたって摺動するように構成され、次いで、スリーブ170の遠位端174に溶接され、したがって、図2A−2Cの組み立てられた作業端を提供する、金属遠位本体または筐体185を示す。金属遠位本体または筐体185は、次いで、図2A−2Cから理解され得るように、第2の極性電極122として機能する。一変形例では、そのような熱収縮材料(PFA、FEP、または同等物)等の薄壁誘電材料186が、スリーブ170を遠位金属筐体185からハンドル104まで近位に被覆する。
【0028】
図3では、第1の極性電極120、より具体的には、その中間部分142は、セラミック本体175内のボア189を通して延在することが分かる。電極120の伸長部分は、FEPまたはPFA等の材料の熱収縮絶縁体187によって被覆される。電極120の遠位部分は、最外電極表面188が、図2Aの位置におけるシャフト105の円筒形周縁によって画定された封入体内にほぼある状態で、フック形状の電極を提供するように、屈曲または湾曲を伴って構成される。本構成は、医師が、電極120の最外表面188を組織表面を横断して移動させる、すなわち、「塗り潰し」、そのような組織の電気外科手術表面アブレーションを行うことを可能にする。図2Aおよび3を参照すると、図2Aに示される位置における電極120の遠位先端190は、作業端内の開口部140の周縁または周界192内またはそれに隣接して配置されるように構成される。より具体的には、図2Aの位置における遠位先端190は、セラミック本体175内の切り欠き194内に静置するように構成される。遠位先端190が図2Aの位置にあるとき、先端190は、金属本体185の窓195の最も近い縁から少なくとも0.010インチの距離Dにある(図2A参照)。図2A−2Cから分かるように、金属本体185の窓縁195は、セラミック本体175内の切り欠き194より大きい切り欠き200を有し、第1および第2の電極120および122が図2Aに示される電極位置に近接近しないことを保証するように構成される。
【0029】
図2Bおよび2Cから分かるように、電極120のフック形状の遠位部分は、フック電極ツールを使用する当技術分野において公知のように、軸方向に延在され、そして随意に回転され、組織の電気外科手術切断のために、遠位先端190および末端フック部分196を配向することができる。したがって、電極120は、電気外科手術表面アブレーション治療または電気外科手術切断治療を行うように再構成可能である。電極120は、丸形、卵形、または多角形断面を有する、タングステン、ステンレス鋼、または任意の他の好適な材料から形成されるワイヤであることができる。
【0030】
再び図3を参照すると、一変形例では、スリーブ170内のボア180が、スリーブ170の内壁が電極として機能することを防止する、Teflon(R)(PTFE)、ナイロン、PFA、FEP、ポリエチレン、または同等物等の薄壁誘電材料198と並べられることが分かる。本発明の別の側面では、図4は、図1−3のものに類似するプローブの作業端220内に担持される、温度感知および信号伝達システムを図示する。関節鏡下手技における膨張流体の温度感知は、流体が任意の電気外科手術アブレーション手技の間に加熱され得るため、重要である。膨張流体が過剰な時間期間にわたって高温にある場合、関節全体を通して組織が損傷され得る。図4では、温度センサ225が、作業端の表面内に提供され、任意の形態の熱電対、サーミスタ、または他のタイプのセンサを備えることができることが分かる。センサ225は、温度信号をコントローラ130に送信するように構成され、これは、オペレータに高温を伝え、および/またはRF源から作業端220へのエネルギー送達を終了させることができる。図5に示される一変形例では、コントローラ130は、医師に、作業端220の両側の電源245に結合されるLED光240aおよび240bを照明することによって、センサ225からの高温信号を伝えることができる。そのような実施形態では、コントローラ130は、膨張流体の温度に伴って増加する増加レートにおいてLEDを点滅させるためのアルゴリズムを有してもよい。視覚的、聴覚的、および触覚的信号の任意の組み合わせが、医師に膨張流体内の高温をアラートするために使用されてもよい。別の実施形態では(図示せず)、温度センサ225は、光ファイバに結合され、光を作業端内の光エミッタに搬送する、コントローラ内の少なくとも1つの光源を作動させることができる。別の変形例では、コントローラ内の複数の異なる波長光源は、異なる波長を作業端内のエミッタに送信し、膨張流体の異なる温度を示すことができる。
【0031】
図5は、図5におけるように作業端220によって担持されることができる、別の温度感知システムを図示する。図5では、離間された第1および第2の電極252aおよび252bが、プローブシャフト255の絶縁表面254内に提供される。電極252aおよび252bは、電源255と、膨張流体の電気パラメータ、例えば、生理食塩水膨張流体のインピーダンスまたは静電容量を測定するように構成される、コントローラ130とに結合される。測定された電気パラメータは、次いで、ルックアップテーブル内の種々の温度における生理食塩水の既知の値と比較され、流体温度を判定することができる。計算された温度は、次いで、任意の視覚的、聴覚的、または触覚的信号を作動させ、医師に、生理食塩水内の高温をアラートすることができる。
【0032】
図6A−6Bは、温度感知機構と戻り電極を統合し、組織へのエネルギー送達を制御する、別のシステム実施形態を図示する。図6Aから分かるように、プローブの作業端260は、図1−3のものに類似する。しかしながら、遠位金属筐体265は、戻り電極として機能しない。金属筐体265は、RF源125およびコントローラ130に電気的に結合される、伸長スリーブ270に溶接されない。むしろ、短い長さを伴う独立戻り電極スリーブ275が、遠位金属筐体265から近位に位置付けられる。一変形例では、絶縁セラミックカラー277は、遠位金属筐体265を戻り電極スリーブ275から分離する。作業端260の温度感知構成要素は、戻り電極スリーブ275とRF源125(図1参照)に電気的に結合されるスリーブ270との間の中間電気コネクタを形成する、ポリマーPTCR(正抵抗温度係数)スリーブ280を構成する。戻り電極スリーブ275、PTCRスリーブ280、およびスリーブ270は、図6Bに示される絶縁支持スリーブ285にわたって搭載されることができる。スリーブ280のPTCR材料は、選択された低温範囲内において、それを通してRF電流の伝導を可能にするが、選択された高温におけるスリーブを通した電流流動を防止することができる。図6A−6Bから分かるように、戻り電極275、PTCRスリーブ280、および伸長スリーブ270の近位端282は、薄壁絶縁体288で被覆され、したがって、伝導性生理食塩水がプローブの本部分と接触することを防止する。図6A−6Bから理解され得るように、薄壁絶縁体288は、膨張流体から絶縁体288を通してPTCRスリーブ280への熱伝達を可能にし、次いで、PTCRスリーブを非伝導性にさせ、戻り電極275からRF源125への電流流動を終了させることができる。このようにして、PTCR機構は、膨張流体内の高温に応答して、RFエネルギー送達を終了することができる。PTCR材料は、任意の好適な切替温度、例えば、約40℃〜45℃の任意の温度を有するように選択されることができる。好適なポリマーPTCR材料は、Bourns, Inc.(3910 Freedom Circle, Ste. 102, Santa Clara, Calif. 95954)によって加工されることができる。
【0033】
図7−9は、フック形状の電極415を伴う類似作業端410を有する、電気外科手術用デバイス400の別の変形例を図示するが、本変形例は、電極を弧内で回転駆動させ、作業端の窓422(図9)内の組織を切断するために、モータ420を含む。本変形例では、ハンドル部分424は、縦軸428を中心として延在する、伸長シャフト425に接続される。図7−9は、本デバイスの概略図であって、ここでもアセンブリから成る、シャフト425は、関節鏡下手技のために、約3.0mm〜6.0mmの直径を有することができ、他の内視鏡下手技のために、最大10mmまたは15mmの直径に及ぶことができる。作業端410は、ここでも、前述のようにフックとして使用するために軸方向に延在されることができる、ワイヤ状電極425を有する。作業端410は、前述のように、ジルコニア、アルミナ、または別の類似セラミックの形態であることができる、セラミック本体426を備える。電極425は、第1の極性またはアクティブ電極を構成し、第2の極性または戻り電極440は、シャフト425の少なくとも一部の外側表面であることができる。電極415は、RF源445およびコントローラ450に動作可能に結合される。シャフト425は、ここでも、手術室内の壁吸引源またはコントローラ450内のポンプシステムであることができる負圧源455と連通する、流体抽出チャネルまたは通路452を有する。図9から分かるように、流体抽出チャネル452は、電極415の下方にある作業端410内の窓422まで遠位に延在する。
【0034】
一般に、本発明に対応する電気外科手術用デバイスは、軸428に沿って遠位セラミック本体426内の窓422まで延在し、モータ420によって駆動され、窓422の両側460aと460bとの間で往復して弧内を回転し、窓によって受容された組織を切断する、シャフトおよびワイヤ状電極415の一部を形成する、伸長シャフト425に結合される近位ハンドル424を備える。組織は、負圧源455によって、窓の中に吸引されることができる。図8は、ハンドル424の裁断図を示し、モータ420をその中に伴う。モータは、モータ回転運動を図12に示される弧内における電極の往復移動に変換する、機構464に接続される。一変形例では、電極415は、10〜210の範囲の弧内を移動し、対応する寸法の弧を有する窓422と協働することができる。別の変形例では、電極弧は、20〜180に及ぶ。
【0035】
モータ420は、電動であることができ、電極415を1サイクル/秒(CPSまたはHz)〜100サイクル/秒のレートで往復サイクルにおいて回転または回転振動させるように歯車伝動される。本システムは、ハンドル424内のアクチュエータまたはトリガ470によって作動されることができる。一変形例では、アクチュエータは、電極415を往復して回転または振動させるレートを調節するための変速機構を含むことができる。別の変形例では、電気外科手術用デバイス400は、第1の回転方向では、第1の電極回転レート、第2の反対の回転方向では、第2の電極回転レートを提供するための機構を含むことができる。動作の間、RF源および電極は、当技術分野において公知のように、第1のモードまたは切断モードでは、アクティブ化されることができる。
【0036】
図7−9から理解され得るように、コントローラ450は、モータ、RF源、および負圧源を制御するように適合され、一変形例では、コントローラは、モータの動作パラメータおよび負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答して、RFパラメータを調節するように構成される。別の変形例では、コントローラは、RF源および負圧源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答して、モータ動作パラメータを調節するように構成される。別の変形例では、コントローラは、モータ動作パラメータおよびRF源のうちの少なくとも1つからのフィードバック信号に応答して、負圧パラメータを調節するように構成される。
【0037】
別の変形例では、デバイス400およびコントローラは、アクチュエータの非アクティブ化に応じて、窓に対して選択された位置において、例えば、図9に示されるような窓の中央または窓の縁において、電極の回転を停止するであろう。いずれの配向でも、電極は、当技術分野において公知のように、組織を凝固させるための第2の、すなわち、「凝固」モードでアクティブ化されることができる。
【0038】
図12Aに示されるようなさらなる変形例では、電極415は、電極が各回転弧の終了時、窓422の両側460aおよび460bに当接するように、窓内で回転振動するように適合される。図12Bに示されるような別の変形例では、電極415は、各回転弧の終了時、剪断運動において窓422の両側460aおよび460bを越えて掃引するように構成されることができる。
【0039】
図8、10、および11は、モータ420に動作可能に結合される、回転可能駆動シャフト472に結合される電極415を図式的に示し、シャフト472は、衝撃吸収機構474を含み、電極が回転され、窓の側面に当接するとき等、回転抵抗を吸収する。衝撃吸収機構474は、当技術分野において公知のように、ばねまたは弾性駆動シャフトであることができる。
【0040】
一般に、組織を切除するための本発明の方法は、作業端の縦軸に対して垂直または鋭角に面する、側方に配置される窓、例えば、伸長部材の作業端の壁内の開口部もしくはカットアウトまたは遠位セラミック本体内の開口部を伴う、セラミック作業端と、窓の両側間の弧内で往復して回転し、作業端を組織と界面接触させて位置付け、モータおよびRF源を作動させ、それによって、移動する電極を用いて窓によって受容された組織を切断し、切断された組織の断片または「チップ」を作業端の内部にもたらすように適合される、モータ駆動式電極とを有する、伸長部材またはシャフトを提供するステップを含む。本方法はさらに、負圧源を作動させ、組織の断片または「チップ」を作業端から伸長シャフト内の内部通路を通して抽出するステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、生理食塩水または他の電気伝導性液体中に浸水された組織界面を用いて行われることができる。他の実施形態では、本方法は、ガス環境内で行われることができ、典型的には、生理食塩水または他の電気伝導性液体は、外部源から作業端に伸長シャフト内の流動チャネルを通して送達される。
【0041】
図13は、電気外科手術用デバイスの別の変形例を示し、関節運動式シャフト部分478は、作業端410に近接する。関節運動式シャフトは、当技術分野において公知のように、スロット付き管内の引張ワイヤ479によって作動されることができる。
【0042】
図14は、電気外科手術用デバイスの別の変形例を示し、生理食塩水等の流体源480が、シャフト425内の流動チャネル482と流体連通し、流体を作業端および電極415に送達するように提供される。流体の流入は、デバイスを通して流動し、切断された組織の抽出を補助するための流体を提供することができる、またはガス環境内で動作する場合、電極を浸すために使用されることができる。別の変形例では、電極(図示せず)は、流体源480に結合される中空管であることができ、電極415は、窓内の組織を切断する、暴露された電極部分内で流体がそれを通して流動するための1つまたはそれを上回るポートを有する。
【0043】
本発明の特定の実施形態が、詳細に前述されたが、本説明は、単に、例証目的のためのものであって、本発明の前述の説明は、包括的ではないことを理解されたい。本発明の具体的特徴は、いくつかの図面には示されるが、他の図面には示されず、これは、便宜上のためのものにすぎず、任意の特徴が、本発明に従って、別の特徴と組み合わせられてもよい。いくつかの変形例および代替は、当業者に明白であろう。そのような代替および変形例は、請求項の範囲内に含まれることが意図される。従属請求項に提示される特定の特徴は、組み合わせられ、本発明の範囲内であることができる。本発明はまた、従属請求項が、代替として、他の独立請求項を参照して複数の従属請求項形式で書かれる場合と同様に実施形態を包含する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14