特許第6814833号(P6814833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6814833ラボラトリシステム、ラボラトリ試料分配システム、およびラボラトリオートメーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814833
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】ラボラトリシステム、ラボラトリ試料分配システム、およびラボラトリオートメーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20210107BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20210107BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N35/04 G
   B65G54/02
   G01N35/02 C
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-33894(P2019-33894)
(22)【出願日】2019年2月27日
(65)【公開番号】特開2019-158875(P2019-158875A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年3月26日
(31)【優先権主張番号】18162202.8
(32)【優先日】2018年3月16日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・コップ
(72)【発明者】
【氏名】オリバー・グートマン
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・シュミット
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−083865(JP,A)
【文献】 特開平08−304409(JP,A)
【文献】 特開2005−300220(JP,A)
【文献】 特開2004−028595(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02589968(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリオートメーションシステム(10)のためのラボラトリシステム(200)であって
前記ラボラトリシステム(200)が、試料容器搬送装置(210)と、試料を分析するための分析ステーション(20)に接続した受信器ステーション(330)と、を備え、前記試料容器搬送装置(210)が、ラボラトリ試料容器(130)を搬送するように構成され、かつ取り出し検出器(220)を備え、前記取り出し検出器(220)が、前記ラボラトリ試料容器(130)と相互作用して、前記試料容器搬送装置(210)からの搬送された前記ラボラトリ試料容器(130)の取り出しを検出するように構成され、
前記試料容器搬送装置(210)が、論理的に割り当てられた前記ラボラトリ試料容器(130)のバーコード(BC)の情報を格納する制御回路(243)と、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を格納するメモリ素子(230)と、前記受信器ステーション(330)と通信するための応答器(240)と、を備え、
前記取り出し検出器(220)は、前記ラボラトリ試料容器(130)の取り出しを検出すると、前記メモリ素子(230)から前記論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を削除し、
前記制御回路(243)は、前記論理割り当てが有効である場合には、前記応答器(240)を介して、前記受信器ステーション(330)に向けて前記バーコード(BC)を送信し、前記論理割り当てが無効である場合には、前記受信器ステーション(330)に向けた前記バーコード(BC)の送信を行わないようにすることで、無効な論理割り当てに基づいて、前記分析ステーション(20)によって分析すること、および/または分析結果を搬送された前記ラボラトリ試料容器(130)に含まれる試料(139)に論理的に割り当てることを防ぎ、
前記論理割り当ては、前記ラボラトリ試料容器(130)のIDへの前記試料容器搬送装置(210)のIDの割り当てである、
ラボラトリオートメーションシステム(10)のためのラボラトリシステム(200)。
【請求項2】
前記取り出し検出器(220)が、
前記ラボラトリ試料容器(130)と相互作用して、前記試料容器搬送装置(210)からの前記搬送されたラボラトリ試料容器(130)の取り出しを検出するように構成される、スイッチ(221)、光学センサ、容量センサ、圧力センサ、温度センサ、および/または形状記憶合金を備える、請求項1に記載のラボラトリシステム(200)。
【請求項3】
前記応答器(240)が、近距離無線通信応答器である、請求項1に記載のラボラトリシステム(200)。
【請求項4】
前記応答器(240)は、前記受信器ステーション(330)と通信するための受信器(241)を備え、
前記受信器(241)が、エネルギーを収集し、収集された前記エネルギーを前記試料容器搬送装置(210)に供給するように構成される、請求項1に記載のラボラトリシステム(200)。
【請求項5】
前記論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を、前記試料容器搬送装置(210)に送信するように構成される、送信器ステーション(320)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のラボラトリシステム(200)。
【請求項6】
前記ラボラトリ試料容器(130)のバーコード(BC)を読み取り、読み取られた前記バーコード(BC)を前記試料容器搬送装置(210)に論理的に割り当てるように構成される、バーコードリーダーおよび割り当てステーション(310)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のラボラトリシステム(200)。
【請求項7】
前記ラボラトリ試料容器(130)を前記試料容器搬送装置(210)上に装荷し、装荷された前記ラボラトリ試料容器(130)への前記試料容器搬送装置(210)の前記論理割り当てが有効であることを決定するように構成される、装荷および割り当てステーション(300)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のラボラトリシステム(200)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のラボラトリシステム(200)と、
前記試料容器搬送装置(210)を支持するように構成される輸送平面(110)と、
前記試料容器搬送装置(210)を前記輸送平面(110)上で移動させるように構成されるいくつかの駆動素子(120)と、
前記試料容器搬送装置(210)が対応する輸送パスに沿って前記輸送平面(110)上を移動するように、前記いくつかの駆動素子(120)を制御するように構成される制御デバイス(125)と
を備える、ラボラトリオートメーションシステム(10)のためのラボラトリ試料分配システム(100)
【請求項9】
前記試料容器搬送装置(210)が、磁気的に活性なデバイス(215)を備え、
前記いくつかの駆動素子(120)が、いくつかの電磁アクチュエータ(121)を備え、前記いくつかの電磁アクチュエータ(121)が、前記輸送平面(110)の下に静止配置され、かつ、前記試料容器搬送装置(210)に対して磁気駆動力を印加することによって前記試料容器搬送装置(210)を前記輸送平面(110)上で移動させるように構成され、
前記制御デバイス(125)が、前記試料容器搬送装置(210)が前記対応する輸送パスに沿って前記輸送平面(110)上を移動するように、前記いくつかの電磁アクチュエータ(121)を制御するように構成される、請求項8に記載のラボラトリ試料分配システム(100)
【請求項10】
ラボラトリオートメーションシステム(10)であって、
試料(139)を分析するように構成されるいくつかの分析ステーション(20)、
請求項1から7のいずれか一項に記載のラボラトリシステム(200)、および/または、前記試料容器搬送装置(210)を前記いくつかの分析ステーション(20)へ移動させるように構成される、請求項8または9に記載のラボラトリ試料分配システム(100)を備え、
前記ラボラトリオートメーションシステム(10)が、決定された無効な前記論理割り当てに基づいて、分析すること、および/または、分析結果を前記搬送されたラボラトリ試料容器(130)に含まれる前記試料(139)に論理的に割り当てることを防ぐように構成される
ラボラトリオートメーションシステム(10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリシステム、そのようなラボラトリシステムを備えるラボラトリ試料分配システム、ならびにそのようなラボラトリシステムおよび/またはそのようなラボラトリ試料分配システムを備えるラボラトリオートメーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているラボラトリオートメーションシステムは、典型的には、いくつかの分析ステーションと、試料容器搬送装置によっていくつかの分析ステーションに搬送されるラボラトリ試料容器に含まれる試料を移動させるために、ラボラトリ試料分配とを備える。そのようなラボラトリオートメーションシステムは、WO2013/064662 A1に示される。ラボラトリオートメーションシステムは、試料容器搬送装置に対応する固有の識別(ID)および試料容器搬送装置によって搬送されるラボラトリ試料容器IDのマッチングペアを格納するように適合されるメモリデバイスを備えて、処理パスにわたってラボラトリ試料容器を制御および追跡することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2013/064662 A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、試料への分析結果の論理割り当ての完全性を確実にすることを可能にするラボラトリシステムを提供することである。本発明のさらなる目的は、そのようなラボラトリシステムを備えるラボラトリ試料分配システム、ならびにそのようなラボラトリシステムおよび/またはそのようなラボラトリ試料分配システムを備えるラボラトリオートメーションシステムを提供することである。
【0005】
これらの目的は、請求項1に記載のラボラトリシステム、請求項8に記載のラボラトリ試料分配システム、および請求項10に記載のラボラトリオートメーションシステムによって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項において規定される。
【0006】
本発明は、ラボラトリオートメーションシステムのためのラボラトリシステムに関する。ラボラトリシステムは、試料容器搬送装置を備える。試料容器搬送装置は、ラボラトリ試料容器を搬送するように適合され、かつ取り出し検出器を備える。取り出し検出器は、ラボラトリ試料容器と相互作用して、試料容器搬送装置からの搬送されたラボラトリ試料容器の取り出しまたは荷降ろしを、それぞれ、検出する、特に自動的に検出するように適合される。さらには、ラボラトリシステムは、検出された取り出しに基づいて、または検出された取り出しとは独立して、それぞれ、搬送されたラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の有効と決定される(すなわち、有効前)の論理割り当てが無効であることを、決定する、特に自動的に決定するように適合される。
【0007】
特に、試料容器搬送装置による搬送前のラボラトリ試料容器は、特に故障または不正により、論理割り当てが無効であり得る別のラボラトリ試料容器と意図せずに交換され得る。それにより、間接的に、搬送前のラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の論理割り当ての使用による、搬送前のラボラトリ試料容器に含まれる試料への、搬送される別のラボラトリ試料容器に含まれる別の試料の分析結果の論理割り当ては、間違っている場合がある。これまでは、この間違った論理割り当てが未検出のままであった場合があるという可能性があった。
【0008】
ここでは、試料容器搬送装置の取り出し検出器が、取り出しを検出することによって、潜在的な交換を検出することを可能にする。ラボラトリ試料容器は交換されている可能性があるため、検出された取り出しに基づいて、搬送されたラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の有効前の論理割り当てが無効であることが決定される。それにより、試料への分析結果の誤った論理割り当てのリスクが低減されるか、あるいは除去される。言い換えると、ラボラトリシステムは、試料への、およびそれにより対応する患者への、分析結果の論理割り当ての完全性を確実にすることを可能にする。
【0009】
詳細には、ラボラトリ試料容器は、管として設計され得、ならびに/または、上端、天端、および/または切羽端に開口部を有し得る。さらには、ラボラトリ試料容器は、ガラスもしくは透明プラスチック、または任意の他の、特に何らかの、固体材料製であり得る。さらに、ラボラトリ試料容器またはその開口部は、それぞれ、栓またはキャップによって閉口され得る。栓は、ゴムおよび/またはプラスチックを含み得るか、または、完全にゴムおよび/もしくはプラスチックで構成され得る。さらに、栓は、箔、特に可撓性の箔、またはフィルムもしくはテープとして、あるいは蓋、特に剛性の蓋として具現化され得る。
【0010】
さらには、ラボラトリ試料容器は、試料を含むように適合され得る。試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、CFS試料、身体試料、水試料、または化学試料であり得る。特に、試料は液体であり得る。ラボラトリ試料容器またはその開口部は、それぞれ、ラボラトリ試料容器に含まれる試料を、存在する場合、処理する、特に分析するために開口状態である場合がある。
【0011】
さらに、ラボラトリ試料容器は、特に固有の、IDを含み得る。IDは、ラボラトリ試料容器に含まれる試料を、存在する場合、表し得る。特に、IDは、バーコードを含み得るか、またはバーコードであり得る。ラボラトリ試料容器のIDは、容器IDとして表され得る。
【0012】
しかしながら、常に、および/または各状況において、特にラボラトリオートメーションシステムのワークフローにおいて、ラボラトリオートメーションシステム内の試料の識別のためにラボラトリ試料容器、存在する場合、特にその容器IDを直接使用することは、あまりにも複雑すぎる、特に時間がかかり過ぎる、あるいは不可能であり得る。
【0013】
容器識別の代わりに、試料容器搬送装置、存在する場合、特に試料容器搬送装置のIDは、ラボラトリオートメーションシステム内の搬送されるラボラトリ試料容器に含まれる試料の識別のために直接的に使用され得る。
【0014】
特に、試料容器搬送装置は、特に固有の、IDを含むように適合され得る。IDは、試料容器搬送装置、および/または搬送されるラボラトリ試料容器、および/または、存在する場合、搬送されるラボラトリ試料容器に含まれる試料を表し得る。試料容器搬送装置のIDは、搬送装置IDとして表され得る。
【0015】
論理割り当ては、容器IDへの搬送装置IDの割り当てであり得る。さらに、割り当ては、リンクまたは関連付けとして表され得る。有効は、正解として表され得る。無効は、不正解として表され得る。
【0016】
さらには、試料容器搬送装置は、特に搬送される、ラボラトリ試料容器、および/または、存在する場合、ラボラトリ試料容器に含まれる試料の識別のためのいかなる手段も備える必要がない。特に、試料容器搬送装置は、容器IDを読み取るためのリーダーを備える必要がない。
【0017】
さらに、試料容器搬送装置は、1つのみまたは単一のラボラトリ試料容器を搬送するように適合または具現化され得る。試料容器搬送装置は、単一の試料容器搬送装置として表され得る。さらに、試料容器搬送装置は、ラボラトリ試料分配システムおよび/またはラボラトリオートメーションシステム内の、搬送される、特に開口状態の、ラボラトリ試料容器を移動させるように適合され得る。
【0018】
特に、試料容器搬送装置は、検出された取り出しに基づいて、搬送されるラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の有効前の論理割り当てが無効であることを決定するように適合され得る。
【0019】
取り出し検出器は、ラボラトリ試料容器と、接触せずに、または接触して、特に、ラボラトリ試料容器の外側において、特に周囲において、ラボラトリ試料容器に接触することによって、相互作用するように適合され得る。特に、取り出し検出器は、ラボラトリ試料容器の存在を検出するように適合され得る。取り出し検出器は、存在検出器として表され得る。さらには、取り出し検出器は、試料容器搬送装置の底部またはラボラトリ試料容器アダプタ内に配置され得る。
【0020】
本発明の実施形態によると、取り出し検出器は、ラボラトリ試料容器と相互作用して、試料容器搬送装置からの搬送されるラボラトリ試料容器の取り出しを検出する、特に自動的に検出するように適合される、スイッチ、特に、マイクロスイッチ、光学センサ、容量センサ、圧力センサ、温度センサ、および/または形状記憶合金を備える。特に、スイッチは、ラボラトリ試料容器によって、存在する場合、押下され得、ラボラトリ試料容器がない場合は、特にバネによって、押下されない、機械スイッチであり得る。
【0021】
本発明の実施形態によると、試料容器搬送装置はメモリ素子を備える。メモリ素子は、検出された取り出しに基づいた情報、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報、および/または論理割り当てが無効であるということに基づいた情報を格納する、特に自動的に格納するように適合される。これは、情報が検出または決定の際、または検出または決定において送信される必要がないことを可能にし得るか、または許可し得るが、後で送信され得る。特に、メモリ素子は、書換可能および/または不揮発性メモリ素子であり得る。メモリ素子は、電気メモリ素子であり得る。特に、メモリ素子は、コンデンサ、フリップフロップもしくはラッチそれぞれ、マイクロコントローラ、および/または半導体メモリを備え得る。メモリ素子は、2つの、特に安定した、状態を有し得、状態情報を格納するために使用され得る。特に、第1の状態は、論理割り当てが有効であることであり得、第1とは異なる、第2の状態は、論理割り当てが無効であることであり得る。検出された取り出しに基づいた情報は、検出された取り出し後の時間または時間期間であり得る。この時間または時間期間は、特にラボラトリシステムまたはラボラトリシステムの制御デバイスそれぞれによる、試料容器搬送装置からのラボラトリ試料容器の最後の、特に意図的な、取り出し後、または試料容器搬送装置上へのラボラトリ試料容器の、特に意図的な、装荷後の時間もしくは時間期間と比較され得る。比較に基づいて、ラボラトリシステム、または、存在する場合、その制御デバイスは、搬送されるラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の有効前の論理割り当てが無効であることを決定し得る。制御デバイスは、集積回路、タブレットコンピュータ、スマートフォン、もしくはコンピュータを備え得るか、またはそれらであり得る。論理割り当てが有効であるということに基づいた情報は、ラボラトリ試料容器、存在する場合は、特に容器ID、および/または、存在する場合は、ラボラトリ試料容器に含まれる試料に関する情報であり得る。検出された取り出しに基づいて、特に、無効情報が生成され得るように、有効情報は削除または変更され得る。
【0022】
本発明の実施形態によると、試料容器搬送装置は、受信器を備える。受信器は、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を、特に試料容器搬送装置の外側から、受信し、特に自動的におよび/またはワイヤレスで受信し、その情報をメモリ素子に格納するように適合される。特に、これは、試料容器搬送装置またはそのメモリ素子をそれぞれ、装備することを表され得る。受信器は、取り出し検出器と異なり得る。追加的または代替的に、受信器は、電気受信器、および/または、特にアンテナを備える、ワイヤレス受信器、特に無線受信器であり得る。
【0023】
本発明の実施形態によると、試料容器搬送装置は、送信器を備える。送信器は、検出された取り出しに基づいた情報、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報、および/または論理割り当てが無効であるという情報を、特に試料容器搬送装置の外側に、送信する、特に自動的におよび/またはワイヤレスで送信するように適合される。特に、送信器は、取り出し検出器と異なり得る。追加的または代替的に、送信器は、電気送信器、および/または、特にアンテナを備える、ワイヤレス送信器、特に無線送信器であり得る。情報は、メモリ素子の文脈において上に説明されるようなものであり得る。特に、有効情報が削除される場合、送信器は、送信しないように適合され得る。
【0024】
本発明の実施形態によると、試料容器搬送装置は、応答器を備える。応答器は、送信器および受信器を備える。さらには、応答器は、問合せ、特に問合せ信号または問合せ波をそれぞれ、特にその受信器によって、受信し、特に自動的におよび/またはワイヤレスで受信し、受信した問合せに応答して情報をその送信器によって送信する、特に自動的に送信するように適合される。これは、問合せされた試料容器搬送装置のみが送信することを可能にし得る。特に、応答器は、取り出し検出器と異なり得る。追加的または代替的に、応答器は、電気応答器、および/またはワイヤレス応答器、特に無線応答器であり得る。送信器および受信器は、組み合わされ得、特に、それらは、トランシーバとして表され得る。受信器は、上に説明されるように具現化され得る。特に、応答器は、無線自動識別(RFID)ラベルまたはタグとして具現化され得る。
【0025】
本発明の実施形態によると、応答器は、近距離通信(NFC)応答器である。これは、試料容器搬送装置のみが問合わされ得ることを可能にする。特に、通信範囲は、1センチメートル(cm)〜10cm、特に2cm〜8cm、特に3cm〜6cm、特に4cmの範囲内であり得る。
【0026】
本発明の実施形態によると、受信器は、エネルギー、特に電気エネルギー、および/または問合せのエネルギーを収集し、特に自動的に収集し、試料容器搬送装置、特にその取り出し検出器、および/または、存在する場合は、そのメモリ素子に収集されたエネルギーを供給する、特に自動的に供給するように適合される。特に、試料容器搬送装置は、受動性の試料容器搬送装置および/またはパワーハーベスティング試料容器搬送装置として表され得る。言い換えると、試料容器搬送装置は、収集されたエネルギーによってのみ供給されるように適合され得る。さらに、言い換えると、試料容器搬送装置は、独自の電力源、特に蓄電池および/またはバッテリを備える必要がない。
【0027】
本発明の実施形態によると、ラボラトリシステムは、受信器ステーションを備える。受信器ステーションは、検出された取り出しに基づいた情報、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報、および/または論理割り当てが無効であるという情報を、試料容器搬送装置から受信する、特に自動的におよび/またはワイヤレスで受信するように適合される。特に、受信器ステーションは、試料容器搬送装置と異なり得る。追加的または代替的に、受信器ステーションは、電気受信器ステーション、ならびに/または、特にアンテナを備える、ワイヤレス受信器ステーション、特に無線受信器ステーション、特にRDIF受信器ステーションおよび/もしくはNFC受信器ステーションであり得る。特に、受信器ステーションは、問合せを送信する、特に自動的におよび/またはワイヤレスで送信するように適合され得る。受信器ステーションは、リーダーステーションとして表され得る。情報は、メモリ素子の文脈において上に説明されるようなものであり得る。特に、有効情報が削除される場合、受信器ステーションは、情報を受信しないか、情報を読み出すことができない場合がある。これは、受信器ステーションが、論理割り当てが無効であることを認識することを可能にし得るか、または許可し得る。
【0028】
本発明の実施形態によると、ラボラトリシステムは、送信器ステーションを備える。送信器ステーションは、論理割り当てが有効であるという情報を試料容器搬送装置に送信する、特に自動的におよび/またはワイヤレスで送信するように適合される。特に、これは、試料容器搬送装置、または、存在する場合、そのメモリ素子をそれぞれ、装備することを表され得る。追加的または代替的に、送信器ステーションは、試料容器搬送装置と異なり得る。さらには、送信器ステーションは、電気送信器ステーション、ならびに/または、特にアンテナを備える、ワイヤレス送信器ステーション、特に無線送信器ステーション、特にRDIF送信器ステーションおよび/もしくはNFC送信器ステーションであり得る。送信器ステーションは、ライターステーションとして表され得る。情報は、メモリ素子の文脈において上に説明されるようなものであり得る。
【0029】
本発明の実施形態によると、ラボラトリシステムは、バーコードリーダーおよび割り当てステーションを備える。バーコードリーダーおよび割り当てステーションは、ラボラトリ試料容器のバーコードを読み取り、特に自動的に読み取り、読み取られたバーコードを試料容器に論理的に割り当てる、特に自動的に割り当てるように適合される。特に、バーコードリーダーおよび割り当てステーションは、読み取られたバーコードを試料容器搬送装置に送信するように適合され得る。追加的または代替的に、バーコードリーダーおよび割り当てステーションは、試料容器搬送装置と異なり得る。さらには、バーコードリーダーおよび割り当てステーションは、電気バーコードリーダーおよび割り当てステーションであり得、特にバーコードリーダーおよび割り当てステーションは、カメラを備え得る。
【0030】
本発明の実施形態によると、ラボラトリシステムは、装荷および割り当てステーションを備える。装荷および割り当てステーションは、ラボラトリ試料容器を試料容器搬送装置上に装荷し、特に自動的に装荷し、装荷されたラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の論理割り当てが有効であることを決定する、特に自動的に決定するように適合される。特に、装荷および割り当てステーションは、装荷されたラボラトリ試料容器への試料容器搬送装置の論理割り当てが有効であるという情報を試料容器搬送装置に送信するように適合され得る。追加的または代替的に、装荷および割り当てステーションは、試料容器搬送装置と異なり得る。さらには、装荷および割り当てステーションは、電気装荷および割り当てステーションであり得る。さらに、装荷および割り当てステーションは、挿入および割り当てステーションとして表され得る。
【0031】
本発明は、ラボラトリオートメーションシステムのためのラボラトリ試料分配システムにさらに関する。ラボラトリ試料分配システムは、上に説明されるようなラボラトリシステムと、輸送平面、いくつかの駆動素子(例えば1〜10000)、および特に制御デバイスとを備える。輸送平面は、特に搬送されたラボラトリ試料容器を伴う試料容器搬送装置を支持するように適合される。いくつかの駆動素子は、特に搬送されるラボラトリ試料容器を伴う試料容器搬送装置を輸送平面上で移動させる、特に自動的に移動させるように適合される。制御デバイスは、試料容器搬送装置が、対応する、特に個別の、輸送パスに沿って、輸送平面上を移動するように、いくつかの駆動素子を制御する、特に自動的に制御するように構成される。
【0032】
本発明に従うラボラトリシステムを用いて、上に説明されるような本発明に従うラボラトリシステムの利点は、ラボラトリ試料分配システムに対して適用可能にされ得る。
特に、輸送平面は、輸送表面として表され得る。試料容器搬送装置を搬送するために表される試料容器搬送装置を支持するために。試料容器搬送装置は、輸送平面上を、または輸送平面にわたって、並進移動され得る。さらには、試料容器搬送装置は、輸送平面上を2つの次元に移動するように適合され得る。さらに、試料容器搬送装置は、輸送平面にわたって滑動し得る。特に、ラボラトリ試料分配システムは、特に上に説明されるような、複数の試料容器搬送装置(例えば1〜1000)を備え得る。いくつかの駆動素子は、いくつかの電気駆動素子であり得る。制御デバイスは、複数の試料容器搬送装置が、対応する、特に個別の、輸送パスに沿って、輸送平面上を同時に移動するように、いくつかの駆動素子を制御するように構成され得る。さらに、制御デバイスは、集積回路、タブレットコンピュータ、スマートフォン、またはコンピュータを備え得るか、またはそれらであり得る。
【0033】
さらには、受信器ステーション、送信器ステーション、バーコードリーダーおよび割り当てステーション、ならびに/または装荷および割り当てステーションは、存在する場合、ラボラトリ試料分配システムに、特にラボラトリ試料分配システムの輸送平面に隣接して、またはすぐ隣に、配置され得る。
【0034】
本発明の実施形態によると、試料容器搬送装置は、磁気的に活性なデバイスを備える。いくつかの駆動素子は、いくつかの電磁アクチュエータを備える。いくつかの電磁アクチュエータは、輸送平面の下に静止配置され、かつ、磁気駆動力を試料容器搬送装置に印加することによって、試料容器搬送装置を輸送平面上で移動させる、特に自動的に移動させるように適合される。制御デバイスは、試料容器搬送装置が対応する輸送パスに沿って輸送平面上を移動するように、いくつかの電磁アクチュエータを制御する、特に自動的に制御するように構成される。
【0035】
特に、いくつかの電磁アクチュエータは、試料容器搬送装置を輸送平面上で移動させるために磁場を生成するように適合され得る。磁気的に活性なデバイスは、磁気駆動力が試料容器搬送装置に印加されるように、いくつかの電磁アクチュエータによって生成される磁場と相互作用するように適合され得る。特に、磁気的に活性なデバイスは、永久磁石または電磁石であり得る。追加的または代替的に、磁気的に活性なデバイスは、磁気的に軟らかい材料を含み得る。いくつかの電磁アクチュエータは、強磁性コアを囲むいくつかのソレノイドであり得る。さらには、いくつかの電磁アクチュエータは、磁場を生成または提供するために、個別に駆動または励磁され得る。さらに、電磁アクチュエータは、2つの次元に、特に電磁アクチュエータが配置される行および列を有するグリッド内に、配置され得る。さらに、電磁アクチュエータは、輸送平面に平行な平面内に配置され得る。
【0036】
追加的または代替的に、いくつかの駆動素子は、少なくとも1つのホイール、およびホイールを駆動するための駆動モータを備え得る。駆動モータおよびホイールは、試料容器搬送装置を輸送平面上で移動させる、特に自動的に移動させるように適合され得る。制御デバイスは、試料容器搬送装置が輸送パスに沿って輸送平面上を移動するように、少なくとも1つのホイールおよび/または駆動モータを制御する、特に自動的に制御するように構成され得る。特に、試料容器搬送装置は、少なくとも1つのホイールおよび/または少なくとも1つの駆動モータを備え得る。
【0037】
本発明は、ラボラトリオートメーションシステムにさらに関する。ラボラトリオートメーションシステムは、いくつかの分析ステーションを備える。いくつかの分析ステーションは、試料を分析する、特に自動的に分析するように適合される。さらには、ラボラトリオートメーションシステムは、上に説明されるようなラボラトリシステムおよび/または上に説明されるようなラボラトリ試料分配システムを備える。ラボラトリ試料分配システムは、存在する場合、試料容器搬送装置をいくつかの分析ステーションに移動させる、特に自動的に移動させるように適合される。ラボラトリオートメーションシステム、または、存在する場合、その制御デバイスは、ラボラトリ試料容器への、特に試料容器搬送装置の、決定された無効の論理割り当てに基づいて、分析すること、および/または搬送されるラボラトリ試料容器に含まれる試料へ分析結果を論理的に割り当てることを防ぐ、特に自動的に防ぐように適合される。
【0038】
本発明に従うラボラトリシステムおよび/またはラボラトリ試料分配システムを用いて、本発明に従うラボラトリシステムおよび/またはラボラトリ試料分配システムの利点は、ラボラトリオートメーションシステムに対して適用可能にされ得る。
【0039】
言い換えると、ラボラトリオートメーションシステム、または、存在する場合、その制御デバイスは、決定された無効の論理割り当てに基づいて、試料容器搬送装置、搬送されるラボラトリ試料容器、および/またはラボラトリ試料容器に含まれる試料を拒否する、特に自動的に拒否するように適合され得る。追加的または代替的に、ラボラトリオートメーションシステム、または、存在する場合、その制御デバイスは、ラボラトリ試料容器への、特に試料容器搬送装置の、特に決定された、有効な論理割り当てに基づいて、分析すること、および/または搬送されるラボラトリ試料容器に含まれる試料へ分析結果を論理的に割り当てることを許可する、特に自動的に許可するように適合され得る。
【0040】
いくつかの分析ステーションは、試料容器搬送装置と異なり得る。特に、いくつかの分析ステーションは、試料または試料の部分および試薬を使用して、測定信号を生成するように適合され得、測定信号は、分析物が存在するかどうか、ある場合はその濃度を示す。
【0041】
さらには、ラボラトリオートメーションシステムは、いくつかの分析前ステーションおよび/または分析後ステーションを備え得る。いくつかの分析前ステーションは、試料、ラボラトリ試料容器、および/または試料容器搬送装置のあらゆる種類の前処理を実施するように適合され得る。いくつかの分析後ステーションは、試料、ラボラトリ試料容器、および/または試料容器搬送装置のあらゆる種類の後処理を実施するように適合され得る。
【0042】
いくつかの分析前、分析、および/または分析後ステーションは、キャップ除去ステーション、リキャップステーション、アリコートステーション、遠心分離ステーション、アーカイブステーション、ピペットステーション、分類ステーション、管タイプ識別ステーション、試料品質決定ステーション、追加バッファステーション、液位検出ステーション、密封/密封除去ステーション、押圧ステーション、ベルトステーション、運搬システムステーション、および/またはラボラトリ試料容器を、試料容器搬送装置へまたは試料容器搬送装置から移動させるためのグリッパステーションのうちの少なくとも1つを備え得る。
【0043】
さらには、存在する場合、いくつかの分析、分析前、および/または分析後ステーションは、存在する場合、ラボラトリ試料分配システムの、特にラボラトリ試料分配システムの輸送平面に隣接して、またはすぐ隣に配置され得る。
【0044】
特に、ラボラトリ試料分配システムは、存在する場合、試料容器搬送装置をいくつかの分析前ステーション、分析後ステーション、受信器ステーション、送信器ステーション、バーコードリーダーおよび割り当てステーション、ならびに/または装荷および割り当てステーションへ、存在する場合、移動させるように適合され得る。特に、ラボラトリ試料分配システムは、試料容器搬送装置をステーション間で移動させるように適合され得る。
【0045】
以下において、本発明の実施形態は、図面を参照して詳細に説明される。図面全体を通して、同じ要素は、同じ参照番号によって表される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明に従うラボラトリオートメーションシステムの本発明に従うラボラトリ試料分配システムの本発明に従うラボラトリシステムの試料容器搬送装置の透視図である。
図2】コンデンサの形態でメモリ素子を備える、図1の試料容器搬送装置の概略図である。
図3】コンデンサの形態でメモリ素子を備える、図1の試料容器搬送装置の別の概略図である。
図4】フリップフロップの形態でメモリ素子を備える、図1の試料容器搬送装置の概略図である。
図5】マイクロコントローラの形態でメモリ素子を備える、図1の試料容器搬送装置の概略図である。
図6】フリップフロップの形態でメモリ素子を備える、図1の試料容器搬送装置の別の概略図である。
図7】マイクロコントローラの形態でメモリ素子を備える、図1の試料容器搬送装置の別の概略図である。
図8】本発明に従うラボラトリシステムの、装荷および割り当てステーション、バーコードリーダーおよび割り当てステーション、ならびに送信器ステーションの側面図である。
図9図1の試料容器搬送装置からのラボラトリ試料容器の取り出しを示す図である。
図10】本発明に従うラボラトリシステムの受信器ステーションおよび本発明に従うラボラトリオートメーションシステムの分析ステーションの側面図である。
図11】本発明に従うラボラトリ試料分配システムの透視図である。
図12図1の試料容器搬送装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1図12は、発明のラボラトリオートメーションシステム10を示す。ラボラトリオートメーションシステム10は、発明のラボラトリ試料分配システム100を備える。ラボラトリ試料分配システム100は、発明のラボラトリシステム200を備える。
【0048】
ラボラトリシステム200は、試料容器搬送装置210を備える。試料容器搬送装置210は、ラボラトリ試料容器130を搬送するように適合され、かつ取り出し検出器220を備える。取り出し検出器220は、ラボラトリ試料容器130と相互作用して、試料容器搬送装置210からの搬送されたラボラトリ試料容器130の取り出しを検出するように適合される。さらには、ラボラトリシステム200は、検出された取り出しに基づいて、搬送されたラボラトリ試料容器130への試料容器搬送装210の有効前の論理割り当てが無効であることを決定するように構成される。
【0049】
示される実施形態において、ラボラトリ試料容器130は、図2および図8図12に示されるように、管として設計され、かつ、端、特に上端に、開口部131を有する。さらには、ラボラトリ試料容器130は、液体の形態で試料139を含む。
【0050】
詳細には、試料容器搬送装置210は、図1図8図10、および図12に示されるように、少なくとも1つの保持要素219を備える。少なくとも1つの保持要素219は、ラボラトリ試料容器130を、特にラボラトリ試料容器130の周囲において、保持するように適合される。さらに、試料容器搬送装置130は、特に少なくとも1つの保持要素219によって画定される、ラボラトリ試料容器130のための保持領域を含む。
【0051】
取り出し検出器220は、試料容器搬送装置210の底部に、特に保持領域の端、特に下端に配置される。
示される実施形態において、取り出し検出器220は、ラボラトリ試料容器130と、接触により、特にラボラトリ試料容器130にその周囲において接触することによって、相互作用するように適合される。詳細には、取り出し検出器220は、図2図7に示されるように、スイッチ221、特に機械スイッチを備える。スイッチ221は、ラボラトリ試料容器130によって、存在する場合、押下され、ラボラトリ試料容器130がない場合は、特にバネによって、押下されないように適合される。
【0052】
代替的な実施形態において、取り出し検出器は、ラボラトリ試料容器と、接触せずに相互作用するように適合され得る。追加的にまたは代替的に、代替的な実施形態において、取り出し検出器は、ラボラトリ試料容器と相互作用して、試料容器搬送装置からの搬送されたラボラトリ試料容器の取り出しを検出するように適合される、光学センサ、容量センサ、圧力センサ、温度センサ、および/または形状記憶合金を備える。
【0053】
さらに、試料容器搬送装置210は、メモリ素子230を備える。示される実施形態において、メモリ素子230は、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報、および論理割り当てが無効であるということに基づいた情報を格納するように適合される。代替的な実施形態において、メモリ素子は、検出された取り出しに基づいた情報、特に、検出された取り出し後の時間または時間期間を格納するように適合される。
【0054】
詳細には、メモリ素子230は、図2および図3ではコンデンサ、図4および図6ではフリップフロップ、ならびに図5および図7ではマイクロコントローラを備える。特に、メモリ素子は2つの状態を有する。第1の状態は、論理割り当てが有効であることであり、第2の状態は、論理割り当てが無効であることである。
【0055】
さらには、試料容器搬送装置210は、特にアンテナを備える、応答器240、特にRFID、NFC応答器を備える。応答器240は、受信器241および送信器242を備える。
【0056】
受信器241は、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を受信し、その情報をメモリ素子230に格納するように適合される。これは、試料容器搬送装置210またはそのメモリ素子230それぞれを装備することを表され得る。
【0057】
示される実施形態において、送信器242は、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を送信するように適合される。代替的な実施形態において、送信器は、検出された取り出しに基づいた情報および/または論理割り当てが無効であるという情報を送信するように適合され得る。
【0058】
詳細には、取り出し検出器220は、検出された取り出しに基づいて、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報を、特にメモリ素子230から削除するように適合される。言い換えると、取り出し検出器220は、論理割り当てが無効であるということに基づいた情報を、特にメモリ素子230に格納するように適合される。有効情報が削除される場合、または、情報が、論理割り当てが無効であるというものである場合、それぞれにおいて、送信器242は送信しない。
【0059】
特に、応答器240は、情報に対する問合せを、特にその受信器241によって受信し、受信した問合せに応答して、特に論理割り当てが有効であるという情報を、特にその送信器242によって送信するように適合される。
【0060】
さらに、図2図6では、受信器241は、エネルギーを、特に、受信した情報からおよび/または問合せから収集し、試料容器搬送装置210、特にそのメモリ素子230に、収集したエネルギーを供給するように適合される。
【0061】
図7では、試料容器搬送装置210は、独自の電力源211、特にバッテリを備える。
さらに、ラボラトリシステム200は、図8に示されるように、特にグリッパを備える、装荷および割り当てステーション300を備える。装荷および割り当てステーション300は、ラボラトリ試料容器130を試料容器搬送装置210上に装荷し、装荷されたラボラトリ試料容器300への試料容器搬送装置210の論理割り当てが有効であることを決定するように適合される。
【0062】
さらには、ラボラトリシステム200は、特にカメラを備える、バーコードリーダーおよび割り当てステーション310を備える。バーコードリーダーおよび割り当てステーション310は、ラボラトリ試料容器130のバーコードBCを読み取り、読み取られたバーコードBCを試料容器210に論理的に割り当てるように適合される。
【0063】
さらに、ラボラトリシステムは、特にカメラを備える、送信器ステーション320、特に、RFID、NFC送信器ステーションを備える。送信器ステーション320は、論理割り当てが有効であるという情報を、試料容器搬送装置210に送信するように適合される。これは、試料容器搬送装置210またはそのメモリ素子230をそれぞれ装備することを表され得る。特に、送信器ステーション320は、特に情報を伴うエネルギーを、試料容器搬送装置210に送信するように適合される。
【0064】
示される実施形態において、送信器ステーション320は、ラボラトリ試料容器130の読み取られたバーコードBCを試料容器210に送信する。それにより、装荷されたラボラトリ試料容器130への試料容器搬送装置210の論理割り当てが有効であるという情報が、試料容器搬送装置210に送信される。特に、装荷および割り当てステーション300、バーコードリーダーおよび割り当てステーション310、ならびに送信器ステーション320は、図8において点線により示されるように、機能的に結合され、特に互いと信号接合状態にある。
【0065】
詳細には、試料容器搬送装置210またはその応答器240はそれぞれ、制御回路243を備える。受信したバーコードBCは、制御回路243により格納される。
さらに、図2においてコンデンサを備えるメモリ素子230は、パワーハーベスティングによって、特に応答器240またはその制御回路243それぞれのパワーハーベスティング出力PWを介して、荷電される。ラボラトリ試料容器130が取り出されるとき、図9に示されるように、コンデンサ230は無電荷である。メモリ状態は、次の問合せにより、応答器240またはその制御回路243それぞれによって、特に制御回路243のデジタル入力DIを介して、読み出され得る。さらには、試料容器搬送装置210は、特にコンデンサ230のあまりに高速な再充電を、特に次の問合せの間は回避するために、時間遅延抵抗器244を備える。メモリ状態が、論理割り当てが無効であるという第2の状態である場合、格納されたバーコードBCは、制御回路243によって削除され、応答は送信されない。メモリ状態が、論理割り当てが有効であるという第1の状態である場合、格納されたバーコードBCが送信される。
【0066】
図3においてコンデンサを備えるメモリ素子230は、パワーハーベスティングによって荷電され、特に制御回路243のデジタル出力DOによってトリガされる。ラボラトリ試料容器130が取り出されるとき、コンデンサ230は無電荷である。メモリ状態は、次の問合せにより、応答器240またはその制御回路243それぞれによって読み出され得、コンデンサ230の再充電は、デジタル出力DOをトリガしないことによって回避され得る。
【0067】
図4において、フリップフロップ、特にRSフリップフロップを備えるメモリ素子230は、パワーハーベスティングによって荷電されるコンデンサ245によってバッファされる。フリップフロップ230は、デジタル出力DOによって設定される。ラボラトリ試料容器130が取り出されるとき、フリップフロップ230は再設定される。メモリ状態は、次の問合せにより、応答器240またはその制御回路243それぞれによって読み出され得、フリップフロップ230の設定は、デジタル出力DOをトリガしないことによって回避され得る。
【0068】
図5においてマイクロコントローラを備えるメモリ素子230は、パワーハーベスティングによって荷電されるコンデンサ245によってバッファされる。マイクロコントローラ230は、取り出し検出器220、または取り出し検出器220のステータスをそれぞれチェックし、それを格納する。メモリ状態は、次の問合せにより、応答器240またはその制御回路243それぞれによって、特に、制御回路243とマイクロコントローラ230との間のバス接続によって、読み出され得る。
【0069】
図6において、フリップフロップ、特にRSフリップフロップを備えるメモリ素子230は、パワーハーベスティングによって荷電されるコンデンサ245によってバッファされる。フリップフロップ230は、デジタル出力DOによって設定される。ラボラトリ試料容器130が取り出されるとき、フリップフロップ230は再設定される。マイクロコントローラ246は、パワーハーベスティングによって、特に、収集されたエネルギーを供給される。メモリ状態は、次の問合せにより、応答器240またはその制御回路243それぞれによって、特に、マイクロコントローラ246を介した制御回路243とフリップフロップ230との間のバス接続によって、読み出され得る。言い換えると、マイクロコントローラ246は、制御回路243とフリップフロップ230との間の通信のために適合される、特にそのためだけに適合される。
【0070】
図7においてマイクロコントローラを備えるメモリ素子230は、電力源211によって電力供給される。マイクロコントローラ230は、取り出し検出器220、または取り出し検出器220のステータスをそれぞれチェックし、特にデジタル出力からデジタル入力への信号によって、それを格納する。ラボラトリ試料容器130が取り出されるとき、デジタル入力はこれを検出する。デジタル出力は、特にエネルギーを節約し得る、低に設定され得る。メモリ状態は、次の問合せにより、応答器240またはその制御回路243それぞれによって、特に、制御回路243とマイクロコントローラ230との間のバス接続によって、読み出され得る。
【0071】
言い換えると、試料容器搬送装置210は、検出された取り出しに基づいて、搬送されたラボラトリ試料容器130への試料容器搬送装置210の有効前の論理割り当てが無効であることを決定するように適合される。
【0072】
さらに、ラボラトリシステム200は、図10に示されるように、特にアンテナを備える、受信器ステーション330、特にRFID、NFC受信器ステーションを備える。示される実施形態において、受信器ステーション330は、論理割り当てが有効であるということに基づいた情報、特に、ラボラトリ試料容器130のバーコードBCを、試料容器搬送装置210から受信するように適合される。代替的な実施形態において、受信器ステーションは、検出された取り出しに基づいた情報および/または論理割り当てが無効であるという情報を受信するように適合され得る。
【0073】
詳細には、受信器ステーション330は、問合せを送信するように適合され、試料容器搬送装置210は、論理割り当てが依然として有効である場合に応答する。有効情報が削除される場合、試料容器搬送装置210は応答せず、受信器ステーション330は情報を受信しない。これは、受信器ステーション330が、論理割り当てが無効であることを認識することを可能にする。特に、受信器ステーション330は、特に問合せを伴うエネルギーを、試料容器搬送装置210に送信するように適合される。
【0074】
さらには、ラボラトリオートメーションシステム10は、いくつかの分析ステーション20を備える。いくつかの分析ステーション20は、試料139を分析するように適合される。ラボラトリオートメーションシステム200は、決定された無効な論理割り当てに基づいて、特にいくつかの分析ステーション20によって分析すること、および/または分析結果を搬送されたラボラトリ試料容器130に含まれる試料139に論理的に割り当てることを防ぐように適合される。特に、試料容器搬送装置210は、決定された無効な論理割り当てに基づいて拒否される。
【0075】
追加的に、ラボラトリオートメーションシステム10は、有効な論理割り当てに基づいて、分析すること、および/または分析結果を搬送されたラボラトリ試料容器130に含まれる試料139に論理的に割り当てることを許可するように適合される。
【0076】
特に、受信器ステーション330およびいくつかの分析ステーション20は、図10において点線により示されるように、機能的に結合され、特に互いと信号接合状態にある。
論理割り当て、特に、試料容器搬送装置210から送信され、かつ受信器ステーション330から受信されるバーコードBCの形態にある有効な論理割り当ては、ラボラトリ試料容器130、またはラボラトリ試料容器139に含まれる試料139それぞれを、ワークフローまたは処理パスそれぞれにわたって、制御および追跡することを許可するか、または可能にする。
【0077】
自明であるが、図11に示される2つを超える分析ステーション20は、ラボラトリオートメーションシステム10内に含まれ得る。
ラボラトリ試料容器130またはその開口部131はそれぞれ、ラボラトリ試料容器130に含まれる試料139を処理する、特に分析するために開口状態である。
【0078】
さらに、試料容器搬送装置210は、図8図11に示されるようなラボラトリ試料分配システム100内、および/またはラボラトリオートメーションシステム10内で、搬送された、特に開口状態の、ラボラトリ試料容器130を移動させるように適合される。
【0079】
ラボラトリ試料分配システム100は、輸送平面110、いくつかの駆動素子120、および制御デバイス125を備える。輸送平面110は、試料容器搬送装置210を支持するように適合される。いくつかの駆動素子120は、試料容器搬送装置210を輸送平面110上で移動させるように適合される。制御デバイス125は、試料容器搬送装置210が対応する輸送パスに沿って輸送平面110上を移動するように、いくつかの駆動素子120を制御するように構成される。
【0080】
さらに、ラボラトリオートメーションシステム10は、いくつかの分析前ステーションおよび/または分析後ステーションを備える。
装荷および割り当てステーション300、バーコードリーダーおよび割り当てステーション310、送信器ステーション320、受信器ステーション330、いくつかの分析ステーション20、いくつかの分析前ステーション、ならびにいくつかの分析後ステーションは、ラボラトリ試料分配システム100に、特に輸送平面110に、隣接して配置される。
【0081】
さらには、ラボラトリ試料分配システム100は、試料容器搬送装置210を、装荷および割り当てステーション300、バーコードリーダーおよび割り当てステーション310、送信器ステーション320、受信器ステーション330、いくつかの分析ステーション20、いくつかの分析前ステーション、ならびにいくつかの分析後ステーションへ移動させるように適合される。
【0082】
さらに、制御デバイス125は、装荷および割り当てステーション300、バーコードリーダーおよび割り当てステーション310、送信器ステーション320、受信器ステーション330、いくつかの分析ステーション20、いくつかの分析前ステーション、ならびにいくつかの分析後ステーションを制御するように構成される。
【0083】
詳細には、試料容器搬送装置210は、輸送平面110上で互いに垂直である2つの次元、x、yに、並進移動され得る。示される実施形態において、試料容器搬送装置210の滑動表面は、輸送平面110と接触状態にあるように適合され、輸送平面110上での試料容器搬送装置210の移動、特に滑動を実施することを可能にする。特に、ラボラトリ試料分配システム100は、複数の試料容器搬送装置110を備える。自明であるが、図11に示される3つを超える試料容器搬送装置210は、ラボラトリ試料分配システム100内に含まれ得る。制御デバイス125は、複数の試料容器搬送装置210が、対応する、特に個別の、輸送パスに沿って、輸送平面110上を同時に移動するように、いくつかの駆動素子120を制御するように構成される。
【0084】
示される実施形態において、試料容器搬送装置210は、図12に示されるように、磁気的に活性なデバイス215を、特に永久磁石の形態で、備える。いくつかの駆動素子120は、いくつかの電磁アクチュエータ121を備える。いくつかの電磁アクチュエータ121は、輸送平面110の下に静止配置され、かつ、磁気駆動力を試料容器搬送装置210に印加することによって、試料容器搬送装置210を輸送平面110上で移動させるように適合される。制御デバイス125は、試料容器搬送装置210が対応する輸送パスに沿って輸送平面110上を移動するように、いくつかの電磁アクチュエータ121を制御するように構成される。
【0085】
詳細には、いくつかの電磁アクチュエータ121は、試料容器搬送装置210を輸送平面110上で移動させるために磁場を生成するように適合される。磁気的に活性なデバイス215は、磁気駆動力が試料容器搬送装置210に印加されるように、いくつかの電磁アクチュエータ121によって生成される磁場と相互作用するように適合される。さらには、いくつかの電磁アクチュエータ121は、磁場を生成するために、個別に駆動され得る。特に、いくつかの電磁アクチュエータ121は、強磁性コアを有するソレノイドとして実装される。さらに、電磁アクチュエータ121は、行および列を有するグリッド内に、特に輸送平面110に平行の平面において、正方形に配置される。対応する電磁アクチュエータ121によって形成される正方形の各中心内には、電磁アクチュエータは配置されない。言い換えると、各々の第2の位置内の各々の第2の行内には、電磁アクチュエータ121が存在しない。
【0086】
さらに、ラボラトリ試料分配システム100は、いくつかのホールセンサ140を備える。いくつかのホールセンサ140は、それぞれの試料容器搬送装置210の輸送平面110上の位置が検出され得るように配置される。制御デバイス125は、試料容器搬送装置210の位置を検出するためのホールセンサ140に、機能的に結合され、特にそれと信号接続状態にある。制御デバイス125は、検出された位置に応答して、電磁アクチュエータ121を制御するように適合される。
【0087】
示される、かつ上に論じられる実施形態が明らかにするように、本発明は、試料への分析結果の論理割り当ての完全性を確実にすることを可能にするラボラトリシステムを提供する。さらには、本発明は、そのようなラボラトリシステムを備えるラボラトリ試料分配システム、ならびにそのようなラボラトリシステムおよび/またはそのようなラボラトリ試料分配システムを備えるラボラトリオートメーションシステムを提供する。
【符号の説明】
【0088】
10 ラボラトリオートメーションシステム
20 分析ステーション
100 ラボラトリ試料分配システム
110 輸送平面
120 駆動素子
121 電磁アクチュエータ
125 制御デバイス
130 ラボラトリ試料容器
139 試料
140 ホールセンサ
200 ラボラトリシステム
210 試料容器搬送装置
211 電力源
215 磁気的に活性なデバイス
219 保持要素
220 取り出し検出器
221 スイッチ
230 メモリ素子/コンデンサ/フリップフロップ/マイクロコントローラ
240 応答器
241 受信器
242 送信器
243 制御回路
300 装荷および割り当てステーション
310 バーコードリーダーおよび割り当てステーション
320 送信器ステーション
330 受信器ステーション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12