特許第6814835号(P6814835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6814835
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】ゾーン化ディーゼル酸化触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20210107BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20210107BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20210107BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20210107BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20210107BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   B01J35/04 301L
   B01J23/44 AZAB
   B01J37/02 301L
   B01D53/94 241
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01D53/94 222
   F01N3/10 A
   F01N3/28 Q
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2019-56137(P2019-56137)
(22)【出願日】2019年3月25日
(62)【分割の表示】特願2016-530602(P2016-530602)の分割
【原出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2019-162622(P2019-162622A)
(43)【公開日】2019年9月26日
【審査請求日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】61/860,608
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1315892.8
(32)【優先日】2013年9月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1316278.9
(32)【優先日】2013年9月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マルカトゥ, ペネロペ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス−デ ヘスス, ヤリツァ
(72)【発明者】
【氏名】クリンク, ワッシム
(72)【発明者】
【氏名】コール, キーラン
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, コリン
(72)【発明者】
【氏名】ハンリー, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】橋本 義人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 正仁
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−035206(JP,A)
【文献】 特開2012−096201(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/069404(WO,A1)
【文献】 特表2012−523313(JP,A)
【文献】 特許第3191013(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
B01D53/73
B01D53/86−53/90
B01D53/94−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンからの排ガスを処理するための酸化触媒であって、
基材;
基材上に配置される第一のウォッシュコート領域であって、白金並びに白金及びパラジウムの組合せからなる群から選択される第一の白金族金属(PGM)及び第一の担体材料を含む第一のウォッシュコート領域;
第一のウォッシュコート領域に隣接する第二のウォッシュコート領域であって、白金並びに白金及びパラジウムの組合せからなる群から選択される第二の白金族金属(PGM)及び第二の担体材料を含む第二のウォッシュコート領域;
基材上に配置される第三のウォッシュコート領域であって、白金並びに白金及びパラジウムの組合せからなる群から選択される第三の白金族金属(PGM)及び第三の担体材料を含む第三のウォッシュコート領域;
を含み:
第三のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート領域に隣接し、かつ、第一のウォッシュコート領域が上流のウォッシュコート層の一部を含み、第二のウォッシュコート領域が上流のウォッシュコート層の一部及び下流のウォッシュコート層の一部を含み、第三のウォッシュコート領域が下流のウォッシュコート層の一部を含み:
第一のPGMの総ローディングが第三のPGMの総ローディングより大きく、且つ第二のPGMの総ローディングが第三のPGMの総ローディングより大きい、酸化触媒。
【請求項2】
第二のウォッシュコート領域が、下流のウォッシュコート層の前部上に配置される上流のウォッシュコート層の後部を含む、請求項1に記載の酸化触媒。
【請求項3】
第一のPGMが白金であり、第三のPGMが白金及びパラジウムの組合せであり、第二のPGMが白金及びパラジウムの組合せである、請求項2に記載の酸化触媒。
【請求項4】
第二のウォッシュコート領域が、上流のウォッシュコート層の後部上に配置される下流のウォッシュコート層の前部を含む、請求項1に記載の酸化触媒。
【請求項5】
第一のPGMが白金及びパラジウムの組合せであり、第三のPGMが白金であり、第二のPGMが白金及びパラジウムの組合せである、請求項4に記載の酸化触媒。
【請求項6】
第二のPGMの総ローディングが、第一のPGMの総ローディングより大きい、請求項1からのいずれか一項に記載の酸化触媒。
【請求項7】
第一のPGMが白金である、請求項1からのいずれか一項に記載の酸化触媒。
【請求項8】
第一の担体材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの二つ以上の混合又は複合酸化物からなる群から選択される耐火性金属酸化物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の酸化触媒。
【請求項9】
第二の担体材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの二つ以上の混合又は複合酸化物からなる群から選択される耐火性金属酸化物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の酸化触媒。
【請求項10】
第三の担体材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの二つ以上の混合又は複合酸化物からなる群から選択される耐火性金属酸化物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の酸化触媒。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の酸化触媒と排出制御装置とを含む排気システム。
【請求項12】
ディーゼルエンジンと、(a)請求項1から10のいずれか一項に記載の酸化触媒又は(b)請求項11に記載の排気システムのいずれかとを含む車両。
【請求項13】
ディーゼルエンジンからの排気ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び一酸化窒素(NO)を処理する方法であって、排気ガスを請求項1から10のいずれか一項に記載の酸化触媒と接触させることによりCO、HCおよびNOを酸化することを含む、方法。
【請求項14】
下流の排気制御装置のための、ディーゼルエンジンからの排気ガス中の窒素酸化物(NO)の含有量を制御する方法であって、
(a)請求項1から10のいずれか一項に記載の酸化触媒と排気ガスを接触させて処理された排気ガスを生成することにより、排気ガスのNO含有量を制御すること、及び
(b)処理された排気ガスを排出制御装置に通すこと
を含む、方法。
【請求項15】
フィルタ基材を有する排出制御装置の再生における、請求項1から10のいずれか一項に記載の酸化触媒の使用。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載の酸化触媒の製造方法であって:
(i)長さLの第一のウォッシュコートで第一の端から基材をコートすることであって、基材が軸長Lを有し、L<Lであること;その後、
(ii)L>L−Lである、長さLの第二のウォッシュコートで第二の端から基材をコートすることであって、
|L+L|>Lであり、
(a)第一のウォッシュコート領域の長さがL−Lで与えられ、第二のウォッシュコート領域の長さがL+L−Lで与えられ、第三のウォッシュコート領域の長さがL−Lで与えられるか、又は
(b)第一のウォッシュコート領域の長さがL−Lで与えられ、第二のウォッシュコート領域の長さがL+L−Lで与えられ、第三のウォッシュコート領域の長さがL−Lで与えられる、
コートすること;及び
(iii)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートでコートされた基材を焼成すること、
を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンのための酸化触媒、その使用及びその製造方法に関する。本発明は、酸化触媒を包含する方法にも関する。本発明は、酸化触媒を含む排気システムを、酸化触媒又は排気システムを含む車両へ更に提供する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン(圧縮着火エンジンとも呼ばれる)は、世界中の政府間組織により規制される少なくとも四つのクラスの汚染物質:一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HCs)、窒素の酸化物(NOx)及びパティキュレートマター(PM)を一般に含む排気物質を生成する。
【0003】
白金族金属(PGMs)を含む酸化触媒は、ディーゼルエンジンにより生成される排気物質中で、パティキュレートマター(PM)の揮発性有機画分(VOF)を含む、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HCs)を処理するために用いられてきた。そのような触媒は、一酸化炭素(CO)を、それを二酸化炭素(CO)に酸化することにより処理し、炭化水素(HCs)を、それらを水(HO)及び二酸化炭素(CO)に酸化することにより処理する。幾つかの白金族金属は、特に耐火性酸化物上に担持されるとき、一酸化窒素(NO)の二酸化窒素(NO)への酸化も促進し得る。
【0004】
ディーゼルエンジン、特に車両用エンジンからの汚染物質の許容排出についての排出基準が進行的に強化されたため、これらの基準を満たすことができ、費用効果の高い改善された排気システムを提供する必要がある。CO及びHCsに対する優れた活性を有し、ディーゼル燃料中の硫黄により容易に被毒されない酸化触媒を提供することが望ましい。酸化触媒が、特にディーゼルエンジンにより生成される汚染物質中の全減少を最大化する排気システムの部として、他の排出制御装置と協同して働くことが重要である。
【0005】
白金族金属(PGMs)は、高価な金属である。触媒製造者は、その材料コストを最小化するために、酸化触媒中に含まれるいかなるPGMsの効率を最大化する必要に迫られている。ウォッシュコートを基材に塗布する各工程並びにその後の乾燥及び焼成工程までに関連する製造コストがあるため、酸化触媒の製造方法も重要である。
【0006】
発明者らの以前の国際公開第2007/077462号は、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HCs)を酸化するための触媒を含むリーンバーン内燃エンジンのための排気システムであって、少なくとも一つのPGMを含む第一のウォッシュコートゾーンであって、基材モノリスの入口端により上流端に及び入口端から測定される基材モノリスの長さに沿って半分より短い地点により下流端に画成される第一のウォッシュコートゾーン;入口端から測定される基材モノリスの長さに沿って半分の地点を含む第二のウォッシュコートゾーンであって、少なくとも一つのPGMを含む第二のウォッシュコートゾーン;及び基材モノリスの出口端により下流端に及び入口端からの基材モノリスの長さに沿って長くとも4分の3における地点により上流端に画成される第三のウォッシュコートゾーンであって、少なくとも一つのPGMを含む第三のウォッシュコートゾーン、を触媒が含み、該第一のウォッシュコートゾーンにおけるPGMローディングと該第三のウォッシュコートゾーンにおけるPGMローディングの両方が該第二のウォッシュコートゾーンにおけるPGMローディングによりも大きく、該第一のウォッシュコートゾーンが該第三のウォッシュコートゾーンのウォッシュコートローディングよりも小さいウォッシュコートローディングを含む、排気システムを記載する。
【発明の概要】
【0007】
発明者らは、費用効果の高い方法製造され得、そのPGMs成分の効率を最大化する配置を有する酸化触媒を考案した。酸化触媒は、優れたCO及びHC酸化活性を提供し、並びにディーゼル燃料中の硫黄及びその酸化に耐性がある。酸化触媒は、一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化することに対する良好な活性も示す。
【0008】
本発明は、ディーゼルエンジンからの排ガスを処理するための酸化触媒を提供し、酸化触媒は、
基材;
基材上に配置又は担持される第一のウォッシュコート領域、該第一のウォッシュコート領域は、第一の白金族金属(PGM)及び第一の担体材料を含む;
第一のウォッシュコート領域に隣接する第二のウォッシュコート領域、該第二のウォッシュコート領域は、第二の白金族金属(PGM)及び第二の担体材料を含む;
基材上に配置又は担持される第三のウォッシュコート領域、該第三のウォッシュコート領域は、第三の白金族金属(PGM)及び第三の担体材料を含む;
を含み:かつ、
(i)第三のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート領域に隣接する;又は
(ii)第二のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコート領域上に配置又は担持されるかのいずれかである。
【0009】
第二及び第三のウォッシュコート領域が(i)又は(ii)に記載されるように配置されるとき、酸化触媒に入る排ガスは、第三のウォッシュコート領域の前に、第二のウォッシュコート領域と最初に接触するだろう。本発明の酸化触媒におけるこの配置は、ディーゼル燃料中の硫黄による被毒に対する良好な耐性を提供し、一酸化炭素(NO)の二酸化窒素(NO)への酸化を最適化するために用いられ得る。特に、若干の硫酸化が生じた後でさえも、HCsに対する触媒の酸化活性が維持され得る。
【0010】
本発明は、ディーゼルエンジンのための排気システムも提供する。排気システムは、本発明の酸化触媒及び排出制御装置を含む。
【0011】
酸化触媒による一酸化窒素(NO)の二酸化窒素(NO)への酸化は、排気システムによる汚染物質の除去全体のために重要であり得る。排ガス中のNOのNOに対する比は、フィルタ基材(例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF))、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))を含む排出制御装置の能動的又は受動的な再生に影響し得る。排ガス中のNOは、下流の排出制御装置のフィルタ基材により捕集されたパティキュレートマター(PM)の酸化を補助し得る。本発明の酸化触媒は、フィルタ基材を含む排出制御装置の能動的な再生における使用のために特に適する。
【0012】
排ガス中のNOの量は、酸化触媒の下流にある排出制御装置の性能にも影響し得る。NOを処理する(例えば、NO+NO)のための選択的触媒的還元(SCR)触媒及び選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒は、最適な触媒性能のために、入口ガスにおけるNOのNOに対する比が特定の範囲内にあることを求めることが多い。NOの最適なNO比率は、SCR又はSCRF(商標)触媒において用いられる組成のタイプに典型的に依存する。本発明の酸化触媒は、SCR又はSCRF(商標)触媒、特に銅で交換されたゼオライトを含むSCR又はSCRF(商標)触媒と共に用いられ得る。
【0013】
本発明は、車両に更に関する。車両は、ディーゼルエンジンと、本発明の酸化触媒又は本発明の排気システムのいずれかを含む。
【0014】
本発明は、本発明の酸化触媒を製造する方法を更に提供する。
【0015】
酸化触媒の製造の第一の方法態様では、方法は:
(i)長さLの第一のウォッシュコートで基材をコートすること、基材は軸長Lを有し、Lは軸長Lより短いか又は等しい(例えば、L≦L);その後、
(ii)長さLの第二のウォッシュコートで基材をコートすること、該Lは軸長Lより短いか又は等しい(例えば、L≦L);
(iii)基材上の第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートを乾燥させること;
(iv)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートの少なくとも一つを白金族金属で長さL含浸すること、該Lは軸長Lよりも短い(L<L);並びに
(v)第一のウォッシュコート、第二のウォッシュコート及び含浸された白金族金属、でコートされた基材を焼成すること、を含む。
【0016】
酸化触媒の製造の第二の方法態様では、方法は:
(i)長さLの第一のウォッシュコートで第一の端から基材をコートすること、基材は軸長Lを有し、Lは軸長Lより短い(例えば、L<L);その後、
(ii)長さLの第二のウォッシュコートで第二の端から基材をコートすること、該Lは、LとLの差より大きい(例えば、L>LーL);及び
(iii)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートでコートされた基材を焼成すること、を含む。
【0017】
本発明の他の態様は、ディーゼルエンジンからの排ガスを処理する方法に関する。方法は、本発明の酸化触媒と排気ガスを接触させることを含む。ディーゼルエンジンからの排ガスを処理する方法は、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HCs)及び一酸化窒素(NO)を酸化することによりのように、ディーゼルエンジンからの排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HCs)を処理する(例えば、酸化する)方法である。典型的に、処理された排ガスは、その後、排出制御装置(すなわち、下流の排出制御装置)上を通過させられる。本発明のこの態様は、本発明の酸化触媒の使用にも関し、任意選択的に排出制御装置と組み合わせて、ディーゼルエンジンからの排ガスを処理する。
【0018】
本発明は、排出制御装置のためにディーゼルエンジンからの排ガス中の窒素酸化物(NO)の含有量を調製する方法も提供し、方法は:(a)本発明の酸化触媒と排ガスを接触させることにより排ガスのNO含有量制御し、処理された排ガスを生成する工程;及び(b)処理された排ガスを排出制御装置に通す工程を含む。本発明のこの態様は、本発明の酸化触媒の使用にも関し、排出制御装置(すなわち、下流の排出制御装置)のために、ディーゼルエンジンからの排ガス中の窒素酸化物(NO)の含有量を調製する。
【0019】
本発明の他の態様は、フィルタ基材を有する排出制御装置の再生における本発明の酸化触媒の使用に関する。酸化触媒は、排出制御装置の能動的又は受動的な再生において用いられ得る。
【0020】
図1から4は、本発明の酸化触媒の表現である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】基材(5)上に配置される、第一のウォッシュコート領域(1)、第一のウォッシュコート領域(1)に隣接する第二のウォッシュコート領域(2)、及び第二のウォッシュコート領域(2)に隣接する第三のウォッシュコート領域(3)を含む酸化触媒を示す。図1は、図3及び4に示される酸化触媒の図式表現も提供する。
図2】第一のウォッシュコート領域(1)、第二のウォッシュコート領域(2)及び第三のウォッシュコート領域(3)を含む酸化触媒を示す。第一のウォッシュコート領域は、基材(5)上に直接配置される。第二のウォッシュコート領域は、第三のウォッシュコート領域上に配置される。第二のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域の両方は、第一のウォッシュコート領域に隣接する。
図3】第二のウォッシュコート領域(2)が、基材(5)上に配置される二つのウォッシュコート層(6及び7)の間の重なりの領域である酸化触媒を示す。第一のウォッシュコート領域(1)を形成するウォッシュコート層(6)の端が、第三のウォッシュコート領域(3)を形成するウォッシュコート層(7)の端に重なる。
図4】第二のウォッシュコート領域(2)が、基材(5)上に配置される二つのウォッシュコート層(6及び7)の間の重なりの領域である酸化触媒を示す。第一のウォッシュコート領域(1)を形成するウォッシュコート層(6)の端が、第三のウォッシュコート領域(3)を形成するウォッシュコート層(7)の端により重ねられる。
図5】様々な温度における、参照DOC(◆)及びゾーン化DOC(▲)によるNOの酸化からのNOの%NO含有量を示すグラフである。
図6】参照DOCで実施されたクエンチ試験(quench tests)の結果を示す。
図7】ゾーン化DOCで実施されたクエンチ試験(quench tests)の結果を示す。
図8】参照DOC及びゾーン化DOCについてのHCスリップの量を示すヒストグラムである。
図9】参照DOC及びゾーン化DOCについてのHCスリップの量を示すヒストグラムである。
図10】参照DOC及びゾーン化DOCがそれぞれディーゼル燃料中の硫黄に曝露された後の、NOの酸化からのNOの%NO含有量を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
典型的には、酸化触媒は、2.0から8.0gの白金族金属(PGM)成分の質量による総量を含む。用いられるPGMの成分の総量は、特に、基材のサイズ及び酸化触媒の所記の用途に依存する。
【0023】
一般に、酸化触媒は、1.5:1から1:1.5のように、3:1から1:3(例えば、2:1から1:2)の、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比を含む。白金の総質量がパラジウムの総質量より大きいことが好ましい。好ましくは、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は、2:1から1.25:1のように、3:1から1.1:1(例えば、2.5:1から7:6)である。
【0024】
酸化触媒は、20から200g ft−3までの、好ましくは25から175gft−3、より好ましくは30から160g ft−3の白金族金属の総ローディングを一般に有する。
【0025】
図に模式的に示されるように、本発明の酸化触媒は、基材(5);基材(5)上に配置される第一のウォッシュコート領域(1);第一のウォッシュコート領域(1)に隣接する第二のウォッシュコート領域(2);及び基材(5)上に配置される第三のウォッシュコート領域(3)を含む。第三のウォッシュコート領域(3)は、第二のウォッシュコート領域(3)に隣接し得(図1を参照)、又は第二のウォッシュコート領域(2)は第三のウォッシュコート領域(3)上に配置され得る(図2を参照)。第二のウォッシュコート領域(2)は、基材上で、第一のウォッシュコート領域(1)に隣接する(例えば、第二のウォッシュコート領域は、基材の長さに沿って第一のウォッシュコート領域の隣に配置される)。疑義を避けるために、第一のウォッシュコート領域(1)、第二のウォッシュコート領域(2)及び第三のウォッシュコート領域(3)は、同一の基材上に担持される。
【0026】
酸化触媒は、基材上に配置される(例えば、直接的に配置又は担持される)下地ウォッシュコート層を含み得る。第一のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域は、下地ウォッシュコート層上の直接的に配置又は担持され得る。酸化触媒が、(i)第三のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート領域に隣接する配置を有するとき、第二のウォッシュコート領域は、下地ウォッシュコート層上に直接的に配置又は担持され得る。
【0027】
下地ウォッシュコート層は、基材の長さの95%から100%のように、基材の長さの少なくとも90%の長さを典型的に有する。下地ウォッシュコート層は、基材の長さと同じである長さを有することが好ましい。
【0028】
しかしながら、第一のウォッシュコート領域は、一般的に、基材上に直接的に配置される(すなわち直接的に担持される)。これは、第一のウォッシュコート領域が基材の表面と接触していることを意味する。基材の表面と第一のウォッシュコート領域の間に中間のウォッシュコート領域(例えば、下地ウォッシュコート層)がないことが好ましい。より好ましくは、基材の表面と第一のウォッシュコート領域と第三のウォッシュコート領域と(酸化触媒が(i)第三のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート領域に隣接する配置を有するときは、第二のウォッシュコート領域と)の間に、中間のウォッシュコート領域(例えば、下地ウォッシュコート層)がない。
【0029】
第一のウォッシュコート領域は、典型的には、第二のウォッシュコート領域の上流である(すなわち、第一のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域よりも基材の入口端に近い)。酸化触媒に入る排ガスは、第二のウォッシュコート領域に接触する前に、第一のウォッシュコート領域に接触するだろう。第一のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域の両方の上流であることが好ましい。
【0030】
本発明の酸化触媒の第一のウォッシュコート領域は、排ガス中の炭化水素(HCs)及び/又は一酸化炭素(CO)、特に炭化水素(HCs)の酸化を開始するためである。そのため、第一のウォッシュコート領域は、低いHCライトオフ温度及び/又はCOライトオフ温度(例えば、低いHC T50及び/又は低いCO T50)を有する。第一のウォッシュコート領域の活性は、ディーゼルエンジンの始動のすぐ後など、相対的に低い排ガス温度について有利である。第一のウォッシュコート領域によるHCs及び/又はCOの酸化は、発熱を生じ、それは、排ガス及び触媒の本体の温度を、第二及び第三のウォッシュコート領域による触媒作用のために最適である温度に上昇し得る。
【0031】
一般に、第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層を含むか、又はからなる。第一のウォッシュコート層は、基材上に直接的に配置され得る(すなわち直接的に担持され得る)。
【0032】
第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコートゾーンを含み得、又はからなり得る。第一のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。そのため、第一のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコート層の全体若しくは全長を含むか、又はからなる。
【0033】
第一のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る、該第四のウォッシュコート層は第一のウォッシュコート層上に配置される。そのため、第一のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコート層の全体又は全長、及び、第四のウォッシュコート層の全体又は全長を含むか、又はからなる。
【0034】
第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層の一部若しくは一部分を含み得、又はからなり得る(図3及び4における(1)及び(6)を参照)。第一のウォッシュコート層の部は、第一のウォッシュコート層の部長さ(例えば、全体又は全長ではない)である。
【0035】
第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層の一部を含むか又はからなるとき、典型的には、第一のウォッシュコート層と第三のウォッシュコート層との間に重なりがある(例えば、下記のように定義される第三のウォッシュコート層)。
【0036】
付加的又は代替的には、第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層の一部を含むか又はからなるとき、第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコート層の部は、PGMゾーンを含み得る。第一のウォッシュコート層の部(すなわち、それは第一のウォッシュコート領域を形成する部)は、PGMゾーン並びに第一のウォッシュコート層の隣接部分又は部分を含み得、又はからなり得る(すなわち、第一のウォッシュコート層の部又は部分は、基材上でPGMゾーンに隣接する)。PGMゾーンは、本発明の第一の方法態様により調製され得る。PGMゾーンは、酸化触媒の残部より高い活性のような、炭化水素に対する高い酸化活性を提供するために処方され得る。
【0037】
PGMゾーンの長さは、典型的には、第一のウォッシュコート領域の長さ又は第一のウォッシュコート層の部(すなわち、それは第一のウォッシュコート領域を形成する)より短い。そのため、第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコート層の部分は、PGMゾーンと、第一のウォッシュコート層の隣接部又は部分とに細分化され得る。
【0038】
一般的に、PGMゾーンは、基材の入口端にあるか又は隣接する。PGMは、好ましくは、第一のウォッシュコート層の隣接部又は部分の上流である。
【0039】
第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含み得、該第四のウォッシュコート層は、第一のウォッシュコート層上に配置される。第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含むとき、好ましくは、第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層の一部又は一部分と第四のウォッシュコート層の一部又は一部分とを含み、該第四のウォッシュコート層の部は、第一のウォッシュコート層の部分上に配置される。第一のウォッシュコート層の部は、第一のウォッシュコート層の部長さ(例えば、全体又は全長ではない)である。第四のウォッシュコート層の部は、第四のウォッシュコート層の部長さ(例えば、全体又は全長ではない)である。
【0040】
一般に、第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンは、基材の長さ(すなわち、軸長L)より短い長さを有する。第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンは、基材の長さの少なくとも5%の長さを有することが好ましい。第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンは、基材の長さの10から80%の長さを典型的に有し、好ましくは、20から70%であり、基材の長さの40から60%のように、より好ましくは基材の長さの30から60%である。
【0041】
第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンは、基材の長さの50%より短いか若しくは等しいことが一般に好ましく、好ましくは基材の長さの50%より短く、より好ましくは基材の長さの30%より短い。そのため、第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンは、基材の長さの10から50%の長さを好ましくは有し、より好ましくは基材の長さの15から45%であり、基材の長さの20から40%のように、更により好ましくは基材の長さの25から35%である。
【0042】
第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコート層の部分がPGMゾーンを含むとき、PGMゾーンの長さは、典型的に基材の長さの1から25%、好ましくは基材の長さの2.5から20%(例えば、基材の長さの2.5から7.5%)であり、より好ましくは基材の長さの5から15%(例えば、基材の長さの5から10%)である。
【0043】
PGMゾーンは、0.5から2インチ(12.7から50.81mm)の長さを有し得る。PGMゾーンは、0.5から1.5インチ又は0.6から1.75インチのように、0.5から1.75インチの長さを有することが好ましく、より好ましくは0.75から1.25インチである。典型的には、PGMゾーンは、約又はほぼ1インチ(2.54cm)の長さを有する。
【0044】
一般に、第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンは、基材の入口端に配置されるか又は隣接する。
【0045】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、第一の白金族金属(PGM)を含む。第一のウォッシュコート領域中のPGMだけが第一のPGMであることが好ましい。
【0046】
第一のPGMは、白金、パラジウム並びに白金及びパラジウムの組合せからなる群から典型的に選択される。第一のPGMは、白金であり得る(例えば、白金のみ)。第一のPGMは、パラジウムであり得る(例えば、パラジウムのみ)。第一のPGMは、白金及びパラジウムの組合せであり得る(例えば、白金及びパラジウムのみ)。
【0047】
一般的に、(例えば、第一のウォッシュコート領域、ゾーン又は層の)第一のPGMの総ローディングは、(例えば、第三のウォッシュコート領域、ゾーン又は層の)第三のPGMの総ローディングより大きい。
【0048】
第一のウォッシュコート領域は、5から300g ft−3の第一のPGMの総ローディングを典型的に有する。好ましくは、第一のPGMの総ローディングは10から250g ft−3、より好ましくは15から200g ft−3(例えば、15から100g ft−3)、なおより好ましくは20から150g ft−3(例えば、20から75g ft−3)、及び更により好ましくは25から100g ft−3である。第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層又は第一のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなるとき、好ましくは、第一のウォッシュコート層又は第一のウォッシュコートゾーンは、5から300g ft−3の第一のPGMの総ローディングを有する。好ましくは、第一のPGMの総ローディングは、10から250g ft−3、より好ましくは15から200g ft−3(例えば、15から100g ft−3)、なおより好ましくは20から150g ft−3(例えば、20から75g ft−3)、及び更により好ましくは25から100g ft−3である。
【0049】
第一のPGMが白金及びパラジウムの組合せであるとき、典型的には、第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、3.5:1から1:3.5(例えば、3:1から1:3)、好ましくは2:1から1:2、及びより好ましくは1.5:1から1:1.5(例えば、約1:1)の白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比を含む。
【0050】
第一のPGMが白金及びパラジウムの組合せであるとき、第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、パラジウムの総質量より大きいか若しくは等しい白金の総質量を含む(例えば、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は、≧1:1である)。
【0051】
有利なライトオフ活性は、パラジウムの総質量が第一のウォッシュコート領域において白金の総質量より大きいか又は等しいときに得られ得る。より好ましくは、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は、3.5:1から1:1(例えば、3.5:1から1.1:1)、好ましくは3:1から1.25:1、及びより好ましくは2.5:1から1.5:1である。
【0052】
第一のPGMがパラジウム、又は白金及びパラジウムの組合せであるとき、第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、金を含んでもよい。第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、パラジウム−金合金を含んでもよい(例えば、第一の白金族金属のパラジウムは、金との合金として存在してもよい)。金(Au)を含む触媒は、国際公開第2012/120292号に記載の方法を用いて調製され得る。
【0053】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層が、パラジウム−金合金のように、金を含むとき、一般に、第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、9:1から1:9、好ましくは5:1から1:5、及びより好ましくは2:1から1:2である、パラジウム(Pt)の総質量の金(Au)の総質量に対する比を含む。
【0054】
PGMゾーンは、白金、パラジウム及びその組合せからなる群から選択される白金族金属(PGM)を典型的に含む。第一のPGMの定義は、PGMゾーンの白金族金属(PGM)を含む。
【0055】
PGMゾーンは、第一のウォッシュコート領域の残部(すなわち、第一のウォッシュコート層の隣接部)と異なるPGMの総量(例えば、総ローディング)を含む。PGMゾーンは、第一のウォッシュコート領域の残部より大きいPGMの総量(例えば、総ローディング)を有する。
【0056】
PGMゾーン中の白金(Pt)の総ローディングは、第一のウォッシュコート領域の残部(すなわち、第一のウォッシュコート層の隣接部)中の白金(Pt)の総ローディングより大きいことが好ましい。より好ましくは、PGMゾーン中のパラジウム(Pd)の総ローディングは、第一のウォッシュコート領域の残部(すなわち、第一のウォッシュコート層の隣接部)中のパラジウム(Pd)の総ローディングより小さい。
【0057】
PGMゾーンが、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)を含むとき、典型的には、白金(Pt)のパラジウム(Pd)に対する重量比は、≧1:1である。白金(Pt)のパラジウム(Pd)に対する重量比は、≧1.1:1であることが好ましく、より好ましくは≧1.25:1であり、≧1.75:1(例えば、≧2:1)のように、特に≧1.5:1、及びなおより好ましくは≧2.5:1(例えば、≧5:1)である。そのため、PGMゾーンは、10:1から1:1(例えば、2:1から1.1:1又は7.5:1から5:1)、より好ましくは8:1から1.25:1(例えば、7:1から1.5:1)であり、及びなおより好ましくは6:1から2.5:1の重量比で白金(Pt)並びにパラジウム(Pd)を典型的に含む。
【0058】
典型的には、第一の担体物質は、耐火性金属酸化物を含むか又はから実質的になる。ディーゼルエンジンのための酸化触媒中の担体材料としての使用のために適する耐火性金属酸化物は、当該技術分野で周知である。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの二つ以上の混合又は複合酸化物からなる群から選択され得る。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ及びその混合又は複合酸化物から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ及びシリカ−アルミナから選択される。更により好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナである。
【0059】
第一のPGMがパラジウム、又は白金及びパラジウムの組合せであるとき、第一の担体材料は、セリウム酸化物、特にセリア(CeO)又はセリア−ジルコニア(CeO−ZrO)を含んでも、含まなくてもよく、又はからなっても、ならなくてもよい。
【0060】
一般的に、第一のPGMは、第一の担体材料上に配置又は担持される。第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層が金を含むとき、金又はパラジウム−金合金は、第一の担体材料上に配置又は担持されてもよい。例えば、第一のPGM及び/若しくは金は、第一の担体材料上に分散され得、並びに/又は第一の担体材料中に含浸され得る。
【0061】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、0.25から5g in−3、0.75から3g in−3のように、好ましくは0.5から4g in−3、1.25から2.0g in−3のように、より好ましくは1.0から2.5g in−3の総ウォッシュコートローディングを典型的に含む。
【0062】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、炭化水素吸着剤を更に含み得る。炭化水素吸着剤は、ゼオライト、活性炭、多孔性グラファイト及びそれらの二つ以上の組合せから選択され得る。炭化水素吸着剤は、ゼオライトであることが好ましい。
【0063】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層が炭化水素吸着剤を含むとき、典型的には、炭化水素吸着剤の総量は、0.05から3.00g in−3であり、特に0.10から2.00g in−3(例えば、0.2から0.8g in−3)である。
【0064】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン若しくは第一のウォッシュコート層は、アルカリ土類金属を含んでも、含まなくてもよい。
【0065】
典型的に、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの二つ以上の組合せを含む。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であることが好ましくは、より好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)、及び最も好ましくはアルカリ土類金属はバリウム(Ba)を含む。
【0066】
典型的には、アルカリ土類金属の量は、0.07から3.75mol ft−3、特に0.1から3.0mol ft−3、0.3から2.25mol ft−3のように、より好ましくは0.2から2.5mol ft−3(例えば、0.25から1.0mol ft−3)、特に0である。0.35から1.85mol ft−3、好ましくは0.4から1.5mol ft−3、より好ましくは0.5から1.25mol ft−3である。
【0067】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層がアルカリ土類金属を更に含むとき、第一の担体材料は、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナを含んでも、含まなくてもよく、又はから実質的になっても、ならなくてもよい。ヘテロ原子成分は、シリコン、マグネシウム、バリウム、ランタン、セリウム、チタン若しくはジルコニウム又はそれらの二つ以上の組合せを典型的に含む。ヘテロ原子成分は、シリコンの酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物若しくはジルコニウムの酸化物を含んでもよく又はから実質的になってもよい。より好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ又はマグネシウムの酸化物でドープされたアルミナである。更により好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナである。ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、当該技術分野で既知である方法により、又は、例えば、米国特許5045519号に記載の方法により調製され得る。
【0068】
第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、第一のPGM、第一の担体材料及びアルカリ土類金属成分から実質的になり得る。第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、第一のPGM及び第一の担体材料から好ましくは実質的になる。
【0069】
第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域に隣接する。第二のウォッシュコート領域は、(i)第三のウォッシュコート領域に隣接(例えば、直接隣接)するか、又は(ii)第二のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコート領域上に配置されるかのいずれかである。
【0070】
本発明の触媒に入る排ガスは、第三のウォッシュコート領域の前に、第二のウォッシュコート領域に一般に接触する。第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域のための「スタビライザ(stabilizer)」として作用する。第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域の酸化反応の幾つか又は全てを行うという意味で「スタビライザ(stabilizer)」として作用するが、第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域よりも、HC及び/又はCOについての高いライトオフ温度を有してもよい。これは、HC及び/又はCOの酸化が、より高い排ガス温度において続けられることを保証し、それは、付加的な発熱を生じ得る。
【0071】
第二のウォッシュコート領域は、二つの他の機能も提供し得る:(1)特に、第二のPGMが白金だけのとき、NOをNOに酸化すること、及び/又は(2)特に、第三のウォッシュコート領域の第三のPGMがパラジウムを含むとき、第三のウォッシュコート領域をディーゼル燃料中の硫黄若しくはその酸化物により被毒されることから保護すること。白金は、一般に、硫黄による被毒に対してパラジウムよりも抵抗力がある。白金は、優れたNO酸化活性も示す。例えば、第二のPGMが白金であるとき(すなわち、白金のみ)、それは、より高い温度で生じる硫黄被毒から第三のウォシュコート領域を保護し、それにより、全体として酸化触媒の硫黄耐性を改善する。
【0072】
一般に、第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域に対して、異なる組成(すなわち、異なる全体組成)を有する。
【0073】
典型的には、第二のウォッシュコート領域は、基材の長さ(すなわち、軸長L)より短い長さを有する。第二のウォッシュコート領域は、基材の長さの少なくとも10%の長さを有することが好ましく、基材の長さの少なくとも20%のように、より好ましくは、基材の長さの少なくとも15%である。
【0074】
第二のウォッシュコート領域は、基材の長さの15から60%のように、基材の長さの10から70%の長さ(例えば、40から70%)を有し得、特に、基材の長さの20から50%、好ましくは基材の長さの30から40%である。
【0075】
第二のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコートゾーンを含み得、又はからなり得る。
【0076】
第二のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。
【0077】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、第一のウォッシュコート領域に典型的に接するか若しくは連続する。
【0078】
第二のウォッシュコート領域は、第二の白金族金属(PGM)を含む。第二のウォッシュコート領域中のPGMだけが第二のPGMであることが好ましい。
【0079】
典型的には、第二のPGMは、白金、パラジウム並びに白金及びパラジウムの組合せからなる群から選択される。第二のPGMは、白金であり得る(例えば、白金のみ)。第二のPGMは、パラジウムであり得る(例えば、パラジウムのみ)。第二のPGMは、白金及びパラジウムの組合せであり得る(例えば、白金及びパラジウムのみ)。
【0080】
第二のウォッシュコート領域は、5から300g ft−3の第二のPGMの総ローディングを典型的に有する。好ましくは第二のPGMの総ローディングは、10から250g ft−3、より好ましくは15から200g ft−3(例えば、15から100g ft−3)、なおより好ましくは20から150g ft−3(例えば、20から75g ft−3)、及び更により好ましくは25から100g ft−3である。第二のウォッシュコート領域が、第二のウォッシュコート層若しくは第二のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなるとき、好ましくは、第二のウォッシュコート層又は第二のウォッシュコートゾーンは、10から250g ft−3、より好ましくは15から200g ft−3(例えば、15から100g ft−3)、25から100g ft−3のように、なおより好ましくは20から150g ft−3(例えば、20から75g ft−3)の第二のPGMの総ローディングを有する。
【0081】
一般に、第二のPGMが白金及びパラジウムの組合せであるとき、第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、10:1から1:10(例えば、7.5:1から1:7.5)、好ましくは5:1から1:5(例えば、3:1から1:3)であり、及びより好ましくは2.5:1から1:2.5(例えば、2:1から1:2)である白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比を含む。
【0082】
第二のPGMがパラジウム、又は白金及びパラジウムの組合せであるとき、第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、金を含み得る。第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、パラジウム−金合金を含み得る(例えば、第二のPGMのパラジウムは、金との合金であり得る)。
【0083】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、パラジウム−金合金のように、金を含むとき、一般に、第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、9:1から1:9、好ましくは5:1から1:5、及びより好ましくは2:1から1:2であるパラジウム(Pt)の総質量の金(Au)の総質量に対する比を含む。
【0084】
典型的には、第二の担体物質は、耐火性金属酸化物を含むか又はから実質的になる。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの二つ以上の混合又は複合酸化物からなる群から選択され得る。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ及びその混合又は複合酸化物から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ及びシリカ−アルミナから選択される。更により好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナである。
【0085】
一般的に、第二のPGMは、第二の担体材料上に配置又は担持される。第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層が金を含むとき、金若しくはパラジウム−金合金は、第二の担体材料上に配置又は担持され得る。例えば、第二のPGM及び/若しくは金は、第二の担体材料上に分散され得、並びに/又は第二の担体材料中に含浸され得る。
【0086】
第二のPGMがパラジウム、又は白金及びパラジウムの組合せであるとき、第二の担体材料は、セリウム酸化物、特にセリア(CeO)若しくはセリア−ジルコニア(CeO−ZrO)を含んでも、含まなくてもよく、又はからなっても、ならなくてもよい。
【0087】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、0.25から5g in−3、0.75から3g in−3のように、好ましくは0.5から4g in−3、1.25から2.0g in−3のように、より好ましくは1.0から2.5g in−3の総ウォッシュコートローディングを典型的に含む。
【0088】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、炭化水素吸着剤を更に含み得る。炭化水素吸着剤は、ゼオライト、活性炭、多孔性グラファイト及びそれらの二つ以上の組合せから選択され得る。炭化水素吸着剤は、ゼオライトであることが好ましい。
【0089】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層が炭化水素吸着剤を含むとき、典型的には、炭化水素吸着剤の総量は、0.05から3.00g in−3、特に0.10から2.00g in−3、より好ましくは0.2から0.8g in−3である。
【0090】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、アルカリ土類金属を含んでも、含まなくてもよい。
【0091】
典型的には、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの二つ以上の組合せを含む。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)を含むことが好ましく、より好ましくはストロンチウム(Sr)若しくはバリウム(Ba)、並びに最も好ましくはアルカリ土類金属はバリウム(Ba)を含む。
【0092】
典型的には、アルカリ土類金属の量は、0.07から3.75mol ft−3、特に0.1から3.0mol ft−3、より好ましくは、0.2から2.5mol ft−3(例えば、0.25から1.0mol ft−3)、0.3から2.25mol ft−3のように、特に0、0.35から1.85mol ft−3、好ましくは0.4から1.5mol ft−3、より好ましくは0.5から1.25mol ft−3である。
【0093】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層がアルカリ土類金属を更に含むとき、第二の担体材料は、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナを含んでも、含まなくてもよく、又はから実質的になっても、ならなくてもよい。ヘテロ原子成分は、シリコン、マグネシウム、バリウム、ランタン、セリウム、チタン若しくはジルコニウム又はそれらの二つ以上の組合せを典型的に含む。ヘテロ原子成分は、シリコンの酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物若しくはジルコニウムの酸化物を含んでもよく又はから実質的になる。より好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ又はマグネシウムの酸化物でドープされたアルミナである。更により好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナである。
【0094】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、第二の担体材料及びアルカリ土類金属成分から実質的になり得る。第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、第二のPGM及び第二の担体材料から好ましくは実質的になる。
【0095】
一般的には、第三のウォッシュコート領域は、基材上に直接的に配置される(すなわち直接的に担持される)。これは、第三のウォッシュコート領域が基材の表面と接触していることを意味する。基材の表面と第三のウォッシュコート領域との間に中間のウォッシュコート領域がないことが好ましい。
【0096】
第三のウォッシュコート領域は、典型的には、第一のウォッシュコート領域の下流である(すなわち、第三のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域から入口端よりも基材の出口端に近い)。酸化触媒に入る排ガスは、第三のウォッシュコート領域に接触する前に、第一のウォッシュコート領域(と第二のウォッシュコート領域との両方)に接触するだろう。
【0097】
酸化触媒に入る排ガスは、第一及び第二のウォッシュコート領域に接触する後に、第三のウォッシュコート領域に一般に接触する。第一及び第二のウォッシュコート領域は、HCs及びCOを酸化することにより熱を有利に生じ、それは、排ガスの温度及び第三のウォッシュコート領域をNO酸化についてのそのライトオフ温度まで上昇し得る。
【0098】
一般に、第三のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域に対して異なる組成(すなわち、異なる全体組成)を有する。第三のウォッシュコート領域は、第一及び第二のウォッシュコート領域の両方に対して異なる組成(すなわち、異なる全体組成)を有することが好ましい。
【0099】
第三のウォッシュコート領域は、第三のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。
【0100】
第三のウォッシュコート領域は、第三のウォッシュコートゾーンを含み得、又はからなり得る。第三のウォッシュコートゾーンは、第三のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。そのため、第三のウォッシュコートゾーンは、第三のウォッシュコート層の全体若しくは全長を含むか又はからなる。
【0101】
第三のウォッシュコート領域は、第三のウォッシュコート層の一部若しくは部分を含み得、又はからなり得る(図3並びに4における、(3)及び(7)を参照)。第三のウォッシュコート層の部は、第三のウォッシュコート層の部長さ(例えば、全体又は全長ではない)である。第三のウォッシュコート領域が、第三のウォッシュコート層の一部又は一部分を含むか、又はからなるとき、典型的には、第一のウォッシュコート層と第三のウォッシュコート層との間に重なりがある。
【0102】
第三のウォッシュコート領域は、第三の白金族金属(PGM)を含む。第三のウォッシュコート領域中のPGMだけが第三のPGMであることが好ましい。
【0103】
典型的には、第三のPGMは、白金、パラジウム、並びに白金及びパラジウムの組合せからなる群から選択される。第三のPGMは、白金であってもよい(例えば、白金のみ)。第三のPGMは、パラジウムであってもよい(例えば、パラジウムのみ)。第三のPGMは、白金及びパラジウムの組合せであってもよい(例えば、白金及びパラジウムのみ)。
【0104】
第三のウォッシュコート領域は、5から300g ft−3の第三のPGMの総ローディングを典型的に有する。好ましくは、第三のPGMの総ローディングは、7.5から250g ft−3、より好ましくは10から200g ft−3(例えば、15から100g ft−3)、なおより好ましくは、15から150g ft−3(例えば、20から75g ft−3)、及び更により好ましくは、25から100g ft−3である。第三のウォッシュコート領域が、第三のウォッシュコート層若しくは第三のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなるとき、好ましくは、第三のウォッシュコート層又は第三のウォッシュコートゾーンは、10から250g ft−3、より好ましくは15から200g ft−3(例えば、15から100g ft−3)、なおより好ましくは20から150g ft−3(例えば、20から75g ft−3)及び更により好ましくは25から100g ft−3の第二のPGMの総ローディングを有する。
【0105】
一般に、第三のPGMが白金及びパラジウムの組合せであるとき、第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、10:1から1:10(例えば、7.5:1から1:7.5)、好ましくは5:1から1:5(例えば、3:1から1:3)、及びより好ましくは2.5:1から1:2.5(例えば、2:1から1:2)の白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比を含む。
【0106】
第三のPGMが白金及びパラジウムの組合せであるとき、第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン若しくは第三のウォッシュコート層は、パラジウムの総質量より大きいか又は等しい白金の総質量を含む(例えば、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は、≧1:1である)。より好ましくは、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は、10:1から1:1(例えば、7.5:1から1.1:1)、好ましくは5:1から1.25:1、及びより好ましくは2.5:1から1.5:1である。
【0107】
第三のPGMがパラジウム、又は白金及びパラジウムの組合せであるとき、第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、金を含んでもよい。第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、パラジウム−金合金を含んでもよい(例えば、第二のPGMのパラジウムは、金との合金として存在してもよい)。
【0108】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層が、パラジウム−金合金のように、金を含むとき、一般に、第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、9:1から1:9、好ましくは5:1から1:5、より好ましくは2:1から1:2の、金(Au)の総質量に対するパラジウム(Pt)の総質量の比を含む。
【0109】
典型的には、第三の担体物質は、耐火性金属酸化物を含むか又はから実質的になる。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの二つ以上の混合又は複合酸化物からなる群から選択されてもよい。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ及びその混合又は複合酸化物から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ及びシリカ−アルミナから選択される。更により好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナである。
【0110】
第三のPGMがパラジウム、又は白金及びパラジウムの組合せであるとき、第三の担体材料は、セリウム酸化物、特にセリア(CeO)若しくはセリア−ジルコニア(CeO−ZrO)を含んでも、含まなくてもよく、あるいはからなっても、ならなくてもよい。
【0111】
一般的に、第三のPGMは、第三の担体材料上に配置されるか又は担持される。第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層が金を含むとき、金又はパラジウム−金合金は、第三の担体材料上に配置又は担持されてもよい。例えば、第三のPGM及び/若しくは金は、第三の担体材料上に分散され得、並びに/又は第三の担体材料中に含浸され得る。
【0112】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、0.25から5g in−3、0.75から3g in−3のように、好ましくは0.5から4g in−3、1.25から2.0g in−3のように、より好ましくは1.0から2.5gin−3の総ウォッシュコートローディングを典型的に含む。
【0113】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、炭化水素吸着剤を更に含んでもよい。炭化水素吸着剤は、ゼオライト、活性炭、多孔性グラファイト及びそれらの二つ以上の組合せから選択されてもよい。炭化水素吸着剤は、ゼオライトであることが好ましい。
【0114】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層が炭化水素吸着剤を含むとき、典型的には、炭化水素吸着剤の総量は、0.05から3.00g in−3、特に0.10から2.00g in−3、より好ましくは0.2から0.8g in−3である。
【0115】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、アルカリ土類金属を含んでも、含まなくてもよい。
【0116】
典型的には、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)又はそれらの二つ以上の組合せを含む。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)、より好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)を含むことが好ましく、最も好ましくは、アルカリ土類金属はバリウム(Ba)を含む。
【0117】
典型的には、アルカリ土類金属の量は、0.07から3.75mol ft−3、特に0.1から3.0mol ft−3、0.3から2.25mol ft−3のように、より好ましくは0.2から2.5mol ft−3(例えば、0.25から1.0mol ft−3)、特に0、0.35から1.85mol ft−3、好ましくは、0.4から1.5mol ft−3、より好ましくは0.5から1.25mol ft−3である。
【0118】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層がアルカリ土類金属を更に含むとき、第一の担体材料は、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナを含んでも、含まなくてもよく、又はから実質的になっても、ならなくてもよい。ヘテロ原子成分は、シリコン、マグネシウム、バリウム、ランタン、セリウム、チタン若しくはジルコニウム又はそれらの二つ以上の組合せを典型的に含む。ヘテロ原子成分は、シリコンの酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物若しくはジルコニウムの酸化物を含んでもよく又はから実質的になってもよい。より好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナ又はマグネシウムの酸化物でドープされたアルミナである。更により好ましくは、ヘテロ原子成分でドープされたアルミナは、シリカでドープされたアルミナである。
【0119】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、第三のPGM、第三の担体材料及びアルカリ土類金属成分から実質的になってもよい。第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、第三のPGM及び第三の担体材料から好ましくは実質的になる。
【0120】
本発明の酸化触媒の第一の態様は、(i)第三のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート領域に隣接する(例えば、直接的に隣接する)配置に関する。第三のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域に接するか又は連続してもよい。典型的には、第三のウォッシュコート領域は、基材上で第二のウォッシュコート領域に隣接する(例えば、第三のウォッシュコート領域は、基材の長さに沿って第二のウォッシュコート領域の隣に配置される)。
【0121】
第一の酸化触媒態様では、典型的には、第二のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域のいずれかは、基材上に直接的に配置される(すなわち、直接的に担持される)。
【0122】
第一の酸化触媒態様では、第二のウォッシュコート領域は、基材の入口端若しくは出口端に配置されるか又は隣接されてもよい。
【0123】
第三のウォッシュコート領域は、基材の出口端に典型的に配置されるか又は隣接する。
【0124】
一般に、第一の酸化触媒態様では、第二のPGM(例えば、第二のウォッシュコート領域又は第二のウォッシュコートゾーンにおける)の総ローディングは、第三のPGM(例えば、第三のウォッシュコート領域又は第三のウォッシュコートゾーンにおける)の総ローディングより大きい。
【0125】
第一の酸化触媒態様では、第二のPGM(例えば、第二のウォッシュコート領域又は第二のウォッシュコートゾーンにおける)の総ローディングは、第一のPGM(例えば、第一のウォッシュコート領域又は第一のウォッシュコートゾーンにおける)の総ローディングより典型的に大きい。
【0126】
典型的には、第一の酸化触媒態様では、第一のウォッシュコート領域は、上流のウォッシュコート層(例えば、ここで定義される第一のウォッシュコート層)の一部又は一部分(例えば、前部又は前部分)を含み、第二のウォッシュコート領域は、上流のウォッシュコート層の一部又は一部分(例えば、後部又は後部分)及び下流のウォッシュコート層(例えば、ここで定義される第三のウォッシュコート層)の一部又は一部分(例えば、前部又は前部分)を含み、第三のウォッシュコート領域は、下流のウォッシュコート層の一部又は一部分(例えば、後部又は後部分)を含む。この本発明の第一の酸化触媒態様は、第二のウォッシュコート領域における重なりの性質に依存する二つの触媒の配置を包含する。そのような配置は、本発明の第二の方法態様による方法を用いることより得られ得る。
【0127】
一般に、第一の酸化触媒態様では、第一のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域の長さの合計は、好ましくは、基材の長さと同じである。
【0128】
第二のウォッシュコート領域は、上記のように定義される長さを有してもよい。好ましくは、第二のウォッシュコート領域は、基材の長さの10から40%の長さを有し、基材の長さの20から30%のように、より好ましくは基材の長さの15から35%である。
【0129】
第一の酸化触媒態様では、第三のウォッシュコート領域は、基材の長さの10から40%の長さを典型的に有し、基材の長さの20から30%のように、より好ましくは基材の長さの15から35%である。
【0130】
第一の酸化触媒態様では、第一のウォッシュコート領域が上流のウォッシュコート層(例えば、ここで定義される第一のウォッシュコート層)の一部若しくは一部分を含むか又はからなるとき、第一のウォッシュコート領域又は上流のウォッシュコート層の一部若しくは一部分は、PGMゾーンを含んでもよい。PGMは、上記のように定義されてもよい。
【0131】
第一の配置では、第二のウォッシュコート領域は、下流のウォッシュコート層の前部又は前部分上に配置された(すなわち、重なっている)上流のウォッシュコート層の後部又は後部分を含み得、又はからなり得る(図3を参照)。下流のウォッシュコート層(例えば、下流のウォッシュコート層の全て又は全体)は、典型的には基材上に直接配置される。下流のウォッシュコート層の後部又は後部分は、上流のウォッシュコート層を担持しない(例えば、上流のウォッシュコート層により被覆されない又は下に横たわらない)ことが好ましい。第二の方法態様では、長さLの第一のウォッシュコート(図3の(7)を参照)は、基材上に直接的に配置される第三のウォッシュコート領域の部分及び第二のウォッシュコート領域の部分を形成する。長さLの第二のウォッシュコート(図3の(6)を参照)は、下地ウォッシュコート層上に配置される第一のウォッシュコート領域の部分及び第二のウォッシュコート領域の部分を形成する。第一のウォッシュコート領域の長さはL−Lにより与えられ、第二のウォッシュコート領域の長さはL+LーLにより与えられ、及び第三のウォッシュコート領域の長さはL−Lにより与えられる。
【0132】
第一の配置では、(例えば、第一のウォッシュコート領域の)第一のPGMは、典型的には、白金(例えば、白金だけ)である。(例えば、第三のウォッシュコート領域の)第三のPGMは、好ましくは、白金及びパラジウムの組合せである。(例えば、第二のウォッシュコート領域の)第二のPGMは、白金及びパラジウムの組合せである。第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層からの第一のPGMの部及び下流のウォッシュコート層(例えば、第三のウォッシュコート層)からの第三のPGMの部を含む。
【0133】
あるいは、第二の配置では、第二のウォッシュコート領域は、上流のウォッシュコート層の後部又は後部分上に配置された(すなわち、重なっている)下流のウォッシュコート層の前部又は前部分を含み得、又はからなり得る(図4を参照)。上流のウォッシュコート層(例えば、上流のウォッシュコート層の全て又は全体)は、典型的に基材上に直接配置される。上流のウォッシュコート層の前部又は前部分は、下流のウォッシュコート層を担持しない(例えば、下流のウォッシュコート層により被覆されない又は下に横たわらない)ことが好ましい。第二の方法態様では、長さLの第一のウォッシュコート(図4の(6)を参照)は、基材上に直接的に配置される第一のウォッシュコート領域の部分及び第二のウォッシュコート領域の部分を形成する。長さLの第二のウォッシュコート(図4の(7)を参照)は、下地ウォッシュコート層上に配置される第三のウォッシュコート領域の部分及び第二のウォッシュコート領域の部分を形成する。第一のウォッシュコート領域の長さは、L−Lにより与えられ、第二のウォッシュコート領域の長さは、L+LーLにより与えられ、及び第三のウォッシュコート領域の長さは、L−Lにより与えられる。
【0134】
第二の配置では、(例えば、第一のウォッシュコート領域の)第一のPGMは、典型的には、白金及びパラジウムの組合せである。(例えば、第三のウォッシュコート領域の)第三のPGMは、好ましくは、白金(例えば、白金だけ)である。(例えば、第二のウォッシュコート領域の)第二のPGMは、白金及びパラジウムの組合せである。
【0135】
第二の配置では、第一のウォッシュコート領域又は上流のウォッシュコート層は、上記のように、パラジウムの総質量より大きいか又は等しい白金の総質量を含む。
【0136】
本発明の酸化触媒の第一の態様は、第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコートゾーンを含み、第二のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコートゾーンを含み、及び第三のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコートゾーンを含む酸化触媒にも関する。第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコートゾーンからなり、第二のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコートゾーンからなり、及び第三のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコートゾーンからなることが好ましい。
【0137】
第二のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコートゾーンの長さより大きいか又は等しい長さを好ましくは有する。より好ましくは、第二のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコートゾーンの長さより長い長さを好ましくは有する。更により好ましくは、第二のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコートゾーン及び第三のウォッシュコートゾーンのいずれかの長さより長い長さを好ましくは有する。
【0138】
第一のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコート層から典型的になる。第一のウォッシュコート層と第二のウォッシュコート層との間に重なりがないことが好ましい。第一のウォッシュコートゾーンの第一のPGMは、上記のように定義される。
【0139】
第二のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコート層(ここで定義される)のような、単一のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。第二のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコート層(ここで定義される)及び第四のウォッシュコート層のような、二つのウォッシュコート層を含み得、又はからなり得、該第二のウォッシュコート層は、第四のウォッシュコート層上に配置される。
【0140】
第二のウォッシュコート層と第三のウォッシュコート層との間に重なりがないことが好ましい。第二のウォッシュコートゾーンが第四のウォッシュコート層を含むとき、第四のウォッシュコート層と第三のウォッシュコート層との間に重なりがないことが好ましい。
【0141】
第一の酸化触媒態様では、第二のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなるとき、好ましくは、第二のPGMは、白金及びパラジウムの組合せである。第二のウォッシュコート領域が、第二のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含むか又はからなるとき、好ましくは、第二のウォッシュコート層は、白金を含み(例えば、白金が第二のウォッシュコート層中の唯一のPGM)、第四のウォッシュコート層は、白金及びパラジウムの組合せを含む(例えば、白金及びパラジウムが第四のウォッシュコート層中の唯一のPGM)。
【0142】
第三のウォッシュコートゾーンは、第三のウォッシュコート層からなってもよい。
【0143】
第一の酸化触媒態様では、第三のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコートゾーン若しくは第三のウォッシュコート層を含むか又はからなるとき、第三のPGMは、好ましくは白金(例えば、白金だけ)である。
【0144】
第一のウォッシュコートゾーン、第二のウォッシュコートゾーン及び第三のウォッシュコートゾーンを含む第一の態様の酸化触媒は、本発明の第一の方法態様の方法を用いて作製され得る。第一のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコートゾーンは、方法の含浸工程(iv)により形成され得る。
【0145】
PGMゾーン又は第一のウォッシュコートゾーンは、本発明の方法による含浸工程により形成され得る。PGMゾーン又は第一のウォッシュコートゾーンが含浸工程により形成されるとき、PGMゾーン又は第一のウォッシュコートゾーンは、Lにより表される長さを有する。第一のウォッシュコートが含浸される場合、好ましくはL<Lである。第二のウォッシュコートゾーンは、L−Lにより表される長さを有する。第二のウォッシュコートゾーンは、残存する第一のウォッシュコートの非含浸部により形成される。第二のウォッシュコートが含浸される場合、好ましくはL<Lである。第二のウォッシュコートゾーンは、L−Lにより表される長さを有する。第二のウォッシュコートゾーンは、残存する第二のウォッシュコートの非含浸部により形成される。
【0146】
本発明の酸化触媒の第二の態様は、(ii)第二のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコート領域上に配置又は担持される配置に関する。典型的には、第三のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域に隣接する。第三のウォッシュコート領域は、基材上で第一のウォッシュコート領域に隣接する(例えば、第三のウォッシュコート領域は、基材の長さに沿って第一のウォッシュコート領域の隣に配置される)。第二のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート領域に隣接することが好ましい。そのため、第二のウォッシュコート領域及び第三のウォッシュコート領域の両方が、基材の長さに沿って第一のウォッシュコート領域の隣に配置される。
【0147】
第二のウォッシュコート領域及び/若しくは第三のウォッシュコート領域は、基材の出口端に典型的に配置されるか又は隣接する。
【0148】
本発明の第二の酸化触媒態様では、第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層若しくは第一のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなり、第二のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート層を含み、並びに第三のウォッシュコート領域は、第三のウォッシュコート層を含む。第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層又は第一のウォッシュコートゾーンからなり、第二のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート層からなり、及び第三のウォッシュコート領域が第三のウォッシュコート層からなることが好ましい。より好ましくは、第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層からなる。
【0149】
第一のウォッシュコート領域が、第一のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなるとき、第一のウォッシュコートゾーンは、上記のように定義されるPGMゾーンであってもよい。
【0150】
第一のウォッシュコート層と(a)第二のウォッシュコート層及び/又は(b)第三のウォッシュコート層との間に重なりがないことが好ましい。
【0151】
典型的には、本発明の第二の酸化触媒態様では、第二のPGMは、白金(例えば、白金だけ)であり、第三のPGMは、パラジウム(例えば、パラジウムだけ)並びに白金及びパラジウムの組合せ(例えば、白金及びパラジウムだけ)からなる群から選択される。第三のPGMは、白金及びパラジウムの組合せであることが好ましい。第一のPGMは、上記のように定義される。
【0152】
第三のPGMが、白金及びパラジウムの組合せであるとき、第三のウォッシュコート層は、10:1から1:10(例えば、7.5:1から1:7.5)、好ましくは5:1から1:5(例えば、3:1から1:3)、より好ましくは2.5:1から1:2.5(例えば、2:1から1:2)の白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比を含む。
【0153】
第二の酸化触媒態様では、第三のウォッシュコート層の長さは、第二のウォッシュコート層の長さに等しくてもよく、より長いか又はより短くてもよい。第三のウォッシュコート層の長さは、第二のウォッシュコート層の長さとほぼ同じであることが好ましい。
【0154】
一般に、第二の酸化触媒態様では、第二のウォッシュコート層の長さは、基材の長さの20から90%までの長さであり、基材の長さの40から70%のように、より好ましくは基材の長さの30から80%であり、更により好ましくは、基材の長さの40から60%である。
【0155】
本発明の第二の酸化触媒態様では、第二のウォッシュコート層は、基材の長さの50%より長いか又は等しい長さを有する。第二のウォッシュコート層は、基材の長さの50から95%の長さを好ましくは有し、基材の長さの70から90%のように、より好ましくは、基材の長さの60から92.5%であり、更により好ましくは、基材の長さの75から85%である。
【0156】
本発明の第二の酸化触媒態様では、第二のウォッシュコート層が基材の長さの50%より長いか又は等しい長さを有するとき、好ましくは、第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、基材の長さの5から50%の長さを有し、より好ましくは基材の長さの7.5から40%、特に基材の長さの10から30%、及び更により好ましくは基材の長さの15から25%である。
【0157】
第二のウォッシュコート層は、第二のウォッシュコート層の一部又は部分が基材と直接接するように、第三のウォッシュコート層の端に重なってもよい。あるいは、第二のウォッシュコート層は、第三のウォッシュコート層上に全体的に配置されてもよい。
【0158】
第三のウォッシュコート層は、基材の長さの50%より長いか又は等しい長さを好ましくは有する。第三のウォッシュコート層は、基材の長さの50から95%の長さを好ましくは有し、より好ましくは基材の長さの60から92.5%であり、基材の長さの70から90%のように、更により好ましくは基材の長さの75から85%である。
【0159】
第二の酸化触媒態様では、第二のPGMの総ローディングは、第三のPGMの総ローディングより一般に大きい。しかしながら、第一のウォッシュコートゾーンが、第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含むか又はからなるとき、代わりに、第三のPGMの総ローディングは、第二のPGMの総ローディングより大きいか又は等しく、好ましくはより大きい。第二のPGMの総ローディングは、第一のウォッシュコートゾーンが、第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含むか又はからなるときでさえも、第三のPGMの総ローディングより大きいことが好ましい。
【0160】
第一のウォッシュコート領が第一のウォッシュコートゾーンを含むか又はからなるとき、第一のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得、該第四のウォッシュコート層は、上記のように第一のウォッシュコート層上に配置される。第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層は、ほぼ同じ長さを典型的に有する。そのような酸化触媒は、本発明の第二の方法態様により調製されてもよい。
【0161】
第二の酸化触媒態様では、第一のウォッシュコートゾーンが第一のウォッシュコート層及び第四のウォッシュコート層を含むか又はからなるとき、典型的には、(例えば、第一のウォッシュコートゾーンの)第一のPGMの総ローディングは、(例えば、第二のウォッシュコート層の)第二のPGM及び(例えば、第二のウォッシュコート層の)第三のPGMのそれぞれの総ローディングよりも大きい。
【0162】
(例えば、第一の、第二の又は第三の担体材料の)各耐火性金属酸化物は、ドープされてもよい。ドーパントの包含は、第一の担体材料を熱的に安定化する。この文脈において「ドープされた(doped)」というときは、耐火性金属酸化物のバルク又はホスト格子材料が、ドーパントで置換ドープされ又は格子間ドープされる材料を指すことを理解されたい。
【0163】
耐火性金属酸化物がドープされるとき、ドーパントの総量は、0.1から5重量%(すなわち、耐火性酸化物の重量%)である。ドーパントの総量は、0.25から2.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5から1.5重量%(例えば、約1重量%)である。耐火性金属酸化物は、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)、シリコン(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)及びそれらの酸化物からなる群から選択される一つ以上のドーパントでドープされてもよい。
【0164】
炭化水素吸着剤がゼオライトであるとき、好ましくは、各ゼオライトは、中孔ゼオライト(例えば、8つの四面体元素の最大環サイズを有するゼオライト)又は大孔ゼオライト(例えば、10つの四面体元素の最大環サイズを有するゼオライト)である。
【0165】
適するゼオライト又はゼオライトの型の例は、フォージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、ゼオライトX、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、AEIゼオライト、ZSM−5ゼオライト、ZSM−12ゼオライト、ZSM−20ゼオライト、ZSM−34ゼオライト、CHAゼオライト、SSZ−3ゼオライト、SAPO−5ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又は銅CHAゼオライトを含む。各ゼオライトは、好ましくは、ZSM−5、ベータゼオライト又はYゼオライトである。
【0166】
典型的には、第一のウォッシュコート領域、第一のウォッシュコートゾーン又は第一のウォッシュコート層は、ロジウムを含まない。
【0167】
第二のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコートゾーン又は第二のウォッシュコート層は、ロジウムを含まなくてもよい。
【0168】
第三のウォッシュコート領域、第三のウォッシュコートゾーン又は第三のウォッシュコート層は、ロジウムを含まなくてもよい。
【0169】
一般的に、本発明の酸化触媒は、ロジウムを含んでも、含まなくてもよい。酸化触媒は、ルテニウム、ロジウム、及びイリジウムを含まないことが好ましい。
【0170】
本発明の酸化触媒は、一般的に、三元触媒ではない(すなわち、三元触媒活性を有さない)。特に、本発明の酸化触媒は、NOのN及びOへの実質的な還元を典型的に行わない。
【0171】
本発明の酸化触媒の更なる一般的特徴は、アルカリ金属、特に、ナトリウム又はカリウム、とりわけカリウムが存在するとき、とりわけ炭化水素吸着剤がゼオライトであるとき、好ましくは、炭化水素吸着剤だけがアルカリ金属を含むことである。本発明の酸化触媒は、アルカリ金属、特に、ナトリウム又はカリウムを含まないことが更に好ましい。
【0172】
本発明の酸化触媒は、アルカリ金属成分(上で定義される)及び/若しくはヘテロ原子成分でドープされたアルミナ(例えば、上で定義されるヘテロ原子成分)を含んでも、含まなくてもよい。
【0173】
ディーゼルの排ガスを処理するための酸化触媒を担持するための基材は、当該技術分野で周知である。基材は、複数のチャンネル(例えば、排ガスが通り流れるための)を典型的に有する。一般に、基材はセラミック材料又は金属材料である。
【0174】
基材は、コーディエライト(SiOーAlーMgO)、シリコンカーバイド(SiC)、Fe−Cr−Al合金、Ni−Cr−Al合金若しくはステンレス鋼合金で作製されるか又は構成されることが好ましい。
【0175】
基材は、4から15インチのように、2.5から15インチまでの直径を有してもよく、6から10インチのように、好ましくは5から12.5インチである。
【0176】
基材の長さは、3から15インチのように、典型的に2.5から15インチであり、好ましくは4から11インチである(例えば、5から10インチ)。
【0177】
典型的には、基材は、モノリスである(ここでは基材モノリスとも呼ばれる)。そのようなモノリスは、当該技術分野で周知である。基材モノリスは、フロースルー型モノリス又はフィルタ型モノリスであってもよい。
【0178】
フロースルー型モノリスは、両端が開口し、それに沿って延びる複数のチャンネルを有するハニカム型モノリス(例えば、金属製又はセラミック製のハニカム型モノリス)を典型的に含む。基材がフロースルー式モノリスであるとき、本発明の酸化触媒は、典型的にはディーゼル酸化触媒(DOC)であるか又はディーゼル酸化触媒(DOC)としての使用のためである。
【0179】
フィルタ型モノリスは、一般に、複数の入口チャンネルと複数の出口チャンネルを含み、入口チャンネルは、上流端(すなわち、排気ガスの入口側)が開口し、下流端(すなわち、排気ガスの出口側)が閉塞されるか密封され、出口チャンネルは、上流端が閉塞されるか密封され、下流端が開口し、各入口チャンネルは、多孔質構造により出口チャンネルから離間されている。基材がフィルタ型モノリスである場合、本発明の酸化触媒は、典型的には触媒化スートフィルタ(CSF)であるか又は触媒化スートフィルタ(CSF)としての使用のためである。
【0180】
モノリスがフィルタ型モノリスであるとき、フィルタ型モノリスがウォールフロー型フィルタであることが好ましい。ウォールフロー型フィルタでは、各入口チャンネルが、多孔質構造の壁により出口チャンネルから交互に離間されていて、逆もまた同じである。入口チャンネルと出口チャンネルがハニカム配置に配置されていることが好ましい。ハニカム配置がある場合、入口チャンネルの垂直方向かつ側方に隣接するチャンネルが上流端で閉塞され、逆もまた同じであることが好ましい(すなわち、出口チャンネルの垂直方向かつ側方に隣接するチャンネルが下流端で閉塞される)。何れの端部から見ても、交互に閉塞され開口するチャンネル端は、チェス盤の外観を呈する。
【0181】
原理上は、基材は、如何なる形状又は大きさでもよい。しかしながら、基材の形状と大きさは、通常、排気ガスへの触媒中の触媒的に活性な材料の曝露を最適にするように選択される。基材は、例えば、管状、繊維状、又は粒子状の形状であり得る。適切な担持する基材の例は、モノリスのハニカムコーディエライト型の基材、モノリスのハニカムSiC型の基材、層状の繊維又は編物型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材モノリス、金属ワイヤーメッシュ型の基材、金属多孔体型の基材、及びセラミック粒子型の基材を含む。
【0182】
一般的に、本発明の酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)としての使用のためである。
【0183】
本発明は、酸化触媒及び排出制御装置を含む、排気システムも提供する。一般に、排出制御装置は、酸化触媒から分離しており(例えば、排出制御装置は、酸化触媒の基材とは別個の基材を有する)、好ましくは酸化触媒が排出制御装置の上流にある。
【0184】
排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、NO吸着触媒(NAC)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒的還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒、及びこれらの二つ以上の組合せから選択され得る。ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPFs)、NO吸着触媒(NACs)、リーンNO触媒(LNCs)、選択的触媒的還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOCs)、触媒化スートフィルタ(CSFs)及び選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒という用語により表される排出制御装置は、全て当該技術分野で周知である。
【0185】
フィルタ基材を有する排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、触媒化スートフィルタ(CSF)及び選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒からなる群から選択されてもよい。
【0186】
第一の排気システム実施態様では、排気システムは、本発明の酸化触媒(例えば、DOCとして)と、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)又は触媒化スートフィルタ(CSF)の何れかを含む。この実施態様は、ディーゼルエンジンからの排ガスを、ディーゼルパティキュレートフィルタ又は触媒化スートフィルタと組み合わせて処理するための酸化触媒の使用にも関する。酸化触媒の後に、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)又は触媒化スートフィルタ(CSF)が典型的には続く(例えば、酸化触媒が上流にある)。そのため、例えば、酸化触媒の出口は、ディーゼルパティキュレートフィルタ又は触媒化スートフィルタの入口に接続される。
【0187】
第二の排気システム実施態様では、排気システムは、本発明の酸化触媒(例えば、DOC又はNAC、好ましくはDOCとして)と、選択的触媒的還元(SCR)触媒とを含む。この実施態様は、ディーゼルエンジンからの排ガスを、選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒と組み合わせて処理するための酸化触媒の使用にも関する。本発明の酸化触媒の後に、選択的触媒的還元(SCR)触媒が典型的に続く(例えば、酸化触媒が上流にある)。
【0188】
第三の排気システム実施態様は、本発明の酸化触媒(例えば、DOCとして)及び選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒を含む。この実施態様は、ディーゼルエンジンからの排ガスを、選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒と組み合わせて処理するための酸化触媒の使用にも関する。本発明の酸化触媒の後に、選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒が典型的に続く(例えば、酸化触媒が上流にある)。
【0189】
第四の排気システム実施態様は、本発明の酸化触媒(例えば、DOCとして)と、ディーゼルパティキュレートフィルタ又は触媒化スートフィルタ(CSF)と、選択的触媒的還元(SCR)触媒とを含む排気システムに関する。DOC/DPF/SCR又はDOC/CSF/SCR配置は、軽量ディーゼル車両用ための好ましい排気システムである。この実施態様は、ディーゼルエンジンからの排ガスを、ディーゼルパティキュレートフィルタ又は触媒化スートフィルタ(CSF)のいずれかと、及び選択的触媒的還元(SCR)触媒と組み合わせて処理するための酸化触媒の使用にも関する。酸化触媒の後に、ディーゼルパティキュレートフィルタ又は触媒化スートフィルタ(CSF)が典型的に続く(例えば、酸化触媒が上流にある)。DPF又はCSFの後に、選択的触媒的還元(SCR)触媒が典型的に続く(例えば、DPF又はCSFが上流にある)。
【0190】
第五の排気システム実施態様では、排気システムは、本発明の酸化触媒(例えば、DOCとして)と、選択的触媒的還元(SCR)触媒と、及び触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のいずれかを含む。この実施態様は、ディーゼルエンジンからの排ガスを、選択的触媒的還元(SCR)触媒と、及び触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のいずれかと組み合わせて処理するための酸化触媒の使用にも関する。本発明の酸化触媒の後に、選択的触媒的還元(SCR)触媒が典型的に続く(例えば、酸化触媒が上流にある)。選択的触媒的還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が典型的に続く(例えば、酸化触媒が上流にある)。
【0191】
排気システムがDPF又はCSFを含むとき、排気システムは、DPF又はCSFを再生温度に加熱するための方法を含んでもよい。付加的な熱は、DPF又はCSFの能動的な再生のために求められ得る。DPF又はCSFを再生温度に加熱するための方法は、抵抗加熱コイル、ディーゼルエンジンの下流で排ガスに可燃性HCを噴射するための噴射器、及びエンジン運転を排ガス中に付加的なHCが生じるように調整するための方法から選択され得る。DPF又はCSFを再生温度に加熱するための方法は、エンジン運転を排ガス中に付加的なHCが生じるように調整するための方法であることが好ましい。
【0192】
DPF又はCSFは、抵抗加熱コイルを更に含んでもよい。排気システムが排ガスに可燃性HCを噴射するための噴射器を含むとき、噴射器は、ディーゼルエンジンの下流、かつ、DPF又はCSFの上流であり、任意選択的に酸化触媒の上流である。
【0193】
窒素系還元剤噴射器は、選択的触媒的還元(SCR)触媒又は選択的触媒的還元フィルタ(SCRF(商標))触媒の直接的に上流であり得る。そのため、第二、三及び五の排気システム実施態様では、酸化触媒の後に、窒素系還元剤の噴射器が続いてもよく(例えば、酸化触媒が上流にある)、窒素系還元剤の噴射器の後に、SCR触媒又はSCRF(商標)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤の噴射器が上流にある)。第四の排気システム実施態様では、DPF又はCSFの後に、窒素系還元剤の噴射器が続いてもよく(例えば、DPF又はCSFが上流にある)、窒素系還元剤の噴射器の後に、選択的触媒的還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、窒素系還元剤の噴射器が上流にある)。
【0194】
排気システムは、NOセンサ及び/又は温度センサを更に含み得る。
【0195】
排気システムがSCR触媒又はSCRF(商標)触媒を含むとき、SCR触媒又はSCRF(商標)触媒は、銅で交換されたゼオライト又は鉄で交換されたゼオライトを含むことが好ましい。SCR触媒又はSCRF(商標)触媒は、ゼオライトがチャバサイト(CHA)構造を有する銅で交換されたゼオライトのような、銅で交換されたゼオライトを含むことが好ましい。
【0196】
本発明は、ディーゼルエンジンと、本発明の排気システム又は本発明の酸化触媒のいずれかを含む車両を更に提供する。典型的には、酸化触媒は、ディーゼルエンジンのターボの下流のように、ディーゼルエンジンの下流に位置される。
【0197】
ディーゼルエンジンは、予混合圧縮着火(HCCI)エンジン、予混合圧縮自己着火(PCCI)エンジン又は低温燃焼(LTC)エンジンであり得る。ディーゼルエンジンは、従来型の(すなわち、伝統的な)ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0198】
車両は、米国又は欧州法令で規定されるような、軽量ディーゼル車両(LDV)であり得る。軽量ディーゼル車両は、<2840kgの重量を典型的に有し、より好ましくは<2610kgの重量である。
【0199】
米国では、軽量ディーゼル車両(LDV)は、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両を指す。欧州では、軽量ディーゼル車両(LDV)という用語は、(i)運転席に加えて、8席以下を備え、かつ、5トンを超えない最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トンを超えない最大質量を有する貨物輸送のための車両を指す。
【0200】
あるいは、車両は、米国法令に定義される、>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車両のような、重量ディーゼル車両(HDV)であり得る。
【0201】
本発明の酸化触媒を調製するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、我々の国際公開第99/47260号、国際公開第2007/077462号及び国際公開第2011/080525号を参照。同様に、ウォッシュコートを乾燥及び焼成するための条件も周知である。
【0202】
酸化触媒を製造する第一の方法態様は:(i)基材を長さLの第一のウォッシュコートでコートする工程であって、基材が軸長Lを有し、Lは軸長Lよりも短いか又は等しい(例えば、L≦L)工程;その後、(ii)基材を長さLの第二のウォッシュコートでコートする工程であって、該Lが軸長Lよりも短いか又は等しい(例えば、L≦L)工程;(iii)基材上の第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートを乾燥させる工程;(iv)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートの少なくとも一つを白金族金属で長さLまで含浸する工程であって、該Lが軸長Lより短い(例えば、L<L)工程;並びに(v)第一のウォッシュコート、第二のウォッシュコートでコートされ及び白金族金属で含浸された基材を焼成する工程、を含む。ウォッシュコート又は層をPGMで含浸するための方法は、当該技術分野で既知である(例えば、国際公開第2013/088152号を参照)。PGMで含浸する工程は、上で定義される第一のウォッシュコートゾーン又はPGMゾーンのような、ゾーンを形成するために用いられ得る。
【0203】
典型的には、長さLは、長さLより短いか又は長さLより短いかのいずれかである。長さLは長さLより短く、長さLは長さLより短いことが好ましい。
【0204】
一般的に、酸化触媒の第一のウォッシュコート領域又は第三のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートの少なくとも一つを白金族金属で長さL含浸する工程(iv)により提供される。酸化触媒の第一のウォッシュコート領域は、工程(v)により提供されることが好ましい。
【0205】
工程(iv)は、(iv)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートの少なくとも一つを白金族金属で基材の第一の端又は第二の端から長さL含浸する工程を含んでもよい。
【0206】
方法の工程(i)は、(i)基材を長さLの第一のウォッシュコートで第一の端からコートする工程を典型的に含む。
【0207】
方法の工程(ii)は、(ii)基材を長さLの第二のウォッシュコートで第一の端からコートする工程を含む。そのため、基材は、同じ端から第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートでコートされる。
【0208】
第一のウォッシュコートの長さL又は第二のウォッシュコートの長さLの少なくとも一つは、基材の長さLに等しいことが好ましい(例えば、L=L又はL=L)。より好ましくは、第一のウォッシュコートの長さLは、基材の軸長Lに等しい。
【0209】
第二のウォッシュコートの長さLは、第一のウォッシュコートの長さLより短くてもよく又は等しくてもよい(例えば、L≦L)。第二のウォッシュコートの長さLは、基材の軸長Lに等しいことが好ましい(例えば、L=L)。
【0210】
基材が第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートで同じ端(例えば、第一の端)からコートされるとき、好ましくは、工程(iii)は、(iii)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートの両方が白金族金属で基材の第一の端から長さL含浸される工程を含む。
【0211】
あるいは、工程(ii)は、(ii)基材を長さLの第二のウォッシュコートで第二の端からコートする工程を含み得、又はからなり得る。Lは、LとLとの間の距離より大きいことが好ましい(例えば、L>L−L)。
【0212】
本発明の酸化触媒を製造する方法の第二の方法態様は、その費用効果があるために特に有利である。特に、方法は、単一の焼成パスを用いる本発明の酸化触媒の調製を可能にする。
【0213】
一般的に、本発明の酸化触媒を調製するための方法は、第一のウォッシュコート、第二のウォッシュコート及び任意選択的に含浸された白金族金属、でコートされた基材を焼成する単一の工程を含む。
【0214】
酸化触媒を製造する第二の方法態様は、以下の工程:(i)長さL1の第一のウォッシュコートで第一の端から基材をコートする工程、基材は軸長Lを有し、Lは軸長Lよりも短い(例えば、L<L);その後、(ii)長さLの第二のウォッシュコートで第二の端から基材をコートする工程、該Lは、LとLとの間の差よりも大きい(例えば、L>LーL);及び(iii)第一のウォッシュコート及び第二のウォッシュコートでコートされた基材を焼成する工程を含むか、又はからなる。長さLは、基材の長さLより短いか又は等しく(例えば、L≦L)、好ましくは、長さLは、基材の長さより短いか又は等しい(例えば、L<L)。
【0215】
本発明のこの方法態様は、第二のウォッシュコート領域が上流のウォッシュコート層及び下流のウォッシュコート層(例えば、第三のウォッシュコート層)の間の重なりにより形成される第一の酸化触媒態様により本発明の酸化触媒を製造するために用いられ得る。第一及び第二のウォッシュコートの長さの合計が基材の軸長より長いため(すなわち、|L+L|>L)、第二のウォッシュコートは、基材上の第一のウォッシュコートに重なり、第二のウォッシュコート領域を形成する。第二のウォッシュコート領域の長さLは、L=L+L−Lにより表されてもよい。
【0216】
本発明のこの方法態様では、基材を第一の端から第一のウォッシュコートでコートする工程は、(a)第一の酸化触媒配置の第一の配置における下流のウォッシュコート層(例えば、第三のウォッシュコート層)又は(b)第一の酸化触媒配置の第二の配置における第一のウォッシュコート層のいずれかを提供する。
【0217】
本発明は、排出制御装置のためにディーゼルエンジンからの排ガス中の窒素酸化物(NO)の含有量を調整する方法も提供する。ここで用いられる「NOXの含有量を調整する(modulate the NOX content)」に対する参照は、特に本発明の方法又は使用態様に関連して、NO:NOの比(典型的には、排ガスの温度及び圧力において、ppm又は%体積)を所定の範囲に変える(すなわち、調節する)又は維持することを指す。
【0218】
一般的には、「NOの含有量を調整する(modulate the NOX content)」とは、典型的にディーゼルエンジンから直接の排ガス中のNO:NO(ppm又は%体積)の比を17:3より小さく(すなわち、NOのNOに対する量がディーゼルエンジンからの排ガス中に通常みられるよりも小さい)変える又は維持することを指し、好ましくは変えることを指し、好ましくはNO:NOの比は、5:1から1:5までであり、より好ましくは2.5:1から1:2.5、及び更により好ましくは2:1から1:2(例えば、1.5:1から1:1.5又は約1.1)である。
【0219】
定義
ここで用いられる「PGM」という頭字語は、「白金族金属(platinum group metal)」を指す。「白金族金属(platinum group metal)」という用語は、周期表の金属Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPt、特に金属Ru、Rh、Pd、Ir及びPtを一般に指す。
【0220】
「ウォッシュコート(washcoat)」という用語は、当該技術分野では既知であり、触媒の製造の間、基材モノリスに塗布される接着性コーティングを指す。コーティング又はウォッシュコートは、触媒処方の一又は複数の成分を一般的に含む。
【0221】
ここで用いられる「ウォッシュコート領域(washcoat region)」という用語は、基材上の一又は複数のウォッシュコートの面積若しくは部分を指す。ウォッシュコート領域は、隣接又は近接するウォッシュコート領域と異なる明白な全体組成を有する。「ウォッシュコート領域(washcoat region)」という用語は、「ウォッシュコート層(washcoat layer)」及び「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」という用語を包含する。ウォッシュコート領域は、単一のウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。ウォッシュコート領域は、二つのウォッシュコート層を含み得、又はからなり得る。ウォッシュコート領域は、各ウォッシュコート層の全て又は一部を含んでもよい。例えば、ウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層の端が第二のウォッシュコート層の端に重なる基材上のウォッシュコートの面積又は領域であり得る(例えば、図3及び4における(2)を参照。)。ウォッシュコート領域は、単一のウォッシュコートゾーンを含み得、又はからなり得る。
【0222】
ここに用いられる「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」という用語は、基材の長さに沿った一又は複数のウォッシュコートか、基材の長さに沿った一又は複数のウォッシュコートの含浸部若しくは部分かのどちらかの水平方向の配置を指す。「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」は、明確な上流若しくは下流の境界又は縁を有する(すなわち、一般的な分析技術を用いて、あるウォッシュコートゾーンを別のウォッシュコートゾーン若しくは層から区別することが可能である)。
【0223】
「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」が基材の長さに沿った一又は複数のウォッシュコートの配置を指すとき、典型的に、ウォッシュコートゾーン内にウォッシュコート層の重なりは無い。そのため、ウォッシュコートゾーンは、別々のウォッシュコート層を典型的に含む。例えば、ウォッシュコートゾーンは、一つの層が他の上に堆積されるような、二つのウォッシュコート層(例えば、二つの完全なウォッシュコート層)を含み得、又はからなり得る。各ウォッシュコート層の境界又は縁は、隣接している。この文脈において、「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」という用語は、「ウォッシュコート領域(washcoat region)」よりも狭く、これは「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」がウォッシュコート層の部分を含まないからである。
【0224】
「ウォッシュコートゾーン(washcoat zone)」が基材の長さに沿った一又は複数のウォッシュコートの含浸部若しくは部分の配置を指すとき、ウォッシュコートゾーンは、単一のウォッシュコート層の一部又は部分であってもよい。あるいは、ウォッシュコートゾーンは、二つのウォッシュコート層のような、複数のウォッシュコート層の一部又は部分でもよい。ウォッシュコートゾーンの境界又は縁の一つは、基材の端である(例えば、基材の入口端又は出口端)。ウォッシュコートゾーンが複数のウォッシュコート層の一部又は部分であるとき、ウォッシュコート層は、共通の境界又は縁を有する(すなわち、基材の長さに沿った)。
【0225】
ここで用いられる「ウォッシュコート層(washcoat layer)」という用語は、表面(例えば、基材又は他のウォッシュコートの表面)上に広がるウォッシュコートの厚さを指し、それは実質的に均一な組成を有する(すなわち、ウォッシュコート領域の一部とウォッシュコート領域の他の部分とを比較するとき、ウォッシュコートの組成に実質的な違いがない。)。この文脈における実質的に均一な組成は、ウォッシュコート領域の一部とウォッシュコート領域の他の部分とを比較するとき、組成における違いが5%以下、通常2.5%以下、最も一般的には1%以下であるウォッシュコート層を典型的に指す。そのため、ウォッシュコート層は、基材上のウォッシュコートの別々の領域又は面積である。
【0226】
ここで用いられる「基材の入口端に堆積された(disposed at an inlet end of the substrate)」ウォッシュコート領域、ゾーン又は層という参照は、基材の出口端より基材の入口端に近い位置における基材上に位置されたウォッシュコート領域、ゾーン又は層を指す。そのため、ウォッシュコート領域、ゾーン又は層の中点(すなわち、その長さの半分における)は、基材の出口端への中点より基材の入口端に近い。ここで用いられる「基材の出口端に堆積された(disposed at an outlet end of the substrate)」という参照は、基材の入口端より基材の出口端に近い位置における基材上に位置されたウォッシュコート領域、ゾーン又は層を指す。そのため、ウォッシュコート領域、ゾーン又は層の中点(すなわちその長さの半分における)は、基材の入口端への中点より基材の出口端に近い。
【0227】
ここで用いられる「白金及びパラジウムの組合せ(combination of platinum and palladium)」という表現は、白金及びパラジウムの両方を含むウォッシュコート領域、ゾーン又は層を単に指す。「組合せ(combination)」は、白金及びパラジウムの合金又は混合物を含むが、それらに限定されない。
【0228】
ここで用いられる「混合酸化物(mixed oxide)」という用語は、当該技術分野で既知のように、単一相の酸化物の混合物を一般に指す。ここで用いられる「複合酸化物(composite oxide)」という用語は、当該技術分野で既知のように、複数の相を有する酸化物の組成物を一般に指す。
【0229】
ここでg ft−3(グラム毎立方フィート)又はg in−3(グラム毎立方インチ)などの単位における量に対する参照は、基材の体積当たりの組成物の平均重量毎を指す。
【0230】
ここで用いられる「実質的になる(consisting essentially)」という表現は、特徴の範囲を特定の材料又は工程、及び、例えば、微量な不純物のような、特徴の基本的な特性に実質的に影響しない他のいかなる材料又は工程を含むことに限定する。「から実質的になる(consisting essentially of)」という表現は、「からなる(consisting of)」という表現を包含する。
【0231】
ここで用いられる、ゾーン、層又は領域の長さに対する参照は、その平均長さを指す。その製造のために用いられる方法に依存して、ゾーン、層又は領域の正確な長さにおいていくつかのバリエーションがあり得ることも当該技術分野において周知である。通常、長さは、長さの平均値から、5%を超えて、好ましくは1%を超えてずれない。ゾーン、層又は領域の長さは、酸化触媒の長手方向の軸(すなわち軸長)に平行に測定される。
【0232】
長さL、L及びLに対する参照はここでなされる。これらの長さのそれぞれは、関連のあるウォッシュコート(L若しくはLの場合)でコートされる又は白金族金属(Lの場合)で含浸される基材の端から測定される。基材の第一の端に対する参照は、基材の第二の端に対する基材の異なる端に関する。通常、基材の第一の端は、第二の端に対する基材の対向端である。
【0233】
ここで用いられる「吸着器(adsorber)」又は「吸着材(adsorbent)」という表現は、「吸収器(absorber)」又は「吸収材(absorbent)」と同義である。
【0234】
疑義の回避のため、「基材の長さ(length of the substrate)」及び「基材の軸長(axial length of the substrate)」という用語は、同義である。
【実施例】
【0235】
ここで、本発明は下記の非限定的な実施例により示される。
【0236】
触媒の調製
ゾーン化ディーゼル酸化触媒(ゾーン化DOC)は、本発明の第二の方法態様に従って、及び、国際公開番号99/47260号に記載のように調製された。ゾーン化(DOC)は、図4に示される構造を有する。第一のウォッシュコート領域(1)の長さ(例えば、L−L)は、基材の長さ(例えば、L)の25%であった。第一のウォッシュコート領域において、白金のローディングは26.7g ft−3、パラジウムのローディングは26.7g ft−3であった。第二のウォッシュコート領域(2)の長さ(例えば、L+L−L)は、基材の長さの20%であった。第二のウォッシュコート領域において、白金のローディングは34.7g ft−3、パラジウムのローディングは26.7g ft−3であった。第三のウォッシュコート領域(3)の長さ(例えば、L−L)は、基材の長さの55%であった。第三のウォッシュコート領域における白金のローディングは8g ft−3であり、パラジウムは存在しなかった。触媒のPGM(例えば、白金及びパラジウム)の総ローディングは、30g ft−3であった。酸化触媒における、白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は1.5:1であった。
【0237】
参照ディーゼル酸化触媒(参照DOC)は、比較目的のため、国際公開番号99/47260号に記載される方法を用いて調製された。参照酸化触媒は、基材の全長に沿ってそれぞれがコートされた二つのウォッシュコート層を有した。基材上に直接コートされた第一の層は、16g ft−3の白金ローディング及び16g ft−3のパラジウムローディングを含んだ。第二の層は第一の層上にコートされ、8g ft−3の白金ローディングを含んだ。触媒のPGM(例えば、白金及びパラジウム)の総ローディングは、40g ft−3であった。酸化触媒における白金の総質量のパラジウムの総質量に対する比は1.5:1であった。
【0238】
NO酸化活性
ゾーン化DOC及び参照DOCのNO酸化活性が測定され、結果は図5に示される。ゾーン化DOCが40g ft−3の全PGMローディングを有する参照DOCよりも低い30g ft−3の全PGMローディングを有するにも関わらずゾーン化DOC(▲)は、参照DOC(◆)よりも優れたNO酸化活性を示す。
【0239】
炭化水素酸化活性
ゾーン化DOC及び参照DOCは、DOC+CSFフィルタ構成において、610℃における50及び100時間の7L IT4エンジンでの老化の前後で試験された。ゾーンDOC及び参照DOCは、クエンチ試験において比較された。ディーゼル燃料が各触媒に注入され、発熱を生じ、触媒を離れる排ガス温度は610℃であった。発熱生成は、定常状態の温度及び流動状態(エンジンの速度及び負荷)で安定化され、その後、触媒入口の温度が低下されるようにエンジンの負荷が低下された。触媒入口の温度が低すぎて発熱生成を続けられなくなったとき、触媒はクエンチする。結果は図6及び7に示される。図6に見られ得るように、参照DOCは270℃でクエンチする。対照的に、ゾーン化DOCは、同じ条件下でクエンチせず(図7を参照)、参照DOCに比べ、それが優れたHC酸化活性を有することを示す。ゾーン化DOCは、参照DOCより低温で、そのHC酸化性能を維持する。これは、ゾーン化DOCが低運転温度においてフィルタ基材を含む排出制御装置を再生するために用いられ得ることを示す。各触媒からのHCスリップも同じ触媒入口温度及び流動条件下で試験された。図8に示される結果は、約880kg h−1の排気流、75k h−1のGHSVで得られ、触媒入口及び出口温度は、それぞれ340及び610℃であった。図9に示される結果は、約1050kg h−1の排気流、115k h−1GHSVで得られ、触媒入口及び出口温度は、それぞれ330及び610℃であった。ゾーン化触媒は、参照DOCよりも低いHCスリップを示す。
【0240】
硫黄耐性
ゾーン化DOC及び参照DOCは、低Sディーゼル(1.5g L−1の硫黄)でそれぞれ硫化され、NO酸化性能が275℃で測定された。ゾーン化DOCは、S曝露の後、参照DOCよりも小さくNO酸化性能を失うことが図10から見られ得る。参照DOCは、同じ温度における再生の後に部分的に回復する一方で、ゾーン化DOCは、再生の後に完全に回復もする。各触媒についての再生の間のHCスリップは、硫酸化の後に変化しなかった。
【0241】
いかなる疑問も回避するために、本明細書で引用したすべての文献の全内容は、参照により本願に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10