【文献】
GAO Qiong et al.,Effects of Ionic Liquid Namely 1-ethyl-3-methyl Imidazolium Fluoroboric Acid Solvent to Electroless Copper Plating,Plating & Finishing,2012年 5月,Vol.34,No.5,P.1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1種または複数の錯化剤は、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩、ニトリロ酢酸およびそのアルカリ金属塩、グルコン酸、グルコン酸塩、トリエタノールアミン、変性エチレンジアミン四酢酸、S,S−エチレンジアミン二コハク酸、ヒダントインならびにヒダントイン誘導体から選択される、請求項1に記載の無電解銅めっき用組成物。
前記1種または複数の還元剤は、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、ホルムアルデヒド誘導体、ホウ水素化物、置換されたホウ水素化物、ボラン、サッカライドおよび次亜リン酸塩から選択される、請求項1に記載の無電解銅めっき用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書を通じて、下記の略号は、文脈的に異なることが明示されない限り以下の意味を有する:g=グラム;mg=ミリグラム;mL=ミリリットル;L=リットル;cm=センチメートル;mm=ミリメートル;μm=ミクロン;ppm=百万部あたりの部数=mg/L;min.=分;℃=摂氏温度;g/L=1リットルあたりのグラム数;DI=脱イオン化;Pd=パラジウム;Pd(II)=+2の酸化状態にあるパラジウムイオン;Pd°=イオン状態と比較してその金属状態に還元されたパラジウム;重量%=重量パーセント;およびTg=ガラス転移温度。
【0012】
特に断らない限り、すべての量は、重量パーセントである。すべての数値範囲は、両末端を含み、かついかなる順序でも組み合わされ得るが、ただし、そのような数値範囲を合計したものが100%となることが論理的である場合を例外とする。
【0013】
「めっき」および「析出」という用語は、本明細書を通じて相互に置き換え可能として使用される。「組成」および「浴」という用語は、本明細書を通じて相互に置き換え可能として使用される。「アルキル」という用語は、本明細書において置換基を有すると記述されていない限り、炭素および水素のみから構成され、一般式:C
nH
2n+1を有する有機の化学基を意味する。「平均」という用語は、サンプルの平均値と均等である。特に断らない限り、すべての量は、重量パーセントである。すべての数値範囲は、両末端を含み、かついかなる順序でも組み合わされ得るが、ただし、そのような数値範囲を合計したものが100%となることが論理的である場合を例外とする。
【0014】
本発明の無電解銅めっき用組成物は、1種または複数の銅イオン源、1種または複数のイミダゾリウム化合物、1種または複数の錯化剤、1種または複数の還元剤、水および任意選択的に1種または複数のpH調節剤を含み、無電解銅めっき用組成物のpHは、7よりも大きい。
【0015】
好ましくは、1種または複数のイミダゾリウム化合物は、式:
【0017】
(式中、R
1は、直鎖状または分岐状の非置換(C
1−C
10)アルキル、直鎖状または分岐状の(C
1−C
10)アルコキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C
1−C
10)アルキル、アミノ(C
1−C
10)アルキル、ベンジル、フェニル、カルボベンゾキシ、カルボメトキシ、(C
6−C
10)複素環式窒素基およびアリルからなる群から選択され、およびR
2は、直鎖状または分岐状の非置換(C
1−C
10)アルキル、直鎖状または分岐状の(C
1−C
10)アルコキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C
1−C
10)アルキル、アミノ(C
1−C
10)アルキル、ベンジル、フェニル、カルボベンゾキシ、カルボメトキシおよび(C
6−C
10)複素環式窒素基からなる群から選択され、およびX
−は、カウンターアニオンである)を有する。より好ましくは、R
1は、直鎖状または分岐状の非置換(C
2−C
4)アルキルおよびベンジルからなる群から選択され、より好ましくは、R
2は、メチルおよびエチルからなる群から選択されるアルキルであり、最も好ましくは、R
1は、エチル、ブチルおよびベンジルからなる群から選択され、好ましいのはベンジルであり、最も好ましくは、R
2は、メチルである。
【0018】
好ましくは、X
−は、ハロゲン
化物イオン、水酸化物
イオン、酢酸
イオン、ギ酸
イオン、硫酸
イオン、アルキル硫酸
イオン、たとえばメチル硫酸
イオン、ヘキサフルオロリン酸
イオン、テトラフルオロホウ酸
イオン、トシレート
イオン、トリフレート
イオン、炭酸
イオン、炭酸水素
イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
イオン、リン酸
イオン、ジメチルリン酸
イオン、ジシアナミド
イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
イオン、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ホウ酸
イオンまたはアルキルスルホン酸
イオン、たとえばメタンスルホン酸
イオンである。より好ましくは、X
−は、塩
化物イオン、臭
化物イオン、フッ
化物イオンおよびヨウ
化物イオンからなる群から選択されるハロゲン
化物イオンである。より好ましくは、ハロゲン
化物イオンは、塩
化物イオンおよび臭
化物イオンからなる群から選択され、最も好ましくは、ハロゲン
化物イオンは、塩
化物イオンである。
【0019】
上述のイミダゾリウム化合物の例としては、以下のものが挙げられる:1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−アリル−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムクロリドおよび1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシドおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート。
【0020】
より好ましい本発明のイミダゾリウム化合物は、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドであり、ここで、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドが最も好ましいイミダゾリウム化合物である。
【0021】
本発明のイミダゾリウム化合物またはその塩は、0.5ppm以上、好ましくは、1ppm〜50ppm、より好ましくは2ppm〜30ppm、さらにより好ましくは2ppm〜20ppm、最も好ましくは5ppm〜20ppmの量で含まれる。
【0022】
銅イオンおよびカウンターアニオンの出発源としては、銅の水溶性のハライド、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩ならびに他の有機および無機の塩などが挙げられるが、これらに限定されない。そのような銅塩の1種または複数の混合物を使用して銅イオンを得ることもできる。例は、硫酸銅、たとえば硫酸銅五水和物、塩化銅、硝酸銅、水酸化銅およびスルファミン酸銅である。本発明の無電解銅めっき用組成物中の1種または複数の銅イオン源は、好ましくは、0.5g/L〜30g/L、より好ましくは1g/L〜25g/L、さらにより好ましくは5g/L〜20g/L、さらにより好ましくは5g/L〜15g/L、最も好ましくは10g/L〜15g/Lの範囲である。
【0023】
錯化剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウム塩、ニトリロ酢酸およびそのアルカリ金属塩、グルコン酸、グルコン酸塩、トリエタノールアミン、変性エチレンジアミン四酢酸、S,S−エチレンジアミン二コハク酸、ヒダントインならびにヒダントイン誘導体。ヒダントイン誘導体としては、1−メチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントインおよび5,5−ジメチルヒダントインが挙げられるが、これらに限定されない。錯化剤を酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸ナトリウム、ニトリロ酢酸およびそのアルカリ金属塩、たとえばニトリロ酢酸のナトリウムおよびカリウム塩、ヒダントインおよびヒダントイン誘導体の1種または複数から選択することが好ましい。本発明の無電解銅めっき用組成物からEDTAおよびその塩を除外することが好ましい。錯化剤は、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸ナトリウム、ニトリロ酢酸、ニトリロ酢酸のナトリウム塩およびヒダントイン誘導体から選択されることがより好ましい。錯化剤を酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸ナトリウム、1−メチルヒダントイン、1,3−ジメチルヒダントインおよび5,5−ジメチルヒダントインから選択することがさらにより好ましい。錯化剤を酒石酸カリウムナトリウムおよび酒石酸ナトリウムから選択することがさらに好ましい。錯化剤は、酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)であることが最も好ましい。
【0024】
錯化剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に10g/L〜150g/L、好ましくは20g/L〜150g/L、より好ましくは30g/L〜100g/L、さらにより好ましくは35g/L〜80g/L、最も好ましくは35g/L〜55g/Lの量で含まれる。
【0025】
還元剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、ホルムアルデヒド誘導体、たとえばパラホルムアルデヒド、ホウ水素化物、たとえばホウ水素化ナトリウム、置換されたホウ水素化物、ボラン、たとえばジメチルアミンボラン(DMAB)、サッカライド、たとえばブドウ糖(グルコース)、グルコース、ソルビトール、セルロース、ショ糖、マンニトールおよびグルコノラクトン、次亜リン酸およびその塩、たとえば次亜リン酸ナトリウム、ヒドロキノン、カテコール、レソルシノール、キノール、ピロガロール、ヒドロキシキノール、フロログルシノール、グアイアコール、没食子酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ヒドロキノンスルホン酸、カテコールスルホン酸、タイロンならびに上述の還元剤のすべての塩。還元剤は、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体、ホルムアルデヒド前駆体、ホウ水素化物および次亜リン酸およびその塩、ヒドロキノン、カテコール、レソルシノールならびに没食子酸から選択されることが好ましい。還元剤は、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体、ホルムアルデヒド前駆体および次亜リン酸ナトリウムから選択されることがより好ましい。還元剤は、ホルムアルデヒドであることが最も好ましい。
【0026】
還元剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に0.5g/L〜100g/L、好ましくは0.5g/L〜60g/L、より好ましくは1g/L〜50g/L、さらにより好ましくは1g/L〜20g/L、さらにより好ましくは1g/L〜10g/L、最も好ましくは1g/L〜5g/Lの量で含まれる。
【0027】
本発明の無電解銅めっき用組成物のpHは、7よりも大きい。本発明の無電解銅めっき用組成物のpHは、7.5よりも大きいことが好ましい。無電解銅めっき用組成物のpHは、より好ましくは、8〜14、さらにより好ましくは10〜14、さらにより好ましくは11〜13、最も好ましくは12〜13である。
【0028】
任意選択的に、しかし好ましくは、1種または複数のpH調節剤は、無電解銅めっき用組成物のpHをアルカリ性のpHに調節するために本発明の無電解銅めっき用組成物中に含まれ得る。有機および無機の酸および塩基を含めて酸および塩基を使用して、そのpHを調節することができる。無機酸もしくは無機塩基またはそれらの混合物を使用して、本発明の無電解銅めっき用組成物のpHを調節することが好ましい。無電解銅めっき用組成物のpHを調節するのに適した無機酸としては、たとえば、リン酸、硝酸、硫酸および塩酸が挙げられる。無電解銅めっき用組成物のpHを調節するのに適した無機塩基としては、たとえば、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはそれらの混合物を使用して無電解銅めっき用組成物のpHを調節することが好ましく、水酸化ナトリウムを使用して本発明の無電解銅めっき用組成物のpHを調節することが最も好ましい。
【0029】
任意選択的に、しかし好ましくは、1種または複数の安定剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に含まれ得る。安定剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:2,2’−ジピリジルおよび誘導体、4,4’−ジピリジル、フェナントロリンおよびフェナントロリン誘導体、チオリンゴ酸、2,2’ジチオ二コハク酸、メルカプトコハク酸、システイン、メチオニン、チオニン、チオ尿素、ベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−チオ二酢酸、3,3’−チオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸塩ならびにグリコール、たとえばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール。
【0030】
そのような任意選択的な安定剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に0.1ppm〜20ppm、好ましくは0.5ppm〜10ppm、より好ましくは0.5ppm〜5ppm、最も好ましくは0.5ppm〜2ppmの量で含まれる。
【0031】
任意選択的に、しかし好ましくは、1種または複数の二次促進剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に含まれ得る。そのような二次促進剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:遊離窒素塩基、たとえばグアニジン、グアニジン誘導体、たとえばグアニジン塩酸塩、ピリジンおよびピリジン誘導体、たとえばアミノピリジン、ジ−およびトリ−アルキルアミン、たとえばトリメチルアミンおよびトリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンおよびエチレンジアミン四酢酸ならびにニッケル(II)塩、たとえば硫酸ニッケル(II)。好ましい二次促進剤の一例は、グアニジン塩酸塩である。
【0032】
そのような二次促進剤は、0.1ppm〜500ppm、好ましくは0.2〜15ppm、より好ましくは0.3ppm〜10ppm、最も好ましくは0.3ppm〜5ppmの量で含まれ得る。
【0033】
任意選択的に、1種または複数の界面活性剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に含まれ得る。そのような界面活性剤としては、イオン性、たとえばカチオン性およびアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤および両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の混合物を使用することも可能である。界面活性剤は、組成物中に0.001g/L〜50g/Lの量、好ましくは0.01g/L〜50g/Lの量で含まれ得る。
【0034】
カチオン性界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:テトラ−アルキルアンモニウムハライド、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、ヒドロキシエチルアルキルイミダゾリン、アルキルベンザルコニウムハライド、アルキルアミンアセテート、アルキルアミンオレエートおよびアルキルアミノエチルグリシン。
【0035】
アニオン性界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アルキルベンゼンスルホネート、アルキルまたはアルコキシナフタレンスルホネート、アルキルジフェニルエーテルスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸エステル、高級アルコールリン酸モノエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(リン酸エステル)およびアルキルスルホコハク酸エステル。
【0036】
両性界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:2−アルキル−N−カルボキシメチルまたはエチル−N−ヒドロキシエチルまたはメチルイミダゾリウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチルまたはエチル−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリウムベタイン、ジメチルアルキルベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸またはその塩および脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン。
【0037】
界面活性剤がノニオン性であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アルキルフェノキシポリエトキシエタノール、20〜150個の繰り返し単位を有するポリオキシエチレンポリマーおよびポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダムおよびブロックコポリマー。
【0038】
任意選択的に、1種または複数の結晶成長抑制剤は、本発明の無電解銅めっき用組成物中に含まれ得る。結晶成長抑制剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:シアニドおよびシアニド含有無機塩、たとえばヘキサシアノ鉄酸カリウム、2−メルカプトベンチアゾール、2,2’−ビピリジンおよび2,2’−ビピリジン誘導体、1,10−フェナントロリンおよび1,10−フェナントロリン誘導体、酸化バナジウム、たとえばメタバナジン酸ナトリウムおよびニッケル塩、たとえば硫酸ニッケル(II)。結晶成長抑制剤は、当業者に周知の量で添加される。
【0039】
好ましくは、本発明の無電解銅めっき用組成物は、1種または複数の銅イオン源(対応するアニオンを含む)、式(I)を有する1種または複数のイミダゾリウム化合物、1種または複数の錯化剤、1種または複数の還元剤、水、任意選択的に1種または複数のpH調節剤、任意選択的に1種または複数の安定剤、任意選択的に1種または複数の結晶成長抑制剤、任意選択的に1種または複数の界面活性剤および任意選択的に1種または複数の二次促進剤からなり、ここで、無電解銅めっき用組成物のpHは、10〜13である。
【0040】
より好ましくは、本発明の無電解銅めっき用組成物は、1種または複数の銅イオン源(対応するアニオンを含む)、式(I)を有する1種または複数のイミダゾリウム化合物、1種または複数の錯化剤、1種または複数の還元剤、水、1種または複数のpH調節剤、1種または複数の安定剤、任意選択的に1種または複数の結晶成長抑制剤、任意選択的に1種または複数の界面活性剤および任意選択的に1種または複数の二次促進剤からなり、ここで、無電解銅めっき用組成物のpHは、11〜13である。
【0041】
最も好ましくは、本発明の無電解銅めっき用組成物は、1種または複数の銅イオン源(対応するアニオンを含む)、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドおよび3−ブチル−3−メチル−1H−イミダゾリウムクロリドからなる群から選択される1種または複数のイミダゾリウム化合物、1種または複数の錯化剤、1種または複数の還元剤、水、1種または複数のpH調節剤、1種または複数の安定剤、任意選択的に1種または複数の結晶成長抑制剤、任意選択的に1種または複数の界面活性剤および任意選択的に1種または複数の二次促進剤からなり、ここで、無電解銅めっき用組成物のpHは、12〜13である。
【0042】
本発明の無電解銅組成物および方法は、各種の基材、たとえば半導体、メタルクラッドおよび非クラッドの基材、たとえばプリント回路基板上に銅を無電解めっきするために使用することができる。そのようなメタルクラッドおよび非クラッドのプリント回路基板は、繊維ガラスなどの繊維を含む熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂およびそれらの組合せ、ならびにそれらを含浸させた実施形態を含むことができる。基材は、メタルクラッドのプリント回路または複数のスルーホールを有する配線盤であることが好ましい。本発明の無電解銅めっき用組成物および方法は、プリント回路基板を生産するための水平プロセスおよび垂直プロセスのいずれでも使用することができ、水平プロセスにおいて本発明の無電解銅めっき用組成物および方法を使用することが好ましい。
【0043】
熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アセタール樹脂、アクリル樹脂、たとえばアクリル酸メチル、セルロース系樹脂、たとえば酢酸エチル、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレートおよびニトロセルロース、ポリエーテル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブレンド物、たとえばアクリロニトリル−スチレンコポリマーおよびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレンならびにビニルポリマーおよびコポリマー、たとえば酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルブチラール、塩化ビニル、塩化ビニル−アセテートコポリマー、塩化ビニリデンおよびビニルホルマール。
【0044】
熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アリルフタレート、フラン、メラミン−ホルムアルデヒド、フェノール−ホルムアルデヒドおよびフェノール−フルフラールのコポリマー単独またはブタジエン−アクリロニトリルコポリマーまたはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーとコンパウンディングしたもの、ポリアクリル系エステル、シリコーン、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、アリル樹脂、グリセリルフタレートおよびポリエステル。
【0045】
本発明の無電解銅めっき用組成物および方法を使用して、低T
gおよび高T
gのいずれの樹脂を含む基材も無電解銅めっきすることができる。低T
gの樹脂は、160℃未満のT
gを有し、高T
gの樹脂は、160℃以上のT
gを有する。典型的には、高T
gの樹脂は、160℃〜280℃またはたとえば170℃〜240℃のT
gを有する。高T
gポリマー樹脂としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリテトラフルオロエチレンのブレンド物。そのようなブレンド物としては、たとえば、PTFEとポリフェニレンオキシドおよびシアネートエステルとのものが挙げられる。高T
gを有する樹脂を含む他のタイプのポリマー樹脂としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:エポキシ樹脂、たとえば二官能および多官能のエポキシ樹脂、ビマレイミド/トリアジンおよびエポキシ樹脂(BTエポキシ)、エポキシ/ポリフェニレンオキシド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PS)、ポリアミド、ポリエステル、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、エポキシならびにそれらの複合材料。
【0046】
本発明の無電解銅組成物を用いた無電解銅めっき方法では、任意選択的に基材を清浄化または脱脂し、任意選択的に粗面化またはミクロ粗面化し、任意選択的に基材をエッチングまたはミクロエッチングし、任意選択的に基材に溶媒膨潤を行ってスルーホールの汚れを取り、かつ任意選択的に各種の洗浄および曇り止め処理を使用することができる。
【0047】
本発明の無電解銅めっき用組成物および方法を用いて無電解銅めっきするための基材は、誘電材料および複数のスルーホールを有するメタルクラッド基材、たとえばプリント回路基板であることが好ましい。任意選択的に、水を用いて基板を洗い流して、清浄化および脱脂した後、スルーホールの壁面の汚れを取る。誘電体のプレッピングもしくは軟化またはスルーホールの汚れ取りは、溶媒膨潤剤を適用することで開始させることができる。無電解銅めっきの方法は、スルーホールの壁面をめっきするためのものであることが好ましいものの、無電解銅めっきの方法を、ビアの壁面を無電解銅めっきするためにも使用できることも想定される。
【0048】
慣用される溶媒膨潤剤を使用することができる。具体的なタイプは、誘電材料のタイプに合わせて変化させることが可能である。小規模の実験を行って、特定の誘電材料に対していずれの溶媒膨潤剤が適しているかを判断することができる。多くの場合、誘電体のT
gにより、使用される溶媒膨潤剤のタイプが決められる。溶媒膨潤剤としては、グリコールエーテルおよびそれらに関連するエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されない。当業者に周知のグリコールエーテルおよびそれらに関連するエーテルアセテートを慣用量で使用することができる。市販されている溶媒膨潤剤の例としては、以下のものが挙げられる:CIRCUPOSIT(商標)Conditioner 3302A、CIRCUPOSIT(商標)Hole Prep 3303およびCIRCUPOSIT(商標)Hole Prep 4120の溶液(Dow Advanced Materialsから入手可能)。
【0049】
溶媒膨潤後、任意選択的にプロモーターを添加することも可能である。慣用されるプロモーターを使用することができる。そのようなプロモーターとしては、硫酸、クロム酸、アルカリ性過マンガン酸塩またはプラズマエッチングなどが挙げられる。プロモーターとしてアルカリ性過マンガン酸塩を使用することが好ましい。市販されているプロモーターの例としては、以下のものが挙げられる:CIRCUPOSIT(商標)Promoter 4130およびCIRCUPOSIT(商標)MLB Promoter 3308の溶液(Dow Advanced Materialsから入手可能)。任意選択的に、水を用いて基材およびスルーホールを洗浄する。
【0050】
プロモーターを使用する場合、その後に中和剤を適用して、プロモーターの後に残る残渣をすべて中和する。慣用される中和剤を使用することができる。中和剤は、1種もしくは複数のアミンを含む酸性水溶液であるか、または3重量%の過酸化水素と3重量%の硫酸との溶液であることが好ましい。市販されている中和剤の一例は、CIRCUPOSIT(商標)MLB Neutralizer 216−5である。任意選択的に、水を用いて基材およびスルーホールを洗浄してから乾燥させる。
【0051】
中和後、酸またはアルカリ性のコンディショナーを適用する。慣用されるコンディショナーを使用することができる。そのようなコンディショナーとしては、1種または複数のカチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、錯化剤およびpH調節剤または緩衝剤などを挙げることができる。市販されている酸コンディショナーの例としては、以下のものが挙げられる:CIRCUPOSIT(商標)Conditioner 3320Aおよび3327溶液(Dow Advanced Materialsから入手可能)。好適なアルカリ性コンディショナーとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:1種または複数の四級アミンおよびポリアミンを含む界面活性剤のアルカリ性水溶液。市販されているアルカリ性界面活性剤の例は、CIRCUPOSIT(商標)Conditioner 231、3325、813および860配合物である(Dow Advanced Materialsから入手可能)。任意選択的に、水を用いて基材およびスルーホールを洗浄する。
【0052】
任意選択的に、コンディショニング後にマイクロエッチングすることもできる。慣用されるマイクロエッチング組成物を使用することができる。マイクロエッチングは、曝露される金属上において微細に粗面化した金属表面を清浄にして与えるようにするものであり(たとえば、内側層および表面のエッチング)、それにより、めっきされた無電解銅およびその後の電気めっきの接着性を向上させる。マイクロエッチング剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:60g/L〜120g/Lの過硫酸ナトリウムまたはオキシモノ過硫酸ナトリウムもしくはオキシモノ過硫酸カリウムと硫酸(2%)との混合物または一般的な硫酸/過酸化水素。市販されているマイクロエッチング組成物の例は、CIRCUPOSIT(商標)Microetch 3330 Etch溶液およびPREPOSIT(商標)748 Etch溶液である(いずれもDow Advanced Materialsから入手可能)。任意選択的に、水を用いて基材を洗浄する。
【0053】
任意選択的に、マイクロエッチングされた基材およびスルーホールに対してプレディップを適用することも可能である。プレディップ剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:有機塩、たとえば酒石酸カリウムナトリウムもしくはクエン酸ナトリウム、0.5%〜3%の硫酸もしくは硝酸または25g/L〜75g/Lの塩化ナトリウムの酸性溶液。市販されている酸性プレディップの一例は、プレディップCIRCUPOSIT(商標)6520酸溶液(Dow Electronic Materialsから入手可能)である。
【0054】
次いで、基材に触媒を適用する。触媒性金属を含め、無電解金属めっきに好適な各種の慣用される触媒が使用できると想定されるものの、本発明の方法では、パラジウム触媒を使用することが好ましい。触媒は、ノニオン性のパラジウム触媒、たとえばコロイド状のパラジウム−スズ触媒であり得るか、または触媒は、イオン性のパラジウムであり得る。触媒がコロイド状のパラジウム−スズ触媒である場合、加速工程を実施して、触媒からスズを除去して、無電解銅めっきのためのパラジウム金属を露出させる。触媒がコロイド状のパラジウム−スズ触媒である場合、水中0.5%〜10%の促進剤としての塩酸、硫酸またはテトラフルオロホウ酸を使用することにより加速工程を実施して、触媒からスズを除去して、無電解銅めっきのためのパラジウム金属を露出させる。触媒がイオン性の触媒である場合、方法から加速工程を除外し、代わりに、イオン性の触媒を適用した後に基材に還元剤を適用して、イオン性の触媒の金属イオンを還元させて、それらの金属状態とする(たとえば、Pd(II)イオンをPd
0金属とする)。好適な市販されているコロイド状のパラジウム−スズ触媒の例は、CIRCUPOSIT(商標)3340触媒およびCATAPOSIT(商標)44触媒である(Dow Advanced Materialsから入手可能)。市販されているパラジウムのイオン性の触媒の一例は、CIRCUPOSIT(商標)6530 Catalystである。触媒は、基材を触媒の溶液中に浸漬させるか、または基材上に触媒溶液をスプレー塗布するか、または慣用される装置を使用して基材上に触媒溶液をアトマイズさせることによって適用することができる。触媒は、室温〜80℃、好ましくは30℃〜60℃の温度で適用することができる。触媒を適用した後、任意選択的に水を用いて基材およびスルーホールを洗浄する。
【0055】
金属イオンを金属に還元することが知られている慣用される還元剤を使用して、触媒の金属イオンをその金属状態まで還元させることが可能である。そのような還元剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ジメチルアミンボラン(DMAB)、ホウ水素化ナトリウム、アスコルビン酸、イソ−アスコルビン酸、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン水化物、ギ酸およびホルムアルデヒド。還元剤は、実質的に金属イオンの全部を金属まで還元させる量で加える。そのような量は、当業者に周知である。触媒がイオン性の触媒である場合、還元剤は、基材に触媒を適用した後かつ金属被覆をさせる前に適用する。
【0056】
次いで、基材およびスルーホールの壁面を、本発明の無電解銅めっき用組成物を使用して銅めっきする。本発明の無電解銅めっき方法は、40℃以下の温度で実施することができる。本発明の無電解銅めっき方法を室温〜40℃の温度で実施することが好ましいが、無電解銅めっきは、より好ましくは、室温〜35℃、さらにより好ましくは30℃〜35℃、最も好ましくは30℃〜34℃で実施する。本発明の無電解銅めっき用組成物中に基材を浸漬させ得るか、または基材上に無電解銅めっき用組成物をスプレーし得る。本発明の無電解銅めっき用組成物を使用する本発明の無電解銅めっき方法は、pHが7よりも高いアルカリ性環境で実施される。好ましくは、本発明の無電解銅めっき方法を7.5よりも高いpHで実施することが好ましく、無電解銅めっきをより好ましくは8〜14、さらにより好ましくは10〜13、さらにより好ましくは11〜13、最も好ましくは12〜13のpHで実施する。
【0057】
好ましくは、本発明の無電解銅めっきの速度は、40℃以下の温度で0.6μm/5分以上であり、より好ましくは、本発明の無電解銅めっきの速度は、35℃以下の温度で0.65μm/5分以上、たとえば0.65μm/5分〜0.8μm/5分、さらにより好ましくは0.7μm/5分以上、たとえば0.7μm/5分〜0.8μm/5分であり、最も好ましくは、無電解めっきは、30℃〜34℃の温度で実施される。
【0058】
本発明の無電解銅めっき用組成物を使用した無電解銅めっき方法により、プリント回路基板のスルーホールの無電解銅めっきについて良好な平均バックライト値を得ることが可能になる。そのような平均バックライト値は、好ましくは、4.5以上、より好ましくは4.6〜5、さらにより好ましくは4.7〜5、最も好ましくは4.8〜5である。そのような高い平均バックライト値が得られることから、本発明の無電解銅めっき用組成物を使用する本発明の無電解銅めっき方法を商業的な無電解銅めっきで使用することが可能になった(プリント回路基板産業では、実質的に4.5以上のバックライト値を必要としている)。本発明の無電解の銅金属めっき組成物および方法により、高いめっき速度でも、イミダゾリウム化合物またはその塩の広い濃度範囲にわたって均質な輝度の高い銅析出物を得ることが可能になった。
【0059】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1
1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含む無電解銅めっき浴の無電解銅めっき速度
4種の無電解銅めっき浴を調製する。4種のすべての浴は、以下の成分を含む。
【0061】
【表1】
【0062】
それぞれの浴のpHは、13である。浴4は、対照である。それぞれの浴を使用して、エポキシ基材上に銅めっきする。最初に下記のプロセスに従ってそれぞれのエポキシ基材を処理した後、無電解銅めっきを実施する。
(1)Conditioner 231を45℃で1.5分にわたって適用し;
(2)DI水を用い、室温で2分にわたって洗浄し;
(3)pH=2の硝酸を用い、室温で0.5分にわたってプレディップし;
(4)100ppmのCIRCUPOSIT(商標)6530イオン性パラジウム触媒を40℃で1分にわたって添加し;
(5)DI水を用い、室温で1分にわたって洗浄し;
(6)5g/Lのホウ酸および0.6g/Lのジメチルアミンボランの水溶液を30℃で1分にわたって添加し;および
(7)DI水を用い、室温で1分にわたって洗浄する。
【0063】
無電解銅めっきは、34℃で5分にわたって実施する。めっき速度は、慣用される実験室用化学天秤を使用して、それぞれの基材を無電解銅めっきする前に秤量し、次いでめっきを実施した後にそれぞれの基材を秤量することにより求める。次いで、それぞれの基材における重量の差を使用して、積層物表面積(=25cm
2)および銅析出物の密度(8.92g/cm
3)を用いて析出物の厚みを計算し、その値をめっき時間の長さで割ってめっき速度に変換する。それぞれの浴におけるめっき速度を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
銅めっき浴中に1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含めると、対照の浴4と比較してめっき速度が高くなる。1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含む浴からの銅析出物は、実質的に全部のエポキシ基材上で光沢がある均質な外観を与える。対照の浴からめっきした銅析出物は、不均質で粗く暗色の析出物を示し、光沢のある析出物の領域が微小である。
【0066】
実施例2
1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドおよびグアニジン塩酸塩を含む無電解銅めっき浴の無電解銅めっき速度
6種の無電解銅めっき浴を調製する。それぞれの浴のpHは、13である。浴は、表3に示す成分および量を含む。
【0067】
【表3】
【0068】
それぞれの浴を使用してエポキシ基材上に銅をめっきする。それぞれのエポキシ基材を処理した後、実施例1に記載したように無電解銅めっきする。無電解銅めっきは、34℃で5分にわたって実施する。めっき速度は、実施例1に記載したのと同様に求める。それぞれの浴におけるめっき速度を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
無電解銅めっき浴中に1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含めると、対照の浴10(グアニジン塩酸塩を含むが、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含まない)と比較してめっき速度が高くなる。加えて、グアニジン塩酸塩を含む浴10(対照)は、実施例1の浴4(対照)と同様のめっき速度を有し、および浴4(対照)と同一の条件下でめっきされるが、ただし、浴4(対照)中にはグアニジン塩酸塩が含まれていない。したがって、本発明の無電解銅めっき浴でめっき速度が高くなったのは、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドのためである。
【0071】
1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含む浴からの銅析出物は、実質的に全部のエポキシ基材上で光沢がある均質な外観を与える。対照浴からめっきした銅析出物は、大きい領域の不均一で粗い析出物に混ざった小さい領域の光沢がある析出物を示す。
【0072】
実施例3
1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムクロリドを含む本発明のアルカリ性無電解銅水性組成物を用いたバックライト実験
表5に開示された成分および量を有する以下の本発明のアルカリ性無電解銅水性組成物を調製する。浴11は、慣用されるpHメーター(Fischer Scientificから入手可能)を使用して室温で測定して12.5のpHを有する。
【0073】
【表5】
【0074】
複数のスルーホールを有する6種の異なるFR/4ガラスエポキシパネルを準備する:TUC−662、SY−1141、IT−180、370HR、EM825およびNPGN。パネルは、4層または8層のいずれかの銅クラッドパネルである。TUC−662は、Taiwan Union Technologyから入手され、およびSY−1141は、Shengyiから入手される。IT−180は、ITEQ Corp.から入手され、NPGNは、NanYaから入手され、および370HRは、Isolaから入手され、およびEM825は、Elite Materials Corporationから入手される。パネルのT
g値は、140℃〜180℃の範囲である。それぞれのパネルは、5cm×10cmである。
【0075】
それぞれのパネルのスルーホールは、以下のように処理する。
1.CIRCUPOSIT(商標)Hole Prep 3303溶液を用い、80℃で6分にわたってそれぞれのパネルのスルーホールの汚れ取りを行い;
2.次いで、水道の流水を用い、2分にわたってそれぞれのパネルのスルーホールを洗浄し;
3.次いで、CIRCUPOSIT(商標)MLB Promoter 3308の過マンガン酸塩水溶液を用い、80℃で8分にわたってスルーホールを処理し;
4.次いで、水道の流水を用い、2分にわたってスルーホールを洗浄し;
5.次いで、3重量%硫酸/3重量%過酸化水素中和剤を用い、室温で2分にわたってスルーホールを処理し;
6.次いで、水道の流水を用い、2分にわたってそれぞれのパネルのスルーホールを洗浄し;
7.次いで、CIRCUPOSIT(商標)Conditioner 231アルカリ性溶液を用い、45℃で1.5分にわたってそれぞれのパネルのスルーホールを処理し;
8.次いで、水道の流水を用い、2分にわたってスルーホールを洗浄し;
9.次いで、過硫酸ナトリウム/硫酸エッチング溶液を用い、室温で1分にわたってスルーホールを処理し;
10.次いで、DI水の流水を用い、1分にわたってそれぞれのパネルのスルーホールを洗浄し;
11.次いで、パネルを酸性のPre−Dip CIRCUPOSIT(商標)6520中に室温で0.5分浸漬させ、次いでCIRCUPOSIT(商標)6530 Catalyst(これは、イオン性のアルカリ性パラジウム触媒の水性濃縮物である)中に40℃で1分浸漬させ(Dow Electronic Materialsから入手可能)、触媒は、十分な量の炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは硝酸を用いて緩衝処理されて9〜9.5の触媒pHを達成し、その後、DI水を用い、室温で1分にわたってパネルを洗浄し;
12.次いで、0.6g/Lのジメチルアミンボランおよび5g/Lのホウ酸の溶液中にパネルを30℃で1分にわたって浸漬させて、パラジウムイオンを還元させてパラジウム金属とし、次いでDI水を用い、1分にわたってパネルを洗浄し;
13.次いで、表5の無電解銅めっき用組成物中にパネルを浸漬させ、34℃、pH12.5で銅をめっきさせて、スルーホールの壁面上に銅を5分にわたって析出させ;
14.次いで、水道の流水を用い、4分にわたって銅めっきしたパネルを洗浄し;
15.次いで、圧縮空気を用い、それぞれの銅めっきしたパネルを乾燥させ;および
16.以下に記載するバックライト法を使用して、めっきの被覆状態についてパネルのスルーホールの壁面を調べる。
【0076】
それぞれのパネルについて、スルーホールの中央に可能な限り近くで切断して、銅めっきした壁面を露出させる。それぞれのパネルから、スルーホールの中心から3mm以下の厚みの断面を取り出して、スルーホール壁面被覆を測定する。European Backlight Grading Scaleを使用する。それぞれのパネルからの断面を慣用される光学顕微鏡の下に置き、サンプルの背後に光源を置いて50倍の倍率で測定する。サンプルを通過する、顕微鏡で見ることが可能な光の量により、銅析出物の品質を判定する。無電解被覆が不完全である、めっきしたスルーホールの領域内でのみ透過光が観察できる。光がまったく透過しなければ、そのセクションは、完全に暗くなるため、それをバックライトスケールで5と評価し、それは、スルーホールの壁面が銅で完全に被覆されていることを表す。光が暗い領域を一切有さずに全セクションで通過した場合、これは、壁面上への銅金属の析出が極めてわずかであるかまたは全くないことを表すため、そのセクションには0の評点を与えた。セクションに明るい領域と共にある程度の暗い領域が存在する場合、それらを0〜5と評価する。最低でも10個のスルーホールを検査して、それぞれのボードの評価付けを行う。4.5より大きいバックライト値は、めっき産業において商業的に許容される触媒であることを示す。
【0077】
それぞれのタイプのFR/4ガラスエポキシパネルについての平均バックライト値を次の表に開示する。
【0078】
【表6】
【0079】
SY−1141エポキシパネル以外のすべてのパネルで平均バックライト値が4.5を超えている。
【0080】
実施例4
メチルイミダゾリウム化合物を含む無電解銅めっき浴の無電解銅めっき速度
表7に開示された成分および量を有する以下の本発明のアルカリ性無電解銅水性組成物を調製する。浴は、慣用されるpHメーター(Fischer Scientificから入手可能)を使用して室温で測定して10〜13の範囲のpHを有する。
【0081】
【表7】
【0082】
それぞれの浴を使用してエポキシ基材上に銅をめっきする。それぞれのエポキシ基材を処理した後、実施例1に記載したように無電解銅めっきする。無電解銅めっきは、34℃で5分にわたって実施する。めっき速度は、実施例1に記載したのと同様に求める。
【0083】
それぞれの浴での無電解銅めっき速度は、0.6μm/5分を超えている。浴からの銅析出物は、実質的に全部のエポキシ基材上で光沢がある均質な外観を与える。
【0084】
実施例5
イミダゾリウム化合物を含む本発明のアルカリ性無電解銅水性組成物を用いたバックライト実験
実施例4、表7に記載したのと同一の成分および量を有する6種のアルカリ性無電解水性銅めっき浴(浴18〜23)を調製するが、ただし、それぞれの浴は、15ppmのメチルイミダゾリウム塩を含み、および浴のpHは、室温で11〜13の範囲である。
【0085】
先に実施例3で記載したように、複数のスルーホールを有する6種の異なるFR/4ガラスエポキシパネルのそれぞれ6種を準備する:TUC−662、SY−1141、IT−180、370HR、EM825およびNPGN。パネルを実施例3に記載したように処理し、および実施例3に記載したように無電解銅めっきするが、ただし、浴の温度は、34℃であり、およびめっき時のpHは、12.5である。
【0086】
めっきした後、それぞれのパネルについて、スルーホールの中央に可能な限り近くで切断して、銅めっきした壁面を露出させる。それぞれのパネルから、スルーホールの中心から3mm以下の厚みの断面を取り出して、スルーホール壁面被覆を測定する。実施例3に記載したのと同様に、European Backlight Grading Scaleを使用して浴のめっき性能を求める。バックライトの平均値は、4.5〜4.7の範囲である。