特許第6814870号(P6814870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6814870
(24)【登録日】2020年12月23日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】段差カット可能な包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20210107BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
   B65D75/62 A
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-233729(P2019-233729)
(22)【出願日】2019年12月25日
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】特願2019-198460(P2019-198460)
(32)【優先日】2019年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591230664
【氏名又は名称】丸東産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】中山 圭
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5941604(JP,B1)
【文献】 特許第6087014(JP,B1)
【文献】 特開2015−147579(JP,A)
【文献】 特開2019−147568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 75/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に易開封手段を有する段差カット可能な包装袋において、
表面側の上記易開封手段は、上記包装袋の左右外縁から左右の上部変曲部まで下り傾斜に形成された下向傾斜切目線と、上記両上部変曲部から中央部が上方に膨れる凸状切目線とから構成される上部切目線と、
上記上部切目線の下側において、上記包装袋の左右外縁から左右の下部変曲部まで上り傾斜に形成された上向傾斜切目線と、上記両下部変曲部から中央部が下方に膨れる凹状切目線とからなり、上記上部切目線とは接触しない下部切目線により構成され、
上記左右の上部変曲部と下部変曲部間に、内側に開口する横向V字型誘導切目線が上記上部切目線と上記下部切目線に接触しないように各々形成され、
上記包装袋の左右外縁における上記下向傾斜切目線と上記上向傾斜切目線の中間に切込部が各々形成され、
上記左右の切込部に近接して小直線状誘導切目線が設けられ、上記両小直線状誘導切目線は、上記切込部から内側水平方向の仮想延長線に交差する方向に同一傾斜方向で形成されており、左側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記上向傾斜切目線に向かい、右側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記下向傾斜切目線に向かうように形成され、
裏面側の上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置する直線状の上部裏面側切目線と下部裏面側切目線とから構成され、
上記上部裏面側切目線の両端の裏面側変曲部には、上記両切込部より下側位置の上記包装袋の左右外縁から上記上部裏面側切目線の上記裏面側変曲部まで上り傾斜に形成された裏面側上向傾斜切目線が各々接続されることで1本の切目線として形成され、
上記表面側の左右の上記上向傾斜切目線と、左右の上記裏面側上向傾斜切目線は、形成位置が表裏で一致又は略一致しているものである段差カット可能な包装袋。
【請求項2】
上記下部裏面側切目線の両端部は、左右の上記裏面側上向傾斜切目線に接触しないように形成されたものである請求項1記載の段差カット可能な包装袋。
【請求項3】
上部に易開封手段を有する段差カット可能な包装袋において、
表面側の上記易開封手段は、上記包装袋の左右外縁から左右の上部変曲部まで下り傾斜に形成された下向傾斜切目線と、上記両上部変曲部から中央部が上方に膨れる凸状切目線とから構成される上部切目線と、
上記上部切目線の下側において、上記包装袋の左右外縁から左右の下部変曲部まで上り傾斜に形成された上向傾斜切目線と、上記両下部変曲部から中央部が下方に膨れる凹状切目線とからなり、上記上部切目線とは接触しない下部切目線により構成され、
上記左右の上部変曲部と下部変曲部間に、内側に開口する横向V字型誘導切目線が上記上部切目線と上記下部切目線に接触しないように各々形成され、
上記包装袋の左右外縁における上記下向傾斜切目線と上記上向傾斜切目線の中間に切込部が各々形成され、
上記左右の切込部に近接して小直線状誘導切目線が設けられ、上記両小直線状誘導切目線は、上記切込部から内側水平方向の仮想延長線に交差する方向に同一傾斜方向で形成されており、左側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記上向傾斜切目線に向かい、右側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記下向傾斜切目線に向かうように形成され、
裏面側の上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置する直線状の上部裏面側切目線と下部裏面側切目線とから構成され、
上記上部裏面側切目線の一端の裏面側変曲部には、一方の上記切込部より下側位置の上記包装袋の外縁から上記一端の裏面側変曲部まで上り傾斜に形成された裏面側上向傾斜切目線が接続され、
上記下部裏面側切目線の他端の裏面側変曲部には、他方の上記切込部より上側位置の上記包装袋の外縁から上記他端の裏面側変曲部まで下り傾斜に形成された裏面側下向傾斜切目線が接続され、
上記左右の切込部に近接して裏面側小直線状誘導切目線が、各内側端部が上記裏面側上向傾斜切目線及び上記裏面側下向傾斜切目線に向かうよう各々設けられ、
上記裏面側上向傾斜切目線と上記裏面側下向傾斜切目線は、表面側の上記上向傾斜切目線と上記下向傾斜切目線に形成位置が表裏で一致又は略一致しているものである段差カット可能な包装袋。
【請求項4】
表面側の上記両小直線状誘導切目線と、裏面側の上記両裏面側小直線状誘導切目線は、形成位置又は形成方向が表裏で一致又は略一致しているものである請求項3記載の段差カット可能な包装袋。
【請求項5】
上記上部裏面側切目線の他端は、上記裏面側下向傾斜切目線に接触しておらず、上記他端の延長線上に上記裏面側下向傾斜切目線が位置するように形成され、
上記下部裏面側切目線の一端は、上記裏面側上向傾斜切目線に接触しておらず、上記一端の延長線上に上記裏面側上向傾斜切目線が位置するように形成されたものである請求項3又は4に記載の段差カット可能な包装袋。
【請求項6】
上記包装袋の易開封手段の下側に再封手段が形成された請求項1〜5の何れかに記載の段差カット可能な包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば包装袋の上方位置等の易開封手段において、開封部に段差を生じさせる切目線を設けた段差カット可能な包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装袋において、表面側に互いに接触しない上に凸の上部切目線と下に凸の下部切目線を設け、左右の変曲点に横向きV字状の誘導切目線を設け、裏面側に2本の直線状の切目線を設け、上部切目線と下部切目線の両端部の包装袋の両縁部に切込部を設け、例えば、包装袋の左縁部側から手前側に引いて開封する場合において、円滑に開封すると共に、段差を形成し得る包装袋が開示されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5941604号公報
【特許文献2】特許第6087014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1,2の包装袋は、上述のように上端部を手前側に引いた場合に、開封部に一定の段差を形成することができるのであるが、稀に、力の方向等の加減で、切込部からの切断線が切目線の方向に移行せず、或いは、途中の切目線から離脱し、適切な段差が形成されないケースが見受けられた。
【0005】
本出願の発明者は、上記従来の課題に鑑みて、鋭意研究を続け、上記切込部からの切断線を切目線に適切に誘導することで、開封部に確実に段差を生じさせる段差カット可能な包装袋を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、左右何れの方向から開封しても、開封部に確実に段差を生じさせる段差カット可能な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、上部に易開封手段を有する段差カット可能な包装袋において、表面側の上記易開封手段は、上記包装袋の左右外縁から左右の上部変曲部まで下り傾斜に形成された下向傾斜切目線と、上記両上部変曲部から中央部が上方に膨れる凸状切目線とから構成される上部切目線と、上記上部切目線の下側において、上記包装袋の左右外縁から左右の下部変曲部まで上り傾斜に形成された上向傾斜切目線と、上記両下部変曲部から中央部が下方に膨れる凹状切目線とからなり、上記上部切目線とは接触しない下部切目線により構成され、上記左右の上部変曲部と下部変曲部間に、内側に開口する横向V字型誘導切目線が上記上部切目線と上記下部切目線に接触しないように各々形成され、上記包装袋の左右外縁における上記下向傾斜切目線と上記上向傾斜切目線の中間に切込部が各々形成され、上記左右の切込部に近接して小直線状誘導切目線が設けられ、上記両小直線状誘導切目線は、上記切込部から内側水平方向の仮想延長線に交差する方向に同一傾斜方向で形成されており、左側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記上向傾斜切目線に向かい、右側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記下向傾斜切目線に向かうように形成され、裏面側の上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置する直線状の上部裏面側切目線と下部裏面側切目線とから構成され、上記上部裏面側切目線の両端の裏面側変曲部には、上記両切込部より下側位置の上記包装袋の左右外縁から上記上部裏面側切目線の上記裏面側変曲部まで上り傾斜に形成された裏面側上向傾斜切目線が各々接続されることで1本の切目線として形成され、上記表面側の左右の上記上向傾斜切目線と、左右の上記裏面側上向傾斜切目線は、形成位置が表裏で一致又は略一致しているものである段差カット可能な包装袋により構成される。
【0008】
上記表面側とは、例えば表面側積層フィルム(2)をいう。上記裏面側とは、例えば裏面側積層フィルム(3)をいう。上記横向V字型誘導切目線は、横向きV字型の誘導切目線(18,19)により構成することができる。上記小直線状誘導切目線は、小直線状の誘導切目線(22a,22b)により構成することができる。上記小直線状誘導切目線の各内側端部は、小直線状誘導切目線(22a,22b)の各内側端部(22a’,22b’)により構成することができる。上記切込部は例えばIノッチ(21,21)により構成することができる。上記上向傾斜切目線と上記裏面側上向傾斜切目線の形成位置が表裏で略一致とは、形成位置が表裏で多少ずれがある場合を含む。このように構成すると、易開封手段の上側の上辺部の左端を把持して手前側に引くと、表面側は、切込部からの切断線が小直線状誘導切目線に達し、切断線は、上記小直線状誘導切目線の内側端部から上向傾斜切目線に誘導されるため、表面側を下部切目線に沿って開封することができ、裏面側は、表面側の上記上向傾斜切目線と形成位置が表裏で一致する裏面側上向傾斜切目線が形成されているので、同様に切断線が上記裏面側上向傾斜切目線に達し、裏面側上部切目線に沿って開封することができ、結果として、表面側が下部切目線に沿って開封され、裏面側が上部切目線に沿って開封され、開封部に確実に段差を形成することができる。逆に、易開封手段の上側の上辺部の右端を把持して手前に引くと、表面側は、切込部からの切断線が小直線状誘導切目線に達し、切断線は、上記小直線状誘導切目線の内側端部から下向傾斜切目線に誘導されるため、表面側が上部切目線に沿って開封することができ、裏面側は、表面側の上記上向傾斜切目線と形成位置が表裏で一致する裏面側上向傾斜切目線が形成されているので、切断線が上記裏面側上向傾斜切目線に達し、裏面側上部切目線に沿って開封することができ、結果として、表面側が上部切目線に沿って開封され、裏面側が上部切目線に沿って開封され、開封部に確実に段差を形成することができる。
【0010】
このように構成すると、上辺部の左側を把持して手前に引いた場合も、上辺部の右側を把持して手前に引いた場合も、何れの場合も切始めの切断線を、上向傾斜切目線又は下向き傾斜切目線に誘導することができ、良好に開封部に段差を形成することができる。
【0011】
に、上記下部裏面側切目線の両端部は、左右の上記裏面側上向傾斜切目線に接触しないように形成されたものである上記第1に記載の段差カット可能な包装袋により構成される。
【0012】
このように構成すると、仮に、裏面側において、開封時に、裏面側上向傾斜切目線から切断線がずれた場合であっても、下部裏面側切目線にて切断線を受け止めて、その後は下部裏面側切目線に沿って開封することができ、上記ずれが生じても、開封部に段差を確実に形成することができる。
【0013】
に、上部に易開封手段を有する段差カット可能な包装袋において、表面側の上記易開封手段は、上記包装袋の左右外縁から左右の上部変曲部まで下り傾斜に形成された下向傾斜切目線と、上記両上部変曲部から中央部が上方に膨れる凸状切目線とから構成される上部切目線と、上記上部切目線の下側において、上記包装袋の左右外縁から左右の下部変曲部まで上り傾斜に形成された上向傾斜切目線と、上記両下部変曲部から中央部が下方に膨れる凹状切目線とからなり、上記上部切目線とは接触しない下部切目線により構成され、上記左右の上部変曲部と下部変曲部間に、内側に開口する横向V字型誘導切目線が上記上部切目線と上記下部切目線に接触しないように各々形成され、上記包装袋の左右外縁における上記下向傾斜切目線と上記上向傾斜切目線の中間に切込部が各々形成され、上記左右の切込部に近接して小直線状誘導切目線が設けられ、上記両小直線状誘導切目線は、上記切込部から内側水平方向の仮想延長線に交差する方向に同一傾斜方向で形成されており、左側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記上向傾斜切目線に向かい、右側の上記小直線状誘導切目線はその内側端部が上記下向傾斜切目線に向かうように形成され、裏面側の上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置する直線状の上部裏面側切目線と下部裏面側切目線とから構成され、上記上部裏面側切目線の一端の裏面側変曲部には、一方の上記切込部より下側位置の上記包装袋の外縁から上記一端の裏面側変曲部まで上り傾斜に形成された裏面側上向傾斜切目線が接続され、上記下部裏面側切目線の他端の裏面側変曲部には、他方の上記切込部より上側位置の上記包装袋の外縁から上記他端の裏面側変曲部まで下り傾斜に形成された裏面側下向傾斜切目線が接続され、上記左右の切込部に近接して裏面側小直線状誘導切目線が、各内側端部が上記裏面側上向傾斜切目線及び上記裏面側下向傾斜切目線に向かうよう各々設けられ、上記裏面側上向傾斜切目線と上記裏面側下向傾斜切目線は、表面側の上記上向傾斜切目線と上記下向傾斜切目線に形成位置が表裏で一致又は略一致しているものである段差カット可能な包装袋により構成される。
【0014】
上記裏面側小直線状誘導切目線は、小直線状の裏面側の誘導切目線(31a,31b)により構成することができる。上記裏面側小直線状誘導切目線の各内側端部は、上記各誘導切目線(31a,31b)の各内側端部(31a’,31b’)により構成することができる。上記裏面側上向傾斜切目線と上記裏面側下向傾斜切目線は、表面側の上記上向傾斜切目線と上記下向傾斜切目線に形成位置が表裏で略一致しているとは、形成位置が表裏で多少ずれがある場合を含む。このように構成すると、易開封手段の上側の上辺部の左端を把持して手前側に引くと、表面側は、切込部からの切断線が小直線状誘導切目線に達し、切断線は、上記小直線状誘導切目線の内側端部から上向傾斜切目線に誘導されるため、表面側が下部切目線に沿って開封することができ、裏面側は、切込部からの切断線が裏面側小直線状誘導切目線(31a)に達し、切断線はその内側端部(31a’)から裏面側上向傾斜切目線(表面側の上向傾斜切目線に一致又は略一致している)に誘導されるため、裏面側が上部裏面側切目線に沿って開封することができ、結果として、表面側が下部切目線に沿って開封され、裏面側が上部切目線に沿って開封され、開封部に確実に段差を形成することができる。逆に、易開封手段の上側の上辺部の右端を把持して手前側に引くと、表面側は、切込部からの切断線が小直線状誘導切目線に達し、切断線は、上記小直線状誘導切目線の内側端部から下向傾斜切目線に誘導されるため、表面側が上部切目線に沿って開封することができ、裏面側は、切込部からの切断線が裏面側小直線状誘導切目線(31b)に達し、切断線はその内側端部(31b’)から裏面側下向傾斜切目線(表面側の下向傾斜切目線に一致又は略一致している)に誘導されるため、裏面側が下部裏面側切目線に沿って開封することができ、結果として、表面側が上部切目線に沿って開封され、裏面側が下部切目線に沿って開封され、開封部に確実に段差を形成することができる。また、裏面側は、右側に裏面側下向傾斜切目線を、左側に裏面側上向傾斜切目線を設け、上記裏面側小直線状誘導切目線によって、上記各裏面側下向傾斜切目線と上記裏面側上向傾斜切目線に切断線を誘導し得るように構成したので、裏面側の開封が円滑となり、どの方向から開封しても、確実に段差を設けることができる。
【0016】
このように構成すると、上辺部の左側を把持して手前に引いた場合も、上辺部の右側を把持して手前に引いた場合も、何れの場合も良好に開封部に段差を形成することができる。
【0017】
に、表面側の上記両小直線状誘導切目線と、裏面側の上記両裏面側小直線状誘導切目線は、形成位置又は形成方向が表裏で一致又は略一致しているものである上記第3記載の段差カット可能な包装袋により構成される。
【0018】
形成位置が表裏で略一致しているとは、形成位置が表裏で多少ずれがある場合を含む。形成方向が表裏で略一致しているとは、何れも内側端部が上向傾斜切目線、裏面側上向傾斜切目線又は下向傾斜切目線、裏面側下向傾斜切目線に向かっていれば、表裏の傾斜角度、形成位置にずれがある場合を含む(図12参照)。このように構成すると、表面側の切断線も裏面側の切断線も、表面側の両小直線状誘導切目線及び裏面側の両裏面側小直線状誘導切目線により、適切に所定の切目線に誘導することができ、結果として開封部に確実に段差を形成することができる。
【0019】
に、上記上部裏面側切目線の他端は、上記裏面側下向傾斜切目線に接触しておらず、上記他端の延長線上に上記裏面側下向傾斜切目線が位置するように形成され、上記下部裏面側切目線の一端は、上記裏面側上向傾斜切目線に接触しておらず、上記一端の延長線上に上記裏面側上向傾斜切目線が位置するように形成されたものである上記第3又は4に記載の段差カット可能な包装袋により構成される。
【0020】
上記上部裏面側切目線の他端とは、他端(20a’)をいう。上記下部裏面側切目線の一端とは、一端(20b’)をいう。このように構成すると、裏面側の切断線は、上部裏面側切目線の他端から裏面側下向傾斜切断線に誘導することができ、或いは、上記下部裏面側切目線の一端から裏面側上向傾斜切断線に誘導することができるため、裏面側を円滑に開封することができる。
【0021】
に、上記包装袋の易開封手段の下側に再封手段が形成された上記第1〜の何れかに記載の段差カット可能な包装袋により構成される。


【0022】
このように構成すると、再封可能な包装袋において、確実に段差を形成し得る易開封手段を実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、表面側は、切込部からの切断線が小直線状誘導切目線に達し、切断線は、上記小直線状誘導切目線の内側端部から上向傾斜切目線又は下向傾斜切目線に誘導され、裏面側は、表面側の上記上向傾斜切目線と形成位置が表裏で一致する裏面側上向傾斜切目線が形成されているので、切断線を裏面側上向傾斜切目線に誘導することができ、結果として開封部に確実に段差を形成することができる。
【0024】
また、上辺部の左側を把持して手前に引いた場合も、上辺部の右側を把持して手前に引いた場合も、何れの場合も良好に開封部に段差を形成することができる。
【0025】
また、仮に、裏面側において、開封時に、裏面側上向傾斜切目線から切断線がずれた場合であっても、下部裏面側切目線にて切断線を受け止めて、その後は下部裏面側切目線に沿って開封することができ、上記ずれが生じても、開封部に段差を確実に形成することができる。
【0026】
また、裏面側にも裏面側小直線状誘導切目線と、裏面側上向傾斜切目線と裏面側下向傾斜切目線を設けたので、裏面側の切断線を裏面側小直線状誘導切目線により裏面側上向傾斜切目線又は裏面側下向傾斜切目線に確実に誘導することができるため、表面側の切目線の構成と相俟って、どの方向から開封しても、開封部に確実に段差を形成することができる。
【0027】
また、表面側の切断線も裏面側の切断線も、表面側の両小直線状誘導切目線及び裏面側の両裏面側小直線状誘導切目線により、適切に誘導することができ、結果として開封部に確実に段差を形成することができる。
【0028】
また、裏面側の切断線は、上部裏面側切目線の他端から裏面側下向傾斜切断線に誘導することができ、或いは、上記下部裏面側切目線の一端から裏面側上向傾斜切断線に誘導することができるため、裏面側を円滑に開封することができる。
【0029】
また、再封可能な包装袋において、確実に段差を形成し得る易開封手段を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る段差カット可能な包装袋の第1の実施形態の正面図である。
図2】同上包装袋の背面図である。
図3】同上包装袋の易開封手段近傍の拡大正面図である。
図4】同上包装袋の左側の易開封手段近傍の拡大正面図である。
図5】同上包装袋の右側の易開封手段近傍の拡大正面図である。
図6】同上包装袋の開封途中の状態を示す同包装袋の正面図である。
図7】同上包装袋の第2の実施形態の背面図である。
図8】同上包装袋(第2の実施形態)の易開封手段近傍の拡大正面図である。
図9】同上包装袋(第2の実施形態)の左側の易開封手段近傍の拡大正面図である。
図10】同上包装袋(第2の実施形態)の右側の易開封手段近傍の拡大正面図である。
図11】同上包装袋(第2の実施形態)の開封途中の状態を示す同包装袋の正面図である。
図12】同上包装袋の表面側の誘導切目線と裏面側の誘導切目線の位置関係を示す図であり、(a)は包装袋の左側の誘導切目線、(b)は包装袋の右側の誘導切目線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る段差カット可能な包装袋について詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1図2は、上記包装袋1を示すものであり、図1は包装袋の表面側積層フィルム2、図2は包装袋の裏面側積層フィルム3を示す。尚、表面側積層フィルム2のことを「表面側」、裏面側積層フィルム3のことを「裏面側」ともいう。
【0033】
本発明の包装袋1は、表面側積層フィルム2と裏面側積層フィルム3の内側のシーラント層同士を対向し、周囲の所定幅を熱溶着することにより形成され、これにより、所定幅の左側熱溶着部4、右側熱溶着部5、上側熱溶着部6、下側熱溶着部7が形成され、内部空間に内容物が収納される。
【0034】
尚、表面側積層フィルム2を図示した図1において、紙面に向かって左右を「左右方向」、左右方向を基準に上下を「上下方向」と定義する。従って、裏面側積層フィルム3を図示した図2においては「左右方向」だけ図1と逆になる。また、左右外縁4a,5aより包装袋の中央部方向を「内側」、中央部から左又は右の方向を「外側」と表現する。よって、表面側積層フィルム2においても、裏面側積層フィルム3においても、左外縁4aから中央部方向を「内側」、右外縁5aから中央部方向を「内側」という。
【0035】
また、以下の説明において「切目線」とは、表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の表面に、厚さ方向に貫通しない一定の深さで、レーザー加工により形成された切目線(所謂ハーフカット線)をいう。従って、この切目線は、表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の表面に、貫通しない切目線として形成されており、この切目線に沿って包装袋の上辺部1’を例えば手前に引くことにより、当該切目線に沿って表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3を切断し得るものであり、所謂、開封用誘導線をいう。
【0036】
上記包装袋1において、上下の中央部より、上部側に再封手段8が設けられると共に、上記再封手段8と上辺の熱溶着部(上側熱溶着部6)との間に易開封手段9が表裏に各々形成されている。尚、再封手段8は包装袋1に設けられない場合もある。
【0037】
また、本発明の包装袋1において、易開封手段9より上側であって、開封時に包装袋から切り取られる片部分を上辺部1’という(図1参照)。
【0038】
上記再封手段8は、周知の構造であり、包装袋の表面側積層フィルム2の内側に左右方向全体に樹脂製凸条を固定し、裏面側積層フィルム3の内側に上記樹脂製凸条に対応する樹脂製凹溝部材を左右全体に固定し、上記樹脂製凸条を上記樹脂製凹溝に着脱自在とし、これにより開口部を再封止できるようにしたものである。
【0039】
上記表面側積層フィルム2の上記易開封手段9は、以下の構造を有している。
まず、表面側積層フィルム2側の易開封手段9は、1本の上部切目線10と、該上部切目線10より下方向に離間した1本の下部切目線11とにより構成されている。
【0040】
上記上部切目線10は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右の熱溶着部4,5の左右外縁4a,5aの同一高さより始まり、左右熱溶着部4,5の幅Tより内側に入った位置における左右の上部変曲部12a,12bまで、上方から下方に向けて下り傾斜直線状に形成された左右対称の下向傾斜切目線13a,13bと、上記左右の上部変曲部12a,12bから、左右端部が左右の上記下向傾斜切目線13a,13bに連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる凸状切目線14とから構成される、全体として連続する1本の切目線により構成されている。
【0041】
上記左右の下向傾斜切目線13a,13bは、左右熱溶着部4,5の外縁4a,5aから内側方向に向けて下り傾斜直線状に形成されると共に、上記上部変曲部12a,12bにおいて、下向き円弧状に変曲しつつ、さらに上向き円弧状の上記凸状切目線14に滑らかに連続するように構成されている。
【0042】
上記左右の上部変曲部12a,12bは、左右の熱溶着部4,5の内縁4b,5bからさらに内側に多少入った左右位置に形成されることが好ましい。
【0043】
次に、上記下部切目線11は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右の熱溶着部4,5の左右外縁4a,5aの同一高さより始まり、左右熱溶着部4,5の幅Tより内側に入った位置における左右の下部変曲部15a,15bまで、下方から上方に向けて上り傾斜直線状に形成された左右対称の上向傾斜切目線16a,16bと、上記左右の下部変曲部15a,15bから、左右端部が上記左右の上向傾斜切目線16a,16bに連続し、中央部が下方に円弧状に膨れる凹状切目線17とから構成される、全体として連続する1本の切目線により構成されている。
【0044】
上記左右の上向傾斜切目線16a,16bは、左右熱溶着部4,5の外縁4a,5aから内側方向に向けて上向き傾斜直線状に形成されると共に、上記下部変曲部15a,15bにおいて、上向き円弧状に変曲しつつ、さらに下向き円弧状の上記凹状切目線17に滑らかに連続するように構成されている。
【0045】
上記左右の下部変曲部15a,15bは、左右の熱溶着部4,5の内縁4b,5bからさらに内側に多少入った左右位置に形成されることが好ましい。そして、上記上部変曲部12a,12bと上記下部変曲部15a,15bとは、表面側積層フィルム2の左右位置において、同一位置に形成されている。何れにしても、上記下部変曲部15a,15bは、上記上部変曲部12a,12bと同様、何れも左右熱溶着部4,5の内縁4b,5bに近い位置に各々設けることが好ましい。
【0046】
そして、上記上部切目線10と上記下部切目線11とは、上下方向に離間して互いに接触しないように、上下対称に構成すると共に、上下切目線10,11の離間距離は、左側の上記上部変曲部12aと15a間、上記右側の上記上部変曲部12bと15b間が最少の離間距離Mとなるように構成している(図4図5参照)。
【0047】
具体的には、上記上部変曲部12a,12bと下部変曲部15a,15bとの離間距離Mは、左右何れも1mm〜5mm、好ましくは、2mm〜5mmとする。勿論、左右の離間距離Mは同一とする。
【0048】
さらに、上記左側の上記上部変曲部12aと上記下部変曲部15aとの間、及び、上記右側の上記上部変曲部12bと上記下部変曲部15bとの間に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導切目線18,19を、上記上部切目線10(凸状切目線14)と上記下部切目線11(凹状切目線17)に接触しないように各々形成する(図3図4図5参照)。
【0049】
この誘導切目線18,19は、左右対称なので、左側の誘導切目線18について説明し、右側の誘導切目線19は対応部分の符号をかっこ書で表示する(図4図5参照)。この誘導切目線18(19)は、図4図5)に示すように、上記上部変曲部12a(12b)と下部変曲部15a(15b)の間であって、その「V字」を構成する上側の開き切目線18a(19a)が、上記凸状切目線14の上向傾斜切目線14a(14b)に沿って内側方向に延びると共に、その「V字」を構成する下側の開き切目線18b(19b)が、上記凹状切目線17の下向傾斜切目線17a(17b)に沿って内側方向に延びるように形成され、かつ、その「V字」の頂点18c(19c)は、外側方向を向いており、後述のIノッチ21から水平方向に延長した仮想延長線L上に形成されている。
【0050】
そして、上記上側及び下側の開き切目線18a,18b(19a,19b)は、上記上下向傾斜切目線14a,17a(14b,17b)に近接してはいるが、決して接したり交わることはないように構成される。
【0051】
左右の上記Iノッチ21,21は、上記下向傾斜切目線13a,13bの左右外縁4a,4b上の点13a’,13b’(図4図5参照)と、上記上向傾斜切目線16a,16bの左右外縁4a,5a上の点16a’,16b’(図4図5参照)との距離Qの上下方向の中間位置(Q/2=Q1の位置)に設けられており、上記包装袋1の表面側積層フィルム2と裏面側積層フィルム3を貫通するように切り込み状に設けられている。このIノッチ21,21は、開封時の切り込みのきっかけを作るものである。尚、上記仮想延長線Lを図1図5(第2の実施形態では図7図11)に示す。この仮想延長Lは、図1図2図6(第2の実施形態では図7図11)は破線、図3図5(第2の実施形態では図8図10)は一点鎖線で示すが、上記上下切目線10,11の上下の中心線を仮想的に想定するものであり、あくまでも仮想線であって、ハーフカット線ではない。
【0052】
そして、上記上下切目線10,11は上記仮想延長線Lを中心として、上下に等距離(左右外縁4a,5aにおいては仮想延長線Lから上下方向に各々等距離Q1,Q1)を以って設けられている(図4図5参照)。
【0053】
さらに、表面側積層フィルム2においては、上記左側熱溶着部4内において、上記Iノッチ21から内側方向への上記仮想延長線L上において、上記Iノッチ21に近接して、該仮想延長線Lを横切る右下り傾斜の右下傾斜小直線状の誘導切目線22aが設けられている。この誘導切目線22aは、その内側端部22a’(図4参照)が上向傾斜切目線16aに向かうように形成され、上記左外縁4aのIノッチ21側から例えば内側方向に切り裂いたとき、上記内側端部22a’が上向傾斜切目線16aに向かうようにして、切断線を上記上向傾斜切目線16aに誘導し(図4の破線の矢印P1参照)、表面側積層フィルム2側は下部切目線11に沿って開封し得るようにするためである。尚、この誘導切目線22aは、内側端部22a’が上記上向傾斜切目線16aに向かう方向であれば、上記仮想延長線Lを横切ることなく、外側の端部が上記仮想延長線Lに接するか、仮想延長線Lに近接する位置になるように形成しても良い。
【0054】
また、表面側積層フィルム2においては、上記右側熱溶着部5内において、上記Iノッチ21から内側方向への上記仮想延長線L上に、上記誘導切目線22aと同じ方向の右下り傾斜及び上記誘導切目線22aと同一傾斜角度にて、上記仮想延長線Lを横切る右下り傾斜の右下傾斜小直線状の誘導切目線22bが設けられている(図5参照)。この誘導切目線22bは、その内側端部22b’(図5参照)が下向傾斜切目線13bに向かうようにして、右外縁5aの上記Iノッチ21側から内側方向に切り裂いたとき、上記内側端部22b’が下向傾斜切目線13bに向かうようにして、切断線を上記下向傾斜切目線13bに誘導し(図5の破線の矢印P2参照)、表面側積層フィルム2側は上部切目線10に沿って開封し得るようにするためである。尚、この誘導切目線22bも、内側端部22b’が上記下向傾斜切目線13bに向かう方向であれば、上記仮想延長線Lを横切ることなく、外側の端部が上記仮想延長線Lに接するか、仮想延長線Lに近接する位置になるように形成しても良い。
【0055】
上記裏面側積層フィルム3の上記易開封手段9は、以下のように構成されている(図2図3参照)。まず、上記裏面側積層フィルム3の上記易開封手段9は、上記凸状切目線14の最も上に位置する上端位置14’(図3参照)と上記凹状切目線17の最も下に位置する下端位置17’との間に位置しており、中央部が左右の上記Iノッチ21の形成位置よりも上側に位置する上部裏面側切目線20aと、中央部が左右の上記Iノッチ21の形成位置よりも下側に位置する下部裏面側切目線20bとから構成されている(図2図3参照)。
【0056】
即ち、図4に示すように、上記上部裏面側切目線20aの中央部(積層フィルム3の左右方向の中央部)は、上記Iノッチ21の形成位置(Iノッチ21から延びる仮想中心線L)より距離R1だけ上側に位置しており、上記下部裏面側切目線20bの中央部(積層フィルム3の左右方向の中央部)は、上記Iノッチ21の形成位置(切込部、即ちIノッチ21から延びる仮想延長線L)より同じ距離R1だけ下側に位置している。
【0057】
そして、上記上部裏面側切目線20aは、その両端部は、上記左右の切込部(Iノッチ)21の形成位置より下側位置の、上記表面側積層フィルム2の上記上向傾斜切目線16a,16bの左右外縁4a,5a上の点16a’,16b’(図3参照)と一致する点29a’,29b’(同一高さ位置)から始まり、上記表面側積層フィルム2の上記上向傾斜切目線16a,16bと同一角度での上り傾斜直線状に、裏面側上向傾斜切目線29a,29bが、表面側の上向傾斜切目線16a,16bの傾斜角度と一致又は略一致して上り傾斜で内側に向けて形成され、上記表面側の上向傾斜切目線16a,16bを過ぎても、さらに上り傾斜直線状に形成(カット)され、上記表面側積層フィルム2側の上記上下変曲部12a,12b、15a,15bを各々内側方向に横切って(図3,4,5参照)、裏面側変曲部28a,28bまで下方から上方に向けて上り傾斜直線状に形成され、上記裏面側変曲部28a,28bから水平直線状の上記上部裏面側切目線20aに各々接続されている(図2図4参照)。よって、上記上部側の裏面側切目線は、上記上部裏面側切目線20a、その両側に形成された裏面側上向傾斜切目線29a,29bによって全体が連続する1本の切目線として形成されている。
【0058】
即ち、上記上部裏面側の切目線は、全体として、中央部(裏面側変曲部28a,28bの間)が直線(裏面側直線状の上部裏面側切目線20a)で、左右両端部が外側から内側に向けて上側に上り傾斜となる略台形状に形成されている。また、上記裏面側変曲部28a,28bは、表面側の上下変曲部12a,15a、12b,15bの位置よりも、各々内側に形成されているが(図3参照)、上記裏面側変曲部28a,28bの位置は、上記熱溶着部4,5の内縁4b,5bよりも、さらに内側に入った位置に形成されている。
【0059】
また、上記裏面側上向切目線29a,29bの内側の裏面側変曲部28a,28bは、上記表面側の上記上部変曲部12a,12bと上記凸状切目線14との接続部に一致する位置に各々形成されている(図4,5参照)。そして、裏面側上向傾斜切目線29a,29bは、表裏の積層フィルム2,3を重ねると、特に熱量着部4,5の範囲内において、表面側の上向傾斜切目線16a,16bに一致又は略一致するように構成されている(図3参照)。尚、略一致とは、表裏のフィルムを重ねた場合、多少のずれが生ずる場合を含む。
【0060】
さらに、上記下部裏面側切目線20bは1本の直線状切目線であって、その左右両端部20b’,20b’は上記包装袋1の熱溶着部4,5の左右内縁4b,5bまで達しない状態に形成されている。具体的には、図2図3に示すように、上記左右両端部20b’,20b’は、上記左右の熱溶着部4,5より内側であって、上記熱溶着部4,5の左右内縁4b,5bには近接しているが、上記左右内縁4b,5bまで達しない状態に形成されている。尚、上記熱溶着部4,5の内縁4b,5b近傍では、表面側の下部変曲部15a,15bの切目線が上側、上記下部裏面側切目線20bが下側となるように構成されている。また、下部裏面側切目線20bの両端部20b’,20b’は、裏面側上向傾斜切目線29a,29bの線路途中に近接対向しており、仮に、切断線が、上記裏面側上向傾斜切目線29a,29bから離脱しても、切断線を上記下部裏面側切目線20bにて受け止めることができるように構成されている。
【0061】
そして、上記上部裏面側切目線20aの直線状の部分と、上記下部裏面側切目線20bとの距離N(=R1×2)は、例えば1mm〜5mm、好ましくは2mmとする(図4参照)。
【0062】
本発明に係る包装袋1は上述のように構成されるものであるから、次に、この包装袋1の開封動作について説明する(図6参照)。
【0063】
まず、上記右手で上記上辺部1’の左端部を以って、左端部から上記上辺部1’を手前側に引いて開封する場合を説明する(図6の方向)。
【0064】
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を以って手前に引くと、左端部のIノッチ21から引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、左端部のIノッチ21からの切断線が直ちに誘導切目線22aに至り、該誘導切目線22aの内側端部22a’に誘導されて切断線が上向傾斜切目線16aに至る(図4矢印P1参照)。そのまま上記上辺部1’を手前に引いていくと、上記上向傾斜切目線16aから下部変曲部15aを切断し、さらに、凹状切目線17に沿って切断され、左側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを切断して、右外縁5a(点16b’)まで切断される。
【0065】
仮に、何らかの原因で切断線が最初の上記誘導切目線22aに至らなかったとしても、次のV字型の誘導切目線18に至るので、ここで、上記上辺部1’を手前に引いている関係上、切断線がV字型の上記誘導切目線18の下側の開き切目線18bに誘導されて、同様に、下部切目線11の凹状切目線17に誘導され、そのまま凹状切目線17に沿って切断され、左側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを介して右外縁5a(点16b’)まで切断される。
【0066】
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側に引かれるため、上記Iノッチ21から始まった引き裂きは、下側に移行し、下側の裏面側上向傾斜切目線29aに達し、該裏面側上向傾斜切目線29aに沿って切断され、裏面側変曲部28aを通って、そのまま上部裏面側切目線20aに沿って切断され、裏面側変曲部28bを通って、裏面側上向傾斜切断線29bから右外縁5a(点29b’)まで切断される。この場合、裏面側上向切目線29aは表面側の上向切目線16aと形成位置が一致又は略一致しているので、切始めにおいて、表裏とも円滑に切断することができる。
【0067】
また、Iノッチ21からの引き裂きが、下側に移行せずに、仮想延長線Lに沿って内側水平に移行したとしても、最終的には、裏面側変曲点28aの直前から裏面側上向傾斜切目線29aの終端部近傍に達し、その位置から裏面側変曲部28aを通って上部裏面側切目線20aに沿って切断されるので、同様に裏面側を上部裏面側切目線20aに沿って切断することができる。
【0068】
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凹状切目線17に沿って切断されるため、下向凹状切断線23(図6参照)が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の上部裏面側切目線20aに沿って切断されるため、当該切目線20aに沿った直線状切断線24(図6参照)が形成される。
【0069】
このとき、上記下向凹状切断線23の位置と,上記直線状切断線24との間には、距離R2の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離R2の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
【0070】
次に、左手で上記上辺部1’の右端部を以って、右端部から上記上辺部1’を手前側に引いて開封する場合を説明する。
【0071】
この場合、表面側積層フィルム2側は、右手で包装袋1の下半部を保持し、左手で上記上辺部1’の右端部を以って手前側に引くと、左端部のIノッチ21から引き裂きが始まり、切断線は直ぐに右側の誘導切目線22bに達し、該誘導切目線22bの内側端部22b’に誘導されて切断線が下向傾斜切目線13bに至る(図5矢印P2参照)。そのまま上記上辺部1’を手前側に引いていくと、上記下向傾斜切目線13bから上部変曲部12bを切断し、さらに、凸状切目線14に沿って切断され、右側の上部変曲部1aを通って下向傾斜切目線13aを切断して、左外縁4a(点13a’)まで切断される。
【0072】
仮に、何らかの原因で切断線が最初の上記誘導切目線22bに至らなかったとしても、次のV字型の誘導切目線19に至るので、ここで、上記上辺部1’を手前側に引いている関係上、切断線がV字型の上記誘導切目線19の上側の開き切目線19aに誘導されて、同様に、上部切目線10の凸状切目線14に誘導され、そのまま凸状切目線14に沿って切断され、左側の上部変曲部12aを通って下向傾斜切目線13aを介して左外縁4a(点13a’)まで切断される。
【0073】
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側(図2では奥側)に引かれるため、上記Iノッチ21から始まった引き裂きは、下側に移行し、下側の裏面側上向傾斜切目線29bに達し、該裏面側上向傾斜切目線29bに沿って切断され、裏面側変曲部28bを通って、そのまま上部裏面側切目線20aに沿って切断され、裏面側変曲部28aを通って、裏面側上向傾斜切断線29aから左外縁4a(点29a’)まで切断される。
【0074】
また、Iノッチ21からの引き裂きが、下側に移行せずに、仮想延長線Lに沿って内側水平に移行したとしても、最終的には、裏面側変曲点28bの直前から裏面側上向傾斜切目線29bの終端部近傍に達し、その位置から裏面側変曲部28bを通って上部裏面側切目線20aに沿って切断されるので、同様に裏面側を上部裏面側切目線20aに沿って切断することができる。
【0075】
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凸状切目線14に沿って切断されるため、上向凸状切断線25(図3参照)が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の上部裏面側切目線20aに沿って切断されるため、当該切目線20aに沿った直線状切断線24(図3参照)が形成される。
【0076】
このとき、上記上向凸状切断線25の位置と、上記直線状切断線24との間には、距離R3(図3参照)の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離R3の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
【0077】
このように、左側の上辺部1’を持って、左側から手前に引いて開口する場合、及び、右側の上辺部1’を持って、右側から手前に引いて開口する場合、の何れの場合も、段差カット可能であり、段差を確実に形成することができるものである。
【0078】
(第2の実施形態)
次に、本発明の包装袋1の第2の実施形態を説明する(図7図11参照)。
尚、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一部分、対応部分には同一符号を付して詳しい説明は便宜上省略する。
【0079】
この第2の実施形態では、表面側積層フィルム2の易開封手段9の構成は、上記第1の実施形態の表面側積層フィルム2の易開封手段9の構成と全く同一であるので、表面側積層フィルム2の易開封手段9の説明は省略する。また、裏面側積層フィルム3の易開封手段9の構成は第1の実施形態と一部相違するので、相違点について説明する。
【0080】
図7に示すように、上記仮想延長線Lの上側と下側に、直線状の上部裏面側切目線20aと下部裏面側切目線20bが形成されているのは同じである(仮想延長線Lからの距離R1,R1も同様、図4参照)。第1の実施形態では、上部裏面側切目線20aの両端部に、裏面側上向傾斜切目線29a,29bを設けることで、全体が略台形状に形成されていたが、第2の実施形態では、上部裏面側切目線20aの左端部(一端)の裏面側変曲部28a側の上記裏面側上向傾斜切目線29aは第1の実施形態と同様に残すが、上部裏面側切目線20aの右端部(他端)の裏面側変曲部28bから先の裏面側上向傾斜切目線29bは形成せずに、上記上部裏面側切目線20aは、第1の実施形態における上記裏面側変曲部28bの部分で終端部(右端部20a’=他端)が構成されている。
【0081】
一方、下部裏面側切目線20bの右端部(他端)には、上記右端部20a’の上下方向の同一位置に、裏面側変曲部32を設け、該裏面側変曲部32から裏面側下向傾斜切目線30を形成する。
【0082】
この裏面側下向傾斜切目線30は、表面側の下向傾斜切目線13bと同一傾斜角度とし、上記右側の外縁5aは、裏面側下向傾斜切目線30の右端部である点30’まで達している。尚、上記点30’は表面側の下向傾斜切目線13bの外縁5aの点13b’と同一の点である。
【0083】
即ち、上記裏面側下向傾斜切目線30は、上記点13b’と同一の点30’から始まり、表面側の下向傾斜切目線13bと同一角度で下り方向に傾斜して直線状に形成され、表面側の上下の変曲部12b,15bを横切り、上記裏面側変曲部32に接続されている(図10参照)。
【0084】
このように裏面側の切目線は、上部裏面側切目線20aと左側の上記裏面側上向傾斜切目線29aとから構成される1本の切目線と、下部裏面側切目線20bと右側の上記裏面側下向傾斜切目線30とから構成される1本の切目線とから構成されている。尚、下部裏面側切目線20bの一端20b’は、上記裏面側変曲部28aと上下方向の同一位置で終端部を形成している。
【0085】
また、上記裏面側上向傾斜切目線29aと表面側の上向傾斜切目線16aは、熱溶着部4の範囲では表裏を合わせると形成位置は一致又は略一致しており、上記裏面側下向傾斜切目線30と表面側の下向傾斜切目線13bは、熱溶着部5の範囲では表裏を合わせると形成位置は一致又は略一致するように構成されている。このように、裏面側は裏面側上向傾斜切目線29aと裏面側下向傾斜切目線30が左右に逆方向(段違い)に形成されている。尚、略一致とは、表裏のフィルムを重ねた場合、多少のずれが生ずる場合を含む。
【0086】
さらに、裏面側には、左側のIノッチ21から水平方向の上記仮想延長線Lを横切る右下り傾斜の右下傾斜小直線状の誘導切目線31aが設けられている。この誘導切目線31aは上記左外線4aのIノッチ21側から例えば内側方向(図7では奥部方向)に切り裂いたとき、その内側端部31a’から、切断線を上記裏面側上向傾斜切目線29aに誘導し(図9矢印P1)、裏面側積層フィルム3側は、上部切目線20aに沿って開封し得るようにするためである。
【0087】
また、裏面側には、右側のIノッチ21から水平方向の上記仮想延長線Lを横切る右下り傾斜の右下傾斜小直線状の誘導切目線31bが設けられている。この誘導切目線31bは上記右外線5aのIノッチ21側から例えば内側方向に切り裂いたとき、その内側端部31b’により切断線を上記裏面側下向傾斜切目線30に誘導し(図10矢印P2)、裏面側積層フィルム3側は、下部切目線20bに沿って開封し得るようにするためである。
【0088】
尚、表面側の誘導切目線22a,22bの傾斜方向及び長さは、裏面側の誘導切目線31a,31bの傾斜方向及び長さと一致しており、表裏のフィルム2,3を重ねたとき、両者の形成位置は一致するように構成されることが好ましい(図8参照)。また、この裏面側の誘導切目線31aは、内側端部31a’が上記裏面側上向傾斜切目線29aに向かう方向であれば、上記仮想延長線Lを横切ることなく、外側の端部が上記仮想延長線Lに接するように形成しても良い。
【0089】
また、表面側の誘導切目線22aと裏面側の誘導切目線31aは上述のように、形成位置又は形成方向が一致することが好ましいが、図12(a)に示すように、各内側端部22a’,31a’が上向傾斜切目線16a又は裏面側上向傾斜切目線29aに向かっていれば、形成位置、形成方向(傾斜角度)、長さ等が表裏で一致していなくても、交差していても良い。即ち、上記誘導切目線22aと、誘導切目線31aは、それらの形成位置又は形成方向が表裏で多少ずれがある場合、即ち、形成位置又は形成方向が完全に一致していなくても、表裏で略一致していれば良い。
【0090】
ここで、形成位置又は形成方向が表裏で略一致しているとは、何れも内側端部22a’,31a’が上向傾斜切目線16a、裏面側上向傾斜切目線29aに向かっていれば、表裏の傾斜角度、長さ等にずれがある場合を含む(図12参照)。
【0091】
また、表面側の誘導切目線22bと裏面側の誘導切目線31bは上述のように、形成位置又は形成方向が一致することが好ましいが、図12(b)に示すように、各内側端部22b’,31b’が下向傾斜切目線13b又は裏面側下向傾斜切目線30に向かっていれば、形成位置、形成方向(傾斜角度)、長さ等が表裏で一致していなくても、交差していても良い。即ち、上記誘導切目線22bと、誘導切目線31bは、それらの形成位置又は形成方向が表裏で多少ずれがある場合、即ち、形成位置又は形成方向が完全に一致していなくても、表裏で略一致していれば良い。
【0092】
ここで、形成位置又は形成方向が表裏で略一致しているとは、何れも内側端部22b’,31b’が下向傾斜切目線13b、裏面側下向傾斜切目線30に向かっていれば、表裏の傾斜角度、長さにずれがある場合を含む(図12参照)。
【0093】
第2の実施形態の包装袋1は上述のように構成されるものであるから、次に、この包装袋1の開封動作について説明する(図11参照)。
【0094】
まず、上記右手で上記上辺部1’を以って、左端部から上記上辺部1’を手前側に引いて開封する場合を説明する(図11の方向)。
【0095】
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を以って手前に引くと、左端部のIノッチ21から引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、左端部のIノッチ21からの切断線が直ちに誘導切目線22aに至り、該誘導切目線22aに誘導されて切断線が上向傾斜切目線16aに至る(図9矢印P1参照)。そのまま上記上辺部1’を手前に引いていくと、上記上向傾斜切目線16aから下部変曲部15aを切断し、さらに、凹状切目線17に沿って切断され、左側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを切断して、右外縁5a(点16b’)まで切断される。
【0096】
仮に、何らかの原因で切断線が最初の上記誘導切目線22aに至らなかったとしても、次のV字型の誘導切目線18に至るので、ここで、上記上辺部1’を手前に引いている関係上、切断線がV字型の上記誘導切目線18の下側の開き切目線18bに誘導されて、同様に、下部切目線11の凹状切目線17に誘導され、そのまま凹状切目線17に沿って切断され、左側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを介して右外縁5a(点16b’)まで切断される。この点は第1の実施形態と同じである(図11参照)。
【0097】
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側(図7では奥側)に引かれるため、上記Iノッチ21から始まった引き裂きは、直ちに、誘導切目線31aに至り、該誘導切目線31aの内側端部31a’に誘導されて、下側の裏面側上向傾斜切目線29aに達し、該裏面側上向傾斜切目線29aに沿って切断され、裏面側変曲部28aを通って、そのまま上部裏面側切目線20aに沿って切断され、上部裏面側切目線20aの右側の端部(他端)20a’に至り、その後は、裏面側積層フィルム3が右側方向に引き裂かれるので、切断線が裏面側下向傾斜切目線30に至り、そこから該裏面側下向傾斜切目線30に沿って右側の外縁5a(点30’)まで切断される。
【0098】
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凹状切目線17に沿って切断されるため、下向凹状切断線23(図11参照)が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の上部裏面側切目線20aに沿って切断されるため、当該切目線20aに沿った直線状切断線24(図11参照)が形成される。
【0099】
このとき、上記下向凹状切断線23の位置と、上記直線状切断線24との間には、距離R2の段差が生じているので、段差カットが可能であり、その後、使用者は上記距離R2の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
【0100】
次に、左手で上記上辺部1’を以って、右端部から上記上辺部1’を手前側に引いて開封する場合を説明する。
【0101】
この場合、表面側積層フィルム2側は、右手で包装袋1の下半部を保持し、左手で上記上辺部1’の右端部を以って手前側に引くと、左端部のIノッチ21から引き裂きが始まり、切断線は直ぐに右側の誘導切目線22bに達し、該誘導切目線22bの内側端部22b’に誘導されて切断線が下向傾斜切目線13bに至る(図5矢印P2参照)。そのまま上記上辺部1’を手前側に引いていくと、上記下向傾斜切目線13bから上部変曲部12bを切断し、さらに、凸状切目線14に沿って切断され、右側の上部変曲部13aを通って下向傾斜切目線13aを切断して、左外縁4a(点13a’)まで切断される。
【0102】
仮に、何らかの原因で切断線が最初の上記誘導切目線22bに至らなかったとしても、次のV字型の誘導切目線19に至るので、ここで、上記上辺部1’を手前側に引いている関係上、切断線がV字型の上記誘導切目線19の上側の開き切目線19aに誘導されて、同様に、上部切目線10の凸状切目線14に誘導され、そのまま凸状切目線14に沿って切断され、左側の上部変曲部12aを通って下向傾斜切目線13aを介して左外縁4a(点13a’)まで切断される。この点は第1の実施形態と同様である。
【0103】
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側(図7では奥側)に引かれるため、上記Iノッチ21から始まった引き裂きは、直ちに、誘導切目線31bに至り、該誘導切目線31bの内側端部31b’に誘導されて、上側の裏面側下向傾斜切目線30に達し、該裏面側下向傾斜切目線30に沿って切断され、裏面側変曲部32を通って、そのまま下部裏面側切目線20bに沿って切断され、下部裏面側切目線20bの右側の端部(一端)20b’に至り、その後は、裏面側積層フィルム3が左側方向に引き裂かれるので、裏面側上向傾斜切目線29aに至り、そこから該裏面側上向傾斜切目線29aに沿って右側の外縁4a(点29a’)まで切断される。
【0104】
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凸状切目線14に沿って切断されるため、上向凸状切断線25が形成され(図8参照)、裏面側積層フィルム3は、下側の下部裏面側切目線20bに沿って切断されるため、当該切目線20bに沿った直線状切断線26が形成される(図8参照)。
【0105】
このとき、上記上向凸状切断線25の位置と、上記直線状切断線26との間には、距離R4の段差が生じているので、確実に段差カットが可能であり、その後、使用者は上記距離R4の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
【0106】
本発明は以上のように、表面側は、切込部(Iノッチ21)からの切断線が小直線状誘導切目線(誘導用切目線22a又は22b)に達し、切断線は、上記小直線状誘導切目線の内側端部(内側端部22a’又は22b’)から上向傾斜切目線16a又は下向傾斜切目線13bに誘導され、裏面側は、表面側の上記上向傾斜切目線16a,16bと形成位置が表裏で一致又は略一致する裏面側上向傾斜切目線29a,29bが形成されているので、切断線を裏面側上向傾斜切目線29a又は29bに誘導することができ、結果として開封部に確実に段差を形成することができる。
【0107】
また、上辺部1’の左側を把持して手前に引いた場合も、上辺部1’の右側を把持して手前に引いた場合も、何れの場合も良好に開封部に段差を形成することができる。
【0108】
また、仮に、裏面側において、開封時に、裏面側上向傾斜切目線29a,29bから切断線がずれた場合であっても、下部裏面側切目線20bにて切断線を受け止めて、その後は下部裏面側切目線20bに沿って開封することができ、上記ずれが生じても、開封部に段差を確実に形成することができる。
【0109】
また、裏面側にも裏面側小直線状誘導切目線31a,31bと、裏面側上向傾斜切目線29aと裏面側下向傾斜切目線30を左右逆方向に設けたので、裏面側の切断線を裏面側小直線状誘導切目線31a又は31bにより裏面側上向傾斜切目線29a又は裏面側下向傾斜切目線30に確実に誘導することができるため、表面側の切目線の構成と相俟って、どの方向から開封しても、開封部に確実に段差を形成することができる。
【0110】
また、表面側の切断線も裏面側の切断線も、表面側の両小直線状誘導切目線22a又は22b及び裏面側の両裏面側小直線状誘導切目線31a又は31bにより、適切に誘導することができ、結果として開封部に確実に段差を形成することができる。
【0111】
また、裏面側の切断線は、上部裏面側切目線20aの他端20a’から裏面側下向傾斜切断線30に誘導することができ、或いは、上記下部裏面側切目線20bの一端20b’から裏面側上向傾斜切断線29aに誘導することができるため、裏面側を円滑に開封することができる。
【0112】
また、再封可能な包装袋において、確実に段差を形成し得る易開封手段を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る段差カット可能な包装袋によれば、例えば再封可能な包装袋であって、食品、化粧品、医薬品等の包装袋として広く利用が可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 包装袋
2 表面側積層フィルム
3 裏面側積層フィルム
4a 左外縁
5a 右外縁
8 再封手段
9 易開封手段
10 上部切目線
11 下部切目線
12a,12b 上部変曲部
13a,13b 下向傾斜切目線
14 凸状切目線
15a,15b 下部変曲部
16a,16b 上向傾斜切目線
17 凹状切目線
18,19 誘導用切目線(横向V字型誘導切目線)
20a 上部裏面側切目線
20a’ 他端(右端部)
20b 下部裏面側切目線
20b’ 両端部(一端)
21 Iノッチ(切込部)
22a,22b 誘導切目線(小直線状誘導切目線)
22a’,22b’ 内側端部
28a,28b 裏面側変曲部
29a,29b 裏面側上向傾斜切目線
30 裏面側下向傾斜切目線
31a,31b 誘導切目線(裏面側小直線状誘導切目線)
31a’,31b’ 内側端部
32 裏面側変曲部
L 仮想延長線
【要約】
【課題】 包装袋の開封する際、切目線に沿って誘導して適切な段差を形成し得る段差カット可能な包装袋を提供する。
【解決手段】 表面側は包装袋の左右外縁から形成された下向傾斜切目線13a,13bと凸状切目線14とからなる上部切目線10と、包装袋の左右外縁から形成された上向傾斜切目線16a,16bと凹状切目線17とからなる下部切目線11からなり、左右の切込部に近接して小直線状誘導切目線22a,22bが上向傾斜切目線16a及び下向傾斜切目線13bに向かうように設けられ、裏面側は上部裏面側切目線20aと下部裏面側切目線20bとから構成され、包装袋の左右外縁から上部裏面側切目線の両端まで裏面側上向傾斜切目線29a,29bが各々接続され、表面側の左右の上向傾斜切目線16a,16bと、裏面側上向傾斜切目線29a,29bは、形成位置が表裏で一致するように構成した。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12