【実施例1】
【0033】
〔光測定用セル〕
図1に、本発明の光測定装置に使用される光測定用セル1(本願請求項に記載の「光学セル」の一例)の構成の一例を示す。
図1(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB方向から見たときの側面図、(d)は立体図である。
図1の光測定用セル1には、測定試料3が保持されるキャピラリー5(本願請求項に記載の「試料保持部」の一例)が設けられており、当該キャピラリー5は、測定試料3が導入される試料流入口7を有する試料流入路9、および、測定試料3が排出される試料排出口11を有する試料排出路13と連通している。
【0034】
キャピラリー5を有する光測定用セル1の本体は、例えばPDMS等のシリコーン樹脂からなる。光測定用セル1の本体を構成するシリコーン樹脂は、光がキャピラリー5を通過する際に生じる迷光を吸収可能な顔料を含有する顔料含有樹脂14である。顔料としては、例えば、カーボンブラックが用いられる。なお、キャピラリー5を通過する光は、キャピラリー5の軸方向15に沿って進行する。すなわち、キャピラリー5の両端側が、光が入射したり出射したりする面となる。
【0035】
キャピラリー5の両端側には、それぞれ第1の光学部材17(本願請求項に記載の「第1波長透過部」の一例)、第2の光学部材19(本願請求項に記載の「第2波長透過部」の一例)が設けられている。第1の光学部材17は、上記したシリコーン製波長選択素子であり、シリコーン樹脂(本願請求項に記載の「シリコーン樹脂」の一例)からなる本体の屈折率と当該本体に分散されている第1光学材料粒子(本願請求項に記載の「第1光学材料粒子」の一例)の屈折率が、第1の波長においては一致し、第2の波長においては一致しないように構成されている。一方、第2の光学部材19は、第1の光学部材と同様のシリコーン製波長選択素子であり、シリコーン樹脂からなる本体の屈折率と当該本体に分散されている第2光学材料粒子本願請求項に記載の「第2光学材料粒子」の一例)の屈折率が、第2の波長においては一致し、第1の波長においては一致しないように構成されている。
【0036】
第1の光学部材17及び第2の光学部材19を構成するシリコーン樹脂としては、例えば、PDMSが用いられる。また、第1の光学部材17におけるシリコーン樹脂に分散される第1光学材料粒子としては、例えば、フッ化カルシウム(CaF
2)が用いられ、第2の光学部材19におけるシリコーン樹脂に分散される第2光学材料粒子としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO
2)が用いられる。発明者らが上記構成で第1の光学部材、第2の光学部材を製作したところ、第1の光学部材17においては波長260nm付近の光が直進し、第2の光学部材19においては波長280nm付近の光が直進する性質が得られた。
【0037】
図1(b)から明らかなように、キャピラリー5の両端面(光の入射面、出射面に相当)は、第1の光学部材17、第2の光学部材19と接している。この接する部分を除いて、キャピラリー5は、入射した光を吸収する顔料を含有する顔料含有樹脂14で包囲されている。よって、キャピラリー5内を散乱する光は、この顔料含有樹脂14の部分で吸収される。また、顔料を含有する光測定用セル1の本体、第1の光学部材17の本体、第2の光学部材19の本体をPDMSで構成することにより、光測定用セル1の本体と第1の光学部材17との界面、光測定用セル1の本体と第2の光学部材19との界面では、屈折率差がほぼ0となる。そのため、両樹脂の界面での迷光等の反射・散乱を抑制することが可能となる。また、光測定用セル1自体がSOT構造であるため、SOT技術を用いた光学測定装置と用いれば、接触面において反射・散乱が抑制され、高精度な光学測定が実施できる。
【0038】
〔光測定用セルの光学特性〕
図2、
図3を用いて、本発明における光測定用セル1の光学特性を説明する。
図2は、本発明の光測定用セル1の
図1(c)におけるC−C断面図であり、
図2(a)は左側から第1波長の光21が入射する場合、
図2(b)は右側から第1波長の光21が入射する場合を示す図である。
図2において、キャピラリー5の左側に第1の光学部材17、右側に第2の光学部材19が設けられている。上記したように、第1の光学部材17は、第1の波長(波長λ1)の光21が直進し、第2の波長(波長λ2)の光23が散乱する光学特性を有する。一方、第2の光学部材19は、第2の波長(波長λ2)の光23が直進し、第1の波長(波長λ1)の光21が散乱する光学特性を有する。
【0039】
厳密にいうと、第1の光学部材17において散乱される光は、第2の波長(λ2)の光23を含む、第1の波長(λ1)以外の波長の光である。同様に、第2の光学部材19において散乱される光は、第1の波長(λ1)の光21を含む、第2の波長(λ2)以外の波長の光である。以下では、理解を容易にするために、第1の波長(λ1)の光21と第2の波長(λ2)の光23についてのみ述べる。
【0040】
図2(a)に示すように、光測定用セル1の第1の光学部材17側から波長λ1の光21が直進光として入射した場合、波長λ1の光21は第1の光学部材17内を直進するので、キャピラリー5内も直進し、第2の光学部材19に入射する。第2の光学部材19に直進光として入射した波長λ121の光は、第2の光学部材19で散乱され、拡散光として外部に出射する。
【0041】
一方、
図2(b)に示すように、光測定用セル1の第2の光学部材側19から波長λ1の光21が直進光として入射した場合、波長λ1の光21は第2の光学部材19内で散乱されるので、拡散光としてキャピラリー5内に入射する。キャピラリー5に入射した拡散光である波長λ1の光21は、直進成分以外は、キャピラリー5を包囲する顔料含有樹脂14に入射して吸収される。強度が減衰した波長λ1の光21の直進光成分のみがキャピラリー5内を直進し、第1の光学部材17に入射する。第1の光学部材17に直進光として入射した波長λ1の光21は、第1の光学部材17内も直進し、直進光として外部に出射する。
【0042】
次に、
図3(a)に示すように、光測定用セル1の第1の光学部材17側から波長λ2の光23が直進光として入射した場合を考える。この場合、波長λ2の光23は第1の光学部材17内で散乱されるので、拡散光としてキャピラリー5内に入射する。キャピラリー5に入射した拡散光である波長λ2の光23は、直進成分以外は、キャピラリー5を包囲する顔料含有樹脂14に入射して吸収される。強度が減衰した波長λ2の光23の直進光成分のみがキャピラリー5内を直進し、第2の光学部材19に入射する。第2の光学部材19に直進光として入射した波長λ2の光23は、第2の光学部材19内も直進し、直進光として外部に出射する。
【0043】
また、
図3(b)に示すように、光測定用セル1の第2の光学部材19側から波長λ2の光23が直進光として入射した場合、波長λ2の光23は第2の光学部材19内を直進するので、キャピラリー5内も直進し、第1の光学部材17に入射する。第1の光学部材17に直進光として入射した波長λ2の光23は、第1の光学部材17で散乱され、拡散光として外部に出射する。
【0044】
このように本発明における光測定用セル1は、キャピラリー5への光入射方向により、光測定用セル1へ入射した光を、拡散光として出射したり、減衰させたりする機能を有する。すなわち、キャピラリー5への入射方向のうち、一方向の入射光のみ通過させ、他方向の入射光は減衰する。また、波長λ1の光21が通過する方向が波長λ2の光23が減衰する方向であり、波長λ2の光23が通過する方向が波長λ1の光21が減衰する方向となる。このように、本発明における光測定用セル1は、入射する光の波長選択性能を有し、かつ、この波長選択性能がキャピラリー5への入射方向に応じて相違するという特性を有する。本発明の光測定装置は、このような光測定用セル1の機能を利用したものである。
【0045】
図4に本発明の光測定装置(本願請求項に記載の「光学測定装置」の一例)及び光測定用セル1からなる光学測定システム31(本願請求項に記載の「光学測定システム」の一例)の構成例を示す。本発明の光測定装置は、波長λ1とλ2の光を含む光33を放出する光源35(本願請求項に記載の「照射手段」及び「光源」の一例)と、上記した光測定用セル1と、光測定用セル1を回転させる回転部と、集光レンズ37(本願請求項に記載の「集光レンズ」の一例)と、光検出器39(本願請求項に記載の「光検出器」の一例)とからなる。なお、回転部は図示されていない。波長λ1=260nm、λ2=280nmとすれば、DNA、タンパク質を含む測定試料について、DNA、タンパク質の定量を行うための吸光度測定を行うことが可能となる。光源35としては、例えば、260nmと280nmの光を含む光を放出するUV−LEDを用いることができる。また、キセノンランプ、Deep UVランプ、希ガス蛍光ランプ等を用いることもできる。
【0046】
図4に示すように、光測定用セル1は、光源35からの光33がキャピラリー5に入射する位置に配置される。
図4(a)に示す例においては、波長λ1の光がキャピラリー5を直進する向きで光測定用セル1が配置されている。このように配置された場合、光測定用セル1の第1の光学部材17側から出射される光は、波長λ1の光21が拡散光として外部に放出され、波長λ2の光23が減衰した直進光として外部に放出される。波長λ1の光21による測定試料の吸光度を測定する場合、波長λ2の光23はノイズとなるので、光測定用セル1の光出射側にはキャピラリー5を通過する直進光(波長λ2および波長λ1)をブロックするトラップ41(本願請求項に記載の「中央遮光部」の一例)が配置される。
【0047】
光測定用セル1から出射される波長λ1の光21の拡散光は、トラップ41でブロックされた直進光成分を除き、集光レンズ37で集光され光検出器39に導光される。
【0048】
以下、液体試薬をDNA含有溶液とし、
図4に示す光測定装置を用いて、上記液体試薬の純度測定方法例を示す。まず、キャピラリー5にDNA含有溶液が注入されている光測定用セル1を用意する(ステップST01)。次に、この光測定用セル1を光測定装置の測定位置に設置する(ステップST02)。具体的には、光測定用セル1の第1の光学部材17側が光入射側となるように、設置する。ここで、上記光測定装置の光学系は、光測定用セル1が所定の位置に設置されると、光測定用セル1から出射される拡散光が集光レンズ37によって、光検出器39の受光部に導光されるように予めセッティングされている。
【0049】
光源35に図示を省略した電源より電力を供給して、光源35を点灯する(ステップST03)。光測定用セル1から波長260nm光の拡散光が放出され、この波長260nm光の拡散光のうち、トラップ41でブロックされる直進光成分以外が集光レンズ37により集光されて光検出器39に入射する。そして、この光検出器39を用いて波長260nm光の強度(測定試料と透過した透過光強度)を測定する(ステップST04)。
【0050】
次に、光源35を消灯して、光測定用セル1を取り外し、
図4(b)(c)のように、光が入射する側が第2の光学部材19側となるように光測定用セル1の向きを変えて、再度光測定用セル1を光測定装置に取り付ける(ステップST05)。光源35を再点灯する(ステップST06)。なお、光源35が再点灯して安定になるまで時間がかかる場合は、光源35と光測定用セル1との間に、遮光用シャッターを設け、シャッターを動作させるようにしてもよい。この場合、ステップST05においては、光源35を消灯せず、図示を省略したシャッター駆動機構により、光源35と光測定用セル1との間の空間にシャッターを挿入する。また、光測定用セル1の再設置が終了後は、シャッター駆動機構により、光源35と光測定用セル1との間の空間からシャッターを離脱させる。光測定用セル1の向きを変え、光源35からの光はまず第2の光学部材19に入射するので、光測定用セル1からは波長280nm光の拡散光が放出され、この波長280nm光の拡散光のうち、トラップ41でブロックされる直進光成分以外が集光レンズ37により集光されて光検出器39に入射する。そして、この光検出器39を用いて波長280nm光の強度(測定試料と透過した透過光強度)を測定する(ステップST07)。
【0051】
ステップST04で測定した波長260nm光の透過光強度(以下、A
260と称する)とステップST07で測定した波長280nm光の透過光強度(以下、A
280と称する)を用いて、式(1)によりDNA純度を測定する(ステップST08)。
【0052】
【数1】
【0053】
なお、光源35に電力を供給する図示を省略した電源の動作、シャッターを用いる場合のシャッター駆動機構の動作、光検出器39にて測定される透過光強度のデータ処理等は、例えば、図示を省略した制御部により行うことができる。
【0054】
なお、実際には、上記ステップST01〜ステップST08の測定を行う前に、光測定用セル1内のキャピラリー5は洗浄されている。そして、キャピラリー5を洗浄した光測定用セル1に、DNA混入する前の溶媒(以下、参照用液体とも言う)を注入し、上記ステップST02〜ステップST07の手順により参照用液体を透過した波長260nm光、波長280nm光の透過光強度、すなわちブランク光強度の測定が事前に行われている。
【0055】
すなわち、ブランク光強度を測定後、光測定装置から光測定用セル1を取り外し、次にキャピラリー5内に液体試薬を注入した光測定用セル1を光測定装置にセットして、液体試薬に対する波長260nm光、波長280nm光の透過光強度を測定している。上記ステップST04で測定した波長260nm光の透過光強度、ステップST07で測定した波長280nm光の透過光強度は、実際には、このブランク光強度により補正されている。
【0056】
本発明の光測定装置においては、液体試料を光測定用セル1のキャピラリー5内に保持する方式であるので、測定前に事前に測定試料を準備しておくことができる。すなわち、キャピラリー5内に液体試料を注入した光測定用セル1を事前に準備可能であり、必要に応じて、複数の光測定用セル1を用意することも可能となる。そのため、測定する者の負担を軽減することが可能となる。
【0057】
また、光測定用セル1のキャピラリー5内に測定試料を注入する方式であるので、液体試料の量が少なくても蒸発の影響は殆どない。よって、安定な光学測定を行うことが可能となる。
【0058】
複数回の光学測定を行う場合、キャピラリー5に測定試料を注入済みの複数の光測定用セル1を用意すればよく、従来技術のように、測定の都度、測定部を洗浄する必要はない。そのため、各光学測定において、前回の測定の影響を受けることはなく、信頼性の高い光学測定を実施することが可能となる。
【0059】
また、本発明の光測定装置における光測定用セル1は、内部に測定試料を保持するキャピラリー5を有し、キャピラリー5の一端側に波長λ1の光21を選択する機能を有する第1の光学部材17、キャピラリー5の他端側に波長λ2の光23を選択する機能を有する第2の光学部材19を有しているので、単色用光源や波長選択フィルターを用意することなく、簡単な構成で2波長による光測定が可能となる。特に、波長λ1=260nm、λ2=280nmとなるように、第1の光学部材17、第2の光学部材19を構成することにより、簡単な構成で核酸(DNA、RNA,オリゴヌクレオチドなど)の定量やタンパク質の定量、核酸の純度測定を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0060】
図5は、本発明の光測定装置及び光測定用セル1からなる光学測定システム50の構成の一例を示す図である。
図4に示した構成例では、波長260nm光を用いる測定と波長280nm光を用いる測定は、光測定用セル1の向きを変えることが必要であるため、同時に行うことができない。また、光測定用セル1の向きを変えることで再度の光軸調整が必要となる。実施例2の光測定装置は、波長260nm光を用いる測定と波長280nm光を用いる測定とを同時に行うことが可能となる。
【0061】
図5に示すように、実施例2の光測定装置は、光源、集光レンズ、光検出器が2組ずつ用意される。また、波長λ1の光21を45度折り返し、波長λ2の光23(厳密には、波長λ2の光を含む波長λ1以外の光)を透過する45度誘電体ミラーである第1誘電体ミラー51(本願請求項に記載の「第1反射部材」の一例)、波長λ2の光23を45度折り返し、波長λ1の光21(厳密には、波長λ1の光を含む波長λ2以外の光)を透過する45度誘電体ミラーである第2誘電体ミラー53(本願請求項に記載の「第2反射部材」の一例)が新たに用いられる。
【0062】
図5に示す光測定装置においては、第1光源55から放出される光(波長λ1とλ2の光を含む光33)が第1誘電体ミラー51に入射する。第1誘電体ミラー51に入射した第1光源55からの光33は、波長λ1の光21が紙面の右側に折り返され、波長λ2の光23が第1誘電体ミラー51を通過する。第1誘電体ミラー51を通過した波長λ2の光23は、必要に応じて第1トラップ57でブロックされる。
【0063】
第1誘電体ミラー51で折り返された波長λ1の光21は、第1の光学部材側17から光測定用セル1に入射し、第2の光学部材19側から拡散光として出射する。この拡散光として出射した波長λ1の光21は、第2誘電体ミラー53を通過して、第1集光レンズ59により集光されて、第1光検出器61により検出される。
【0064】
一方、第2光源63から放出される光(波長λ1とλ2の光を含む光33)は第2誘電体ミラー53に入射する。第2誘電体ミラー53に入射した第2光源63からの光33は、波長λ2の光23が紙面の左側に折り返され、波長λ1の光21が第2誘電体ミラー53を通過する。第2誘電体ミラー53を通過した波長λ1の光21は、必要に応じて第2トラップ65でブロックされる。
【0065】
第2誘電体ミラー53で折り返された波長λ2の光23は、第2の光学部材19側から光測定用セル1に入射し、第1の光学部材17側から拡散光として出射する。この拡散光として出射した波長λ2の光23は、第1誘電体ミラー51を通過して、第2集光レンズ67により集光されて、第2光検出器69により検出される。
【0066】
以上のように構成することにより、波長λ1(=260nm)光21を用いる測定と波長λ2(=280nm)光23を用いる測定とを同時に行うことが可能となる。また、光測定用セル1の向きを変えないため、光軸の再調整も不要である。
【0067】
なお、第1誘電体ミラー51、第2誘電体ミラー53を用いているので、両誘電体ミラーの波長選択性能が良好で、狭帯域の波長選択が可能であれば、光測定用セル1の第1の光学部材17、第2の光学部材19を単なる光透過性部材にすることも理論的には可能である。しかしながら、狭帯域な1つの波長(例えば、λ1)を選択して折り返し、残りの波長を透過させるように誘電体ミラーを構成するのは、誘電体の層数が多くなり、著しく高価となる。よって、ある程度広帯域の波長を選択する誘電体ミラーと本発明の光測定用セル1の第1の光学部材17、第2の光学部材19とを組み合わせて波長を選択することが、コストも安くなり実際的である。
【実施例3】
【0068】
図6は、本発明の光測定装置及び光測定用セル1からなる光学測定システム70の構成の一例を示す。実施例3は、実施例2の変形例であり、実施例2の光測定装置では2組ずつであった光源、集光レンズを1組とする例である。
【0069】
図6に示すように、実施例3の光測定装置においては、1つの光源71からの光を2分割して、第1誘電体ミラー51、第2誘電体ミラー53に導光するものである。すなわち、光源71から放出される波長λ1とλ2を含む光33は、ビームスプリッター(ハーフミラー)73で2分割される。ビームスプリッター73を通過した光源71からの光は、第2誘電体ミラー53に導光される。そして、第2誘電体ミラー53に入射した光は、波長λ2の光23が紙面の上側に折り返され、波長λ1の光21が第2誘電体ミラー53を通過し、第2トラップ65でブロックされる。
【0070】
一方、ビームスプリッター73により紙面の上側へ折り返された光源からの光は、第1全反射ミラー75で更に紙面の右側に折り返され、第1誘電体ミラー51に導光される。そして、第1誘電体ミラー51に入射した光は、波長λ1の光21が紙面の下側に折り返され、波長λ2の光23が第1誘電体ミラー51を通過し、第1トラップ57でブロックされる。
【0071】
光測定用セル1の第1の光学部材17側から拡散光として出射する波長λ2の光23は、第2全反射ミラー77で紙面の右側へ折り返され、集光レンズ79によって集光されて、第1光検出器81により検出される。また、光測定用セル1の第2の光学部材19側から拡散光として出射する波長λ1の光21は、第3全反射ミラー83で紙面の右側へ折り返され、集光レンズ79によって集光されて、第2光検出器85により検出される。このように、光測定用セル1から出射する波長λ1の光21及び波長λ2の光23は、第2全反射ミラー77及び第3全反射ミラー83で同じ向きに折り返されるので、1枚の集光レンズ79で各光を集光して、各光検出器により検出することが可能となる。
【0072】
なお、
図7に示すように、実施例3において、光源71、光測定用セル1、第2全反射ミラー77、第3全反射ミラー83、集光レンズ79、光検出器87の位置を適宜調整することにより、1つの光検出器87で波長λ1、λ2の光を測定することも可能となる。この場合、光検出器に分光機能が備えられていなければ、波長λ1、λ2の光を同時に測定することは難しいので、必要に応じて、第2全反射ミラー77及び第3全反射ミラー83の光出射側に、シャッター手段を設けることになる。なお、
図7では、ビームスプリッター73、第1全反射ミラー75、第1トラップ57及び第2トラップ65を図示していない。