(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。以下において、複数の実施形態または変形例などが含まれる場合、複数の実施形態または変形例における各構成要素の特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。以下で説明する形状、数量、数値などは、説明のための例示であって、被加工物であるワーク及びNC加工用データ作成支援装置の仕様により適宜変更が可能である。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、実施形態のNC加工用データ作成支援装置10の構成図である。
図2は、NC加工用データ作成支援装置10で作成支援プログラムを実行させた場合におけるディスプレイ20でのトップページの表示を示す図である。
図3は、形状データの数値の入力と、形状データに基づくワークの半径方向外側から見た形状とが、ディスプレイ20に表示された状態を示す図である。
図4は、形状データの数値の入力と、形状データに基づくワークの断面形状とが、ディスプレイ20に表示された状態を示す図である。
【0015】
NC加工用データ作成支援装置10は、コンピュータにより構成される。NC加工用データ作成支援装置10は、非円形の筒状外形を有するようにワークを加工するためのNC加工装置30に送信するNC加工用データの作成を支援する。コンピュータは、デスクトップ型、ラップトップ型等のパーソナルコンピュータである。コンピュータの種類は限定されないが、NC加工装置30から離れた位置でデータを作成した後に、NC加工装置30の付近に持ち運び、ケーブル線でNC加工装置30に接続してデータを送信することが容易に行えることが好ましい。この面から、コンピュータは、ラップトップ型等の軽量で小型な構造とすることが好ましい。以下、NC加工用データ作成支援装置10は「支援装置10」と記載する場合がある。
【0016】
支援装置10は、入力部11、制御装置12、及びディスプレイ20を含んで構成される。入力部11は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含む。入力部11は、キーボードだけでもよい。入力部11は、ユーザによるNC加工用データの数値の入力を受け付ける。入力部11で受け付けた数値は、制御装置12に送信される。
【0017】
制御装置12は、CPU(図示せず)、記憶部13等を含んで構成される。記憶部13は、メモリ等の内部記憶部及び外部記憶装置の一方または両方を含む。記憶部13には、NC加工用データ作成支援プログラムが記憶される。以下、NC加工用データ作成支援プログラムは、「支援プログラム」と記載する場合がある。支援プログラムは、例えばWindows(登録商標)形式のOSソフトが稼働するパーソナルコンピュータにおいて、実行可能な実行ファイルに含まれる。例えば、Windows(登録商標)上で実行ファイルを開くことにより、支援プログラムが実行される。これにより、
図2に示すように、「NC加工プログラム作成支援システム」のトップページがディスプレイ20の画面上に表示される。
【0018】
このトップページでは、ディスプレイ20の画面上でユーザが、マウスカーソルまたはキーボード等で、複数の枠部21,22,23,24,25の内から1つを選択して指示することを可能とする。例えば、複数の枠部21,22,23,24,25には、「形状入力」「形状ファイル保存」「NC加工用パラメータ設定」「プログラム作成」「プログラム送信」がそれぞれ示される。そして、「形状入力」の枠部21の内側をユーザが選択して指示することで、データ作成の入力が指示され、画面が切り替わって、後述の
図3、
図4に示すように、ワークの形状データの数値の入力が可能となる。
【0019】
また、支援装置10は、NC加工装置30で読み取り可能なNC読み取りプログラムの作成を支援する。「NC読み取りプログラム」は、NC加工用データを含むプログラムである。NC読み取りプログラムは、支援装置10で作成された後に、NC加工装置30に支援装置10をケーブル線31で接続した状態で、NC加工装置30の制御装置に送信することが可能である。NC加工装置30の制御装置がNC読み取りプログラムを読み取ることにより、NC加工装置30において、NC加工用データに基づいてワークの切削加工を行うことが可能である。
【0020】
NC加工用データは、ピストン等の非円形の断面形状の筒状外形を有するように加工後のワークの外形を特定する形状データである。例えば、加工後のワークの外形のうち、少なくとも軸方向一部の範囲である非円形筒部では、軸方向における任意の複数位置である複数の高さ位置において断面が規定される。このとき、各断面は楕円形状である。なお、加工後のワークにおいて、一部またはすべての断面は楕円でなく真円となるようにしてもよい。以下では各断面が楕円形状であるワークを加工する場合を説明するが、ワークを断面円形に加工することもできる。ワークの非円形筒部の外形は、各断面において中心軸周りの一定角度間隔の各角度位置における半径方向についての真円である基準円からの減少量、すなわち落込み量で規定される。
【0021】
後述する
図3、
図4では、ワークの非円形筒部50の外形が、原点Oからの高さ(
図3の上下方向位置)がA1からA13で規定された13個の断面1〜13によって規定される。そして、各断面において、中心軸C周りの一定角度間隔(例えば20度)の各角度位置における半径方向についての真円である基準円からの減少量、すなわち落込み量で、非円形筒部50が規定される。
図3は、
図4において0度の角度での直径である長手方向寸法が左右方向長さとなるように、ワークの非円形筒部50の半径方向外側から見た形状を示している。
図3では、基準円の半径がB0であり、例えば高さA1で設定される断面1における半径方向についての落込み量はB1である。
図4は、断面1を軸方向一方側から見た形状を実線αで示しており、中心軸C周りの角度に応じて、断面1の長径を直径とする真円を基準円(
図4に二点鎖線Dで示す円)とした場合にその基準円からの半径方向の減少量が変化して楕円状となっている。
図4では、断面1における
図3の半径B0の基準円を二点鎖線Eで示しているが、この二点鎖線Eは省略してもよい。
図4では、
図3に示す落込み量B1も示している。また、
図4では、参考として、260度における半径減少量C14を示しているが、このC14を示す矢印は実際の画面では表示しない。なお、
図3では、形状データが高さA1からA13までと、非円形筒部50の一部の高さについてのデータだけが入力されており、それに伴って、非円形筒部の外形の一部だけが示されている。
【0022】
図1に戻って、支援装置10の制御装置12は、画像作成部14、表示制御部15、プログラム作成部16、プログラム送信部17を有する。画像作成部14は、入力部11により入力されたNC加工用データの数値から、例えば
図3、
図4に示すような非円形筒部50のワーク画像51,52を作成する。例えば、
図3、
図4の左側の表では、表示の初期状態で高さ、落込み量、半径減少量が空欄となっており、入力部11であるキーボードを使ってそれぞれの欄に数値が入力される。
【0023】
画像作成部14は、
図3、
図4の表53,54において、それぞれの欄に入力された数値に基づいて各断面の外周端を接続するように半径方向外側から見たワーク画像51(
図3)と、軸方向一方側から見た各断面のワーク画像52(
図4)とを作成する。
【0024】
表示制御部15は、画像作成部14によって作成されたワーク画像51,52と、入力部11により入力されたNC加工用データの数値とを、同時または同時的にディスプレイ20に表示させるように、ディスプレイ20を制御する。このとき、
図3、
図4に示すように、入力部11により入力された数値は、
図3、
図4の各表53,54の対応する欄に表示される。
図3では、ワーク画像51の左側に各断面1〜20に応じた高さ、落込み量を表示させるための表53が示される。また、ワーク画像51は枠55内に表示されており、その枠55内には、ディスプレイ20で表示させる中心軸C周りの角度を選択するための角度選択部56と、更新ボタンに相当する更新指示部57とが表示される。ディスプレイの表示部は、例えば液晶表示部である。
【0025】
角度選択部56の角度は、キーボードを用いて変更することが可能である。そして、角度選択部56の角度を変更した後、更新指示部57をポインティングデバイス等の入力部11により指示することで、表示制御部15(
図1)は、その変更後の角度に応じたワーク画像に表示を変更する。
【0026】
また、
図3の表示において、高さ及び落込み量の数値を入力した後、高さ及び落込み量のいずれか1つ以上の数値を、入力部11を用いて変更可能とする。その後、更新指示部57が入力部11によって指示されたときに、画像作成部14(
図1)はその変更後の数値に応じた画像を作成し、表示制御部15はその画像をディスプレイ20に表示させる。
【0027】
具体的には、制御装置12の記憶部13は、入力部11によって入力されたNC加工用データと、画像作成部14で作成されたワーク画像のデータとを記憶する。そして、入力部11の操作によって、ディスプレイ20に表示されたNC加工用データの数値が修正され、更新指示部57が指示されたときに、ディスプレイ20におけるワーク画像について、修正後のNC加工用データで修正されたワーク画像を表示させる。このとき、更新指示部57を指示することは、修正後のNC加工用データでワーク画像を更新する更新指示の入力があったことに相当する。
【0028】
また、
図4では、ワーク画像52の左側に各角度に応じた半径減少量を表示させるための表54が示される。また、ワーク画像52は枠58内に表示されており、その枠58内には、ディスプレイ20で表示させる断面の断面番号を選択するための断面選択部59と、更新指示部60とが表示される。断面選択部59の断面番号は、キーボードを用いて変更することが可能である。断面選択部59の断面番号を変更した後、更新指示部60をポインティングデバイス等の入力部11で指示することで、表示制御部15(
図1)は、その変更後の断面に応じた断面形状に、ワーク画像の表示を変更する。また、
図4の表示において、表54に半径減少量の数値を入力した後、半径減少量の数値を、入力部11(
図1)を用いて変更可能とする。その後、更新指示部60が入力部11で指示されたときに、画像作成部14はその変更後の数値に応じた画像を作成し、表示制御部15はその画像をディスプレイ20に表示させる。
【0029】
このように実施形態では入力部11の入力によってディスプレイ20において、入力した数値と、ワーク画像51,52とを同時または同時的に表示させることができる。これにより、入力した数値と、ワーク画像とが異なる時期でディスプレイに表示される場合と異なり、データ作成作業の工数低減と入力間違いの低減とを図れる。また、入力間違いがあった場合に、ワーク画像がユーザの期待した形状から大きく外れることをすぐに目視で確認できるので、入力間違いのある数値の特定の容易化を図れる。
【0030】
なお、
図3、
図4では、説明を分かりやすくするために、枠55,58の内側において、矢印、破線、符号を示しているが、実際の表示ではこれらの矢印、破線、符号は省略される。また、
図3、
図4において、ワーク画像51,52を含む枠55,58を表示させる第1ファイルと、入力された数値を表示可能な表53,54を表示させる第2ファイルとが異なる実行ファイルであってもよい。そして、入力部11によって形状入力が指示されることに伴って、
図3または
図4に対応する第1ファイル及び第2ファイルが自動的に同時または同時的に開くことで、ディスプレイ20にワーク画像と表とが同時または同時的に表示されてもよい。
【0031】
また、制御装置12のプログラム作成部16(
図1)は、NC加工装置30で読み取り可能なプログラムであって、NC加工用データと入力パラメータデータとを含むプログラムであるNC読み取りプログラムを作成する。このとき、NC加工用データは、入力部11により入力されたワーク外形を示す形状データに基づいて演算、すなわち変換されたデータであってもよい。
【0032】
また、入力パラメータデータは、入力部により入力されるデータであり、NC加工用データとともに、NC加工装置30に送信するためのNC加工用パラメータを示すデータである。入力パラメータデータには、各種の加工条件のデータが含まれる。例えば、入力パラメータデータは、X,Y,Z、C軸について設定される最小移動距離を含むことができる。X軸及びY軸は、ワークの軸方向に対し直交する平面において直交する2軸方向の軸である。Z軸は、ワークの軸方向と一致する軸であり、C軸は、ワークの回転軸であり、ワークの回転角度を示す軸である。また、入力パラメータデータは、入力部によりユーザに入力されるデータには限定しない。入力パラメータデータは、NC読み取りプログラムを作成する際に用いるパラメータを示すものであればよく、予め支援プログラムにおいて設定されていてもよい。
【0033】
制御装置12(
図1)は、ユーザの入力部11の操作によって
図2の形状ファイル保存が指示されることで、ワークの形状データを特定のファイル名のファイルに保存する。また、制御装置12は、
図2のNC加工用パラメータ設定が指示されることで、入力パラメータデータの入力画面(図示せず)をディスプレイ20に表示させる。そして、その入力画面で必要な入力パラメータデータの値等の内容を、キーボード等を用いて入力可能とする。また、プログラム作成部16は、
図2のプログラム作成が指示されることにより、形状定義ファイルにおけるデータと、入力パラメータデータとから、NC読み取りプログラムを作成する。
【0034】
また、プログラム送信部17は、
図2のプログラム送信が指示されたときに、支援装置10とNC加工装置30の制御装置とがケーブル線で接続されたことを条件に、NC読み取りプログラムをNC加工装置30の制御装置に送信する。これにより、NC加工装置30がNC読み取りプログラムを読み込むことができる。送信終了後には、支援装置10とNC加工装置30との接続を切り離すことができる。NC加工装置30は、その後、ユーザの所定の操作に応じて、読み込んだNC読み取りプログラムのNC加工用データ及び入力パラメータデータに基づいてワークの加工を行う。
【0035】
次に、
図5、
図6を用いてNC加工用データ作成支援方法を説明する。
図5は、実施形態のNC加工用データ作成支援方法におけるモード変更方法を説明するためのフローチャートである。
図6は、
図5において形状入力モードに移行した場合における、形状データの入力に基づくワーク画像の表示方法を説明するためのフローチャートである。以下、NC加工用データ作成支援方法は、「データ作成支援方法」と記載する場合がある。
【0036】
データ作成支援方法は、NC加工用データの作成を支援する方法であり、入力受付ステップと、表示ステップとを含む。「入力受付ステップ」は、支援装置10の入力部11によって、ユーザによるNC加工用データの数値の入力を受け付ける。また、「表示ステップ」は、入力部11により入力されたNC加工用データの数値と、NC加工用データから作成されたワーク画像とを、支援装置10により同時または同時的にディスプレイ20に表示させる。また、データ作成支援方法は、第2表示ステップを含む。「第2表示ステップ」は、ユーザによる入力部の操作によって、ディスプレイ20に表示されたNC加工用データの数値が修正され、更新指示部57,60の指示によって更新が指示されたときに、支援装置10により修正ワーク画像を表示させる。このとき、支援装置10は、ディスプレイ20におけるワーク画像について、修正後のNC加工用データによって修正された修正ワーク画像を表示させる。
【0037】
具体的には、
図5に示すステップS11で、
図2に示すトップページに対応して形状入力の指示があるか否かを判定する。このとき、トップページに表示されたメニューリストにより新規作成モードと修正モードとが選択可能であってもよい。新規作成モードは形状データを新規で入力することが可能なモードである。修正モードは、既に入力済みの形状データを持って保存されたファイルを読み出して、そのファイルにおける形状データの修正を行うことが可能なモードである。以下では、ステップSはSと記載する。S11の判定結果がYESである場合には、S12で形状入力モードへ移行する。
【0038】
図6に示すように、形状入力モードに移行すると、S21において、入力受付ステップとして、入力部11によって複数種類の形状データの入力を受け付ける。このとき、
図3、
図4への移行前の画面として、
図3に示す第1入力画面と、
図4に示す第2入力画面とのいずれかの表示を選択可能な画面が表示されてもよい。そして、第1入力画面または第2入力画面で、一部または全部の空欄への数値の入力後において、更新指示部57,60が指示されることにより、S22(
図6)に移行する。
【0039】
S22では、記憶ステップとして、第1入力画面及び第2入力画面の一方または両方に入力されたNC加工用データである形状データを、画像作成用データとして記憶部13(
図1)に記憶する。例えば、記憶部13に画像作成用記憶領域が設定され、その領域に形状データが記憶されてもよい。
【0040】
次いで、S23では、画像作成部14で画像作成用データとしての形状データに基づいてワーク画像を作成する。その後、表示ステップとして、第1入力画面または第2入力画面において、入力部により入力された形状データの数値と、形状データから作成されたワーク画像とを、同時または同時的にディスプレイ20に表示させる。このとき、ワーク画像はグラフィック表示される。これにより、ユーザが入力された数値に応じたワーク画像の形状を容易に確認できる。
【0041】
次いで、S24では、入力画面において、データの数値が修正され、更新が指示されたか否かを判定する。S24の判定結果がYESの場合には、S25で記憶部13に記憶された画像生成用データとしての形状データを、修正された数値のデータによって修正する。このとき、更新が指示されたときに入力画面に入力されている数値のデータの全部を、画像生成用データとして記憶部に記憶されている数値のデータの全部と置き換えるようにしてもよい。また、S24では、制御装置12は、データの数値の修正の有無を判断せず、更新の指示によって入力画面に入力されている数値のデータの全部を、画像生成用データとして記憶部に記憶されている、対応する数値のデータと置き換えるようにしてもよい。
【0042】
そして、S26において、記憶部に画像生成用データとして記憶されている形状データによって、修正ワーク画像を作成する。その後、第2表示ステップとして、第1入力画面または第2入力画面において、入力部により入力された形状データの数値と、修正ワーク画像とを、同時または同時的にディスプレイ20に表示する。これにより、ユーザは、修正した数値に応じたワーク画像を、その数値と同時または同時的に確認できるので、入力間違いを低減できるとともに、データの修正作業の効率化を図れる。S26の処理の後はS24に戻る。
【0043】
一方、S24において判定結果がNOの場合には、S27で形状入力モードの終了が入力部によって指示されたか否かを判定する。例えば、
図3または
図4の入力画面でファイルを閉じる、またはメニューバー等に表示されたメニューリスト(図示せず)から終了の指示を選択することにより、形状入力モードの終了を指示可能な構成とすることができる。なお、
図3及び
図4のそれぞれの入力画面では、メニューリストにおける所定の指示によって、互いに別の画面へ切り替え可能としてもよい。
【0044】
S27の判定結果がYESの場合には、
図5のS11の処理に移行する。S27の判定結果がNOの場合にはS24に戻って処理を繰り返す。
【0045】
一方、
図5のS11の判定結果がNOの場合には、S13で形状ファイルの保存の指示があるか否かを判定する。このとき、
図2に示すトップページに対応して形状ファイルの保存の指示があるか否かを判定する。形状ファイルの保存は、入力された形状データのまとまりを1つのファイル名が付されたファイルに保存することである。
図2の画面で上部にメニューリストを表示してそのメニューリストから形状ファイルの保存を指示可能な構成としてもよい。
【0046】
S13の判定結果がYESの場合には形状ファイルが、特定のファイル名で保存される(S14)。形状ファイルは、後述する読み取りプログラムの作成で使用される。S14の処理後は、S11に戻る。なお、
図5、
図6の処理において、NC加工プログラム作成システムの処理の終了がいずれかの段階で指示された場合には、データ作成の処理が終了される。例えば、
図2の画面において実行ファイルが閉じられる、またはシステムの終了が指示されることで処理が終了される。
【0047】
また、
図5のS13の判定結果がNOの場合には、S15でNC加工用パラメータの設定の指示があるか否かを判定する。このとき、
図2に示すトップページに対応してNC加工用パラメータの設定の指示があるか否かを判定する。
図2の画面で上部にメニューリストを表示してそのメニューリストからNC加工用パラメータの設定を指示可能な構成としてもよい。
【0048】
S15の判定結果がYESの場合には、S16でNC加工用パラメータ設定モードへ移行して、NC加工用パラメータの設定画面がディスプレイに表示され、各種の加工条件等の入力パラメータデータにおける数値の入力が可能となる。S16の処理後は、S11に戻る。
【0049】
また、S15の判定結果がNOの場合には、S17でNC読み取りプログラムの作成の指示があるか否かを判定する。このとき、
図2に示すトップページに対応してプログラム作成の指示があるか否かを判定する。S17の判定結果がYESの場合には、S18でプログラム作成モードへ移行する。プログラム作成モードでは、形状ファイルに保存された形状データと、NC加工用パラメータ設定モードで設定された入力パラメータデータとを合わせて、NC加工装置30で読み取り可能なプログラムを作成する。このとき、プログラム作成部16は、入力された形状データから外形の情報を細かく設定するようにNC加工用データを演算し、その演算したNC加工用データをNC読み取りプログラムに組み合わせてもよい。
【0050】
S17の判定結果がNOの場合には、S19でプログラム送信の指示があるか否かを判定する。このとき、
図2に示すトップページに対応してプログラム送信の指示があるか否かを判定する。S19の判定結果がYESの場合には、S20でプログラム送信モードへ移行する。プログラム送信モードでは、プログラム作成モードで作成されたNC読み取りプログラムをNC加工装置30の制御装置に送信する。S19の判定結果がNOの場合にはS11に戻る。S16,S18,S20の処理後でもS11に戻る。
【0051】
また、
図6におけるS21の入力受付ステップと、S23の表示ステップとは、支援プログラムを実行することにより行うことができる。支援プログラムは、入力受付ステップと表示ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0052】
また、支援プログラムの実行により、
図6におけるS26の第2表示ステップをコンピュータにより実行させることもできる。
【0053】
上記の構成によれば、入力部11により入力されたNC加工用データの数値と、NC加工用データから作成されたワーク画像とが同時または同時的にディスプレイ20に表示される。これにより、データ作成作業の工数低減、入力間違いの低減及びその特定の容易化を図れる。
【0054】
図7は、実施形態の別例のNC加工用データ作成支援方法において、プログラム送信モードを説明するためのフローチャートである。本例の支援装置10(
図1)では、
図1から
図6の構成において、制御装置12が、特定入力パラメータデータ及びNC加工装置で設定されたパラメータデータのパラメータの内容が一致するか否かを判定する。具体的には制御装置は、特定入力パラメータデータのある項目を示すパラメータの内容が、NC加工装置30において設定された、対応するパラメータデータである特定加工パラメータデータの同じ項目を表すパラメータの内容と一致するか否かを判定する。特定入力パラメータデータは、NC読み取りプログラムの作成に用いられる入力パラメータデータに含まれる。そして、特定入力パラメータデータの表すパラメータの内容が、特定加工パラメータデータの表すパラメータの内容と不一致である場合には、NC読み取りプログラムの送信を禁止する。これにより、NC加工装置30の不具合を防止でき、かつ、その不具合防止のためのユーザによる確認作業の負担を軽減できる。
【0055】
具体的には、制御装置12には、予めユーザの入力作業によって、またはプログラムのメーカーで予め設定されることにより、特定入力パラメータデータが記憶部13に記憶される。例えば、特定入力パラメータデータは、X軸番号、Y軸番号、Z軸番号、C軸番号である各項目の内容を示す。X軸番号、Y軸番号、Z軸番号、C軸番号には、異なる内容として番号が割り当てられる。例えば、X軸番号、Y軸番号、Z軸番号、C軸番号にそれぞれ1,2,3,4が割り当てられる。この番号等の内容は、例えばユーザのキーボードを用いた入力作業によって支援装置10に入力され、記憶される。この内容は、特定入力パラメータデータのそれぞれの値等の内容として、NC読み取りプログラムの作成の演算に用いられる。
【0056】
一方、NC加工装置30には、予め特定加工パラメータデータとして、X軸番号、Y軸番号、Z軸番号、C軸番号に所定の番号を表す内容が割り当てられている。この内容は、10進数、2進数、16進数等、いずれの形式で表されるものであってもよい。ワークが加工される際には、その内容に応じて、切削工具等の工具が移動され、ワークが回転する。このとき、特定入力パラメータデータのX軸番号、Y軸番号、Z軸番号、C軸番号と、特定加工パラメータデータのX軸番号、Y軸番号、Z軸番号、C軸番号との内容が不一致であると、NC加工装置30で所望の加工作業を行えないという不具合が発生する。このようにプログラム作成時の演算に用いられる入力パラメータデータの一部には、プログラム送信時にNC加工装置30側の対応する特定加工パラメータデータと一致させておかなければならないものがある。特定入力パラメータデータの内容は、ユーザの入力作業により変更される場合があり、また、特定加工パラメータデータの内容は、NC加工装置側でユーザの入力作業により変更される場合もある。
図7を用いて説明する本例の装置、方法及びプログラムは、このような不都合を解消すべく発明したものである。
【0057】
具体的には、支援装置10の制御装置12は、パラメータ取得ステップとして、特定入力パラメータデータを記憶部または入力部11から取得し、かつ、NC加工装置30で設定された特定加工パラメータデータを支援装置10の制御装置12で取得する。この際、支援装置10の制御装置12が、NC加工装置30の制御装置とケーブル線31を介して通信する。また、支援装置10の制御装置12は、送信判定ステップとして、入力部11によって、NC加工装置30へNC加工用データを含むNC読み取りプログラム送信する指示があったときに、データ一致判定を行う。このデータ一致判定では、特定入力パラメータデータが表わすパラメータの内容が、NC加工装置に設定された対応する特定加工パラメータデータが表わすパラメータの内容と一致するか否かを判定する。すなわち、特定入力パラメータデータが表わすパラメータの内容が、NC加工装置に設定されたパラメータデータであって、特定入力パラメータデータと同じ項目を表す特定加工パラメータデータが表わすパラメータの内容と一致するか否かを判定する。そして、制御装置12は、送信判定ステップにおいて、全部の特定入力パラメータデータのパラメータの内容がそれぞれ対応する特定加工パラメータデータのパラメータの内容と一致する場合にはNC加工装置30に対するNC読み取りプログラムの送信を実行する。一方、制御装置12は、送信判定ステップにおいて、少なくとも一部の特定入力パラメータデータのパラメータの内容が、対応する特定加工パラメータデータのパラメータの内容と不一致である場合には、上記のNC読み取りプログラムの送信を禁止する。
【0058】
本例のNC加工用データ作成支援方法は、上記のパラメータ取得ステップと、上記の送信判定ステップとを有する。パラメータ取得ステップと、送信判定ステップとは、支援プログラムを実行することによりコンピュータに実行させることができる。
【0059】
プログラム送信モードへの移行が入力部11によって指示されたときに、
図7のS30において、制御装置12によって、特定入力パラメータデータと対応する特定加工パラメータデータとのパラメータの内容を比較する。次いで、制御装置12は、S31で、NC読み取りプログラムで設定された全部の特定入力パラメータデータのパラメータの内容が、対応する特定加工用パラメータデータのパラメータの内容と一致するか否かを判定する。S31の判定結果がYESの場合には、S32でNC読み取りプログラムの送信を実行し、ユーザに点灯部、表示部、音声発生部等の報知部により送信実行を報知し、処理を終了する。一方、S31の判定結果がNOの場合には、S33でNC読み取りプログラムの送信を禁止し、ユーザに対し報知部により送信禁止を報知し、処理を終了する。その他の構成及び作用は、
図1から
図6に示した構成と同様である。
【0060】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、上記では、支援装置10からNC加工装置30にNC読み取りプログラムを送信する場合を説明した。一方、NC読み取りプログラムの代わりにNC加工用データに基づくデータのみを、支援装置10からNC加工装置30に送信する構成としてもよい。