特許第6815066号(P6815066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815066
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20210107BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20210107BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20210107BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/06
   A61K8/25
   A61K8/27
   A61K8/31
   A61K8/891
   A61K8/894
   A61Q1/02
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-35406(P2015-35406)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-155786(P2016-155786A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年12月5日
【審判番号】不服2019-15896(P2019-15896/J1)
【審判請求日】2019年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】度会 悦子
(72)【発明者】
【氏名】矢後 祐子
【合議体】
【審判長】 岡崎 美穂
【審判官】 西村 亜希子
【審判官】 大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−101311(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/055771(WO,A1)
【文献】 特開2013−053073(JP,A)
【文献】 特開2011−111401(JP,A)
【文献】 特開2001−278747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)アルキルアルコキシシランで3〜20質量%表面処理した、比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛 0.01〜20質量%、
(B)酸化鉄 0.01〜10質量%、
(C)揮発性シリコーン油 1〜50質量%、
(D)揮発性炭化水素油 0.5〜40質量%、
(E)次の一般式(1)
【化1】
(式中、各Rは、メチル基又はフェニル基を示し、各R'は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、各R"は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアシル基、又はケイ素原子1〜30のシロキサン基を示す。dは1〜20の数を示し、e及びfは0〜200の数を示し、e及びfが同時に0となることはない。gは0〜30の数を示し、hは1〜100の数を示し、iは10〜2000の数を示し、jは1〜1000の数を示し、kは1〜1000の数を示す)
で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン 0.01〜20質量%、
を含有し、成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)が、0.2〜10であり、
成分(A)及び(E)の質量割合(A)/(E)が、2〜60である油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)が、オクチルトリエトキシシランで表面処理したものである請求項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(E)が、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種を含有する請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を含有する油中水型乳化化粧料では、肌に塗布したときの仕上がりが良好であることが求められている。
例えば、特許文献1には、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン油、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランで表面処理し粉体を含有する油中水型乳化化粧料が、肌の皮溝・皮丘に均一に付着、つきが良く、肌が荒れて見えるのを防止し、粉感が目立たない、肌を明るく見せることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−101311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化鉄と微粒子酸化亜鉛を含有する油中水型乳化化粧料では、製造時に色ムラが起きやすく、得られた化粧料も色ブレが大きく、品質に劣ることがあった。また、化粧料を肌に塗布した直後の仕上りに劣り、肌がくすんで見えるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、アルキルアルコキシシランで特定量表面処理した微粒子酸化亜鉛と、架橋型ポリエーテル変性シリコーンを組合わせ、さらに、揮発性シリコーン油及び揮発性炭化水素油を組み合わせて用いることにより、上記課題を解決した油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)アルキルアルコキシシランで3〜20質量%表面処理した、比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛 0.01〜20質量%、
(B)酸化鉄 0.01〜10質量%、
(C)揮発性シリコーン油 1〜50質量%、
(D)揮発性炭化水素油 0.5〜40質量%、
(E)次の一般式(1)
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、各Rは、メチル基又はフェニル基を示し、各R'は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、各R"は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアシル基、又はケイ素原子1〜30のシロキサン基を示す。dは1〜20の数を示し、e及びfは0〜200の数を示し、e及びfが同時に0となることはない。gは0〜30の数を示し、hは1〜100の数を示し、iは10〜2000の数を示し、jは1〜1000の数を示し、kは1〜1000の数を示す)
で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン 0.01〜20質量%
を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油中水型乳化化粧料は、製造時に乳化し易く、粉体が均一に分散し、製造直後の外観が均一で色ムラがないものである。また、肌に塗布した後の仕上りは、マット感があり、明るく、しかも、4時間経過後も、肌の仕上がりのマット感及び明るさが持続する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いる成分(A)は、アルキルアルコキシシランで3〜20質量%表面処理した、比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛である。
成分(A)の微粒子酸化亜鉛は、比表面積10〜100m2/gのものであって、比表面積15〜60m2/gのものが好ましい。このような比表面積の微粒子酸化亜鉛を用いることにより、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得ることができる。成分(A)の比表面積は、BET法により測定される。また、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得る点から、平均粒子径は、5〜40nmであるのが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
【0011】
成分(A)の微粒子酸化亜鉛は、アルキルアルコキシシランで表面処理したものである。アルキルアルコキシシランとしては、炭素数6〜20の分岐又は直鎖のアルキル基を有するものが好ましく、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等がより好ましく、オクチルトリエトキシシランがさらに好ましい。
なお、微粒子酸化亜鉛をアルキルアルコキシシランで処理した場合、成分(A)の含有量や比表面積は、アルキルアルコキシシランで処理した剤を含めての質量や比表面積を意味する。
【0012】
アルキルアルコキシシランを用いた表面処理の方法は、制限されないが、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いてアルキルアルコキシシランと微粒子酸化亜鉛とを混合する等の乾式処理方法や、アルキルアルコキシシランを微粒子酸化亜鉛のスラリー中に添加し、攪拌・混合する等の湿式処理方法等を用いることができる。
【0013】
アルキルアルコキシシランの処理量は、アルキルアルコキシシランで表面処理した微粒子酸化亜鉛全質量中のアルキルアルコキシシランの質量割合が、3〜20質量%であり、4〜10質量%であるのが好ましい。
この割合で、アルキルアルコキシシランで表面処理した微粒子酸化亜鉛を用いることにより、油中水型乳化化粧料の製造時に乳化し易く、粉体を均一に分散させることができる。
【0014】
成分(A)の微粒子酸化亜鉛は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得る点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下であり、17質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.01〜20質量%であり、0.1〜17質量%が好ましく、2〜13質量%がより好ましく、4〜13質量%がさらに好ましい。
【0015】
成分(B)の酸化鉄としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄を用いることができ、これらを含む複合粉体等であっても良く、酸化チタンを酸化鉄で被覆した粉体でも良い。
成分(B)の酸化鉄は、疎水化処理したものを用いることができ、撥水性及び撥油性が十分に発現し、感触や流動性が良好になるので好ましい。
疎水化処理としては、通常の化粧料用粉体に施されている処理であれば制限されず、シリコーン処理、脂肪酸処理、ラウロイルリジン処理、レシチン処理、N−アシルアミノ酸処理、金属石鹸処理、アルキルアルコキシシラン処理、フッ素化合物処理等が挙げられる。これらのうち、シリコーン処理、アルキルアルコキシシシラン処理、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したものが好ましい。
なお、酸化鉄を疎水化処理した場合、成分(B)の含有量は、疎水化処理した剤を含めての質量を意味する。
【0016】
成分(B)の酸化鉄は、1種又は2種以上を用いることができ、製造時の色ムラを抑制し、塗布後の肌の仕上りに明るさを与える点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であり、0.02質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、10質量%以下であり、4質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.01〜10質量%であり、0.02〜4質量%が好ましく、0.03〜1質量%がより好ましい。
【0017】
成分(C)の揮発性シリコーン油において、揮発性とは、35〜87℃の引火点を有するものである。
成分(C)の揮発性シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどが挙げられる。
これらのうち、油中水型乳化化粧料を肌に塗布した後、成分(C)が揮発した後の使用感が良好で、塗布後の肌の仕上りのマット感に優れる点から、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンがより好ましい。
【0018】
成分(C)の揮発性シリコーン油は、1種又は2種以上を用いることができ、塗布後の肌の仕上りのマット感に優れる点から、含有量は、全組成中に1質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、50質量%以下であり、35質量%以下が好ましく、22質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に1〜50質量%であり、5〜35質量%が好ましく、10〜22質量%がより好ましい。
【0019】
成分(D)は、揮発性の炭化水素油である。揮発性とは、35〜87℃の引火点を有するものである。
成分(D)の揮発性炭化水素油としては、例えば、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油;シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油が挙げられる。これらのうち、炭素数8〜16の炭化水素油が好ましく、炭素数10〜16の炭化水素油がより好ましく、炭素数12の炭化水素油がさらに好ましい。なかでも、イソパラフィン系炭化水素油が好ましく、イソドデカン、炭素数12の水添ポリイソブテンがより好ましい。市販品としては、マルカゾールR(丸善石油化学社製)、パールリーム3(日油社製)等が挙げられる。
【0020】
成分(D)の揮発性炭化水素油は、1種又は2種以上を用いることができ、塗布後の肌の仕上りのマット感に優れ、成分(A)を油中水型乳化化粧料中に安定に分散させ、ビーカー内壁に付着することを抑制する点から、含有量は、全組成中に0.5質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、40質量%以下であり、25質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.5〜40質量%であり、1〜25質量%が好ましく、4〜16質量%がより好ましい。
【0021】
本発明において、成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)は、製造時に乳化し易く、粉体が均一に分散し、製造直後の外観が均一で色ムラがなく、肌に塗布した後の仕上りは、マット感があり、明るく、しかも、時間が経過しても、肌の仕上がりのマット感及び明るさが持続する点から、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、40以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。また、成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)は、0.2〜40が好ましく、0.4〜10がより好ましく、0.7〜5がさらに好ましい。
【0022】
本発明で用いる成分(E)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、前記一般式(1)で表されるものである。
式中、R"は、炭素数1〜15のアルキル基が好ましい。また、gは0〜15の数、hは1〜40の数、iは10〜200の数、jは1〜50の数、kは1〜50の数が好ましい。尚、複数のR、R’、R”、d、e、f、g、h、i、j、kは、同じであっても、異なっても良い。
【0023】
成分(E)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、特開平4-272932号公報に記載の方法により製造することができる。
また、成分(E)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、揮発性炭化水素油に希釈又は分散されたものが好ましく、揮発性炭化水素油としては、ポリイソブテンがより好ましい。
【0024】
成分(E)としては、ジメチコン(PEG−10/15)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーが好ましい。
また、成分(E)としては、例えば、KSG−210、KSG−240(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー);KSG−310、KSG−320、KSG−330((PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG−340((PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0025】
成分(E)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、1種又は2種以上を用いることができ、油中水型乳化化粧料を肌に塗布した後、成分(C)、(D)が揮発し、成分(A)、(B)が肌表面に残留したとき、肌へ密着し、仕上りのマット感、明るさに優れ、塗布後時間が経過しても、マット感、明るさが持続する点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.01〜20質量%であり、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0026】
本発明において、成分(A)及び(E)の質量割合(A)/(E)は、製造時に乳化し易く、粉体が均一に分散し、製造直後の外観が均一で色ムラがなく、肌に塗布した後の仕上りは、マット感があり、明るく、しかも、時間が経過しても、肌の仕上がりのマット感及び明るさが持続する点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上がさらに好ましく、3以上がよりさらに好ましく、400以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましく、60以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)及び(E)の質量割合(A)/(E)は、0.5〜400が好ましく、1〜200がより好ましく、2〜100がさらに好ましく、3〜60がよりさらに好ましい。
【0027】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(F)パラメトキシケイ皮酸オクチルを含有することができ、紫外線吸収剤として含有することができる。
成分(F)のパラメトキシケイ皮酸オクチルの含有量は、製造直後の外観の均一性を維持する点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、成分(F)の含有量は、全組成中に0.1〜15質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましく、2〜8質量%が更に好ましい。
【0028】
本発明の油中水型乳化化粧料は、界面活性剤が用いられ、かかる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。中でも、非イオン界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。成分(C)、(D)、(F)を安定に乳化させる観点から、HLB値が1以上、7以下であるのが好ましく、HLB値が2以上、6以下がより好ましい。
【0029】
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0030】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0031】
界面活性剤の含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、6質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、全組成中に0.1〜6質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましい。
【0032】
本発明において、水の含有量は、安定な油中水型乳化化粧料を得る点から、全組成中に5〜70質量%であるのが好ましく、15〜60質量%がより好ましく、20〜48質量%が更に好ましい。
【0033】
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油性成分、前記以外の粉体、界面活性剤、香料、保湿剤、美容成分、薬効成分、紫外線吸収剤、増粘剤、殺菌剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を含有することができる。
【0034】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法により製造することができ、剤型としては、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、乳液状、クリーム状が好ましい。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーションがより好ましい。
【0035】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)アルキルアルコキシシランで3〜20質量%表面処理した、比表面積10〜100m2/gの微粒子酸化亜鉛 0.01〜20質量%、
(B)酸化鉄 0.01〜10質量%、
(C)揮発性シリコーン油 1〜50質量%、
(D)揮発性炭化水素油 0.5〜40質量%、
(E)次の一般式(1)
【0036】
【化2】
【0037】
(式中、各Rは、メチル基又はフェニル基を示し、各R'は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、各R"は炭素数1〜30のアルキル基若しくはアシル基、又はケイ素原子1〜30のシロキサン基を示す。dは1〜20の数を示し、e及びfは0〜200の数を示し、e及びfが同時に0となることはない。gは0〜30の数を示し、hは1〜100の数を示し、iは10〜2000の数を示し、jは1〜1000の数を示し、kは1〜1000の数を示す)
で表される架橋型ポリエーテル変性シリコーン 0.01〜20質量%
を含有する油中水型乳化化粧料。
【0038】
<2>成分(A)の微粒子酸化亜鉛が、好ましくは、比表面積15〜60m2/gのものである前記<1>記載の油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)の微粒子酸化亜鉛が、好ましくは、平均粒子径5〜40nmであって、平均粒子径10〜30nmがより好ましい前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化化粧料。
<4>成分(A)の微粒子酸化亜鉛が、好ましくは、炭素数6〜20の分岐又は直鎖のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランで表面処理したものであって、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランがより好ましく、オクチルトリエトキシシランで表面処理したものがさらに好ましい前記<1>〜<3>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<5>成分(A)において、アルキルアルコキシシランの処理量が、好ましくは、微粒子酸化亜鉛の質量の4〜10質量%である前記<1>〜<4>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<6>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、17質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0039】
<7>成分(B)の酸化鉄が、好ましくは、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、これらを含む複合粉体、酸化チタンを酸化鉄で被覆した粉体である前記<1>〜<6>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<8>成分(B)の酸化鉄が、好ましくは、疎水化処理したものであって、シリコーン処理、アルキルアルコキシシシラン処理、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したものがより好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<9>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.02質量%以上であって、0.03質量%以上がより好ましく、4質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0040】
<10>成分(C)の揮発性シリコーン油が、好ましくは、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンであって、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンがより好ましい前記<1>〜<9>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<11>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に5質量%以上であって、10質量%以上がより好ましく、35質量%以下が好ましく、22質量%以下がより好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0041】
<12>成分(D)の揮発性の炭化水素油が、好ましくは、パラフィン系炭化水素油、イソパラフィン系炭化水素油、環状パラフィン炭化水素油であって、炭素数8〜16の炭化水素油がより好ましく、炭素数10〜16の炭化水素油がさらに好ましく、炭素数12の炭化水素油がよりさらに好ましい前記<1>〜<11>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<13>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、4質量%以上がより好ましく、25質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましい前記<1>〜<12>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<14>成分(C)及び(D)の質量割合(C)/(D)が、好ましくは、0.2以上であって、0.4以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましく、40以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい前記<1>〜<13>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0042】
<15>成分(E)の架橋型ポリエーテル変性シリコーンが、好ましくは、ジメチコン(PEG−10/15)クロスポリマー、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーであって、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG−10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがより好ましい前記<1>〜<14>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<16>成分(E)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.05質量%以上であって、0.1質量%以上がより好ましく、10質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい前記<1>〜<15>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<17>成分(A)及び(E)の質量割合(A)/(E)が、好ましくは、0.5以上であって、1以上がより好ましく、2以上がさらに好ましく、3以上がよりさらに好ましく、400以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下がさらに好ましく、60以下がよりさらに好ましい前記<1>〜<16>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0043】
<18>さらに、(F)パラメトキシケイ皮酸オクチルを含有することができる前記<1>〜<17>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<19>成分(F)のパラメトキシケイ皮酸オクチルの含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい前記<1>〜<18>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<20>水の含有量が、好ましくは、全組成中に5〜70質量%であって、15〜60質量%がより好ましく、20〜48質量%がさらに好ましい前記<1>〜<19>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【実施例】
【0044】
製造例1(オクチルシリル化微粒子酸化亜鉛の製造1)
微粒子酸化亜鉛95質量%とオクチルトリエトキシシラン5質量%、トルエンからなるスラリーを作成し、ビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、ダイノミル)を用いて粉砕・解砕を行った。次いで、トルエンを減圧下に加熱留去した後、送風気流型乾燥機を用いて150℃にて4時間加熱処理し、オクチルシリル化微粒子酸化亜鉛を得た。
【0045】
製造例2(オクチルシリル化微粒子酸化亜鉛の製造2)
微粒子酸化亜鉛93質量%とオクチルトリエトキシシラン7質量%、トルエンからなるスラリーを作成し、ビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、ダイノミル)を用いて粉砕・解砕を行った。次いで、トルエンを減圧下に加熱留去した後、送風気流型乾燥機を用いて150℃にて4時間加熱処理し、オクチルシリル化微粒子酸化亜鉛を得た。
【0046】
製造例3(オクチルシリル化微粒子酸化亜鉛の製造3)
微粒子酸化亜鉛98質量%とオクチルトリエトキシシラン2質量%と、トルエンからなるスラリーを作成し、ビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、ダイノミル)を用いて粉砕・解砕を行った。次いで、トルエンを減圧下に加熱留去した後、送風気流型乾燥機を用いて150℃にて4時間加熱処理し、オクチルシリル化微粒子酸化亜鉛を得た。
【0047】
製造例4(シリコーン処理微粒子酸化亜鉛の製造)
微粒子酸化亜鉛95質量%とメチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−99P、信越化学工業社製)5質量%と、イソプロピルアルコールからなるスラリーを作成し、よく攪拌・粉砕した後、イソプロピルアルコールを減圧下に加熱留去し、空気中150℃で4時間加熱処理を行い、シリコーン処理微粒子酸化亜鉛を得た。
【0048】
製造例5(酸化鉄被覆酸化チタンの製造)
(1)ルチル型酸化チタン凝集粒子の製造:
160g/Lの炭酸ナトリウム溶液中に洗浄メタチタン酸を硫酸で溶解した硫酸チタニル溶液を、液温が10℃を超えないようにゆっくりと滴下し、pHが10.0になった時、硫酸チタニルの滴下を止めた。この中和で得られたオルソチタン酸の白色沈殿をろ過し、十分洗浄した。
次に、10℃以下に冷却しながら濃塩酸中に洗浄したオルソチタン酸ケーキを添加し、オルソチタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。このオルソチタン酸の塩酸溶解液を、TiO2濃度80g/L、塩酸濃度100g/Lに調整し、撹拌しながら加温して55℃に液温を合わせ、20時間撹拌して加水分解を行った。得られたルチル型酸化チタンを中和・洗浄・乾燥し、ルチル型酸化チタン粒子を得た。
得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、辺の大きさが0.06〜0.12μm、厚さが0.02〜0.06μmの扇状ルチル型酸化チタン粒子が凝集した、平均粒子径0.3μmの球状ルチル型酸化チタン凝集粒子であり、摩擦感テスターによる平均摩擦係数は0.54であった。
(2)ベンガラ被覆酸化チタンの製造:
苛性ソーダ水溶液を加温(30〜35℃)溶解し、(1)で得られたルチル型酸化チタン凝集粒子100kgを分散させ、硫酸第二鉄液(41.5%)19.0kgを含む水溶液を添加・撹拌し、90℃、2時間反応させる。得られた複合化物を水洗・中和し、乾燥させる。粉砕後、700℃、3時間電気炉で焼成させた後、ふるいをかけ、ベンガラ3質量%被覆酸化チタンを得た。
得られたベンガラ3質量%被覆酸化チタンは、平均粒子径0.3μm、比表面積19m2/gであった。
【0049】
製造例6(フッ素変性シリコーンの製造)
【化3】
【0050】
613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 の合成:
温度計、冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに、FA−6(ユニマッテク社製)800g(2.2mol)と粒状NaOH(和光純薬社製)175.78g(4.4mol)を加えた。窒素雰囲気下で、テフロン(登録商標)製12cm三日月攪拌翼にて200rpmにて攪拌しながら、加熱し、フラスコ内温度を60℃とした。そこへ臭化アリル(和光純薬社製)398.73g(3.3mol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で1時間、80℃で1時間撹拌した。その後130℃に昇温し、過剰の臭化アリルを除去した。60℃まで冷却後、イオン交換水800gを入れ、30分間攪拌、その後静置して分層させた。上層の水層を抜き出し、さらにイオン交換水800gを入れ、再度攪拌、静置、水層除去を行った。60℃/5KPaにて脱水し、100℃/2KPaにて蒸留し、留分として、C613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 774.9gを得た(収率88%)。
【0051】
温度計を備えた300mLの四つ口フラスコに、下式で表されるハイドロジェンポリシロキサン(信越化学社製)52.89g(111mmol)を加え、窒素雰囲気下、テフロン(登録商標)製8cm三日月翼にて200rpmで攪拌し、2質量%塩化白金酸6水和物/イソプロピルアルコール0.66gを加え、110℃に昇温した。
【0052】
【化4】
【0053】
613−CH2CH2−O−CH2CH=CH2 197.11g(488mmol)を2時間で滴下した。滴下終了後、110℃で2時間撹拌した。その後、70℃まで下げた。0.1%NaOH溶液25.07gを加え、2時間攪拌した。60℃/5KPaにて脱水し、脱水終了後、同温度にてカルボラフィン3(日本エンバイロケミカルズ社製)2.51gを加え、2時間攪拌した。0.1μm PTFEメンブランフィルターにてろ過し、ろ液を100℃/5KPa、水62.5gを用いて水蒸気蒸留し、目的化合物(化合物B1)206.3gを得た(収率89%)。
【0054】
製造例7(ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)変性シリコーンの製造)
2−エチル−2−オキサゾリン12.9g(0.13モル)と酢酸エチル27.7gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ(ゼオラムA−4、東ソー社製)2.0gで、28℃15時間脱水を行った。
また、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(KF−8015、信越シリコーン社製、重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gと酢酸エチル203gとを混合し、混合液をモレキュラーシーブ15.2gで、28℃15時間脱水を行った。
上記の脱水2−エチル−2−オキサゾリンの酢酸エチル溶液に硫酸ジエチル0.77g(0.005モル)を加え、窒素雰囲気下8時間、80℃で加熱還流し、末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を合成した。GPCにより測定した数平均分子量は2700であった。
この末端反応性ポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)溶液を、上記の脱水した側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン溶液を一括して加え、10時間、80℃で加熱還流した。
反応混合物を減圧濃縮し、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を白色ゴム状固体(108g)として得た。最終生成物におけるオルガノポリシロキサンセグメントの質量比は0.87、最終生成物の重量平均分子量は115000であった。
【0055】
実施例1〜12及び比較例1〜4
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造し、製造中時の乳化のし易さ、製造直後の外観、ビーカーの内壁への付着状態、塗布直後の肌の仕上がりのマット感及び仕上がりの明るさ、塗布4時間経過後の肌の仕上がりのマット感及び仕上がりの明るさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0056】
(製造方法)
粉体相成分を混合粉砕し、別途混合した油相成分に添加してディスパーで分散した。その後、水相成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料を得た。
【0057】
(評価方法)
(1)製造時の乳化のし易さ:
専門評価者が、粉体相成分を混合粉砕し、別途混合した油相成分に添加してディスパーで分散した後、水相成分を添加するとき、分散時の製造の容易性を、以下の3段階で評価した。
A;水相成分を油相成分中に容易に乳化させることができる。
B;水相成分を油相成分中に乳化させるのに時間がかかる。
C;水相成分を油相成分中に乳化させることが難しい。
【0058】
(2)製造直後の外観:
専門評価者が、前記製造方法で製造した化粧料をビーカーに入れ、直後の化粧料の液面の外観を、以下の3段階で評価した。
A;化粧料の表面が均一で色ムラがない。
B;化粧料の表面に1,2か所色筋が現れる。
C;化粧料の表面にマーブル上の色模様が現れる。
【0059】
(3)ビーカーの内壁への付着状態:
専門評価者が、前記製造方法で製造した化粧料をビーカーに入れ、12時間静置後、ビーカー内の化粧料を別の容器に移した後、ビーカー内に残った化粧料の内壁への付着状態を、以下の3段階で評価した。
A;化粧料が内壁に均一に付着している。
B;化粧料の凝集物が不均一に付着している。
C;化粧料の凝集物が不均一に付着し、ビーカーの底には化粧料の凝集物が沈降している。
【0060】
(4)肌の仕上がりのマット感及び仕上がりの明るさ:
専門評価者5名が、各油中水型乳化化粧料を肌に塗布したとき、塗布直後の肌の仕上がりのマット感及び仕上がりの明るさ、塗布4時間経過後の肌の仕上がりのマット感及び仕上がりの明るさを、以下の基準で官能評価した。結果は、5名の合計点で示した。
【0061】
(4−1)塗布直後の肌の仕上がりのマット感:
5;肌にマット感がある。
4;肌にややマット感がある。
3;どちらとも言えない。
2;肌にあまりマット感がない。
1;肌にマットがない。
【0062】
(4−2)塗布直後の肌の仕上がりの明るさ:
5;肌が顕著に明るく見える。
4;肌が明るく見える。
3;肌がやや明るく見える。
2;肌があまり明るく見えない。
1;肌が明るく見えない。
【0063】
(4−3)塗布4時間経過後の肌の仕上がりのマット感:
5;肌にマット感がある。
4;肌にややマット感がある。
3;どちらとも言えない。
2;肌にあまりマット感がない。
1;肌にマットがない。
【0064】
(4−4)塗布4時間経過後の肌の仕上がりの明るさ:
5;肌が顕著に明るく見える。
4;肌が明るく見える。
3;肌がやや明るく見える。
2;肌があまり明るく見えない。
1;肌が明るく見えない。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例13(下地化粧料)
実施例1〜12と同様にして、表2に示す組成の下地化粧料を製造した。
得られた下地化粧料は、製造時に乳化し易く、粉体が均一に分散し、製造直後の外観が均一で色ムラがなく、また、肌に塗布した後の仕上りは、マット感があり、明るく、しかも、4時間経過後も、その仕上がりが持続する。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例14(リキッドファンデーション)
実施例1〜12と同様にして、表3に示す組成のリキッドファンデーションを製造した。
得られたリキッドファンデーションは、製造時に乳化し易く、粉体が均一に分散し、製造直後の外観が均一で色ムラがなく、また、肌に塗布した後の仕上りは、マット感があり、明るく、しかも、4時間経過後も、その仕上がりが持続する。
【0069】
【表3】