特許第6815086号(P6815086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815086
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】力率改善装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
   H02M7/12 M
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-56584(P2016-56584)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-175694(P2017-175694A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−250471(JP,A)
【文献】 特開2005−328624(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/063869(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0162823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流が入力される第1、第2及び第3入力端(a,b,c)と、
負荷に接続される正極出力端(p)及び負極出力端(n)と、
前記第1、第2及び第3入力端にそれぞれ一端が接続された3つのリアクトル(La,Lb,Lc)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端(D)に印加されるように前記リアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端に前記一端(D)がそれぞれ接続されるとともに前記負極出力端(n)に他端(S)が接続されかつスイッチ制御のための制御端(G)を具備する3つのスイッチング素子(Q1,Q2,Q3)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端に印加されかつ前記スイッチング素子(Q1,Q2,Q3)のオン期間に電流が流れずかつ前記スイッチング素子(Q1,Q2,Q3)のオフ期間に前記正極出力端(p)へ流れる電流をそれぞれ導通可能とする第1、第2及び第3整流手段(D1,D2,D3)と、
前記正極出力端(p)と前記負極出力端(n)の間に接続された平滑コンデンサ(C)と、を有し、
前記3つのスイッチング素子(Q1,Q2,Q3)の制御端が一定のデューティ比をもつ1つの制御信号により制御されることを特徴とする力率改善装置。
【請求項2】
三相交流が入力される第1、第2及び第3入力端(a,b,c)と、
負荷に接続される正極出力端(p)及び負極出力端(n)と、
前記第1、第2及び第3入力端にそれぞれ一端が接続された3つのリアクトル(La,Lb,Lc)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端(D)に印加されるように、第7、第8及び第9の整流手段(D21,D22,D23)の各々を介して前記リアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端に前記一端(D)が接続されるとともに前記負極出力端(n)に他端(S)が接続されかつスイッチ制御のための制御端(G)を具備する1つのスイッチング素子(Q11)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端に印加されかつ前記スイッチング素子(Q11)のオン期間に電流が流れずかつ前記スイッチング素子(Q11)のオフ期間に前記正極出力端(p)へ流れる電流をそれぞれ導通可能とする第1、第2及び第3整流手段(D1,D2,D3)と、
前記正極出力端(p)と前記負極出力端(n)の間に接続された平滑コンデンサ(C)と、を有し、
前記第7、第8及び第9の整流手段(D21,D22,D23)は前記スイッチング素子(Q11)のオン期間に該スイッチング素子(Q11)へ流れる電流を導通可能とし、かつ、
前記1つのスイッチング素子(Q11)の制御端が一定のデューティ比をもつ1つの制御信号により制御されることを特徴とする力率改善装置。
【請求項3】
前記負極出力端(n)から前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々を介して前記第1、第2及び第3入力端(a,b,c)へ還流する電流をそれぞれ導通可能とする第4、第5及び第6整流手段(D4、D5、D6)を有することを特徴とする請求項又はに記載の力率改善装置。
【請求項4】
前記負極出力端(n)から前記第1、第2及び第3入力端(a,b,c)へ直接還流する電流をそれぞれ導通可能とする第4、第5及び第6整流手段(D14、D15、D16)を有することを特徴とする請求項又はに記載の力率改善装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流を直流に変換する力率改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流を直流に変換するコンバータにおいて、入力電圧を昇圧しかつ入力電流を入力電圧と同じ正弦波形とすることで力率改善を行う昇圧コンバータを用いた力率改善装置(PFCとも称される)が知られている。様々な方式が提示されているが、単相及び三相に限らず、概ね交流電圧を整流回路により整流した後に昇圧コンバータが配置されている(特許文献1〜7)。特許文献6、7には、風力発電の交流発電機の三相交流出力に対して昇圧と力率改善を行う装置が記載されている。
【0003】
従来の昇圧コンバータ型の力率改善装置においては、スイッチ制御においてPWM処理等を用いた複雑な波形の制御信号が生成されており、複数のスイッチング素子に異なる制御信号を与えたり、各スイッチング素子のスイッチタイミングをずらしたりするなど、複雑な制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−31150号公報
【特許文献2】特開平8−331860号公報
【特許文献3】特開2002−10632号公報
【特許文献4】特開2005−218224号公報
【特許文献5】特開2007−37297号公報
【特許文献6】特開2013−128379号公報
【特許文献7】特開2014−23286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自然エネルギーを利用した風力発電等の交流発電機は出力変動が大きいこともあって、その力率改善装置における昇圧コンバータのスイッチ制御においては、最適な電力を取り出すために特に複雑な制御が行われている。例えば、入力電圧・電流及び出力電圧・電流を常時モニタリングすることにより出力電圧や出力電力を目標値に追随させる制御や、山登り法による最大電力点追従(MPPT)制御等がある。
【0006】
しかしながら、出力変動の大きい交流発電機に対して複雑な制御を含む力率改善装置を適用することは、動作の安定性や信頼性が保証され難くなる。従って、特に自然エネルギー利用分野における交流発電機の力率改善装置においては、簡易な構成と制御が望ましいといえる。
【0007】
以上の問題点に鑑み本発明は、三相交流が入力される力率改善装置において、簡易な構成と制御により確実な力率改善と安定した電力変換を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の符号は後述する図面中の符号であり、参考のために付するものである。
【0009】
本発明の力率改善装置の態様は、三相交流が入力される第1、第2及び第3入力端(a,b,c)と、
負荷に接続される正極出力端(p)及び負極出力端(n)と、
前記第1、第2及び第3入力端にそれぞれ一端が接続された3つのリアクトル(La,Lb,Lc)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端(D)に印加されるように前記リアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端に前記一端(D)がそれぞれ接続されるとともに前記負極出力端(n)に他端(S)が接続されかつスイッチ制御のための制御端(G)を具備する3つのスイッチング素子(Q1,Q2,Q3)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端に印加されかつ前記スイッチング素子(Q1,Q2,Q3)のオン期間に電流が流れずかつ前記スイッチング素子(Q1,Q2,Q3)のオフ期間に前記正極出力端(p)へ流れる電流をそれぞれ導通可能とする第1、第2及び第3整流手段(D1,D2,D3)と、
前記正極出力端(p)と前記負極出力端(n)の間に接続された平滑コンデンサ(C)と、を有し、
前記3つのスイッチング素子(Q1,Q2,Q3)の制御端が一定のデューティ比をもつ1つの制御信号により制御されることを特徴とする。
【0010】
本発明の力率改善装置の別の態様は、三相交流が入力される第1、第2及び第3入力端(a,b,c)と、
負荷に接続される正極出力端(p)及び負極出力端(n)と、
前記第1、第2及び第3入力端にそれぞれ一端が接続された3つのリアクトル(La,Lb,Lc)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端(D)に印加されるように、第7、第8及び第9の整流手段(D21,D22,D23)の各々を介して前記リアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端に前記一端(D)が接続されるとともに前記負極出力端(n)に他端(S)が接続されかつスイッチ制御のための制御端(G)を具備する1つのスイッチング素子(Q11)と、
前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々の他端の電圧が一端に印加されかつ前記スイッチング素子(Q11)のオン期間に電流が流れずかつ前記スイッチング素子(Q11)のオフ期間に前記正極出力端(p)へ流れる電流をそれぞれ導通可能とする第1、第2及び第3整流手段(D1,D2,D3)と、
前記正極出力端(p)と前記負極出力端(n)の間に接続された平滑コンデンサ(C)と、を有し、
前記第7、第8及び第9の整流手段(D21,D22,D23)は前記スイッチング素子(Q11)のオン期間に該スイッチング素子(Q11)へ流れる電流を導通可能とし、かつ、
前記1つのスイッチング素子(Q11)の制御端が一定のデューティ比をもつ1つの制御信号により制御されることを特徴とする。
上記態様において、前記負極出力端(n)から前記3つのリアクトル(La,Lb,Lc)の各々を介して前記第1、第2及び第3入力端(a,b,c)へ還流する電流をそれぞれ導通可能とする第4、第5及び第6整流手段(D4、D5、D6)を有することができる。
上記態様において、前記負極出力端(n)から前記第1、第2及び第3入力端(a,b,c)へ直接還流する電流をそれぞれ導通可能とする第4、第5及び第6整流手段(D14、D15、D16)を有することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、三相交流を入力され昇圧と力率改善を行う力率改善装置において、簡易な構成と制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の力率改善装置の第1の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
図2図2は、図1に示した回路構成の各所の電流又は電圧の時間変化である動作波形を模式的に示す図である。
図3図3は、図1に示した回路構成の各所の電流又は電圧の時間変化である動作波形を模式的に示す図である。
図4A図4Aは、図1に示した回路構成のaモードにおける電流の流れを示す図である。
図4B図4Bは、図1に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。
図4C図4Cは、図1に示した回路構成のcモードにおける電流の流れを示す図である。
図5図5は、本発明の力率改善装置の第2の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
図6図6は、図5に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。
図7図7は、本発明の率改善装置の第3の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
図8図8は、図7に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。
図9図9は、本発明の力率改善装置の第4の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
図10図10は、図9に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。aモード、cモードは図示しないが同様である。
図11図11は、図1に示した回路構成における制御部の構成例を概略的に示した図である。
図12図12は、力率改善装置の入力電圧と出力電圧の関係を、基本的な昇圧コンバータの特性を用いて模式的に示したグラフである。
図13図11は、風力発電における風速と、交流発電機の出力電圧と出力電力の関係を示す公知のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明による力率改善装置の実施形態について説明する。本発明の力率改善装置は、三相交流入力のみでなく、単相交流入力及び直流入力に対しても動作するが、以下では、好適である三相交流入力を例として本発明の実施形態を説明する。各図において、同一又は類似の構成要素については同一又は類似の符号で示している。
【0014】
例えば風力発電の交流発電機は、永久磁石であるロータとY結線された三相のステータコイルを備えている。交流発電機の軸は風車の軸と適宜のギアを介して連結されている。風車の回転数は風速に比例し、交流発電機の回転数は風車の回転数に比例する。風車が回転し交流発電機の軸が回転すると、三相のステータコイルから三相交流が出力される。交流発電機の出力電圧は、発電機回転数に比例する。
【0015】
本発明の力率改善装置は、上記のような交流発電機の出力を入力とし、負荷に対して直流を出力するものである。力率改善装置は、三相交流電力を直流電力に変換する電力変換装置でもある。力率改善装置は、入力電流の波形を入力電圧と同じ正弦波の波形としかつ位相を一致させて力率を1とすることを目的とする。力率改善装置は降圧コンバータでも可能であるが、本発明の力率改善装置は、昇圧コンバータ型の力率改善装置である。負荷は、各種機器、インバータ(系統連系インバータを含む)等である。
【0016】
(1)第1の実施形態
<第1の実施形態の構成>
図1は、本発明の力率改善装置の第1の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
入力側には三相交流が入力される3つの端子である第1入力端a、第2入力端b、及び第3入力端cがある。三相交流の各相が各入力端からそれぞれ入力される。本明細書では、三相交流の各相をa相、b相、c相と称することとする。各相の位相は2π/3(120°)ずつ異なっている。
【0017】
出力側には直流が出力される2つの端子である正極出力端pと負極出力端nがある。正極出力端pと負極出力端nの間に接続された負荷に出力電圧Voが印加され、正極出力端pから負極出力端nへと負荷を通して出力電流Ioが流れる。説明を簡単とするために抵抗負荷を想定するが、適用対象は抵抗負荷に限られない。
【0018】
3つのリアクトルLa、Lb、Lcがそれぞれ三相交流の各入力端に接続される。すなわち、第1入力端aにはリアクトルLaの一端が、第2入力端bにはリアクトルLbの一端が、第3入力端cにはリアクトルLcの一端が接続される。リアクトルLa、Lb、Lcは、インダクタンスLが等しいものを用いる。3つのリアクトルLa、Lb、Lcは、三相リアクトルにより構成することが好適である。
【0019】
3つのリアクトルLa、Lb、Lcの各々の他端には、3つのスイッチング素子Q1の各々の一端が接続されている。従って、各スイッチング素子Q1、Q2、Q3の一端には各リアクトルLa、Lb、Lcの他端の電位がそれぞれ印加される。スイッチング素子Q1、Q2、Q3の他端は、負極出力端nにそれぞれ接続されている。さらにスイッチング素子Q1、Q2、Q3は、オンオフを制御するための制御端をそれぞれ具備し、各制御端は共通する1つの制御信号csにより制御される。すなわち、3つのスイッチング素子Q1、Q2、Q3に対しては、常に同時にオンオフするスイッチ制御が行われる。図示の例では、スイッチング素子Q1、Q2、Q3がnチャネル形MOSFET(以下FETQ1、Q2、Q3と称する)であり、一端がドレイン、他端がソース、制御端がゲートGである。MOSFETはpチャネル形でもよい。
【0020】
さらに3つのリアクトルLa、Lb、Lcの各々の他端に3つの整流手段D1、D2、D3の各々の一端が接続され、整流手段D1、D2、D3の他端は正極出力端pに接続されている。各整流手段D1、D2、D3の一端には各リアクトルLa、Lb、Lcの他端の電位がそれぞれ印加される。各整流手段D1、D2、D3は、各リアクトルLa、Lb、Lcから正極出力端pへそれぞれ流れる電流を導通可能とする。整流手段D1、D2、D3、昇圧コンバータの出力ダイオードであり、一般的なダイオード(以下出力ダイオードD1、D2、D3と称する)でよい。なお「整流手段」には、専ら整流作用を行う整流素子の他に、整流素子と同様に動作するように構成された他の半導体素子又は素子の一部も含むものとする。
【0021】
さらに負極出力端nからリアクトルLa、Lb、Lcの各々の他端へとそれぞれ流れる電流を導通可能とする整流手段D4、D5、D6が接続されている。これらの整流手段D4、D5、D6は、負極出力端nからリアクトルLa、Lb、Lcの各々を介して第1、第2及び第3入力端a、b、cの各々へと電流を還流させるためのものである。
【0022】
整流手段D4、D5、D6は、MOSFETであるFETQ1、Q2、Q3の各々の寄生ダイオードによっても同じ機能を果たすことができるので、この場合は外付けの整流手段が無くてもよい。しかしながら、MOSFETであっても、順方向電圧の低い整流素子を外付けして優先的な電流路を設けてもよい。なお、スイッチング素子Q1、Q2、Q3がMOSFET以外である場合、例えばIGBTやバイポーラトランジスタの場合は、外付けの整流手段が必要である。外付けの整流手段は、スイッチング素子の主電流に対して逆並列に接続する。整流手段D4、D5、D6は一般的なダイオード(以下還流ダイオードD4、D5、D6と称する)でよい。
【0023】
さらに、正極出力端pと負極出力端nの間に接続された平滑コンデンサCを有する。
【0024】
さらに、制御部1を有する。制御部1は、三相交流である入力電圧Viを検出する手段を少なくとも有し、必要に応じて直流である出力電圧Voを検出する手段を有する。さらに、検出されたそれらの電圧を基に対応する制御信号csを生成する手段を有する。本発明における制御信号csは、一定のデューティ比をもつ所定の周波数のパルス波である。
【0025】
入力電圧Viを検出する手段は、一例として、第1、第2及び第3入力端a、b、cの各々からダイオードD7、D8、D9をそれぞれ介して交流入力電流を整流した電流を取得し、それらを平均化する等の処理を行い、入力電圧Viとする。入力電圧Viは、三相交流入力の実効値、最大値、平均値(絶対値)のいずれでもよく、入力電圧の振幅を評価できるパラメータであればよい。
【0026】
出力電圧Voを検出する手段は、正極出力端pと負極出力端nの間の電圧を取得する。
【0027】
制御信号csを生成する手段は、検出された入力電圧Viに基づいて、又は、検出された入力電圧Vi及び出力電圧Voに基づいて、制御信号csの1つのデューティ比を決定する。デューティ比を決定する具体的方法については、後述する制御例において説明する。さらに、決定された1つのデューティ比を基に実際の制御信号csを生成する。例えば決定されたデューティ比に対応する直流信号と搬送三角波信号を比較器に入力することにより一定のデューティ比をもつパルス状の制御信号csを出力する。本発明では、このような制御信号csを「一定のデューティ比をもつ」制御信号と称している。
【0028】
<第1の実施形態の動作>
図2及び図3は、図1に示した回路構成の各所の電流又は電圧の時間変化である動作波形を模式的に示す図である。
【0029】
図2(a)は三相交流の各相の入力電圧の時間変化を示す図である。各相の電圧をva、vb、vcで示す。各相の電圧は中性点(Y字結線の中心)を基準電位としている。第1、第2、第3入力端a、b、cの電位のうち最低電位の軌跡を図2(a)に太線で示す。このように120°毎に最低電位となる相が順に入れ替わっている。以下、最低電位となる相の名称をとって各モードを「aモード」、「bモード」、「cモード」と称する。
【0030】
図2(b)は、入力電圧Viの一例を示したものである。例えば、三相交流を半端整流した電圧(点線)を平均化したものである。
【0031】
図2(c)(d)(e)は、三相交流入力によりリアクトルLa、Lb、Lcの一端にそれぞれ印加される電圧v(La)、v(Lb)、v(Lc)を示した図である。この場合の各電圧は、図2(a)に示した最低電位の軌跡ラインを基準電位として示している。従って、各モードにおいては、最低電位の相の電圧は零となり、他の2相にそれぞれ最低電位の相との間の線間電圧が印加されることになる。
【0032】
図2(c)(d)(e)において、aモードの区間では、リアクトルLaの電圧v(La)は零であり、リアクトルLbの電圧v(Lb)は第2入力端bと第1入力端aの線間電圧vbaであり、リアクトルLcの電圧v(Lc)は第3入力端cと第1入力端aの線間電圧vcaである。
【0033】
図2(c)(d)(e)において、bモードの区間では、リアクトルLaの電圧v(La)は第1入力端aと第2入力端bの線間電圧vabであり、リアクトルLbの電圧v(Lb)は零であり、リアクトルLcの電圧v(Lc)は第3入力端cと第2入力端bの線間電圧vcbである。
【0034】
図2(c)(d)(e)において、cモードの区間では、リアクトルLaの電圧v(La)は第1入力端aと第3入力端cの線間電圧vacであり、リアクトルLbの電圧v(Lb)は第2入力端bと第3入力端cの線間電圧vbcであり、リアクトルLcの電圧v(Lc)は零である。
【0035】
図2(f)は、出力電圧Voの一例を示したものである。平滑コンデンサCの作用によりほぼ直流となる(リップルは無視している)。
【0036】
図3(a)は、制御部1から各FETのゲートGに送信される制御信号csを示している。制御信号csは、周波数が数kHz〜数百kHzであり、制御部1において一定のデューティ比が決定され、それを基に生成されたものである。なお、三相交流入力の周波数は、制御信号csに比べて十分に低く、例えば風力発電の交流発電機の場合、数Hz〜100Hz程度である。
【0037】
図3(b)と(c)、図3(d)と(e)、図3(f)と(g)は、それぞれ図2(c)(d)(e)に示した各リアクトルLa、Lb、Lcの入力電圧波形と、各リアクトルに流れる入力電流波形を対比させて示したものである。各リアクトルに流れる入力電流波形は、昇圧コンバータの動作により入力電圧波形と位相が一致した正弦波となる。図示の例では、昇圧コンバータが連続モードで動作する場合を示しているが不連続モード又は臨海モードでもよい。これにより力率が1となり力率改善される。
【0038】
図3(h)は、負荷に流れる出力電流Ioの一例を示したものである。平滑コンデンサCの作用によりほぼ直流となる(リップルは無視している)。
【0039】
以下、図4A図4B及び図4Cを参照して図1の回路構成における昇圧コンバータの動作について説明する。これらの図では、図1の回路構成の一部を省略して示している。電流の流れは、矢印を付けた点線で概略的に示す。
【0040】
図4Aは、図1に示した回路構成のaモードにおける電流の流れを示す図である。
【0041】
図4A(a)は制御信号csがオンのときを示す。FETQ1、FETQ2、FETQ3がいずれもオンとなりスイッチが閉じる。
リアクトルLbには線間電圧vbaにより入力電流ibaが流れ、その経路は次の通りである。
・リアクトルLb→FETQ2→FETQ1(又は還流ダイオードD4)→リアクトルLa
またリアクトルLcには線間電圧vcaにより入力電流icaが流れ、その経路は次の通りである。
・リアクトルLc→FETQ3→FETQ1(又は還流ダイオードD4)→リアクトルLa
【0042】
このオン期間にリアクトルLb及びLcに磁気エネルギーが蓄積される。この間、負荷には平滑コンデンサCから放電電流が流れる。なおこの時点では、平滑コンデンサCは既に定常状態にあり、入力電圧Viより高い電圧Voで充電されているものとする。
【0043】
図4A(b)は制御信号csがオフのときを示す。FETQ1、FETQ2、FETQ3がいずれもオフとなりスイッチが開く。
リアクトルLbの電流維持作用により出力ダイオードD2を通して入力電流ibaが流れ、その経路は次の通りである。
・リアクトルLb→出力ダイオードD2→負荷→還流ダイオードD4→リアクトルLa
またリアクトルLcの電流維持作用により出力ダイオードD3を通して入力電流icaが流れ、その経路は次の通りである。
・リアクトルLc→出力ダイオードD3→負荷→還流ダイオードD4→リアクトルLa
【0044】
オフ期間に入力電流が流れることにより、リアクトルLb、Lcに蓄積された磁気エネルギーは放出される。なお、オフ期間の入力電流の一部は平滑コンデンサCに充電電流として流れる。
【0045】
図4A(c)は、制御信号csの一周期の波形と入力電流iba及びicaの波形を模式的に示している。デューティ比αは、一周期の長さTに対するオン時間の長さTonの比で表される。よって0<α<1である。入力電流ibaは、オン時間の間は時間に比例して増加し続け、オフ時間になると減少していく。一周期における入力電流ibaの平均値をIbaとし、線間電圧vbaの瞬時値(一周期の開始時の値)をVbaとし、リアクトルLbのインダクタンスをLとすると、
Iba=Vba/Lω (ωは制御信号csの周波数)
となる。この式は、入力電流が入力電圧と同位相の正弦波となることを示している。よって、力率は1となり力率改善される。入力電流icaについても同様である。
【0046】
図4Aに示したように、aモードでの入力電流は、リアクトルLbとLcを流れる電流ibaと電流icaの和であり、この電流が負荷を流れ、リアクトルLaを通して三相交流電源に還流する。
【0047】
ここで、リアクトルLa、Lb、Lcは、三相リアクトルとすることが好適である。例えばaモードにおいて、リアクトルLbとLcを流れる入力電流と、リアクトルLaを流れる還流電流とは互いにコアの磁束を強め合う方向に流れる。このことは、リアクトルのインダクタンスLで決まる磁気エネルギーの蓄積可能範囲(磁気飽和しない範囲)を無駄なく広く利用できることを意味する。但し、その一方で磁束を強め合うことから、磁気飽和しやすい点に配慮が必要となる。
【0048】
図4Bは、図1に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。(a)は制御信号csがオンのときを示し、(b)はオフのときを示す。
オン期間の電流の流れは次の通りである。
・リアクトルLa→FETQ1→FETQ2(又は還流ダイオードD5)→リアクトルLb
・リアクトルLc→FETQ3→FETQ2(又は還流ダイオードD5)→リアクトルLb
【0049】
オフ期間の電流の流れは次の通りである。
・リアクトルLa→出力ダイオードD1→負荷→還流ダイオードD5→リアクトルLb
・リアクトルLc→出力ダイオードD3→負荷→還流ダイオードD5→リアクトルLb
【0050】
図4Cは、図1に示した回路構成のcモードにおける電流の流れを示す図である。
(a)は制御信号csがオンのときを示し、(b)はオフのときを示す。
オン期間の電流の流れは次の通りである。
・リアクトルLa→FETQ1→FETQ3(又は還流ダイオードD6)→リアクトルLc
・リアクトルLb→FETQ2→FETQ3(又は還流ダイオードD6)→リアクトルLc
【0051】
オフ期間の電流の流れは次の通りである。
・リアクトルLa→出力ダイオードD1→負荷→還流ダイオードD6→リアクトルLc
・リアクトルLb→出力ダイオードD2→負荷→還流ダイオードD6→リアクトルLc
【0052】
(2)第2の実施形態
図5は、本発明の力率改善装置の第2の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
上述した第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0053】
第2の実施形態では、図1の第1の実施形態における還流ダイオードD4、D5、D6に替えて還流ダイオードD14、D15、D16を有する。還流ダイオードD14、D15、D16は、アノードが負極出力端nに接続され、各々のカソードがリアクトルLa、Lb、Lcの各々の一端すなわち第1、第2、第3入力端a、b、cに接続されている。
【0054】
図6は、図5に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。aモード、cモードは図示しないが同様である。
【0055】
図6(a)は制御信号のオン期間、(b)は制御信号のオフ期間を示している。第2の実施形態では、負極出力端nからの還流電流は、リアクトルLa、Lb、Lcを介さずに還流ダイオードD14、D15、D16により直接、第1、第2、第3入力端a、b、cにそれぞれ流れ、三相交流電源に戻される。これにより、第1の実施形態に比べてリアクトルLa、Lb、Lcに流れる電流が減少するのでリアクトルが磁気飽和し難くなる。
【0056】
(3)第3の実施形態
図7は、本発明の力率改善装置の第3の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
上述した第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
【0057】
第3の実施形態では、図1の第1の実施形態における3つのスイッチング素子Q1〜Q3が1つのスイッチング素子Q11にまとめられている。本発明では、三相交流入力の各相に対する昇圧コンバータのスイッチ制御が、共通する1つの制御信号により行われるので、スイッチング素子を1つにまとめることができる。これによりスイッチング素子のコストを低減できる。図示の例では、nチャネル形MOSFETを用いているが、pチャネル形でもよく、他のスイッチング素子でもよい。
【0058】
リアクトルLa、Lb、Lcの各々の他端に対して3つのダイオードD21、D22、D23のアノードをそれぞれ接続し、カソードをFETQ11のドレインに接続している。ダイオードD21、D22、D23は、オン期間の入力電流に対して順方向に接続されている。FETQ11のソースは、負極出力端nに接続されている。還流ダイオードD4、D5、D6は、第1の実施形態と同様にアノードが負極出力端nに接続され、各々のカソードはリアクトルLa、Lb、Lcの他端にそれぞれ接続されている。
【0059】
図8は、図7に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。aモード、cモードは図示しないが同様である。
図8(a)は制御信号のオン期間、(b)は制御信号のオフ期間を示している。第3の実施形態では、FETQ11がMOSFETであっても還流ダイオードD4、D5、D6が必要である。
【0060】
(4)第4の実施形態
図9は、本発明の力率改善装置の第4の実施形態の回路構成を概略的に示した図である。
第4の実施形態は、第3の実施形態に示した1つのスイッチング素子Q11により昇圧コンバータのスイッチ制御を行う構成において、第2の実施形態に示した還流ダイオードD14、D15、D16を採用した形態である。
【0061】
図10は、図9に示した回路構成のbモードにおける電流の流れを示す図である。aモード、cモードは図示しないが同様である。
【0062】
図10(a)は制御信号のオン時、(b)は制御信号のオフ時を示している。第4の実施形態では、FETQ1、FETQ2、FETQ3のオン時及びオフ時において、負極出力端nからの還流電流は、リアクトルLa、Lb、Lcを介さずに還流ダイオードD14、D15、D16により直接、三相交流電源に戻される。これにより、第3の実施形態に比べてリアクトルLa、Lb、Lcに流れる電流が減少するのでリアクトルが磁気飽和し難くなる。
【0063】
(6)力率改善装置における制御方法
本発明の力率改善装置における制御方法の特徴は、昇圧コンバータのスイッチ制御において、三相交流の各相の入力電圧に対し一定のデューティ比をもつ1つの制御信号のみを用いて制御することである。すなわち、全ての相に対し同じタイミングでオンオフを行い、オン時間とオフ時間が一定ということである。従って、制御部は、デューティ比のみを決定すればよい。
【0064】
従来の三相交流に対する力率改善装置の昇圧コンバータにおいては、PWM処理によりデューティ比が変化する制御信号を与えたり、各相に対して異なるタイミングでスイッチ制御を行ったりするものが多かった。本発明の制御方法は、これらに比べて極めて簡易である。
【0065】
また、デューティ比を決定する方法は、1つに限られず目的に応じて多様な決定方法が可能である。また、デューティ比を決定するために検出するパラメータは、入力電圧Viのみでもよい。別の例では、入力電圧Viに加えて出力電圧Voを検出する。本発明の力率改善装置では、検出された1つ又は2つのパラメータを基に多様な制御を行うことができる。
【0066】
図11は、図1に示した回路構成における制御部1の構成例を概略的に示した図である。
図11(a)は、入力電圧Viのみを検出して制御を行う場合の構成例を示す。この場合、入力電圧Viと出力電圧Voの特定の関係を示すVi−Vo特性11が予め設定されているものとする。Vi−Vo特性11は、交流発電機及び負荷の特性を勘案し、目的に応じて設定する。あるいは、デューティ比を変化させて入力電圧Viと出力電圧Voの関係を計測し、計測結果に基づいて設定してもよい。設定されたVi−Vo特性11のデータは、例えば記憶部に記憶されている。このような記憶部は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等のプロセッサとともに設けることができる。
【0067】
Vo決定部12では、検出された入力電圧Viに基づいてVi−Vo特性11から対応する出力電圧Voを決定する。デューティ比決定部13では、決定した出力電圧Voとなるようにデューティ比13を決定する。制御信号発生部14は、決定されたデューティ比を基に制御信号csを生成する。このような処理は、DSP等のプロセッサを用いてプログラムによって行うことができ、また、プロセッサとアナログ回路の組合せによっても可能である(図11(b)も同様)。
【0068】
図11(b)は、入力電圧Viと出力電圧Voを検出して制御を行う場合の構成例を示す。この場合もVi−Vo特性11が予め設定されているものとする。Vref決定部15では、検出された入力電圧Viに基づいてVi−Vo特性11から対応する基準出力電圧Vrefを決定する。誤差検出器16では、基準出力電圧Vrefと検出された出力電圧Voとを比較し誤差に対応する出力値を出力する。デューティ比決定部13は、誤差検出器16の出力に応じてデューティ比を決定する。制御信号発生部14は、決定されたデューティ比を基に制御信号csを生成する。この場合、出力電圧Voはフィードバック制御されることになる。
【0069】
図12は、図11に示したVi−Vo特性と、デューティ比決定方法の原理を説明するための図である。縦軸と横軸の数値の単位は任意である。基本的に、昇圧コンバータの入力電圧Viと出力電圧Voは、スイッチ制御におけるデューティ比αと次の関係がある。
Vo=Vi/(1−α) (0<α<1)
図12のグラフでは、0と1の間の幾つかのデューティ比αの値について、αが一定のときの入力電圧Viと出力電圧Voの関係を示す一次関数の直線を例示している。図12のグラフ中の両矢印付きの太い直線C1〜C3及び曲線C4は、制御部において予め設定されるVi−Vo特性の例を示している。
【0070】
直線C1のVi−Vo特性は、入力電圧Viが比較的小さい範囲でデューティ比αを0.1に固定することを示している。例えば、風力発電において交流発電機の出力電圧がカットイン電圧Viに到達した後から所定の値に達するまでの間、直線C1に沿って変化させる。風力発電の場合、発電開始後の発電電力が低い間は大きな電力を取り出さないように制御することが望ましいため、このような制御は有効である。
【0071】
直線C2のVi−Vo特性は、入力電圧Viが変化しても出力電圧Voを一定値に維持するようにデューティ比を0.9>α>0.33の間で変化させることを示している。図11(b)に示したように、Vrefを一定値としてフィードバック制御を行ってもよい。
【0072】
直線C3のVi−Vo特性は、入力電圧Viと出力電圧Voが所定の傾きをもった一次関数で変化するように、入力電圧Viに応じてデューティ比を0.1<α<0.6の間で変化させることを示している。
【0073】
曲線C4のVi−Vo特性は、入力電圧Viに応じて出力電圧Voが所定の三乗曲線に沿って変化するように、デューティ比を0.1<α<0.6の間で変化させることを示している。曲線C4は、後述する図13に示す風力発電の交流発電機の所定の三乗曲線に倣って変化してもよい。例えば最大電力点が得られる三乗曲線と同じ比例定数をもつ曲線とする。
【0074】
図13は、風力発電における風速と、交流発電機の出力電圧と出力電力Piの関係を示す公知のグラフである。本発明による力率改善装置は、特に風力発電の交流発電機の出力に対して好適に適用されるので、風力発電の交流発電機の特性について簡単に説明する。
【0075】
交流発電機の出力電圧は本発明の力率改善装置の入力電圧Viに相当するので図13では横軸をViとしている。風速wが一定であるとき、電圧Viと電力Piは1つのピーク(最大電力点MMP)をもつ曲線に沿って変化する。交流発電機が一定の制御特性を有するとき、電圧Viと電力Piには次の三乗曲線の関係があることが知られている。
Pi=kVi
kは交流発電機の一定の制御特性により決まる比例定数である。交流発電機の制御特性を変化させると比例定数kの異なる三乗曲線Pi−1やPi−2となる。例えば最大電力点MMPの軌跡に沿った三乗曲線の比例定数をk−MMPとすると、最大電力Pi−MMPを得るときのViとの関係式は次のようになる。
Pi−MMP=k−MMPVi
【0076】
風力発電では、一定風速以上になると発電を開始するカットイン風速が設定されている。例えば、力率改善装置の制御部においてカットイン風速に対応する入力電圧Vi0を予め設定しておく。そして検出したViがVi0に到達するまでは、力率改善装置による制御を停止状態とするか負荷を切り離しておく。そして、検出した入力電圧Viが、カットイン電圧Vi0に達したときに力率改善装置による負荷に対する電力供給を開始する。
【0077】
また、図12の曲線C4のように、力率改善装置の制御部におけるVi−Vo特性を、交流発電機の出力特性の曲線に合致するように設定してもよい。
【符号の説明】
【0078】
a、b、c 入力端
p 正極出力端
n 負極出力端
La、Lb、Lc リアクトル
Q1、Q2、Q3、Q11 スイッチング素子(FET)
D1、D2、D3 整流手段(出力ダイオード)
D7、D8、D9 整流手段
D4、D5、D6、D14、D15、D16 整流手段(還流ダイオード)
D21、D22、D23 整流手段
C 平滑コンデンサ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13