(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1、第2、第3インクを塗布する工程において、塗布された前記第1インクと前記第2インクとが、前記第1列バンク上に乗り上げて互いに接触するように、前記第1インク及び前記第2インクを塗布する
請求項8または9に記載の表示パネルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪本開示の一態様の概要≫
本開示の一態様に係る表示パネルは、基板と、前記基板上に、第1方向に間隙をあけて順に配された第1、第2、第3下部電極と、前記基板上であって、前記第1、第2下部電極の間隙に配され、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1列バンクと、前記基板上であって、前記第2、第3下部電極の間隙に配され、前記第2方向に延びる第2列バンクと、前記第1、第2、第3下部電極の上方にそれぞれ配された、第1、第2、第3有機発光層と、前記第1、第2、第3有機発光層及び前記第1、第2列バンクの上方に配された上部電極とを備え、前記第1有機発光層は、第1有機発光材料を含み、前記第2有機発光層は、前記第1有機発光材料と発光色が同じである第2有機発光材料を含み、前記第3有機発光層は、前記第1有機発光材料と発光色が異なる第3有機発光材料を含み、前記第1有機発光層を形成するための前記第1有機発光材料を含む第1インクが、前記第1下部電極の上方に塗布され、前記第2有機発光層を形成するための前記第2有機発光材料を含む第2インクが、前記第2下部電極の上方に塗布され、前記第3有機発光層を形成するための前記第3有機発光材料を含む第3インクが、前記第3下部電極の上方に塗布された場合に、前記第1列バンクが、前記第1インクと前記第2インクとを分離するインク分離能は、前記第2列バンクが、前記第2インクと前記第3インクとを分離するインク分離能よりも低く、前記インク分離能は、前記第1、第2列バンクの高さ、又は、前記第1、第2列バンクの前記第1、第2、第3インクに対する撥液性に基づくこととする。
【0016】
本開示の一態様に係る表示パネルによると、上記表示パネルは、第1列バンクのインク分離能が第2列バンクのインク分離能よりも低い。
言い換えると、第1、第2、第3インクがそれぞれ塗布された場合に、第1、第2インクが第1列バンクに乗り上げる可能性よりも、第2、第3インクが第2列バンクに乗り上げる可能性の方が低い。さらに言い換えると、第1、第2インク同士が接触する可能性よりも、第2、第3インク同士が接触する可能性の方が低い。ここで、第2インクに含まれる第2有機発光材料と第3インクに含まれる第3有機発光材料とは、発光色が異なるので、接触すると混色が発生することとなる。一方、第1インクに含まれる第1有機発光材料と第2インクに含まれる第2有機発光材料とは、発光色が同じであるので、接触しても混色が生じない。これにより、表示パネル全体として混色の発生を抑制することができる。
【0017】
また、第1列バンクの両側に配される第1インク及び第2インクの塗布量が、意図せずばらついたとしても、塗布された第1インク及び第2インクが第1列バンクに乗り上げて接触しやすいため、完成後の第1、第2有機発光層の膜厚のばらつきを抑制することができる。
そして、インク分離能は、第1列バンク、第2列バンクの高さか、または、第1列バンク、第2列バンクの第1、第2、第3インクに対する撥液性に基づく。
【0018】
これにより、第1、第2列バンクの幅を広げなくてもインク分離能を調節することができるため、開口率を低下させることなく混色の発生及び膜厚のばらつきを抑制することができる。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記インク分離能は、前記第1、第2列バンクの高さに基づき、前記第1列バンクの高さは、前記第2列バンクの高さよりも低くてもよい。
【0019】
第1列バンクの高さが第2列バンクの高さよりも低いので、第1列バンクの両側に塗布される第1インク及び第2インクは、第1列バンクに乗り上げて互いに接触しやすい。言い換えると、第1列バンクは第2列バンクよりもインク分離能が低い。このように、列バンクの高さを変えることにより、バンク幅を広げることなくインク分離能を変えることができるので、開口率を低下させることなく、混色の発生及び膜厚のばらつきを抑制することができる。
【0020】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記インク分離能は、前記第1、第2列バンクの前記第1、第2、第3インクに対する撥液性に基づき、前記第1列バンクの前記第1インク及び前記第2インクに対する撥液性は、前記第2バンクの前記第2インク及び前記第3インクに対する撥液性よりも低くてもよい。
第1列バンクの撥液性が第2列バンクの撥液性よりも低いので、第1列バンクの両側に塗布される第1インク及び第2インクは、第1列バンクに乗り上げて互いに接触しやすい。言い換えると、第1列バンクは第2列バンクよりもインク分離能が低い。このように、列バンクの撥液性を変えることにより、バンク幅を広げることなくインク分離能を変えることができるので、開口率を低下させることなく、混色の発生及び膜厚のばらつきを抑制することができる。
【0021】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1有機発光層及び前記第2有機発光層は、それぞれ前記第1列バンクに乗り上げて互いに接触していてもよい。
これは、第1インク及び第2インクが塗布された際に、第1インク及び第2インクが第1列バンクに乗り上げて互いに接触したことを示すものであって、これにより、第1有機発光層及び第2有機発光層の魔窟のばらつきを抑制することができる。
【0022】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2有機発光層の厚みは、前記第3有機発光層の厚みよりも厚くてもよい。
これにより、第1、第2有機発光層の膜厚を確保することができる。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2、第3有機発光層のうちの少なくとも1つは、前記第1方向における幅が異なっていてもよい。
【0023】
これにより、有機発光層の輝度等に基づいて、第1方向における幅を調整することができる。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2、第3有機発光層のうち、最も輝度半減寿命の短いものは、前記第1方向におけるが幅が最も大きくてもよい。
【0024】
これにより、輝度半減寿命が短く、比較的早期に輝度が低下しやすい有機発光層の面積を大きくして、輝度むらの発生を抑制することができる。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2、第3有機発光層のうち、最も輝度半減寿命の長いものは、前記第1方向におけるが幅が最も小さくてもよい。
【0025】
これにより、輝度半減寿命が長く、比較的輝度が低下しにくい有機発光層の面積を小さくして、輝度むらの発生を抑制することができる。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板上に、第1方向に順に間隙をあけて第1、第2、第3下部電極を配する工程と、前記第1、第2下部電極の間隙に第1列バンクを形成し、前記第2、第3下部電極の間隙に第2列バンクを形成する工程と、前記第1下部電極の上方に、第1有機発光材料を含む第1インクを塗布し、前記第2下部電極の上方に、第2有機発光材料を含む第2インクを塗布し、前記第3下部電極の上方に、第3有機発光材料を含む第3インクを塗布する工程と、前記第1、第2、第3インクを乾燥させて、それぞれ第1、第2、第3有機発光層を形成する工程と、前記第1、第2、第3有機発光層及び前記第1、第2列バンクの上方を覆うように、上部電極を形成する工程とを含み、前記第2有機発光材料の発光色は、前記第1有機発光材料の発光色と同じであり、前記第3有機発光材料の発光色は、前記第1有機発光材料の発光色と異なることとする。
【0026】
これにより、第1インクに含まれる第1有機発光材料と第2インクに含まれる第2有機発光材料の発光色が同じであるので、第1インク及び第2インクをインクジェット法により塗布する際に、インク液滴の着弾位置がずれても、混色の発生を抑制することができる。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1、第2、第3インクを塗布する工程において、塗布された前記第1インクと前記第2インクとが、前記第1列バンク上に乗り上げて互いに接触するように、前記第1インク及び前記第2インクを塗布してもよい。
【0027】
第1インク及び第2インクの発光色は同一であるので、第1インクと第2インクとが接触しても混色は発生しない。従って、第1インク及び第2インクの塗布量が意図せずにばらついた場合であっても、混色を生じさせることなく、第1有機発光層と第2有機発光層の膜厚のばらつきを抑制することができる。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1列バンクの高さは、前記第2列バンクの高さよりも低くてもよい。
【0028】
第1列バンクの高さが第2列バンクの高さよりも低いので、第1列バンクの両側に塗布される第1インク及び第2インクは、第1列バンクに乗り上げて互いに接触しやすい。言い換えると、第1列バンクは第2列バンクよりもインク分離能が低い。このように、列バンクの高さを変えることにより、バンク幅を広げることなくインク分離能を変えることができるので、開口率を低下させることなく、混色の発生及び膜厚のばらつきを抑制することができる。
【0029】
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1列バンクの前記第1インク及び前記第2インクに対する撥液性は、前記第2バンクの前記第2インク及び前記第3インクに対する撥液性よりも低くてもよい。
第1列バンクの撥液性が第2列バンクの撥液性よりも低いので、第1列バンクの両側に塗布される第1インク及び第2インクは、第1列バンクに乗り上げて互いに接触しやすい。言い換えると、第1列バンクは第2列バンクよりもインク分離能が低い。このように、列バンクの撥液性を変えることにより、バンク幅を広げることなくインク分離能を変えることができるので、開口率を低下させることなく、混色の発生及び膜厚のばらつきを抑制することができる。
【0030】
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1列バンクの前記第1方向における幅は、前記第2列バンクの前記幅よりも狭くてもよい。
第1列バンクの幅を狭くすることにより、開口率を向上させることができる。また、第1列バンクの幅が第2列バンクの幅よりも狭いので、第1列バンクの両側に塗布される第1インク及び第2インクは、第1列バンクに乗り上げて互いに接触しやすい。言い換えると、第1列バンクは第2列バンクよりもインク分離能が低い。このように、列バンクの幅を変えることによりインク分離能を変えて、混色の発生及び膜厚のばらつきを抑制することができる。
【0031】
また、近年、高画質化のために各サブピクセルの微細化が進んでいる。サブピクセルの微細化が進むと、バンクによって区切られた領域が狭くなり、塗布された溶液が少し盛り上がっただけで溢れやすくなるため、溶液を大きく盛り上げて塗布することができない。塗布後の液面の高さが低くなると、単位面積当たりに塗布することができる溶液量が減少し、溶液乾燥後に得られる有機発光層の膜厚が薄くなるため、膜厚の確保が困難になる。
【0032】
これに対し、上記表示パネルの製造方法の特定の局面では、第1列バンクの幅が第2列バンクよりも狭い分、第1、第2、第3有機発光層を形成するための溶液を塗布する面積を大きくすることができ、溶液をより大きく盛り上げて塗布することができる。その結果、単位面積あたりに塗布することができる溶液の量を増加させることができる。
また、第2列バンクの幅よりも第1列バンクの幅が狭いので、第1列バンクの両側に塗布された溶液が、第1列バンクに乗り上げて互いに接触しやすくなる。ここで、上記表示パネルの製造方法の特定の局面では、第1列バンクの片側に塗布された第1有機発光材料を含む第1インクと、もう片側に塗布された第2有機発光材料を含む第2インクは、発光色が同じであるので、互いに接触しても混色が生じない。従って、両側のインクが第1列バンクに乗り上げて接触した場合には、サブピクセル2つ分の領域にわたり、さらに大きく盛り上げてインクを塗布することができるので、単位面積当たりに塗布することができるインクの量をさらに増加させることができる。
【0033】
これにより、サブピクセルの微細化が進んだ場合でも、第1、第2、第3有機発光層の膜厚の確保が容易になる。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第3インクの単位面積当たりに塗布される体積は、前記第1、第2インクの単位面積当たりに塗布される体積よりも少なくてもよい。
【0034】
これにより、サブピクセルの微細化が進んでも、有機発光材料を含むインクの単位面積当たりの体積を多くすることで、有機発光層の膜厚を確保することができる。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第3インクの粘度は、前記第1、第2インクの粘度よりも高くてもよい。
有機発光材料を含むインクの塗布量が同じである場合、粘度が低いインクほど、列バンク上に乗り上げる程度が大きい。比較的粘度が高いインクを第3インクに採用すると、第2列バンクに乗り上げる第3インクの程度が小さいので、隣の第2インクと接触しにくく、混色の発生を抑制することができる。
【0035】
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1、第2、第3インクを塗布する工程は、インクジェット装置から当該第1、第2、第3インクを吐出することにより行われ、前記第3インクのリガメントの長さは、前記第1、第2インクのリガメントの長さよりも短くてもよい。
リガメントが長いほど、有機発光材料を含むインク液滴の着弾位置が、意図せずずれやすい。比較的リガメントが短いインクを第3インクに採用すると、第3インク液滴の着弾位置が比較的ずれにくいため、第3インク液滴が第2列バンクを乗り越えて、第2インクと接触しにくく、混色の発生を抑制することができる。
【0036】
以下、本開示を実施するための形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の図面では、第1方向をX軸方向、第2方向をY軸方向として説明する。
<<実施の形態1>>
1.表示パネル1の構成
<有機発光素子のレイアウト>
図1に、表示パネル1における有機発光素子のレイアウトを示す。
【0037】
表示パネル1は、画像を表示する表示領域1aを有する。表示領域1aには、例えば、赤色光(R)を出射する赤色有機発光素子10R、緑色光(G)を出射する緑色有機発光素子10G、及び青色光(B)を出射する青色有機発光素子10Bが、X軸方向及びY軸方向に配列されている。赤色有機発光素子10R、緑色有機発光素子10G、及び青色有機発光素子10B、(以下、区別の必要のないときには、「有機発光素子10」と称する)は、それぞれサブピクセルに対応して配置されている。各有機発光素子10の形状は、例えば、長方形状である。
【0038】
X軸正方向には、赤色有機発光素子10R、緑色有機発光素子10G、青色有機発光素子10B、青色有機発光素子10B、緑色有機発光素子10G、及び赤色有機発光素子10Rが繰り返し配されている。また、X軸方向に隣り合う赤色有機発光素子10R、緑色有機発光素子10G、及び青色有機発光素子10Bが、1つの画素10Pを構成している。例えば、表示パネル1がフルハイビジョン規格である場合、表示パネル1には、X軸方向に1920画素、Y軸方向に1080画素が行列状に配置される。Y軸方向に隣り合う有機発光素子10の発光色は同じである。
【0039】
<表示パネル1の断面構造>
次に、表示パネル1の断面構造について、
図2の模式断面図を用いて説明する。同図は、
図1の表示パネル1の断面図であり、主にX軸方向に隣り合う2つの画素を示す。
表示パネル1は、基板11と、第1、第2、第3下部電極12a、12b、12c(以下、区別の必要が無い時は、「下部電極12」と称する)と、ホール注入層13と、ホール輸送層14と、赤色有機発光層15R、緑色有機発光層15G、及び青色有機発光層15B(以下、区別の必要が無いときは、「有機発光層15」と称する)と、電子輸送層16と、電子注入層17と、上部電極18と、封止層19と、第1列バンク31、第2列バンク32、及び第3列バンク33(以下、区別の必要が無いときは、「列バンク30」と称する)とを備える。また、この断面図では現れていないが、表示パネル1は、行バンク40も備える。有機発光素子10は、下部電極12から上部電極18までの各層で構成される。表示パネル1は、本実施の形態では、トップエミッション型の表示パネルであり、同図におけるZ軸方向上向きに光が出射される。以下、表示パネル1の各構成部材について説明する。
【0040】
2.表示パネル1の各構成部材
<基板>
基板11は、例えば、ガラス基板上に、TFT層及び層間絶縁層を順に積層して構成される。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを用いることができる。TFT層は、各サブピクセルに複数のトランジスタ素子部を備える。各トランジスタ素子部は、ゲート、ソース、ドレインの3電極、半導体層、及びパッシベーション膜を含む。層間絶縁層の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂などを用いることができる。
【0041】
<下部電極>
下部電極12は、基板11におけるTFT層に電気的に接続されており、陽極として機能する。下部電極12は、X軸方向に間隙をあけるとともに、Y軸方向に間隙をあけて配置されている。X軸方向には、第1下部電極12a、第2下部電極12b、第3下部電極12cが繰り返し配置されている。各下部電極12の形状は、長方形状である。下部電極12のX軸方向における端部は、列バンク30により被覆されている。
【0042】
下部電極12の幅は均一である。以下、本明細書では、「幅」の用語は、X軸方向の寸法を示すものとする。X軸方向に隣り合う第1、第2下部電極12a、12bの間隙21の幅W21、X軸方向に隣り合う第2、第3下部電極12b、12cの間隙22の幅W22、X軸方向に隣り合う第1、第3下部電極12a、12cの間隙23の幅W23は同じである。Y軸方向に隣り合う下部電極12の間隙のY軸方向の寸法は均一である。下部電極12のうち第1列バンク31により被覆されている部分の幅W12a1、W12b1は、下部電極12のうち第2、第3列バンク32、33にそれぞれ被覆されている部分の幅W12b2、W12c2、W12c3、W12a1よりも狭い。そのため、第1列バンク31の幅W31は、第2、第3列バンク32、33の幅W32、W33よりも狭くなる。下部電極12のうち列バンク30に被覆されていない部分の幅は、有機発光素子10の幅に相当する。なお、下部電極12のY軸方向における端部も、行バンク40により被覆されている。
【0043】
下部電極12の材料としては、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料などを用いることができる。表示パネル1がトップエミッション型であるため、下部電極12の表面は、高い光反射性を有することが好ましい。下部電極12の厚みは、例えば、100nm以上1000nm以下である。
<ホール注入層>
ホール注入層13は、下部電極12上、及び基板11上における隣り合う下部電極12の間隙に対応する部分に配置されている。ホール注入層13は、下部電極12からの有機発光層15へのホール注入性を向上させる機能を有する。ホール注入層13の材料としては、金属酸化物などの無機材料を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの金属の酸化物を用いることができる。ホール注入層13の厚みは、例えば、5nm以上100nm以下である。
【0044】
<ホール輸送層>
ホール輸送層14は、ホール注入層13上に配置されている。ホール輸送層14は、下部電極12から注入されたホールを有機発光層15に輸送する機能を有する。ホール輸送層14の材料は、有機材料である。有機材料としては、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物を用いることができる。ホール輸送層14の厚みは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0045】
<有機発光層>
有機発光層15は、ホール輸送層14上に配置されている。各有機発光層15は列バンク30により区切られている。図示していないが、Y軸方向に隣り合う有機発光層15は、行バンク40に乗り上げて互いに接触している。有機発光層15は、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起子が生成され発光する機能を有する。赤色有機発光層15Rは、赤色の有機発光材料を含む。同様に、緑色有機発光層15Gは緑色の有機発光材料を含み、青色有機発光層15Bは青色の有機発光材料を含む。有機発光材料としては、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリパラフェニレンエチレンなどの高分子有機材料を用いることができる。赤色有機発光層15R及び青色有機発光層15Bの厚みは、緑色有機発光層15Gの厚みよりも厚い。有機発光層15の厚みは、例えば、30nm以上200nm以下である。
【0046】
<電子輸送層>
電子輸送層16は、有機発光層15上、列バンク30上、及び行バンク40上の全面に配置されている。電子輸送層16は、上部電極18から注入された電子を有機発光層15へ輸送する機能を有する。電子輸送層16の材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナントロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用いることができる。電子輸送層16の厚みは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0047】
<電子注入層>
電子注入層17は、電子輸送層16上に配置されている。電子注入層17は、上部電極18から有機発光層15への電子注入性を向上する機能を有する。電子注入層の材料としては、例えば、アルカリ金属を含む金属錯体を用いることができる。電子注入層17の厚みは、例えば、5nm以上50nm以下である。
【0048】
<上部電極>
上部電極18は、列バンク30上方及び電子輸送層16上に配置されている。また、図示していないが、上部電極18は、行バンク40上にも配置されている。上部電極18は、負極として機能する。上部電極18の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。表示パネル1はトップエミッション型であるため、上部電極18の材料は、光透過性の材料であることが好ましい。上部電極18の厚みは、例えば、50nm以上500nm以下である。
【0049】
<封止層>
封止層19は、上部電極18上に配置されている。封止層19は、下部電極12から上部電極18までの各層が水分や空気に晒されることを抑制する機能を有する。封止層19の材料としては、例えば、SiN(窒化シリコン)などを用いることができる。
<バンク>
列バンク30は、ホール注入層13上に配置されており、上述のように、X軸方向に隣り合う下部電極12の間隙及び下部電極12の端部を被覆している。列バンク30の高さは均一であり、例えば、1μm以上2μm以下である。ここで、列バンク30の高さは、「基板11の上面から列バンク30の上面までの高さ」を言う。行バンク40の高さも、「基板11の上面から行バンク40の上面までの高さ」を言う。列バンク30はいずれも撥液性を有する。列バンク30の材料としては、フッ素を含むフォトレジストなどを用いることができる。フッ素を含むフォトレジストとして、例えば、PFOA(ペルフルオロオクタン酸アンモニウム塩)を含む材料が挙げられる。
【0050】
第1列バンク31の幅W31は、第2列バンク32の幅W32及び第3列バンク33の幅よりも狭い。第1列バンク31の幅W31は、例えば、5μm以上15μm以下であり、第2列バンク32の幅W32及び第3列バンク33の幅は、例えば、10μm以上30μm以下である。第1列バンク31の幅W31は、第2列バンク32の幅W32及び第3列バンク33の幅の50%程度である。
【0051】
図3に示すように、行バンク40は、ホール注入層13上に配置されており、上述のように、Y軸方向に隣り合う下部電極12の間隙及び下部電極12の端部を被覆している。同図は、便宜上、列バンク30及び行バンク40よりも上の層を取り除いて示してある。第1、第2、第3下部電極12a、12b、12cの組は、Y軸方向に間隙をあけて複数組配され、Y軸方向に隣り合う第1、第2、第3下部電極12a、12b、12cの組の間隙に行バンク40が配されている。行バンク40の高さは、後述する有機発光層の形成時において、Y軸方向に隣り合う行バンク40間の領域に塗布された有機発光材料インクが接触する程度の高さとする。行バンク40の高さは、例えば、0.3μm以上1μm以下である。行バンク40は、比較的低い撥液性を有する。行バンク40の材料としては、親水性のフォトレジストを用いることができる。また、これ以外にも、行バンク40の材料として、無機材料を用いてもよい。無機材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンが挙げられる。
【0052】
3.表示パネル1の製造方法
本実施の形態は列バンクの構造に特徴を有する。以下、表示パネル1の製造方法について、特に、行バンク及び列バンクの形成工程について、重点的に
図4〜
図6の一部切り欠き斜視図を用いて説明する。
図4(a)に示すように、下部電極12を形成した基板11上に、ホール注入層13を形成した後、ホール注入層13上の全面にバンク材料膜40Rを成膜する。基板11は、ガラス基板の上面にTFT層及び層間絶縁層を形成したものであり、公知の技術で作製される。下部電極12は、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて、基板11上に金属膜を成膜した後、金属膜パターニングすることで形成される。さらに、スパッタリング法または真空蒸着法を用いて、下部電極12が形成された基板11上に金属酸化物膜を成膜することで、ホール注入層13が形成される。バンク材料膜40Rは、スピンコート法などの塗布法を用いて、親水性のフォトレジストを液体の状態で塗布することで、成膜されている。
【0053】
次に、
図4(b)に示すように、行バンク40を形成する。行バンク40は、バンク材料膜40Rを露光及び現像によりパターニングし、焼成を行うことで形成される。具体的には、露光では、マスクを介してUV照射処理を行い、バンク材料膜40Rの一部を硬化させる。現像では、バンク材料膜のうち硬化しなかった部分を現像液により除去する。
図5(a)に示すように、行バンク40上が形成されたホール注入層13上の全面に、バンク材料膜30Rを成膜する。バンク材料膜30Rは、バンク材料膜40Rと同様に、スピンコート法などの塗布法を用いて、フッ素を含むフォトレジストを液体の状態で塗布することで、成膜されている。
【0054】
さらに、
図5(b)に示すように、列バンク30の形成を行う。列バンク30は、バンク材料膜30Rを露光及び現像によりパターニングし、焼成を行うことで形成される。具体的には、露光では、マスクを介してUV照射処理を行い、バンク材料膜30Rの一部を硬化させる。現像では、バンク材料膜のうち硬化しなかった部分を現像液により除去する。
【0055】
このように、列バンク30を形成する工程では、第1、第2、第3列バンク31、32、33を同一の工程で同時に形成する。
4.効果
次に、列バンク30の効果について、
図6〜
図8を用いて説明する。表示パネル1では第1列バンクの幅が第2、第3列バンクの幅より狭く、比較例に係る表示パネル901では第1列バンクの幅が第2、第3列バンクの幅と同じであるという点で、表示パネル1、901は相違する。
図6、
図7は、有機発光層15を形成する工程を示す断面図であり、
図8は、本実施の形態に係る表示パネル1及び比較例に係る表示パネル901の断面図である。
図6、
図8(a)は本実施の形態に係る表示パネル1を示し、
図7、
図8(b)は表示パネル901を示している。
【0056】
(列バンク30による第1の効果)
表示パネル1、901いずれも、赤色有機発光層及び青色有機発光層の膜厚が、緑色有機発光層の膜厚よりも厚い。そのため、表示パネル1、901は、赤色有機発光材料インク及び青色有機発光材料インクの単位面積当たりの塗布量は、緑色有機発光材料インクの単位面積当たりの塗布量よりも多いという点で一致している。また、表示パネル1、901は、本来均一であるべき青色有機発光材料インクの塗布量が、意図せずばらついている点でも一致している。一方、表示パネル1では、第1列バンクの幅が、第2、第3列バンクの幅よりも狭く、表示パネル901では、第1列バンクの幅が第2、第3列バンクの幅と同じである点で、表示パネル1、901は異なっている。
【0057】
比較例に係る表示パネルの有機発光層15の形成について、
図7を用いて説明する。以下、第1、第2、第3列バンク931、932、933に区別の必要が無い時には、「列バンク930」と称する。
図7(a)に示すように、下部電極12、ホール注入層13、及びホール輸送層14を形成した基板11上であって、X軸方向に隣り合う列バンク930で区切られた領域に、有機発光材料を含むインクを塗布する。具体的には、第1、第2列バンク931、932で区切られた領域に、青色有機発光材料インク15BIまたは赤色有機発光材料インク15RIを吐出し、第2、第3列バンク932、933で区切られた領域に緑色有機発光材料インク15GIを吐出し、第1、第3列バンク931、933で区切られた領域に青色有機発光材料インク15BIまたは赤色有機発光材料インク15RIを吐出する。また、赤色有機発光材料インク15RI、緑色有機発光材料インク15GI、青色有機発光材料インク15BIに区別の必要が無い場合は、「有機発光材料インク15I」と称する。吐出された有機発光材料インク15Iは、上面が凸形状に盛り上がった形状となるとともに、その両端が列バンク930に乗り上げた状態で、列バンク930で区切られた領域に保持される。有機発光材料インク15Iのうち列バンク930に乗り上がる部分の幅は、有機発光材料インク15Iの塗布量が多いほど広くなる。表示パネル901では、列バンク930のいずれも幅が広いため、隣り合う有機発光材料インク15Iは列バンク上で接触することが無い。また、本来均一であるべき青色有機発光材料インク15BIの塗布量が、意図せずばらついている。そのため、有機発光材料インク15Iを乾燥させると、
図7(b)に示すように、完成後の青色有機発光層15Bの厚みにばらつきが生じる。
【0058】
次に、表示パネル1の有機発光層15の形成について、
図6を用いて説明する。
図6(a)に示すように、第1、第2列バンク31、32で区切られた領域に、青色有機発光材料インク15BIまたは赤色有機発光材料インク15RIを吐出し、第2、第3列バンク32、33で区切られた領域に緑色有機発光材料インク15GIを吐出し、第1、第3列バンク31、33で区切られた領域に青色有機発光材料インク15BIまたは赤色有機発光材料インク15RIを吐出する。本来均一であるべき青色有機発光材料インク15BIの塗布量は、意図せずばらついている。一方、第1列バンク31の幅は、第2、第3列バンク32、33の幅よりも狭い。また、発光色が同じである青色有機発光材料インク15BIが隣り合っており、これらインクを第1列バンク31が区切っている。そのため、隣り合う青色有機発光材料インク15BI及び隣り合う赤色有機発光材料インク15RIは、第1列バンク31上に乗り上げて接触する。
【0059】
接触した青色有機発光材料インク15BI、及び赤色有機発光材料インク15RIは、
図6(b)に示すように、1つのインク溜まりとなる。そのため、青色有機発光材料インク15BIの塗布量がばらついていても、列バンク30で囲まれた各領域に残る青色有機発光材料の体積を平準化できる。その結果、
図6(c)に示すように、完成後の青色有機発光層15Bの膜厚のばらつきを抑制できる。
【0060】
(列バンク30による第2の効果)
図6(b)に示すように、接触した青色有機発光材料インク15BIによる1つのインク溜まりは、第1列バンク31にインク溜まりが区切られる場合よりも、インク溜まりの高さが高くなる。赤色有機発光材料インク15RIについても、同様である。このように、表示パネル1では、青色有機発光材料インク15BIの単位面積当たりの体積を多くすることができる。そのため、サブピクセルの微細化が進んでも、有機発光材料インクの単位面積当たりの体積を多くすることで、有機発光層の膜厚を確保することができる。
【0061】
(列バンク30による第3の効果)
なお、
図6(a)に示すように、第2、第3列バンク32、33の幅は、第1列バンク31の幅よりも広いため、隣り合う赤色有機発光材料インク15RI及び緑色有機発光材料インク15GI、隣り合う青色有機発光材料インク15BI及び緑色有機発光材料インク15GIが、第2、第3列バンク32、33上で接触することを抑制できる。すなわち、有機発光材料インク15Iの混色を抑制できる。
【0062】
(列バンク30による第4の効果)
図8(b)に示すように、表示パネル901では、第1列バンク931の幅W931は、第2、第3列バンク932、933の幅W932、W933と同じである。
図8(a)に示すように、表示パネル1では、第1列バンク31の幅W931は、第2、第3列バンク32、33の幅W32、W33よりも狭い。そのため、表示パネル1における列バンク30が占める面積は、表示パネル901における列バンク930が占める面積よりも狭い。
【0063】
上述のように、有機発光素子10の幅は、下部電極12のうち列バンク30に被覆されていない部分の幅に相当するため、有機発光素子の幅は、列バンクの幅及び画素の幅により定まる。従って、表示パネル1における有機発光素子10R、10G、10Bの幅は、表示パネル901における有機発光素子910R、910G、910Bの幅よりも広くすることができる。すなわち、表示パネル1では、表示パネル901よりも開口率を向上することができる。
【0064】
<<実施の形態2>>
図9〜
図11を用いて、実施の形態2を説明する。
図9の断面図に示す実施の形態2の表示パネル101の基本構成は、実施の形態1と略同じである。実施の形態2は、第1列バンクの高さが第2、第3列バンクの高さよりも低く、第1、第2、第3列バンクの幅が同じである点で、実施の形態1と相違する。なお、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0065】
1.表示パネル101の構成
表示パネル101では、第1、第2、第3列バンク131、32、33(以下、区別の必要が無い場合は、「列バンク130」と称する)の幅W131、W32、W33は、同じである。一方、第1列バンク131の高さH131は、第2、第3列バンクの高さH32よりも低い。そのため、表示パネル101では、X軸方向に隣り合うホール輸送層14が、第1列バンク131に乗り上げて接触している。また、X軸方向に隣り合う青色有機発光層15B第1列バンク131に乗り上げて接触し、X軸方向に隣り合う赤色有機発光層15Rも第1列バンク131に乗り上げて接触している。
【0066】
第1列バンク131の高さは、例えば、0.5μm以上1μm以下であり、第2、第3列バンクの高さは、例えば、1μm以上2μm以下である。第1列バンク131の高さH131は、第2列バンク32及び第3列バンク33の高さH32の、例えば60%以下である。
図10は、列バンク130及び行バンク40を示す一部切り欠き斜視図であり、便宜上、列バンク130及び行バンク40よりも上の層を取り除いて示してある。本実施の形態では、第1列バンク131の高さと行バンク40の高さは同じである。
【0067】
2.効果
図11は、表示パネル101における有機発光層15を形成する工程を示す断面図である。
図11(a)は、隣り合う列バンク30で囲まれる領域に、有機発光材料インク15Iを塗布した状態を示す断面図である。第1列バンク131の高さが、第2、第3列バンク32、33の高さよりも低いため、青色有機発光材料インク15BIは、第1列バンク131上で接触し、1つのインク溜まりとなる。同様に、赤色有機発光材料インク15RIも、第1列バンク131上で接触し、1つのインク溜まりとなる。その後、有機発光材料インク15Iを乾燥させることで、
図11(b)に示すように、有機発光層15を形成する。表示パネル101では、青色有機発光材料インク15BIは第1列バンク131上で1つのインク溜まりとなり、赤色有機発光材料インク15RIも第1列バンク131上で1つのインク溜まりとなるため、青色有機発光層15B及び赤色有機発光層15Rの膜厚のばらつきを抑制できる。
【0068】
また、第2、第3列バンク32の高さは、第1列バンク131の高さよりも高い。そのため、隣り合う赤色有機発光材料インク15RI及び緑色有機発光材料インク15GI、隣り合う青色有機発光材料インク15BI及び緑色有機発光材料インク15GIが、第2、第3列バンク32、33上で接触することを抑制できる。すなわち、有機発光材料インク15Iの混色を抑制できる。
【0069】
<<実施の形態3>>
図12を用いて、実施の形態3を説明する。
図12の断面図に示す実施の形態3の表示パネル201の基本構成は、実施の形態1と略同じである。実施の形態3は、第1、第2、第3列バンクの高さが同じであり、第1、第2、第3列バンクの幅が同じであり、第1列バンクの撥液性は、第2、第3列バンクの撥液性よりも低い点で、実施の形態1と相違する。なお、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0070】
1.表示パネル201の構成
表示パネル201では、第1、第2、第3列バンク231、32、33(以下、区別の必要が無い場合は、「列バンク230」と称する)の幅W231、W32、W33が同じである。第1、第2、第3列バンク231、32、33の高さも同じである。一方、第1列バンク231の撥液性は、第2、第3列バンク32、33の撥液性よりも低い。そのため、表示パネル201では、ホール輸送層14及び青色有機発光層15Bが、第1列バンク231に乗り上げて接触している。同様に、ホール輸送層14及び赤色有機発光層15Rが、第1列バンク231に乗り上げて接触している。
【0071】
列バンク230及び行バンクの形成の際には、行バンク40を形成し、その後、第1列バンク231を形成し、最後に、第2、第3列バンク32、33を同一の工程で同時に形成すればよい。
なお、列バンク230及び行バンク40は、これ以外の製造方法で形成してもよい。列バンク230及び行バンク40の製造方法は、「材料」、「撥液性」、「高さ」を考慮して選択する。
【0072】
列バンク230に撥液性を付与するためには、その材料としてフッ素を含むフォトレジストを用いる以外に、フッ素を含まない有機材料で列バンクを形成し、この列バンクに表面処理を行ってもよい。表面処理としては、有機材料を露光および現像した後、撥液性を付与する領域のみが開口したマスクを介して、表面をフッ素ガスでプラズマ処理し、その後、マスクを外すことで、表面に撥液性をもたせればよい。
【0073】
また、列バンク230及び行バンク40のうち高さの異なるものを、異なる工程で形成する以外に、有機材料を塗布した後のパターニングの際に、一部で光透過率が異なるハーフトーンマスクを用いることで、形成する列バンク及び行バンクの高さを異ならせてもよい。ハーフトーンマスクを用いれば、高さの異なる列バンク及び行バンクを同一の工程で同時に形成することができる。
【0074】
以下、列バンク230及び行バンク40の製造方法の変形例について、具体的に説明する。列バンク230及び行バンク40を有機材料で構成する場合、行バンク40を形成した後、フッ素を含まない有機材料で第1列バンク231及び第2、第3列バンク材料層を同一の工程で同時に形成し、さらに、第2、第3列バンク材料層に対して表面処理により撥液性を付与して第2、第3列バンクを形成してもよい。また、フッ素を含まない有機材料で、ハーフトーンマスクを用いて、行バンク及び列バンク材料層を同一の工程で同時に形成し、さらに、表面処理により撥液性を付与して第2、第3列バンクを形成してもよい。
【0075】
第1列バンク231及び行バンク40を無機材料で構成し、撥液性の第2、第3列バンクを有機材料で構成する場合、第1列バンク231及び行バンク40を同一の工程で同時に形成し、その後、フッ素を含むフォトレジストで第2、第3列バンクを形成すればよい。また、第1列バンク231及び行バンク40を同一の工程で同時に形成した後、フッ素を含まない有機材料で第2、第3列バンク材料層を形成し、さらに、表面処理により撥液性を付与して第2、第3列バンクを形成してもよい。
【0076】
なお、実施の形態3以外の構成の列バンク及び行バンクについても、実施の形態3と同様に、様々な方法で製造することができる。
2.効果
第1列バンク231の撥液性は第2、第3列バンク32、33の撥液性よりも低いため、有機発光層15を形成する工程において、青色有機発光材料インク15BIは第1列バンク231上で1つのインク溜まりとなり、赤色有機発光材料インク15RIも第1列バンク231上で1つのインク溜まりとなる。そのため、青色有機発光層15B及び赤色有機発光層15Rの膜厚のばらつきを抑制できる。
【0077】
また、第2、第3列バンク32、33は撥液性を有するため、隣り合う赤色有機発光材料インク15RI及び緑色有機発光材料インク15GI、隣り合う青色有機発光材料インク15BI及び緑色有機発光材料インク15GIが、第2、第3列バンク32、33上で接触することを抑制できる。すなわち、有機発光材料インク15Iの混色を抑制できる。
<<実施の形態4>>
図13を用いて、実施の形態4を説明する。
図13の断面図に示す実施の形態4の表示パネル301の基本構成は、実施の形態1と略同じである。実施の形態4は、第1列バンクの高さが第2、第3列バンクの高さよりも低く、第1列バンクの幅は第2、第3列バンクの幅よりも狭く、第1列バンクの撥液性は、第2、第3列バンクの撥液性よりも低い点で、実施の形態1と相違する。すなわち、実施の形態4は、実施の形態1、2、3における第1列バンクの特徴を全て備える。なお、実施の形態1、2、3と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0078】
1.表示パネル301の構成
表示パネル301では、第1列バンク331の高さH331が、第2、第3列バンク32、33の高さH33よりも低い。また、第1列バンク331の幅W331が、第2、第3列バンク32、33の幅W32、W33よりも狭い。加えて、第1列バンク331の撥液性が、第2、第3列バンク32、33の撥液性よりも低い。
【0079】
列バンク330及び行バンク40の形成の際には、行バンク40を形成し、その後、第1列バンク331を形成し、最後に、第2、第3列バンク32、33を形成すればよい。
2.効果
この構成においても、有機発光層15を形成する工程において、青色有機発光材料インク15BIは第1列バンク331上で1つのインク溜まりとなり、赤色有機発光材料インク15RIも第1列バンク331上で1つのインク溜まりとなる。実施の形態1、2、3の第1列バンクと比べても、第1列バンク331を有機発光材料インクが乗り越えやすいため、発光色が同じである有機発光材料インクがさらに接触しやすい。そのため、実施の形態1、2、3と比べて、青色有機発光層15B及び赤色有機発光層15Rの膜厚のばらつきをさらに抑制できる。
【0080】
また、隣り合う赤色有機発光材料インク15RI及び緑色有機発光材料インク15GI、隣り合う青色有機発光材料インク15BI及び緑色有機発光材料インク15GIが、第2、第3列バンク32、33上で接触することを抑制できる。すなわち、有機発光材料インク15Iの混色を抑制できる。
<<変形例>>
以下、変形例について説明する。
【0081】
1.変形例1
図14を用いて、変形例1を説明する。
図14の断面図に示す変形例1の表示パネル401の基本構成は、実施の形態1と略同じである。変形例1は、下部電極の幅が不均一であり、下部電極のうち列バンクから露出した部分の幅も不均一である点で、実施の形態1と相違する。なお、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0082】
表示パネル401では、第1、第2下部電極12a、12bの幅W12a、W12bは、第3下部電極12cの幅W12cよりも狭い。第1、第2下部電極12a、12bのうち列バンク30から露出している部分の幅は、第3下部電極12cのうち列バンク30から露出している部分の幅よりも広い。第1、第2下部電極12a、12bのうち列バンク30から露出している部分の幅は、青色有機発光素子410B、赤色有機発光素子410Rそれぞれの幅W410B、W410Rに相当する。第3下部電極12cのうち列バンク30から露出している部分の幅は、緑色有機発光素子410Gの幅W410Gに相当する。このように、表示パネル401の開口幅を有機発光層15の発光色ごとに異ならせることができる。そのため、有機発光層15のうち、輝度半減寿命の短いものの開口幅を広げ、輝度半減寿命の長いものの開口幅を狭めることにより、表示パネル401の全体としての輝度半減寿命を向上させることができる。なお、ここで言う「輝度半減寿命」は、有機発光層15に所定の駆動電流を印加し、輝度が半減するまでに要する時間を意味する。
【0083】
2.変形例2
図15を用いて、変形例2を説明する。
図15の断面図に示す変形例2の表示パネル501の基本構成は、実施の形態4と略同じである。変形例2は、有機発光層の発光色が、赤色、緑色、青色、白色である点で実施の形態4と相違する。なお、実施の形態4と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0084】
表示パネル501では、第1列バンク531の幅W531は、第2、第3、第4列バンク32、33、34の幅W32、W33、W34よりも狭い。第1列バンク531の高さH531は、第2、第3、第4列バンク32、33、34の高さH32よりも低い。隣り合う第3、第4列バンク33、34の間には、白色有機発光層15Wが配されている。このように、表示パネル501における有機発光層の発光色を4色とすることができる。これにより、有機発光素子の発光色が3色である場合と比べて、駆動電圧が同じであっても高い輝度で表示パネル501を発光させることができる。
【0085】
3.変形例3
上記実施の形態等では、行バンクの高さは、有機発光層の形成時において、Y軸方向に隣り合う行バンク間の領域に塗布された有機発光材料インクが接触し、且つ、完成後の有機発光層が行バンクに乗り上げて互いに接触する程度の高さとしていた。しかしながら、これに限らず、行バンクの高さは、有機発光層の形成時において、Y軸方向に隣り合う行バンク間の領域に塗布された有機発光材料インクが接触するものの、完成後の有機発光層が行バンクにより区切られる程度の高さとしてもよい。また、高さが高い行バンクと、高さが低行バンクとを備える構成としてもよい。このような変形例について、以下、
図16〜19を用いて説明する。
【0086】
図16のレイアウト図に示す表示パネル601は、1つの有機発光層が、4つの下部電極の上方、または、2列に並んだ下部電極の上方に設けられる点で、実施の形態1と相違する。なお、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
図16は、表示パネル601における下部電極及び有機発光層のレイアウト図である。Y軸方向に列状に並んだ第1下部電極12a、及びこれにX軸方向に隣り合いY軸方向に並んだ第2下部電極12bの上方に、ライン状の青色有機発光層15Bが配されている。Y軸方向に隣り合う2つの第3下部電極12cと、これらにX軸方向に隣り合う第4下部電極12d上方に、正方形状の赤色有機発光層15R及び緑色有機発光層15Gが配されている。
【0087】
図17は、表示パネル601における、第1、第2列バンク631、632(以下、区別の必要が無い時には「列バンク630」と称する)、及び第1、第2、第3行バンク641、642、643(以下、区別の必要が無い時には「行バンク640」と称する)を示す一部切り欠き斜視図であり、便宜上、列バンク30及び行バンク640よりも上の層を取り除いて示してある。
【0088】
第1列バンク631の幅は、第2列バンク632の幅よりも狭い。第1列バンク631の高さは、第2列バンク632の高さよりも低い。第1列バンク631の撥液性は、第2列バンク632の撥液性よりも低い。第1、第2行バンク641、642の高さは、第3行バンク643の高さよりも低く、第1列バンク631の高さと同じである。第1、第2行バンク641、642の撥液性は、第3行バンク643の撥液性よりも低い。そのため、表示パネル601において、列バンク630及び行バンク640を形成する際には、第1列バンク631及び第1、第2行バンク641、642を同一の工程で同時に形成し、第2列バンク632及び第3行バンク643を同一の工程で同時に形成すればよい。
【0089】
4.変形例4
図18のレイアウト図に示す表示パネル701は、変形例4に係る表示パネルであって、1つの有機発光層が、4つの下部電極の上方に設けられ、有機発光層の発光色が赤色、緑色、青色、白色である点で実施の形態1と相違する。なお、実施の形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0090】
図18は、表示パネル701における下部電極及び有機発光層のレイアウト図である。Y軸方向に隣り合う2つの第1下部電極12aと、これらにX軸方向に隣り合う第2下部電極12b上方に、正方形状の青色有機発光層15B及び白色有機発光層15Wが配されている。Y軸方向に隣り合う2つの第3下部電極12cと、これらにX軸方向に隣り合う第4下部電極12d上方に、正方形状の赤色有機発光層15R及び緑色有機発光層15Gが配されている。
【0091】
図19は、表示パネル701における、第1、第2列バンク731、732(以下、区別の必要が無い時には「列バンク730」と称する)、及び第1、第2行バンク741、742(以下、区別の必要が無い時には「行バンク740」と称する)を示す一部切り欠き斜視図であり、便宜上、列バンク730及び行バンク740よりも上の層を取り除いて示してある。
【0092】
第1列バンク731の幅は、第2列バンク732の幅よりも狭い。第1列バンク731の高さは、第2列バンク732の高さよりも低い。第1列バンク731の撥液性は、第2列バンク732の撥液性よりも低い。第1行バンク741の高さは、第2行バンク742の高さよりも低く、第1列バンク731の高さと同じである。第1行バンク741の撥液性は、第2行バンク742の撥液性よりも低い。そのため、表示パネル701において、列バンク730及び行バンク740を形成する際には、第1列バンク731及び第1行バンク741を同一の工程で同時に形成し、第2列バンク732及び第2行バンク742を同一の工程で同時に形成すればよい。
【0093】
このように、表示パネルが、高さの異なる行バンクを備えることで、表示パネルをより自由に設計することができる。
5.変形例5
実施の形態1では、
図2に示すように、X軸方向に隣り合う下部電極12同士の間隙の幅は何れも同じであって、下部電極12のうち第1列バンク31により被覆されている部分の幅W12a1、W12b1が、第2、第3列バンク32、33にそれぞれ被覆されている部分の幅W12b2、W12c2、W12c3、W12a1よりも狭い構成について説明した。しかし、これに限られず、以下のような変形例とすることが可能である。
【0094】
図20は、変形例5に係る表示パネル801の模式断面図である。なお、実施の形態1に係る表示パネル1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
表示パネル801の基本構成は、表示パネル1の構成と略同じである。表示パネル801は、下部電極のうち第1列バンク、第2列バンク、第3列バンクにそれぞれ被覆されている部分の幅が同じであって、第1下部電極12aと第2下部電極12bとの間の間隙21の幅W21よりも、第2下部電極12bと第3下部電極12cとの間の間隙22の幅W822及び第3下部電極12cと第1下部電極12aとの間の間隙23の幅W823がそれぞれ大きい点で、実施の形態1に係る表示パネル1と異なる。
【0095】
本変形例の構成によっても、第1列バンク31の幅W31を、第2列バンク32の幅W32及び第3列バンク33の幅W33よりも狭くすることができ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
6.その他の変形例
(第3有機発光層の選択)
上記実施の形態等では、第3有機発光層として、最も膜厚が薄い有機発光層を選択していたが、これに限らず、「有機発光材料インクの粘度」、「吐出時の有機発光材料インクのリガメントの長さ」、「有機発光材料インクの形成方法」を考慮して選択することができる。なお、ここで言う「リガメント」とは、吐出されてから着弾するまでの状態の有機発光材料インクの液滴が、球状の部分と尾の部分とで構成される場合における、液滴の尾の部分を言う。以下、これらの内容について説明する。
【0096】
第3有機発光層として、有機発光層を形成する工程において、隣り合う列バンクの間の領域に塗布される有機発光材料インクのうち、比較的粘度が高いインクにより形成される有機発光層を選択してもよい。有機発光材料インクが隣り合う列バンクの間の領域に保持される際、有機発光材料インクの塗布量が同じである場合、粘度が低い有機発光材料インクほど、列バンク上に乗り上げる幅が大きい。比較的粘度が高いインクを第3有機発光層に採用すると、列バンクに乗り上げるインクの幅が小さいので、混色の発生を抑制することができる。
【0097】
また、第3有機発光層として、有機発光層を形成する工程において、隣り合う列バンクの間の領域に塗布される有機発光材料インクのうち、比較的リガメントの長さが短いインクにより形成される有機発光層を選択してもよい。有機発光材料インクを隣り合う列バンクの間の領域に吐出する際、リガメントが長いほど、有機発光材料インクの着弾位置が、意図せずずれやすい。比較的リガメントが長い有機発光材料インクと他の有機発光材料インクとの間に第2列バンクを設けることで、これらのインクが接触することを抑制し、混色が生じることを抑制できる。
【0098】
さらに、第3有機発光層として、有機発光層を形成する工程において、インクの塗布では無く、低分子有機発光材料を蒸着することで形成される有機発光層を選択してもよい。蒸着により形成される有機発光層では、インクの塗布量のばらつきによる膜厚むらが生じない。インクの塗布量のばらつきによる膜厚むらが生じ得る隣り合う第1、第2有機発光層の間に第1列バンクを設けることで、第1、第2有機発光材料インクを接触させることで、第1、第2有機発光層の膜厚のばらつきを抑制できる。
【0099】
(第1、第2有機発光層の接触、非接触)
上記実施の形態1では、有機発光層の形成時において、第1方向に隣り合う列バンク間の領域に塗布された第1、第2有機発光材料インクが接触していたが、完成後の第1、第2有機発光層は第1列バンクで区切られていた。しかしながら、これに限らず、第1、第2、第3列バンクの撥液性がいずれもある程度低い場合、完成後の第1、第2有機発光層が、第1列バンクに乗り上げて互いに接触することもある。
【0100】
(第1列バンクの特徴)
上記実施の形態等では、第1列バンクが、「第2列バンクよりも幅が狭い」、「第2列バンクよりも高さが低い」、及び「比較的低い撥液性を有する」という特徴のうち、1つまたは全部を備えていた。しかしながら、これに限らず、これら3つの特徴のうち2つを備えていてもよい。
【0101】
(その他)
上記実施の形態等の構成は、複数の構成を自由に組み合わせてもよい。
また、本開示は、以下のようにまとめることもできる。
本開示の一態様に係る表示パネルは、基板と、前記基板の上面に平行な第1方向に沿って前記基板上に間隙をあけて順に配列された第1、第2、第3サブピクセル領域と、前記基板上であって、前記第1、第2サブピクセル領域の間隙に配され、前記第1方向と交差する 第2方向に延びる第1列バンクと、前記基板上であって、前記第2、第3サブピクセル領域の間隙に配され、前記第2方向に延びる第2列バンクと、前記第1、第2、第3サブピクセル領域にそれぞれ配された第1、第2、第3有機発光層とを備え、前記第1有機発光層は、第1有機発光材料を含み、前記第2有機発光層は、前記第1有機発光材料と発光色が同じである第2有機発光材料を含み、前記第3有機発光層は、前記第1有機発光材料と発光色が異なる第3有機発光材料を含むこととする。
【0102】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1有機発光層を形成するための前記第1有機材料を含む第1インクが、前記第1サブピクセル領域に塗布され、前記第2有機発光層を形成するための前記第2有機材料を含む第2インクが、前記第2サブピクセル領域に塗布され、前記第3有機発光層を形成するための前記第3有機材料を含む第3インクが、前記第3サブピクセル領域に塗布された場合に、前記第1列バンクが、前記第1インクと前記第2インクとを分離するインク分離能は、前記第2列バンクが、前記第2インクと前記第3インクとを分離するインク分離能よりも低くてもよい。
【0103】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記インク分離能は、前記第1、第2列バンクの前記第1方向における幅に関し、前記第1列バンクの前記幅は、前記第2列バンクの前記幅よりも狭くてもよい。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記インク分離能は、前記第1、第2列バンクの前記第1、第2、第3インクに対する撥液性に関し、前記第1列バンクの前記第1インク及び前記第2インクに対する撥液性は、前記第2バンクの前記第2インク及び前記第3インクに対する撥液性よりも低くてもよい。
【0104】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記インク分離能は、前記第1、第2列バンクの高さに関し、前記第1列バンクの高さは、前記第2列バンクの高さよりも低くてもよい。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1有機発光層及び前記第2有機発光層は、それぞれ前記第1列バンクに乗り上げて互いに接触していてもよい。
【0105】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2有機発光層の厚みは、前記第3有機発光層の厚みよりも厚くてもよい。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2、第3有機発光層のうちの少なくとも1つは、前記第1方向における幅が異なっていてもよい。
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2、第3有機発光層のうち、最も輝度半減寿命の短いものは、前記第1方向におけるが幅が最も大きくてもよい。
【0106】
本開示の一態様に係る表示パネルの特定の局面においては、前記第1、第2、第3有機発光層のうち、最も輝度半減寿命の長いものは、前記第1方向におけるが幅が最も小さくてもよい。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板の上面に平行な第1方向に沿って前記基板上に間隙をあけて、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1、第2列バンクを順に形成する工程と、前記第1列バンクに対し前記第2列バンクとは反対側に隣接する第1サブピクセル領域に第1有機発光材料を含む第1インクを塗布し、前記第1列バンクと前記第2列バンクとの間の領域である第2サブピクセル領域に第2有機発光材料を含む第2インクを塗布し、前記第2列バンクに対し前記第1列バンクとは反対側に隣接する第3サブピクセル領域に第3有機発光材料を含む第3インクを塗布する工程と、前記第1、第2、第3インクを乾燥させて、それぞれ第1、第2、第3有機発光層を形成する工程と、を含み、前記第2有機発光材料の発光色は、前記第1有機発光材料の発光色と同じであり、前記第3有機発光材料の発光色は、前記第1有機発光材料の発光色と異なることとしてもよい。
【0107】
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1列バンクの前記第1方向における幅は、前記第2列バンクの前記幅よりも狭くてもよい。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1列バンクの前記第1インク及び前記第2インクに対する撥液性は、前記第2バンクの前記第2インク及び前記第3インクに対する撥液性よりも低くてもよい。
【0108】
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1列バンクの高さは、前記第2列バンクの高さよりも低くてもよい。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第3インクの単位面積当たりに塗布される体積は、前記第1、第2インクの単位面積当たりに塗布される体積よりも少なくてもよい。
【0109】
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第3インクの粘度は、前記第1、第2インクの粘度よりも高くてもよい。
本開示の別の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面においては、前記第1、第2、第3インクを塗布する工程は、インクジェット装置から当該第1、第2、第3インクを吐出することにより行われ、
前記第3インクのリガメントの長さは、前記第1、第2インクのリガメントの長さよりも短くてもよい。