(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
探知信号の発射、及び該探知信号が物標等に反射した反射信号の受信を行うアンテナから、受信した前記反射信号としての受信信号の供給を受け、該受信信号の処理によって前記物標の位置等の情報に係る映像を形成し前記映像を表示手段に表示させる信号処理手段を備えた信号処理装置であって、
前記信号処理手段は、形成した前記映像としての第一の映像を前記表示手段に表示させる第一の信号処理手段と、形成した前記映像としての第二の映像を前記表示手段に表示させる第二の信号処理手段とが設けられ、
複数の前記信号処理手段は、
前記第一の映像としての、前記物標の位置等の確認等に主として用いられるメイン映像を形成するし形成した前記メイン映像を前記表示手段に表示させる前記第一の信号処理手段と、
前記メイン映像に対応する映像であって、前記第二の映像としての、映像の状態の調整のための調整用映像を前記メイン映像とは別途形成するし形成した前記調整用映像を前記表示手段に表示させる前記第二の信号処理手段とを有し、
前記第二の信号処理手段を制御することにより前記調整用映像の形成を調整する調整手段と、
前記第一の信号処理手段による前記メイン映像に係る信号と前記第二の信号処理手段による前記調整用映像に係る信号とが入力され、制御部から指示を受けて前記メイン映像と前記調整用映像との少なくとも一方を選択し、前記メイン映像と前記調整用映像とを切り替えつつ前記表示手段において対比できるように出力可能な重畳選択部と
を備え、
前記第一の信号処理手段と前記第二の信号処理手段の各々には、共通のアンテナで受信される同一の信号が入力され、
前記第一の信号処理手段と前記第二の信号処理手段は、それぞれ前記同一の信号の入力を受けて形成した、前記メイン映像と前記調整用映像とをそれぞれ前記表示手段に表示させることを特徴とする信号処理装置。
前記第一の信号処理手段の形成した前記メイン映像、及び前記第二の信号処理手段の形成した前記調整用映像のうち少なくとも何れか一方を所定の期間記録させる記録手段を備え、
前記第一の信号処理手段は、前記記録手段に記録された映像に基づいて前記物標の軌跡を前記メイン映像に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の信号処理装置。
探知信号の発射、及び該探知信号が物標等に反射した反射信号の受信を行うアンテナから、受信した前記反射信号としての受信信号の供給を受け、該受信信号の処理によって前記物標の位置等の情報に係る映像を形成し前記映像を表示手段に表示させる信号処理手順が行われる、信号処理装置における信号処理方法であって、
前記信号処理手順は形成した前記映像としての第一の映像を前記表示手段に表示させる第一の信号処理手順と、形成した前記映像としての第二の映像を前記表示手段に表示させる第二の信号処理手順とが行われ、
複数の前記信号処理手順は、
前記第一の映像としての、前記物標の位置等の確認等に主として用いられるメイン映像を形成するし形成した前記メイン映像を前記表示手段に表示させる前記第一の信号処理手順と、
前記メイン映像に対応する映像であって、前記第二の映像としての、映像の状態の調整のための調整用映像を前記メイン映像とは別途形成するし形成した前記調整用映像を前記表示手段に表示させる前記第二の信号処理手段とを有し、
前記第二の信号処理手順を制御することにより前記調整用映像の形成を調整する調整手順と、
前記第一の信号処理手順により形成された前記メイン映像に係る信号と前記第二の信号処理手順により形成された前記調整用映像に係る信号とが入力され、制御部から指示を受けて前記メイン映像と前記調整用映像との少なくとも一方を選択し、前記メイン映像と前記調整用映像とを切り替えつつ前記表示手段において対比できるように出力可能な重畳選択手順と
を備え、
前記第一の信号処理手順と前記第二の信号処理手順の各々においては、共通のアンテナで受信される同一の信号が入力され、
前記第一の信号処理手順と前記第二の信号処理手順とにおいては、それぞれ前記同一の信号の入力を受けて形成した、前記メイン映像と前記調整用映像とをそれぞれ前記表示手段に表示させることを特徴とする信号処理方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、反射信号は、探知対象としての物標以外の各種物体、例えば海面上の波や雨雲に探知信号が反射することによっても発生する。このような、各種物体への反射信号が受信信号としてアンテナで受信されると、表示部には、この受信信号によって形成されたノイズが物標の映像と共に表示される。このノイズは、物標としての船舶の航跡を表示させる場合のように、過去のデータに基づいて形成された映像において特に顕著に表れる。通常は、船舶用レーダの操作者等が、信号処理部における処理の状態を適宜調整することで、ノイズが映像上に表れることを抑止して、ノイズが少なく物標や物標の航跡が見やすい映像を形成する。
【0007】
しかし、ノイズの発生源の状態、例えば海面の波の位置や大きさ、あるいは雨雲の発生状態は時間と共に変化する。そのため、ノイズが少ない信号処理部の調整状態や、物標や物標の航跡が見やすい信号処理部の調整状態も時間と共に変化する。そのため、上記特許文献1の船舶用レーダの操作者には、船舶の航行中に信号処理部の調整状態を変化させてよりよい映像を表示させるための試行錯誤を行う欲求が生ずることが多くなる。
【0008】
しかし、操作者が信号処理部の調整状態を変化させる試行錯誤の過程では、ノイズが増えてしまう場合もある。そのため、上記特許文献1においては、信号処理部の処理の結果、必ずしも映像の状態が改善されないことが想定されるという問題がある。特に、上記特許文献1においては、信号処理部で処理されたデータがメモリに記録されて航跡を表示するために用いられるため、信号処理部の調整状態を変化させた結果ノイズが増えた場合は、増えたノイズがメモリに記録された航跡表示に用いられることになり、長時間に亘って航跡の表示状態に影響を及ぼしうるという問題がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、映像上のノイズを抑制するための試行錯誤を自由に行うことができると共に映像上の物標等の良好な表示状態の維持と向上を図ることができる信号処理装置、及び船舶用レーダを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、探知信号の発射、及び該探知信号が物標等に反射した反射信号の受信を行うアンテナから、受信した前記反射信号としての受信信号の供給を受け、該受信信号の処理によって前記物標の位置等の情報
に係る映像を形成し前記映像を表示手段に表示させ
る信号処理手段を備えた信号処理装置であって、前記信号処理手段は、
形成した前記映像としての第一の映像を前記表示手段に表示させる第一の信号処理手段と、形成した前記映像としての第二の映像を前記表示手段に表示させる第二の信号処理手段とが設けられ、複数の前記信号処理手段は、
前記第一の映像としての、前記物標の位置等の確認等に主として用いられるメイン映像を形成する
し形成した前記メイン映像を前記表示手段に表示させる前記第一の信号処理手段と、前記メイン映像に対応する映像であって、
前記第二の映像としての、映像の状態の調整のための調整用映像を前記メイン映像とは別途形成する
し形成した前記調整用映像を前記表示手段に表示させる前記第二の信号処理手段とを有し、前記第二の信号処理手段を制御することにより前記調整用映像の形成を調整する調整手段
と、前記第一の信号処理手段による前記メイン映像に係る信号と前記第二の信号処理手段による前記調整用映像に係る信号とが入力され、制御部から指示を受けて前記メイン映像と前記調整用映像との少なくとも一方を選択し、前記メイン映像と前記調整用映像とを切り替えつつ前記表示手段において対比できるように出力可能な重畳選択部とを備え
、前記第一の信号処理手段と前記第二の信号処理手段の各々には、共通のアンテナで受信される同一の信号が入力され、前記第一の信号処理手段と前記第二の信号処理手段は、それぞれ前記同一の信号の入力を受けて形成した、前記メイン映像と前記調整用映像とをそれぞれ前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0011】
本願発明において、前記第一の信号処理手段は、前記第二の信号処理手段によって前記調整用映像の調整が行われている間も前記メイン映像を形成することを特徴とする。
【0012】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の構成に加え、
前記第一の信号処理手段は、前記メイン映像の形成を調整するメイン映像用調整手段を備え、前記第一の信号処理手段は、
前記制御部から所定の指示があった場合、
前記重畳選択部にて少なくとも前記調整用映像が選択されて、前記メイン映像用調整手段による調整により、前記メイン映像を、前記第二の信号処理手段によって調整された前記調整用映像
と同一の映像
となるように調整することを特徴とする。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の構成に加え、前記第一の信号処理手段の形成した前記メイン映像、及び前記第二の信号処理手段の形成した前記調整用映像のうち少なくとも何れか一方を所定の期間記録させる記録手段を備え、前記第一の信号処理手段は、前記記録手段に記録された映像に基づいて前記物標の軌跡を前記メイン映像に表示させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、第一の信号処理手段において形成された前記メイン映像と、第二の信号処理手段において形成された前記調整用映像とを、前記映像上のノイズの数、及び/又は、前記映像上のノイズの占める面積について対比し、前記ノイズの数の多少、及び/又は、前記ノイズの占める面積の大小に依存して、前記メイン映像と前記調整用映像とのいずれが前記ノイズの影響の少ない映像としての良好な映像であるかを判別する判定手段を備えたことを特徴とする。
本願発明において、船舶用レーダであって、船舶に搭載されて使用される、探知信号の発射、及び該探知信号が物標等に反射した反射信号の受信を行うアンテナと、請求項1乃至4の何れか一つに記載の信号処理装置とを備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、探知信号の発射、及び該探知信号が物標等に反射した反射信号の受信を行うアンテナから、受信した前記反射信号としての受信信号の供給を受け、該受信信号の処理によって前記物標の位置等の情報に係る映像を形成し前記映像を表示手段に表示させる信号処理手順が行われる、信号処理装置における信号処理方法であって、前記信号処理手順は形成した前記映像としての第一の映像を前記表示手段に表示させる第一の信号処理手順と、形成した前記映像としての第二の映像を前記表示手段に表示させる第二の信号処理手順とが行われ、複数の前記信号処理手順は、前記第一の映像としての、前記物標の位置等の確認等に主として用いられるメイン映像を形成し形成した前記メイン映像を前記表示手段に表示させる前記第一の信号処理手順と、前記メイン映像に対応する映像であって、前記第二の映像としての、映像の状態の調整のための調整用映像を前記メイン映像とは別途形成し形成した前記調整用映像を前記表示手段に表示させる前記第二の信号処理手段とを有し、前記第二の信号処理手順を制御することにより前記調整用映像の形成を調整する調整手順と、前記第一の信号処理手順により形成された前記メイン映像に係る信号と前記第二の信号処理手順により形成された前記調整用映像に係る信号とが入力され、制御部から指示を受けて前記メイン映像と前記調整用映像との少なくとも一方を選択し、前記メイン映像と前記調整用映像とを切り替えつつ前記表示手段において対比できるように出力可能な重畳選択手順とを備え、前記第一の信号処理手順と前記第二の信号処理手順の各々においては、共通のアンテナで受信される同一の信号が入力され、前記第一の信号処理手順と前記第二の信号処理手順とにおいては、それぞれ前記同一の信号の入力を受けて形成した、前記メイン映像と前記調整用映像とをそれぞれ前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像上の物標の良好な表示状態を維持しつつ、映像上のノイズを抑制するための試行錯誤を自由に行うことができるので、映像上の物標等の表示状態の維持と向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[基本構成]
図1から
図3にこの発明の実施の形態を示す。
【0018】
図1は、この実施の形態に係る船舶用レーダ及び信号処理装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
【0019】
図1に示す、この実施の形態に係る船舶用レーダ10Aは、船舶10Bに搭載されて、他の船舶等の物標の探索を行うために使用されるものである。この船舶10Bは、客船、漁船、貨物船、軍艦等、水上又は水中を航行するものならどのようなものでもよい。なお、この実施の形態において、船舶用レーダ10Aの探索対象としての主たる物標(
図3の(a)や(b)の符号30参照)は他の船舶であるが、例えば鳥群、航空機等、船舶以外の移動可能なもの等であってもよい。
【0020】
図1に示す通り、この実施の形態に係る船舶用レーダ10Aは、アンテナ10と、信号処理装置10Cとを備えている。信号処理装置10Cは、A/D変換部11、第一の処理系統12、第二の処理系統13、「調整手段」としての制御部15、重畳選択部16を備えている。そして、信号処理装置10Cは、操作部14、「表示手段」としての表示部17を含めてレーダ指示機を構成する。
【0021】
また、第一の処理系統12は、「第一の信号処理手段」としての第一の信号処理部18、「第一の信号処理手段」として第一の座標変換相関処理部19、「記録手段」としての第一の映像用メモリ20、「記録手段」としての第一の航跡用メモリ21を備えている。また、第二の処理系統13は、「第二の信号処理手段」として第二の信号処理部22、「第二の信号処理手段」として第二の座標変換相関処理部23、「記録手段」としての第二の映像用メモリ24、「記録手段」としての第二の航跡用メモリ25を備えている。
【0022】
アンテナ10は、主として船舶10Bに搭載されて使用される。アンテナ10は、給電部101と輻射部102と検波・増幅部103とを備え、マストの上のような高所に設置される。アンテナ10は、給電部101で生成されたマイクロ波パルス等を輻射部102から探知信号として外部に発射すると共に、反射信号を輻射部102で受信信号として受信し、検波・増幅部103において受信信号を検波し増幅する。
【0023】
A/D変換部11は、アンテナ10から探知信号や受信信号の供給を受け、この探知信号や受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換し、第一の処理系統12や第二の処理系統13に供給する。
【0024】
第一の処理系統12は、物標の位置等の確認等に主として用いられるメイン映像を形成するための処理、及びその処理に付随する各種の処理を行う。なお、この「メイン映像」とは、主として物標の位置や軌跡を特定するために用いられる映像のことをいう(本明細書において同じ)。
【0025】
第二の処理系統13は、メイン映像に対応する映像であって、映像の状態の調整のための調整用映像を形成するための処理、及びその処理に付随する各種の処理を行う。なお、ここでの「メイン映像に対応する映像」とは、メイン映像と同一ないし略同一の映像状態に調整可能な映像、あるいは、デフォルトの状態(つまり、表示部17に表示された映像をメイン映像から調整用映像に切り替えたときの調整用映像の初期状態や、表示部17にメイン映像と並べて調整用映像を表示させたときの調整用映像の初期状態)において、メイン画像と同一ないし略同一の映像状態に調整された映像のことをいう(本明細書において同じ)。
【0026】
操作部14は、船舶用レーダ10Aの各種構成、例えば第一の信号処理部18や第二の信号処理部22の処理の内容や、表示部17に表示される映像を調整したり切り替えたりするための処理を、操作者(例えば船舶10Bの操船者)が操作するために必要な各種機器、例えばボタン、レバー、回転式つまみ、マウス、タッチパネル等である。
【0027】
制御部15は、例えばマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、ワイヤードロジック、シーケンス制御機器等によって構成される。
【0028】
制御部15は、所定の指示(例えば操作者による操作部14の操作やプログラムの実行等。本明細書において同じ。)に基づいて、所定の処理を行う。具体的には、例えば、制御部15は、操作者による操作部14の操作等により、第二の処理系統13の各構成(例えば第二の信号処理部22や第二の座標変換相関処理部23)の形成する調整用映像の映像状態を変化させる調整を行う。また例えば、制御部15は、所定の指示により、重畳選択部16を制御して、表示部17に表示される映像を、第一の信号処理部18や第一の座標変換相関処理部19で形成されたメイン映像と、第二の信号処理部22や第二の座標変換相関処理部23で形成された調整用映像とで切り替える。また例えば、制御部15は、所定の指示により、第一の信号処理部18や第一の座標変換相関処理部19を、第二の信号処理部22や第二の座標変換相関処理部23における調整用映像の調整状態と同一にして、メイン映像の映像状態を調整用映像の映像状態と略同一とする処理を行う。
【0029】
第一の処理系統12における第一の信号処理部18は、A/D変換部11でディジタル信号化された受信信号について、メイン映像を形成するための各種処理を行う。具体的には、例えば、探知信号と受信信号の供給を受けて、探知信号の送信から受信信号の受信までに経過した時間のデータ(船舶10Bから物標までの距離を特定するための情報に相当)と、探知信号及び受信信号の送受信方向すなわちアンテナ10の角度位置(船舶10Bに対する物標の方位を特定するための情報に相当)とに対応付けられている、極座標系に準拠したデータを形成する。このとき、第一の信号処理部18は供給された探知信号や受信信号のノイズを除去する処理も行う。さらに、例えば、第一の信号処理部18はバッファ(図示せず)を備え、形成された極座標系に準拠したデータを一時的に記録する。
【0030】
第一の処理系統12における第一の座標変換相関処理部19は、第一の信号処理部18において形成された極座標系に準拠したデータの座標系を、アドレス制御によって、極座標系から直交座標系に変換する。この座標系の変換と併せて、第一の座標変換相関処理部19はデータのノイズを除去する処理も行う。
【0031】
第一の処理系統12における第一の映像用メモリ20は、第一の座標変換相関処理部19で座標系が直交座標系に変換された現在の受信信号に基づくデータを一時的に記録する機能を有する。第一の映像用メモリ20に記録されたデータは、物標の現在の位置を映像化するために用いられる。
【0032】
第一の処理系統12における第一の航跡用メモリ21は、第一の座標変換相関処理部19で直交座標に変換された過去の所定時間の受信信号に基づくデータを一時的に記録する機能を有する。この「過去の所定時間」とは、物標の軌跡(例えば他の船舶の航跡)を映像として表示させるために必要な時間をいい、どのような時間であってもよい。また、物標の軌跡を表示すること以外のどのような事項を「過去の所定時間」の基準としてもよい。
【0033】
第二の処理系統13における第二の信号処理部22は、A/D変換部11でディジタル信号化された受信信号について、調整用映像を形成するための各種処理を行う。具体的な構成と処理内容は、第一の信号処理部18と同じである。
【0034】
第二の処理系統13における第二の座標変換相関処理部23は、第二の信号処理部22において形成された極座標準拠のデータの座標系を、アドレス制御によって、極座標系から直交座標系に変換する。
【0035】
第二の処理系統13における第二の映像用メモリ24は、第二の座標変換相関処理部23で座標系が直交座標系に変換された現在の受信信号に基づくデータを一時的に記録する機能を有する。
【0036】
第二の処理系統13における第二の航跡用メモリ25は、第二の座標変換相関処理部23で座標系が直交座標系に変換された過去の所定時間の受信信号に基づくデータを一時的に記録する機能を有する。この「過去の所定時間」は、第一の航跡用メモリ21に設定された「過去の所定時間」と同じである。ただし、必要に応じ、第一の航跡用メモリ21と第二の航跡用メモリ25とで異なる「過去の所定時間」が設定されていてもよい。
【0037】
重畳選択部16は、第一の処理系統12と第二の処理系統13とにおいて処理された、現在又は過去の受信信号に基づくデータの一方を選択して表示部17に供給する。なお、この実施の形態では、表示部17にディスプレイ17A(
図3参照)が1つのみ設けられた構成において以下説明するが、表示部17にディスプレイ17A(
図3参照)が複数設けられた構成においては、重畳選択部16は、第一の処理系統12からのデータと第二の処理系統13からのデータをそれぞれ表示部17に供給し、それぞれのデータを異なるディスプレイ17A(
図3参照)に同時に表示させるように構成してもよい。
【0038】
表示部17は、第一の処理系統12や第二の処理系統13において処理されたデータに基づいて映像を形成する映像形成器と、例えばラスタスキャン方式等のスキャン機能を有するディスプレイ17A(
図3参照)とを備える。表示部17は、第一の処理系統12や第二の処理系統13で処理されたデータに基づいて形成された、物標の現在の位置の情報や航跡の情報等を映像としてディスプレイ17A(
図3参照)上に表示する。
【0039】
[処理手順1・映像を表示させる手順]
次に、この実施の形態に係る船舶用レーダ10A及び信号処理装置10Cにおいて、表示部17に映像を表示させるための処理手順を説明する。
【0040】
まず、船舶10Bの操船者等、船舶用レーダ10Aの操作者は、船舶用レーダ10Aの電源スイッチ(図示せず)をオンにする。これにより船舶用レーダ10Aはスタンバイ状態となる。この状態で、操作者が送信の操作を行うと船舶用レーダ10Aは、アンテナ10の輻射部102から船舶10Bの外側に対して探知信号を発射し、探知信号が物標等に反射した反射信号を輻射部102で受信して受信信号を得る。
【0041】
この受信信号は検波・増幅部103で検波・増幅され、探知信号と受信信号とは信号処理装置10Cに供給される。信号処理装置10CのA/D変換部11においては、アンテナ10から供給された探知信号と受信信号とがアナログ信号からディジタル信号に変換され、変換された信号は第一の処理系統12と第二の処理系統13とに供給される。
【0042】
第一の処理系統12においては、A/D変換部11から供給された探知信号と受信信号とに基づいて、メイン映像を形成するためのデータの形成が行われる(第一の信号処理手順)。具体的には、第一の信号処理部18において、探知信号及び受信信号を用いて極座標準拠のデータ(物標の距離と方位を特定するデータ)が形成されると共にこのデータの一時的な記録が行われ、第一の座標変換相関処理部19において、データの座標系が極座標系から直交座標系に変換され、第一の映像用メモリ20と第一の航跡用メモリ21とに直交座標系に変換されたデータが記録される。
【0043】
第二の処理系統13においては、A/D変換部11から供給された探知信号と受信信号とに基づいて、調整用映像を形成するためのデータの形成が行われる(第二の信号処理手順)。具体的には、第二の信号処理部22において、探知信号及び受信信号を用いた極座標準拠のデータ(物標の距離と方位を特定するデータ)の形成と一時的な記録が行われ、第二の座標変換相関処理部23においてデータの座標系が極座標系から直交座標系に変換され、第一の映像用メモリ24と第一の航跡用メモリ25とにおいて直交座標系に変換されたデータが記録される。
【0044】
そして、制御部15の制御により、重畳選択部16は、メイン映像、調整用映像のうち一方又は双方を表示部17に表示させる。
【0045】
例えば操作者が表示部17のディスプレイ17Aにメイン映像を表示させるための操作を行うと、重畳選択部16は第一の映像用メモリ20と第一の航跡用メモリ21とに記録されたデータを表示部17に送る制御を行う。表示部17は、第一の映像用メモリ20から供給されたデータにより、船舶10Bに対する、物標の現在の距離と方位を特定する映像を形成し、また、第一の航跡用メモリ21から供給されたデータにより、過去の所定の時間の間に物標が移動した軌跡を特定する映像を形成する。表示部17は、このように形成された映像を合成してメイン映像を形成する。
【0046】
上述した通り、この実施の形態において、主たる物標は他の船舶である。そして、
図3の(a)や(b)に示すように、表示部17のディスプレイ17Aには、メイン映像として、物標30の現在位置と「軌跡」としての航跡31とがあわせて表示される。
【0047】
なお、例えば操作者が表示部17のディスプレイ17Aに調整用映像を表示させるための操作を行うと、重畳選択部16は第二の映像用メモリ24と第二の航跡用メモリ25とに記録されたデータを表示部17に送る制御を行う。そして、表示部17は、供給されたデータを用いて、メイン映像の形成の場合と同様の処理により調整用映像を形成してディスプレイ17Aに調整用映像が表示される。
【0048】
[処理手順2・映像の調整の手順(1)]
図2は、この実施の形態に係る船舶用レーダ10A及び信号処理装置10Cにおける、映像の調整を行うための処理手順を示すフローチャートである。以下、同図のフローチャートに基づいて、この実施の形態に係る船舶用レーダ10Aにおける映像の調整を具体的に説明する。
【0049】
上記[処理手順1]の処理によって表示部17のディスプレイ17Aにメイン映像が表示されているときに、操作者が、より良好な映像を表示させるために映像の調整を行う場合を考える。この場合、操作者は、操作部14の操作により、信号処理の調整を開始する(ステップS1)。なお、制御部15は、信号処理の調整が開始される前に、第一の処理系統12と第二の処理系統13が同一の設定となるように両系統12,13の各構成の設定を調整する。
【0050】
操作者は、操作部14例えば切替スイッチにより、表示部17ディスプレイ17Aに表示する画像をメイン映像から調整用映像に切り替える。具体的には、操作者が操作部14を操作することにより、制御部15が重畳選択部16を制御し、表示部17に供給する映像が、第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21に記録された映像から、第二の映像用メモリ24及び第二の航跡用メモリ25に記録された映像に切り替えられる(ステップS2)。これにより、表示部17のディスプレイ17Aには、調整用映像が、メイン映像に対応する映像として表示される。
【0051】
操作者は、ディスプレイ17Aに表示された調整用映像を見ながら、操作部14例えばレバーや回転式つまみ等を調整することで、調整用画像の映像状態を変化させる。具体的には、操作者が操作部14を操作することにより、制御部15が第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23との各種設定(例えばフィルタの設定)を変化させることで、第二の映像用メモリ24や第二の航跡用メモリ25に記録される映像の状態を変化させる。これにより、ディスプレイ17Aに表示される調整用映像の映像状態が変化する(ステップS3、調整手順)。
【0052】
操作者は、調整用映像の調整を行いつつ、適宜、操作部14例えば切替スイッチを切り替えて、ディスプレイ17Aに表示される映像をメイン映像と調整中の調整用映像とを切り替えつつ、メイン映像と調整中の調整用映像とを対比する。即ち、アンテナ10から信号処理装置10Cに供給される信号は、第一の処理系統12にも第二の処理系統13にも供給されており、第二の映像用メモリ24及び第二の航跡用メモリ25に記録するデータを調整している最中も、調整前の映像状態のままで第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21にもデータが記録される。そのため、操作者は、メイン映像(調整前の映像)と調整用映像(調整中の映像)とを、切り替えて対比しながらそれぞれディスプレイ17Aに表示できる。
【0053】
操作者は、ディスプレイ17Aにメイン映像と調整用映像とをそれぞれ表示させて対比しながら、調整中の調整用映像がメイン映像より良好な映像状態となっているか否かを視認して確認する。
【0054】
例えば、ディスプレイ17Aに表示されたメイン映像が
図3の(b)に示すような状態、即ち、他の船舶の現在位置としての物標30の映像と、物標30の航跡31の映像との他に、多数のノイズ32(例えば海面の波に反射した反射信号や雨雲に反射した反射信号によって形成されたノイズ)が表示された状態で、ディスプレイ17Aに表示された調整用映像が
図3の(a)に示す状態、即ち、物標30の映像と航跡31の映像とのみが表示された状態となっている場合は、調整用映像の映像状態は、メイン映像の映像状態よりも良好であると判断できる。逆に、メイン映像が
図3の(a)の状態であるのに対し、調整用映像が
図3の(b)に示す状態となっている場合は、調整用映像の映像状態はメイン映像の映像状態よりも悪いと判断できる。
【0055】
そして、操作者が、調整用映像の調整を終了させたい場合、操作部14例えばレバーや回転式つまみ等の調整を停止する。これにより、操作部14の操作に基づく制御部15の制御による、第二の信号処理部22や第二の座標変換相関処理部23における信号処理調整が終了される(ステップS4)。
【0056】
操作者が、調整された調整用映像の映像状態がメイン映像の映像状態よりも良好であると判断した場合、操作者は、ステップS4にて信号処理調整を終了させる。このとき、操作者は、操作部14を操作し、調整用映像の映像状態をメイン映像に反映させる指令を出す。制御部15は、この指令を受けると、メイン映像の映像状態を、調整された調整用画像の映像状態と同一又は略同一となるように調整する。
【0057】
具体的には、第二の処理系統13の調整状態やデータを第一の処理系統12に反映させる。例えば、制御部15が、調整後の第二の信号処理部22の設定と同一になるように第一の信号処理部18の設定を変更し、調整後の第二の座標変換相関処理部23の設定と同一になるように第一の座標変換相関処理部19の設定を変更することで、調整後の設定を第一の処理系統12に反映させる(ステップS5)。なお、この処理に際し、必要に応じ、制御部15が、第二の映像用メモリ24に記録されたデータの全部又は一部を第一の映像用メモリ20に記録し、第二の航跡用メモリ25に記録されたデータの全部又は一部を第一の航跡用メモリ21に記録する(ステップS5)処理も行うように構成してもよい。
【0058】
ステップS5の手順が完了したのち、操作者は、操作部14例えば切替スイッチにより、表示部17に表示する画像を調整用映像からメイン映像に切り替える。
【0059】
具体的には、操作部14の操作により、制御部15は、重畳選択部16を制御して、物標30を表示させるためのデータを、第二の映像用メモリ24のデータから第一の映像用メモリ20のデータに切り替える(ステップS6)。同様に、制御部15は、重畳選択部16を制御して、航跡31を表示するためのデータを、第二の航跡用メモリ25のデータから第一の航跡用メモリ21のデータに切り替える(ステップS6)。これにより、表示部17のディスプレイ17Aには、調整前のメイン映像(例えば
図3の(b)に示す状態の映像)から、調整用映像と同一の映像状態に調整されたメイン映像(例えば
図3の(a)に示す状態の映像)に切り替わったメイン映像が表示される。
【0060】
一方、ステップS4の状態において、調整後の調整用映像の映像状態が、元のメイン画像よりも悪いと判断される場合には、操作者は、操作部14例えば取り消しボタンの操作により、調整された調整用画像の調整状態を取り消す。操作部14がこのように操作されると、制御部15の制御により、第二の信号処理部22や第二の座標変換相関処理部23の設定は調整前の状態に戻されて、調整用画像は、元のメイン画像と同一の調整状態に戻される。
【0061】
[処理手順2・映像の調整の手順(2)]
なお、上記[映像の調整の手順(1)]においては、ステップS3及びステップS4の手順の後、映像状態を比較する機能手段としての判定部(
図1に図示せず)により、メイン映像の映像状態と、調整後の調整用映像の映像状態とを対比させることで、ステップS5の処理を行う(調整用映像の映像状態をメイン映像に反映させる)処理を行うか否かを自動的に決定する処理や、その決定に基づいて自動的にステップS5の処理を行わせることができる。
【0062】
具体的には、例えば、重畳選択部16には、例えば受信信号の大きさ(例えば
図3の(a)や(b)に示す物標30や航跡31に示される個々の丸の面積)が所定の大きさ以上なら(あるいは所定の大きさ以下なら)物標30と判定し、所定の大きさよりも小さければ(あるいは所定の大きさよりも大きければ)ノイズと判定するように設定する。そして、重畳選択部16は、メイン映像と調整用映像のノイズの数や面積を対比して、ノイズの数の少ない方や、ノイズの面積の小さい方を良好な画像と判定することが考えられる。これにより、メイン映像と調整用映像のどちらが良好な映像かを自動的に判別することが可能となる。
【0063】
以上示した通り、この実施の形態においては、アンテナ10から受信した信号により映像を形成する「信号処理手段」は2系統設けられていることにより、それぞれの系統において、他方の系統の映像状態とは別個の状態の映像を形成することができる。そして、第一の処理系統12において、第一の信号処理部18と第一の座標変換相関処理部19とがメイン映像を形成すると共に、第二の処理系統13において、第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23とが、メイン映像に対応する映像であって、映像の状態の調整のための調整用映像をメイン映像とは別途形成し、制御部15が、第二の信号処理部22や第二の座標変換相関処理部23を制御することにより調整用映像の形成を調整することにより、メイン映像の映像状態を保持したままで、調整用映像の映像状態を調整することができる。これにより、メイン映像の映像状態を保持しつつ、天候や地理的条件の時々刻々の変化に伴って変化する映像状態がよりよい状態になるように試行錯誤し、より良好なレーダ画面を形成できる可能性を与えることができる。これにより、映像上の物標の良好な表示状態を維持しつつ、映像上のノイズを抑制するための試行錯誤を自由に行うことができるので、映像上の物標30等の表示状態の維持と向上を図ることができる。
【0064】
この実施の形態においては、第一の処理系統12の第一の信号処理部18と第一の座標変換相関処理部19とは、第二の処理系統13の第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23とによって調整用映像の調整が行われている間もメイン映像を形成することにより、メイン映像の映像状態を最低限度の映像状態として維持確保しつつ、調整用画像を、メイン画像よりも良好な画像を形成するための調整用に用いることができる。これにより、映像上の物標30等の表示状態の維持と向上を図ることができる。
【0065】
この実施の形態においては、第一の処理系統12の第一の信号処理部18と第一の座標変換相関処理部19とは、制御部15の制御による所定の制御があった場合、メイン映像を、第二の処理系統13の第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23との調整状態を反映させて、第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23との調整状態と同一ないし略同一の調整状態とすることにより、調整用映像がメイン映像よりも良好な映像状態に調整された場合には、メイン映像の映像状態を、調整用映像の映像状態と同じ状態に変更し、メイン映像をそれまでよりも良好な映像状態とすることができる。これにより、映像上の物標30等の表示状態の向上を図ることができる。
【0066】
この実施の形態においては、第一の処理系統12の第一の信号処理部18と第一の座標変換相関処理部19とにおいて形成したメイン映像を所定の期間記録する第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21を備え、第二の処理系統13の第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23とにおいて形成した調整用映像を所定の期間記録する第二の映像用メモリ24及び第二の航跡用メモリ25を備えることにより、メイン映像の物標30と航跡31、調整用映像の物標30と航跡31とをそれぞれ別個に表示させることや、調整用映像の映像状態の調整を行うことが可能となる。また、第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21に記録されたデータに基づいてメイン映像を表示部17のディスプレイ17Aに表示させることにより、調整用映像の調整中であっても、調整の状態とは無関係に、元のメイン映像の物標30と航跡31とを表示部17に表示させて、元の映像上の物標30や航跡31の表示状態を維持することができる。また、第二の映像用メモリ24及び第二の航跡用メモリ25に記録されたデータに基づいて調整用映像を表示部17のディスプレイ17Aに表示させることにより、メイン映像の映像状態に影響を与えずに調整用映像の物標30や航跡31の表示状態を調整し向上させることができる。
【0067】
この実施の形態においては、重畳選択部16において、第一の信号処理部18及び第一の座標変換相関処理部19において形成されたメイン映像と、第二の信号処理部22及び第二の座標変換相関処理部23において形成された調整用映像とを所定の基準に基づいて対比し、メイン映像と調整用映像とのうち良好な映像を判別することにより、メイン映像と調整用映像のどちらが良好な映像かを、所定の基準をもとに自動的に判別することが可能となる。これにより、表示部17のディスプレイ17Aに表示する映像の状態を、操作者の労力を煩わせることなく維持向上させることが可能になる。
【0068】
この実施の形態においては、船舶10Bに搭載された船舶用レーダ10Aにおいて、映像上の物標30等の表示状態の維持と向上を図ることができる。
【0069】
なお、この実施の形態においては、メイン映像を形成する第一の処理系統12と調整用映像を形成する第二の処理系統13とを設ける構成としたが、これに限定されず、第一の処理系統12や第二の処理系統13の一方又は双方を複数設けてメイン映像や調整用映像を複数形成する構成としたり、これらの系統とは別の系統例えば一又は複数の第三の系統(図示せず)を設けて多様な調整を可能とする構成も実現可能である。
【0070】
この実施の形態においては、第一の処理系統12側に第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21を設け、第二の処理系統13側に第二の映像用メモリ24及び第二の航跡用メモリ25を設ける構成としたが、これに限定されず、例えば第一の処理系統12側にのみ第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21を設け、第二の処理系統13側に第二の映像用メモリ24や第二の航跡用メモリ25を設けない構成としてもよいし、第一の処理系統12側にのみ第一の映像用メモリ20及び第一の航跡用メモリ21を設け、第一の処理系統12と第二の処理系統13とで共用としてもよい。
【0071】
この実施の形態においては、第一の座標変換相関処理部19及び第二の座標変換相関処理部23において、データの座標系を極座標系から直交座標系に変換する構成としたが、これに限定されず、データの座標系をどのような座標系に変換してもよい。あるいは、第一の座標変換相関処理部19及び第二の座標変換相関処理部23を設けず、第一の信号処理部18や第二の信号処理部22で形成したデータの座標系をそのまま表示部17で表示される映像の形成に用いてもよい。
【0072】
この実施の形態においては、第一の処理系統12の第一の信号処理部18と第一の座標変換相関処理部19とにおいて形成したメイン映像に、第二の処理系統13の第二の信号処理部22と第二の座標変換相関処理部23とにおいて調整した調整用映像の映像状態を反映させる構成としたが、これに限定されず、例えば、調整用画像の調整が完了した後、第一の処理系統12と第二の処理系統13とを入れ替えて、調整用映像をそのままメイン映像とする構成としてもよい。
【0073】
この実施の形態においては、この発明を、船舶10Bに設置された船舶用レーダ10Aとして構成したが、これに限定されず、船舶10B以外に設置されたレーダ、例えば陸上に設置された漁場監視レーダ等として構成してもよい。
【0074】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。