特許第6815250号(P6815250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815250
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】床暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
   F24D3/00 S
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-66394(P2017-66394)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-169084(P2018-169084A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 尚克
(72)【発明者】
【氏名】松尾 岳明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼溝 将輝
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−179749(JP,A)
【文献】 特開2011−257092(JP,A)
【文献】 特開2012−207859(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0048719(US,A1)
【文献】 特開2004−3684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房対象室の床部に設置される床暖房パネルを有して前記暖房対象室を暖める床暖房装置と、
前記床暖房装置の作動を制御する制御装置と、
前記床暖房装置を運転停止させる停止予定時刻の入力を可能にする入力部と、
前記暖房対象室の室温を検出する室温検出器とを備えた床暖房システムであって、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転開始時点から運転停止時点までの連続運転時間を取得して記憶する運転時間取得処理と、
前記運転停止時点の前記室温が設定下限温度に低下するまでに要する前記運転停止時点からの所要時間、又は、前記運転停止時点の前記室温が単位温度低下するまでに要する所要時間を計測し、計測した前記所要時間を実快温維持時間として記憶する快温時間取得処理と、
前記連続運転時間が、前記床暖房装置を前記停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切りが可能になる早切り可能時間に達しているか否かを判定して判定結果を記憶する早切り判定処理と、
直近の数日間に記憶した複数の前記判定結果と複数の前記実快温維持時間とに基づいて、今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達した場合に得られる快温維持時間を推定する快温時間推定処理とを行うとともに、
前記早切り判定処理にて今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に、前記快温維持時間に基づいて前記床暖房装置の早切りに関する制御処理を行う床暖房システム。
【請求項2】
文字情報を表示する表示装置を備え、
前記制御装置は、前記早切りに関する制御処理として、前記快温維持時間を早切り許容時間として前記表示装置に表示させる早切り時間表示処理を行う請求項1に記載の床暖房システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記入力部から前記停止予定時刻が入力された場合は、
前記運転時間取得処理において、今回の前記運転開始時点と前記停止予定時刻と前記快温維持時間とから今回の前記連続運転時間を取得し、
前記早切り判定処理において、今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達しているか否かを判定し、
前記早切り判定処理にて今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していないと判定した場合は、前記停止予定時刻に前記床暖房装置を運転停止させる予定時刻停止処理を行い、
前記早切り判定処理にて今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合は、前記早切りに関する制御処理として、前記停止予定時刻から前記快温維持時間を遡った早切り時刻に前記床暖房装置を運転停止させる早切り処理を行う請求項1又は2に記載の床暖房システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記快温時間推定処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記実快温維持時間から、前記早切り判定処理にて前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した前記実快温維持時間を抽出する抽出処理と、
抽出した前記実快温維持時間の平均時間を前記快温維持時間として求める平均化処理とを行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の床暖房システム。
【請求項5】
外気温を検出する外気温検出器を備え、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転中に外気温を取得して記憶する外気温取得処理を行い、
前記快温時間推定処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記実快温維持時間と複数の前記外気温とに基づいて、前記早切り判定処理にて前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した前記実快温維持時間と前記外気温との対応関係を示す第1関係情報を生成する第1情報生成処理と、
今回の前記床暖房装置の運転中に前記外気温取得処理で取得した最新外気温と前記第1関係情報とに基づいて、直近の数日間に記憶した複数の前記外気温のうちの前記最新外気温に最も近い外気温に対応する前記実快温維持時間を前記快温維持時間として抽出する抽出処理とを行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の床暖房システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記外気温取得処理において、前記外気温の取得時刻を記憶し、
前記第1情報生成処理において、直近の数日間に記憶した複数の前記外気温と複数の前記取得時刻との対応関係を生成し、
前記抽出処理において、前記最新外気温に最も近い外気温が複数ある場合は、前記最新外気温の取得時刻に最も似た時刻に取得された外気温に対応する前記実快温維持時間を前記快温維持時間として抽出する請求項5に記載の床暖房システム。
【請求項7】
外気温を検出する外気温検出器を備え、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転中に外気温を取得して記憶する外気温取得処理を行い、
前記快温時間推定処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記実快温維持時間と複数の前記外気温とに基づいて、前記早切り判定処理にて前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した前記実快温維持時間と前記外気温との関係を示す近似式を生成する近似式生成処理と、
今回の前記床暖房装置の運転中に前記外気温取得処理で取得した最新外気温と前記近似式とに基づいて、前記最新外気温に対応する前記快温維持時間を求める演算処理とを行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の床暖房システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記早切り可能時間を取得する早切り可能時間取得処理を行い、
前記早切り可能時間取得処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記連続運転時間と複数の前記実快温維持時間とに基づいて、直近の数日間での前記連続運転時間とその直後の前記実快温維持時間との対応関係を示す第2関係情報を生成する第2情報生成処理と、
前記第2関係情報に基づいて、前記実快温維持時間が最も長くなったときの直前の前記連続運転時間を抽出する抽出処理と、
抽出した前記連続運転時間から最短連続運転時間を選択する選択処理と、
選択した前記最短連続運転時間を前記早切り可能時間として記憶する記憶処理とを行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の床暖房システム。
【請求項9】
外気温を検出する外気温検出器を備え、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転中に外気温を取得して記憶する外気温取得処理と、
前記早切り可能時間を取得する早切り可能時間取得処理とを行い、
前記早切り可能時間取得処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記連続運転時間と複数の前記実快温維持時間と複数の前記外気温とに基づいて、直近の数日間での前記連続運転時間とその直後の前記実快温維持時間と前記外気温との対応関係を示す第2関係情報を生成する第2情報生成処理と、
前記第2関係情報に基づいて、前記外気温ごとに前記実快温維持時間が最も長くなったときの直前の前記連続運転時間を抽出する抽出処理と、
抽出した前記連続運転時間から前記外気温ごとの最短連続運転時間を選択する選択処理と、
選択した前記外気温ごとの前記最短連続運転時間を前記早切り可能時間として記憶する記憶処理と、
今回の前記床暖房装置の運転中に前記外気温取得処理で取得した最新外気温と、記憶した前記外気温ごとの前記早切り可能時間とに基づいて、前記最新外気温に最も近い前記外気温に対応する前記早切り可能時間を判定用の早切り可能時間に設定する設定処理とを行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の床暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房対象室の床部に設置される床暖房パネルを有して前記暖房対象室を暖める床暖房装置と、前記床暖房装置の作動を制御する制御装置と、前記床暖房装置を運転停止させる停止予定時刻の入力を可能にする入力部と、前記暖房対象室の室温を検出する室温検出器とを備えた床暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
床暖房システムとしては、床暖房装置を停止させる停止予定時刻(熱処理不要時刻)よりも事前停止用時間だけ前の時点において床暖房装置(暖房装置本体)を運転停止させる事前停止処理の実行が可能に構成された制御装置(制御手段)と、事前停止処理を実行するか否かの人為選択を可能にする実行選択手段とを備えて、実行選択手段にて事前停止処理の実行が人為選択されている場合には、制御手段が事前停止処理を実行し、かつ、実行選択手段にて事前停止処理の実行が人為選択されていない場合には、制御手段が事前停止処理を実行しないように構成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、特許文献1に記載の床暖房システムは、制御装置が、床暖房装置の運転停止後に暖房対象室の温度が対象域用基準温度に低下するまでに経過する経過時間を域温度低下予測条件に基づいて予測して、その経過時間を事前停止用時間に設定するように、又は、制御装置が、床暖房装置の運転停止後に床暖房パネルが設置された床部の表面温度が床用基準温度に低下するまでに経過する経過時間を表面温度低下予測条件に基づいて予測して、その予測した経過時間を事前停止用時間に設定するように構成されている。
【0004】
そして、特許文献1には、域温度低下予測条件として、例えば、暖房対象室の温度が時間経過に伴って低下する時系列的な域温度低下情報とすることができ、又、このような域温度低下情報を、以前に床暖房装置を運転停止させた際における暖房対象室の温度の時系列的な変化を計測して、その計測した情報に基づいて定めることが例示されている。
【0005】
又、特許文献1には、表面温度低下予測条件としては、例えば、床暖房パネルが設置された床部の表面温度が時間経過に伴って低下する時系列的な表面温度低下情報とすることができ、又、このような表面温度低下情報を、以前に床暖房装置を運転停止させた際における床部の表面温度の時系列的な変化を計測して、その計測した情報に基づいて定めることが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5530220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
床暖房システムは、床暖房パネルで床材を暖めることによって生じる熱の輻射、伝導、対流を利用することにより、暖房対象室の全体をムラなく均一に暖めることができる。又、床暖房システムは、床暖房パネルからの熱が暖房対象室の壁や天井などに吸収される蓄熱効果により、壁や天井などに熱が充分に蓄えられている状態においては、床暖房装置を運転停止させた後も、所定時間は、壁や天井などからの輻射熱により、暖房対象室の温度を快適な温度に維持することができる。
【0008】
特許文献1に記載の床暖房システムは、前述した床暖房システムの特徴を利用して構成されたものであり、使用者が実行選択手段にて事前停止処理の実行を選択した場合に、制御手段が事前停止処理を実行することにより、床暖房装置を、停止予定時刻よりも事前停止用時間だけ前の時点において運転停止させながらも、この運転停止から停止予定時刻までの間は、壁や天井などからの輻射熱により、暖房対象室の温度を快適な温度に維持するようにしている。
【0009】
しかしながら、床暖房装置の運転停止後に得られる壁や天井などからの輻射熱は、床暖房パネルからの熱が暖房対象室の壁や天井などに充分に蓄えられている状態において得られるものである。そのため、暖房対象室の壁や天井などに熱が充分に蓄えられていない状態において、使用者が実行選択手段にて事前停止処理の実行を選択した場合は、床暖房装置の運転停止から停止予定時刻までの間、暖房対象室の温度を壁や天井などからの輻射熱によって快適な温度に維持することができなくなる。
【0010】
つまり、特許文献1に記載の床暖房システムにおいては、使用者が、床暖房パネルからの熱が暖房対象室の壁や天井などに充分に蓄えられているか否かを判定し、この判定結果に基づいて、実行選択手段にて事前停止処理の実行を選択するか否かの選択を行う必要がある。そのため、使用者の判定に誤りがある場合は、床暖房装置の運転停止から停止予定時刻までの間、暖房対象室の温度を壁や天井などからの輻射熱によって快適な温度に維持することができなくなる、又は、停止予定時刻を過ぎても、暖房対象室の温度が壁や天井などからの輻射熱によって不要に快適な温度に維持される、といった不都合を招くことになる。
【0011】
つまり、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態が、床暖房装置を停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切りが可能な状態か否かの判定を、自動的に精度良く行えるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための構成として、
本発明は、暖房対象室の床部に設置される床暖房パネルを有して前記暖房対象室を暖める床暖房装置と、前記床暖房装置の作動を制御する制御装置と、前記床暖房装置を運転停止させる停止予定時刻の入力を可能にする入力部と、前記暖房対象室の室温を検出する室温検出器とを備えた床暖房システムにおいて、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転開始時点から運転停止時点までの連続運転時間を取得して記憶する運転時間取得処理と、
前記運転停止時点の前記室温が設定下限温度に低下するまでに要する前記運転停止時点からの所要時間、又は、前記運転停止時点の前記室温が単位温度低下するまでに要する所要時間を計測し、計測した前記所要時間を実快温維持時間として記憶する快温時間取得処理と、
前記連続運転時間が、前記床暖房装置を前記停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切りが可能になる早切り可能時間に達しているか否かを判定して判定結果を記憶する早切り判定処理と、
直近の数日間に記憶した複数の前記判定結果と複数の前記実快温維持時間とに基づいて、今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達した場合に得られる快温維持時間を推定する快温時間推定処理とを行うとともに、
前記早切り判定処理にて今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に、前記快温維持時間に基づいて前記床暖房装置の早切りに関する制御処理を行うように構成されている。
【0013】
この構成によると、制御装置は、床暖房装置が運転されるごとに運転時間取得処理と早切り判定処理とを行い、これらの処理により、床暖房装置の連続運転時間を取得して記憶するとともに、この連続運転時間が早切り可能時間に達しているか否かを判定して判定結果を記憶する。ここでの早切り可能時間は、床暖房装置を停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切りが可能になる時間、つまり、床暖房パネルからの熱が暖房対象室の壁や天井などに充分に蓄えられていると推測される時間であることから、制御装置は、早切り判定処理において、暖房対象室の壁や天井などに床暖房パネルからの熱が充分に蓄えられているか否かを判定することになる。そして、制御装置は、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分である場合に早切りに関する制御処理を行うことになる。
【0014】
つまり、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態が床暖房装置の早切りが可能な状態か否かの判定を、制御装置の早切り判定処理によって自動的に精度良く行える。又、これにより、この早切り判定処理にて床暖房装置の早切りが可能と判定された場合に、快温維持時間に基づく床暖房装置の早切りに関する制御処理を精度良く行える。
【0015】
又、制御装置は、床暖房装置が運転されるごとに快温時間取得処理を行い、この処理により、床暖房装置の運転停止後に得られる実快温維持時間を計測して記憶する。この実快温維持時間には、暖房対象室の構造(例えば断熱性など)や暖房対象室周辺の外気温などの影響を受ける暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱具合が加味されている。又、実快温維持時間は、直前の床暖房装置の連続運転時間が早切り可能時間に達している場合は、床暖房パネルからの熱が暖房対象室の壁や天井などに充分に蓄えられていることによって安定して長くなる。実快温維持時間は、直前の床暖房装置の連続運転時間が早切り可能時間に達していない場合は、連続運転時間が短くなるほど、暖房対象室の壁や天井などに蓄えられる熱量が少なくなることによって大幅に短くなる。
【0016】
更に、制御装置は、床暖房装置の運転が開始されるごとに快温時間推定処理を行い、この処理により、今回の床暖房装置の連続運転時間が早切り可能時間に達した場合に得られる快温維持時間を推定する。そして、この快温時間推定処理においては、快温時間取得処理で得た実快温維持時間だけでなく、実快温維持時間と早切り判定処理で得た判定結果とに基づいて快温維持時間を推定することから、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態を考慮した状態で快温維持時間を推定することができる。又、この快温時間推定処理においては、以前に取得した全ての実快温維持時間と全ての判定結果とに基づいて快温維持時間を推定するのではなく、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の判定結果と複数の実快温維持時間とに基づいて快温維持時間を推定することから、外気温を検出する外気温検出器などを設けることなく、快温時間推定処理に要する負担を軽減しながら、外気温などを考慮した状態で快温維持時間を推定することができる。つまり、この快温時間推定処理においては、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態及び外気温などを考慮した精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0017】
そして、制御装置は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合に、前述した推測精度の高い快温維持時間に基づいて床暖房装置の早切りに関する制御処理を行うことから、床暖房装置の早切りに関する制御処理をより精度良く行うことができる。
【0018】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
文字情報を表示する表示装置を備え、
前記制御装置は、前記早切りに関する制御処理として、前記快温維持時間を早切り許容時間として前記表示装置に表示させる早切り時間表示処理を行うように構成されている。
【0019】
この構成によると、制御装置が早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合は、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態及び外気温などを考慮した推定精度の高い快温維持時間が早切り許容時間として表示装置に表示される。これにより、使用者は、暖房対象室から退出する何分前に床暖房装置を運転停止させることができるかを、表示装置に表示された早切り許容時間を目視することによって容易に把握することができる。そして、使用者は、暖房対象室を退出する予定時刻から早切り許容時間を遡った時刻に床暖房装置を運転停止させることにより、床暖房装置の不要な運転を回避しながら、床暖房装置の運転停止時点から退出予定時刻までの間も、室温が快適な温度に維持された暖房対象室において快適に過ごすことができる。
【0020】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
前記制御装置は、前記入力部から前記停止予定時刻が入力された場合は、
前記運転時間取得処理において、今回の前記運転開始時点と前記停止予定時刻と前記快温維持時間とから今回の前記連続運転時間を取得し、
前記早切り判定処理において、今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達しているか否かを判定し、
前記早切り判定処理にて今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していないと判定した場合は、前記停止予定時刻に前記床暖房装置を運転停止させる予定時刻停止処理を行い、
前記早切り判定処理にて今回の前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合は、前記早切りに関する制御処理として、前記停止予定時刻から前記快温維持時間を遡った早切り時刻に前記床暖房装置を運転停止させる早切り処理を行うように構成されている。
【0021】
この構成によると、制御装置は、使用者により停止予定時刻が入力されると、運転時間取得処理において、今回の運転開始時点から停止予定時刻までの時間から快温時間推定処理で得た快温維持時間を除いた時間を今回の連続運転時間として取得する。そして、制御装置は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していないと判定した場合は、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分ではなく、快温維持時間が経過するまでの間、暖房対象室の壁や天井などからの輻射熱だけで暖房対象室の温度を快適な温度に維持することができないことから、予定時刻停止処理を行う。又、制御装置は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合は、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分であり、快温維持時間が経過するまでの間、暖房対象室の壁や天井などからの輻射熱だけで暖房対象室の温度を快適な温度に維持することができることから、早切り処理を行う。
【0022】
その結果、今回の連続運転時間が早切り可能時間に達しているか否かにかかわらず、使用者は、床暖房装置の運転開始時点から停止予定時刻までの間、室温が快適な温度に維持された暖房対象室において快適に過ごすことができる。そして、今回の連続運転時間が早切り可能時間に達している場合は、床暖房装置の不要な運転を自動的に回避することができる。
【0023】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
前記制御装置は、前記快温時間推定処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記実快温維持時間から、前記早切り判定処理にて前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した前記実快温維持時間を抽出する抽出処理と、
抽出した前記実快温維持時間の平均時間を前記快温維持時間として求める平均化処理とを行うように構成されている。
【0024】
この構成によると、制御装置は、快温時間推定処理においては、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間から、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分でないときに取得した実快温維持時間を除外し、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分であるときに取得した実快温維持時間のみの平均時間を求めて、この平均時間を快温維持時間とすることになる。
【0025】
その結果、制御装置は、快温時間推定処理において、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態及び外気温などを適正に考慮したより精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0026】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
外気温を検出する外気温検出器を備え、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転中に外気温を取得して記憶する外気温取得処理を行い、
前記快温時間推定処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記実快温維持時間と複数の前記外気温とに基づいて、前記早切り判定処理にて前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した前記実快温維持時間と前記外気温との対応関係を示す第1関係情報を生成する第1情報生成処理と、
今回の前記床暖房装置の運転中に前記外気温取得処理で取得した最新外気温と前記第1関係情報とに基づいて、直近の数日間に記憶した複数の前記外気温のうちの前記最新外気温に最も近い外気温に対応する前記実快温維持時間を前記快温維持時間として抽出する抽出処理とを行うように構成されている。
【0027】
この構成によると、制御装置は、快温時間推定処理においては、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間から、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分でないときに取得した実快温維持時間を除外し、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分であるときに取得した実快温維持時間のうちから、今回の暖房時の外気温に最も近い外気温に対応する実快温維持時間を抽出して、この実快温維持時間を快温維持時間とすることになる。
【0028】
その結果、制御装置は、快温時間推定処理において、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態及び暖房時の外気温などを適正に考慮したより精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0029】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
前記制御装置は、
前記外気温取得処理において、前記外気温の取得時刻を記憶し、
前記第1情報生成処理において、直近の数日間に記憶した複数の前記外気温と複数の前記取得時刻との対応関係を生成し、
前記抽出処理において、前記最新外気温に最も近い外気温が複数ある場合は、前記最新外気温の取得時刻に最も似た時刻に取得された外気温に対応する前記実快温維持時間を前記快温維持時間として抽出するように構成されている。
【0030】
この構成によると、例えば、取得時刻が夜間から明け方までの時刻であれば、この時刻に取得した外気温が下がり勾配の外気温であることを知ることができる。又、取得時刻が朝から昼までの時刻であれば、この時刻に取得した外気温が上がり勾配の外気温であること知ることができる。この点を利用して、最新外気温の取得時刻に最も似た時刻に取得された外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として抽出するようにすれば、最新外気温と同じ勾配の外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として採用することができる。これにより、最新外気温と逆勾配の外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として採用する場合に比較して、より精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0031】
その結果、制御装置は、快温時間推定処理において、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態及び外気温などに加えて、快温維持時間に影響を及ぼす外気温の取得時刻をも考慮した、より精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0032】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
外気温を検出する外気温検出器を備え、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転中に外気温を取得して記憶する外気温取得処理を行い、
前記快温時間推定処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記実快温維持時間と複数の前記外気温とに基づいて、前記早切り判定処理にて前記連続運転時間が前記早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した前記実快温維持時間と前記外気温との関係を示す近似式を生成する近似式生成処理と、
今回の前記床暖房装置の運転中に前記外気温取得処理で取得した最新外気温と前記近似式とに基づいて、前記最新外気温に対応する前記快温維持時間を求める演算処理とを行うように構成されている。
【0033】
この構成によると、制御装置は、快温時間推定処理においては、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間及び複数の外気温から、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分でないときに取得した実快温維持時間と外気温とを除外し、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱が充分であるときに取得した実快温維持時間及び外気温から、実快温維持時間と外気温との関係を示す近似式を生成し、この近似式と今回の床暖房装置の運転中に取得した外気温とに基づいて、今回の暖房時の外気温に対応する快温維持時間を求めることになる。
【0034】
その結果、制御装置は、快温時間推定処理において、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱状態及び暖房時の外気温などを適正に考慮したより精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0035】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
前記制御装置は、
前記早切り可能時間を取得する早切り可能時間取得処理を行い、
前記早切り可能時間取得処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記連続運転時間と複数の前記実快温維持時間とに基づいて、直近の数日間での前記連続運転時間とその直後の前記実快温維持時間との対応関係を示す第2関係情報を生成する第2情報生成処理と、
前記第2関係情報に基づいて、前記実快温維持時間が最も長くなったときの直前の前記連続運転時間を抽出する抽出処理と、
抽出した前記連続運転時間から最短連続運転時間を選択する選択処理と、
選択した前記最短連続運転時間を前記早切り可能時間として記憶する記憶処理とを行うように構成されている。
【0036】
この構成によると、早切り可能時間取得処理においては、制御装置は、第2情報生成処理と抽出処理とを行うことにより、早切り可能時間の取得に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した連続運転時間とその直後の実快温維持時間との対応関係から、実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間を抽出する。これにより、外気温を考慮した状態で、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量が最大になったときの連続運転時間を取得することができる。そして、制御装置は、選択処理と記憶処理とを行うことにより、抽出した連続運転時間から最短連続運転時間を選択し、選択した最短連続運転時間を早切り可能時間として記憶する。これにより、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最小限の連続運転時間を取得することができ、この最小限の連続運転時間を早切り可能時間として記憶することができる。
【0037】
つまり、外気温などを考慮した状態で、暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最短連続運転時間を取得することができ、この最短連続運転時間を早切り可能時間として早切り判定処理において使用することができる。
【0038】
その結果、制御装置は、早切り判定処理を、外気温などを考慮して取得した最短連続運転時間に基づいてより適正に行うことができる。
【0039】
本発明をより好適にするための構成の一つとして、
外気温を検出する外気温検出器を備え、
前記制御装置は、
前記床暖房装置の運転中に外気温を取得して記憶する外気温取得処理と、
前記早切り可能時間を取得する早切り可能時間取得処理とを行い、
前記早切り可能時間取得処理として、
直近の数日間に記憶した複数の前記連続運転時間と複数の前記実快温維持時間と複数の前記外気温とに基づいて、直近の数日間での前記連続運転時間とその直後の前記実快温維持時間と前記外気温との対応関係を示す第2関係情報を生成する第2情報生成処理と、
前記第2関係情報に基づいて、前記外気温ごとに前記実快温維持時間が最も長くなったときの直前の前記連続運転時間を抽出する抽出処理と、
抽出した前記連続運転時間から前記外気温ごとの最短連続運転時間を選択する選択処理と、
選択した前記外気温ごとの前記最短連続運転時間を前記早切り可能時間として記憶する記憶処理と、
今回の前記床暖房装置の運転中に前記外気温取得処理で取得した最新外気温と、記憶した前記外気温ごとの前記早切り可能時間とに基づいて、前記最新外気温に最も近い前記外気温に対応する前記早切り可能時間を判定用の早切り可能時間に設定する設定処理とを行うように構成されている。
【0040】
この構成によると、早切り可能時間取得処理においては、制御装置は、第2情報生成処理と抽出処理とを行うことにより、早切り可能時間の取得に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した連続運転時間とその直後の実快温維持時間と外気温との対応関係から、外気温ごとに実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間を抽出する。これにより、外気温ごとに暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量が最大になったときの連続運転時間を取得することができる。又、制御装置は、選択処理と記憶処理とを行うことにより、抽出した連続運転時間から外気温ごとの最短連続運転時間を選択し、選択した外気温ごとの最短連続運転時間を早切り可能時間として記憶する。これにより、外気温ごとに異なる暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最小限の連続運転時間を取得することができ、これらの最小限の連続運転時間を外気温ごとの早切り可能時間として記憶することができる。そして、制御装置は、設定処理を行うことにより、記憶した外気温ごとの早切り可能時間から、今回の暖房時の外気温に最も近い外気温に対応する早切り可能時間を抽出して、この早切り可能時間を判定用の早切り可能時間に設定することになる。
【0041】
つまり、外気温などによって異なる暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最短連続運転時間を取得することができ、これらの外気温ごとの最短連続運転時間から、今回の暖房時の外気温に最も近い外気温に対応する早切り可能時間を判定用の早切り可能時間として早切り判定処理において使用することができる。
【0042】
その結果、制御装置は、早切り判定処理を、外気温などによって異なる暖房対象室の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最短連続運転時間に基づいて、より適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】床暖房システムの概略図である。
図2】直近の数日間において早切り判定処理にて連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した実快温維持時間と外気温との対応関係を示す図である。
図3】直近の数日間での床暖房装置の連続運転時間とその直後の実快温維持時間と外気温との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、床暖房システムの一例である温水式の床暖房システムに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0045】
図1に示すように、本実施形態に例示された温水式の床暖房システムは、暖房対象室1を暖める床暖房装置2、床暖房装置2の作動を制御する制御装置3、及び、暖房対象室1に制御装置3と通信可能に設置された遠隔操作装置4、などを備えている。
【0046】
床暖房装置2は、暖房対象室1の床部に設置される床暖房パネル5、床暖房パネル5に熱媒を循環供給する熱源機6、熱源機6から床暖房パネル5にわたる熱媒供給路を形成する供給用配管7、床暖房パネル5から熱源機6にわたる熱媒還元路を形成する還元用配管8、床暖房パネル5に対する熱媒の供給を断続する熱動弁9、などを備えている。
【0047】
床暖房パネル5は、供給用配管7と還元用配管8とに接続された暖房用配管10、及び、暖房用配管10が蛇行状に敷設されたパネル材11、などを備えている。
【0048】
図示は省略するが、熱源機6は、熱媒を熱媒加熱用の熱交換器に経由させる機内配管、熱交換器を加熱するガスバーナ、ガスバーナに燃焼用空気を供給する送風機、及び、熱媒を循環させる循環ポンプ、などを備えている。これにより、熱源機6は、所定の目標温度(例えば、60℃など)に昇温させた熱媒を床暖房パネル5に循環供給するように構成されている。
【0049】
熱動弁9は、所定の設定サイクル時間で開閉されることにより、熱媒を床暖房パネル5に間欠的に循環供給する。熱動弁9は、開弁時間のデューティ比が複数段階に変更されることにより、床暖房パネル5の暖房能力を複数段階に調整する。
【0050】
図1に示すように、遠隔操作装置4は、使用者による入力操作を可能にする入力部12、文字情報などを表示する液晶式の表示装置13、及び、暖房対象室1の室温を検出する室温検出器14、などを備えている。入力部12には、床暖房装置2の運転開始操作と運転停止操作とを可能にする運転スイッチ12A、暖房能力の選択操作を可能にする選択スイッチ12B、及び、床暖房装置2を運転停止させる停止予定時刻などの数値入力を可能にする数値入力スイッチ12C、などが備えられている。
【0051】
制御装置3は、演算処理機能及び情報記憶機能などを有するマイクロプロセッサなどから構成されている。制御装置3は、床暖房装置2の運転停止中に運転スイッチ12Aが操作された場合は、床暖房装置2の運転を開始させる運転開始処理を行う。制御装置3は、床暖房装置2の運転中に運転スイッチ12Aが操作された場合は、床暖房装置2の運転を停止させる運転停止処理を行う。制御装置3は、選択スイッチ12Bの選択操作が行われた場合は、この選択操作に応じて熱動弁9における開弁時間のデューティ比を変更して床暖房装置2の暖房能力を調整する暖房能力調整処理を行う。
【0052】
図2〜3に示すように、制御装置3は、予め記憶された早切り情報に基づいて床暖房装置2を停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切り制御、早切り情報のうちの快温維持時間の適正化を図る第1適正化制御、及び、早切り情報のうちの早切り可能時間の適正化を図る第2適正化制御、などを行うように構成されている。
【0053】
制御装置3は、早切り制御においては、床暖房装置2が運転されるごとに運転時間取得処理及び早切り判定処理などを行う。
制御装置3は、運転時間取得処理においては、今回の床暖房装置2の運転開始時点と、入力された床暖房装置2の停止予定時刻と、予め記憶された快温維持時間とから、今回の床暖房装置2の連続運転時間を取得する。
制御装置3は、早切り判定処理においては、取得した今回の連続運転時間が、床暖房装置2の停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切りが可能になる早切り可能時間に達しているか否かを判定する。
制御装置3は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していないと判定した場合は、停止予定時刻に床暖房装置2を運転停止させる予定時刻停止処理を行う。
制御装置3は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合は、数値入力スイッチ12Cの操作によって停止予定時刻が入力されているか否かを判定する停止時刻入力判定処理を行う。
制御装置3は、停止時刻入力判定処理にて停止予定時刻が入力されていると判定した場合は、早切りに関する制御処理として、快温維持時間を早切り許容時間として表示装置13に表示させる早切り時間表示処理と、停止予定時刻から快温維持時間を遡った早切り時刻に床暖房装置2を運転停止させる早切り処理とを行う。
制御装置3は、停止時刻入力判定処理にて停止予定時刻が入力されていないと判定した場合は、早切り時間表示処理のみを行う。
【0054】
上記の構成によると、制御装置3は、床暖房装置2が運転されるごとに運転時間取得処理と早切り判定処理とを行い、これらの処理により、床暖房装置2の連続運転時間を取得して記憶するとともに、この連続運転時間が早切り可能時間に達しているか否かを判定して判定結果を記憶する。そして、ここでの早切り可能時間は、床暖房装置2を停止予定時刻よりも前の早切り時刻に運転停止させる早切りが可能になる時間、つまり、床暖房パネル5からの熱が暖房対象室1の壁や天井などに充分に蓄えられていると推測される時間であることから、制御装置3は、早切り判定処理において、暖房対象室1の壁や天井などに、床暖房パネル5からの熱が充分に蓄えられているか否かを判定することになる。そして、制御装置3は、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分である場合に早切り時間表示処理及び早切り処理を行うことになる。
【0055】
つまり、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱状態が床暖房装置2の早切りが可能な状態か否かの判定を、制御装置3の早切り判定処理によって自動的に精度良く行える。又、これにより、この早切り判定処理にて床暖房装置の早切りが可能と判定された場合に、快温維持時間に基づく早切り時間表示処理及び早切り処理を精度良く行える。
【0056】
そして、使用者が停止予定時刻を入力している場合は、制御装置3の早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定されたときに、制御装置3が早切り処理を行うことにより、床暖房装置2の不要な運転を回避しながら、床暖房装置2の運転停止時点から退出予定時刻までの間も、暖房対象室1の室温を快適な温度に維持することができる。
【0057】
又、使用者が停止予定時刻を入力していない場合は、制御装置3の早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定されたときに、制御装置3の早切り時間表示処理によって表示装置13にて快温維持時間が早切り許容時間として表示されることから、使用者は、暖房対象室1から退出する何時間前に床暖房装置2を運転停止させることができるかを、表示装置13に表示された早切り許容時間を目視することによって容易に把握することができる。そして、使用者は、暖房対象室1を退出する予定時刻から早切り許容時間を遡った時刻に床暖房装置2を運転停止させることにより、床暖房装置2の不要な運転を回避しながら、床暖房装置2の運転停止時点から退出予定時刻までの間も、室温が快適な温度に維持された暖房対象室1において快適に過ごすことができる。
【0058】
図2に示すように、制御装置3は、第1適正化制御においては、床暖房装置2が運転されるごとに、運転時間取得処理、外気温取得処理、早切り判定処理、及び、快温時間推定処理、などを行い、床暖房装置2が運転されるごとに快温時間取得処理を行う。
制御装置3は、運転時間取得処理においては、床暖房装置2の運転開始時点から運転停止時点までの連続運転時間を計測して記憶する。
制御装置3は、外気温取得処理においては、床暖房装置2の熱源機6に備えた外気温検出器15を利用して、床暖房装置2の運転中に外気温を取得し、取得した外気温を記憶する。
制御装置3は、快温時間取得処理においては、床暖房装置2の運転停止時点での暖房対象室1の室温が設定下限温度に低下するまでに要する運転停止時点からの所要時間を計測し、計測した所要時間を実快温維持時間として記憶する。
制御装置3は、早切り判定処理においては、床暖房装置2の連続運転時間が早切り可能時間に達しているか否かを判定して判定結果を記憶する。
制御装置3は、快温時間推定処理においては、直近の数日間(例えば7日間)に記憶した複数の判定結果と複数の実快温維持時間と複数の外気温とに基づいて、今回の床暖房装置2の連続運転時間が早切り可能時間に達した場合に得られる快温維持時間を推定して記憶する。詳しくは、制御装置3は、快温時間推定処理として第1情報生成処理と抽出処理とを行う。そして、第1情報生成処理においては、直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間と複数の外気温とに基づいて、早切り判定処理にて連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した実快温維持時間と外気温との対応関係を示す第1関係情報(図2参照)を生成して記憶する。抽出処理においては、今回の床暖房装置2の運転中に外気温取得処理で取得した最新外気温と第1関係情報とに基づいて、直近の数日間に記憶した複数の外気温のうちの最新外気温に最も近い外気温に対応する実快温維持時間を抽出して快温維持時間として記憶する。具体的には、例えば、最新外気温が4℃であり、第1関係情報が図2に示すものであれば、外気温が最新外気温に最も近い5℃であった1月11日の実快温維持時間である40分を抽出し、この40分を快温維持時間として記憶する。
【0059】
上記の構成により、制御装置3は、床暖房装置2が運転されるごとに運転時間取得処理と早切り判定処理とを行い、これらの処理により、床暖房装置2の連続運転時間を取得して記憶するとともに、この連続運転時間が早切り可能時間に達しているか否かを判定して判定結果を記憶する。
【0060】
又、制御装置3は、床暖房装置2が運転されるごとに快温時間取得処理を行い、この処理により、床暖房装置2の運転停止後に得られる実快温維持時間を計測して記憶する。この実快温維持時間には、暖房対象室1の構造や暖房対象室周辺の外気温などの影響を受ける暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱具合が加味されている。又、実快温維持時間は、直前の床暖房装置2の連続運転時間が早切り可能時間に達している場合は、床暖房パネル5からの熱が暖房対象室1の壁や天井などに充分に蓄えられていることによって安定して長くなる。実快温維持時間は、直前の床暖房装置2の連続運転時間が早切り可能時間に達していない場合は、連続運転時間が短くなるほど、暖房対象室1の壁や天井などに蓄えられる熱量が少なくなることによって大幅に短くなる。
【0061】
更に、制御装置3は、床暖房装置2が運転されるごとに快温時間推定処理を行い、この処理により、今回の床暖房装置2の連続運転時間が早切り可能時間に達した場合に得られる快温維持時間を推定する。そして、この快温時間推定処理においては、快温時間取得処理で得た実快温維持時間だけでなく、実快温維持時間と早切り判定処理で得た判定結果とに基づいて快温維持時間を推定することから、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱状態を考慮した状態で快温維持時間を推定することができる。又、この快温時間推定処理においては、以前に取得した全ての実快温維持時間と全ての判定結果とに基づいて快温維持時間を推定するのではなく、直近の数日間に記憶した複数の判定結果と複数の実快温維持時間とに基づいて快温維持時間を推定することから、快温時間推定処理に要する負担を軽減しながら快温維持時間を推定することができる。しかも、この快温時間推定処理においては、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間から、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分でないときに取得した実快温維持時間を除外し、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分であるときに取得した実快温維持時間のうちから、今回の暖房時の外気温に最も近い外気温に対応する実快温維持時間を抽出して、この実快温維持時間を快温維持時間として記憶することになる。
【0062】
その結果、制御装置3は、快温時間推定処理において、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱状態及び暖房時の外気温などを適正に考慮した精度の高い快温維持時間を推定することができる。又、これにより、制御装置3は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合に、前述した推測精度の高い快温維持時間に基づいて早切り時間表示処理及び早切り処理を行うことから、早切り時間表示処理及び早切り処理をより精度良く行うことができる。
【0063】
図3に示すように、制御装置3は、第2適正化制御においては、床暖房装置2が運転されるごとに、外気温取得処理と早切り可能時間取得処理とを行う。
制御装置3は、外気温取得処理においては、床暖房装置2の運転中に外気温を取得して記憶する。
制御装置3は、早切り可能時間取得処理においては、第2情報生成処理、抽出処理、選択処理、記憶処理、及び、設定処理を行う。
制御装置3は、第2情報生成処理においては、直近の数日間(例えば7日間)に記憶した複数の床暖房装置2の連続運転時間と複数の実快温維持時間と複数の外気温とに基づいて、直近の数日間での床暖房装置2の連続運転時間とその直後の実快温維持時間と外気温との対応関係を示す第2関係情報(図3参照)を生成する。
制御装置3は、抽出処理においては、第2関係情報に基づいて、外気温ごとに実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間を抽出する。具体的には、第2関係情報が図3に示すものであれば、外気温が6℃の場合は、実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間が60分になる。外気温が4℃の場合と3℃の場合は、実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間が40分になる。
制御装置3は、選択処理においては、抽出した床暖房装置2の連続運転時間から外気温ごとの最短連続運転時間を選択する。具体的には、第2関係情報が図3に示すものであれば、外気温が6℃の場合は最短連続運転時間が1.5時間になる。外気温が4℃の場合は連続運転時間が2時間になる。外気温が3℃の場合は最短連続運転時間が2.5時間になる。
制御装置3は、記憶処理においては、選択した外気温ごとの最短連続運転時間を早切り可能時間として記憶する。
制御装置3は、設定処理においては、今回の床暖房装置2の運転中に外気温取得処理で取得した最新外気温と、記憶した外気温ごとの早切り可能時間とに基づいて、最新外気温に最も近い外気温に対応する早切り可能時間を判定用の早切り可能時間に設定する。具体的には、例えば、最新外気温が4℃であり、第2関係情報が図3に示すものであれば、外気温が最新外気温に最も近い4℃であった1月21日の早切り可能時間である2時間を判定用の早切り可能時間に設定する。
【0064】
この構成によると、早切り可能時間取得処理においては、制御装置3は、第2情報生成処理と抽出処理とを行うことにより、早切り可能時間の取得に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した連続運転時間とその直後の実快温維持時間と外気温との対応関係から、外気温ごとに実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間を抽出する。これにより、外気温ごとに暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量が最大になったときの連続運転時間を取得することができる。又、実快温維持時間には、暖房対象室1の構造や暖房対象室周辺の外気温などの影響を受ける暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱具合が加味されていることから、直前の連続運転時間にも、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱具合が加味されていることになる。そして、制御装置3は、選択処理と記憶処理とを行うことにより、抽出した連続運転時間から外気温ごとの最短連続運転時間を選択し、選択した外気温ごとの最短連続運転時間を早切り可能時間として記憶する。これにより、外気温ごとに異なる暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最小限の連続運転時間を取得することができ、これらの最小限の連続運転時間を外気温ごとの早切り可能時間として記憶することができる。そして、制御装置3は、設定処理を行うことにより、記憶した外気温ごとの早切り可能時間から、今回の暖房時の外気温に最も近い外気温に対応する早切り可能時間を抽出して、この早切り可能時間を判定用の早切り可能時間に設定することになる。
【0065】
つまり、外気温などによって異なる暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最短連続運転時間を取得することができ、これらの最短連続運転時間から、今回の暖房時の外気温に最も近い外気温に対応する早切り可能時間を判定用の早切り可能時間として早切り判定処理において使用することができる。
【0066】
その結果、早切り判定処理を、外気温などによって異なる暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最短連続運転時間に基づいて、より適正に行うことができる。
【0067】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
【0068】
〔1〕床暖房システムは、床暖房パネル5に電気ヒータが埋設された電気式であってもよい。
【0069】
〔2〕制御装置3は、快温時間取得処理において、床暖房装置2の運転停止時点の室温が単位温度(例えば1℃)低下するまでに要する所要時間を計測し、計測した所要時間を実快温維持時間として記憶するように構成されていてもよい。
【0070】
〔3〕制御装置3は、快温時間推定処理においては、直近の数日間として、例えば、8日間以上、又は、6日間以下に記憶した複数の判定結果と複数の実快温維持時間と複数の外気温とに基づいて、前述した快温維持時間を推定するように構成されていてもよい。
【0071】
〔4〕制御装置3は、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合は、早切りに関する制御処理として、快温維持時間を早切り許容時間として表示装置13に表示させる早切り時間表示処理を行い、早切り判定処理にて今回の連続運転時間が早切り可能時間に達していないと判定した場合は、早切り時間表示処理を行わないように構成されていてもよい。
【0072】
〔5〕制御装置3は、外気温取得処理において、床暖房装置2の運転中に外気温を取得するとともに、外気温の取得時刻を記憶し、又、快温時間推定処理の第1情報生成処理において、直近の数日間に記憶した複数の外気温と複数の取得時刻との対応関係を生成し、抽出処理において、最新外気温に最も近い外気温が複数ある場合は、最新外気温の取得時刻に最も似た時刻に取得された外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として抽出するように構成されていてもよい。
この構成によると、例えば、取得時刻が夜間から明け方までの時刻であれば、この時刻に取得した外気温が下がり勾配の外気温であることを知ることができる。又、取得時刻が朝から昼までの時刻であれば、この時刻に取得した外気温が上がり勾配の外気温であること知ることができる。この点を利用して、最新外気温の取得時刻に最も似た時刻に取得された外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として抽出するようにすれば、最新外気温と同じ勾配の外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として採用することができる。これにより、最新外気温と逆勾配の外気温に対応する実快温維持時間を快温維持時間として採用する場合に比較して、より精度の高い快温維持時間を推定することができる。
その結果、制御装置3は、快温時間推定処理において、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱状態及び外気温などに加えて、快温維持時間に影響を及ぼす外気温の取得時刻をも考慮した、より精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0073】
〔6〕制御装置3は、快温時間推定処理として、直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間と複数の外気温とに基づいて、早切り判定処理にて連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した実快温維持時間と外気温との関係を示す近似式を生成する近似式生成処理と、今回の床暖房装置2の運転中に外気温取得処理で取得した最新外気温と近似式とに基づいて、最新外気温に対応する快温維持時間を求める演算処理とを行うように構成されていてもよい。
この構成によると、制御装置3は、快温時間推定処理においては、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間及び複数の外気温から、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分でないときに取得した実快温維持時間と外気温とを除外し、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分であるときに取得した実快温維持時間及び外気温から、実快温維持時間と外気温との関係を示す近似式を生成し、この近似式と今回の床暖房装置2の運転中に取得した外気温とに基づいて、今回の暖房時の外気温に対応する快温維持時間を求めることになる。
その結果、制御装置3は、快温時間推定処理において、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱状態及び暖房時の外気温などを適正に考慮したより精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0074】
〔7〕制御装置3は、快温時間推定処理として、直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間から、早切り判定処理にて連続運転時間が早切り可能時間に達していると判定した場合に取得した実快温維持時間を抽出する抽出処理と、抽出した実快温維持時間の平均時間を快温維持時間として求める平均化処理とを行うように構成されていてもよい。
この構成によると、制御装置3は、快温時間推定処理においては、快温維持時間の推定に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した複数の実快温維持時間から、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分でないときに取得した実快温維持時間を除外し、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱が充分であるときに取得した実快温維持時間のみの平均時間を求めて、この平均時間を快温維持時間とすることになる。
その結果、制御装置3は、快温時間推定処理において、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱状態及び外気温などを適正に考慮したより精度の高い快温維持時間を推定することができる。
【0075】
〔8〕制御装置3は、早切り可能時間取得処理においては、直近の数日間として、例えば、8日間以上、又は、6日間以下に記憶した複数の床暖房装置2の連続運転時間と複数の実快温維持時間と複数の外気温とに基づいて、直近の数日間での床暖房装置2の連続運転時間とその直後の実快温維持時間と外気温との対応関係を示す第2関係情報を生成するように構成されていてもよい。
【0076】
〔9〕制御装置3は、早切り可能時間取得処理として、直近の数日間に記憶した複数の連続運転時間と複数の実快温維持時間とに基づいて、直近の数日間での連続運転時間とその直後の実快温維持時間との対応関係を示す第2関係情報を生成する第2情報生成処理と、第2関係情報に基づいて、実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間を抽出する抽出処理と、抽出した連続運転時間から最短連続運転時間を選択する選択処理と、選択した最短連続運転時間を早切り可能時間として記憶する記憶処理とを行うように構成されていてもよい。
この構成によると、早切り可能時間取得処理においては、制御装置3は、第2情報生成処理と抽出処理とを行うことにより、早切り可能時間の取得に影響を及ぼす外気温などの差が小さい直近の数日間に記憶した連続運転時間とその直後の実快温維持時間との対応関係から、実快温維持時間が最も長くなったときの直前の連続運転時間を抽出する。これにより、外気温を考慮した状態で、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量が最大になったときの連続運転時間を取得することができる。そして、制御装置3は、選択処理と記憶処理とを行うことにより、抽出した連続運転時間から最短連続運転時間を選択し、選択した最短連続運転時間を早切り可能時間として記憶する。これにより、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最小限の連続運転時間を取得することができ、この最小限の連続運転時間を早切り可能時間として記憶することができる。
つまり、外気温などを考慮した状態で、暖房対象室1の壁や天井などでの蓄熱量を最大にするために必要な最短連続運転時間を取得することができ、この最短連続運転時間を早切り可能時間として早切り判定処理において使用することができる。
その結果、制御装置3は、早切り判定処理を、外気温などを考慮して取得した最短連続運転時間に基づいてより適正に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、温水式の床暖房システム及び電気式の床暖房システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 暖房対象室
2 床暖房装置
3 制御装置
5 床暖房パネル
12 入力部
13 表示装置
14 室温検出器
15 外気温検出器
図1
図2
図3