(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815291
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】カソード電極選定支援方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20210107BHJP
【FI】
G01J1/02 G
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-138120(P2017-138120)
(22)【出願日】2017年7月14日
(65)【公開番号】特開2019-20222(P2019-20222A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 有紀
(72)【発明者】
【氏名】片桐 宗和
【審査官】
蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−29453(JP,A)
【文献】
特開2003−322562(JP,A)
【文献】
特開平10−115548(JP,A)
【文献】
特開2015−115228(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0131869(US,A1)
【文献】
米国特許第4581536(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00−1/60
H01J 47/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極とカソード電極との間の放電によって生じる電流に基づいて紫外線を検出する紫外線センサのカソード電極の電極材料の選定を支援するカソード電極選定支援方法であって、
異なる金属材料毎にその金属材料の各面方位に対応する放電が生じるか否かの境界を示す指標が書き込まれたデータベースを記憶するデータベース記憶ステップと、
前記カソード電極に要求される前記指標の範囲が指定された場合、前記データベースからその指定された指標の範囲を満たす金属材料および面方位を抽出し、その抽出した金属材料および面方位を前記カソード電極の電極材料の選定候補として提示する選定候補提示ステップと
を備えることを特徴とするカソード電極選定支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたカソード電極選定支援方法において、
前記選定候補提示ステップは、
前記抽出した金属材料および面方位を所定の条件で絞り込んで前記カソード電極の電極材料の選定候補として提示する
ことを特徴とするカソード電極選定支援方法。
【請求項3】
請求項1に記載されたカソード電極選定支援方法において、
前記データベースには、
前記金属材料の面方位に対応して当該面方位への加工方法が付加されている
ことを特徴とするカソード電極選定支援方法。
【請求項4】
請求項1に記載されたカソード電極選定支援方法において、
前記データベースには、
前記金属材料として面心立方構造を有する金属材料の各面方位に対する前記指標が書き込まれており、
前記面心立方構造を有する金属材料の面方位(110)に対応して当該面方位への加工方法として圧延工法が付加されている
ことを特徴とするカソード電極選定支援方法。
【請求項5】
請求項1に記載されたカソード電極選定支援方法において、
前記データベースには、
前記金属材料として面心立方構造を有する金属材料の各面方位に対する前記指標が書き込まれており、
前記面心立方構造を有する金属材料の面方位(100)に対応して当該面方位への加工方法として加熱工法が付加されている
ことを特徴とするカソード電極選定支援方法。
【請求項6】
アノード電極とカソード電極との間の放電によって生じる電流に基づいて紫外線を検出する紫外線センサのカソード電極の電極材料の選定を支援するカソード電極選定支援装置であって、
異なる金属材料毎にその金属材料の各面方位に対応する放電が生じるか否かの境界を示す指標が書き込まれたデータベースを記憶するデータベース記憶部と、
前記カソード電極に要求される前記指標の範囲が指定された場合、前記データベースからその指定された指標の範囲を満たす金属材料および面方位を抽出し、その抽出した金属材料および面方位を前記カソード電極の電極材料の選定候補として提示する選定候補提示部と
を備えることを特徴とするカソード電極選定支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線センサのカソード電極の電極材料の選定を支援するカソード電極選定支援方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のボディーや部品の塗装ラインの乾燥炉、アルミや亜鉛ダイキャストの溶解炉、および金属部品の焼き入れ用の熱処理炉などの各種工業炉において、燃焼安全装置の火炎検出センサとして紫外線センサが用いられている。
【0003】
図8を参照して、火炎検出センサとして用いられている紫外線センサの構成について説明する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
図8において、11はホウ珪酸ガラスで構成されたガラスパッケージである。ガラスパッケージ11は、内部空間に特殊な混合ガス(NeとH2の混合ガス)が一定圧で封入されている。また、ガラスパッケージ11の上面には天板12が設けられており、この天板12には紫外線を透過できるガラスが使用されている。また、ガラスパッケージ11の内部に、所定の間隙を隔てて互いの面(電極面)を対向させた円板状のカソード電極13およびアノード電極14が設けられている。
【0005】
アノード電極14には、このアノード電極14をカソード電極13が設けられている方向から支える複数の導電性の支柱15(15−1〜15−3)の一端部がレーザ溶接されており、この導電性の支柱15(15−1〜15−3)の他端部はガラスパッケージ11の外部に引き出されている。また、アノード電極14には、複数の貫通孔14aが網目状に形成されている。
【0006】
カソード電極13にも、アノード電極14と同様、カソード電極13を支える複数の導電性の支柱16(16−1〜16−3)の一端部がレーザ溶接されており、この導電性の支柱16(16−1〜16−3)の他端部はガラスパッケージ11の外部に引き出されている。
【0007】
このように構成された紫外線センサ1では、天板12を通過した紫外線がアノード電極14の貫通孔14aを通ってカソード電極13に到達すると、光電効果により電子が放出され、その後、封入ガス・電圧により電子なだれが発生して放電が開始される。すなわち、アノード電極14とカソード電極13との間に電流が流れ、このアノード電極14とカソード電極13との間に流れる電流に基づいて、天板12を通過した特定波長の紫外線のみが紫外線センサ1によって検出される。
【0008】
なお、光電効果とは、物質が光を吸収した際に内部の電子が励起され、それに伴って電子が飛び出す現象を言う。この光電効果において、物質表面から電子を1つ取り出すのに必要なエネルギーは仕事関数と呼ばれ、入射される光のエネルギーをhν、仕事関数をw、物質から飛び出す電子の運動エネルギーをEとした場合(
図9参照)、E=hν−wと表される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−255730号公報
【特許文献2】特開2015−115228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の紫外線センサでは、カソード電極の電極材料として、タングステン(W)が用いられている。このW電極タイプの紫外線センサでは、火炎を検出することができないフィールド(化学プラントの反応炉、製油所の硫黄回収炉、廃液処理プラント等)がある。このようなフィールドでは、カソード電極の電極材料を変更して、例えば260nm〜300nmというように、限界感度波長を拡大することが望まれる。
【0011】
この場合、紫外線センサのカソード電極の電極材料として用いる金属の選定にあたっては、
図10示すような金属の種類毎に定められている仕事関数や限界感度波長を参照して、カソード電極に要求される仕様を満たす金属を選定しなくてはならない。
【0012】
しかしながら、同じ金属であっても、限界感度波長や仕事関数は1つの値ではなく、ばらつき幅を持っている。これは金属の面方位が(100)、(110)、(111)というように複数あり、面方位毎に限界感度波長や仕事関数が異なる所定の値をとるが(
図11参照)、通常、金属の中で(100)面、(110)面、(111)面などがランダムに混ざって存在するため、同種の金属でもその面方位の混ざり具合(分布)が違うので結果的に異なった値となるからである。
【0013】
このようなことから、従来において、紫外線センサのカソード電極の電極材料として、使用されるフィールドに応じた最適な金属を選定することは難しかった。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、紫外線センサのカソード電極の電極材料として、使用されるフィールドに応じた最適な金属を簡単に選定することが可能なカソード電極選定支援方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために本発明は、アノード電極(14)とカソード電極(13)との間の放電によって生じる電流に基づいて紫外線を検出する紫外線センサ(1)のカソード電極の電極材料の選定を支援するカソード電極選定支援方法であって、異なる金属材料毎にその金属材料の各面方位に対応する放電が生じるか否かの境界を示す指標が書き込まれたデータベース(DB1)を記憶するデータベース記憶ステップ(S101)と、カソード電極に要求される指標の範囲が指定された場合、データベースからその指定された指標の範囲を満たす金属材料および面方位を抽出し、その抽出した金属材料および面方位をカソード電極の電極材料の選定候補として提示する選定候補提示ステップ(S201〜S203)とを備えることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、カソード電極に要求される指標(放電が生じるか否かの境界を示す指標)の範囲を指定すると、データベースからその指定された指標の範囲を満たす金属材料および面方位が抽出され、その抽出された金属材料および面方位がカソード電極の電極材料の選定候補として提示される。本発明において、放電が生じるか否かの境界を示す指標は、限界感度波長としてもよいし、仕事関数としてもよい。
【0017】
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したことにより、本発明によれば、異なる金属材料毎にその金属材料の各面方位に対応する放電が生じるか否かの境界を示す指標が書き込まれたデータベースから、指定された指標の範囲を満たす金属材料および面方位を抽出し、その抽出した金属材料および面方位をカソード電極の電極材料の選定候補として提示するようにしたので、紫外線センサのカソード電極の電極材料として、使用されるフィールドに応じた最適な金属を簡単に選定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るカソード電極選定支援装置のハードウェア構成の概略を示す図である。
【
図2】
図2は、このカソード電極選定支援装置の記憶装置に記憶させるデータベースの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、このカソード電極選定支援装置のCPUが実行するデータベースの記憶装置への記憶動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、このカソード電極選定支援装置のCPUが実行するカソード電極選定支援プログラムに従う処理動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、ディスプレイの画面上に表示されたカソード電極の電極材料の選定候補を例示する図である。
【
図6】
図6は、カソード電極の電極材料にCuを採用した場合の分光測定結果を例示する図である。
【
図7】
図7は、ディスプレイの画面上に表示されたカソード電極の電極材料の選定候補の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、紫外線センサの要部を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、光電効果によって飛び出す電子の運動エネルギーと入射される光のエネルギーと仕事関数との関係を説明する図である。
【
図10】
図10は、金属の種類毎に定められている仕事関数および限界感度波長を例示する図である。
【
図11】
図11は、金属の種類毎の各面方位がとる仕事関数を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係るカソード電極選定支援装置100のハードウェア構成の概略を示す。
【0021】
このカソード電極選定支援装置100は、中央演算処理装置(CPU)101と、ランダムアクセスメモリ(RAM)102と、読み出し専用メモリ(ROM)103と、ハードディスクなどの記憶装置104と、各種インタフェース105,106とを備えたコンピュータからなり、周辺機器として、ディスプレイ107やキーボード108、マウス109などを備えている。
【0022】
なお、本実施の形態において、コンピュータとは、デスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの様々なコンピュータを意味する。また、ディスプレイ107としては、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、あるいは、その他の表示装置が用いられていてもよい。また、マウス109の代わりに、タッチパネル、タッチパッド、トラックボール、ペンタブレット、あるいは、その他のポインティングデバイスが用いられていてもよい。
【0023】
このカソード電極選定支援装置100には、本実施の形態特有のプログラムとして、カソード電極選定支援プログラムPG1がインストールされている。このカソード電極選定支援プログラムPG1は、例えばCD−ROMなどの記録媒体に記録された状態で提供され、この記録媒体から読み出されて記憶装置104に記録され、使用可能な状態としてカソード電極選定支援装置100にインストールされている。なお、このカソード電極選定支援プログラムPG1は、ネットワークを通してカソード電極選定支援装置100に提供することも可能である。
【0024】
また、記憶装置104には、異なる金属材料毎にその金属材料の各面方位に対応する仕事関数や限界感度波長(放電が生じるか否かの境界を示す指標)が書き込まれたデータベースDB1が記憶されている。
図2に、このデータベースDB1の一例を示す。
【0025】
金属は結晶構造によって体心立方構造(W:タングステンなど)と面心立方構造(Cu,Ni:銅,ニッケルなど)に分類されるが、金属で面方位が揃った場合には面方位毎に仕事関数や限界感度波長は1つの固定値を持つ。
【0026】
例えば、仕事関数が4.5eV以下が要求される場合に、銅をカソード電極の電極材料として選定可能かどうか考慮すると、面方位が(100)や(111)では要求を満たせないが、面方位を(110)に揃えれば要求を満たし、カソード電極の電極材料として選定できることがわかる。
【0027】
また、限界感度波長270nmが要求される場合に、銅をカソード電極の電極材料として選定可能かどうか考慮すると、面方位が(111)では要求を満たせないが、面方位を(100)や(110)に揃えれば要求を満たし、カソード電極の電極材料として選定できることがわかる。
【0028】
また、圧延のような強い加工を行うと、その金属の面方位は特定の面方位に揃う。この組織を圧延集合組織という。CuやNiの圧延集合組織の面方位は(110)を示す。加熱を行うと再結晶が起こり、別の面方位に面方位がそろう。この組織を再結晶集合組織という。CuやNiの再結晶集合組織は(100)を示す。また、Cuをメッキした場合には、その面方位は(111)となる。Wを圧延した場合には、その面方位は(100)となり、Wの表面をスパッタリングした場合には、その表面の面方位は(110)となる。
【0029】
なお、体心立方構造の金属と、面心立方構造の金属とでは、(100)面、(110)面、(111)面の各面での仕事関数の大小関係は異なり、体心立方構造の金属の仕事関数の大小関係は、(111)面<(100)面<(110)面であるが、面心立方構造の金属の仕事関数の大小関係は、(110)面<(100)面<(111)面である。
【0030】
このように、本実施の形態において、データベースDB1には、各種の異なる金属材料毎に、その金属材料の各面方位に対応する仕事関数や限界感度波長と合わせて、その面方位への加工方法や結晶構造についても補足情報として付加されている。本実施の形態では、このようなデータベースDB1を前もって作成しておき、記憶装置104に記憶させている(
図3に示すステップS101)。
【0031】
このカソード電極選定支援装置100において、CPU101は、インタフェース105,106を介して与えられる各種入力情報を処理することで、RAM102やROM103、記憶装置104にアクセスしながら、インストールされているカソード電極選定支援プログラムPG1に従って動作する。
【0032】
以下、このカソード電極選定支援プログラムPG1に従ってCPU101が実行する処理動作について、
図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この例では、放電が生じるか否かの境界を示す指標として、限界感度波長を指定するものとする。この場合、限界感度波長として、その限界感度波長以上であるのか以下であるのかの範囲も含めて指定するものとする。
【0033】
オペレータは、キーボード108やマウス109を操作することによって、所望の限界感度波長を指定する。例えば、紫外線センサのカソード電極の電極材料として限界感度波長270nm以上を満たす金属を探す場合、限界感度波長を270nm以上として指定する。
【0034】
CPU101は、限界感度波長が指定されると(ステップS201のYES)、記憶装置104に記憶されているデータベースDB1にアクセスして、指定された限界感度波長を満たす金属材料および面方位を抽出する。この場合、限界感度波長は270nm以上として指定されているので、Cuの面方位(100),(110)と、Wの面方位(111)とを抽出する。
【0035】
そして、CPU101は、この抽出した金属材料および面方位をカソード電極の電極材料の選定候補として、その面方位への加工方法などの補足情報と合わせて、ディスプレイ107の画面上に表示(提示)する(ステップS203)。
【0036】
図5に、ディスプレイ107の画面上に表示されたカソード電極の電極材料の選定候補を示す。この例では、Cuの限界感度波長の(100)面および(110)面の項目と、Wの限界感度波長の(111)面の項目とを、補足情報と合わせて他と区別して表示するようにしている。
【0037】
図5において、Cuの(100)面については、その面方位への加工方法が「加熱」であることが示され、Cuの(110)面については、その面方位の加工方法が「圧延」であることが示されている。また、Cuについては、その結晶構造が体心立方構造であることが示され、Wについては、その結晶構造が面心立方構造であることが示されている。
【0038】
これにより、オペレータは、ディスプレイ107の画面上で、限界感度波長270nm以上を満たすカソード電極の電極材料の選定候補を知ることができ、紫外線センサのカソード電極の電極材料として、使用されるフィールドに応じた最適な金属を簡単に選定することが可能となる。
【0039】
例えば、金属材料としてWを採用する場合には、その面方位を(111)とする必要があることを知ることができる。また、金属材料としてCuを採用する場合には、その面方位を(100)としたり、(110)とする必要があることを知ることができる。また、Cuの面方位を(100)とする場合には加熱処理を行えばよく、Cuの面方位を(110)とする場合には圧延処理を行えばよいことを知ることができる。
【0040】
また、カソード電極の電極材料にCuを採用することにより、初期の圧延集合組織の状態((110)面)で277nmの限界感度波長があり、放電の熱が加わり、再結晶により結晶構造が変わった場合でも、すなわち再結晶集合組織の状態((100)面)となった場合でも、限界感度波長が271nmとなるので、限界感度波長270nm以上を実現することが可能であることを知ることができる。
【0041】
図6に、カソード電極の電極材料にCuを採用した場合の分光測定結果を例示する。この分光測定結果からも、カソード電極の金属材料してCuを採用した場合、限界感度波長270nm以上を実現することができていることがわかる。
【0042】
なお、上述した実施の形態では、放電が生じるか否かの境界を示す指標として限界感度波長を指定するようにしたが、仕事関数を指定するようにしてもよい。仕事関数を指定する場合にも、限界感度波長と同様、その仕事関数以上であるのか以下であるのかの範囲も含めて指定するものとする。また、限界感度波長や仕事関数について、上限値と下限値とで規定される範囲を指定するなどしてもよい。例えば、仕事関数を4.6以下として指定した場合、
図7に示すように、カソード電極の電極材料の選定候補がディスプレイ107の画面上に表示される。
【0043】
また、上述した実施の形態では、カソード電極の電極材料の選定候補を選定候補でないものも含めてディスプレイ107の画面上に表示するようにしたが、選定候補のみを表示するようにしてもよく、選定候補の金属材料、方位面、加工方法の組をリスト化して表示するようにしたりしてもよい。
【0044】
また、抽出した金属材料および面方位を所定の条件(例えば、コスト、加工のし易さ、融点(融点が高い方がよい)など)で絞り込んで、カソード電極の電極材料の選定候補として表示するようにしてもよい。このようにすることによって、カソード電極の電極材料の選定候補を最終的に1つに絞るようにすれば、最適なカソード電極の電極材料の決定までの処理を自動化させることが可能となる。
【0045】
また、上述した実施の形態では、カソード電極の電極材料の選定候補をディスプレイ107の画面に表示するようにしたが、紙面に打ち出すようにしてもよい。
【0046】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…紫外線センサ、11…ガラスパッケージ、13…カソード電極、14…アノード電極、100…カソード電極選定支援装置、101…CPU、102…RAM、103…ROM、104…記憶装置、DB1…データベース、107…ディスプレイ。