【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係るガス供給装置は、ガスを貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部から前記ガスを利用する所定の装置へ前記ガスを供給するための供給システムと、前記貯蔵部から吸引された前記ガスを一時的に貯留し、前記貯蔵部内の前記ガスの圧力が所定の閾値を下回ると、前記一時的に貯留されたガスを前記貯蔵部に戻す貯留システムと、前記貯留システムから前記供給システムへ前記ガスを中継する中継部と、を備える。前記供給システムは、前記貯蔵部から前記ガスを吸引及び圧縮する主圧縮機と、前記主圧縮機によって圧縮された前記ガスを貯留する主蓄圧器と、を含む。前記貯留システムは、前記貯蔵部から前記ガスを吸引及び圧縮する副圧縮機と、前記副圧縮機によって圧縮された前記ガスを貯留する副蓄圧器と、前記副蓄圧器から前記貯蔵部に向かう前記ガスを減圧する減圧弁と、を含む。前記中継部は、前記副圧縮機が圧縮した前記ガスが前記減圧弁によって減圧される前に、前記貯留システム内の前記ガスを前記主蓄圧器へ中継する。
【0008】
上記の構成によれば、中継部は、副圧縮機が圧縮したガスが減圧弁によって減圧される前に、貯留システム内のガスを主蓄圧器へ中継するので、副圧縮機によって圧縮されたガスは、高い圧力を保ったまま主蓄圧器に供給されることができる。貯留システムの副圧縮機が貯蔵部からのガスの吸引及びガスの圧縮に用いたエネルギは、減圧弁によって浪費されないので、上述のガス供給装置は、エネルギの浪費量を、従来のガス供給装置よりも低いレベルに抑えることができる。
【0009】
中継部を通じて中継されたガスは主圧縮機によって圧縮されたガスとともに主蓄圧器に供給されるので、主蓄圧器はガスを効率的に蓄えることができる。したがって、主蓄圧器内のガスが、ガスを利用する所定の装置へ供給され、主蓄圧器内のガスの圧力が低下しても、主蓄圧器内のガスの圧力は、ガスを利用する所定の装置への供給に資するレベルに短期間で復帰することができる。
【0010】
主圧縮機は、貯蔵部からガスを吸引し、吸引されたガスを圧縮するので、貯蔵部内のガスの圧力は、主圧縮機の作動の結果低下する。貯留システムは、副圧縮機が貯蔵部から吸引及び圧縮したガスを貯留する副蓄圧器を含むので、貯蔵部は、貯留システム内のガスを減圧弁を通じて受け取ることができる。したがって、主圧縮機が貯蔵部内のガスを急速に吸引しても、貯蔵部内のガスの圧力は、過度に低下しない。
【0011】
副圧縮機はガスを圧縮するので、副蓄圧器は大きな容積を要することなく、多量のガスを貯留することができる。副蓄圧器に蓄えられたガスは、減圧弁を介して貯蔵部に戻るので、貯蔵部内のガスの圧力は、主圧縮機及び副圧縮機が吸引するのに適した大きさに留められる。減圧弁を介した貯蔵部へのガスの戻流は、副圧縮機がガスの圧縮に用いたエネルギの浪費に帰結するけれども、副圧縮機が圧縮したガスの一部は、上述の如く、貯留システムの減圧弁を経由することなく、供給システムの主蓄圧器に供給されるので、上述のガス供給装置は、エネルギの浪費量を従来のガス供給装置よりも低いレベルに抑えることができる。
【0012】
上記の構成に関して、前記供給システムは、前記主圧縮機によって圧縮された前記ガスを前記主蓄圧器へ案内する第1案内管を含んでもよい。前記貯留システムは、前記副圧縮機によって圧縮された前記ガスを前記副圧縮機から前記副蓄圧器へ案内する第2案内管を含んでもよい。前記中継部は、前記第2案内管と前記第1案内管とに連結された中継管を含んでもよい。
【0013】
上記の構成によれば、中継部は、副圧縮機によって圧縮されたガスを副圧縮機から副蓄圧器へ案内する第2案内管と、主圧縮機によって圧縮されたガスを主蓄圧器へ案内する第1案内管と、に連結されているので、副圧縮機が圧縮したガスは、減圧弁によって減圧される前に、中継管を通じて供給システム内の主蓄圧器へ供給されることができる。
【0014】
上記の構成に関して、ガス供給装置は、前記ガスの流れを制御する制御部を更に備えてもよい。前記貯留システムは、前記主蓄圧器内の前記ガスの圧力が所定の下限閾値を下回ると、前記制御部の制御下で、前記中継管が前記第2案内管に連結される連結部と前記副蓄圧器との間で前記第2案内管を閉じる第1制御弁を含んでもよい。
【0015】
上記の構成によれば、主蓄圧器内のガスの圧力が所定の下限閾値を下回ると、第1制御弁は、制御部の制御下で、中継管が第2案内管に連結される連結部と副蓄圧器との間で第2案内管を閉じるので、第1制御弁が閉じている間、副圧縮機が圧縮したガスは、副蓄圧器に供給されることなく主蓄圧器へ中継されることができる。したがって、主蓄圧器内のガスの圧力は、下限閾値を短期間で上回ることができる。
【0016】
上記の構成に関して、前記主蓄圧器内の前記ガスの前記圧力が所定の上限閾値を上回ると前記制御部の制御下で前記中継管を閉じる第2制御弁を含んでもよい。
【0017】
主蓄圧器内のガスの圧力が所定の上限閾値を上回っているとき、主蓄圧器へのガスの供給はあまり必要とされない。副蓄圧器へのガス供給は、貯蔵部内のガスの圧力の急激な低下があったときに、多量のガスを副蓄圧器から貯蔵部へ供給することに資するので、主蓄圧器内のガスの圧力が所定の上限閾値を上回っているときは、主蓄圧器へのガスの供給よりも副蓄圧器へのガスの供給の方が有益である。上記の構成によれば、第2制御弁は、主蓄圧器内のガスの圧力が上限閾値を上回ると制御部の制御下で中継管を閉じるので、主蓄圧器内のガスの圧力が上限閾値を上回っている間、ガスは、副蓄圧器に優先的に供給されることができる。
【0018】
上記の構成に関して、前記主圧縮機は、前記ガスの吸引量において、前記副圧縮機よりも大きくてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、主圧縮機は、ガスの吸引量において、副圧縮機よりも大きいので、主蓄圧器内のガスが、ガスを利用する所定の装置に供給される結果、主蓄圧器内のガスの圧力が低下したとき、主圧縮機は多量のガスを圧縮処理し、圧縮されたガスを主蓄圧器へ供給することができる。したがって、主圧縮機は、ガスを利用する装置に供給された分のガスを短期間で補填することができる。
【0020】
一般的に、ガスの圧縮容量が大きいならば、圧縮機の費用は高くなる。上記の構成によれば、副圧縮機は、ガスの吸引量において、主圧縮機よりも小さいので、主圧縮機として用いられる圧縮機よりも廉価な圧縮機が、副圧縮機として用いられることができる。主蓄圧器内のガスは、ガスを利用する装置に直接的に供給されるので、主蓄圧器内のガスの圧力は、次のガス供給に備えて所定のレベルに短期間で復帰する必要がある。一方、副蓄圧器内のガスは、ガスを利用する装置に直接的には供給されないので、副蓄圧器内のガスの圧力が所定のレベルに短期間で復帰する必要性は、主蓄圧器ほど高くない。したがって、副圧縮機がガスの吸引量において主圧縮機よりも小さいことは、ガスを利用する装置へのガスの供給に問題を生じさせない。
【0021】
本発明の他の局面に係るガス供給装置は、ガスを貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部から前記ガスを利用する所定の装置へ前記ガスを供給するための供給システムと、前記貯蔵部から吸引された前記ガスを一時的に貯留し、前記貯蔵部内の前記ガスの圧力が所定の閾値を下回ると、前記一時的に貯留されたガスを前記貯蔵部に戻す貯留システムと、前記貯留システムから前記供給システムへ前記ガスを中継する中継部と、
を備える。前記供給システムは、前記貯蔵部から前記ガスを吸引及び圧縮する予備圧縮機と、前記予備圧縮機によって圧縮された前記ガスを貯留する予備蓄圧器と、前記予備蓄圧器から前記ガスを吸引し且つ前記予備圧縮機よりも高い圧力で前記ガスを圧縮する主圧縮機と、前記主圧縮機によって圧縮された前記ガスを貯留する主蓄圧器と、を含む。前記貯留システムは、前記貯蔵部から前記ガスを吸引及び圧縮する副圧縮機と、前記副圧縮機によって圧縮された前記ガスを貯留する副蓄圧器と、前記副蓄圧器から前記貯蔵部に向かう前記ガスを減圧する減圧弁と、を含む。前記中継部は、前記副圧縮機が圧縮した前記ガスが前記減圧弁によって減圧される前に、前記貯留システム内の前記ガスを前記予備蓄圧器へ中継する。
【0022】
上記の構成によれば、中継部は、副圧縮機が圧縮したガスが減圧弁によって減圧される前に、貯留システム内のガスを予備蓄圧器へ中継するので、副圧縮機によって圧縮されたガスは、高い圧力を保ったまま予備蓄圧器に供給されることができる。貯留システムの副圧縮機が貯蔵部からのガスの吸引及びガスの圧縮に用いたエネルギは、減圧弁によって浪費されないので、上述のガス供給装置は、エネルギの浪費量を従来のガス供給装置よりも低いレベルに抑えることができる。
【0023】
中継部を通じて中継されたガスは、予備圧縮機によって圧縮されたガスとともに予備蓄圧器に供給されるので、予備蓄圧器はガスを効率的に蓄えることができる。したがって、予備蓄圧器内のガスが、主圧縮機によって吸引され、予備蓄圧器内のガスの圧力が低下しても、予備蓄圧器内のガスの圧力は、高いレベルに短期間で復帰することができる。
【0024】
予備圧縮機は貯蔵部からガスを吸引し、吸引されたガスを圧縮するので、貯蔵部内のガスの圧力は、予備圧縮機の作動の結果低下する。貯留システムは、副圧縮機が貯蔵部から吸引及び圧縮したガスを貯留する副蓄圧器を含むので、貯蔵部は、貯留システム内のガスを減圧弁を通じて受け取ることができる。したがって、予備圧縮機が貯蔵部内のガスを急速に吸引しても、貯蔵部内のガスの圧力は、過度に低下しない。
【0025】
副圧縮機はガスを圧縮するので、副蓄圧器は大きな容積を要することなく、多量のガスを貯留することができる。副蓄圧器に蓄えられたガスは、減圧弁を介して、貯蔵部に戻るので、貯蔵部内のガスの圧力は、予備圧縮機及び副圧縮機が吸引するのに適した大きさに留められる。減圧弁を介した貯蔵部へのガスの戻流は、副圧縮機がガスの圧縮に用いたエネルギの浪費に帰結するけれども、副圧縮機が圧縮したガスの一部は、上述の如く、貯留システムの減圧弁を経由することなく、供給システムの予備蓄圧器に供給されるので、上述のガス供給装置は、エネルギの浪費量を従来のガス供給装置よりも低いレベルに抑えることができる。
【0026】
一般的に、高い圧縮比の圧縮機は高額である。上記の構成によれば、供給システムは、予備圧縮機と予備圧縮機よりも高い圧力でガスを圧縮する主圧縮機とを有し、2段階でガスを圧縮するので、予備圧縮機及び主圧縮機は過度に高い圧縮比を有さなくてもよい。したがって、上述のガス供給装置は、低廉に構築されることができる。
【0027】
上記の構成に関して、前記供給システムは、前記予備圧縮機によって圧縮された前記ガスを前記予備蓄圧器へ案内する第1案内管を含んでもよい。前記貯留システムは、前記副圧縮機によって圧縮された前記ガスを前記副圧縮機から前記副蓄圧器へ案内する第2案内管を含んでもよい。前記中継部は、前記第2案内管と前記第1案内管とに連結された中継管を含んでもよい。
【0028】
上記の構成によれば、中継部は、副圧縮機によって圧縮されたガスを副圧縮機から副蓄圧器へ案内する第2案内管と、予備圧縮機によって圧縮されたガスを予備蓄圧器へ案内する第1案内管と、に連結されているので、副圧縮機によって圧縮されたガスは、減圧弁によって減圧される前に、中継管を通じて供給システム内の予備蓄圧器へ供給されることができる。
【0029】
上記の構成に関して、ガス供給装置は、前記ガスの流れを制御する制御部を更に備えてもよい。前記貯留システムは、前記予備蓄圧器内の前記ガスの圧力が所定の下限閾値を下回ると、前記制御部の制御下で、前記中継管が前記第2案内管に連結される連結部と前記副蓄圧器との間で前記第2案内管を閉じる第1制御弁を含んでもよい。
【0030】
上記の構成によれば、予備蓄圧器内のガスの圧力が所定の下限閾値を下回ると、第1制御弁は、制御部の制御下で、中継管が第2案内管に連結される連結部と副蓄圧器との間で第2案内管を閉じるので、第1制御弁が閉じている間、副圧縮機が圧縮したガスは、副蓄圧器に供給されることなく予備蓄圧器へ中継されることができる。したがって、予備蓄圧器内のガスの圧力は、下限閾値を短期間で上回ることができる。
【0031】
上記の構成に関して、前記中継部は、前記予備蓄圧器内の前記ガスの前記圧力が所定の上限閾値を上回ると前記制御部の制御下で前記中継管を閉じる第2制御弁を含んでもよい。
【0032】
予備蓄圧器内のガスの圧力が所定の上限閾値を上回っているとき、予備蓄圧器へのガスの供給はあまり必要とされない。予備蓄圧器へのガス供給は、貯蔵部内のガスの圧力の急激な低下があったときに、多量のガスを副蓄圧器から貯蔵部へ供給することに資するので、予備蓄圧器内のガスの圧力が所定の上限閾値を上回っているときは、予備蓄圧器へのガスの供給よりも副蓄圧器へのガスの供給の方が有益である。上記の構成によれば、第2制御弁は、予備蓄圧器内のガスの圧力が上限閾値を上回ると制御部の制御下で中継管を閉じるので、予備蓄圧器内のガスの圧力が上限閾値を上回っている間、ガスは、副蓄圧器に優先的に供給されることができる。
【0033】
上記の構成に関して、前記予備圧縮機は、前記ガスの吸引量において、前記副圧縮機よりも大きくてもよい。
【0034】
主蓄圧器内のガスが、ガスを利用する所定の装置に供給されると、主蓄圧器内のガスの圧力は低下する。主圧縮機は予備蓄圧器内のガスを吸引し、吸引されたガスを主蓄圧器へ供給するので、予備蓄圧器内のガスの圧力も、ガスを利用する装置へのガスの供給に応じて低下する。上記の構成によれば、予備圧縮機は、ガスの吸引量において副圧縮機よりも大きいので、予備蓄圧器内のガスが低下したとき、予備圧縮機は多量のガスを圧縮処理し、圧縮されたガスを予備蓄圧器へ供給することができる。したがって、予備圧縮機は、ガスを利用する装置に供給された分のガスを短期間で補填することができる。
【0035】
一般的に、ガスの圧縮容量が大きいならば、圧縮機の費用は高くなる。上記の構成によれば、副圧縮機は、ガスの吸引量において予備圧縮機よりも小さいので、予備圧縮機として用いられる圧縮機よりも廉価な圧縮機が、副圧縮機として用いられることができる。予備蓄圧器内のガスは、ガスを利用する装置への供給に呼応して低下するので、予備蓄圧器内のガスの圧力は、所定のレベルに短期間で復帰する必要がある。一方、副蓄圧器内のガスは、ガスを利用する装置に直接的には供給されないので、副蓄圧器内のガスの圧力が所定のレベルに短期間で復帰する必要性は、予備蓄圧器ほど高くない。したがって、副圧縮機が、ガスの吸引量において主圧縮機よりも小さいことは、ガスを利用する装置へのガスの供給に問題を生じさせない。
【0036】
上記の構成に関して、前記中継部は、前記供給システムから前記貯留システムへ前記中継部を通じて戻る前記ガスの流れを防止する逆流防止部を含んでもよい。
【0037】
上記の構成によれば、中継部は、逆流防止部を含むので、供給システムから貯留システムへ中継部を通じて戻るガスの流れは防止される。供給システム内のガスが中継部を通じて貯留システムに向かうことが防止されるので、貯留システム内のガスの圧力が低くても、供給システムは、ガスを利用する所定の装置へのガスの供給に十分に資する量のガスを保持することができる。