特許第6815311号(P6815311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6815311バーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6815311
(24)【登録日】2020年12月24日
(45)【発行日】2021年1月20日
(54)【発明の名称】バーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/18 20060101AFI20210107BHJP
   B60T 8/34 20060101ALI20210107BHJP
   B62L 3/08 20060101ALI20210107BHJP
   B60T 13/122 20060101ALI20210107BHJP
【FI】
   B60T13/18
   B60T8/34
   B62L3/08
   B60T13/122 D
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-228372(P2017-228372)
(22)【出願日】2017年11月28日
(65)【公開番号】特開2019-98787(P2019-98787A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226677
【氏名又は名称】日信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】下野 拓洋
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−087938(JP,A)
【文献】 特開2015−013554(JP,A)
【文献】 特開2006−069303(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007031750(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02311704(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0304962(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/18
B60T 8/34
B60T 13/122
B62L 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪のブレーキ系統と後輪のブレーキ系統とを備え、それぞれの前記ブレーキ系統にマスタシリンダおよび車輪ブレーキが設けられたバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記両ブレーキ系統のうち少なくとも一方のブレーキ系統には、
前記車輪ブレーキのブレーキ液圧の増圧、減圧または保持を行って車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御装置と、
前記マスタシリンダと前記アンチロックブレーキ制御装置との間に設けられた加圧ユニットと、が設けられており、
前記加圧ユニットは、
前記マスタシリンダ側のブレーキ液圧と前記アンチロックブレーキ制御装置側のブレーキ液圧との液圧差を調圧する調圧弁と、
前記調圧弁に並列に接続され、前記マスタシリンダ側のブレーキ液圧を加圧して、前記アンチロックブレーキ制御装置にブレーキ液を圧送する加圧手段と、を備えており、
前記調圧弁および前記加圧手段は、前記アンチロックブレーキ制御装置と別体の基体に設けられていることを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記加圧ユニットは、前輪の前記ブレーキ系統または後輪の前記ブレーキ系統に設けられていることを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記加圧ユニットは、前輪の前記ブレーキ系統および後輪の前記ブレーキ系統の両方にそれぞれ設けられていることを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記アンチロックブレーキ制御装置は、前輪の前記ブレーキ系統および後輪の前記ブレーキ系統の両方にそれぞれ設けられていることを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記調圧弁よりも前記マスタシリンダ側において、前記マスタシリンダの作動状態を検出する検出手段を備えており、
前記検出手段は、前記加圧ユニットに設けられていることを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などのバーハンドルタイプの車両(以下、単にバーハンドル車両という)に用いられるブレーキ液圧制御装置としては、車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御に加えて、前後輪の車輪ブレーキを連動させる連動ブレーキ制御を行えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5979751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のブレーキ液圧制御装置では、アンチロックブレーキ制御および連動ブレーキ制御に必要な電磁弁やポンプなどの部品が、前後輪のブレーキ系統ごとに一つの基体に設けられている。
このような従来のブレーキ液圧制御装置は、基体が大型化するため、車両内部のスペースが少ないバーハンドル車両に対して搭載し難いという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、アンチロックブレーキ制御に加えて、車輪ブレーキの液圧を加圧する機能を有しつつ、バーハンドル車両への搭載性を向上させることができるバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、前輪のブレーキ系統と後輪のブレーキ系統とを備え、それぞれの前記ブレーキ系統にマスタシリンダおよび車輪ブレーキが設けられたバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置である。前記両ブレーキ系統のうち少なくとも一方のブレーキ系統には、前記車輪ブレーキのブレーキ液圧の増圧、減圧または保持を行って車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御装置と、前記マスタシリンダと前記アンチロックブレーキ制御装置との間に設けられた加圧ユニットと、が設けられている。前記加圧ユニットは、前記マスタシリンダ側のブレーキ液圧と前記アンチロックブレーキ制御装置側のブレーキ液圧との液圧差を調圧する調圧弁と、前記調圧弁に並列に接続され、前記マスタシリンダ側のブレーキ液圧を加圧して、前記アンチロックブレーキ制御装置にブレーキ液を圧送する加圧手段と、を備えている。前記調圧弁および前記加圧手段は、前記アンチロックブレーキ制御装置と別体の基体に設けられている。
【0007】
本発明では、アンチロックブレーキ制御装置の基体に、加圧ユニットの基体を連結することで、アンチロックブレーキ制御に加えて、連動ブレーキ制御のように車輪ブレーキの液圧を加圧するブレーキ制御を行うことができる。
そして、アンチロックブレーキ制御装置の基体と加圧ユニットの基体とを別体に構成することで、各基体を小型化することができ、ひいては、ブレーキ液圧制御装置をコンパクトに構成することができる。また、二つの基体を直接または配管を介して連結することで、レイアウトの自由度を高めることができる。
したがって、本発明のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置によれば、車両内部のスペースが少ないバーハンドル車両への搭載性を向上させることができる。
【0008】
前記したバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置では、前記加圧ユニットを前輪の前記ブレーキ系統または後輪の前記ブレーキ系統に設けることができる。
このように、必要に応じて、前輪のブレーキ系統または後輪のブレーキ系統に加圧ユニットを設けることで、前輪側または後輪側の連動ブレーキ制御を行うことができる。
【0009】
前記したバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置では、前記加圧ユニットを前輪の前記ブレーキ系統および後輪の前記ブレーキ系統の両方にそれぞれ設けることができる。
このようにすると、前輪の車輪ブレーキおよび後輪の車輪ブレーキの両方において、連動ブレーキ制御を行うことができるので、上りの坂道等のみならず下りの坂道等においても、前輪側および後輪側の制動力配分を最適にすることができる。
【0010】
前記したバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置において、前記アンチロックブレーキ制御装置を前輪の前記ブレーキ系統および後輪の前記ブレーキ系統の両方にそれぞれ設けることで、バーハンドル車両への搭載性を向上させることが好ましい。
【0011】
前記したバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置であって、前記調圧弁よりも前記マスタシリンダ側において、前記マスタシリンダの作動状態を検出する検出手段を備えている場合には、前記検出手段を前記加圧ユニットに設けることが好ましい。
このように、マスタシリンダの作動状態を検出する液圧センサなどの検出手段を加圧ユニットに一体化することで、ブレーキ液圧制御装置をコンパクトに構成して、バーハンドル車両への搭載性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、バーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置をコンパクトに構成するとともに、レイアウトの自由度を高めることができる。したがって、本発明のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置では、アンチロックブレーキ制御に加えて、車輪ブレーキの液圧を加圧する機能を有しつつ、バーハンドル車両への搭載性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一実施形態に係るバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
図2】本発明の第二実施形態に係るバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
図3】本発明の第三実施形態に係るバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
図4】本発明の第四実施形態に係るバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0015】
[第一実施形態]
第一実施形態のバーハンドル車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、単に「ブレーキ液圧制御装置」という)は、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などバーハンドルタイプの車両に用いられるものである。
ブレーキ液圧制御装置は、マスタシリンダと車輪ブレーキとの間に接続され、車輪ブレーキに作用するブレーキ液圧を制御するものである。
【0016】
(後輪側のブレーキ液圧制御装置)
後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、図1に示すように、アンチロックブレーキ制御装置100Aと、加圧ユニット200とを備えている。アンチロックブレーキ制御装置100Aは、後輪の車輪ブレーキRのブレーキ液圧の増圧、減圧または保持を行って車輪のロックを抑制する装置である。加圧ユニット200は、後輪の車輪ブレーキRのブレーキ液圧を加圧する装置である。
【0017】
後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、後輪側のブレーキ系統K1の液圧回路を具現化したものである。後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、後輪の車輪ブレーキRのアンチロックブレーキ制御を実行可能である。また、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、前輪側のブレーキ制御に連動した連動ブレーキ制御を実行可能である。また、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、後輪の車輪ブレーキRのヒルホールド制御を実行可能である。
【0018】
後輪側のブレーキ系統K1は、後輪の車輪ブレーキRにブレーキ液圧を付与するための液圧回路である。ブレーキ系統K1は、マスタシリンダM1と車輪ブレーキRとを接続する液路上に、加圧ユニット200およびアンチロックブレーキ制御装置100Aを備えている。
アンチロックブレーキ制御装置100Aは、マスタシリンダM1と車輪ブレーキRとの間に設けられている。また、加圧ユニット200は、マスタシリンダM1とアンチロックブレーキ制御装置100Aとの間に設けられている。
【0019】
後輪側のマスタシリンダM1には、ブレーキ操作子であるブレーキペダルBPが接続されている。マスタシリンダM1は、運転者がブレーキペダルBPに加えた力に応じたブレーキ液圧を発生する。マスタシリンダM1は、加圧ユニット200およびアンチロックブレーキ制御装置100Aを介して車輪ブレーキR(ホイールシリンダ)に接続されている。
【0020】
(アンチロックブレーキ制御装置)
アンチロックブレーキ制御装置100Aは、後輪の車輪ブレーキRのアンチロックブレーキ制御を実行するものである。アンチロックブレーキ制御装置100Aは、金属製の基体110を有している。
アンチロックブレーキ制御装置100Aの基体110には、電動のモータ120および電子制御装置(図示せず)が取り付けられている。電子制御装置は、図示しない車輪速度センサからの出力に基づいて、電磁弁の開閉やモータ120の作動を制御するものである。
【0021】
基体110の内部には、入口ポート111から出口ポート112に至る液路によってブレーキ系統K11が形成されている。また、基体110の内部には、リザーバ4およびプランジャポンプ5が設けられている。基体110のブレーキ系統K11の液路には、入口弁2および出口弁3が設けられている。
【0022】
基体110の出口ポート112には、車輪ブレーキRに至る配管H1が接続されている。基体110の入口ポート111には、加圧ユニット200の基体210の出口ポート212に至る配管H3が接続されている。
アンチロックブレーキ制御装置100Aの基体110は、加圧ユニット200を介してマスタシリンダM1に接続されている。
【0023】
以下の説明において、入口ポート111から入口弁2に至る液路を「出力液圧路A1」と称し、入口弁2から出口ポート112に至る流路を「車輪液圧路B1」と称する。また、プランジャポンプ5から出力液圧路A1に至る流路を「吐出液圧路C1」と称し、さらに、出口弁3からプランジャポンプ5に至る流路を「開放路D1」と称する。また、リザーバ4からプランジャポンプ5に至る流路を「吸入路E1」と称する。
【0024】
入口弁2は、常開型の電磁弁からなり、出力液圧路A1と車輪液圧路B1との間に設けられている。入口弁2は、通常時(非通電時)に開いていることで、マスタシリンダM1から車輪ブレーキRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁2は、後輪がロックしそうになったときに制御装置により通電して閉塞されることで、ブレーキペダルBPから車輪ブレーキRへ加わるブレーキ液圧を遮断する。
【0025】
入口弁2にはチェック弁2aが並列に接続されている。チェック弁2aは、車輪ブレーキRからマスタシリンダM1側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁である。チェック弁2aは、ブレーキペダルBPの入力が解除された場合に、入口弁2を閉じた状態にしたときにおいても、車輪ブレーキR側からマスタシリンダM1側へのブレーキ液の流入を許容する。チェック弁2aは入口弁2を構成する常開型の電磁弁に一体的に備わる。
【0026】
出口弁3は、常閉型の電磁弁であり、開放路D1に設けられている。出口弁3は、通常時(非通電時)に閉塞されているが、後輪がロックしそうになったときに電子制御装置により通電して開放されることで、車輪ブレーキRへ加わるブレーキ液圧をリザーバ4に逃がす。
リザーバ4は、出口弁3が開放されることによって逃がされるブレーキ液を一時的に貯溜する機能を有している。
【0027】
プランジャポンプ5は、モータ120により駆動される。プランジャポンプ5は、リザーバ4に貯溜されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をマスタシリンダM1側へ戻す機能を有している。
モータ120は、プランジャポンプ5の動力源であり、電子制御装置からの指令に基づいて作動する。モータ120は、基体110の外面に取り付けられている。
【0028】
(加圧ユニット)
加圧ユニット200は、後輪の車輪ブレーキRの連動ブレーキ制御およびヒルホールド機能を実行するものである。加圧ユニット200は、金属製の基体210を有している。
加圧ユニット200の基体210には、電動のモータ220が取り付けられている。なお、加圧ユニット200の電磁弁やモータ220は、アンチロックブレーキ制御装置100Aの電子制御装置によって制御される。
【0029】
基体210の内部には、入口ポート211から出口ポート212に至る液路F1が形成されるとともに、二つのプランジャポンプ7,7が設けられている。基体210の液路F1には、調圧弁8および液圧センサPが設けられている。
【0030】
加圧ユニット200の基体210の入口ポート211には、液圧源であるマスタシリンダM1の出口ポートに至る配管H2が接続されている。
加圧ユニット200の基体210の出口ポート212には、アンチロックブレーキ制御装置100Aの基体110の入口ポート111に至る配管H3が接続されている。
加圧ユニット200は、アンチロックブレーキ制御装置100Aを介して車輪ブレーキRに接続されている。
【0031】
調圧弁8は、常開型の比例電磁弁であり、液路F1に設けられている。調圧弁8は、マスタシリンダM1側のブレーキ液圧とアンチロックブレーキ制御装置100A側のブレーキ液圧との液圧差を調圧するものである。
調圧弁8は、通常時(非通電時)に開弁しており、マスタシリンダM1から車輪ブレーキR側へのブレーキ液の流れを許容する。また、調圧弁8は、両プランジャポンプ7,7が発生させたブレーキ液圧により車輪ブレーキR側のブレーキ液圧を増加させるときには、電子制御装置により通電して閉じられる。このとき、駆動電流の値に応じて調圧弁8の閉弁力を任意に変更することで、車輪ブレーキR側のブレーキ液圧を設定値以下に調節する。
【0032】
液圧センサPは、調圧弁8よりもマスタシリンダM1側の液路F1に設けられている。液圧センサPは、調圧弁8よりもマスタシリンダM1側のブレーキ液圧を検出することで、マスタシリンダM1の作動状態を検出する検出手段である。液圧センサPがブレーキ液圧を検出したときは、運転者がブレーキペダルBPを踏み込んで、その踏力に起因して発生したブレーキ液圧が発生している。
【0033】
調圧弁8にはチェック弁8aが並列に接続されている。チェック弁8aは、マスタシリンダM1から車輪ブレーキR側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁である。チェック弁8aは、調圧弁8が閉じた状態においても、マスタシリンダM1側から車輪ブレーキR側へのブレーキ液の流入を許容する。チェック弁8aは調圧弁8を構成する常開型の比例電磁弁に一体的に備わる。
【0034】
二つのプランジャポンプ7,7は、モータ220により駆動される。両プランジャポンプ7,7は、マスタシリンダM1に貯留されているブレーキ液を吸入して、アンチロックブレーキ制御装置100Aにブレーキ液を圧送する加圧手段であり、調圧弁8に並列に接続されている。
モータ220は、両プランジャポンプ7,7の動力源であり、電子制御装置からの指令に基づいて作動する。モータ220は、基体210の外面に取り付けられている。
【0035】
(前輪側のブレーキ液圧制御装置)
前輪側のブレーキ液圧制御装置U2は、アンチロックブレーキ制御装置100Bと、加圧ユニット200とを備えている。アンチロックブレーキ制御装置100Bは、前輪の左右の車輪ブレーキFL,FRの液圧の増圧、減圧または保持を行って車輪のロックを抑制する装置である。加圧ユニット200は、前輪の右側の車輪ブレーキFRの液圧を加圧する装置である。
【0036】
前輪側のブレーキ液圧制御装置U2は、前輪側のブレーキ系統K2の液圧回路を具現化したものである。前輪側のブレーキ系統K2は、マスタシリンダM2と前側の左右の車輪ブレーキFL,FRとを接続するものである。マスタシリンダM2には、ブレーキ操作子であるブレーキレバーL1が接続されている。
【0037】
前輪側のブレーキ液圧制御装置U2は、アンチロックブレーキ制御装置100Bに第一ブレーキ系統K21と第二ブレーキ系統K22との二系統が形成されている点が、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1と異なっている。
【0038】
アンチロックブレーキ制御装置100Bの基体110において、第一ブレーキ系統K21側の入口ポート111には、配管H4が接続されている。配管H4は、マスタシリンダM2と加圧ユニット200との間の配管H2に接続されている。このように、第一ブレーキ系統K21は、配管H4および配管H2を介してマスタシリンダM2に接続されている。
アンチロックブレーキ制御装置100Bの基体110において、第一ブレーキ系統K21側の出口ポート112には、左側の車輪ブレーキFLに至る配管H1が接続されている。
【0039】
アンチロックブレーキ制御装置100Bの基体110において、第二ブレーキ系統K22側の入口ポート111には、加圧ユニット200の基体210の出口ポート212に至る配管H3が接続されている。このように、第二ブレーキ系統K22は、加圧ユニット200を介してマスタシリンダM2に接続されている。
アンチロックブレーキ制御装置100Bの基体110において、第二ブレーキ系統K22側の出口ポート112には、右側の車輪ブレーキFRに至る配管H1が接続されている。
【0040】
前輪側のアンチロックブレーキ制御装置100Bの第一ブレーキ系統K21および第二ブレーキ系統K22は、後輪側のアンチロックブレーキ制御装置100Aのブレーキ系統K11と同様であるため、第一ブレーキ系統K21および第二ブレーキ系統K22の詳細な説明は省略する。
前輪側の加圧ユニット200は、後輪側の加圧ユニット200と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0041】
(後輪側のブレーキ液圧制御装置によるブレーキ制御)
次に、第一実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1によって実現される後輪側のアンチロックブレーキ非制御、アンチロックブレーキ制御、連動ブレーキ制御およびヒルホールド制御について説明する。
【0042】
(アンチロックブレーキ非制御)
後輪がロックする可能性のないアンチロックブレーキ非制御時においては、入口弁2、出口弁3および調圧弁8を駆動する電磁コイルが、いずれも電子制御装置によって消磁させられる。つまり、アンチロックブレーキ非制御時においては、入口弁2および調圧弁8が開弁状態になっており、出口弁3が閉弁状態になっている。
この状態で運転者がブレーキペダルBPを踏み込むと、その踏力に起因して発生したブレーキ液圧は、そのまま後輪の車輪ブレーキRに伝達され、後輪が制動される。
【0043】
(アンチロックブレーキ制御)
アンチロックブレーキ制御は、後輪がロック状態に陥りそうになったときに実行されるものである。ブレーキペダルBPが操作され、後輪の車輪ブレーキRにブレーキ液圧が作用している状態において、後輪にスリップ状態が発生してロックしそうになると、電子制御装置によってアンチロックブレーキ制御が行われる。なお、アンチロックブレーキ制御中の調圧弁8は、アンチロックブレーキ非制御時と同様に開弁状態となっている。
【0044】
電子制御装置において、車輪ブレーキRに作用するブレーキ液圧を減圧すべきと判断された場合には、入口弁2が閉弁し、出口弁3が開弁する。
このようにすると、入口弁2よりも車輪ブレーキR側にあるブレーキ液が、出口弁3から開放路D1側に流出して、リザーバ4にブレーキ液が貯留される。これにより、車輪ブレーキRに作用していたブレーキ液圧が減圧する。
【0045】
電子制御装置において、車輪ブレーキRに作用するブレーキ液圧を保持すべきと判断された場合には、入口弁2および出口弁3が閉弁する。
このようにすると、入口弁2および出口弁3で閉じられた流路内(車輪液圧路B1内)にブレーキ液が閉じ込められるため、車輪ブレーキRに作用していたブレーキ液圧が保持される。
【0046】
電子制御装置において、車輪ブレーキRに作用するブレーキ液圧を増圧すべきと判断された場合には、入口弁2が開弁し、出口弁3が閉弁する。そして、プランジャポンプ5を駆動させ、リザーバ4からブレーキ液を吸入して吐出液圧路C1側に吐出する。
このようにすると、ブレーキペダルBPの操作に起因してマスタシリンダM1で発生したブレーキ液圧または加圧ユニット200で発生したブレーキ液圧に加えて、プランジャポンプ5から吐出されたブレーキ液が入口弁2を通じて車輪ブレーキR側に作用する。これにより、車輪ブレーキRのブレーキ液圧が増圧する。
【0047】
(連動ブレーキ制御)
連動ブレーキ制御は、前輪側のブレーキ制御に連動して、後輪側の車輪ブレーキRに作用するブレーキ液圧を増圧することで、前輪側および後輪側の制動力配分を最適にするためのものである。
【0048】
前輪の車輪ブレーキFL,FRにブレーキ液圧が作用し、後輪の車輪ブレーキRにブレーキ液圧が作用していない場合や車輪ブレーキRに作用しているブレーキ液圧が小さい場合には、電子制御装置によって連動ブレーキ制御が実行される。
連動ブレーキ制御において、電子制御装置が後輪の車輪ブレーキRに作用するブレーキ液圧を増圧すべきと判断した場合には、調圧弁8を閉弁するとともに、両プランジャポンプ7,7を駆動させ、マスタシリンダM1からブレーキ液を吸入して、車輪ブレーキR側に吐出する。
このようにすると、両プランジャポンプ7,7から吐出されたブレーキ液がアンチロックブレーキ制御装置100Aを通じて車輪ブレーキR側に作用する。これにより、車輪ブレーキRのブレーキ液圧が増圧する。このとき、電子制御装置は、調圧弁8の閉弁力を変更して、後輪の車輪ブレーキR側の圧力を調節することで、前輪側および後輪側の制動力配分を最適にする。
【0049】
(ヒルホールド制御)
ヒルホールド制御は、坂道等における車両の停車時に実行されるものであり、車両の停車状態を維持し、あるいは坂道発進を支援するものである。ブレーキペダルBPが操作されて車両が坂道で停止すると、電子制御装置によってヒルホールド制御が行われる。
車両が停止しているか否かの判断は、例えば、車輪速度センサ、加速度センサ等を用いて電子制御装置によって行うことができる。また、車両が坂道にあるか否かの判断は、同じく加速度センサ等を用いて電子制御装置によって行うことができる。なお、ヒルホールド制御は、車両が坂道にあるか否かにかかわらず、車両の停車時に一律に電子制御装置によって行われるものであってもよい。
車両の停止時にブレーキペダルBPが操作されているか否かの判断は、後輪側のブレーキ系統K1の加圧ユニット200の液路F1に設けられた液圧センサPの測定値に基づいて行うことができる。
【0050】
電子制御装置において、ブレーキペダルBPが操作されて車両が停止し、車両が坂道にあると判断された場合には、後輪側のブレーキ系統K1の加圧ユニット200の調圧弁8を閉弁する。
このようにすると、調圧弁8から車輪ブレーキRに通じる流路内にブレーキ液が閉じ込められるため、車輪ブレーキRに作用していたブレーキ液圧が保持される。これにより、坂道においてブレーキペダルBPを解除した場合でも車両の停車状態が維持される。
なお、調圧弁8が閉弁されることで、車輪ブレーキRには、停車時のブレーキペダルBPの踏力に対応するブレーキ液圧が作用する。このため、停車直前にブレーキペダルBPの踏力を弱めた場合には、停車後にブレーキペダルBPを踏み増す操作を行うのがよい。このようにすることで、その踏力に起因して発生したブレーキ液圧は、調圧弁8のチェック弁8aを通じて車輪ブレーキR側へ作用する。これにより、車輪ブレーキRに作用するブレーキ液圧が増圧し、坂道においてブレーキペダルBPを解除した場合でも車両の停車状態が好適に維持される。
【0051】
このようなヒルホールド制御を解除する制御は、例えば、車両の図示しないアクセルを開く操作をトリガーとして実行することができる。電子制御装置は、エンジンの回転速度の上昇や車輪速度等によって、運転者による車両発進の操作がなされたと判断し、調圧弁8を開弁する。これにより、車輪ブレーキRに作用していたブレーキ液圧が開放され、車両が発進可能となる。このようにして、坂道等における発進が補助される。
【0052】
(前輪側のブレーキ液圧制御装置によるブレーキ制御)
前輪側のブレーキ液圧制御装置U2では、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1と同様に、アンチロックブレーキ制御装置100Bおよび加圧ユニット200を備えている。したがって、前輪側のブレーキ液圧制御装置U2では、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1と同様に、前輪側のアンチロックブレーキ非制御、アンチロックブレーキ制御、連動ブレーキ制御およびヒルホールド制御を実行することができる。このため、前輪側のブレーキ液圧制御装置U1の制御の詳細な説明は省略する。
【0053】
前輪側のブレーキ液圧制御装置U2において、後輪側のブレーキ制御に連動して、連動ブレーキ制御が実行されたときには、第二ブレーキ系統K22のブレーキ液圧が加圧ユニット200によって増圧される。つまり、右側の車輪ブレーキFRが加圧ユニット200によってブレーキ液圧が増圧される。
【0054】
また、前輪側のブレーキ液圧制御装置U2において、ヒルホールド制御が実行されたときには、加圧ユニット200の調圧弁8が閉弁されることで、第二ブレーキ系統K22のブレーキ液圧が保持される。つまり、右側の車輪ブレーキFRのブレーキ液圧が保持される。
【0055】
以上のような第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、既存のアンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの基体110に、加圧ユニット200の基体210を連結することで、アンチロックブレーキ制御に加えて、連動ブレーキ制御やヒルホールド制御を行うことができる。
【0056】
第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの基体110と、加圧ユニット200の基体210とが別体に構成されているため、各基体110,210をコンパクトに構成することができる。
また、第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの基体110と、加圧ユニット200の基体210とを配管を介して連結しているため、ブレーキ液圧制御装置U1,U2のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0057】
また、第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bが前輪のブレーキ系統K2および後輪のブレーキ系統K1の両方にそれぞれ設けられているため、レイアウトの自由度を高めることができる。
【0058】
第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、加圧ユニット200にマスタシリンダM1,M2の作動状態を検出する液圧センサPが設けられている。このように、マスタシリンダM1,M2の作動状態を検出する液圧センサPを加圧ユニット200に一体化することで、ブレーキ液圧制御装置U1,U2がコンパクトに構成されている。
【0059】
したがって、第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、コンパクトに構成するとともに、レイアウトの自由度を高めることができる。したがって、本実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、アンチロックブレーキ制御に加えて、車輪ブレーキの液圧を加圧する機能を有しつつ、車両内部のスペースが少ないバーハンドル車両への搭載性を向上させることができる。
【0060】
第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、加圧ユニット200が前輪のブレーキ系統K2および後輪のブレーキ系統K1の両方に設けられている。この構成では、前輪の車輪ブレーキFL,FRおよび後輪の車輪ブレーキRの両方において、連動ブレーキ制御を行うことができるので、上りの坂道等のみならず下りの坂道等においても、前輪側および後輪側の制動力配分を最適にすることができる。
【0061】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態では、加圧ユニット200の基体210と、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの基体110とが配管H3を介して接続されているが、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの基体110の外面に、加圧ユニット200の基体210を配管を用いずに直接的に接続し、基体210,110同士を隣接させて固定してもよい。
【0062】
第一実施形態の加圧ユニット200では、二つのプランジャポンプ7,7によってブレーキ液を圧送しているが、プランジャポンプ7の数は限定されるものではない。また、加圧ユニット200においてブレーキ液を圧送する加圧手段は、プランジャポンプに限定されるものではなく、各種のポンプを用いることができる。
【0063】
第一実施形態の前輪のブレーキ系統K2には、左右二つの車輪ブレーキFL,FRが接続されているが、前輪のブレーキ系統K2に左右いずれか一方の車輪ブレーキFL,FRを接続してもよい。
【0064】
第一実施形態では、液圧センサPによってマスタシリンダM1,M2の作動状態を検出しているが、マスタシリンダM1,M2の作動状態を検出する検出手段は限定されるものではない。例えば、ブレーキペダルBPやブレーキレバーL1の動作を位置検出センサによって検出することで、マスタシリンダM1,M2の作動状態を検出することもできる。
【0065】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2について説明する。第二実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2は、図2に示すように、前輪側のブレーキ液圧制御装置U2のみに加圧ユニット200が設けられているところが、第一実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2(図1参照)と異なっている。
【0066】
第二実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、図1に示す第一実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1から加圧ユニット200を除いたものである。
第一実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1では、アンチロックブレーキ制御装置100Aの基体110と、加圧ユニット200の基体210とが別体に構成されている。したがって、アンチロックブレーキ制御装置100Aの液路構成を変更することなく、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1から加圧ユニット200を除くことができる。
なお、第二実施形態の後輪側のアンチロックブレーキ制御装置100Aでは、図2に示すように、車輪ブレーキRのブレーキ液圧を検出する液圧センサPが基体110の液路上に設けられている。
【0067】
第二実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、前後輪のアンチロックブレーキ非制御およびアンチロックブレーキ制御を実行することができる。
また、第二実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、後輪側のブレーキ制御に連動して、前輪側の加圧ユニット200を作動させることで、前輪側の車輪ブレーキFRのブレーキ液圧を増圧する連動ブレーキ制御を実行することができる。
また、第二実施形態の前輪側のブレーキ液圧制御装置U2では、ブレーキレバーL1が操作されて車両が停止したときに、調圧弁8を閉弁することで、ヒルホールド制御を実行することができる。
【0068】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2について説明する。第三実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2は、図3に示すように、前側のブレーキ系統K2が一つの車輪ブレーキFLを有するシングルブレーキ構造であるところが、第二実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2(図2参照)と異なっている。
第三実施形態の前輪側のアンチロックブレーキ制御装置100Bには、車輪ブレーキFLに接続される第二ブレーキ系統K22のみが設けられている。
【0069】
第三実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、前後輪のアンチロックブレーキ非制御およびアンチロックブレーキ制御を実行することができる。
また、第三実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、後輪側のブレーキ制御に連動して、前輪側の加圧ユニット200を作動させることで、前輪側の車輪ブレーキFRのブレーキ液圧を増圧する連動ブレーキ制御を実行することができる。
また、第三実施形態の前輪側のブレーキ液圧制御装置U2では、ブレーキレバーL1が操作されて車両が停止したときに、調圧弁8を閉弁することで、ヒルホールド制御を実行することができる。
【0070】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2について説明する。第四実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2は、図4に示すように、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1のみに加圧ユニット200が設けられているところが、第三実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2(図3参照)と異なっている。
【0071】
第四実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1は、図3に示す第三実施形態の前輪側のブレーキ液圧制御装置U2から加圧ユニット200を除くとともに、第三実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1に加圧ユニット200を付加したものである。
第三実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの基体110と、加圧ユニット200の基体210とが別体に構成されている。したがって、アンチロックブレーキ制御装置100A,100Bの液路構成を変更することなく、前輪側のブレーキ液圧制御装置U2から加圧ユニット200を除くとともに、後輪側のブレーキ液圧制御装置U1に加圧ユニット200を付加することができる。
なお、第四実施形態の前輪側のアンチロックブレーキ制御装置100Bでは、図4に示すように、車輪ブレーキFRのブレーキ液圧を検出する液圧センサPが基体110の液路上に設けられている。
【0072】
第四実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、前後輪のアンチロックブレーキ非制御およびアンチロックブレーキ制御を実行することができる。
また、第四実施形態のブレーキ液圧制御装置U1,U2では、前輪側のブレーキ制御に連動して、後輪側の加圧ユニット200を作動させることで、後輪側の車輪ブレーキRのブレーキ液圧を増圧する連動ブレーキ制御を実行することができる。
また、第四実施形態の後輪側のブレーキ液圧制御装置U1では、ブレーキペダルBPが操作されて車両が停止したときに、調圧弁8を閉弁することで、ヒルホールド制御を実行することができる。
【0073】
以上のように、本発明の各実施形態について説明したが、加圧ユニットとアンチロックブレーキ制御装置との接続や配置は、本発明の特許請求の範囲に含まれるものであれば、前記した第一実施形態から第四実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
2 入口弁
3 出口弁
4 リザーバ
5 プランジャポンプ
7 プランジャポンプ(加圧手段)
8 調圧弁
100A 後輪側のアンチロックブレーキ制御装置
100B 前輪側のアンチロックブレーキ制御装置
110 基体
120 モータ
200 加圧ユニット
210 基体
220 モータ
A1 出力液圧路
B1 車輪液圧路
C1 吐出液圧路
D1 開放路
E1 吸入路
F1 液路
FL 前輪の車輪ブレーキ
FR 前輪の車輪ブレーキ
K1 後輪側のブレーキ系統
K2 前輪側のブレーキ系統
K11 ブレーキ系統
K21 第一ブレーキ系統
K22 第二ブレーキ系統
L1 ブレーキレバー
BP ブレーキペダル
M1 マスタシリンダ
M2 マスタシリンダ
P 液圧センサ(検出手段)
R 後輪の車輪ブレーキ
U1 後輪側のブレーキ液圧制御装置
U2 前輪側のブレーキ液圧制御装置
図1
図2
図3
図4